君の愛は胃にもたれる




前回のあらすじ

ウイスさんからサクランボのヘアゴムを貰って付けて貰えました。

『わ〜〜〜…かわいい。』
「…そんな気に居られると前に貰ったものに嫉妬されない?」
『サワアに?そんなことないよ。』
「そう?案外嫉妬深そうな感じするけど。」
『ん〜それは言えてるかもしれないけど、
もしそうならしてやればいいよ。』
「へぇ?君も随分と悪い考えする様になったもんだねえ?」
『あえ?そうかな?』
「そうだよ。」

嫉妬するならさせてやれ。
自分のことだけを見てくれている証拠だから。
そうメルは言っているのだ。
それに気付いたビルスが目を細めて笑ってやると
ええとメルはにやりと笑って答える。

『私は悪い子悪魔の子ですから。』
「真逆に位置するというのに何が悪魔だよ。全く。」
『へへへ、そういや地球。
ちゃんと滅ぼさずに維持してくれてるんだね?』
「まぁ、君との約束だしねえ。」
『あれ、そんなことしたかな。』
「…君、もしかして案外忘れやすい子だったりする?」

そうかもしれない。

『最近はどう?相変わらず変な者はいる?』
「へんて…まぁ、正直言うと
奴らよりは骨抜きの奴らばかりで
退屈してるって感じはあるねえ。」
『やっぱり悟空らが割と良かった?』
「まぁ彼等はなんだかんだ言ってサイヤ人。
戦闘民族でしたからねえ。ここら辺で
彼等程のスキルを見たことはありませんので。」
『…あ、そっか。純血は流石に絶えたのか。』

そう言えば悟空とベジータは純血とはいえどもその子は純血ではないのだ。
かと言ってブロリーがその血を受け継ぐかと言えばそうでもない。

「まぁあの種族程のしぶとさは
ゴキブリ並みの生命力を誇っていそうですし。
この広い宇宙、何処かに生息はしているかもしれませんが
たった千年程度ではたかが知れていますよ。」
『ご、ごき……う、ウイスさん。
貴方、一体どなたからそんな言葉教えてもらって?』
「おほほほほ!!!いつぞやの彼女ら、
とでも仰ればよろしいでしょうか?」

嗚呼、あの組か。ふざけてる。私が目を放した数十分で
どんな日本語を教えたんだどんな日本語を。

「まぁ最後の最後までしつこかったからねぇ。
生まれ変わるとしても遅くなっても仕方がないでしょ。」
「そ〜んなこと言って悟空やベジータが
きちんと生まれ変わったら誘うつもりで探してる癖に。」
「なっ!!!んなことないぞ!??!
それを言うならお前の方だろうが!!」
「おや、ビルス様、そんなことを仰るのですか?
私の修行で彼等のことを考えているお人が何を言うのだか。」
「なっ!!!」
『…ビーデル、元気かな。』
「メル、お前…」
『ブルマにも、皆にお礼ちゃんと言えなかった。』
「…あの時は仕方がありませんよ。
貴方は眠りに入る手前でしたし。」

確かにそうだが、それでも酷い別れをしてしまったと思う。
少し話をしていたのに、
急に会えなくなるとか酷いと思っただろうに。
そこら辺の記憶がメルにはほとんどないのだ。

それもそのはず、そもそもウイスらがブルマらに
メルを会わせなかったというのもあったのだ。
色々考えて、ブルマを一度メルの元に連れてきたくらいで
後は何度かあったとしても片手で数える程度で済まされていた。

ピッコロが言っていたが、メルが生きている場所自体神聖な区域。
その為そんじゃそこらの気を持った人間が息をし続ける等難しいもので、
その中で常にメルが生きれるのは選ばれた者というのもあるが、
肉体が違うということもあったのだろう。

「貴方は元々人と天使の狭間に位置する人です。
彼女らとは生きる場所が違うのですよ。」
『…でも。』
「それ以上言うと、また大神官様からお仕置きをくらいますよ?」
『ひっ…!!!』
「お仕置き?この子がそんな悪いことすると?」
「メルさんは華樹神という
昔の全王様に位置するお人ですよ?
その力は底知れず、感情一つで
その身の位置を変化させることが可能です。」

そう例えば、下界に住む人間に、
なんてやろうと思えばすぐに出来るというもの。

その権限も。全て持ち合わせた状態で。

「…それ介入でしかないじゃん。」
「それすらも許される位置に居たのですよ。
今だと普通にアウトですからねえ?」
「嗚呼そりゃ怒られるわ。」
「下界に極力降りない様にと言っているのはそう言う処からですよ?
貴方が人間に。廻廊に居た時間に戻ろうというものなら、ねぇ?」
『うぐう』
「…まぁ、そんなことを思わせないくらいに、
我々天使が貴方を甘やかせばいいという者ですし。」
「嗚呼…成程、だからそんな形になってるんだね。」

道理で気を幾つも感じることだ。

要はメルを甘やかし、その場所でしか生きれない様にするつもりだろう。
まぁ既に生きれないようには物理的になっているような者だろうが。

それでも不安があるというから、
大神官までも巻き込んでしまっている
メルに少し憐みの目を向けていたビルスは
そっと目を逸らして目の前の食事を
今か今かと待ちわびることにシフトチェンジした。

『でも、ある意味初めてのお友達だし…。』
「…まぁ、貴方が我々と深い交流を始めたとなれば、
確かにそれは言えていますねぇ。」


そう言いつつウイスは食卓に料理を並べ続ける。


メルはビルスの膝の上で項垂れていると、
ふらりと身体が後ろに倒れていくのに
理解が追い付かなくなった。


「っおい!!大丈夫か!?」
「…ビルス様。」
「何もしてないぞ!?!?」
「分かっていますよ。メルさ〜ん?起きてますか?
メルさ…おやまあ、聞こえていませんね。」

急に倒れる様に後ろに落ちかけたメルを受け止めたビルスから
ウイスは腕を掴んで自分の方に引いてから抱き上げてやる。

ぼけっとしている、上の空というよりかは

「なんか、まずくない?」
「ええ…いけませんね。」
「息してる?」
「息はしていますが…これは、」
『…あ、れ?私なんでウイスさんの所に居るの?』
「メルさんが急に私を呼んでべったりとし始めましたので、つい」
『ウイスさん!??!?!!?!?』

照れる様に頬に手を置いて言うウイスに
あれ私マジでそんなことしたっけ!?と焦るメルが
ビルスの方を向くが、そっぽを向いた様に見えたことで
彼女の勘違いが拍車をかけてしまう。

『え゛』
「まぁまぁ、そんな話は置いておいて。お食事に致しましょう?」
『あれえ????私どうしてウイスさんの
お膝の上から離れられないのかなあ????』
「良いではないですか〜!ほらほら、
出来たてを召し上がりましょう?」

はいあーんと言ってスプーンで持ってきた彼に、
いや普通に食べれるという前に空いた口へと投入される物に
メルはしかめっ面ながらも咀嚼して飲み込んでしまう。

「(植物人間とは良く言ったものですよ、本当に。)」

メルが下界でもし生きようとすれば、
間違いなく人間の状態に戻るということ。

それはつまり、華樹神であった
ルメリアの付き人だった彼女からの呪いで
救いようもなく死んでしまっている状態へと
戻るということと何ら変わりはない。

メルが人間で在る状態は、もう生きれないということを
ウイスは先程の数秒で悟ってしまったのだ。

それをサワアが気付いていない
訳もなければ、ヘレスとて馬鹿ではない。

下手すれば見る前から何となく察していたとすれば、
随分と酷なことを見せつけられたものではないだろうか。


こんなことをメル自身が知っていたらと思えば、
胸元にいつぞやの情景を想い出してすぐにかき消した。

アレをもう一度、だなんて冗談でも止して欲しいというもので。
いけませんねぇとウイスは胸の中でぼやいてしまう。

大神官がメルを半強制的に天使へと戻した理由が今漸く分かった。
全王様もメルを好いており、彼女が死ぬなんて許さないだろう。
それを分かった上で、彼は禁忌を犯しているというのだ。

かつて生きていたメルの、初代での時間であった天使の肉体を。
一時的に交換させているというのだから。

向こう側でしんどい思いをしていなければいいことを望むしかできない。

『んぐんぐ。おいふぃね?』
「…それは良かったです。
何かほかに食べたいものはありますか?」

貴方はお兄様だけでなく、ある意味お父様や
全王様をお救いになったお方でもあるのです。
もしも華樹神が絶滅するだけならば、まだ話は良いが
あの日はまだ元凶でありそうな大天使も生きていた。

メルがもし死んだら必然的に生きている候補者に変わる。
ある意味この世界は大天使であり華樹神の付き人であった
彼女に乗っ取られ、自分達が言いなりになっていても
なんらおかしくなかった。

それを、メルは分かっていたのかいなかったのか知らないが
何方にせよ自分の手で彼女の手を一瞬でも止められた。

彼女が止めていなければ、今頃どうなっていたか
なんて考えるだけでも恐ろしいというものだ。

だから、これは貴方に恩返しをするというものと同時に、
貴方をもっともっと知りたくなってしまった欲も混じったものなのだ。

だから、いけないと感じてしまう。
貴方はあの方の傍で笑って生きていれれば、それでいい。
そう、それで、いいのだから。

「んぐっ…それならこれとか美味いぞ?」
『じゃあ、それ?』
「わかりました。此方ですね。」

はいどうぞと言って皿を浮遊させて
彼女の前に持ってくるとありがとうと礼を言ってから
フォークを使って切り取り、
小さな口にその肉をかじって頬張ってしまう。

嬉しそうに膝の上でちょこんと座って
頬に手を持って行かずに宙に置いて
旨さを噛み締めている姿に
作ってよかったと思わせてくるのだから、
本当に底知れない子だとため息をつきそうになる。

もう少し深く座り込んでもいいのに、しない。

謙虚で欲のない、
心優しい澄んだ気を持った華樹神であり
同時に次の純環の理になる者が。

自分の仕える神の教えの通りに
その食べ物を頬張り嬉しそうにしているのだ。

それも、作ったのは自分お手製であって。
そんなに喜ばれたら冥利に尽きるというもので。

『にしてもウイスさんも凄いこと思いつきますよね。』
「何の話です?」
『このサクランボですよ。
ウイスさんらしいと言えばそうですが、
ってあれひょっとして墓穴掘りました????』
「ええ。是非とも、その内容をお聞かせ願えれば。」

ひえっ

『…サクランボの花言葉は「善良な教育」や
「上品」とかの意味があるんです。』
「それだけではないですよね?」
『う゛っ』
「メルさん?嗚呼それとも
こう呼べば言ってくれるんですか?」

そう言ってメルの腕を掴んで自分に引き寄せ、
そっと耳元で囁くように名を呼んであげた。


ーエフェメラル


その言葉だけで軽く顔を赤らめ、
何を想いだしたのか知らないが
可愛らしい悲鳴が耳に響いて疼いてしまう。

『〜〜〜っ!!い、いわない!!!』
「おや、それは残念。」

本当は知っているのだが、
まぁこれ以上すると兄に申し訳ないというものだが。

サクランボの花言葉は
「小さな恋人」「幼い恋」という
彼女らしさを見せつける様な言葉だけでは終わらない。


「貴方に真実の心を捧げる」という言葉があるのだから。


「…実った二つの果実を共に共有して欲しい処でしたが、
それは望むことすら惜しいというものでしょうかねぇ?」
『…ううう、どうしよう〜〜〜!
ウイスさんがサワアみたいになっちゃったあ!!!』
「おほほほほ!!それは困りましたねぇ〜、
お兄様が二人、だなんて。私其処迄意地悪していませんが。」
『あっあの人が意地悪だって分かるんだ。』
「あれ程見せつけられたらそりゃあねぇ?」
『まぁ昔から意地悪だったから分かるもんか。』

「おや、そうでもないですと言いますか、
あんな一面私初めて見ましたよ?」

そう言われてん?
とメルはスプーンを咥えたままウイスの方を向いた。
そのスプーンをそっと引き取られてしまい、
口に残った食べ物を喉の奥に押し込んでやる。

「お兄様があれ程人に対して
意地悪をされる方とは思っていませんでした。」
「第二の天使だろ?そう言えば
あんまり知らないが、どんな奴なんだ?」
「そうですねぇ〜、私が存じ上げているところですと、
誠実な方で、感情を表に表す様なお方ではない、と言いましょうか。」
『え゛マジで真逆なんだけど。』
「でしょうね。あれ程の慌てっぷりは私どころか
下手したらコルンお兄様ですら見たこと無いかもしれませんし。」

そんな素振りしていたような気がしなくもありませんし。

「寧ろ何をしていればあれ程まで慌てる様になるのか…
いえ、こればかりは聞いてはいけない気がしますね。」
『うん、多分言ったら私半殺しにされてしまいそうなんで。』
「そうですね、話を流しましょうか。」

次会った時に色々言われるのも避けたいところだ。
これを聞いていたら「良い心がけですね。」
とニコリ笑ってくれていたことだろう。
というか現在進行形で私の脳内のサワアが語り継げてきている。
おいこらやめろ。普通に現実に起きるだろうが。

「それにしても、メルさん少々痩せすぎてやしませんか?」
『んぐっ…え゛っ、マジで言ってる?』
「ええ。先日お見えした時より痩せているような気がしなくも。」
『うう、食べ方変えちゃったからかなあ。』

最近食が細くて。
おやおや。

『噛み砕く回数を増やしちゃったから満腹になりやすくなっちゃったんだよ。』
「元々丸のみしてたのか。」
『ん〜しないと時間も限られていたのが主か、なあ?』

今はそんなこと、しなくてもいいっぽいし。
…ええ、幾らでも時間を掛けたってかまいませんよ?

「貴方の気の済むまでに。存分に堪能して頂けると
私も作り甲斐があるというものですし。」
『…へへ、いつも美味しいご飯ありがとうね?』
「いえいえ。そのセリフは是非とも
そちらのお方から頂きたかったですが。」
「…なに、言って欲しいの?」

そんな臭いセリフ。
いえいえ、お気持ちだけで。

そう言う彼らの顔をきょろきょろと見た後
メルはクスクスっと笑ってパンをひと齧りしてしまう。

ニコニコと微笑みながらパンを頬張るメルを見て、
話していた二人は目を合わせた後クスリと笑い
うまいか?とビルスが声をかけてやると
うんと頭を縦に振ってメルは答える。

『おいひい……!!!』
「…そうか、よかったな。」
「(…!…ほんと、貴方というお方は不思議な方ですよねえ。)」

ビルス様がこ〜〜んな嬉しそうな目をされて人を見るだなんて、
仕えて以来初めてのことですよ?

顔自体は笑って居ないが、その目が物語っていた。
なんなら自分の食べ物が少なることで怒るくらいだったのに
彼女の前だと寧ろ自分の食べ物すらも上げてやると言い出すのだ。

「ほら、これも食べたら良い。」
『あふ、あふうああうあ』
「っふふふふ、ビルス様おやめ下さい。
メルさんが困っていらっしゃるでしょう?」
「……お前何してんだよ。」
「あ゛????」

そう軽く引き気味に入って来た者に、メルは身体を向けた。
ああ!と口の中にいれたまま声を出す。

『ふぁいふぉふふあんふあ!!!』
「ごきげんよう、エフェメラル様。お食事中失礼します。」
「お姉様、えらく早いご到着ですね?
まだ約束の時間より一時間も早いではないですか。」
「ええ。大神官様のご命令により少々早く、ね?」
「嗚呼そういうことでしたら。」
「美味しそうに頬張られておりますね。」
『ん!!!ふぁふぇる?』
「では隣に」

そう言ってヴァドスがウイスの隣に席付き、
メルの方を向いてやると
メルはきょろきょろと周りの食べ物を見ては
身体を動かしてとろうとするのをウイスが止める。
指を使ってひょいっと浮遊させ、メルの手に持たせる。

するとメルはウイスに礼を言った後、
箸で物を掴んでヴァドスの口元に持って行く。

『はい、あーん!!』
「あーん。…まぁ、美味しいですね〜!」
『えへへ!でしょう〜!?ウイスさんのご飯美味しいの!!』
「それはそれは…良かったですねえ?」
「…お姉様、止して下さい。」
「おほほほ、これくらい良いではないですか。」

メルの純粋さにこっちが照れてしまうではないかとウイスが困惑している中、
ヴァドスはそれを分かった前提で乗って煽ってくるのだから。

『今度ヴァドスさんの所に遊びに行ってもいい?』
「ええ、是非とも遊びにいらして下さい。お待ちしておりますよ?」
『〜〜〜〜!!!!』
「良かったですねえ?」

目を輝かせて、メルはウイスに「やった!やったよ!?」
と言いたそうに口をパクパクとさせて喜ぶものだから、
本当に無邪気で素直な感情を持った子なのだと
改めて再確認して笑ってしまう。

そりゃあ兄達も溺愛してしまうのは無理もないというものだ。
膝の上でちょこんと座りつつも余り動かずにじっとしている。
可愛らしいという許容範囲内をゆうに超えそうで怖いくらいで。

『あれ?今日ヴァドスさん来る予定だったの?
そしたら私別の日に予定入れればよかったかな…』
「別に構いませんよ?丁度遊びに来ただけでしたし、
こういうのは時々ありますからね。」
「寧ろ丁度良かったのでは?」
『なんで?』
「毎度毎度こうして破壊神が別の宇宙にひょっこり顔を出すだなんて早々ありませんよ。
時々と言っても貴方からしたら数千年の単位ですので、時々の範囲にないでしょう?」
『うん!!!!ないね!?!??!!?』

なら、良かったというものだろう。
メルは内心ラッキーと思っていた処だった。

『ヴァドスさんもう一口食べる?』
「おや、よろしいのですか?」
『うん!ヴァドスさんも一緒に食べた方が私嬉しいから。』
「まぁ!可愛らしいことを仰ってくれるのですね〜。うちの破壊神とは大違い。」
「…俺がやりだしたら色々手を尽くしてくるくせに。」

そう冷や汗を流しながらもビルスの真反対に座ったシャンパが
料理を食べ続けていた手を止めて
メルの座っている方を向いて答えるのに、
おやとヴァドスは軽く後ろを向く様に振り向いて答える。

「分かっておられるならそうして頂いて貰って構いませんよ?」
「やって欲しいのかやって欲しくないのかどっちなんだよ!!!」
「しても無理でしょ。どうせ貶されるがオチだろうし。」
「おや、ビルス様は流石賢い神様ですね。分かられておられて何よりです。」
「なっ、俺の方が賢いし!!!」
「僕の方が賢いって、君の付き人が言うんだからそうなんでしょ?」
『…んまぁ、確かに言いたいことは分かるかもなあ。』

そうメルも納得するのに、え゛っとシャンパが軽くショックを受ける。

『頭の回転が速くて賢いっていう点ではビルス様は合ってると思う。』
「点ではって、なんだか聞き捨てならない言葉だね……。」
『シャンパ様はん〜なんだろう、
賢いって言うんじゃなくて、こうなんていうの?』
「言いたいことは分かりますが、
その言語は我々得意としておりませんので
ご自身でご説明して頂けると幸いですよ?」
「何だよ、俺が単純に馬鹿で体たらく
って言うだけのことじゃないのか?」
「へぇ分かってんじゃないの。」
「なんだと!?!?」
「お二人共おやめください!メル様の前ですよ??」
『うう…ん〜〜』

本人はそれどころではないくらいに悩んでいるが。
彼らが喧嘩しているのも気を悪くするというので
正直な話この宇宙の中で一番会わせたくない三人でもあったが、
どうやら杞憂に終わりそうだ。

『本能的な感じというか、場合に応じて反応しているというか。
鍛えないとかも普通に必要だと思わないからしていないとかでしょ?』
「んぐ…ま、まぁそ、そういう、ことになるか…?」
『なら別にいいんじゃないかなって。』
「おや、それだと天使に宇宙を任せる
みたいなことになりますが、それでもよろしいのですか?」
『うーーん、全部だと嫌だけど、
本当にやる気になったら多分ビルス様より
強くなるんじゃないの?シャンパ様って』
「…へぇ????」
『あ〜〜ひょっとしてシャンパ様、
ビルス様に敢えて負ける前提で敢えて放置してるとか?』
「なっ!!!そうなのか!?!?!?」
「…そうだと言ったらどうする??」

そうにやりと笑う彼に、ぐぬぬぬぬとビルスが喉を鳴らす。
流石に勝ち負けとなれば沸点がまぁ〜浅い浅い。凄く浅い。

『でもシャンパ様この状態だとビルス様に
負けちゃってそれ以前の問題になっちゃいますよ?
前は力の大会っていうお咎め付きがあったからこそ
宇宙は存続していますが、いつどこで崩れたって
おかしくないんですよ。』
「君が12欲しいって言ってたから
消したくても消せれないんじゃないの?」
『ん?嗚呼それ多分無かったことになってるから効果ないよ?』
「「はぁ!??!?!うそだろ!?!?!?!」」

そう驚かれても、メルとて元々天使である枠組みの人間である。
本来の人間からの情なんて更々ないのだ。
正直な話自分のことですらどうでも良いと身投げするくらいではある。

『理はもう三期に入って引継ぎの段階ですし。
正直12欲しいのは引継ぎをするまでに必要だっただけ。
時間という決まりになった以上12欲しかっただけなので。』
「つまり時間という決まりですらなければ12も必要なかったと?」
『そうですね!!!』
「…なんか俺達つくづく幸運な気がしてきたんだが。」
「分かる。俺もそう思った。」

兄弟の利害が一致した所でメルは食べるのを止めてごちそうさまと手を合わせて答えた。