一体誰がどれだけ傷付くか




それから、メルは大人しく寝て朝を迎えた早朝のこと。
すぐに起きたメルが身支度をてきぱきと行う中、ゆっくりと目を擦りながら起き上がったアルカネットの姿におはようと答える。

「うにゅ、もう、あさあ?まだくらいよお〜〜〜」
『これから早朝になる。もう人がいない間に出るよ。』

幸い此処は料金前払いだ。いつ出ても可能なことは後で噂に聞いている。
夜中一応線を張っていたが誰も来ていないし、一応出た方が良いだろう。

メルは袖を通し、衣服を身に着ける。
黄色いタオルケットを中にいれたらもう準備万端だ。

後はアルカネットの準備を一緒にしてやる。
髪の毛を溶かしつつ、衣服を持たせ、着替えさせた。

鞄を持たせ、目の前にあるドアに手を掛け、そっと開く。
周りを見て大丈夫なことを知ってはコソコソと外に出た。

すんすんと朝の香りというか変な匂いを察知し嗅いだメルに
どうしたの?と少し目覚めたんだろうが、まだ寝ぼけている
アルカネットが問うと、いやとメルが答える。

『なんかみずっけと言うか、あるから。』
「嗚呼霧でしょ、ここら辺濃いからねえ。」
『それだけならいいんだけど…』

一応方角は覚えているし、進むことにした二人は先を進むこと数キロ。


『…分かる?』
「うん。」

つけられてるね?
うん。

『足は一つ二つ、三つか?』
「だね。人?」
『人でないような気がしなくもない。』

走る?
いやこの霧で走るのは避けたい。

『チッ、参ったな…戦闘は避けたいんだが。』

出来るなら気を使わないで相手をしたいが、そうはいかなくなるだろう。
何だかんだ言って自分の握力がないことくらいは分かっている。
女性ですら相手して勝てない自分が男相手で勝てる訳もないのだ。

極力避けて逃げるを選択したいところ。
かと言って杖を使ってというそもそもの杖はこの手に無い。
あれがあれば多少なりとも空に飛んだり攻撃したり防御も
小さな気ですら楽に使えるというのだが…。

まぁそんなことを言っても意味がない。
下手したら神々の可能性だってある。
そうなったら色々終わりだ。

間違いなくあの天使らだったら私を軽々ととっちめあの場所に監禁するだろうな。
おおこわい。待って、普通に考えただけで怖いんだが。

この状態で戻って快楽地獄とかされてみろ。本当に精神崩壊して壊れるわ。
まぁ長い年月を掛けたら戻ってくるだろうが、そんなことさせないくらいに甘やかされたら今度こそ願いが変わって消滅しかねないのだが。

そんなこと言っても理に選ばれたんだから意味もないが、
いずれにせよこの子以外に会うのは避けたい処。

念には念を入れて作っていた簡易の杖をバックから出して警戒を強める。

『アンチューサー、私がやるから貴方は真っすぐ走ってて。』
「っ駄目!狙いは貴方の筈でしょう!?それなら私が」
『それこそ駄目だよ。貴方の命は私の命に等しいものだからね。』
「…どういうこと?」

困惑する目に、仕方がないかとメルはぼやく。

『一番目に選ばれる存在。貴方は私が絶対に守り通す。』
「エフェメラル?」
『ふふっ、貴方にその名前で呼ばれると、なんだかくすぐったいなぁ。』

大好き。そう言ってからメルは彼女の背中に詠唱を唱えて風を送り真っすぐ飛ばした。
これは昔クスにやった風魔法と全く同じ原理で、軽くジェットコースター気分を味わえる為
後で怒られても問題はない。一応色々物が出たら避けてくれるというものが搭載されているので。


さて、出払った。


『隠れてないで出てきたらどう?と言っても、私は貴方達に捕まる予定はないが。』
「…彼女が次の命に授かった者ですか。」
『チッ、やっぱお前らか。この天使が。』
「前に見ていた態度とは激変ですねえ?其方が本性で?」

出てきたのは予想通り、天使らだ。コルン、リキール、そしてイルの三名。

幾ら何でも分が悪い。

前に戦った時のリキールよりも恐らくコルンは
大神官の命により、彼に力を入れられて指導されていることだろう。
自分の動きは強いて言うならイルと互角か、それ以下の筈。

気は殆ど扱えない上に杖はない。

もうお手上げ降参した方が良いくらいなのだ。

「大神官様がお帰り下さいと申されています。お帰りになって下さい。」
『…今は無理。と、いったら?』
「この場で気絶させ、貴方を強制的に戻します。」

そう言って詰めてきたコルンに、メルは横に避けて距離を取る。
あぶねぇ。普通にあぶねえ。私確かに気を使わずにしているんだが。
どうも彼等とて知識があるらしく、こっちを監視してくれていたようです。

「貴方の状態は非常に脆い。あの地で大人しく寝ていて下さい。」
『はっ、栄養素にして新たな別の華樹神を作る、つもり?
嗚呼それとも?お前らの母親がアイツだったと?』
「…うるさい口はさっさと閉じて頂けますか。」

そうは言っても貴方に教えて貰えた武術が功を奏しているんですよこれが。
一応念には念を入れて全方向性で鍛えて貰っていたのが良かった。
木々の中だと動きをとにかく少なくしないといけない。

こっちから叩きに行くべきだが、
相手が身長差もある上に
体格差もこっちが不利なら
極力逃げに徹しろと貴方が入っていたんですよ貴方が。

なのでこっちも逃げているんですが、
とにかく逃げるなら確実に背中を見せずに
最初は機会を伺えというんです。

そうでなければ視界に入らない処から攻めいられるからね。
ほらちゃんと分かってるよ。褒めて褒めて!!お師匠褒めて!!

でも調子に乗ったら絶対足元掬われるからね。

『っと!!』
「っばか!!」

足を取られる筈の所を避けると反対方向からも
来ていたリキールがイルと頭をぶつける。
三人で私をとらえようだなんて、そうは上手くいかないのだ。

私はこれから長い旅路に幕を開けなければならない。
そうはさせたくない彼等にも、理由が何となく分かる。
恐らく、この廻廊に眠る悪魔であり天使でもある彼等こそがイレギュラーであるものだろう。

まぁ前世どころかとんでもなく昔の記憶を持っている上に理らにも気に入られているからな。
今大神官側からしたら目覚めた感じだろうし、下手したら私を良い様に利用するのかもしれない。

この華が咲き誇ることこそ、意味を成すというもの。
春が来てしまえば、また花を咲かせ、息吹が吹き込めば
今度こそ理に続く華が咲き誇り続けることだろう。

この頭に、大きな花冠を携えて。輪を3つ揃えれば。

この私こそが勝利を勝ち取るというもので。
そこに辿り着かせない様にとこいつらを派遣したことだろう。
というか12宇宙の奴らはどうしたんだ。

余り考える暇は与えない方が得策だと感じ取ったメルは
そのまま彼等から離れ、とにかく彼女が走ったであろう場所に走り続ける。

人間に近しいこの状態でもある天使の自分が、
コルンに捕まった後のことを考えてぞっとした。

おお怖い。特に怖いのは廻廊から出た時のお師匠様が怖い。
もう絶対分からせるまで快楽漬けにさせてくるだろう。
えっ待って?普通にもしもあそこにいたら私死ぬくない???

待って此処絶対切り抜けないといけないやつやん???

でも相手男三人たいして私女一人やぞ???

まぁそう言わずに、メルはとにかく走って走って走りまくる。
彼等の相手は軽く避けて走るしかない。とにかくこっちが早く速く、切り抜けるのみ。

だというのに、決まりきって、こういうのはついていないのだ。

『わぷっ!!!』
「っと、捕まえましたよ…!!」
『っや!!はなっ、して!!』

後ろばかりに囚われていたのが悪かった。
前に来ていたことに気付かず、身体が止まらずに彼の身体に突撃してしまったのだ。
逃げようとしたら腕を掴まれるその手から離れようとするも、握力というか身体の体格差上勝てない。


「暴れないで下さい…!何処にそんな力が眠っているんですか…!!」
『なら離して…!私は、いかないと、いけないっ、の!!』
「なりません…!!身を休めて下さい…!!」
『やっ!!!』

ならば、仕方がありませんね。そう言うコルンにメルがえっ?と顔色を変えた。
ぐっと引かれ、顎をあげられて気付くのは口を合わせたことであって。

『!??!!?!?』
「っちゅ」
『(あ、やめ、やめ、て…)』

口を開かせようと舌を入れてくるが、なんとか堪える。
腰に手を回され、片手はもう片方の腕に取られて身動きが取れない。
ジタバタしていると腰の方から背中にかけてなぞられて思わず声が上がる。

『ひあああっ!!あ、んんっ』
「…ちゅっん、んっ」
『ふ、んん、あ、っ〜〜〜!!』

口が開いたことで舌が口の中に入ってくる。
歯をなぞられ、ぞわぞわする背中と共に身体の力がどんどん抜かれていく。
嗚呼駄目なのに、感じちゃ、いけないのに。

触れてくれるところが熱くなって仕方がなくなる。
ロウやリキールの姿が見えないのは彼女を追いかけに行ったことだろう。
暫く口の中を弄られている間、腰元を不定期に触られて身体がもじもじする。

避けようとして身体を逸らしていると後ろの樹にいつの間にか押され、身体の逃げ場を失ってしまった。

「っちゅ、ふっ、」
『ん…んんっ』

舌を舐められ、気持ちいい処をなぞられて身体が負ける。
手の力も抜けきったことを確認したコルンが持っていた腕を離し、
そのままズルズルと落ちるメルの身体をなるべく丁寧に下ろしてやる。

『っあ、あっ、やめ、だめ、やらあ』
「軽くするだけです。委ねて。」

無理。普通に無理。誰が委ねるかと思っていたが、久しぶりに触られると熱の帯び方が尋常じゃない。
胸を軽く弄られ、つねられて声が跳ねる。

尻を付いてなるべく膝で抵抗するも片手で触られた場所に声が上がった。

『ひあ!!あっらめ、んんっ!!』
「っふ、…っ、」
『んっ…ふ、んん……』

胸を弄られ、下も軽くさすられながら口の中に侵入を許した身体の力が更に抜け落ちる。
もう自分で立って動くことも中々に難しくなってきてしまった。

やばい、気持ちいい。気持ちよさに身体が身を委ねだす。
びくんびくんと反応する身体に、コルンの目元が細くなる。

『っ、あっ、ああ、らめ、っあ!』
「っくくく、気持ちよさそうですよ?こんな外でやっているのに。」
『〜〜っ、やあ!いわらっ、いれ』

そんなの貴方に調教されたところをピンポイントで突いてくるからだろう。
一応違う筈なのに、全く同じ様に愛おしそうな目で見られたら一瞬でも気が緩んでしまう私が馬鹿です。
もうこれ戻った時コルン様に殺されるかもしれない。先に覚悟して置いた方が良いかもこれ。

コリコリと蕾を弄られ、喘ぐ声が止まらない。
なんとかして手でその腕を掴むも、全く止めてくれないから成すすべがない。

『あっ、あ、あ、あっ、っんん、らめ、ちからっ、ぬけ、ちゃ』
「抜いていいですよ?…エフェメラル。」
『ひあっ!ああ、らめ!やあ、そのっ、なま、よばっんん!!』
「愛してます…メル」

そう耳元で言われ、背中がぞわりとする。
首元に触れられ、軽く噛まれて身体がのけ反った。

駄目だ、其処に触れられると気持ちよさに溶けてしまう。
快楽は本当に太刀打ちできないのだ。

『あ♡らめ、そこっっああ!!』
「此処ですか。気持ちいいですねえ?エフェメラル様。」
『やああ!やら、ちがっ、』

くちゅくちゅと音を立てられて身体が快楽を欲しがる中、下着の中から無理矢理入ってきた違和感に身体が飛び起きるもつかの間

『〜〜〜っ、なっああん、に、しらっろ…?』
「少し貴方に刺激が強いものですよ。時期に慣れるでしょうが。」
『あっああ、うごいてう、うごっ、ああ、こるう、こる、とめ、とめれよお』
「〜っ…すみません、私はお父様に逆らうことが出来ないので。」

中で動くものを取ろうとした手を片手で取られて避けられてしまう。
そのまま胸を弄られ、声がとまらなくなる。

『ああっ、らめ、いっちゃ、いっちゃうの…!!』
「いってください。楽になって?」
『やあ!こるう、こる、たすけっ、こるん…!』
「私がいますよ?」

こっちを向いてと言われ、顎を取られて目が映る。
その紫色の瞳に、身体の力が抜け落ちる。

…あれ?わたし、なにして?

「エフェメラル、私に身を委ねなさい。」
『…こ、るん?』
「ええ、貴方のコルンですよ?エフェメラル。」
『あっ、こる、こる、ん、らめ、いわら、いれ…!!』
「ふふっ…こうですか?メル?」
『ひああ!!あっ、らめそこ、すきらろっ、いやあ、むりむりむりむりなろ』

中に入った奴が悪さをして刺激が増す。
見つめ合うその瞳が離れられない。
吸い寄せられるように口を開けてしまい、何かを入れられる。

コクコクと飲みこんだ身体が妙に素直で。
飲み切ったところで口が離れていくと、身体のほてりが更に熱さを増す。

「貴方に使用していたかつての媚薬を調合し直した原液です。気分はどうです?」
『…あ♡らめ♡ほし♡ほしいろ♡なかっ♡めう、の、なかあ♡こすこす♡こすこす、してよお♡』
「っくくくく、ええ、構いませんよ?帰ったらたっぷりと。」

貴方に刷り込んで差し上げます。

そうにやりと笑って口づけるコルンに、メルは身を委ねる。
いく、いっちゃう。身体がこわばったことに、コルンの手が強まり、速度も速くなった。
そんな、乱暴にしないで。もう、我慢、できなくなっちゃう。

ぞわぞわと這い上がった快楽に、身体が持たない。

『っふあ!ああ!らめ、こるん、こるんらめえ!いっちゃういっちゃうもうむり!!』
「おいきなさい」
『〜〜〜っ!!いっちゃ、うっ、むいむいむいらろあっ、ああっ、んんんんん!!!!』

ぷしゅっと音が鳴っているが、外に出てきたのがまた中に入っていくのを感じる。
もうコルンに支えて貰っていないと身体を動かせないままでいて、
メルのその身体をそっとコルンは抱きかかえて宙に浮きあがる。

『あっ、ああん、こる、こるん、らめ、くっつけちゃ、また、またいいっ…!!』
「まさかこれ程まで薬に弱いとは思っていませんでしたが、まぁ好都合ですね。」

先程から軽く二回程いっているメルの目は、もう蕩け切り、何も考えられなくなっているように見える。
実際中のを抜いてと懇願して服に縋り付くメルだが、動けば動く程中のものが暴れるのを彼女が分かったのか
少し身体を丸めて肩を震わせ耐え始めた。

「ソレは貴方が気持ちいい処を探しては愛液を養分として成長していきます。
まぁ種から宿した状態ですし、貴方の良い愛玩具として重宝することでしょう。」
『ああ、らめ、も、いきら、くない、よお…!!こるう、ねぇ、こる、やめれ?ねぇ』
「ふふふ、止める訳にはいかないでしょう?こんな可愛らしいお姿が見れなくなってしまうではないですか。」

丁重にお引き取り下さい。みなくていいので。
まぁそう思っていても身体がそうは言わせてくれない。
気持ちよさで声が出なくなり始めた頃、先に帰りましょうと言って杖を使い
何時も生活していたあの地に飛ばされる。

コツコツと廊下を歩くその速度を遅くしようと軽く暴れるが、
暴れたら暴れたで中でも暴れられて、コルンの肩にしがみついてしまう。

「ほら、付きましたよ。」

そう言われて降ろされるのは違う部屋。
何処の部屋かも分からない白いベットの中に降ろされると
メルはきょとんとした顔で首を傾げる。

「…愛らしいですねえ?エフェメラル様。」
『あっ♡らめ♡いわら♡いれえ…!!』
「かわいいですよ?」
『んん♡♡らめ♡これ♡とっれよ♡♡♡』
「貴方が此処から出ないと誓えるなら取ります。」

そんなの無理な話なのだが。あの、お兄さん未来に行かせて下さい。
多分これあれだ、両方に引っ張られて私引き千切られる奴だ。
あの左右から引っ張られて割けるやつ。あっやめて普通に想像してぞっとした。

私この場合どうなるの?えっまさか精神分断して私二人になっちゃうとかある?
嫌、だとしても片方は理で片方はサワアといちゃらぶ…???何それ普通に戦争にならない?無理じゃん。

とにかく別の事を考えて理性を働かせるようにするしかない。
おいこら起きろ。いい加減性欲とか人間様様から外れたんだからいらねぇだろうが。

そう言ってたたき起こそうとするも、膣の中で暴れる生物に翻弄されて喘いだ声に身体も反応して力んでくる。

嗚呼駄目だ、この調子じゃ、難しい。

「…ほんと、愛らしい方だったのですね?」
『んん♡♡らめ♡♡これ♡♡お♡♡ぼえちゃ♡♡らめらろお♡♡』
「覚えて下されば、もう。何処にも行かないのですよねえ?」
『いっく♡♡いくろお♡♡だっれやく、そく、したからあ♡♡』

サワアと一緒にこの地でずっと笑って居られるように。
その場所を一緒に守ってくれると言ってくれたコルンと。
三人で、ウイス達も含めて全員で。何時までも笑えるその時間に。

記憶もなくしたもの?馬鹿を言うな。私は全部まるっとお見通しなんだ。

その肉体の中に隠れている天使ではない「ナニカ」を持った者に、屈するとか絶対ないんだわこちとらよお。

それにコルンならもっと気持ちいいところ突いてくるし、滅茶苦茶意地悪だからお前は間違いなく偽物だってわかる。
あれ、これ普通にお仕置き案件では…?どちらにせよ、私。捕まってるし。

いやだとしてもあれを喰らって正気で居られる気配は一度もないわけですよ。


ていうか段々腹立ってきたんだが…。
なんで一緒に居られないの。私が何をしたというのだろうか。
身体の中に渦巻くこの虫がキュウと音を立てて快楽が消え失せる。

その状態に、目の前のコルンが少したじろいだのが見えた。

触れようとしただろう?分かってるよ?
そのまま快楽に落ちて、自分も喰おうと思った?
その中に生きているお前は「天使ではない」のに?


『こるんのすがたで、わたしに、ふれないで。』

何時だって私はあの人しか選ばない。
貴方の目は、欲望に満たされた様な目だ。
彼の目は何処までも遠くを見つめ、それに相対する価値を見せてくれる。
お前は違う。お前は、面を被ったナニカに過ぎない。

身体の中が何かで巡り始める。一体何かは、分からない。
分からないけど、コレが良い兆しという事だけは分かった。

「っな!!おやめなさい…貴方現状どうなっているのか本当にお判りなのですか…!!」
『お前の方が分かっているのかって言うんだよ。ばぁか。』
「ばっ!?!?!く、口を慎みなさい…!!!」
『お前、華樹神が華を咲かせてその華だけを目当てにしてるだろ。』
「は!?」

驚く彼の姿にメルはケタケタと腹を抱えて笑う。
嗚呼おかしい。主に先程から
ずっと全裸になっている処も含めて
笑わせて欲しい。まぁ笑えないところなんですがね。

これで分かった。というか、

「っ貴方、まさか敢えて知る為に嵌めたというのですか…!?」
『は〜〜〜ハニートラップは好きじゃないんだがな。』

そう言いながらメルは青い瞳を輝かせ、その地に黄金の草花を咲き誇らせる。
地面に倒れて身動きが取れないコルンの顔の前でニヤリと笑い、その草木で小さな椅子を作り腰掛けて笑う。

『まぁ気持ちよくはなれたよ?おかげで良い資料もとれた。媚薬効果のある寄生生物を使ってくる処、間違いなくコルン様ではないとは思っていたがな。』

あの人自分の手で調教してくるし、なんならそれ知って反応見て笑うくらいだろうから本当に悪質なんだよ。本当に。

『でもお前は優しいね?生物を使って楽にやろうと過ごしたんだ。
…この弱った神様の心に漬け込もうとして、楽しかったかぁ?』
「っぐ…!!」
『ま。ご生憎様?お前らのやりたいことは全部拒絶され叩き落とされる。
…この地で制するのは悪魔の生まれ変わりである天使らただ12人のみだ。』

別の徳を積んだからと言って、縦横無尽に動けるとは思わないことだなあ?

『さて、と。御迎えも来たことだし。僕は元の場所から移動しますよっと。』
「お、むかえ?はっ、馬鹿な、あな、たの知るも、のはど、こにも、存在しな」




「いいえ?存在します。彼女が忘れない限り。私達が忘れない限り…ねえ?」
「っ!?!?!」


良く頑張りましたね。偉いですが、余り無茶をなさらないで下さい。
わ〜〜!ほめられたあ〜〜!!でもこれしかなかったから許して…?
ぐっ…今回だけですよ?
コルンさん??????


「貴方そうやってメルを甘やかしていません?」
「なっ!!お兄様にだけは言われたくありませんよ!?」
「ほーーー??なんです?先程の続きと行きますか?」
「っごほん!!お二人共其処までにして下さい。
今は彼女を保護し、尚且つ元の場所に戻すのが先決では?」

我々三人があの子達の力を使って無理矢理
此処に戻って来た理由をお忘れですか…!!
すいません。

そうコニックに怒られる二人に、
メルはニコニコと笑ってサワアから
黄色いタオルケットに身を包む。

『でも僕、たぁくさん、頑張ったんだよ?』
「…ええ、分かっていますよ。」
『えへへ〜〜!きゃぁあ〜〜!!』
「さて、あの者はどうします?」
「普通に消滅は無理ですし、このまま撤退が吉かと。」
「お、まちなさい…!何故私の姿をしているのです…!!」

彼女をどうするおつもりですか
そう言うコルンの姿をした者に、コルン自らがギロリと目を落としてはぁと答える。

「私の真似事をしていて、それでも理解出来ないのですか。
…浅はかにもほどがありますね。本来であればお父様、いえ
大神官様にご報告をしてから然るべき処罰を取るべきでしょうが…」
「ま、ことがことですからね。これくらい許されて良いでしょう。」
「メルを喰おうなんぞ、一千億年早いというものですよ。」
『わあ。…でもまだくわれてないよ?』
「エフェメラル様????」
「ちょっと貴方はお黙りなさい。」

あっはぁ〜い。

「彼女は我々の者です。お前等に渡せる権利も道理も何もない。」
「…それが模倣の言い分ですか?随分と凝った形を取りましたねぇ?」
「…貴方、」
『ちがうよ?ソレは模倣じゃあない。』
「は?」
「っ、」
『だって本物は、こうやって触れたら印が浮かび上がって来てくれる。』

お前が首元に触れた時、同じ様に光ったか?

『コルンの場合は胸元、又は首元が光る筈。』

ねぇ、ふれて?
…仰せのままに。

そう両手を広げておいでとポーズをとると、
コルンは睨んでいた目を緩め、
彼女の元に渋々従うように歩いて
その身体を抱きしめてやる。

きゅうきゅうと喉を鳴らして嬉しそうにする
メルの首元にそっと触れてやれば、なんということだろう。

「っな!?!?!?」
「…ま、当然のことですね?」
「ええ」
『僕らは印で繋がる存在。例え模倣でも夢でも幻でも現実だって。
繋げた存在から一度離れたら印は浮かび上がることすらない。』

まぁその前に気付いていたが、色々情報が欲しかったのと。

『私も杖が欲しかったので、ね?』
「はいどうぞ。ですますわ?」
『えへへ、ありがとぉ、マルカリータ♡♡』
「どういたしまして、ですますわ〜♡♡」

それにしても随分と可愛らしい格好をしていますですますわね?…襲われたいので?
っひゃえ!?あっちょ、違うんだって!!襲われてたんだっこっこら!
ちょ、まてまてまてまて、どこさわっ、あっああ、むりやめっ、らめ!!

そう第二ラウンドが開始されていくのを見るに耐えれず
コニックらはそっぽを向いて目を閉じて迄して目を逸らしたが、
耐えきれなくなったコルンが声を荒げた。

「〜〜っ!!マルカリータさん!!
エフェメラル様を愛でるのはおよしなさい!!
少なくとも今ではないでしょうが!!!」
「あっ其処に怒るんですね〜〜。」
「まぁ事実でしょうが…ほんと怒りの沸点が
変わってきましたよね、彼もまた。」
「ふふふふふ、まぁ可愛いですし、仕方がないですよ。」

あと愛でるのは私だけでもいいですよね?
それはさすがに…
待って下さい。流石に三人同時に言われると困るものがですね…

そうこの世界に生きている筈のコルンを他所に、
天使らがざわつくざわつく。
メルはそっとサワアに抱き上げられると
ぱちくりとサワアの目と見つめ合った後ニコリと笑い合う。

何だかんだ言って、サワアの事が大好きなメルでもあるが、
サワアとてメルの事が大好きであるのだ。
とりあえず未然に防げる処ではないが、
まぁギリギリセーフと言った処で回収できたのが良いというもので。

「…っと、流石に長いは無用ですね。」
「急ぎましょう。さっさと道を開けて下さい。」
『ええ?!私がするの!?!?』
「貴方がしなければ廻廊者は貴方でしかないでしょうが!!」
『ええ〜ん!お師匠が鬼だよお〜〜〜!!!』
「誰が鬼ですって…???」
「こ、コルンさん!!まぁまぁ!!!」