どうか世界よ、今のうちに終わりを迎えて
前回のあらすじ
模倣のサワアから逃げ惑って廻廊へと入りました。
以上。
『…あーあーーーてすてす、てすっしゃ!!!!!!』
声も枯れない。気もある程度の操作は可能と来て思わずガッツポーズが出てしまった。
いや…それにしても、
『どうしよう…向こうに戻ると言っても、流石に入って戻る場所は限られているし。』
かと言って杖を取り戻したいが、此処から取れる感じはしない。
その為彼等に相談もろくに出来ず、ただ全裸で逃げてきたお姉さんになっているが。
これ普通に頭おかしいのでは。そう思っても身体の衣服を整えられる気はしない。
いつの間にか胸元に咲いていた枯れた華はきれいさっぱりなくなっていたのだ。
それどころじゃない。
『うわ…気が、ない???』
まるで一度落とされたあの日と同じ感じだ。
まぁと言っても、此処に入るのは初めてだが…。
幼い頃は此処に迷い込む前に切り替わり続けていたし、
此処の状態を知ったのはそれこそ、ある意味では
彼等と初めて出会ったであろう11番目の流れに付いた時期である。
どうしよう…花冠を交換する処、ちゃっかり見れなかったのだが。
強いて言うなら心残りがあるとしたらそれくらいか。
……案外冷たいな私。彼女らの努力が泡かよ。
まぁそんなことは、どうでも良い訳ではないが…。
『確か廻廊は華樹神が華樹神として成る為の試練場に過ぎないが…』
どうしようもない時だけ、別世界に飛べる扉があったはずだ。
だが…そこに入るつもりは更々ないというか、だ。
『…此処が空白なのマジで困るんだけど。』
えっ、待って?私これ、新たな12の人間集めるまで現世に帰れま10なってる?
正確には帰れま12?いやんな馬鹿なことを考える暇あれば別の事考えろ馬鹿。
『とりあえず、気は使えない。記憶は一応、ある。』
その為本を作り出してとかいう以前に、そもそも気がないので創造も不可能。
文字通り此処に閉じ込められたみたいな形になってしまっている。
形状は一応自分が作っていた形そっくりではあるが、何処をみても空白で
まるで作られていませんでしたみたいにも見えていて割と笑う。
『…はーーーー、これどっちだろうな。
私の記憶が抜けていて空白なのか、
そもそも此処から始まることなのかどうか。』
まぁ絶対後者だろうな。
どうせサワアはヘレスにお熱だし、
このまま私も次の華神らの選定にと足を進めるべきだろうな。
だとしてもだ。いや〜〜〜3期に入った
というのも過言ではないのか?これまさか。これ。
『一応記憶が正しければ、全部覚えているんだがな。』
その為自分の記憶にある存在の性格を作り上げているので
まぁ自分で自分の皮を被っているという
なんとも意味の分からない奇妙な状態になっているが。
『さて、何処からどうやっていけばいいんだこれは。』
また額縁から入ってしまえばいいのか?
というか、次は一体何処に向かわせるつもりだこの野郎。
いっそのこと悪魔なんだから悪魔を束ねてやろうって?
ははははは、そんなまさか
『…まって頭痛くなってきた。』
次は悪魔を従えに私はこれから落ちるのか。
まってよ駆動。動かないでよ歯車や。
とりあえずと思って下に降りる為にと階段を使って歩いていると
よくよく見れば幾つかは絵画が描かれていることに気付いた。
『…はーーー成程、会ったことのある子達は何となく場所が分かれるのね。』
肖像画だろう絵に納得を示す。
横顔で少し申し訳なさそうに見えた絵は綺麗にも見える。
番号が振られている処をみて、恐らく一番下にいけば
この場所の意味も分かることだろうと踏んだメルは速度を速めた。
『きれい』
最初に見た時は、とてもじゃないがみれたもんじゃなかった。
でも、そんな姿はない。彼女らの終焉は幕を終えたばかり。
そして、また、春が芽吹くというのだろうか。
綺麗な額縁に飾られた、昼間の姿に、メルは涙を零した。
大きな華樹が、こっちへおいでと手招いているように見えて
手を伸ばし、そのまま世界に入ろうとした。
「行ってしまわれるのですか?」
『っ…!!!』
その声に緊張が走る。彼が中に入れるとはとてもじゃないが思えない。
なら、模倣でも幻でもなければ、一体誰だというのだろうか?
『…次を、回してやらないと、いけない、から。』
「…そうですか。少し寂しくなりますね。」
また、貴方に会えなくなる。
そう言った彼の言葉に振り返った
メルの視界は黄色に染まっていて。
みせてくれない。姿を。みせない。
そのことに、メルは安堵し、
涙がボロボロと零れ落ちる。
「嗚呼、泣かせるつもりはなかったんですがねぇ〜。」
『っふ、っごめ、ごめ、んなさっ』
「反省しているなら何も言う事はありませんよ。
…まぁ、貴方には少々早過ぎていたので、
此方側から手招いて正解でしたね。」
あの華を枯らせ、手折ることも防げたことですし。
『え?』
「ふふ、貴方を忘れて死ぬならば、
私も同じこと、ということです。」
貴方が覚え続けている限り、
「この僕は決して、死ぬことなど
在り得ないというものですからね。」
『っさわぁ』
「さあ、どうかその胸にある感情を廻しておいでなさい。
そして巡り巡り、11番目でまた、お会い致しましょう?」
嗚呼、酷い。狡いことを言う。
黄色いタオルケットに身を包ませて、
外の情景等見させてくれない。
見てしまえば、この廻廊からすら出れなくなることを分かり切っていたから。
「あの愚かな愚弄は私が後で説教しておきますので、どうかお許し下さい。」
『許すもなにも、元々好きだったんじゃ』
「何気色悪いことを仰るのですか。
精神崩壊して思考も崩壊してます?」
『ねぇ??まって????酷くない?????』
貴方私に対してのメンタルが
日に日にましてやしないです???
気のせい?ねぇもう少し
優しかった気がするんだけど
ねぇ気のせい???
そう言うメルに、そんなもんですよとサワアが答える。
「ほら、逃げて来れたんですからさっさと行く。」
『へっ!?あっちょ!!こら!!
身体持たなくても動けるぞ!??!』
「抱かれていてください。」
『っ』
「私とて、辛いのですから。」
貴方とこうやって、会話が出来るなんて。
「マルカリータさん辺りが発狂しかけてるので
さっさと戻ってくることですね。」
『え?』
「ふふふ、我々は貴方に印を付けられてしまっているのです。」
貴方が望む場所にしか、生きれていない。
そう言う彼に、かつて見た
暗闇の中で眠る天使らを思い出した。
『っまさか!!』
「ええ、あの場所こそ、貴方が仰る通り、
我々が生きているというもの。
ああ、先に補足しておきますが、
大神官様は眠るというよりかは
意識を一瞬奪われたに等しいものでしたので、
先に貴方方からの呪縛から解かれました。」
『じゅ、じゅばくて…』
まぁ酷い言われようだが、
仕方がないっちゃ仕方がないか。
「破壊神や界王神らは印が無い為に
そのまま出て来ちゃっていますが」
『え?????』
「ま、そんなことはどうでもいいです。」
どうでもよくないよ???
それって奇跡的な確率が
起きているってことでしょう????
「あの時から僕らはずっと、
貴方と共に眠らされているのです。
いい加減睡眠はこりごりですので、
さっさと戻って来て下さい。」
そして、目一杯に、甘やかせてください。
「理に成るまでが、遠足、なんてね?」
『ちょ、さわっああああ?!?!?!?』
「ふふ、いってらっしゃい。
僕の愛している、エフェメラル。」
なぁんて、ね?
そう言ってサワアはメルを額縁の中に
まるでタオルケットをベットに
投げ落とすかのように飛ばした後、
そっと両手で包んでいた
空白をなだめる為に
後ろへと手を回して
頭を少し、落として笑った。
その背中姿が、
寂しそうに見えたのを、
天使らは気付いていた。
そう、この場所に、
12の天使が生き続けていたのだ。
「…もう大丈夫そうですね。」
「いや、本当にあの子の力が末恐ろしくて
未だに身震いできそうなんですが…」
「右に同じく、ですね。
全くどういう躾をしたら
こうもなるんです?」
コルンお兄様。
「知りませんよ。言っておきますが、
明らか私の管轄外ですからね???」
標的がコルンに向くのに対し、
コルンは否定し首を横に振って答えた。
「誰が今までの記憶を華樹神の中に
閉じ込める技を教えるというのです。
こんなもの知っていたら
教える訳もないでしょうが……!!」
「あ〜〜〜あ、怒ってますねえ?」
「怒っていますねぇ〜〜?」
クスクスとウイス&ヴァドスが笑う中、
それにしてもとコニックが声を出す。
「まさかあれ程まで気の質が落ちるとは
…お兄様方も隅に置けませんねぇ?」
「なんです?嫉妬とは浅はかですよ?」
「ばっ!!なっ!!ちっ、違いますよ?!?!?!」
「おや?そうですか?私は彼女に選ばれなくて
悔しいと思って居そうだったのですが。」
「違いますよ!??!!?」
「っくくくく、そう言う事に
しておいて差し上げましょう。」
「だから違いますからね?!?!」
慌てても墓穴を掘ることには違いない
コニックに周りも思わず笑ってしまった。
「彼女、死にませんよね?」
「馬鹿言わないで下さい。死ぬわけがないでしょう。」
「正確には、死ぬことも消滅すら許されない
位置になってしまった、という処でしょうが。」
「サワアお兄様…」
「お父様も我々のことを怪しんでおられました。
…彼女が我々を外したのも、何かの策があることでしょう。」
「案外なかったりして。」
「在り得そうなことを仰らないで下さい、クスお姉様……。」
そういうことにしておいてやれば、
あの子の動きも多少納得がいくというのに。
そう頭を抱えるコルンとサワアに、クスは笑って答える。
「ふふふ、でもあの子の勘って
結構無意識下の方が良かったりするんですよ?」
「それは幼い頃から見ていたからこそ言えることですか?」
「ええそうです。我々が別の者に染まり、
二度と戻らないことにならない様に。
彼女が先に手を打ち、
この場所へと隔離したように、ね。」
「…あの地は既に汚染されていると?」
「無くもありません。だってアルトリア様達が
あんなに可愛がっていたエフェメラルを
早々お父様の方に持って行くと思います?」
「……確かに。」
「いえていますね。」
流石に少しおかしくなっていることに、
メルが気付かないというのも流されている感じが否めないが、
まぁそこはどうでもいい。問題は、
「このことを一体誰が、何のために、
行っている、ということですか。」
「目が覚めたら二人してもよおしそうで怖いですがね。」
「お兄様…???」
「流石にその時はそっと背中を撫でてやりますよ…?」
その時あれば、お願いします。
そうサワアは今起きている時間の記憶が繋がった時、
ヘレスと吐かないかという心配には
カンパーリとクカテルが苦笑いで答えてやった。
「では、我々はこっそり隠れて
彼女の様子を伺うことに致しましょうか。」
「ええ、幸いなことに此処には
地下がありますからね。」
「隔離シェルターを何処まで持っていたら
気が住むんでしょうね?あの子。」
「本当ですね。」
そう言いながら、天使らは同時に
杖を叩き地面に空いた穴へと身体を落とす。
その地下には青空が広がり、
メルが確かに記憶を無くしていたと
同じ様な花畑に繋がっていたのだ。
「それにしてもまぁ〜〜
また呑気な場所ですよねぇ〜〜〜」
「ええ。余り長くいると少々いや
かなり早く気が狂いそうになるので
こっちも睡眠なるものを作って真似て
停止していましたが…それでも長いですよね。」
「全くですよ。早く解放されてしまいたいですが、
あの子のメンタルを考慮すれば
今の時期で在っているというものでしょうね。」
「にしても早咲きも早咲き
だったのですますね?エフェメラル様。
まさか3期に咲く予定が
2期の最初から咲いていたですますなんて。」
「まぁどこかの誰かさんに
贈るものが無くて困って
おられたのでしょうね?」
「今なら喧嘩を買って差し上げても構いませんが…??」
そう言うコルンにサワアが答えると、
別に構いませんよとコルンが答えた。
「どうせこんな何にもない場所なのです。
あれ程相手をして頂きましたが、
手を変えて動くのもありかと。」
「…ほんと、私達も驚きですよ。」
何がです?そうコルンとサワアが
喧嘩を始めた辺りで
華樹の樹の下で座り込んだ
クスが嘆いた言葉にコニックが聞きだす。
「だってあのエフェメラルがですよ?
その身が滅びようとも、
あの子以外の私達全員を受け入れ、
そして今現在元の場所に戻そうと
動き出してるんですからね。」
「あ〜〜まぁ、そういうお子、
だったということでは?
まぁなんだかんだ言ってメルさんですし。」
「そうですねえ。何だかんだ言って
メル様ですし、……ねえ?」
「あの子そんなこと聞いたら泣いて縋りますよ?」
「ふふふふふ、想像に容易いですよねぇ?きっと
『あ〜やめて〜!そんなこと言わないでよぉ!』
って仰りますよ?」
ちょ、止めて下さい。
「多分『なんでそんな酷いこと言うのかな?!
なんで?!悪魔?!いや元が悪魔だったから
仕方がなくないね?!?!』
とか彼女言い出しますよ?」
「嗚呼、もう容易過ぎてこっちが困りますよ。」
「アレが全王様らと契りを交わしている
と思うと末恐ろしいですよね。」
全くだ。
だが、まぁ、メルが早々権利を渡す
つもりがないことくらい、
全王様も大神官様も分かっていたからこそ、
契りを交わしてくれたというもので。
「まさか本来のシステムがこうなっていたとは、
我々も勉強不足でしたねぇ。」
「こればかりは外で話すものではないでしょう。
皆さん分かっていると思いますが、
他言無用でお願いしますよ?」
「勿論ですよ。
こんな良い処を誰かに自慢するだなんて
浅はかな行動にもほどがあるというものです。」
「本当ですね。それにしても此方に
終焉の子達もいて、尚あの行動をするとは…」
「余程のつわものが神々のことを
狂わせて来ていますよね。」
「下手したら理ごと。だったり、して。」
ちょっと怖いこと言わないで下さい。
「もし仮にそうだとしたら、
あの者の元凶ということになるのでは?」
「例の彼女、ですか?」
「ええ。あの子に傷を入れた、
愚かな愚弄者ですよ。」
「もう名前すら忘れましたからね、我々。」
「あんなのに手を焼きたくありませんからね。
その余裕があるくらいならエフェメラル様の事を
考えていたほうがまだマシというものです。」
「その通りですねえ…いやにしても平和ですね、此処。」
本当ですよね、此処。
「時々水平線みたいな世界になりますが、
本当に稀ですし、
その時は流石にエテルネル様達も
お見えになりますから分かりますが…」
「まさか彼女の精神が此処まで
複雑な処だとは思っていませんでした。」
「割と単純に見せかけるのが
良い騙しになっていましたよね、彼女。」
「まぁ全員そこら辺も分かってしまった以上、
その手は取れませんがね。」
ほんとあの子、とんでもないですよね。
「一々かえって来ても記憶が無かったらどうします?」
「その時はその時で、最初の様に
お声を掛けて差し上げるつもりでしょう。」
「まぁあの子が記憶を消されても思い出す様に、
我々も待ち続けるものですし。」
それももう、終わりが見えてきたというもの。
なんなら破壊神らが巡り巡って戻って来たのだ。
待ち遠しい気持ちが出てくるのは
きっと、長い時間此処にいたからだ
と、いうものであって。
「外にいる我々が、変なことをしていなければいいのですが…」
「それもまた、彼女が見せてくれることでしょう。」
次の、時間が、此処で幕を開けるというのだから。
「さて、次回の予告と参りましょう。」
「お、お兄様????」
「大神官、スピリタス様の兄である
ルトラール様のお子として産まれたエフェメラル。
そんな彼女は産まれる処すら、狂って産まれ、
その身を早くに廻し、華樹神として
この世界に戻ってきました。」
ですがと言って今度は何処から出てきたか
分からないマイクを隣に居た
マルカリータに手渡すサワア。
いや色々突っ込みが追い付かない。
何故その隣に居るんですか。
あと喧嘩の勝負がついてませんよ。
なんなら何処を見て話しをしているんですか
…お二人共!!!!!
「そんなエフェメラル様は2期である
ルトラール様らの付き人である者に
廻廊だけでなく、戻って来た時にも命を狙われ、
その身体を傷つけられてしまいます。
何とかして元に戻り、
漸く平穏な日常が来ると思いきや、」
「付き人だった者を蘇生させようと
リンク人が手を出して、てんやわんや。
記憶を奪われ、精神もギリギリだった
彼女に追い打ちをかけた奴らに
神々もなすすべなく、破壊神は殆どが全滅、
全王宮に居た界王神らも残りの者達に殺害。」
そうして、全天使らが停止状態に
なったことにメルは酷く胸を痛めました。
「天使の居ない、神々の居ない、
この世界に生きるべき指標を失い
文字通り植物の様にずっと長く息をし続けていましたが、
そんなある日、会合で天使らの姿に覚悟を決めます。」
「あの時間が止まったままでも良い。この場所はあの地と違う。
そう言い聞かせ、完全に崩壊していた精神が徐々に戻りつつ、
記憶の無い天使らが彼女のベールを剥ぎ、正体を暴こうとします。」
「何故あの者達が神々を殺そうとして殺したのか。
そしてメルの力を使って、一体何をしたかったのか。」
「それら全てがいつかきっと、解き明かされることになるでしょう。」
次回
第3世代3期の華樹神エフェメラルの廻廊一度目が幕を開けます。
「こうご期待」