踏み潰した白い花
歓声が幕を上げるように、ブザー音と共に耳をつんざいて行く。
きぃんとマイクの変な音が入った後の音が分からない。
言語が分からないのだ。何を言っているのかマジでわからん。
『…っひ!!』
檻の周りには人間がいた。でも普通の人間に見えて、そうではない。
檻から手を伸ばし、自分の身体を取ろうとしてきたので
反射的に避けようとして中央へと転げ倒れる。
とにかく全裸で何も身を包めるものがないので
髪の毛で何とか隠そうとするも、下は隠しきれない。
膝を前に出す様にぺたりと座り込み、
股の部分だけを手で覆いたいが
余りの音の煩さに耳を塞ぐしかできない。
怖い、怖い、無数の手がこっちを何処を見ても伸ばしてくる。
青白黄色、赤色肌色それぞれの色がこっちに伸ばされるのが怖い。
やめて、こっちをみないで。触れないで。
そう思っていると周りの音が消えていく。
何だ、何をしている。
何処をみても、此方をじっと見つめてくるその眼。
手を伸ばされた方がまだマシか?いやそれでも嫌だ。
例えていうならこの場所は相撲やボクシング闘技場と言った処か。
中央に一つだけポツンと平らな処があり、其処を中心として円を描く様に
人がずらりと並んで此方を見続けるタイプのホールとしたもの。
スポットライトが上から入って眩しくて遠くの方が全く見えない。
目が慣れていないというのもあるだろうが、
光の強さで見えにくいことなんてざらにある。
『(…気を探れ、まだ救いはあるはずだ)』
幸いなことに金の首輪は付けられていないし、
華も胸元で白く光り輝きを放ってくれているので
気を巡らせ周りに知らせることなんて造作もない筈だ。
杖を落とした場所からしてそう遠くない筈。
場所さえ想い出して距離さえ掴めれば戻ってくるのだ。
まずは杖。次に大神官へ報告し、飛ばしてもらうのが先決か。
一旦此処は引いた方が良い。でも、ティオ様は?
彼は一体どうなるのだろうか?
「もしここで」
『っ!!!』
「お前がこの檻から出ようものならば。
お前を守ろうとした奴の命は助からない。」
まぁと言っても、助かった処でというものだが。
そう言っているのは下の方だ。
よく見たらこの場所、上まで上がり切っていない。
地下から地上に押し上げるタイプだったのか。
座っている床との隙間から、彼の目が此方を見つめてくる。
下から上に、見つめてくるのが、怖い。余りしていない。
したくないのだ。ずっと避けていた。
自分が下に居れば、自由が効くから。
物理的に動くのではない、精神的に動くことが、だ。
上に居れば多少なりとも楽になり、
その隙間に付け込んでいってしまう。
だから怖い。
『…っ!!!!』
「威勢は上等、と言った処か。」
何故言語が分かるか分からないが…丁度いい。
『(貴様、一体何が目的だ)』
「…ほう、テレパシーと来たか。」
言葉を発現をしなければ良いならこっちで話す方が楽だ。
メルは口を動かしつつも彼に向けて言葉を飛ばす。
『(私の華を知っている様にも、彼を騙す様にも見て取れた。
これが欲しいなら願いを言えばいい。
といっても、お前くらいの願いは死んでしまうだろうが。)』
「ほぉ、願いの強度もあるのか?いや違うな。俺の技量か。」
此方の様子を伺いつつ腹を探る彼に、メルは嫌な顔をした。
相性が最悪だ。言葉よりも感覚で物を言って
こっちを煽ってくるタイプだとは。
一応その手の回避は幾つか手段を持っているが、
面倒なことに、こういう奴は其処ら辺の回避も
分かった上で話を詰めてくるもんだから、
本当に嫌いな部類の人間なのだ。
落ち着け、とにかく気を回すのだ。
巡り廻って、加速させ、その遠心力で周囲に広げてしまえばいい。
点から線へ線から円へ変わり替わって、巡り廻れ。
「それ以上変なことをすれば、こいつがどうなっても?」
『っ!!!』
「え、ふぇ、め…さ、ま。っごほっ、ぼ、っぐ、げほっごほっ
…わ、たしの、ことは、かま、いませんので、はやく」
『〜っだめ!!やめて!!!』
それ以上傷つけないで。
怒りで気を高ぶらせ、華に集中なんて、そんなの夢物語だ。
何度練習しても本番できなければ無意味だった。
お願い、止めて。もう、止めて。
そう首を横に振って、メルは耳を塞ぎ、足を胸に近づけて縮こまる。
「ならいう通りにしていればいい。」
『…え?』
「そうすれば助かるのだから。」
『っ待って!!!』
がちゃんと音がして、下の景色が綺麗に見えなくなった。
声が音がしない。耳を地面に付けてもしないのは防音か?
何もなければいいが、そんなこと奴がしない訳もない。
だとしても此処から出れば彼の命はすぐになくなるだろう。
自分が出ること自体に何かしらのブザーが鳴るはずだ。
足首と左腕に縛られている縄や腕輪のタグを見て、
何となく此処がどういう処か分かった。
『(うっわ下種ってこういう処言うんだろうな)』
正直知らない方が良い世界というものか。
大昔に小説とか読み漁っている時で見つけたくらいの
架空上にしか存在しないと思っていた場所が、
今此処に存在しているという現実を見たくない。
所謂賭博場、いや
『(人身売買の賭博と言った処か…いやふざけてるなこれ。)』
声が何処からともなく聞こえ、手を上げる声が短い。
恐らく金額か何かを言っているのだろう。
左側上を見上げれば赤い表示で数字だろうマークが増えていく。
うわぁ〜〜〜これマジもんだ。
えっ待って私売り飛ばされるの???
マジで言ってる???
え?というか私に金銭の価値とかないぞ????
そのお金使うくらいならもう少しマシなお金に使いな???
ほら食事代とかしょっ引かれるよ????
嗚呼でも他の奴らよりかは食わないから良いか?
でも好き嫌い激しいし、環境によって食べないから
今の状態からかけ離れちゃうので滅茶苦茶おすすめしないが?
なんならさっきの奴、メインディッシュとか言ってなかったか?
あれ待って似たようなことしてる???少女とか未成年してる???
待ってそれ流石に聞き捨てならないんだが?????
一億歩譲って私をするだけならまだいい。
いや正直嫌だが、この際もういいとしよう。
だとしても恐怖を抱かせたまま、
金で買われた末路なんてたかが知れている。
自由の無い、飛ぶことすらも知らない場所に。
私は何度も経験してきたのだから。
その恐怖がどれ程のもので、
どれ程残酷なものかというのだろうか。
『(ティオ様…どうか無事でいて。)』
此間へレスとお話していたが、彼女の目は明らか恋をしている様に見えた。
遠くを見つめ、その場所を愛おしそうにする目を見て、嬉しくなった。
嗚呼これが、進んでしまえばいいのになんて。
思っていたのに、こんなのあんまりだ。
きっと何か悪い夢を見ている。そうだ、夢だ。
でもこの華は?この感情は?このリアルさは?
一体どう説明を付けるというのだろうか?
とにかく中央に寄って、距離を取る。
余り見せない様にと縮こまっていた処、
何か下から違和感を感じ取って立ち上がった。
『………ひっ』
いやとんでもないものを出すんだなこの惑星。
下からピンク色の植物がまぁ出てくる出てくる。
口を開ける様に、ぱっくりと中央に出ていたのを見て
顔をぞっと青ざめるのも当然だろう。
不規則にうねりちらかし、液体が膜を帯びている。
それに触れたら明らか肌が荒れ、かぶれるか痛みを伴うか
いやどちらにせよ自分の身体によろしくないことだけは分かった。
こういうのは二次元だからこそ終わって良いのだ。
誰がお望み通り三次元にご登場させましたとか言いやがった。
誰だよ一体こんなこと作ったのは。私が腐らせたらいいのか?!
いやでも腐らせるなら触れないといけないし、
かと言って触れるのは勘弁願いたいが…
『ひあっ!!やっ!!』
余り後ろに下がればちょんと指が足につつかれて驚き声が上がる。
下からにちゃりと笑って見てきた者にひっと声が上がった。
気持ち悪いという感情はこういうところで
知るものではないと強く声明したいです。
待って究極の二択出てない??
中央に行ったら間違いなく不味いアレに触れるし、
かと言って逃げたら逃げたで知らない人間が
私の素肌を触り続けることになるし。
いやどっちも嫌だ。声を我慢できるのは多分だが人間の方だろう。
かと言って口に何か含まされたら難しいだろう。
丁度良い間の位置に立っていると、下から引っ掛かる感覚が。
『…あっ待って詰んだこれ。』
触手、というべきだろうな。ピンク色の蔦が足に絡まっていると
腰元に後ろから入って中央へと引き戻されてしまう。
『〜っひあ!!ああ!!ああっ、らめ!!やめっ〜〜〜っ!!!』
全裸なので庇えるものが何一つない。
伸びてきた触手に中央ど真ん中に膣がぴったり合う様に
両足が固定され、前に倒れ込む様な形で足を左右に広げ倒れる。
前かがみになってと言っても、股の痛みはない。
足をくの字に曲げ、強制的にぺたりと座り込まされているのだ。
『ああっ!ああ、ああ、らめ、こえ、でちゃ、やめ、っ〜〜〜!!』
中をぐじゅぐじゅと音を掻き立てなぞられる。
気持ちいいところを探されているのが分かるが、
その速度と言い場所と言い気持ち悪さに
それどころか吐き気が出て来そうになるのだが。
両手で止めようとしても股の部分綺麗すっぽり入っていて止めれないし
かと言って上に身体を起こそうとしても両足首に触手が床に固定され
そこを外さないと動けないわで困ってしまう。
極めつけはこの触手が中で大暴れしているところだ。
『あっ、あ、ああ、らめ、あっ、ああっ、』
自分の喘ぎ声だけが反響する。
駄目だ、声を塞がないと音を出さない様に
歯を食いしばろうと手を噛むが
気付いた触手が両手を掴み、
胸を広げる様に左右へ開いて固定する。
『んあっ、あ、やめ、やめれ、むり、だめ、みな、みらいれ…!!!』
膣奥が熱い。好きだからやっていて嬉しいから
という意味で熱くなるのは分かるが、
こういう状況下でなるなんてありえない。
何かがおかしい。そう思って想い出したことに確信を得た。
『っまず、これ、び、やく、こうか、あるんか…?!!?』
嗚呼ならこっちの出番というものだろう。
意識を改変させ、思考を幼稚に変換させる。
そうしたら快楽を感じない処に持っていけるのだが、
『っひうん!!!あっ、ああ、らめ、あっ、あ、あ、ああっ』
そうさせてはくれそうにない。
びくびくと身体が反応し、その都度責め立て、
徐々に水の音がかき混ぜられていく速度も音も上がっていく。
駄目だなんて考えたらいけない。
声をなんとか出さない様にと意識したら
動いてる方に集中してしまう。
だからと言って声を出せば、
近くからふっふと荒い息が聞こえてくる。
こんなところに居たらいくら身体があっても持たない。
彼には悪いが、外に出ようと思ったが…
『(…あれ?なんで?力入らないの…???)』
…まて、膣の奥は何て言ってた?
気を溜め込むタンク的な要素と想い出して声を上げた。
まずい!!そこから今気を大量にとられているのか!!!
『っ待って!!!駄目!!!やめて!!おねがっ、ひあ!!』
速度が変わる。気持ちいい処を分かったのだろう。
身体がのけ反って、快楽を逃がそうとするも両手が使えないので
そんなことは出来なくて。
『らめ、いっちゃ、やだ!いきたくない…!!!』
こんなところでいったらもう帰りたくもなくなってしまう。
いや、穢れたこの身体が、帰れるとは到底思えないが…。
脳裏にサワアの姿が過って、華が咲き誇る。
嗚呼、駄目、駄目なのに。いっちゃ駄目なのに。
トントンとされるところが、形が全く同じになって
メルと幻想まで見えてくる始末だ。
「いってもかまいませんよ?」
『〜〜っだ、れが、いくか…!!ふ、ざけるな…!!!』
「おや、僕に触れられても?」
『お前はあの人ではない。』
「あの人?あの人とは一体誰ですか?名前をきちんと呼べるでしょう?」
『〜〜っ、誰が言うか!!!お前らみたいな奴らに
彼の名を此処で言う訳がないだろう!!!!!!』
ふざけるのも大概にしてほしい。
間違いなくこんな所でサワアが手出しなどするわけがない。
名前を呼ばせ、支配していくつもりならばそうはいかない。
ちゃんと履修済みです。僕ちゃん偉いね!!!!
だから言わない。絶対に、いう訳がない。
自分の名前すらも、言うつもり等ないのだ。
そう思っていると、彼の目が細まる。
冷たい目に、いつぞやの怒りを持った目を想い出して笑ってしまった。
嗚呼、私はこの顔が怖くて、同時にたまらず好きであるのだなと。
何とか快楽を逃がし、思考を切り替えられることが出来た。
まぁ一時しのぎだが、時間稼ぎにはもってこいだろう。
ぴっぴと後ろで金額の変わる音が聞こえる。
「…そうですか。それは残念。では言い方を変えましょう。」
『なにを言おうと、私は…!!!』
「かの者を蘇生させなさい。さすればとめましょう。」
やはりそうか。お前も、お前らもその類の人間だったというのか。
『蘇生させてその後どうする。お前は何を望む何を願う。』
ギロリとサワアの目を見つめて笑いながら言う。
はっと腹から出た低いこえに自分でも怖くなった。
『どうせお前も同じ様に責任など取れず朽ち果てるというだろうに。』
「…っ」
『っ、た…』
あっぶった。この人ぶちました。
ねぇぶたれた!!!!ぶったんだけど!!!!
サワアが私を殴ることなんてないもん…
ね〜〜〜!!!!なんて、言えませんね。
ありましたわ。普通にありました。ありました。
喧嘩もしてますし、なんなら
此間もちょっとしそうになりました。
『…殴ったら売り飛ばせないんじゃないの?嗚呼それとも何?
私のコレを千切ってでも願い叶えたい?コレが毒かもしれないのに?』
「…威勢がやけにいいですね。なれるのが早過ぎますか。それともこれではダメかと。」
『っ』
次はコルンか、とはいっても形を変えても全く無意味だ。
天使の輪が目が姿が、全てが瓜二つであるが、私の模倣の方が万倍綺麗だ。
本物はたった一つしかないのだ。
幾ら作り上げても本物になんてなれやしない。
模倣は偽造は何時だって不完全なのだ。
『〜〜っふ』
「気持ちいいですね?エフェメラル様」
『っ、だ、れが、あっ!!』
「可愛らしいですよ?」
『だめ、こっ、んん』
不味い、思考が蕩けてきている。このまますれば声に出てしまう。
一度おいきなさいと言われて、その冷たい肌が熱い肌の温度を拭い去ってくれる。
いやだ、いきたくない。こんな、こんなところで、いってたまるものか。
いくということは、膣が開くということ。
それ即ちこの神聖なる気を彼らに奪われてしまうということだ。
それだけは避けたい。何が何でも避けたいのだ。
気だけで何もないとは思うが、欠片一つ渡すのは御免被りたい。
これは私が貰えたもので、私が持つべきものなのだ。
幾ら誘導したってそうは問屋が卸させない。
仮にシャッター閉店ガラガラしようとしても腕一つ、
いや棒一切れでも滑り込ませて押し上げてしまうぞ。
絶対に逃がさない。絶対に明け渡さない。
ぎっとコルンに睨み付けるが、ニコリと笑って耳元で愛の言葉を語り掛けてくる。
気持ちいい処を責め続けていたおかげか、股の中央にあてがわれた手にゾッとする。
『っ駄目!!こる、っいまそれしたっ〜〜〜あっ、らめいっちゃ』
「おいきなさい」
『ごめ、あっ、もっ…いっ〜〜〜〜っあああああ♡♡♡♡』
ごりごりっと触られ、奥に突かれた触手から液体を感じ取る。
きゅんきゅんとする膣奥を放置して、
メルは触手に捕まれていた手が介抱されると
前の方に倒れそうになった。
「っと、いきましたか。」
『っは、は、は、っああ!!』
「感度が良いですね。可愛らしい。」
『やめ…!!っんああ!!こる、らめ、こる、いやああ』
胸をぴんぴんと弄られ、口を塞がれて何かを飲まされる。
ゴクゴクと音を立てて飲み干す中、弄られる胸の手を離そうと
両手を使って腕に力を入れるも、全く入らない。
ただ掴んでいるだけなのが無力。
『あ、ああ、あ、あ、あああっ、あっ、んっ、あ、らめ、んああ』
「可愛らしいですね?エフェメラル様」
『やめ、いわ、らいえ、』
一応サワアになっていないだけ私をほめあげて欲しいと思う。
一番がズレているのは、自分が刷り込ませた賜物だろう。
奴らに一番なんて明け渡すものか。まだ翼は出てこないのが救い。
…そう、二番目だったら、良いと思っていた私が悪かった。
『…っえ?まって、まってまってまってなんで?』
「ほぉ?綺麗な羽根ですね?透明ですか。」
違和感を感じてばっと後ろを見つめてみた。
すると透明の翼が空へと羽ばたかんばかりに上に真っすぐ広がり続けていたのだ。
ぴんと立てる前に、メルは輪を見るように後ろを向くが、見えないのは鏡もないからでもある。
だが翼が出た以上輪が見えないはずもない。
間違いなく出ているだろうに、何故だ?
コルンでも出たという疑問と、
偽物であるはずの奴の手で出てしまった疑問と
快楽に負けてしまい、声も、名前の殆どを言ってしまっている事と
色々な情が入り混じって、頭の中がごちゃごちゃになる。
ぐじゅぐじゅと音を立てる、水の様に。
『ああっ、あ、ああ、らめ、とめ、とめれ、こる、らめ』
「綺麗ですよ?エフェメラル様。」
『んあ、あっ、やら、こわ、こわいっ、』
気をずっと放出し続けると、どうなるかは痛い程良く分かっている。
身体から徐々に力が抜け落ちていき、前に居る偽物にもたれかかる様に倒れる。
「ふふ、甘えたくなりました?それとも、私のが欲しくなって?」
『っあ、だ、れが、ああっ、ちか、ら、ぬけっ、らめ、もっ、とっちゃ、やぁああ』
「可愛らしいですね?」
『だめ、またいっちゃ、もっ、やめ、むり、むりむり、たす、たすけっ』
「何度いっても構いませんよ?」
手を恋人つなぎの様に絡ませて言うコルンに、メルは首を横に振る。
最初に深くいってしまったおかげか、喘ぎは止まらないし、
力は入らなくて声も出ちゃうしで、もう散々なんだが。
ブーっと言ったブザーと共に、何かの音が聞こえる。
嗚呼終わる、漸く終わる。
「…とまれと言われましたが、果てておきましょうか?」
『ふぇ?あっ♡♡♡らめ♡そんな』
「奥まで。いっぱいに、注いで差し上げますよ。」
『いっちゃ♡♡もう♡♡むり♡♡♡♡』
コリコリと触られ、身体がびくりと反応して扉を開けてしまう。
一度迄ならず、二度も、三度も。
予想以上に快楽が弱いということに困惑でしかない。
いくっと言って声を上に上げ、快楽に身を任せきったあと、
後ろに倒れるメルの身体をそっとコルンが受け止めてくれた。
ガガ、と音を立てて下に降りていくことで、強い光が見えなくなる。
汗でべとべとだし、この触手意味わからんくらいに気持ちいいしで
もう何がなんだかわけも分からないんだが、
一体全体どうしてくれよう、この火照り続ける膣奥を。
「出来上がって帰ってきたな。」
「……っ、そ、そんな」
「願いを叶えられないというよりかは、
叶え方を知らないに等しいか。」
『んあ♡♡ああ♡またいっちゃ♡♡♡んんん♡♡』
触手が止まらない。マジで止まらない。
お腹がいっぱいで、もう入らないのに入れてくるんだから怖い。
もう足首に触手はないのに、腰が抜けて動けない。
いや、違う、快楽が気持ちよすぎて動きたくなくなってしまったんだ。
『あっ♡♡ああ♡♡すき♡♡らめなの♡♡♡
これ♡♡すきっ♡♡♡あああああ♡♡♡♡』
「っくくくく、気に入ってくれて嬉しいねえ?
いやはや探した甲斐があるというものだ。」
「…貴様…!!!!」
「媚薬効果がなるべく少ないものを選出して
少しずつ溶かしていこうと調整するつもりが
まさか使用済みだったとは思わなかったが。」
『あ♡♡♡らめ♡♡あた♡ま♡♡あげちゃ♡♡
またいっちゃ♡♡らめ♡♡も♡♡ああっんんん♡♡♡』
「気持ちよさそうで何よりだね?」
『きもちい♡♡♡きもちいろ♡♡あっああ♡♡♡』
ごめんなさい、気を渡しちゃった。
そう謝るメルが涙をぼろぼろと落として首を横に振る。
いいんだよと言って頬に手を当て、
ちゅっと音を立ててキスをしてくる。
いいんだっけ?あれ、でも、人とするのは良くなくて。
口に何か入ってくる。舌?きもち、いい?気持ちいい。
でも、良くなかった気が、
「綺麗な子程染まりやすいねえ。」
『あ♡あ♡あ♡ああ♡あっ♡あっ♡ふっ♡ああ♡』
「こいつがコルンか。成程、一応取っておくか。」
『らめ♡♡し♡らいれ♡ああ♡♡ごめな♡♡さ♡
ごめ♡んなさ♡ああっ♡んんん♡♡♡♡』
いけばいくほど、頭が回らなくなる。
ぼけっとする思考に、また口を吸われる。
嗚呼、これされると、ほんと、だめ、なのに。
「溶けちゃってまぁ…かわいい」
『ふぁ♡♡♡も♡♡っろ♡♡ほし♡』
「っくくくく、いいよ?これが欲しいんだろう?」
舌を出して口を開け近づく彼に、メルは口を同じ様にあける。
腰元を引かれ、身体が彼にぴったりとくっついてしまい
気持ちよさに目を閉じて、快楽に身を委ねかける。
嗚呼、駄目だ、もう、堕ちちゃう。
胸を弄られつつ、下の口も止まらない。
上の口も責められて、腰元から引かれた手で
背中も責められると、もう、無理だ。
紫色の目から、目の色が見える。
青い色が、徐々に黄緑色に変化し続ける感じが見えた。
気を大量に吸われると元の状態に戻ってしまうのかと、
他人事の様に考えていた。その時だった。
「其処までにして頂けますでしょうか。」
「…ん?」
「お引き取りに来ました。」
舌が離れて、口が寂しくなる。
もう、なにも考えなくていいか。
そう思ったメルが取った行動に、その場に居合わせた者が固まる。
「っく、おい、まじかよ…!!!」
「っ、あ、ああ」
下げられていたものを手に取り、ペロペロと舐め口に含みだしたのだ。
喉が開く感覚と、下の感覚に酔いしれ、胸元と背中が徐々に熱くなっていく。
コツコツと音が遠くからなっているのが止まると、
口に入れていた物が取られてしまった。
「エフェメラル様、お迎えに上がりました。
…遅れてしまい、申し訳ございません。」
『…ふぇ?』
「……っ、すみません。ほんとうに、」
そう言ってそっと抱きしめてくれるものに、メルは首を傾げた。
ぐじゅりと言ったのは抜いてくれたのか、はたまた動いたのか。
『ふあ♡♡♡ああ♡♡んん♡♡♡』
「苦しかったですね、今楽にして差し上げますから。」
そっと優しく抱きしめ、下の感覚が無くなって違和感を感じる。
じゅぶりと引き上げてくれたのか、下した後は何もない。
動くことがなくて、寂しくなってしまい、
手を動かそうとしたのを止められる。
「…しなくていいんです。もう、我慢しなくて。」
『でも、ほし、ほしいよ、いいの、ほし』
「〜〜〜っ!!!」
キラキラしたその光が、目が綺麗だなと思った。
手を伸ばすメルに、そっとその手を取った者が
メルの胸元にあてるように置いてやった。
「後で沢山、貰って頂ければ幸いです。」
『もらえる?もっと、いいの?』
「…ええ、もっとずーっと。気持ちよくなれますよ?」
ですので今はおあずけさせて下さい。
そう言って頬にキスを落としてくれた者に、
分かったとメルはへにゃりと笑って肩を落とす。
「少し寝ていらして下さい。
次起きたら沢山甘えて差し上げればいいので。」
『ねん、ね?でも、ねれない、のに?』
「目を閉じていて下さい。大丈夫、なんにもしませんから。」
『ほんと?なにも?』
「ええ。なぁんにも。ですから……ね?」
『…ん、わか、ったぁ。めう、いい、こ、だも、ん。』
「ええ、ええ。そうですよ、いい子なら、出来ますよね?」
『う、ん…こに、っ、く』
「……本当に、貴方は何処までもお優しい。」
こてんと胸元で意識を飛ばしたメルに対して
呼ばれたコニックは指を鳴らし彼女の上から白いシーツを被せ
そのまま身を包みこんだ後優しく抱きかかえてベットから降りたつ。
「…寝たか?」
「ええ、今は完全に意識が飛んでいますので。どうぞ、ご自由に。」
「まぁ、管轄内の奴らがすることだからな。こいつを連れて帰るか。」
「そうですね。」
ぐったりと血まみれになっている男性を引っ張ろうとしたチトラに
まてと言って声を掛けたのは
「ビルス」
「そいつは僕が連れていこう。……」
「ビルス様」
「…分かってる。よく、頑張ったね。」
偉いぞと言ってビルスはメルの頭をそっと撫でてやる。
すると嬉しそうにもぞりと動きふふっと笑ったのに安堵した。
「状態は」
「非常によろしくありません。
先程まで翼も輪も出ていましたし…なにより」
「なにより?」
「目の色が…青から、黄緑色へと戻られていまして。」
「………そう、ですか。」
「すぐに戻る予定ですが…」
「ま、そうはさせてくれないと。」
囲まれた4人が周りをじろりと睨み付ければ、ひっと悲鳴が何名か上がる。
「まったく、気を使えない上に通信も出来ない処に
迷い込むとはとんだおバカちゃんだねえ。」
「仕方が無かったのでしょう。そうでもなければこうなりませんし。」
「ですが、我々も舐められていますねえ。」
「全くだな。気が無いと、力なんて出せないなんぞ。」
そんなの在り得る訳がないというのに。
そうチトラが言い切った辺りでビルス二人と共に敵を一人残らず倒しきる。
「もう〜ビルス様。もう少し道を開けるように倒して頂かないと困ります。」
「ええ〜〜そんなこと言ってもさあ、仕方がないじゃん?こいついるし。」
「でしたら渡すとか考えられたら良いではないですか。全くもう。」
ウイスはブツブツ言いながらも杖を消し、
ティオをビルスから受け取って抱き上げる。
血が綺麗になっているのは、
一体どういう意味でなのかは、彼のみぞ知ることだ。
「にしても今から帰るって…なんだか僕、怖くなってきたんだけど。」
「まぁお兄様方に見られたら怒りを買うでしょうね。この星も人間らも。」
「そうでなくてももうバレていたりして。」
「…コルンお兄様、サワアお兄様。」
「見つけましたか。」
そう前から合流した二人の歩みが少し止まりそうになったが、
すぐに足の速度が戻り、その場に止まる。
「…酷い。」
「ありがとうございます。コニックさん、お預かりしても?」
「ええ、っと」
『んっ……』
「嗚呼起こしちゃいましたか?すみませ」
『だれぇ?』
「……っ」
綺麗な黄緑色の目に、サワアだけでなくコルンを見ても首を傾げるメルに、
コルンが何があったのですかとコニックに問いかけるも何もと首を横に振る。
「私が辿り着いた時には…もう。」
「…一足遅かったですか。」
「貴方が帰るべき場所にお送りさせて頂きます。」
『わ、たしが?でも、どこも、ない、のに?』
「……っく」
「コルンさん」
「…すみません。」
「何処も、だなんて寂しいことを仰らないで下さい。
貴方の帰りを待っている方がいるんですよ。」
ですので、其方に送り届けます。
そう笑い答えるサワアに、
メルはそっと手を頬に当てて首を傾けた。
『…?』
「め、る、さま?」
『……ん、わか、った。』
力、ぬいとくね?
…ええ、お気遣い痛み入ります。
そうメルはサワアの胸元にこてんと寄りかかり、
力を抜いて彼の好きなようにさせることにしたのだ。
「この星どうするつもりなの。」
「ひとまずは保留じゃ。」
「ヘレス、お前、本気で言ってるのか???」
「正気か???」
「じゃあお前らはアレか?
あの可愛らしい天使をこの浅はかな感情に身を任せ
破壊しつくせば気が済むとでも?」
あの子が、それを望んでいるとでも?
そう言うと、それはとチトラやリキールらが目を背ける。
「まぁ、そいつらの処罰もまた考える。
…ひとまずは、じゃろう?」
「ええ。警備隊の船に乗り込み、一度この惑星から外に出ましょう。」