憐みの夏
前回のあらすじ
コニックさんとも繋がりました。
「…大体のことは分かりました。
あの、失礼ながら一つ言っても構いませんか?」
『いいですよー』
「貴方馬鹿ですか????」
「おや、これまたド直球ですねえ。」
「いや、お兄様もお兄様ですよ。
良くこの子を放置できますね???」
「まぁこれ程まで可愛らしく戻って来てくれたら、ねえ?」
『うぐっ…だって、好きなんだもん。…仕方がないでしょ?』
「だそうです。」
「はぁ……コルンお兄様の幸先が不安過ぎて頭が痛いですよ。」
「分かってくれるだけで有難いですよ。コニックさん。」
こくりと頷くコルンに、コニックは項垂れてしまう。
お仕置きと言う名の契りを交わした一向は
無事外に出てということもなく、
そのままベットの上で座り込んで話をしていたのだ。
一応これでもメルは三日三晩このベットから離れられない予定。
その為次いでだということでコニックに抱っこしてもらい、
記憶の共有を暫くの間させてもらっていた後のことである。
「いやアレを馬鹿と言わずしたらなんだというのですか。
分かっていて飛び込むとか馬鹿でもしないかもしれませんが。」
『わあ言われてらあ』
「貴方のことですからね???」
『えへへ〜〜いや〜〜〜それほどでも〜〜』
「あの、全く褒めていませんよ????」
「まぁ逆にあれ程しなければ生きているケースは限りなくゼロに近いでしょうね。」
「そう考えたらよく生きていられるというものですよ。」
「軽く感覚バグらせてるんでは?」
『おっよくわかったね?』
「わかったねではありませんよ。なんで生きてるのか私ですらわかりかねます。」
コニックさんに言われるとか余程ですよ?
いやお兄様方どころかお父様に言われた時点でそうでしょう。
そう言うコニックにそれはそうだなあとメルは笑って答えるしかなかった。
『まぁ終わり良ければ総て良しって言うじゃん?』
「全くよくありませんよ。二度あることは三度あるともいうでしょう?
貴方凝りもせずにこうも名を出したんですから次だってするでしょう。」
「おや、流石にわかりますか。」
「分かるに決まっているでしょう。
なんですかこの子は。とんでもないではないですか。」
「それを懐柔出来るサワアお兄様には頭が上がりませんよ。」
「いや全くその通りですよ。何したんですか。」
「ご想像にお任せ致します。」
していいのか。させちゃっていいのか。
『うう、ヘレスが恋しいよお』
「まぁ。数日しか経っていないというのにもうですか?」
『濃いんだよ。この数日が。』
「案外あっという間なんですがねえ。」
『うううへれすうう、僕の愛しのヘレスうううう。』
「妬けちゃいますよね〜。仕える破壊神を叫ぶだなんて。」
「ヘレス様も大層お喜びなのでは?」
「ええ勿論そうですよ?帰ったら毎度毎度
この子の話しでもちきりですからねえ。」
喧嘩も絶えません。まぁ修行になるので良いですが。
…貴方も本当に人を扱うのが上手いですよね、昔から。
「そうですかねえ?」
「そうですよ。…私なんて何度貴方に転がされたことか。」
「ふふ、昔のことですからね。今ではそうもいかなくなりましたし。」
「止めて下さい。あんな失態はこりごりですよ。」
『…ふふ。』
「どうしました?」
『いや〜仲良し天使さん達を愛でれて僕幸せだなあって。』
「そうです?まぁ確かに昔よりは確実に距離は近いですね。」
間違いないですよ。
「人間の情みたいなこんなままごとする
必要性ありませんでしたし。」
「そもそも華樹神の入れ替えで
こういうことをするとは
思っていませんでしたからねえ。」
『どうしよこれでこんなことしなくたって
いいとか言い出したら。私殺しそう。』
「理を殺してどうするつもりなんですか。
貴方次の理でしょうが。」
『え〜〜〜ねぇもうやめない???私怖いんだけど。』
「馬鹿言わないで下さい。
今までの努力を水に流すおつもりですか。」
「流すどころか消滅させると言いますか、
時間を巻き戻されている感じといいますか。」
「それ最早なかったことにさせているに近いのでは?」
そう互いに目を合わせつつ円になって話すこの感じ。
いや〜確かに気持ちは良いモノではあると思う。
まぁ強いて恥ずかしいとすれば、
コニックさんに現在進行形で
後ろから抱き着いて貰っていることくらいか。
いや駄目だ意識したら伝わる。
「もう既に色々伝わっていますよ?メルさん。」
『ふぐっ…待ってお兄さんまでそういうの???』
「おや、それともメル、とでも言えばいいのですか?」
『〜〜〜〜!??!?!?!』
「っふふふふ、冗談です。」
『違いますよね?!?!?明らか反応見てますよね?!?!?』
「まぁメルの反応は面白いですからね。」
「ついついしちゃいがちといいますか。」
『ねぇお師匠なんとかして!?!?』
「無理ですよ。あとこういう時に頼らないで下さい。」
『どういうときに頼ればよろしいのですと…!!!!』
そう手を何か掴むように少し閉じつつ空に手のひらを見せて言うメルに
クツクツとサワアやコニックが笑って見せる。
嗚呼もお!!仲いいね君達ほんと!!!
『流石にこのペースで行ったら私の膣が死んじゃうもん…』
「まぁそう言うと思いましたので暫くは中止しますよ。」
『えっやった!!!!やった!!!!!』
「その代わり仕事に追われるかもしれませんが。」
『あ゛まって、記憶飛んでるとか言ったら怒る???』
「怒りますね。」
『もうだからしたくないんだってえっち!!!!!』
その瞬間だけ溶けるならいいのだが、
後々の思考も溶けるから弊害になっている。
なんなら早く終わらせてしまうべきでは???
いやそれだと私の身が持たない。駄目じゃん。終わった。
「まぁそう言っても後はアワモさんにカンパーリさん
クカテルさんとマティーヌさんですよね?」
『まぁそうだけども…。あれ、まてよ?
あと二日で二人ずつすれば終わりでは?』
「そう言うと思いましてお呼びしておりますよ。」
『ねぇほんと早いよね色々と!!!!』
お褒めの言葉ありがとうございます。
ええええ、どういたしまして!!!!
そう言って指を鳴らしてドアを開けて入って来たのは
クカテルさんとカンパーリさんだった。
凄く困っている様な感じするが、一体何時から居てくれたのか。
今は凄く気になるが非常に気にしてはいけないことだろう。
うんうん。気にしたら負けである。
「それにしてもいつの間にそれ程と交流をされていたんですか?」
『まぁ色々ありましてね…。
でもそういや君達ほんと違う場所に印付けるよね。』
「まぁ余り被るのはよろしくありませんし。
一応言っておきますが私が付けたのは此処ではなく首ですからね?」
『え゛』
「やはり気付いていませんでしたか。」
手鏡を渡し、コルンが髪の毛を上げて見せてやると
其処には前に見えた金色のひし形である模様が施されていた。
「まぁ見せつけた方が良いと思いまして
形だけでもそちらに印しを一度施したんですよ。
勿論後で外していますし、その後お父様が付けてくれましたが。」
『ああ上書きねって違うね???』
「そういえば他の子達は何処に印しを付けているんですか?」
「確かに。」
『ん?嗚呼、ウイスさんは確か左手で、ヴァドスさんが右手。
サワアが胸元で、コルンが首でしょ?
コニックさんがさっき背中に付けてたし』
「気付いてたんですか」
『へへ、気の流れと数こなしたからな。』
流石にバレるという者だ。
『モヒイトさんは左ももで、クス姉は右二の腕に〜だったはず。
流石に触れて貰わないと光らないし、人が付けた場所は
ちょっと間違えてるかもしれないからなんともだけど。』
「大体の場所は其処であってると。」
そういうことだ。
「なら付けていない処につけるというのが礼儀ですかね。」
『にゃ〜お』
「では私は右ももに。」
そう言ってクカテルさんがそっとメルの足を取り、その手で印を施す。
続いてカンパーリさんがメルの額に手を当て指で軽くなぞってやる。
『…ん?普通にこれでいいのでは????』
「おや、バレちゃいましたか。」
『しなくていいんじゃ……?????』
「正確には必要なんですよ。まぁ半数以上という形ですがね。」
「これ以上はしなくても良いというだけですよ。」
『マジか。マジか。いや、えっ、マジか。』
「もう語彙力消えましたね。」
「お疲れなんですよ。」
理解追い付かないのも無理はないですし。
食事が余り必要ではない身体になった以上
後は風呂くらいだが、まぁそれは杖で何とか綺麗に出来る。
所詮人間でいう処の身体拭きでふき取ったに過ぎないので
このお仕置きが終わった後にでもゆっくり労わるとしよう。
「そういやまた珍しい格好をされていますね?」
『仕置き用お洋服です。これ結構面倒なんですよ。』
「おや、そうなんですか?」
『気は勿論使えません。杖から出来るとしても
物を少し浮遊させたり日常生活に支障がこない程度で
攻撃はおろか防御なんて以ての外です。』
「あら。」
『加えて移動も低下します。幼子程度の速度しか出ませんので、小走りが限界です。』
「最初に走っていたのは全力だったんですか。」
そうです。
『まだまだあります。これ着てると本来在るべき姿に戻りやすいんです。』
透明な翼が出たのはそういうこと。
まぁそれでも私は抵抗できるので何とか抑えていたが、
真名を言われてからそんなことも難しくてだな。
「透明な翼って余り出しているとよろしくないのですか?」
『んん、正確には其処迄悪くはないですよ。
単純に身内に思考が共有されやすい程度です。』
「天使でいう共有が成されると。」
そういうことだ。それが華神らと繋がりやすいという点くらいか。
昔だったら透明な翼を持つ者全員が思考を共有出来て、
割と楽だったんだが言葉を喋らないと良くないということで
途中から翼を仕舞える様に練習したんだよ。
「だから貴方元々口数が少なかったんですね。」
「えっそうなんですか?」
『そうだよ…全く、別に共有できるんだからしたらいいのに。
どうしてこうも無駄なことをするんだろうか。』
「その一番無駄な行為に気付いていない貴方も無駄なことしてますがね。」
いうねえ。
『も〜人間ちゃんになるどころか戻れなくなっちゃうし。
僕の作戦負けというか、戦犯というか〜〜は〜〜めーんど。』
「そう言えば人間になりたいなどと良くぼやいていますが、
何か約束でもされていたんですか?」
『ん?嗚呼まぁね?…初代の時に人間と契約してたんだよ。』
「契約!?!?!?」
『もう時効だからこの際白状するけど、此間迄居ましたルピルムさんです。』
「待って下さいちょっと待って。」
『彼女は元々人間で、私は天使だったんだけど
あの子滅茶苦茶天才肌で人間のまま放置すると
間違いなく悪魔になりそうだったから
流石に均衡が崩れるってことでスカウトしたんだよ。
勿論普通にダメもとでね。』
そしたらまさかお父様、
いやルトラール様がご了承して下さってね。
嗚呼勿論途中からちゃんと天使になって、
今までいた時も天使だったからね?
『その時に人間である情を捨てるっていうから
流石に勿体ないってことで、貴方が天使になるなら
私は人間になるよっていう約束をしてたんだよ。』
「そんなことをしていたんですか…。」
『スッピーが私を天使の状態にしているのは当時の約束があるからこそだよ。
多分だけど人間から天使に戻った時くらいの肉体なんだろうね。
二、三回くらいは違和感あったし、其処ら辺の何処かを交換したんだろうが。』
「なんとまぁ、運が良いと言いますか、何と言いますか。」
とんでもないですね。
『まぁあの時も私ちゃ〜〜んと言っていたんだが、
それを最後まで綺麗に断ったおかげでああいう様なんだよ。
本当は誰よりも何よりも、天使らしくて綺麗な子だったのに。』
一体何処で踏み間違えてしまったんだか。
『綺麗だったのになぁ…仲良くしたかったのに。』
「エフェメラル様…」
「まぁ、彼女は元々そう言うつもりでは
なかったのかもしれませんからね。
こればっかりは彼女のみぞ知るというものです。」
「貴方に色々呪いをかけてる時点でそう言うつもりは
更々なかったと捉えるべきでしょうがね。」
『むうう〜〜〜〜でも期待しちゃう、望んじゃう〜!!』
「はぁ…例え生まれ変わろうが何しようが
元が変わらなければ無意味だということですね。」
『何の話?』
「なんでもありません。」
人間であれば、まぁ正確には人間であり、
尚且つ天使の状態を維持することで
華樹神の力を持てるという者。
誓約の無かった時代は、ただの争いのタネにしかならなかった。
だからその黄金の草花は重宝されていたのだ。
誰も何も生まない。ただただ穏やかな心を持てるその時間だけ。
それだけに、包まれていれば、もう何も要らない。
必要ないその時間に、彼女は選ばれなかった。
ただ、それだけ。それだけだったのだ。
『だから人間で在りたいのは華樹神としても力を衰えさせない為なのと、あの子の約束を守る為。』
「もう前者しか意味はないではないですか。」
『それでもね〜廻廊を歩いては記憶が変わってしまったんだよ。』
「悟空さん達のことですか?」
「ウイスさん…!!」
『…まぁ、そう、だね。』
会いたくてたまらなくなる。
それは、その液晶と変わらない。
点と点が全て線となって繋がっていく。
そして閉じてしまえば、それは完成してしまう。
片喰は正式な華樹に、樹に変わる。
色も変わり、自分の色に染まりあがってしまう。
どんどんと、本来のあるべき存在に戻っていく、進んでいくのが酷く怖い。
だってそれは、もう戻れないということで。
『人間であれば戻ろうとすれば戻れる。止まろうと思えば止まれる。
一番無能で無知で憐れな存在なのに、その存在こそが何処よりも強い力を持つ。
だから華樹神はその人間の持つ感情に華を作り上げたんだよ。』
そうしたら、本当の完成が生まれるから。
それが一番恐ろしいことになるとは、思ってもいなかったというのに。
『まさか天使に、しかもこ〜〜〜んな奴らの
ど真ん中で本来の天使である原初の状態で
戻って来るとは思わなんだが。
こんなのもう一番の最大の誤算だわ。』
「言われてますねえ〜〜」
『全く、この状態がとんでもないこと皆知らないんだよ。
特に杖が馬鹿みたいにチートしてるんだから嫌なんだが。』
「杖がですか?」
『一応君達の使う上位互換だよ。
普通にやろうと思えば瞬間移動も使える。
まぁ種間移動なんだが。
種を植えた処のみの移動だから意味ないが。』
「そうなんですね。」
そうです。
『加えて気もやろうと思えば強まるのは人間の感情ありきなのに
あの馬鹿人の恩情も知らずに自分の欲望の為だけに種使いやがって。』
「何か愚痴になってません?」
「まぁまぁ、色々彼女なりに腹立たしいこともあったでしょうし。」
「寧ろ欠片一つ見せない時点で怖いですし、
こっちの方が安心するというものですよ。」
流石に聖人君主なんて一人も存在しないのだ。
生きとし生けるものであるならばな。
『〜〜〜もう!!全く!!!…まあ、それなりの対処を
してくれたからそれに関しては頭が上がらないが。』
一応自分の泥を拭ってくれた者なのだ。
これで頭を上げて適当になんてしてみろ。
それこそ罰当たりだし、彼女と同罪というものだ。
そんなことは何が何でも嫌だ。
同じ穴の狢?煩い。元の場所が違うんだよ。
「だからお父様のことに関しては下から付いていくんですね。」
『それもあるし…まぁ、なんだろう?
こう郷に入っては郷に従うと言いますか。
君らが出来ていて私だけ特別扱いが
私自体許さないと言いますか。』
「そう言う処妙に律儀で好きですよ?私は。」
『嗚呼そうですか。私もそんなこと
言ってくれる貴方が大好きですよ。』
「おやそうですか。」
もうこういう時なんて照れるとかしないわ。
メルは胡坐を掻いては足を立てて頭を掻きむしる。
行儀が悪いと言われてもそっぽを向いてしまう。
『まぁ…君らがついてくるって言うから
一応受け入れてるんだけど。ほんとにいいの?』
「まぁお父様らのご命令ですからねえ。
我々に拒否権などないというもの。」
「そうでなくても全員が
貴方について行くというつもりですから。」
『…それならいいけど。
後出来ればカンパーリさんとクカテルさんは
どうぞその怒りをお鎮めになられると幸いです。』
「嫌無理でしょう。」
『んあんでかなぁ〜〜お師匠様よ。』
「逆に考えてみてください。
サワアお兄様がルトラール様に
いじめられてたらどうします?」
『ぶちころす』
「これ」
「それと同意義のことですよ。
しかも貴方に関しましては、その受けた時間が長すぎます。
此方はどのみち遅かれ早かれ知ったとしても手出し等出来ない。
何故なら廻廊は神々の位置ではなく人間の位置ですからね。」
「本来我々天使は下界に居る者に手出しは
不要、といいますか、ほぼほぼ厳禁に近いですからね。
まぁ…最古の神々という点で色々情報が無かったもので、
人間に手出しをしてしまったのは叱られてしまいましたが。」
まぁそこは皆甘んじて受けたし、
全王様もお許しになられたので今は良いが。
「貴方の受けた行為を知ったからこそ、我々は怒ってしまうのです。
しかも諦めの悪いことに呆れてものも言えないときましたからね。」
「まぁ、そんな彼女も死人に口なしですがね。」
「呪いを置いて行ったという要らぬサービスまで
付けてとはよくやったものですよ。」
『物理的な出血大サービスだよねほんと。』
「そんなことなので、多少の怒りはご容赦下さい。」
貴方がしたことは我々も漸く手に取る様に分かりましたし。
まぁそうでなくても貴方の様な子を見れば大体察しが付きます。
「初見で見た時等未だに忘れられませんからね。」
「お兄様の慌てっぷりといい、あの気の気配といい、ねえ?」
「…流石にそれは忘れて頂けると助かるのですが。」
『救いはないって。神は居ないってさ。』
「おや、でしたら誰が救いをもたらす神になると?」
『ん〜〜〜〜自分でどうぞ?』
「狡いお方ですねぇ?私が、等名乗りださないので?」
『そんなことしたら華に殺されちゃうわ…!!』
笑ってメルはないないと手を横に振って
その身体を起こし、サワアの隣に座って答える。
『だ〜って願いは叶わないものなんだから、
願いを叶えられる神がいるなら成立しないよ!』
「おや。」
『でも、もしも。願いを叶えなくてもいい神様がいるならば。
そうしたら、不束ながら私でも、なっていいかな〜っては思うよ?』
「願いが叶えられる唯一を消すとは。貴方も酷い方ですねえ?」
『天使ならば。誰一人として救えないからね。』
誰もが手を伸ばすものこそ、救いなど皆無。
誰も救われたいと思っていない癖に。
結局は自分で乗り越えるしかないというのに。
何をふざけたことを言うのだろうか。
結局その願いを叶えた先にある末路に、
彼等は責任を持てるかと言われると、
多くの答えはノーだろうに。
『人間は浅はかだ。その浅はかな感情こそが、儚くて、
私はその時間を何よりも愛したからこそ、
エフェメラルとして生きたくなったというのになぁ。』
「名前の由来ですか?」
『ん〜というか意識の問題かな?
流石に途中から名前変えられたのは笑ったけどね。』
まぁ約束しちゃったときに渡したみたいなもんだしな。
じゃないと彼女が華樹神の力を使えるなんて出来るわけない。
私の力を使って猛威を振るおうとした、借りたものであるのだ。
いくら天才肌とは言えど、その感情に身を包めば最後。
私以上の力なんてそんなもの出せるものも出せないのを
最後の最後まで見つけれなかったアイツの戦犯だというものだ。
まぁそうならなくとも?
私に負わせた傷を数えても処罰は重かっただろうが。
いずれにせよ幸福なことは間違いないと思う。
『私が殺したかったのになあ〜。
ほんと、酷いことしちゃってまぁ。』
「ある意味幸福な死でしょうね。
貴方に目を付けられたら溜まった者じゃないでしょ。」
「そこまでいいますか?」
「廻廊での拉致を覚えていたらの話ですよ。」
「嗚呼ありましたね、そのようなことも。」
「ご自身を使って囮にした挙句の果てには
敵に塩を情けを掛けてどん底に突き落とし
楽しんでましたからねぇ〜〜。」
「流石にアレはないと思いましたよ。アレは。」
『え〜〜〜あれでも大分軽い方だからね?』
「待って下さい、アレで軽い方とは???」
そう手を前に出して止めろというコルンに
いやいやとメルは手を横に振ってこたえる。
『あんなの可愛らしいもんでしょ〜!
あれでロウ様とか界王神は勿論のこと、
モヒイトさんとか天使らを狙ってたらと
思うと〜〜〜うふ〜〜ふふふ〜〜〜〜』
「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い」
「何ですかその含んだ笑みは。怖いですって。」
『その身を何度も殺しては快楽に仕立て上げた私の力に
一体誰が耐えられるというものだろうかねぇ??』
まぁそう思えば君ら本当に凄いと思うよ。
『何せこの記憶を知っても尚そうやって怒るだけで居られるんでしょう?
普通だと精神が崩壊したり何かしら狂ったりするはずなんだけどねえ。』
「まぁそうですね、流石の私もブチ切れて
一瞬だけではありますが、天使という立場を
おもわず忘れちゃいましたし。」
「お兄様????」
「さ、サワアさん…???」
「お父様は特にお怒りでしたからねえ。
貴方がいない時とかお一人でお声掛けなんて
とてもじゃありませんが出来ませんでしたよ。」
『え?』
嗚呼、あの時ですか?
そう天使らが騒ぎ出すのにええとサワアが答える。
「機嫌が悪いだなんてめったにないんですが、
物凄く腹を立てているのが目に見えて分かっていたので
一体誰が何をしたんだと思っていましたが。」
「これを知ったというならば、納得がいくという者ですね。」
「まぁ兄の子で尚且つ自分の子も預けていましたし。
裏切りにしては大分酷い位置でしょうからね。」
『ま、私は仮に全てを知っていたら泳がせたがな〜〜〜』
「でしょうね。」
「妥当ですね。」
「在り得ますね。」
『待って???ねぇ待って???』
なんでそこ一致するの????
「大体貴方の感覚がつかめましたからね。」
「どうぞ末永く仲良くさせて頂ければと思いますよ。」
『それは此方も大歓迎ではあるんですがですね。
あれまって、なんか人増えてるよね?何で君らも居るの?』
「おや、来てはいけませんでしたか?ソレは失礼。」
『待て待て待てねぇまっておいまて
って誰かあの二人捕まえてきて!!!』
私出れない出れないから!!!
そう入って来ていたヴァドス、
モヒイト、クスの三人に手招きをするメルを見て
しませんよと言って見せていた背中を隠してやる。
「それにしても偉い人数ですね?何か会議でもしてたのですか?」
「これを見てそう言えます?」
「…もしかして、お仕置きされてました?」
「お姉様、ご存知だったのですか?」
「ええ。前にルメリア様が教えてくれまして。
なんでも元々天使らの仕置きも考えて作っていたらしいですよ?」
「さらっと聞きたくない情報が見えた気がするんですが。」
「ソレは一体…いえ、考えてはいけませんね。」
『まさに歩くパンドラの箱やん私。』
「ご自身で仰いますかそれを。」
そう各々が呟くことに、話を合わせてやる。
その会話が何処か日常的な感じを見せて来て、
楽しいなあと思ってしまった。
嗚呼平和なことは良いことだ。
「もう後二人になったんですね。
コレを機にお二人もお呼びいたしますか?」
「どうせなら全員呼び出した方が良いでしょうね。」
『えっ待って、一緒に寝ちゃう?いや〜そんなことは流石にな』
「嗚呼別に構いませんよ?」
「そう言えばあの時は貴方も危険な状態でしたし。」
「皆さんこの後のご予定は?」
「一応断ってきましたし、休暇も貰ってきました。」
「私もです。」
「私の方も。」
「私の方は少々連絡を取らねばなりませんが。」
そう言う天使らに、はえーとメルが呑気な声を上げる中、
メルとてさらりと杖を手に取って胸元で横に構え持っていた。
『もうこれスッピーも戻してこなければいけないのでは?
私普通に此処から出れないんだが。』
「まぁサワアお兄様が良しと言わねば出れませんしね。」
「そうなんですか?」
「ええ。一応これでも仕置きされていましたからね。彼女。」
『反省しました!!ゆるしてちょんまげ!!!』
「絶対反省の色見えないでしょその返し方。」
「まぁ次の対応を変えればいいでしょうからね。構いませんよ。」
よしと言ったサワアに、
メルはやっとトイレいけるうううと走って行ったのに全員でずっこけてしまった。
ちょ、メル様!?何処に行かれてます!?
そっち真逆ですよと言って走り出したコルンに
平和ですねえと誰かが言った。
++++++++++
無事、マティーヌさんとアワモさんから足に印を付けて貰い、
今度こそ完成となってしまったメルさんは此方におられます。
『なんか滅茶苦茶圧巻なんですが。待ってにやけちゃうから駄目。』
「なんでですか。」
「ほんとに物好きですよね。我々天使が好きだなんて。」
「正確には悪魔も天使も、ですよ?カンパーリさん。」
「おや、そうでしたか。ソレは失礼。」
『むう!だって天使も悪魔も両方持ってる皆って最強じゃない?
めちゃかっこよくない!?ちょ〜かっこいいと思うんだけど。』
「褒めてくれますねえ?何も出せるもの、ありませんよ?」
え〜出せるくせに〜そう言うメルが笑うと、周りもクスクスと笑って見せる。
仕置きは終わり、メルはその身を白い衣服に戻し、何時も着ている寝間着に着替えていた。
天使らもまた大神官言葉により自分らの衣服を白いモノに変え、身を包んでいた。
それぞれ形は違えど、白いワンピース姿の様に見えるのは間違いない。
『いいもん!もう貰ってるもん!!』
「おや、なんです?何も渡したものはないですが。」
『今から皆とおねんね出来る権利!!!』
「おやおや、それはまた可愛らしい権利ですねえ。」
「全くですよ。もう少し我儘でも許されると思いますがねえ。」
『い〜の。だって寝なくて良い天使と寝れるんだよ?』
それもみ〜んな一緒に!
『せっかくなら横に寝るより輪になって寝ない?』
「おや、でしたら第1から順番に移動しますか?」
「ではこっちですか。」
「メルさんはどうされます?」
『あっどうしよ。』
「どうせなら真ん中とかは?」
『私寝相悪かったら全員蹴るよ??』
「そしたら時間を巻き戻します。」
『んなことに使わないで???』
そう言ったメルにそうですねと周りが笑いだす。
全くおかしいことを言わせるものだと。
「ですが、こうやってやれば何処を見ても願いが叶うという者でしょう?」
『え?あっ、ん?』
「どうしました?」
『嗚呼いや、滅茶苦茶当たり前なんだけど……何処見ても天使しかいないね!?』
ねぇねぇ此処楽園かな?!楽園なのかな!??!
ふふ、ほんと可愛らしいですねえ〜
『えへへ!えっ待って何処向いて寝ちゃおう〜!足なんて向けれないのに〜!!』
「ふふ、何処の位置でも構わないのでは?」
『もういっそのこと下くりぬいてクルクル回転出来る様にしたらいいのでは?』
「しますから?どうぞ?」
「お父様?!?!」
『きゃ〜〜〜〜〜〜!!!!まわる〜〜〜〜〜!!!!』
「メル様余り回さないで下さい!!!目が廻りますから!!!」
『ううう、もうむり。』
いわんこっちゃない!!そう介抱するコルンに、
ヴァドスやウイスが苦笑いで温かく見守る中。
凄いでしょう?とスピスはサワアに声を掛けていた。
「あの子は。」
「全くです。ほんと飛んでもない子に育て上げてしまいましたね?」
「ふふ、互いに良い教育をしたものですね?」
「恐れ多いことを仰らないで下さい。お父様。」
「おや、特別にスピスだなんて言ってもいいんですよ?」
「なっ!!!!」
「スピス様?」
「ちょマルカリータさん!?!?」
「はいなんですか?」
「お父様まで調子に乗らないで上げて下さい!!!」
変な癖が付いたらどうするおつもりなんですか!!!
その時はその時ですよ。
怖いことを仰らないで下さい!!!
そう騒ぎ立てるコルンに、
メルはケラケラと笑ってマルカリータの胸に飛び込んだ。
きゃっきゃと笑ってじゃれだすメルに、
それ相応の相手をするマルカリータには
声を上げて嬉しそうに笑って見せる。
「そう言えば一つで結んでいるですますが、
緩んでいるですますよ?そういう気分ですますか?」
『ん?嗚呼サワアがあんでくれたのそのままだからね。
別にこのままでもいいよ。寝ちゃって崩れちゃうし。』
「それなら直して差し上げますよ。」
『えっ』
「え?どうしました?ほら。」
「…もしかして照れてます?」
「まぁ全員いますからね。」
『〜〜〜〜っあっ待って!ちょ、マルちゃん押さないで!!!』
ふふふとニコニコ笑って背中を押しだすマルカリータにメルが倒れ込むが何とか態勢を整え、
マルカリータから逃げようと後ろに引いていくと、とんと背中が何かに当たる。
ギギギとブリキがきしむように首を後ろに向けてみたらだ。
ニコリと微笑む悪魔もとい天使が此方を見てくれていた。
『っ!!!!』
「はいはい、動かないで下さい。」
『っんむ……。』
「あら〜〜〜」
「可愛らしいですねえ〜〜」
「ものすごくつやつやではないですか。」
「まぁ前から綺麗な髪の毛でしたからねえ。」
『…あんまり見ないでよ?今日沢山汗かいて何とか杖で洗い流してるだけだから。』
簡易で臭いかもしれなくて怖いんだから。
そう言うメルに、そうでもないですよとサワアが答える。
「いつも通り良い匂いですから。」
「そう言えばいつも何か付けてらっしゃるのですか?」
「付けずとも感情によって華の匂いが変わるとかいうのでは?」
「ん?」
「もしや図星ですか?」
『…うう』
「…エフェメラルさん?」
『ひゃう!!!〜〜〜っ、嗚呼そうですよ!!
感情の強弱でも匂いが強くなったり弱くなったりするんです!!
ああん!だから近づいて皆嗅がないで下さいよ〜〜!!!』
まだ整えている途中だからと言わんばかりにクンクンと匂いだす者達に
メルは悲鳴を上げると、これお前達とコルンが声を上げる。
嗚呼お兄ちゃんだ。ほんとお兄ちゃんしてる。いっぱいちゅき。
「全く、匂いがどうだからといって何故其処迄近づいて困らせるのですかね。」
「ならお兄様は気にならないのですか?」
「別に匂いなどしませんし、万が一しても入れてしまえば問題ないでしょう?」
「あらあら。」
「何です特に深い意味等ありませんよ?」
「それにしても綺麗な髪ですね。触っても?」
『あっそれはどうぞどうぞ。』
「其処は良いんですか其処は。」
群がらなければいいのだ。恥ずかしくなんてない。
そう言うメルに、マルカリータやヴァドスがメルの髪の毛を触る中、
メルもひと房掴んで自分の髪の毛で遊びまくっていた。
「どうせなら皆さんの髪型にでも真似てみます?」
『いいの!?じゃあマルちゃんのがいい!!!!』
「わかりましたよ。それくらいお安い御用です。」
「あらあら〜嬉しいことを言ってくれるですますね?」
『えへへ!!』
「お兄様、こういうのもなんですが、髪の毛を編めるのですね。」
「ええ。昔この子の髪の毛を整えていた時期がありましてね。」
嗚呼あったねぇと言う声に大神官も声を出した。
「昔はお寝坊さんでしたからね。一度寝たら本当に起きませんでした。」
「私が行った時全然起きなくて、
ほんと死んじゃったかと思って怖かったりしたんですよ。」
「わかります。この子泥の様に寝ちゃいますよね。」
「昔からなんですかその癖。」
『だそうですよ?』
「そういやある日を境に起きる様になりましたね?どうしてです?」
『え゛あっそ、それは、その〜〜〜』
成程?と周りが首を傾げたり嗚呼と声を上げたりしてそっぽを向いた。
サワアと一緒に遊ぶのが楽しすぎて時々夜も寝れない時だってあったくらいで
流石にそれは悪いと思って、明日の楽しみだと言い聞かせて早く寝る様にしたのだ。
早く寝たら早く起きて、また沢山、より長く遊べることだろうから。
そう、それもこれも、彼の為だということで。
「ほんと、此処まで上手く行くとは思っていませんでしたよ。」
「お父様まで…」
「お互い良い子に育って私も嬉しいですよ。」
『いい子偉い子すんごい子?』
「ええ。そうですよ〜。」
「はい、出来ましたよ。」
『えっほんと!?って待って、なんで皆そんな顔するの?』
いや、それはと周りがマルカリータとメルをみて嗚呼と声を上げた。
「幼いですね。」
「間違いないですね。」
「幼いが増しますね。」
「行動も相まって駄目ですね。」
『待って!?なんで!?!??』
「メルさんは元々可愛らしい方のお顔ですからね。
幼い印象が更に髪を上げることで幼さを際立たせるのでしょう。」
『大神官様フォローありがとうございますだけど
それ果たして本当にフォローかな?!?!?』