不純物ゼロ





翌日

ちゃんとおトイレに行って無事済ませて
二度寝してすっきりな朝を迎えれました。

一応ベットの中というか浮遊して
尚且つ天使らの気を練り込んだ物に触れ続けていると
動けるということが判明した現在、
朝食をとり、そのまま中庭に姿を現していた。

「ふむ、この手の物も可能そうですね。」
『普通に動ける…!!!凄い!!!!』
「別の宇宙に行って効果が期待出来ればいいですが、
…まぁ恐らく、それに関しては難しいでしょうね。」

私の管轄にある場所でのみ、という形になりそうです。

「今日一日そのままで過ごしてみましょう。
どれ程効果が期待できるか此方も気になりますので。」
『やたーーーー!!!!』

サワアから貰っていたのは
黄色いリボンを頭の上につけたヘアバンドだ。

布生地が気持ちよくて
頭を縛ってる感覚が無いのと、
ずれにくさでテンションが上がる上がる。

髪の毛は普段一つで三つ編みに纏めていたが、
気分転換にと髪をおろしている。

中の針金を使って上に二つ触覚の様に立ち上げているが、
そうでなくても耳が立っている様に見える程、
メルのテンションが目に見えて高いのは分かった。

『ヘレス〜ヘレス〜みてみてみてみて!?
ねぇねぇこれ可愛い!?可愛い!?!?』
「嗚呼嗚呼!可愛い、可愛いぞ!!」
『きゃ〜〜〜!!』
「全く、余りはしゃぎすぎると昨晩みたいに
泥の様に眠られてしまわれますよ?」
『はっ!!!流石にそれは不味い…!!
でもでも…ソワソワしちゃう!!!』
「まぁ無理もないじゃろうな。久しぶりに外に出た所が
想い人のよくいる場所に遊びに来たもんじゃからなあ?」
「ちょ、ヘレス様?!!?」
「っくくくく、別に構わんじゃろう?
それに、お主よりもこっちを見ておいた方が
よっぽど楽しめるもんじゃろうて。」
『あえ?ヘレスさん?なんか腕が違う処に
入っている気がするんですが。』

気のせいですかね?
嗚呼気のせいじゃよ?
全く気のせいではありませんよ。

「なんでそんなに近づいているんですか。
貴方日に日に距離を詰めていません?」
「別に女なのじゃからこれくらい丁度良いというもの。なぁ?メル。」
『あう…ちょ、だ、だからと言ってですね?
ちょ、ちょっ、ちょっと、ち、ちかい、気が、しなくも』
「ほら」
「これくらいがこっちでは流儀というものじゃ。」
『そうなの!?』
「違いますよ!!全くもう!
変なことを覚えさせないで下さい!!」
「なんじゃ、ケチよのお〜〜」
「これくらいケチでも構いませんよ!!
メルは貴方と違って純度の質が桁違いなんです。
そこら辺の冗談も本気で受け止めますから、
本当におやめ下さい!!」

そう引き剝がすサワアにむっとメルが顔をしかめて答える。

『むっ、私其処迄よくないし冗談だって分かるもん!!』
「貴方ねぇ?それれを言うなら彼女が言った先程の冗談を
分かってから仰って下さいよ。あれくらいの冗談も分からず
鵜呑みにしようとした口が一体何を言っているんですか。」
『〜〜〜〜〜!!!!!』
「ああもう、叩かないで下さい。
図星なのは分かっているんですから。」

ぽこすかと殴るメルに、両手を軽く上げて降参を表すサワア。
こうやって見ていると本当に仲睦まじいのだなと
ヘレスは平和なことにため息を吐いていた。

「それにしても第9からどうしてこっちに来たんじゃ?」
『へ?あ、嗚呼元々大神官様が第9に行く
って話をしていたんだけど…
そういやなんでだったんだろう?』

モヒイトさんにお空のお散歩連れてって貰ったくらいで
その後ロウ様とお話していたような無かったような…

『まぁ詳しい話は聞かないと分からないって感じかなあ?
後でおうちに帰ったらバアムクーヘン作ってやらないと。』
「ばあむくーへん?なんじゃそれは。」
『ん?嗚呼樹の幹を切ったみたいなお菓子だよ。』
「輪状の層が切り株などの横断面である
年輪に見えることから付けられた菓子の名称ですよ。」
『そうそう。ってよく知ってるね?!』
「昔ルメリア様からご馳走を頂いておりまして。」

貴方もアレを作れるのですか?
まぁ昔フィズの時にちらっとね。

「嗚呼そんなこともありましたね。
彼女特に菓子作りが得意そうでしたし
…ってまさか貴方が入れ知恵を?」
『いやまさか!!彼女自らが動いて作ってたんだよ。
私はその当時見たことあるだろうけど軽く精神死んでたからね。』
「そうでしたね…それは失礼。」
『いえいえ。その時に作ってたのは覚えてるし、
何度か試しに作って良い出来が出来たので
此処に送ってもらったお礼ってことで振る舞う予定がですね。』

ついでにコルン様珈琲好きだって聞いて茶会でも開くか。
それは面白そうですね?

『次いでだから来る?』
「良いんですか?」
『まぁ天使限定になりそうだけど。』
「別に好きにせい。その代わりと言ってはなんじゃが。」
『あ〜〜〜はいはい。分かっていますよ。その時はお借りしても?』
「ええ。お好きにどうぞ。」

そう手をしっしと前に出したヘレスと違い
サワアはそっとヘレスの方に手を出して答える。

『此間珈琲豆貰って来たけどもういっそのこと
紅茶とお茶にも手を出してしまおうかしら。
それならカフェオレ作って飲みたいな。』
「最早茶会という名のドリンクパーティーではないですか。」

今度ソレやろうよ!界王神ら連れて!
絶対胃に穴空きますって。止めて差し上げなさい。
え〜〜〜そんなことないよ。

「…ほんと、平和が一番じゃなあ。」
『ん?なんか言った?』
「いいや、それよりも気分はどうじゃ?先程から一度もこいつに触れておらんが。」
「これ、こいつ呼ばわりはないでしょう???」
『あ〜気分其処迄悪くはない、けど。』
「けど?」
『こうなんか身体に力が入りづらいっていうか…』
「…ちょっと失礼。」
『わっと、と』

そう断りを入れてサワアがメルを軽く胸から突いてやると
後ろにしりもちをつきそうなくらいによろけた。
それにふむと声を上げて悩むサワアにヘレスが文句を出す。

「急に何をするんじゃ!!」
「…メル、貴方その状態で気を込められますか?」
『へ?気を?…こ、こう?』
「もっと粘度を強めて。」
『…こう、かな。』

顎に手を置いたまま言うサワアに、
メルは胸元で華が咲きそうなくらいにまで気を高めてやる。
白い花が肌から直接こそばゆく感じ取ってくる。
服の中で見えないが、今現在華が咲き続けている処だ。

膨れ上がる前に「止めて下さい」と止めの合図が聞こえ、
そのまま気を戻すと今度は身体の力自体が抜け落ち、
そのまま地面に座り込んでしまった。

その姿にメル!?と声が聞こえた。しゃがんでくれて、大丈夫か?と声が聞こえるが、なんだか声が遠い気がする。

「駄目ですね。そういうことですか。」
「何がどうなっておるのじゃ!!」
「メル、悲しいお知らせです。」
『…なに?』
「私の気を最大限に練って作ったソレを持ってしても
貴方が力を使ってしまえばものの数分でそうなります。」
「つまり?」
「生活をするうえでは差し支えないですが、
いざという時の戦いは厳禁と言った処ですね。
一度気を強めてそうなる上に
今非常に眠気との戦いになっているでしょう?」

まぁ今こうして話をしている言葉すらも碌に理解が出来ないと思いますが。
そう言いながらうとうととしているメルの身体をそっと抱き上げてしまう。
抱き上げてしまえば最後、メルはこてんと目を閉じてしまった。

「…ねたのか?」
「ええ。完全に寝ましたね。正確には気絶に近いですが。」
「これは、また厄介じゃなあ〜〜〜。」
「まぁ目を放さなければ良い話しですのでね。
どれくらいで目覚めるかも測ってみますが、
余り期待しない方がいいでしょうね。」
「気が回復するという意味でか?」
「そうですよ。大神官様が付けてくれたことで、
殆ど元の姿になっていますが、
不安定な状態なのは間違いありません。」
「むぅ、こやつが本当にお主らよりも強いとは思えんなあ。」
「ですが事実ですよ?この子が本気を出せば我々が束になろうが勝てません。」

一応言っておきますが、あの大神官様ですら勝てないそうですよ。
…正気か?
ええ、そうご本人が仰られていましたので。

「だからこそ選ばれているのです。丁重に扱って差し上げねば。」
「さらっとやっておることと言っておることが矛盾しておるが。」
「っふふ、そうですね。まぁこのまま起き上がるのを
待っている間にお話でもしましょうか。」
「む?何の話じゃ。」
「とぼけないで下さい。破壊する星の話しですよ。
この子が来る前話が中断していたのをもうお忘れですか?」
「忘れとらんわ!!!」

歳とか失礼なことを言うでない!!
…言っていませんよ。

そう呑気に返しつつ、メルを軽く肩にもたれかけさせたサワアは椅子に座ってしまう。
その間にヘレスも目の前に座り込み、それでと話を進めだした。


++++++++++

青い世界にポツンと一人で立ち続ける。
此処が澄んでいるというのは分かる。
空も地面も同じ色で、水平線に立ち尽くしていることが分かった。

真昼間の様な明るいこの場所に、裸足で白いワンピースの状態で息をしている。

誰も居ないこの場所に、独りぼっちで息をする。

こっちだよと言われて振り返る。

『…貴方は?』
「僕は君。君は僕。」
『…なぞなぞ???』
「ふふ、理が壊れないまま良く生き続けてるね?」
『理が?』
「まぁ僕の名前は君が知ってるものだよ。」
『…ひょっとして、チェレステって名前だったりする?』

おお、ご名答という少年にメルは目を丸くした。

「同じ様に理らも僕らみたいな者が存在するはずだけどね。
此処に来られたということはきちんと落ちて来れたという証でもある。」
『おちて?私寝てただけなんだけど。』
「睡眠の質が良いとでも思ってくれたらいいよ。
それにしても澄んだ気を持っていると思っていたが、
とんでもない子だよね君って。」
『皆同じこと言うな、ほんと。』

いやいや、本当だよ?

「この場所は君の心その者なんだよ。勿論僕の存在もだ。」
『昔のサワアと私を足して割ったみたいな形してるよね、君。』
「君がそう思い描いたからそう見えるだけだよ。」
『じゃあカエルにもなれるのか。』
「…まぁ、なれなくないけどね。」

いやそうな顔をする彼に、流石にやめておこうとメルは思考を切り替える。

『それで、私に何か用があって来たの?』
「現在君の状態は人間から元の天使へと戻っていることは分かっているね?」
『うん。』
「その影響で昔の呪いが少々飛び出て来そうで厄介だから忠告をとね。」
『呪い?』
「”輪廻の呪い”まぁ死んでも同じ形に戻る
っていうだけのことだけどね、頻度がおかしいんだよ。」
『なんかさらっと怖いこと言われた気がする。』

死んでも同じかたちって、スプラッタさんになっても戻るのか?

「呪いも複数あるから正直何が出るか分からないし。」
『待って私そんなに恨み持たれることしてた??』
「いいや?単純な妬みに近いものしかないよ。」
『私に悪い処一切見当たらないヤツやんそれ!!!!』
「くくく、まぁまぁ、仕方がないよ。
嗚呼一応言っておくけど、君が持っている杖は
元々使っていた杖の状態とほぼ同じだからね。」

初代の頃に生きていた君の肉体が此方の時間まで
タイムトラベルしてきたみたいな状態になっている筈だ。

「本来人間になることで天使からの枠組みから外れて呪いも停止していたんだけど
どこかの誰かさんがそんなことも知らずに戻してしまったのが原因で動き出してしまってね。」
『思いっきりうちの大神官様をディスるじゃん。』
「もう一度人間に戻しても無意味だからそのまま固定の方が良いよ。」
『おうふ。考えていたことも拒否されてしもうた。』
「っふふふふ、まぁ華樹神の形態は呪われたみたいなものだしね。」
『えっ!?!?そうなの!?!?!』

聞けば元々ルトラール自体はそんな縛りなかったらしい。
まぁ最初からだと色々と面倒だったのもあるらしいが?

「君が全部呪いを解いてくれると、君の真夜中が言って聞かなくてね?」
『真夜中?』
「おや、気付いてすらいなかったのか。君がちょくちょく殺しているアレのことだよ。」
『え゛あれ????』
「君は真昼間の青空に位置する存在。
対してあの子は真夜中の夜空に位置する存在。
彼らが殺そうが君が殺そうがいずれにせよ死なない。」
『時が存在する限り?』

そう言う事という彼に、メルは唾をごくりと飲みこんだ。
アレとは長い付き合いになるということを意味するのだ。

「まぁ君が真昼間に近づいたというか、もうほぼその状態になった以上は彼もきっと同じ様に動くだろうね。」
『え?彼ってその子男の子なの!!!何て名前!?何て名前!??!?!』
「儚いの反対語と言えば?」
『え゛』
「君が言うエテルネルはサワアと言う子ではない。」

唐突な言葉に脳が一瞬拒絶した。

「エテルネルは本来君の中に居る真夜中の子を指す言葉だ。」
『エテルネル、が…私の?』
「まぁかなりの奇跡的な形で同姓同名が生きていたというべきだろうが。」

本来は其処に居るという彼に、メルは自分の胸元を触る。

「まぁそうは言っても君らが出会うことはほぼないだろうね。」
『え?なんで?』
「現在進行形で外に居るからさ。」
『………っ!!!!』
「まぁまぁ待ちなって話は未だ終わっていない。」

急がないとサワア達が!!
まぁマテ。

「君の呪いは幾つかあるけど、一つずつ解いていくこと。」
『…まぁ、解けるなら解きたいけど、どうして?』
「一度に解くと面倒なことになるとだけ言っておこう。」
『…善処します。』
「真昼間よ。青空にしか生きれない理に、どうか絶望等しないでおくれよ?」
『なんで?』
「絶望は真夜中の役割であるからだよ。
君は笑って日向の中で煌めく光を空に飛ばし続けていればいい。」

そうしていられたら、何時かきっと、思い出す。
君が約束をした全てと共に、その願いは果たされる。

「もうすぐだよ。もうすぐで、全てが終わってしまう。」
『…怖いの?』
「まさか!寧ろわくわくしてたまらないというものだ。」

君が君として、僕が僕として。

「僕らが三人合わせて理になるその日を僕は今か今かと待ちわびてたまらないというのに。」
『…カタバミ。』
「嗚呼そうだ。僕らは片喰。喰い続ける者達だ。」

華をそれぞれ持った者。

「どうかゆっくりと、進んでいけばいい。」

儚い真昼間にしか生きれない、エフェメラルよ。


++++++++++

その言葉でぱっと意識が戻る。サワアの胸元から目覚めることはなく、空の上から意識が戻る。

『…あれ?あっ!!!』
「っ!!!」

浮遊していたなんて知らず、身体が落ちるのを瞬で受け止めたサワアにメルはありがとと答える。

「…いえ、エフェメラル。貴方今まで何かしてました?」
『なんか男の子とお話してた…けど。そうだ!エテルネルが私の身体乗っ取ってたんじゃないの!?』
「っ何故それを!いや、そうですね。彼と言うべきか、貴方の身体で私らに攻撃を仕掛けてきたので。」

待ってごめんね!?!?
いえいえ。

「カランコエだった者で、貴方が天使として戻って来たと同時に
その力も戻り、本来の名であるエテルネル、
悪魔が貴方の身体に生きていると言い出しましてね。
因みに僕はエテルネル違いで、別の悪魔ですからね。」
『サラッととんでもないこといいやがるね???』
「そちらで何を話していたかは知りませんが、
貴方のことにはある程度協力的にと答えていましたよ?」

絶対嘘だな。
まぁ私も其処迄信じていませんのでね。

『いやにしても真夜中が私の意識
飛んでる時に動くのか…また厄介なことを。』
「ちょっと待って下さい。真夜中?どういうことですか。」

そう言われて、先程起きたことを説明するとふむとヘレスが言う。

「つまり、お主の呪いは昔からあって、
その呪いを一時的に人間という
別の形に置き換えることで緩和させていたと?」
『まぁ停止に近いとは言ってたけどね。』
「それが今回の件で剥がれたと…
まぁ、あの件については仕方がないですしねえ。」
『そういう訳で忠告を受けていまして。
そのエテルネルさんは一体君達に何をしておられて?』
「簡単に申し上げますと、エフェメラル
貴方をこれ以上危険に持ち出す者なら何でもすると宣戦布告を。」
『待って何しとんの本当に何しとんの??????』

そうメルは自分の胸に目を向けて睨みをきかせた。

「一応言っておきますが、彼は貴方が気絶している時
のみしか動けないらしいですよ。」
『嗚呼そうなの。』
「ええ、危険な状態という時こそ真の威力を発揮するとか。
まぁ普通に馬鹿みたいに気を練り上げて攻撃しかけられたので
割と本気を出しかねて対処に苦労しましたが。」
『うちの子がすみませんでした。』
「いえいえ、こればかりは貴方も管轄出来ない区域でしょうし。」

私らの修行不足ですよ。
いやいや、とんでもない。

『にしても真夜中が此処に居るとは…。』
「二人は一つ一つは二人と言っていましたからねえ。」
『伏線回収が此処で来るとは…。』
「余り宜しくない感じじゃな?」
『ん〜〜私は私だけで良いんだよ私だけで。』

そうは言って聞かない子達がこの中に居るとは。
いつの間にか花畑も消えて無くなり、其処は水平線へと姿を変えていたし。
空のチェレステと、真昼間のエフェメラルに、真夜中のエテルネルか。

『まぁ…何も無ければいいんだが。』