生ける屍と優しい死神
前回のあらすじ
メルは死んでしまった!!
その代わりメルの録音機を入手した!!
以上。
「いや、それ普通にまずいのでは…」
「我々犯罪を犯したくないんですが。」
「一応念には念を入れて不味そうな処の
気配を察知しないと発動しない設定にしている。」
「私ですら躊躇してやめていたというのに…」
「お待ちください。お兄様…する気はあったんですか。する気は。」
そう言ったコルンに、限りなくゼロに近かったんですがねとサワアは答える。
流石に躊躇したのは良いとするしかない。
「という訳で、ぽちっとな。」
「うわっ!!!!」
ブンと光るその姿に、先程から幻しか見てないなとリキールは少し思っていた。
++++++++++
『いや〜〜〜〜サワアもお師匠様もいねぇ。
オラ滅茶苦茶自由に出来るぞ???』
あれ待てよ?これ普通に録音とか盗聴されていたら無理では???
無理オブザ無理では???バレるのでは????
『…………ま!!!いっか!!!!!』
よしだよし。さーーーー!!!
『【天使らを泣かす愚か者を処罰出来るグロテスク設定つ〜くろっと】』
うふふ♡一体どんなのにしちゃおっかな〜〜〜!!!
『どう考えても説的には5種類だよな。一つは大神官黒幕説。
まぁ悪魔が天使に変わって加えて自分の駒が揃ってるからいつでも発動可能。
ただメリットがイマイチ分からないんだよなぁ。』
こいつになるとね、もし私なら華を取った時点で動きたいが…
基盤全てをひっくり返すなら理になった華樹の方の華が欲しくなるだろうし。
そこまで育ててから、はいさようなら。ってなるならまだ動かないだろうな。
『一つはサワア説。まぁ割とあり得る話だよな。
でもこっちも私を狙うなら何度も繰り返して迷子になって
あの土地に戻ってくるというのも変な話。』
なんならもしこの世界を壊したかったら私を陥れたらいい話だし、
こんな時期に襲うなんてことはないはずだ。
『一つはコルン説…いや割とコレ、ニアピン説あるよね。』
コルンの方に揺れて私がコルンに堕ちたと仮定しまして。
そうして出てくる花は効力が強いものになる。
さすればその力で何かを企めることを…。
『んん???待てよ?これさ……コルンを駒にしてたらどうだ?』
例えば大神官がコルンを操ってたら?
そしたら自分が監視する手間などないし、
絆が深まればその分隙も生まれるというもの。
普通に考えて、こっちの方が楽だが…
流石にそんな簡単な形であいつらを騙せる訳がない。
『絶対キレる頭してるからな、うちのスピスピスッピーちゃん。
そんな奴の隙を狙える配置で、尚且つ私に接触出来る者で……
ほ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。』
アイツしかないか。まぁ確白だと思えなかったが。
『恐らくスッピーは私が困らない様にと、
お兄ちゃんから「こいつやべぇからごめんちょっと相手してて。」
「おっけー」って感じのノリでやってたんかな。』
ぶっ、ま、まって。それ想像したらおもろいんだけど。
『コルンを身籠ったのはアレ多分母体と綺麗に接触させてないな。
一応保護を掛けていたが、ちょっと難しくて犠牲になっちゃったとか。』
いやありそ〜〜〜〜〜ありよりのありそ〜〜〜〜〜。
『それにいち早く気付いて、尚且つヘイトを買っていないと
私が気付いてしまったら手遅れになると感じ取ってと〜る〜のーがーこいつか。』
モヒイト
『頭くそキレるし、正直余り近寄りたくはない天使に入るかんな〜〜。
因みに上からサワア、ウイス、コルン、モヒイトの順番です。
え?なんでかって?うるせぇ!!
普通にあいつらの隙を敢えて与えてくる感じが嫌なんだよ!!!!』
特に最初の二人!!!あそこ絶対駄目!!!!!
ウイスやコルン、モヒイトは敢えて近づいて
距離を詰めて何とか近寄らなくてもそこそこいいかなぁって
感じに仕立て上げようとしたんだがなあ。
普通に距離感ミスったよな。
特に若干二名程手持ちに入ってしまったし。
ううん。本当にどうしてこうなった。
正直マルカリータと仲良くなるのも誤算である。
クスお姉ちゃんと僕仲良くなりたかったのに。ううん。
『多分モヒイトが瞬時に気付いて大神官にチクって
バレてしまったか。じゃあ巻き込むけど拒否権ないよね?
みたいな感じでヘイトを買いつつ彼に報告していたんだろうな。』
妙に第9定期的に様子見しに来ていたし、
上の兄弟からも割と信頼が厚いっちゃ厚い位置。
手ごろなコマと言えばそういうものだろう。
『コルンやサワアがどう動くかによって、
大神官も妻として形を保持していた
ルメリアの付き人を監視していたんだろうな。』
だからこっちに余り込んでなかった。
恐らくあの人の事だから心配だったんだろうな。
だって昔はしょっちゅうこっちに居座ってたもん。
滅茶苦茶遊んでくれたもん。なのにぴたりと止んでこなかった。
口を開けば仕事があるのでというもんだから、多分半分本当だし
もう半分は私に余り気付かせない為にも距離を置いてくれていたんだろう。
それが本当だったら本当に大好きなんだけど。やっばいスッピー大好き愛してる。
『まぁんなことはどうでもいいとして、だ。』
問題は私がどういう結末を送るか、だよなあ。
『間違いなくこの身体が分離したら次はないと思った方が良い…が、それってさあ?』
繋ぎ目を忘れなければいいってことだよねえ???
『糸のようなものをとにかく一つに絞ってしまおう。
そっちに向かない様に、周りの攻撃やらなにやらでカモフラージュ。
問題は何処にその魂を置くか、だが…まぁ無難に箱に入れれば問題ない。』
ただそっちからどうやって抜け出すか、だよなあ。
あの白い空間ただでさえ割と怖い位置にあるというもの。
余り魂だけで乗り込むのは少々気が引ける。
まぁ最終手段だと思えばいいか。
意識を強く持って、ちゃんと帰りたいと思えるようにしていれば
回数を重ねて強い願いを作り上げれば戻れるだろうし。
『そうなってくると、先に叩きつけるしかないよな。
まぁ普通に私がこうやって寝る回数が増えて
見る人が少しずつ居なくなっていくのが良いな。』
こうなった時隙しかないからな。
喋ってるならまだしも、寝てるし。何もすること無いからな。
暇だから適当に別の事をした方がいいって切り替える思考にもなる。
そこをどうせついてくるだろうから、
今のうちに人がいないこういう時に対策をするというものだ。
『ふふふ〜〜〜サワア達驚くかなあ〜〜〜〜????』
そして、奴はどんな顔をして驚いてくれるだろうか?
『…私の大事な天使らを殺そうとする者に、
天罰が下ることだけで済まされると思うなよ。』
大体の場所が分かった以上、コレは定期的に
消し去った方がいいと言ってメルはタイマーをセットする。
30分後にはこの記憶も綺麗さっぱり消え去って眠りに落ちるようにだ。
『とりあえず次思い出した時にサワアらの別れの挨拶作っておくか。
絶対ヒントですら分からねぇってくらいのにしておこう。
あっそうじゃ〜〜ん!!!メルちゃん天才!!!日本文化にしとこ〜!!』
胡蝶の夢とか、あと戻る話とかあったよね。
其処ら辺に終点を置いて、蝶々はパピヨンって意味だし…あっ
『パピを追いかけていたら私の所に戻ってくるとかいいかもしれない。』
割とあり。良いなそれ。まぁ未来の私がどういう移動するかだが。
それにパピ君の道が本当に凄いことになりそう。重要な役割だぞこいつ。
『白い世界に辿り着いた儚い存在エフェメラル。その子は一体何処に向かうのか。
次回!や〜んいっけなーい!!死亡死亡!!私の名前はエフェメラル!!』
気が付いたら華樹神って存在になって、新しい理に選ばれちゃって大変!!
あれよあれよと天使が手を取り足取り入ってくるくる困っちゃう!!
そんな時に、大昔に殺害し続けていた
悪魔みたいな呪いの塊が殺しにかかってきちゃって!?
次回、メル死亡。お楽しみに!!!
『じゃないが!??!?!?!普通に情緒不安定か!!!!!!』
積乱雲ぱーりぃーでもしとんのか!!!!
全くもう。
『でも…もしこれが真実なら……割と厄介だぞ???』
相手は私を殺すのに手慣れているし、確実に今回で華樹神に選ばれるだろう人間だ。
流石に確実性を取ってくるだろうから、隙を見つけた時が終わりだと思った方が良いが。
それをあえて坂手に取れば、割と華樹神に選ばれてる間に感情が揺れ過ぎて
振り落とされてこの地に選ばれなくなってしまえるのでは????
『あっそれでいこ。ぜっっっったいこれバレたらコルンとサワアはガチキレしそう。』
いや、普通に皆に怒られるんでは…????
『まっ!いっか〜〜〜!!!バレなきゃいいやん!!!』
どーせなるわけないない!!!本人もそういう気がない可能性あるし!!!
それに華樹神なんてなって良いもんじゃないんだよ本当に。面倒極まりないんだから。
自分の感情を回し続けるというのがどれ程面倒極まりなく苦痛極まりないことか。
やったことがないか、適当にやって、やった気になった愚か者かの二択だろうて。
そんななりたいとか思う愚かな奴らのことなんぞ。
『私は私しか、選べない。』
ニヤリと笑ってその胸にある華をいじる。
嗚呼、これはちゃあんと、青に光っているのだ。
金色が白にそして青色に染まりあがった。
青い時間に切り替わった瞬間が開幕の火ぶたを切ることになろうな。
緑はまだ、この時間の管轄に入っているから、多分目が青色になってすぐだろう。
『大体一か月は見積もった方がいいな。下手したらなったその日か、一週間後。
寝始める期間が二週間に入った途端が修羅場だろうし、普通に対戦闘用を大量生産しとくか。』
今のうちにしとかないと割と面倒だろうしな。
近付いて触れそうになる時に察知して目を開ける様にも設定しておこう。
まあ本番の私ならきっと気になったから目覚めたとかで理解してくれるだろう。
どうせ馬鹿だし。安直に考えるし。うんうん。いいね。
『問題は天使がこっちに気付かない様に疎かにすることだな。
まあ此処までこっちにお熱なら流石にお父さんから仕事しろって下るだろうし。
割ともう少し居ててって距離詰めて置いてもいいかもな。』
そうしたら忙しさと気にしないと言う意味も相まって隙が生まれるだろう。
其処を狙って言うのかどうかは、ちょっと彼の思考を読めないから分からんが。
『あっちなみに言っておきますが現在は青い目を宿らせた後から数日が経ったくらいです。
何処の誰かは知らんが。コレ録音してるなら言っておくが、絶対くんなよこっちくんなよ。』
白い空間に入るのは元々自分の目標地点だったのだ。
だから引きずり出すとかそう言う事は考えたらいけないというもの。
『まぁバレたらどうしよ。普通に白い部屋の判定がどうなるか分らんが。』
まぁその時はその時かな!!!
ニコリと笑って、じゃあ〜戦闘の気を作ろうと言う処で姿が消える。
++++++++++
「…とんでもないですね。」
「まぁ選ばれただけはあるね。結構前から気付いていたらしい。
因みに此処から基点として計16回くらいは思い出して作ってる。」
「えげつないですね。」
「僕達が出来るのはこんなところ。」
ほらエーリンかえるよー
ううううやだあああああ
そう泣きじゃくる彼女に、アニュラスが引っ張ってメルから引きはがす。
血を流していた箇所もシーツも全て交換してからだ。
「そいじゃ、後はよろしく。」
「ええ。すいません。」
そうお辞儀をする大神官にお父様!?と声が上がる。
「いつの間に…」
「つい先ほどですよ。彼女の件は先程処罰を下しました。」
全王様みずから。
嗚呼それはそれは…
「消滅とついでに彼女らの効果を打ち消して、
どんな願いでも不可能にして蘇生など
させないように施してからです。皆さん異論はありませんね?」
「勿論です。すみません、ありがとうございました。」
「いえいえ。そんなことよりも、とんでもないことを考えていたんですね。この子。」
そう眠り続けるように横たわるメルのベットに軽く腰掛け、
大神官はその頬を軽く指の背でさすってやる。
こうやってやれば嬉しそうに眉を上げて頬を擦ってきていたりしたのだが。
「……そうですか、ほんとうに。こうなってしまわれましたか。」
「大神官様……。」
「貴方用の業務を作っていたんですが、もう少し待つことに致しましょうか。」
「…え?」
「ですが、彼女はもう…」
「おや、連れ戻す者は誰一人としていないと?」
「……は?」
「いえ。私が行きます。」
そう名乗り出たのはサワアだ。それには納得しているのか頼みましたよと大神官が答える。
「ヴァイス様。」
「ん?なんです?」
「お帰りの所止めてすいません。メルの寝ているベットって大きく出来たりしますか?」
私達で操作していいかどうかわからないので。
嗚呼構いませんよ。
そう言って彼女は指を鳴らし、
メルのベットをそのまま手前に持ってきて
数倍に広くさせて寝かせる。
「はいどうぞ」
「ありがとうございます。」
「何をお考えに?」
「呼ばれた者は此方に来てください。」
大神官様、コルンさん、ウイスさん、モヒイトさん、
クスお姉様、マルカリータさん、マティーヌさん、コニックさん
ヘレス様、リキール様、ビルス様、ベルベット様、ジーン様
「以上の方は此方に。他の方は一時的にお帰り頂けても?」
「そういう訳です。皆さん帰って頂けますか?」
++++++++++
「それで、何故この面子じゃ?」
「メルと良く話をしていたメンバーを出しただけです。」
「ちょっとまった。それなら俺は要らないのでは?」
「俺もだ。余りこの子と話したことはないぞ。」
「嗚呼すいません言葉足らずでしたね。
正確にはメルが仲良くなりたいであろう神々、という位置です。」
貴方達の話は時々マルカリータさんと一緒に声を掛けられていましたので。
「なのでマティーヌさんとコニックさん辺りも範疇に入ってるんですよ。」
「ですが…他の天使の方達は?」
「単純に全員と仲良くしたいが、一度になんて無理だった。という枠の範囲でしょう。」
まぁ間違いなく今居る者達以外にも仲良くなりたいと企んでいたことでしょうし。
「…それが叶わないまま、こうなってしまったというものです。」
すやりと眠る様に、冷たくなった身体をさするサワアに、ではと声を掛ける。
「今から彼女に会いにいくと?」
「ええ。ひとまず手あたり次第全員で横になって
速いもの順で彼女にぶち当たっていきましょう。」
帰ってきたら会って来たと声を掛けて下さい。
たたき起こしてその内容と彼女の安否を報告しましょう。
「回数はどうする。」
「それも一番乗りで入った子にやらせることにしましょう。
如何せんメルの状態がどれ程いいのかすら此方では見当もつきませんからね。」
「分かった。」
「それにしても…天使と寝れるなんてよかったわね?メル。」
貴方ある意味一つ願い事が叶うわよ。
そう言うクスに、何の話です?とモヒイトが聞く。
「ヴァドスさんが彼女の愚痴を聞いていた話を聞いて声を掛けたんです。
そしたらこの子、私達天使と一緒に横になって寝てみたいって言ってたんですって。」
「……なんでそういうことばかりをお望みになるんですかねこの子は。」
「ふふふ、可愛らしいですよねぇ?私の時なんか女子会がしたい〜等と仰っていましたよ?」
「女子会?ひょっとして女子だけで開催するものか?」
「ええ、その通りですよ。ちなみに貴方は強制参加される予定だったそうですよ。」
「ほぉ?それはそれは。早く起きて貰わねばならんなあ?」
そう言って髪を取ってしまえば、何時もなら
『ねぇええなんでそう言うこと言うの?笑っちゃうじゃん!!』
等と言って笑いながら狸寝入りを暴けるというのに。
ぴたりと動きなんてしない。腐敗臭がしないのは天使らが力を使っているからだろう。
本当に何処までも、愛されているというのを、彼女は知っているのだろうか?
「私の時は大神官様のお仕事を手伝いたいと言う話をしていました。」
「ほぉ?私のですか。それはそれは。」
「以前仕事が忙しいと仰られておりましたし、
どうせならとはっぱをかけたんですよ。」
「そんなことしてたんですかお姉様……。」
流石に彼女が可哀想では…
おや、そういう貴方も酷いでしょう?
「皆に内緒で彼女が付けていた翻訳機能を解除して
尚且つ我々の神々が使う言語を教えていたとは。」
「っな!?!?」
「んぐ……ま、まぁそれは……すみません。」
「別に構いませんよ?そのおかげでこっちも手を打てたんです。」
まぁ、こうなっちゃいましたけどね。
「…ウエディングドレス」
「え?」
「ウエディングドレスとやらを着てみたいと仰っていました。」
照れくさそうに、絶対出来ないししない〜って。
おやおや、それはまた可愛らしいお願いをしていたんですね。
「ええ。絶対に皆さん喜んでしまいますよ?
って言い聞かせたんですがね。
ことごとくお断りされてしまいました。」
「おや、それはまぁ…目覚めたらしてしまいましょうか?」
「…余り大事になさらないで下さいね?お父様。」
こっちとて恥じらいというものがですね。
ふふ、検討しておきますね?
「にしても案外やりたいこと見つけていたんだな。
前見ていた時はそんなになさそうにしていたが…。」
「それでも小さすぎる願いだろ…
ほんと、それくらい言ってくれれば全員協力するというのに。」
「きっと我々のことが心配だったのでしょう。
此処まで傍に居てくれる人など、今まで存在しなかったから。」
廻廊で見つけた彼女の目は、時間は、酷いものだった。
それを知るのはコルンとサワアの二人だけだ。
画面越しに見つめ続ける、虚ろの瞳。
笑みは消えない。だから恐ろしいと感じた。
壊れている。確かに、コレは壊れた。
もう戻れないだろうなと思っていたのに
まるで草の様に生えて戻ってくるのだ。
除草剤をいくらかけても、
土があればその場所に種が入りやがて芽吹くもの。
「にしてもどうやってねるんだ?」
「まぁ無難にコルンさんとサワアさんが
彼女の間を挟んでしまえばいいでしょうね。」
「いえ、お父様こそお隣に来るべきでは?」
「何故です?貴方達二人でも構わないでしょう?」
「メルは貴方の事も好いていましたし、
可能性という点では最終的に全員
隣で寝てしまえばという気持ちです。」
「ふむ…ではお言葉に甘えますか。」
それにしても何年ぶりでしょうね。
えっ…お父様昔寝かせておられて?
「ええ。この子が小さい頃はね。
ルトラールが席を外して彼女一人になるのが怖かったもんで。
まぁその前にこの子が泣きじゃくって縋り付いて離れませんでしたし。」
「嗚呼そんなことを……」
「背中を叩いていると嬉しそうに笑って寝ていたんですよ。」
そう言えば黄色いタオルをよく掴んでいましたが
一体誰からの贈り物だったのでしょう?
「う゛っ」
「ふふ、ありがとうございます。」
気を察知したサワアが照れつつも指を鳴らして
彼女が使っていた古い黄色のタオルを取り出す様に宙に出す。
それを大神官が受け取り、そのままメルの頭にそっといれてやる。
「それは?」
「昔やってたものです。こうしてやると寝つきが良いと言ってましたので。」
「本当に良く添い寝されていたんですね……。」
「ええ。結構な回数は。」
一度や二度などではないですので。
嗚呼そ、そうですか……。
「まぁその役割も途中から変わって微笑ましかったですよ?」
「お父様…すいませんそれくらいで構いませんか?」
「おや失礼。」
私の隣は?では私が。そうコルンが座ると、続いてリキール、ヘレスと徐々に円が続いて行く。
「さあ、問題は寝れるかどうかですね。お父様何かコツとかはないんですか?」
「そうですねえ…私も正直寝れたかどうか定かではありませんし。
それこそサワアさんの方が分かるのでは?」
「いえ、目を閉じてそのまま無意識になればというしか他ありませんね。」
「だそうですよ?」
「いや、普通に分からないですって…。」
「そもそも天使は意識を飛ばすようにも作っていませんしねえ。」
貴方達はかなり優秀な部類ですし、尚更です。
そう言う彼はメルの隣に寝てその背中、というよりかは横腹を軽く叩いてやる。
まるで生きているように接する彼に少し胸がツキりと痛む。
それもそうだ、彼女はもう死んでいるのだ。
そうしなくても、いいというのに。
「冷たいですね。温めてやらないと貴方はねれませんからね。」
「っお父様?!?!」
「ふふ、これくらいやらせて下さい。」
せめてもの償いというものですから。
「もう少し貴方の面倒も見てやりたかったんですがね…
すみません、予想以上に向こうが手こずりましてね。」
「お父様…」
「貴方が次目覚めた時は私も面倒を見させて貰いたいと思いますので。」
お覚悟を。
そうニコリと微笑んだ彼は、今度こそ目を閉じる。
そっとメルの身体から手を放して。
ニコリと微笑んだメルの姿を、サワアは見逃さなかった。
まるで嬉しそうに、良かったと言わんばかりに動くのだ。