薔薇の中で呼吸
前回のあらすじ
悟空が華樹の実食ってることが判明した。
「まさか拾い食いまでしていらしたとは…」
「ちょ、ちょっとまってくれよ!!どういうことだよ!!!」
オラそんなことしてねぇってと叫ぶ悟空に、
メルはいやそれでもおかしすぎると悩んであっと声を上げた。
『悟空、貴方白い部屋で果物食ってない?』
「え、く、くっちったけど。」
『あああああ!!!!それ何色してた!!
形は!?量は!!どれ程食べたの!!!何時の時期!?!??!』
「ちょちょちょちょっと、メルさん。落ち着いて。」
息が荒くなるメルをウイスがそっと距離を抑える。
流石に近付き過ぎて悟空も距離を引いたくらいだ。
「いつかは忘れたけんど…白い部屋で
食えって書かれていたから。全部食っちまった。」
『……私一口だったはずだよね。サワア。』
「…ええ、そうですね。エフェメラル。」
『いや、今更全部喰っても廻廊前じゃないと効果ないはず。
…いや〜〜あの時全部無理でも喰うべきだったか?
だとしてもアレ以上の負荷がかかったら
絶対帰って来てないし〜〜〜ああああああ!!!!』
「ど、どういうことだ?」
「華樹の実を食べた物は華樹神に選ばれる為に
廻廊と呼ばれる空間に暫く閉じ込められるんですよ。」
「精神と時の部屋みてぇなところか?」
いやそういうところじゃないと今度は理であるエーリンが答える。
「其処は下界と部屋の時間がずれるだけのもの。
廻廊は時間自体は進むし、何なら人によっては
数千億年程の時間を過ごすことになる。」
「すっ、すうおく…ってどれくらいだ?」
「だあああっ」
「貴方、大体100年程で寿命を終えると思いますが、
それよりもっともっと長い時間ですよ。」
「その間死なないんか?」
「…そういえば、死なないのですか?一応元人間がなるんですよね?」
「ええ。種を飲んで魂にくっついた以上は既に元人間。神の人間に変わりつつあるはず。
このままいけば野菜重心になってそのまま食べることも其処迄しなくなるけど
一番問題なのは性別が変わることでしょうかねえ?」
「いい!?女になるんか!?!?」
悟空からするとそっちが困るだろうと踏んだエーリンに
本当に悟空のことを良く知っているなとシンは普通に尊敬した。
会って数回で此処まで見れるとは、中々であるというもの。
「しかも一度くっついたら離れないからね。いや、これ…どうしようね?」
『一応三択。』
「何。」
『一つが魂自体を消滅させる。』
「でも理の私を見れてるんだから理候補でもあるわよ?
理候補なら何しても時間が経過すれば
魂が戻ってくる仕組みになっているハズだし、
なんならその子の大事な子達も巻き添え食らうはずよ。」
「えっ!?!?そうなんですか?!!?」
「ええ。そうでないと理が消えたらこの世の終わりだからね。」
流石に其処を切らすわけにはいかない。
『んんん、じゃあ、架施を付ける?』
「だとしても貴方分かっているでしょうが時間経過で開くもの。」
『…私が理に成った時の初代をこいつにする。』
「まぁ、それが賢明でしょうね。」
『良かったね悟空。多分100回くらい
転生した後に私の下でお仕事出来るよ?』
「それは…いいん、か????」
まぁこれ程の逸材いればいいけど。
問題は戦闘の意欲があるこのサルをどう手名付けるかだろう。
『あ〜〜〜〜閃いた。』
「今度は何。」
『あれ、今管轄古いじゃんうちらさ。』
「そうね。」
『だから監視的な位置にいればいいんじゃね?』
「嗚呼成程、対神対策ということですか?」
そう言ったウイスに、メルはそうと指を指して答える。
『それならある程度の知識を持った上で、自由に動く。
勿論架施を付け、負荷は掛けるけど、天使らが攻撃したり
神々がこの地に入る仕組みとかは後で書き換えるからその手筈なら大丈夫。』
「ですが、この者が廻廊に落ちて帰って来るとは思えませんが。」
「かり、ん???」
『いーーや、多分ね。帰って来る。』
「何処にその確証が?」
『廻廊は純粋であればあるほど
帰りやすいってことが分かってる。
私ちょっと何度か試してるしね。』
純粋に走って行けば帰りが早過ぎたのだ。
一番いい例は12番目だっただろう。
あの時は真逆の方に考えて考えていたら
長い長い旅になってしまったものだから。
まぁそれでも一番目の廻廊も結構まずかったが。
それはそれ、これはこれである。
『悟空は多分感覚派だから、こういう手の奴は
帰りやすいのが相場だと思ってる。』
「だから先手を打とうと?」
『それで、悟空。君今後の事になるからよーーーく考えておいて。』
「その、華樹神ちゅーやつは強いんか?」
『場合によっては宇宙どころか理ごと全部ひっくるめて強くなれるよ。』
私もその素質があるから、選ばれたというものだろうし。
そう言ってエーリンの方を向くメルに、こくりと笑って答えるエーリン。
やはりそうか。所謂引き抜き行為と変わらないものだろう。
「…つまり、今よりずっと先に起きることを話してるってことであってるか?」
『そう。今決めて置かないと、後の取り返しがつかない。』
まぁ既に時遅しなんだがなあ〜〜〜〜ははははは。
そう乾いた笑いを出すメルに、すいませんとシンが謝る。
いやいい。確かに管轄上は彼の位置かもしれないが。
『こればかりはね。』
「メルに言われないと気付かなかったくらいなので。」
『強くはなれるし、悟空が生きてきたようなこうなんだろう。
何かを賭けて強くなるってことはほぼないかな。』
「っそれなら」
『ただし。恐らく君の過ごしてきた時間を永遠と繰り返すことになる。』
恐らくだが、メルで廻廊を終えるということは
それ即ち自分の時間を繰り返す以外術がなくなるということ。
12回同じ時間を繰り返すことが、彼にとって耐えきれるか。
まぁ耐えられなかったらそれまでというものだが。
『これが其処ら辺の知らない人間ならまだしも……
嗚呼嘘ついたごめん。多分それでも無理だわ私。』
「でしょうね。」
『出来れば私としたら貴方の管轄を今すぐにも剥がしたい。』
「できねぇんか?」
「それが出来ていれば既に策を講じていますよ。」
『ん〜〜〜このままいくと私の所は入らないとしてもイレギュラーーーーー』
「出るね〜〜ほんと。」
『もうこれ夢落ちでは???』
「だとしたらいいねえ。」
良いけど、いいんだけど。
うう、だとしてももしも万が一あれば困る。
「そんなになって欲しくねぇもんなんか?かじゅなんちゃらって。」
「良かったですねえ。悟空さん。貴方本当に愛されてますよ?」
「へ?なんでわかんだ?」
「悟空さんのことが大事だから、だそうですよ?」
「まあそうでもなければあれ程頭を悩ませて
人前でゴロゴロのたうち回ることはしませんからねえ。」
「エフェメラル様!!お行儀が悪いですよ!!
座るなら座りなさい!!!」
『みぎゃあああああああ』
「奇声を上げない!!!」
流石にとコルンが悟空の腕を離してメルの衣服を掴んで起こす。
嫌がるメルに、これとコルンが怒っているのを見て、悟空がぼそりとつぶやく。
「別にオラはいいけんどな。」
『…え?』
「いいんですか?」
「んー、先のことだからオラあんまりよくわかんねぇけど
こう悪いことに向くって意味で困ってるわけじゃねぇんだろ?」
『嗚呼まぁ、そう、ちゃ、そう、だけど…。』
「オラが悪い気分になる原因が、メルの出した種に
よるものだからって言う処で悩んでるんだろ?」
まぁ、そう。だけど。
「なら別に構わねぇぞ?」
『え、や、でも。』
「なんならそんくらいで悩んで地球に来ねぇなら猶更来てくんねぇか?」
「話を戻しましたね。」
『うう。で、でも…。』
「はぁ…メル。」
うう、分かってる。そう寂しそうに言うメルに、
サワアがため息交じりに彼女の名前を呼んでいる。
「もしも仮に遊びに行かれるとあれば、
付き添いに我々のどちらかが一人は付いてきます。」
「ん?嗚呼それはそう、なのか?」
「何でしたら各宇宙の天使に触れた状態でなければ
この方は地に足を下せないのです。」
「いい!?!?」
『皆とっても優しいの分かってるの。
心配するだろうから…だからね。』
「…成程、地球の皆さんがエフェメラル様を
心配されることが何よりの気がかりだと。」
そう言ったシンにメルはこくりと縦に頷いた。
それはウイスらも納得する話でもある。
メルが頑なに嫌がるのは相手の事を想っての事
ばかりであることが多いから。
「このことは他言無用ですよ。」
「なんでまた」
「天使から手を放せばどうなるんですか?」
「まだ試していませんが、アストランティアに避難した時は
身体に残る気を常時使い続けている状態に陥りましたね。」
「…それは星が破壊されますね。」
「でしょう?なので天使らが手を繋ぐなり
抱き上げるなりなんなりしていないと難しいのですよ。」
「それって天使達以外じゃ駄目なんか?」
「破壊神は元人間。その宇宙に深く根付く者達です。
界王神も命が繋がっている以上その範囲に入りますので。」
だからこその天使であるというのだ。
「じゃあ手くらい繋いでくればいいじゃねぇか。」
『ううそう簡単にいうけどだな』
「緊急時の時は場所が場所だったので良かったですが、
本来彼女は千年間この地から離れることを許されていないのですよ」
「…え。そ、そうだった、んか。」
『…ごめんよお。どちらにせよ無理なんだよ。』
「なんかごめんな。」
いえいえ。
「ううん。めぇったなあ…どうしようか。」
「何か地球でイベントでもあったのですか?」
「ん?嗚呼、メリアも連れて一度花火とか見に来たらどうだって話をしてたかんな。」
『花火…あ〜〜〜〜花火。ああ、あの空に飛ぶ花火???』
「そうそう。みたことあんのか?」
『何十何百も。いや久しぶりに聞いたな花火。』
頑張ったら作れるだろうけど。アレ危ないからこんなとこで打ち上げれねえし。
そんな危険なものですか、花火とやらは。
そう冷や汗を垂らしながら聞くコルンに嗚呼うんとメルは答える。
『あれ花火職人って下手したら死人出すらしいからね。
打つ前も爆発したら危険だし、打ち出した球が落ちてきて
頭に当たって死んだとかテレビでやってたなぁ。』
「へーーー良く知ってんなぁ。」
『場所違いの地球で何度も見てね。にしてもそんな時期なんだねそっちでは。』
「ああ。久しぶりにこねぇかって聞いてな。それでどうだ?」
『ん〜〜〜流石に無理かなあ。テレビ通信で見ても行きたくなるだけだし。』
そうかあ、花火、かあ。
花が、散る。その儚さ。空に花を散らして消えるその時間。
喧噪に唸るその時間に置いて行かれる場所。海に映る、幻想に酔いしれる時間。
ふと思い出していると、サワアの声が上から落ちてきた。
ニコリと微笑んでくれている彼に、メルもまたニコリと微笑んだ。
「…そっか。ならこっちで時々遊びに来ても良いか?」
『うん。寝てる時は難しいけど、起きてる時なら大歓迎だよ。』
「分かった。パンにも良く言っておくわ。」
そう言って帰る悟空に、ふぁあと声が上がる。
折角だから起きようと思っていると、身体の力ががくんと抜ける。
「…ね、たんですか???」
「そうだね。物凄い急だけど。」
「彼らの対応で疲れたんでしょう。」
身体を綺麗にさせた後、そのままコルンが
メルの身体を先程まで寝ていたベットに入れる。
すっとベール上のでてきたのを確認した後、
戻りますねとコルンがサワアに声を掛けた。
ええと答えた後、二人きりになる。
「それで?奴はどうするつもり?」
「その言葉そっくりそのままお返ししますよ。どうするんです?」
「んん、保留。かな。」
++++++++++
それからまた目が覚める。
うう、次は誰がいるんだろうとぱっと案外目が覚めると
『ああああああああああああ』
「ああああああああああああ」
おお意外と野太い声が出た出た。
叫んだメルにリキールとシドラの声が被って笑いが止まらなくなる。
あっまってツボった起きた直後に二人の顔が駄目だ。
腹を抱えて笑うメルに、元気そうで何よりですと声がかかる。
『あ、もひ、と、さ。す、すいませ』
「いえいえ。」
おはようございます。
そう挨拶をするメルに、はいおはようございます。とペコリお辞儀をする。
案外すっきりしているから割と長く寝ているかと思ったら
案外ペースが落ちて現在は悟空を境目にして
5日くらいしか経っていないらしい。
『あれ、私寝てる時って誰も居なくていいのでは???』
「向こうのお屋敷におられるならまだいいですが、
貴方の事を知る者達ならば誰でも来られてしまいますからねぇ。」
『そうなの。』
「そうですよ。理様らもその中に居れば
基本的に大丈夫だと仰れておりましたので。」
極力貴方にはそこから出ないで頂ければとコルンが声を掛ける。
嗚呼それならとメルが続けてその話に繋げる。
『じゃあこっちに手を触れたらいいんじゃない?』
「と、いいますと?」
『こうやってしたら多分ベール出てくるでしょう?』
そう言ってメルは寝っ転がって見る。
するとふわりとベールが包まれるのを確認して、
メルはコルン様と声を掛けた。
『この手を取って見て?』
「…こう、ですか?」
『ほら透けて私の事取れるでしょ?コレで大丈夫。』
「はぁ。何が大丈夫なんです?」
『こいつは本物。本物以外はベールに弾かれるはず。』
彼女らが大丈夫というのは恐らく其処だろう。
幻や夢でも手が伸びれば弾かれるはず。
『だから外に出ても問題ナッシング!!!』
「いや、本人確認一人だけで大丈夫な訳ないでしょうが。」
『そう?だってコルン様だよ?お師匠一人でも蹴散らせるでしょ!!』
「…だ、そうですよ?」
「言わないで下さい。」
本当に恥じらいなど何処に置いて来ているのだか。
分かって言っていないのだろうから猶更効果がえげつない仕事をする。
起きてすぐに動くというのも難しいと言うのに、
メルはさらりと動いてしまう。
「…メル様、貴方夢等アレから見ていますか?」
『ん?嗚呼まぁ見てるし、人と話したりするよ?』
「では此処が何故現実だと言い切れるので?」
『嗚呼現実か幻チェック定期でしてるからね。』
そんなものしてたんですかと言うコルンが
やり方を聞くとメルがさらりと答える。
『普通に首ちょんぱして痛みがあるかどうかだよ。』
「…待って下さい。しないでもらっても????」
『えーーーー』
そっと花の白い葉が刃となりただの鋭利なナイフとなって
メルが自分の首に当てるので余りに自然で
反応が遅れたのを少し気にしつつも、
コルンはそっと杖を使いつつメルの手を下に降ろす。
『触れた時痛みが入ったから今回は現実。
悟空が来た時はしてないから分からないけど。コルン様あ。』
「言っておきますがアレは現実ですよ。」
悲しくも。そう言うコルンにそうかーーーとメルは寂しくなる。
あれが夢だったらホッとしたんだが。
「どちらにいかれるので?」
『ん?ああご飯食べてー風呂入ってーお勉強しようかなって。』
「おや、それは良い心がけですね。」
『お二人さんとか珍しいけどどうしてこっちに?』
「我々はたまたま大神官様に御用がありましてね。」
「定期報告的な流れですよ。」
『嗚呼そういう。』
シドラ様だあーーそうトテトテと歩いて近づくメルにどうもとペコリお辞儀をする。
可愛い可愛いと愛でるメルに、者好きですねぇとモヒイトがため息交じりにつく。
『あっえと、あの、お願いがあるんですけど。』
「別に構わんが…なんじゃ?」
『髪の毛触らせてもらってもいいですか…!!!』
それならと言って振り返る彼に、ちょんとつついた後、ふわふわとメルが触っていく。
『〜〜〜〜〜!!!!!!!』
「良かったですね…」
「ん?ん?どうなっておる。」
「エフェメラル様が大変お喜びになられております。シドラ様そのままで。」
「お、おお……」
「それにしても低下層の者をこれ程見るとは…本当に物好きですよね。」
いやいやーそんなこと。と言って座っているシドラに対してリキールを見るメルに
仕方が無しに背中合わせになるリキール。
どうやら尻尾は与えるしかないと腹をくくったらしい。
余り無理に引っ張ることなどしないメルだからこそだろう。
その姿を見つつもメルが嬉しそうに笑って居るのに笑いが出て来てしまう。
本当に無邪気に神々と遊ぶもんで、
兄らと同じ年で育ったとは思えない程である。
『ねぇシドラ様ってどうして破壊神になったの?』
「ん?んん…なる様になったとしか言えんがまたどうして。」
『ん〜〜何となく。ねぇリキール様も?』
「まぁそうだな。俺の場合はお前が一番知ってるんでは?」
嗚呼フェルか。それをさらっと言うかな。
そう冷や汗を垂らすリキールに、メルはえへへと和ませて話を無理に流す。
『後悔とかしなかったの?その、お仕事してたりとか。』
「破壊をしてってことか?」
『う……うん。』
「…そうだな。正直言うと後悔ばかりと言えばそうなる。」
「っそうなのですか!?」
「まぁアレの方が良かっただとか、
こっちの方が効率良かったなとかの意味合いが強いがな。
破壊神になって後悔は一度もしていない。」
寧ろもう少し強く在ったらばと思うくらいだ。
そう言うリキールに、そっかとメルはニコリと微笑んだ。
身体を張ってフェルを守り抜いてくれた彼。
身体は持っていなかったメルだが、
その時の彼以上に強くなってしまえば
きっとフェルは居ても立っても居られないで
飛び出していたことだろう。
かっこよすぎて、という処を忘れてはいけない。
「それにしても急にどうした。
お前ともあろう者がこうしてじゃれつくなんて珍しい。」
「そ、そうなのか?」
「そうですね。基本的に距離を取られますよ。
例え幼馴染であろうサワアお兄様やクスお姉様ですらね。」
『…うう、鋭いというか、私が良くないと言うか。』
リキールの尻尾にしがみついたメルがぐぬぬぬと声を出す。
『ん〜〜夢と現実の区別がつかなくなってきたから
ちょっと色々やっておいた方がいいかなって。』
「それこそ日記などを付けるとかはどうですか?」
『あ〜〜〜〜〜』
余りおすすめしないけど、するかあとメルが起き上がる。
『夢日記っていうのがあってね。
夢を記録する日記をつけることなんだけど、
アレほぼ百パーセントの確率で鬱になるんだよ。』
「ではやめればいいのでは…」
『ある程度の範囲なら手だしても…ううん。まぁやめとくか。』
そう言ったメルに、少しだけモヒイトがホッと息を吐く。
メルは結構人に左右されることが多すぎるもの。
それは自分の意志が少ないと言うのもあるだろう。
「では我々はこれで。」
『あれ?もう帰っちゃうの?』
「ええ。元々貴方が生きて居るかどうかを確認してすぐに帰る予定でしたので。」
そう言うコルンに我々もとモヒイトがメルから離れる。
ではとお辞儀をする彼等にメルは遠くからでも手を振って踵を返した。
『…ふむ。夢か。』