この旅に僕らの命は必要ない
前回のあらすじ
なんで天使が次回予告を言い出したのかは私にもわかりません。
以上。
現在メルは、とある地方のとある場所に生活を共にしていた。
彼女の名前はアルカネット。
なんと驚くことにこの星の名前は
最古の惑星第12宇宙に存在していたはずのハイマットである。
一体どういう原理でこの星が生まれ、
そして私が何処に居るのか点で想像つかない。
こっちは赤ちゃんどころか原初の記憶まで綺麗に引継ぎ、
なんなら神々の位置である天使の状態を
維持したまま落ちてきてしまったのだ。
まぁ、と言っても?黄色いタオルケットの中は裸ん坊状態だったので
ある意味では赤ちゃんとして落ちてきたといえばそうなるが…。
加えて住んでいる場所はあのアルトリアが住んでいたであろう家にだ。
アルトリアが此処の惑星を知っているかどころか、
そもそもこの星自体が何処の何なのか点で想像つかない。
いや大事なことなので何回でも言うよ私は。想像つかないんだもの。
「エフェメラル〜?降りてこないの〜?」
『お〜りますおりますおりますおります僕降りま〜〜す!!!』
メルはそう言って走って部屋から衣服を着つつ出てくるのに
其処迄慌てなくていい〜よ〜と笑われてしまい、少し照れて笑い流した。
「そう言えばもうメルがうちに来て早くも半年が立つんだよね?」
『…そうだね。』
「何か帰り道というか、分かった?」
『それが全く。』
明らか次の華神になるであろう候補には、
流石にメルも申し訳なさで会って三日目で全てを話した。
するとアルカネットは成程在り得るかもと言い、
私の事を全部話を聞いて理解してくれた子だ。
髪の毛は赤く、左右にポニーテールとして結わえており、
目の色は緑色で、何処かマルカリータを思い起こさせる姿に
メルは内心似ていることに安堵した。
一瞬プラティアの気配がしたが、
下手したら彼女が生まれ変わっていても
なんら不思議ではない位置。
アルカネットの名を額縁で見つけているから
この土地で彼女と何か約束をすれば自分は元の場所に戻れる。
だが、同時にアルカネット自体
これから束縛されることになることも
きちんと話してやったのだ。
「ならもう一度、旅に出るとかどう?」
『アルカネットさん???正気です???』
「至って正気よ?それに、もしそれが事実なら
天使ちゃん達を解放してやった方が面白、いや可哀想だし。」
『今更っと面白そうだから早くしようって
催促入れようとしませんでした?ねぇねぇ??
しませんでした?しました?しましたよね?
分かってますよ?ねぇ分かってるんですよ???』
「あはは〜〜困らせないでよ〜やっだなぁ〜〜!!」
いやふざけんな。
『まったくもう』
「でも、流石に神様の全てが変わるならこっちだって生活に支障がでるでしょう?」
『出たら貴方の生活に支障がくる処の話しで済まされないんですが。』
二度とこの場所に戻れない可能性だってあるんですよ?
まぁまぁ、そんなこともあるかもしれませんねぇ。
あのですね〜〜そう呑気に言えるのも今のうちですよ…!?
『奴らが来たら私とてこの状態では太刀打ちできません。
貴方を守るどころか、この理自体が崩壊しかねないのです。』
「…だから?」
『だ、だからって…』
「焦って何かを取っても、それは期待以下のものでしかないよ?」
うう、的を得ていることを言いだしてきたな。
「それも含めて、ついでだから貴方の知っている情報と、
この土地が一体何処まで合っているか
確かめに歩いて行こうっていうんだよ?
こんな優しい子は一体何処にいるんでしょうか?」
『あ〜〜はいはい、分かりました。分かりましたから。』
メルはこの場所に置いてあった四次元鞄を持ち、昔着ていた衣装を着飾った。
髪色は理に目を付けられた処から変わらず、青い髪色に目の色も青く染まっていて。
昔とはまた違う姿に、思わず笑いが込みあがって来た。案外わくわくしているらしい。
まぁそれもそうか。なんてったって久しぶりの旅に行くみたいなものなのだ。
精神的に安定している上に、
気はないものの外に自分の足で歩けるから
それだけで気分転換になっているというのに、
これ以上のことを考えるなんて野暮というものだろう。
此処から始まる。幕を開けるというのだ。
下手したら4代目に突入していて、
案外2期の手前に位置していたりとかして。
だとしても理が私であるなら違うだろうし、
理の契りは3人が集結してこそ成り立つものだったはず。
私が存在している時点で4代目なんてありえないから、
時系列的には未だ3代目でとまっていることだろう。
メルは手をグッパーと閉じては開いて感覚を覚える。
この身体はリサが作った様な身体でもなければ、
ウイスが作った身体でもない。
正真正銘、メル自身の肉体であるのだが、
如何せん使う範囲が狭すぎて
現在老人から漸く普通の成人女性程度の体力が
戻って来つついたのをお知らせする。
『準備はいい?』
「ええ、勿論。そっちは?」
『上等。じゃ、いこっか。』
そう言って歩き出した二人に、メルが足を止めた。
「どうしたの?」
『…此処で神様に会ったんだよ。』
「神様に?」
『うん。とっても、優しくて、温かいお人。』
未だに忘れられない。彼のぬくもりに、何度心が救われたことだろうか。
彼が寂しがらない様にも、一刻も早く帰ってやらねばならない。
メルは其処に居ないと分かっていても、声を掛けた。
『…必ず、其方へ戻ります。だからどうか、
この地から旅を始めることを、どうかお許し頂きたい。』
「エフェメラル……」
『いってきます!!』
そうお辞儀をした後手を上げて振りつつ、
メルは振り返りアルカネットの先を走り出した。
それに待ってよーと言って飛び出した彼女の姿を、
背後で本当に見ていた者が居たとは、
この時の彼女らは知る由もなかったのだった。
++++++++++
「それにしても本当にこっちでいいの?」
『うん。一応逆方向なんだけどね。』
メルは地図を見て、記憶の地図と全く変わらないことを良しとし
昔歩いていた道と真逆の方向で旅をすることにした。
というのもだ。
『私が見てきた時間からしたらおかしいんだよ。』
「おかしい?」
『うん。此処は私が最後に出会った場所でもあるの。』
「ああ12番目って言ってたよね?」
『そう、それが1番目になっているってことは
ひょっとしたら逆のことをすれば戻りやすいのかなぁって。』
「願掛けみたいなものか。でもそれだと早くに
アストランティアってところに繋がる華樹に到着しない?」
それって一周回るというか、半周とちょっとを旅してきただけでしょう?
いやまぁそうなんだけどね。
『あの時は元々アストランティアがあるかどうかも知らなかった話だし
それに逆を行くことこそが意味あるって思っているからね。』
「ふ〜〜ん、なんだかよく分からないけど、貴方が良いならいいや。」
それにしてもあの家本当に地主いたの?
ええちゃんといたよ?
『一番目に面倒見てくれていた親友でもあり
一時的な補佐さんでもあった子だけどね。』
「へ〜〜〜長い付き合いなんだね?」
『勿論!色々迷惑かけちゃった上に、
置いてきちゃったみたいで可哀想だからね…』
「エフェメラル…」
『早く帰って、大丈夫ってところ見せつけてやらないと。』
「…そう焦らずに、ゆっくり確実に。ね?」
その通りだ。メルは頷いて先の歩みを少し緩めつつ前を向いた。
「それにしても不思議だよねぇ。未だに理解出来ないもの。」
『何が?』
「貴方が出てきたあの日だよ、」
『嗚呼〜〜あったねぇ?まさか池にぼちゃんして
貴方が落としたのはどちらですかって問われるとは思わなかったよ。』
リサが住んでいた処の池が何故か金の斧銀の斧用女神様になっていて
突如額縁が空に出て来て黄色いタオルケットに包まれたメルが顔を出してやれば
目の前には水を汲みに来ていた女性が目をまんまるとしてこっちを固まって見ていたのだ。
その後、堕ちてきた自分を正直に言えば両方どころか良いモノ全部貰えるかと思いきやだ。
メル単体だけが渡され、気前のよくなった女神様は
ニコニコとしたまま泉というか池の中にもどっていきやがりました。
何もせずに、淡々と答えたアルカネットが本当に凄いと思います。
いや私でも理解出来なくて固まると思う。よく理性聞いたと思うよ君。
すぐに返答しなければ私今頃水の中で溺死していたと思うんだからね。
あの時は身体が全く動かせなくて、
本当にあれから身体を動かすのに苦労した。
全身筋肉痛が一か月はかかったし、
肉体の感覚が掴め出したのは二か月程度はかかったのだ。
まぁ長い月日放置していたと思えば
これくらいで済んでいるのが奇跡だと言えばいいか。
「流石に女性一人賄えるかと言われたらちょっと苦しかったけど
貴方がこの土地に詳しくて本当に私助けられたんだからね?」
『元々浮浪者であの場所を見つけて住み込んだんだよね?』
「そうそう。後から周りの者に見せない様にしていたスイッチ気付いてさ。」
ということは、アルトリアらの力を
操作できる可能性が強い子ということにもなる。
まぁ彼女が華を持っていないのは明白なことではある。
この場合下手したら足ではなく頭に咲き誇る可能性が高いのだ。
その頭にない以上、彼女はまだ咲いていないということでもあり
案外望みが薄いというか、少ない子なのだと半年暮らして分かったことでもある。
出来れば…この子達を巻き込むことなく、自分だけで歩けるなら歩きたかったが。
そう言ってもこの子も含めてきっとそんなこと言わないでって言ってくれるのだろうな。
というか此間言われたばかりで何なら泣いて
抱き着いてきたのであれから言ってもいないことなのだが。
今日は晴天。メルはアルカネットと共に歩き始め、真逆の方向を歩いて進む。
この先を行けばメルダナカエム森に入り、ウォート村に突き進んでいく。
ウォート村からはハローネの異域と言われ、
この星で火山ストリダの次に危険とされている区域があるらしい。
其処ではどんな場所も願いが叶えられる場所へと導かれ、
廃墟となった都、廃都コトと呼ばれる処に連れられるそうだ。
其処には魔法使いの文庫とも呼ばれるグラドウ図書館という場所があり
どんな人だろうが一番必要とされる
本を見つけてくれる超お宝場所で有名らしくてだな、
ウォート村を進めば殆ど廃都ばかりだというのだ。
次は廃都スィルォ。最果てとも称される場所で、
箱舟を使ってミーヌの街に直接移動出来るものだ。
まぁニイナ港の更に奥にあるこの地図上右上の端を辿る様な場所。
基本的に人は滅多なことでは近寄らないことで有名らしい理由は
此処に住んでいる人は殆どいない上に、廃都というのもあって
何が出るか分からないという状態になっていることだ。
モンスターやら盗賊が湧いて出てくる可能性も高いというもので
割と怖いが、四の五の言って元の場所を移動し終えて出来ませんでした。
じゃあもう一度行こうか!とはならない。間違いなく今回で終わらせたい。
確かに旅には出たかったよ?
でも二度も周回するようなことは出来れば避けたいというものである。
するならもう少し別の機会にさせて欲しかったのだが。
まぁ其処からは大体お察しの通りである。
ミーヌの街奥にある華樹を調べた後、
そのまま逆走する形に旅を続けるつもりだ。
確か凍結都市モルガスタンを進み、
ニイナ港に着いた後はビビニカの峠を越え
ナダリア大流砂の中にあるフォミン街、
火山ストリダの麓にある村を辿り、
ムタリア草原の街に行き、
ハル港から星屑諸島テトラサルンに行って戻り、
街ミトスの方に歩いてから家の方に帰って来る手筈になる筈だ。
まぁ終焉の境目とも呼ばれるハローネの異域に喜んで立ち入る者など早々いないだろう。
メルはアルカネットと共に旅をしているだけとして名を隠す為に偽名を使うことにしていた。
だってこれから行く場所は更に向こう側にある、
生きている神様が眠る場所、ラヴィーネであるのだから。
メルは昔使っていたエシュメルと名を変え、
アルカネットもアンチューサーとして名前を変えることにした。
外ではこの名で進み、上手いこと森を抜けて
目的のウォート村に到着した二人は宿屋に腰を掛けた。
『(ひとまずは、一応順調、と言った処か。)』
彼女が狙われない訳もない。
こっちも睡眠の質は良い様に取るが、
天使である以上余り寝なくて良い
この身体に内心歓喜喝采雨あられで
滅茶苦茶な感情を穏やかにさせたメルは
彼女と共に周りの景色を見つつ外を歩きに来ていた。
「綺麗だよねぇねぇエシュメル〜〜!!」
『あ〜はいはい。良かった良かった。』
「エシュメル!?!??!」
『んもう、そんな花何処でも咲いてるでしょう?』
一体何に喜んでいるかと思いきや、
道端に咲いた菫に感極まって
指を指してみてみてと言っていたのだ。
自分も昔はこういう風だったのかと思えば、
何となく彼等に申し訳なさが募っていく。
嗚呼ごめんよ、でも確かに気持ちは分からなくはないよ。
頭を掻いてメルはそれがどうしたのと聞いてやる。
すると嬉しそうに笑ってあのねと
話を進める彼女にメルはにこやかに答える。
こうやって外から見れば誰があの精神崩壊した
元華樹神であるエフェメラルと思えようか。
姿は瓜二つどころかご本人様様であるのだが、
こういう素振りやら気がない時点で軽く誤魔化せば
普通に其処ら辺の人は騙されてくれることだろう。
…まぁ、知り合いに会わねば、という処が厄介極まりないが。
普通にあの時は黄緑色の目だったし、髪色も大分明るくなったから
例え仮に服装が同じだったとしても、まだばれないと思いたいところである。
…それに、確か菫は
『それ、面白い特徴があるんだよ?』
「面白い特徴?」
『開かない花を咲かせて種を作るものなんだよ。』
「これが?」
そう、それが。
『菫は春に咲く花なんだがね、初夏から秋にかけて開かない菫の蕾を見つけたら
それは「閉鎖花」かもしれないんだよ。』
「「閉鎖花」?」
『文字通り閉鎖している、開花しないまま受粉し、種を作り出すものだよ。』
そうして春になればまた花を開かせ、太陽を向いてのびのびとその花を見せつけるのだ。
そんなこの菫にも、色ごとに花言葉が幾つかあったはずなんだが…
忘れてしまうものは、仕方がないというもので。
「この花言葉って何て言うの?」
『確か…ヴァイオレットは「謙虚」「誠実」「小さな幸せ」とかじゃなかったかなぁ。』
「菫じゃなくて?」
『嗚呼英名って分からないか、えっとねぇ〜私の地方での呼び方が違うんだよ。』
「へーーー」
『まぁ菫に似たようななんだっけ、つたばううん忘れた。とにかく色々あるんだって。』
まぁコレが本当に菫だったらの話しだが。
メルはそう思いながら小さな花に手を掛けようとしてから止める。
…そう言えば、四次元鞄に手袋を忍べていた気がすると思い出し、
その白い手袋をはめてから触るメルに、なんでと声が上がる。
『ん〜?どうかした?』
「素手で触らないの?」
『…乱暴に扱わない様に、かな。』
間違ってはいない。万が一にでも素手で触れ、この花が枯れてしまえば
私が華樹神ということはバレることは勿論のことだが、気を使って枯れる為に
自分が隠している気も素性も全てこの地にバレてしまうというもの。
それ即ち、今探しているかもしれないアルトリア達の目についてしまうというものだ。
下手すれば汚染されていて、こっちの華まで根こそぎ取りに来る可能性を考えると
彼女らに会うのは廻廊が終わる寸前辺りまで避けるべきというものだろう。
それにこの場所がもしも、過去であれば尚更会わない方が良いのだ。
少なくとも私は同じ姿の子を見た覚えも素振りも勘もなかった。
ということは、間違いなく避けて通った方が無難と言うものだろう。
それも含めて、今の時系列が分からないのでこの地を逆走しているというのもある。
まぁどこかで必ず会いそうな予感はしなくもないが、その時は何かしらの手を考えるつもり。
いずれにせよ旅先で出会わない様にも、外の人間には警戒して動くのが無難だろう。
メルは周りに少し警戒しつつ、その態度を外に見せない様にも
アルカネットの傍から離れず、とにかく面倒見のいいしっかりした妹素振りを見せつける。
正直アルカネットの方が妹的な位置なのだが、どうしても身長差というものもある上に
彼女の方がそこそこ大人の様に見えるものだから仕方がないというものなのだ。
まぁ私が普通に幼い素振りをしてしまいがちなのが問題なんですがね。変えようとはしてるけど案外戻らないと言いますか、変えられないものなんですよ。仕草っていうものは。
『さ、食べ物も見てこよう。ついでに食べて明日には立つよ。』
「ええ〜?もう少しいないの?」
『馬鹿。何ふざけたこと言ってるの。朝から行かないと魔物に狩られて泣いてぐずるなんてしたくないよ?私。』
流石に二人で魔物にぶちあたりたくはない。
確かにコルン様直伝の超面倒ゲフンゲフン
超絶勉強になった身体の動かし方は戻してはいるが、
え?面倒過ぎて嫌になったとかって?
言っていない言っていないふはははははははは。
『ご飯食べて物見繕ってさっさと寝に行くよ。』
「はぁ〜い。」
これではどっちが姉か分かったもんじゃない。
メルは彼女の手を取って足を進める。
ねぇと言われて何と答えつつもその速度を緩めない。
「素手で私にも触れれないの?」
『…アンチューサー、今日は何が食べたい?』
「ねぇ話を聞いて?今まで一度も触れようとしない。」
それっておかしくない?そう言われて、
おかしくないという口が止まる。
本当はおかしいことを分かっているのだ。
だから口が止まる。理解しているから。
間違いを言うべきではないのだ。
「それは、花の様に乱暴にしちゃうかもしれないから?」
『…貴方を流石に空高くまで高い高いはさせちゃいたくないからね。』
「エシュメル???本気で言ってる????」
大昔ではあるが、その昔、メルは基本的に
自他ともに認めるくらいに温厚な性格ではあるがだな。
それでも驚いたり怖かったりして掴まれると
その掴んだ者を問答無用で投げ飛ばしてしまう癖がありまして。
『まぁ相手が良かったから無事なんだけどね、
僕のお友達は皆受け身取れる人達ばかりだったし。』
「そ、そうなんだ…」
『だから素手で触れたり何か背後からするのはやめてほしい。』
ただでさえ殺気だっているに近いくらいには警戒しているというのに
これ以上気を緩めば何が起きるかわかりゃしない。
これくらいいつもやってのければ何も言わないのに、
なんてお師匠の呆れた言葉が聞こえなくもない。
ははは、そりゃ悪かったな。出来ないままで。
そう内心のコルンに悪態をついてメルは食事を見る為にと近くの店に入った。
いらっしゃいという此処はどうやら薬草やらなんでも取り揃えているらしい。
念の為薬草関係と、寝床の良し悪しは別に近くで採れていたものを出して買い取ってもらう。
こういう処は村にいる間に極力しておいた方が良い。
いやー冒険モノの小説や漫画を読み漁っていた知識が勝ったよこれ。
はい僕の勝ち。なんで負けたか一億年帰ってから出直してこい。
「それにしても良くそろえたねぇ?
こんな綺麗に取れるなんて、お嬢ちゃん良い才能だよこれ。」
『ありがとうございます。』
幼稚に言えば幼さは更に増します。これ鉄板ね。
そうメルはもじもじしつつ笑って答えると、
おばさんがニコリと笑ってくれた。わぁ!嬉しい!!!
「しっかりしていて妹さん、羨ましいわ〜うちの子ってば外で遊ぶだけ遊んで帰って来る時は泥になってくるからねえ。」
「いやいや、そんなことありませんよ。この子だって寝る時は全裸で寝ちゃって困ってますし。」
『お姉ちゃん???????』
待って???そういうの暴露されると私凄く恥ずかしいんだけど。
良い年した娘がだよ。彼氏のこと忘れられずに全裸で寝てるとか頭おかしいから。
あと付き合っていた彼氏は記憶抜けて別の人にとっかえた奴だけど。
あれこれよく考えたら結構えげつないね????よく私怒ってないな????
多分普通にお怒り案件だろって思ったが、普通にヘレスが綺麗なのがいけない。
うんうん、あれは普通に手を出すもん。僕なら絶対手を出す。間違いない!!!!
そう違う方向に行く脳内を止めれずに頷くメルを無視し、
料金を支払って貰いつつ、何処に行くのと聞かれて向こうと指を指す。
「あら、あっちは廃都方面ね?帰って来るの?」
「ええ、一応明日の早朝出てから戻ってきます。
戻るって言っても此方には戻りませんが。」
「そうなの。貴方が良ければこの妹さんに
もう少し働いて貰えたら助かったんだけど。」
この薬草近辺、綺麗に根元から取らないと話にならなくてね?
ああ、そうなんですか。私は其処ら辺うとくて…
『ソレは使用用途が生きてる間に処理した方が良い方の薬草だからね。
だからすぐに使わないのであれば根本から綺麗に切り取って水を与え
とにかく死なせない様にした方が楽なんだよ。』
「凄いねぇ…何かお医者さんでも目指しているのかい?」
『いいえ。ただ生き抜く為には薬草もクスリになりますので。』
そんなことをしても、私は死なない身体になってしまったというのだが。
まぁ彼女を救えるかもしれないと思えば、これくらいの努力どうだってないものだ。
メルはそう言うと、いい子に育っていいねぇと涙ぐんだおばさんに苦笑いだ。
『ここら辺の気候であれば良い薬草も育ちやすいでしょうし、
其処迄貴重なものも存在しないのでは?』
「最近魔物が荒らして荒らして困っていてねぇ。」
ほう。
「それは一体何時からです?」
「随分と前からなんだけど、あちこちを旅しているのか知らないが
今回はこっちの方まで手を出してきちまってねぇ。
ってなんだいあんたら、まさか戦うとかいうんじゃないだろうね?」
「ご安心ください。一応戦闘は心得ています。」
「やめとけやめとけ!アレは百戦錬磨を生き抜いたモノだよ?
そんじゃそこらの嬢ちゃんが勝てる魔物じゃあない。」
そう言われると妙に気になるな。
ここら辺で暴れるなんて中々いない筈だろうに。
「ささ、今日は寝て早く起きな。」
「でも…」
「ほら分かったらさっさとでる!!」
はいと言って逃げるように出た二人に、
おばさんはため息を吐いて店の中に入った。
持ってきたその薬草を見て、深いため息を吐いた。
「はぁ……同じ過ちを繰り返さない様に
とでもいうのかい?ねぇ、アルメリア様よ。」
貴方のお子は、貴方の想った通りに、この地に踏み入れたよ。
そう言って薬草から貰った一輪の青い花を花瓶に差してやる。
写真に写った古びたものに、おばさんは目を細めて笑う。
「もうこの土地どころか、この宇宙全てには、
あの子が知る者など生きていないはずなのにね。」