ぎゅっ!







「…あの、これは一体どういう状況ですか?」
「屋敷が完成したからと言って導かれたままに行けば気持ちいいソファーに
ゆったりとくつろいでいる処、第11の天使が来てお兄様ばかり狡いと言って
そのままメルと共に寝てしまった後の末路じゃ。」
「いや仲良すぎないか?お前ら天使は。」
「……醜態をお見せしてしまいすいません。」

いやいいよ。そんなの。
そうリキールは軽くコルンの背中に手を置いて励ます。

目の前で仲が悪いはずの第11と第2の二人がメルの左右でソファーに寝転がって目を閉じて寝ているのだ。
割と本気で寝れているのに、威厳も何もあったものではない。
頭を上に上げて呆れて途方に暮れるコルンに、リキールは何も言えずそっと背中を叩いてやるしか出来なかった。

現状をヘレスが説明するのは珍しくその話に流せば
どうやら最初は寝ようかと思っていたが、ミラ達と話が弾みそれどころではなかったようで。

「こちらは現在天使らであれば自由に華樹の内部に入れることが出来るそうじゃ。
我々も近々試練をクリアすれば自分らだけでも入れると聞いた。」
「お前は参加するのか?」
「無論。こんな面白そうなことに首を突っ込まない以外訳あるか。お前も参加するじゃろう?」
「…ま、だろうな。勿論そうなれば参加する。してどんな内容なんだ?」
「華神がするような話と聞いておるが…」
「其処からは私が説明しましょう。」
「フェル!!!」

お久しぶりです。そう微笑む深緑色の髪の毛を纏めたフェルの身なりに目を丸める。
お前その姿と指を指して言うその姿。


「可愛らしいでしょう?似合います?」
「嗚呼まあ似合ってはいるが…って違うそうじゃなくて!!!」
「廻廊に居た終焉組は全員正式に華神として役目を果たすことになった。」
「アンダルシア様…その姿」

似合ってるか?そうコルンに聞くアンダルシアに、ええとコルンは答える。
赤髪の髪の毛を下ろし、白い衣服には浅黄色の布がワンポイントで映えている。
宝石系は全て取っ払いただの腰布と胸元、そして腕輪から手首まで隠しているのは
メルと似たような形ともいえる。

全員が似たような衣装に変わっており、どうやらこの衣服自体が華神、華樹神の正式な衣装ともいえるのだろう。

「して貴方達の付き人であった加護天使らは?」
「嗚呼現在は」
「っ!!?おま、おっん!!!」
「リキール様!」
『…んん、あれぇ?みんなあ?』
「起こしてしまうと仰る前に…」
「すまん」

いえ、私も余り強く忠告していませんでしたので。
そう頭を軽く押さえて項垂れるコルンに、リキールは耳をぺたりと下げる。
メルが起きたと同時に隣で寝ていたマルカリータやサワアも目を開ける。

あくびをくうぅ〜と鳴らせたメルに対して可愛いと微笑み抱き着くと
そのままサワアの胸元に身体が押し倒される。
ちらりと上を向いたメルの目がサワアの目とかちあう。

「ん?どうしました?」
『……ううん、なんでもない。』

そうにやけながらおはようと笑うメルに、おはようございますと微笑み返しそっとキスを落す。
目を丸めたメルだったが、くしゃりと笑い返した。

「可愛いですますわあ〜〜〜」
「そんなことより早く起き上がって下さい。皆さまに威厳も何もないでしょうが。」

まったくふしだらな。
ふしだら?

『ふしだらって、なんだっけ???』
「貴方は知らなくても構いませんよ。これは貴方よりお兄様達の話しなので。」
『そう、なの。』
「ええ、そうです。」
「すみません、前の癖がどうやらしみ込んでいるようです。」

気を与え過ぎちゃいましたかねぇ。
え、そうなの?

そう言ってメルは片側のポタラを二回触るとぐんと大きな気が前に出てきたので慌てて外に出てみる。

『うわああああああああああああああ』
「なんですかそれは!!!!」
『え?これ皆が私にくれた気。』
「は!??!?!」
「おや、コニックさんやこっちは破壊神の方ですかねえ?」
「わらわやお主のもあるな。」
『こうやって可視化してね。混ぜるんだって。』
「なにとですか。」
「ひょっとして…そっちがお前の気か????」

そうだよと言って指でもう片方のポタラで出した自分の気を取り出す。
その量は天と地の差がある程に小さく、手のひらサイズよりかは少し大きい程しかみえない。
澄んだ青々とした気に綺麗とミラが来てその目をキラキラさせて答える。

いいでしょうとメルは少し自慢げだが、これ程しか持てない様になってることにコルンは絶望していた。
予想以上に無くなっているのだ。自分が前に見ていた時よりかは比べ物にならない。
やはりあの時目を放したのがいけなかったのかと、今更ながら後悔してもおそいというもの。

『これを少しずつこうやって千切って混ぜるんだよ〜。』
「ほ〜〜〜。」
『混ぜたものは自分の気になって力になるんだって。
まぁ貰った殆どの気は木の実に変換されてストックが出来るって。』

そうそう前に渡した資料って持ってる?
そう言いながらサワアに振り返り聞いたメルに、
ええ勿論と杖を使って資料を取り出したサワア。

「一応調べましたが、各宇宙から選出した材料になりますね。
それも貴方が直接いかねばならなさそうです。」
「本当ですか!?!?!」
「ええ。幸いなことに数が限られているというところでしょうか。
我々第2と貴方ら第8にある星で取れるものは必須とはみています。」

これが資料です。目を通しておくように。
そう言って手渡された資料に、コルンは分かりましたと答える。

「読み終えたらマルカリータさんに渡して下さい。
マルカリータさんはウイスさんに。」
「わかりましたですますわ。」
「…待って下さいひょっとしてまだあります?」
「ええ。といっても後は第4、コニックさんのところくらいですよ。」
「それらを集結させたものが、この樹の実を入れる瓶ってことか。」
「だ、そうですね。」

全力で頷くメルを見ながら答えるサワアに
各々が反応を見せる。苦笑いをするものから
ううむと目を閉じて考えるものまでさまざまだ。

「にしても厄介なことになりましたね。気がこれ程までに落ちるとは聞いていません。」
『…そんなにひどいの?』
「ええ。酷いどころか我々の数千いや数億分の一程度しかないではないですか。」
『えっ』
「まぁこの子が直接戦うことをさせない様にすればいいですし。」
「今以上に過保護にしたらまた出禁くらいますよ?お兄様。」
「…させないようにすればいいのでは?」
『ひえ』
「お兄様…!!」

そう怒るコルンに、メルは半分引いてコルンの後ろに隠れる。
余り悟ってはいけない様な気を察知したメルが一番に隠れたのだ。
目が細まるサワアに、メルはコルンの服を掴んでぎゅっと隠れ込む。

「はぁ…余りやると嫌われますよ?」
「言われずとも分かっていますよ。」
「それで、収穫しにいく予定などは?」
「すぐとは言いませんが、出来るだけ早い方が良いでしょうね。」
「でしたら直近で来週の末は如何でしょう?」
「…ふむ、私達は構いませんが、コルンさん達は?」
「我々も構いません。マルカリータさんの方は如何です?」
「此方も構いませんですますわ。」

そう天使らが日程を組んでいる頃、メルは殺気が消えたことに安堵し
そのままつんつんと背中をつつかれた方に向いてしまう。
するとそこには原初のアマレットが手を振ってくれて指を指す。

どうやら向こうに行けばいいらしい。
メルはそっとコルンの服から手放しそのまま手を取ってトテトテと歩き出した。
それに気付いたコルンがちらりと目を向けたが、直ぐに話に戻る。

其処迄気にしなくて良いと考えたのだ。
メルの走る先にはティーナが立ち尽くし、
その下には何名かが輪になって花冠を作って遊んでいたから。
その和やかな場所で笑って居るなら、安心するというもの。

「気になりますか?」
「いえ。」
「本当に仲が良いんだなアイツら。」
「私達とは大きな違いですますわね。」
「彼女らは元々互いの宇宙を尊敬しあって
互いに協力して災難を突破してきていると
お聞きしておりますので。」
「今とはえらい違いじゃなあ。」
「だとして仲良くしてくれるのです?」
「無理だな。まぁ相手側によるが。」
「まぁ無理じゃなあ。相手側によるが。」
「駄目じゃないですか。」

クツクツと笑うコルンらを見て、メルは首を傾げる。
一体何が面白いのか此方側では聞こえないのだ。

「なに、気になるの?愛しの彼が仲良くしてて。」
『ふぇ!?!?』
「えっ待って何々恋バナ?!恋の華!?!?!?!」
『何馬鹿なこと言ってるの?!?!?』
「でも華また変わったんだって?きいたぞ?」

えっなんでそんな浸透性高いん?
そりゃ我らが主だし。

「カタバミ系から樹木系に進化したって。」
「あれだよね、シモツケ系だよね。滅茶苦茶えもくない?」
『え?何がどうえも』
「だってシモツケの花言葉って儚いでしょ?
それってエフェメラルの名前と同じじゃない。」
「無駄なことって意味もあるが、そっちよりもこっちだろ。」
『えっ!?!?!?待っ!??ちょっとまって?!?!?!?!』

そう言ってティーナが本を見せて指を指す。
その言葉に大きな声が思わず出てしまって。

違う本当に違うってそう顔を赤らめて本を奪おうとするメルに
おおっとと言って本を上に上げて取らせまいとするティーナ。
それに気付いて何事です?とサワアが近づいて来た。

『ばっ!!!なんどもないよ!?!?』
「なんでもある訳あるでしょう。明らかどもっているではないですか。」
『いやていうかティーナあ!!!』
「おお?なんだあ?そんなに驚いて。
それはもう正解を見せつけてる様なもんじゃねぇか。」

諦めてそのまま受け止めとけって。
うう、恥ずかしいよお。

「何の話をしていたので?」
「嗚呼あの子の育てた華樹の花言葉についてですよ。
トサシモツケって花言葉は無駄なことって意味があるんですけど
その前のシモツケ系で良い花言葉がありまして。」
「嗚呼ひょっとして整然とした愛という言葉でしょうか?」
「そうそう!コルン様よく知ってますね。」
「ルトラール様からご教授頂いておりましてね。」

そうにやりと笑うコルンに、それは素晴らしいと言ったのは
原初の第2ラズールだ。聞きなれない言葉に、ミラが「せいぜん?」
と上を見て考えているのに、ラズールが補足を入れる。

「正しく整っていること、乱れたところがないという意味ですよ。」
「清き彼女の気を見ていれば当然と言った処でしょうね。
寧ろ今までその華樹がどうして実らなかったのか不思議で仕方がないくらいです。」
「おや、そういうと言うことは、元々咲くと思っていたのですか?」
「ええ。だって彼女にぴったりだと思いません?」

無駄なことだと言い切る花言葉なのに、
本当にある元々の花言葉が本来あるべき姿の言葉を指しているなんて。
メルが良く周りのことを避けている仕草に似ているとコルンが告げることに
周りはああーーと声を揃えて答える。

『ちょっとそこ何暴露しちゃってるんですか!!』
「おや、別に構わないのではないですかね?
どうせ元々バレる前提なんですし。」
『前提じゃないですが?!?!?!?』
「それこそ無駄なことではないですか。
嗚呼もしかして無駄なことが好きなんですか?」
『!??!?!?!?!?』
「わあ、顔まっか。」
『〜〜〜〜!!!!』
「口パクパクしてる〜〜!!」

可愛いねぇと周りに言われてわなわなと震えあがり
そのままサワアの後ろに隠れて固まったではないか。
もういいんですか?と聞くサワアにメルは首をぶんぶんと縦に振る。
どうやらもう帰るらしい。家も作られているし、もう大丈夫だと判断したのだ。

ではこれでと帰る周りに、ちらりと見つめる。

「ん?どうしました?」
『ううん。なんでもない!』
「…そうですか。」
『あ〜〜〜なんか久しぶりだなぁ。』
「何がです?」
『こうやって歩くの久しぶりじゃないって!』
「貴方は地面に足付けてないですけどね。」

そうだね!!!

そう笑っても、メルは一人で歩くことを止めない。
抱き上げてやると言っても首を横に振るのだ。
確かに気を与えているとは言えど
あれ程面倒な作業をしないといけないなら話は別。

だというのに、彼女は足を前に出しては歩く。
少し怖いのか知らないが脇が空いて横に突き出している。
胸も心なしか前に上がって背伸びしたまま前に行くのがぎこちない。

それ程怖かったらちょっとした我儘くらい聞き入れてやると言うのに、
この子は本当に人に対して甘えたりもしないのだ。
だからこそ、甘えて来てくれた時はとてつもなく嬉しいと言うのに。

きっとこの子は分かっていない。

『それで、これからどうしよ。』
「どうしよって何かするつもりがあったんですか?」
『ん〜一応、あっ!!!思い出した!!!』
「なんですか急に、」

大声を上げないで下さい。
嗚呼ごめんごめん。

『ねぇサワア』
「ん?なんです?」
『あのね、帰ったら杖の使い方…教えてくれる?』
「杖、杖、ですか?」

そう手に取っているメルの杖を指さしたサワアにメルはこくりと頷く。
別に構いませんが、それってどういう仕組みで?と首を傾げるサワアに
メルはトベラが伝えてくれたことを説明する間に華樹に手を触れた。

そのまま自分の住んでいる場所に繋がってくれたことに少し安堵した。
どうやら自分が触れたら行く場所はこっちになるらしい。
異空間がリキールを最後に綺麗に消えて無くなるのを見つつもメルは説明を続ける。

『うん、天使の杖とそうやり方は変わらないってトベラ様が仰ってたので。』
「ほぉ、成程。今からでも構わないのですか?」
『うん!!』
「なら説明しましょうか。杖を近づけても?」
『いいよ〜〜!』

ニコリと笑ってメルは杖の先に手を持って行き、サワアの杖に近づける。

『…あれ?』
「ん?どうしました?」
『天使の杖って色違いなの?サワアのは緑色だけどコルンのは青いね?
マルカリータの濃いピンクだし。』
「嗚呼そうですね。各天使で色が違いますよ。貴方のは少々特殊なようですが。」
「暫く此方にいても構わないですますか?」
「構いませんよ。コルンさんも一緒にどうですか?」
「…いいでしょう。」
『はぇ〜〜〜。』

みんなとおべんきょだ!
そうニコリと微笑むメルに、遊びではないんですよとコルンが指摘する。

「では続けますね。天使の杖は空間を歪曲させて
過去の出来事を映像として見せるだけでなく、
空間勿論他の宇宙を含めて覗き見ることが出来ます。」
『嗚呼監視カメラ的な感じだよね。』
「ええ。試しに何処かの宇宙を想像してみませんか?」
『とは言っても私其処迄行ったことがですね。』
「…メル様、でしたら提案が。」
『ん?コルンどうしたの。』

きょとんと首を傾げて聞くメルにコルンが指を立てて話しを言う。

「今現在貴方の御父上がどちらにいるのかですよ。
勿論ルトラール様ではなくあのお方の方です。」
『…嗚呼!あっちの!!分かった見てみる!!!』
「流石にこの宇宙だけで『見えた』見えた?!?!?」
「やはりそうですか。貴方のその杖は理が絡んでいるとみました。
なので我々の杖である上位互換品かと思いまして。」

全宇宙ではなく全世界のありとあらゆる場所を視認出来るようですね。
そう言うコルンにとんでもない杖を持ちましたねとサワアがぼやく。

「惑星間を移動する術だけではなく、これ一つで各世界を行き来出来ると言う事ですか。」
「恐らく。元々華樹神が緊急時避難できるようにと
廻廊に一つずつ取り付けていたとも聞いていますし、
こっちが本来の使い方なんでしょうね。」
『杖って他にも用途あるんだよね?こう守ったりとか。』
「嗚呼バリアの展開ですか?確かにそうですね。気を多少扱うので今は少し難易度が高いですが。」

貴方くらいでしたらお茶の子さいさいでしょう。
また後日練習しましょうね。
は〜〜〜い!!!

「勿論連絡手段にもなります。
一応私の分を共有させておきましょうか。」
「では私めも」
「私もですますわ!!!」
「後で大神官様にもお伝えしておきますね。
全天使と連絡が取れる様にしておきましょう。」
『わ〜ありがとう!サワア!!!』
「どういたしまして。」
「このほかに物の収納も可能です。試しに此方を入れてみては。」

そう言ってコルンが手渡してきたのは先程出していた樹の実だった。
いつの間にか無くなっていると思っていたら彼が受け取ってくれていたらしい。
礼を言いつつもどうやってやるのか首を傾げているとコルンが実演してくれる。

「こうして杖をかざして差し上げなさい。」
『えっと…こう?わっ!!!』
「あまり揺らさないことですね。場所を間違えると人も収納出来てしまうので注意するように。」
『…えっコルンも?』
「まぁ可能でしょうが、出て来れるかわかりませんので出来ればしない様にしてくれれば。」

杖が壊れたらこの世界に戻れないと思って下さい。
わ、わかった…!!!

「封印されたも同然みたいなことですし。内側から破壊出来れば差支えないのですがね。」
『サワア達は杖入れてもらったりとかして出られたりとかしたの?』
「我々も自分の杖に同胞を入れたことはありませんので、どうなるかはわかりません。」
『おおふ、そっか。他には何かあるの?』
「そうですねぇ…貴方が使えるとしたらそれくらいの方が良いでしょうが。」
『……あれ、時間の巻き戻しとか死者蘇生って出来たっけ?』
「なんでそれをわかっ……嗚呼成程そう言えば貴方我々のことを書物で読み漁っていたんでしたよね。」
『ちょっと待ってそんな人聞きの悪いこと言わないで。』

お前らも似たようなことを一度はしてるだろうが。
なんのことでしょう。
うっわとぼけた。まぁいいけど。
いいんですますか。

『それで?出来るの出来ないのどっちなの。』
「一応できますが…我々で最大三分間まで巻き戻して過去を現在とします。
世界の時間そのものを逆行させているので、規模が桁違いです。
一度使用すると数か月はインターバルを置く必要があるので
多乱用は出来ないことを念頭に置いておくこと。」

勿論下界の人間らでそういう行為をするのは余り宜しくありません。
立場をわきまえてお使いください。
はあい

『最大この杖何分何だろう。すっぴーのは確かもう少しあったような。』
「大体最大で10分程度巻き戻すことが可能ですよ。」
「大神官様!!!」
「おかえりなさい皆さん。杖を貰ったとお聞きしていますが、お借りしても?」
『いいですよ!』

ただいま!すっぴー!
…ええ、おかえりなさい。

失礼しますと受け取る大神官がメルの杖をまじまじとみる。

「ふむ、なるほど…これは凄いですね。」
「どうですか?」
「最大で恐らく30分ほどは逆行可能ですね。」
「なんと!!!それ程まで…!!」
「ただしインターバルもかなり長いです。
数十年は軽くいきますので、本当にここぞと言う時ですね。
小出しも出来ますが、基本的に我々の時間と変わらないですよ。」

三分間なら数か月程のインターバルになりましょう。
設定できますので勝手に設定しておきますよ。
お願いします…!!!

「杖の使い方を習っていたんですね。勉強熱心で感心します。」
「ええ。帰ってからすぐに教えて頂きたいと承りましてね。」
「それは良い心がけですね。ですが余り無理をなさらないように。
貴方の命はもう一人だけの命ではないのですよ?私とも繋がっていますし。」
『うう…はぁい。…………ん??』
「ん?どうしました?」
『え?待って?大神官様と繋…ん????』
「…お父様、その件について我々も今聞いた話なのですが。」
「おや、気付いていらっしゃらなかったんですか?
華樹神が死ねば私も全王様ですら仮死状態になるんですよ?」
「「「ええ?!?!?!?」」」

そう天使全員が驚くのにそりゃあそうでしょうと大神官が答える。
メルの位置は元々全王様の位置にいるのだ。大神官が仮死しない訳もない。
だからこそ全王様がメルの付き添いを破壊神と天使に任命したのだろう。

「これでむやみやたらと首を突っ込んでくれなくなるといいのですが。」
『私最初からそうしていないんだが』
「おやこれは気付いてすらいなかったと。」
「昔から目の前のことについて余り深く考えませんからねぇ貴方は。」
「…今度また方向性を変えますか。」
『何か不穏な話を三人がしてる気がする。ねぇマルカリータあ。』
「ふふふ、お兄様達はメル様が大好きなのですますわ。」
「好き嫌いを越えて生命上の一蓮托生を聞いて焦ってるんですよ。」

冷静に答えるコルンに、そりゃまぁそうだろうなとメルも冷静になる。
私だって自分の死で彼らが死…ん?待てよ???

『あれ、私此間の件って結構なファインプレーだった???』
「今頃お気づきですか。そうですよ?この件については
私や全王様ですら気付いていませんでしたからね。」
『えっまさかエーリンが教えてくれて初めて気付いたとかそういう?』
「そうですよ。」
『そうですよ!?!?!?』

次いでに言いますが、死者蘇生も可能です。
勿論蘇生制限などないので何度でも蘇生可能ですよ。

「ですが通常我々天使の杖は万能ではありません。
誰かに意図されて殺された者や余りにも時間が経過している者、
そして自然の摂理で亡くなった方達の蘇生は不可能です。」
『おお、結構ありますね…まぁそりゃそうか。ん?待って待って待って。
今通常我々の杖はって言いました?言いましたよね?えっ待ってコレは?』
「ありません。本当に万能の杖ですよ。」
『待ってこれどうしたら破棄出来ます!??!?!?』

こんなチート級の武器私手にしたくないですよ!?!?
なら設定して置けばいいでしょうがという彼にもうどうぞどうぞと手を出す。

「まぁ万が一のこともありますし、
コルンさんサワアさんマルカリータさんお手伝いを。」
「わかりました。どうすれば?」
「我々の杖をこの子の杖にかざして下さい。」

そうメルに手渡した後、
大神官は自分の杖を出してきてかざすことに
サワアらも同じ様に杖を前に出してやる。

『…えっと、今何をして?』
「我々の気を使って設定しているんですよ。
私の気だけで良いでしょうが、
念の為複数人を巻き込んで設定して置いた方が
万が一の時が起きた時貴方に危険なことがないでしょうし。」
『あ〜〜〜アレですか。万が一って、例えば私が拉致られて
こいつ蘇生しろって言われた時やってしまわないようにと。』
「そういうことですね。」

一応設定は此方で全部しておきますのでそのままで。
はぁい。

『(それにしても…とんでもない杖を貰ったもんだなこりゃ。
トベラ様どんだけ過保護なんだこれ。私絶対使わないんだが。)』
「使ってやらないとトベラ様も泣きますよ?」
『ひえっばれてるぅ…!!!』
「心を読まずとも何となく言いたいことは分かりますからね。
貴方本当にわかりやすいんですから。」
「尋問とか軽そうですますわね…」
『あっそういう対策はばっちりですよ?マルカリータさん…!!』

僕これでも精神面は鍛えてるので
ほぉ?

『思い違いを自分で設定して自分事誤魔化してるので。』
「…それ、本当に作戦です?」
「っふふふふ、これで良いでしょう。」
『わ〜〜!!ありがとうございます!!』
「いえいえ。杖の収納は教えて貰っていますか?」
『ああいやまだです。これからしようと思っていまして。
普通に宙から手を離せば消えるのかなって。』
「ああ大体あってますよ。宙から手を離せば消えます。」

ただやり方がありまして。こうやってするんです。
はわ、こ、こう??
ええ、上手ですね。

そうにこやかに笑って褒める大神官にメルは喜んでやり方を覚える。
繰り返してやっていくうちにメルの目がキラキラと輝きを増していく。
出来る様になったのが余程嬉しいのだろう。大神官と杖を繰り返し見続けている。

『〜〜〜〜!!!!』
「どうやら大丈夫そうですね。他に何か教えていないことは?」
「ありませんが、通信機能を付けていまして、
お父様も出来れば共有をして頂けると幸いです。」
「わかりました。一応設定しておきましょう。他の子達にも連絡をしておきます。」
「すみませんお手数をお掛けします。」
「いえいえ、これしき構いませんよ。」
『はわ…すごいなんか色々と進んでる気がする。』
「進んでいる気がするのではなく進んでいるのですよ。」