想い出の流刑地





この場所が

『私の望んだ、流刑地るけいちだとしたら…』

流刑地。それは流刑において罪人に命じた行き先となる土地。
刑罰の一つで、罪人を辺境や島に送り、
その地への居住を強制する追放刑の一種であるものだ。

メルは考えていた。何故、このような場所が出来ているのかと。
一人、考えたくなって。
寝静まるこの真夜中の時間に、
こっそり抜け出して来ていたのは
未だ時間の在る第6の惑星アストミットだった。

内側の扉は何処の惑星にも飛び移れるのを知っていたメルは
誰も居ない状態でこっそり抜け出し移動してきていたのだ。

シアージュが此処に居ることはないことくらい、分かっている。
分かっているのだ…分かって、居るのに。

怖い。

このまま全員、いなかったことになることが。

『…わかんない。何が、悪いのか、わかんないよ。』

誰かの決めた悪いことと良いことなんて。
さじ加減を間違えたら、罪を償わなければならない。
何が悪いのかすら、分からない子に?

『…助けてよ、ねぇ、しあーじゅ…。』




「嗚呼、助けてやるぞ?何時だって。」
『っ!!!!』
「おや、随分と驚いた顔をしたもんだな?これは何年ぶりの顔か。」
『あっ、っ!!っ!??!?!』
「ふふ…何で貴方が此処に。って顔してるねえ?」

可愛い。そう言って頬に手を当ててキスを落として笑う彼女にメルはなんでと声が出た。

『っしあ』
「君が望めば。何時だって。…私達は望んで貴方の元に戻って来れる。それがルール、それが掟だから。」
『……しあー、じゅ、』
「よしよし。はぁ…君は何時になっても甘えたさんだからねぇ。」

僕が居ないと、進められる物も進められないだろう。

「だって僕は、中間の位置に居るのだから。」
『…しあーじゅ?』
「君が愛した6つの時間。君が生きた、最も幸せだった時間。」

…まぁ、一番はこの時間ではないんだろうけど。

「君の最愛である時間はもう無いも同然だからね。」
『何を言ってるの?』
「…君の知らなくていいことさ。さて、僕を呼んだんだからそれ相応の話を、持ち合わせているんだろうねぇ?」
『ひえ』
「まさかこの期に及んで寂しかったから名前を呼んだとか意味わからない様なことをほざくんじゃ」
『あーーーすいませんすいませんすいませんすいません』

はぁとため息を吐いて寝転がる彼女にメルはちょこんと座ったまま
空を見上げながら彼女の隣に寝転がった。

「なぁ、此処は良いだろう?」
『ん』
「紛争が起きているのに、この場所だけが平和なんだよ。」

それは互いが望んだからだ。分かってるだろう?
…ん。

『ねぇ、ルールって、なあに?』
「…それは、守るべき存在。決して汚してはならない存在。
誰もがその存在を守り、誰もがその存在を奪い合う者。」
『奪い合う?』
「ルールはルール。掟に則り、約束の地に着くまでは。
華は舞い散り飛びに飛び交う狂ったお話狂騒曲カプリチオ
全ての希望、花冠が。貴方の上にそっと乗り継ぐその日まで。
終楽章フィナーレなんて、有り得ない。」
『……ルートは、根音、つまり根の音。』

気付いたメルの目に、ニコリと微笑む赤い目が綺麗に光り輝いている。

『…そうか、これ、音楽と華が混じったものか!!!』
「…ルールは絶対。譜面に記された文字は絶対に。」
『でも守るべきものは強弱や音の長さであって、休止状態は常に何もない。』

それは自分が寝ているも同然…でも、終わらないって?

『リピート記号ですら終わるのに?』
「…華は狂う。そして早く咲き誇れば咲き誇る程。」
『模倣、それは、コピーされた曲?』

なら、原曲は?

「それは貴方の、導き次第。」
『…ほんと、呆れた曲。』
「ふふ、それは褒め言葉としてお受け取り致しますね?お嬢様。」
『…馬鹿。』
「そりゃどーも。」

でも、大体予想がついて来た。これは華であり音でもある者。
ルールは絶対、譜面上に描かれた文字は
予定通りに執り行われなければいけないもの。
時間は決まって、それ以上進んでも駄目、それ以上遅れても駄目。

その時間にしか許されない、存在でなければいけない。

なら、先に行けば?

『必然的に私は処分対象だったと。』
「それはどうかな?」
『え?』
「言ってるでしょう?ルールは絶対。何が何でも、守らねばならないものだと。」


最高の傑作マスターピースは常に、存在し続ける。
主音トニックが鳴り響く時、周りの音も、巻き込んで。

再演アンコールに酔いしれて?』
「…あの地がエンドロールの向こう側なら。此処はアンコールの幕開けと言った処でしょうね?」

ねぇ、エフェメラル。聴かせておくれ?その歌声を。

「貴方の導べに則って。ルールを教えて?その楽章を。」
『…楽譜、作ったら私、あの子達と演奏するんだ。』


もう、覚えてすらいない、演奏者達と、共に。


「…楽しみにまってるわ。」
『うん!待ってて!!…どうせなら104分の大曲作っちゃおうかしら。』
「それはそれで…色々と骨が折れそうね?」

製作者も、演奏者も。
ふふっ、違いない!

和音コードそれは2つ以上の音が同時に鳴り響く状態。』

3つの音が鳴り響く時、和音に名を記される。
私は一体何処なのだろう?

根音ルートを響かすその場所は。三和音トライアド四和音テトラッド
基礎となる音、根である根音に。同時に音が鳴り響く時。

先取音せんしゅおんという存在ならば?

『…ごめん帰るね。』
「どうぞ。」

そう言って走った場所は、ドアからドアに。メルが向かった先は図書館だ。
扉を開け、突き進んだのは一か所。音楽のある場所だ。楽譜は持って来てはいないものの、その楽譜に記される記号などの説明は一通り作ってあるのだ。

三階の中央にある本棚に手を掛け、戻ろうとしたその時だった。

『っわ!!』
「っと…こらこらこら、放すわけないでしょうが。」
『っや!!』

こんな深夜に何をなさっておいでですか。
そう言って腕を掴んで引き留めたのは

『はっ、な、して!うい、すさん…!!』
「説明をして頂ければ放して差し上げましょう。」
『…っ』
「否定と受け取りますよ?」

ギロリと睨まれ少しびくりと身体が反応する。
真夜中だからか、身体の衰えは日々低下する一方だ。
今は気を練ることすらままならない。

それを分かっているからこそ、ウイスはきつく目を睨みつけて言うのだ。

「…現状がどういうことか、お判りでしょうね?」
『…っ』
「貴方が息出来る時間は真昼間即ち昼間でしか活動出来ない筈。
真逆である真夜中の時間帯は気を練ることは愚か立つことも漸くの筈ですが…
一体こんな時間に何をこそこそ動いていらっしゃるので?」
『っえと、それ、は…その。』

まずい。まさか真実を知ったから今のうちに解読してしまおうと思っていたのがバレる。
後々バレてしまうは仕方がないとしても、こんなすぐに気付かれるとは思わなかった。

『っあ、少し見たいところがあって』
「ほぉ?楽譜もないのに?」
『っあ…えと、あの。その……』
「はぁ……場合によっては無理矢理意識を飛ばしてでも、連れていくつもりでしたが。」

その感じからして、大丈夫そうですかねえ。

そう言って腕を放したウイスにメルはありがとうと礼をつげた。

「さて、では参りましょうか♡」
『ん?ど、どちら、に?』
「おや、決まっているではないですか。勿論、お兄様の元に、ですよ♡」

深夜帯。サワア。その二つの言葉でゾッと顔を青ざめるメルが首を全力で横にふり
ジタバタと動くも、それくらいのことで身体を落とすなんてヘマをウイスがするわけもない。

「動かないで下さい。見苦しいですよ。」
『っや、や、やだ!!ゆ、ゆるして…!!!』
「だーめです。私に見つかった以上覚悟して下さい。」
『やっ、う、ういしゅ…おねがい……』
「…そんな声を出しても駄目です。約束は約束ですからね。」

ううとしょげるメルの胸元には、ちゃっかりと本が抱えられていた。
その本は、ウイスがかつてメルと共に暮らしていたあの時間に良く見ていた本そのもので。

「覚えている、訳ではないのですね。」
『え?』
「いえ、なにも。」

それでも、貴方はその本を手に取るというのですか。

ー頑張って覚えないと、見てくれなかったから。

そう悲しそうに笑っていた彼女は、記憶の中でしかいない。
今にも泣きそうな顔で、笑って居たあの子が、此方を向いて泣いている気がした。

++++++++++

「…さて、言いたいことはありますよね?」
『…何故コルンさんとコニックさんまで居られるのかとかです?』
「其処はお約束、ですからねぇ?」
「寝てる処たたき起こされてるんです。…手短に、お願いしますよ?エフェメラル様。」
『うぐ』
「おもいっきり突っ込みましたね。」

これくらいの方がお灸添えになるかと。
ご協力感謝いたします。

「さて、言いたいことは分かりますよね?」

メルは黒い服に着替えさせられ、彼等もベットの中に居る。
最早お仕置き状態とほぼ変わらないこの状況下は普通にお仕置きである。

そう、メルは約束していたのだ。昼間以外に出歩かない。
それも一人で、ましてや内側の扉に入って人に出会うなんて以ての外である。

「どちらに行かれて、どのようなことをなさって、あの図書館に行き、その本を手に取ったので?」
『…うっ、え、えと…そ、れは、その……まだ確証がないので話したくないと言えばあっ』
「…ほぉ?話したくないなら、仕方がないですねえ?」
「気は進みませんが、まぁ約束ですし。」
『っひ、あっい、いいます!!
いいますからちょっとまっこら!!
こっちくんなコニさんウイさん!!』

誰がすけさんかくさんですか。

「はいはい、本は没収ですよ〜〜」
『あーん!僕の希望〜〜〜!!!』
「いや〜にしても久しぶりですねぇ〜?
そんなお仕置きが欲しかったとは思いませんでした。」
『いやお仕置き喜んでやったわけではないからな????』

私は自分の立ち位置が分かった気がして調べようとしていただけであってだな。
だとしてもそれを彼等に告げた所で、どうなるかと言われたらどうもならない。

意味がないことは基本的に言わないのがメルである。
それ故全く口を出すどころか身振り手振りもしない。
ましてや、思うことを外に漏らすなんて以ての外。

こういうところ口が堅いからこそ、大神官も心置きなく
メルに自分の業務を任せているというものではある。

だが、言わなければいけないことすらも
隠すとは話が別物になるというものであってだな。

「深夜に動くということは、それ即ち死を意味するというものを、
もう貴方はお忘れだと言う事ですし、
この際再度教育をと思いましてですね。
一応お父様の方には連絡をしていますので、
明日以降は色々此方も業務を免除して頂けております。」
『あのやる気満々ですね?』
「お父様からは「言い切る迄好きになさって結構です」
とのお言葉を頂いておりますので♡」
『っひ』
「あのお父様が其処迄言い切るとは
…貴方、昔から何をなさっていたんですか。」
「いやーそこら辺は、もう………ねぇ?」
「サワアお兄様がそう言うなんて
そうそうないんですよ。エフェメラル様。」

貴方余程、物事をしっかりと言わない子だったんですね。

「まさにコルンさんとは真逆の存在ですね。」
「なんですそれだと私が口が軽いというみたいな言い方しますね?」
「おや、別になんら間違って居ないと思いますが。」
「…まぁ、我先にとお話されることですし、
あながち間違っていないかと。」
「お、お前達迄……」

まぁ、積る話は置いておいて。

「ウイスさん♡」
「はぁ〜い♡」
『っな!!あっちょおいこら馬鹿!!
こっっら!!ちょまっワンピースかっ、あ』
「きもちいいですか?メルさん♡」
『っふ、あ、まっれ、んっ』

ワンピースをばっと巻き上げ、中にいれた手で背後から
胸をコリコリと先端を弄ってやれば
ウイスの胸板にずりずりと引いて
逃げようとしているのだろうが、

近づいているも同然で

少し立ってきた先端を強く引っ張れば
ひゃんと甘い声が上がり身体も固まってしまう。

『っ、や、やめ、っ』
「気持ちいいでしょう?ねぇ?メルさん?」
『っ、いわ、ない、もん…!!!』

誰が言うか。

譜面上に書き記されていくこの物語の最期なんて。
多分だが、この楽曲が分かり、その最後を演奏し終えたら
私は消えて居なくなると言っても過言ではないのだ。

しかも、そのタクトは私が持っている杖そのもので
私が指揮者になり得る者だということも。
恐らくそれは、正しいということで、合っている。

そんなことを彼等に教えてみろ。
まぁ反対するかしなくても何をしたら
自分が救われるかを考え続けるに決まっているだろう。

それが、嫌だから、私は言わないのだ。

メルはこのまま譜面を完成させ、綺麗に幕を終えるつもりだったのだ。
それを、彼等はもう一度、最後の最後にリピート記号を付けるか、
もういっそのこと長いコーダに島流しの刑を処せられるかの二択だ。

そんなの、私が望んでいないのだ。

「…ほぉ?この期に及んでまだそんな体力があるとは。」
「メニューをもう少し変えるとしましょうか?」
「それよりも各個人が動きを変えたらいかがでしょう。
彼女の思考も鍛えられる上に此方も手を出す策も増えます。」
「確かにその方が良さそうですね。」

いや私の状態を無視して其処で話すなこの馬鹿。

明日からのメニューが地獄と化しているのは自業自得ではあるだろうがだな。
普通に音を立てずに移動していたはずなのに何故こうもバレるんだ。

『みんな、ねてたんじゃ、なっ、ん、いの?』
「寝ていましたよ?そりゃあもうぐっすりと。」
「ですがこっちにも勘の鋭い者がいるんですよ。ねぇ?ウイスさん。」
「ええ、そうですよ?…貴方の考えていることは大体想像が付きます。」

勿論コルンお兄様やサワアお兄様には劣りますが。
おやおや、ご謙遜を。

「貴方も充分ですよ?」
「それはお褒めの言葉ありがとうございます。」

いやだから私を無視して、動かすなと…!!!!
ああん!乳首が腫れちゃう!!痛くなっちゃう!!!

『いたくなるから…これいじょ、さわっ、ちゃ、や!!』
「嗚呼そんなことですか?」
『へ?そ、ソンナコト…????』

思わず変な声になる。所詮裏声というものだが。

「一応回復出来るのお忘れですか?勿論前よりは確実に劣りますが
これくらいの小さな痛みを直す程度であれば造作もありませんよ。」
「我々が出来かねるのは骨がぽっきぽきに折れてしまった時の修復や
内臓部の破裂などの修復に時間が掛かってしまいかねないという点です。」

あのグロチックな話をするのはやめてもらいたい。
あと誰がぽっきぽきにって…ちょっ、誰が小枝を軽く
手折るみたいなニュアンスで言えと言った。誰が。

「それくらいの痛みが生じたくらいから
修復を行えば通常通りにまで回復出来ますよ。」
『っこ、のっ、あくっ、ま』
「ええ、貴方の愛して止まない悪魔ですから。」

この曲名、もう天使と悪魔のルーレットとかそんな名前で良い気がしてきた。
でもそんな適当な名前付けたら後がなくだろうし、というか今考えるのはだ。

「嗚呼言っておきますがもし万が一
此処で乗り切ろうと嘘を付こうものならば
……私怒りますので。」
『ッヒ』
「さ、さわあお、おに、い、さま……?」
「貴方と二人きりで。暫く愛をはぐくもうと思います。」

あっそれはマジで勘弁願いたい。

こういう時の愛の言葉を使う彼は
本気な上にやることがえげつないのだ。

間違いなく言わせに出すし、
言っても終わらないのがオチである。

いやでも此処で言っておくべきことではないし
そもそも私まだ悪いことしてないし。

…と言うか、なんで私がこんな目に合わなければならないんだ。

最初から隣でなんて、居られない。

それは額縁に、飾った本人が分かっていた筈で。

彼等は私の事を見て、寄り添ってくれている。
出来る限り最善の、隣を作ってくれているというのに
それを私はその善意を、踏みにじっているだけではないのか。

…いや、違う、そうだけど、そう、なんだろうけど。

『…わか、んない』
「…ん?」
『言っても、わか、んない、だ、ろう、し…んんっ
あっ、ああ、わか、っれ、くれっ、ない、も…!!』

距離を置くべきだ。

これ以上彼等を、良い様に使っているような気がしてならない。
廻廊は一人で、回すべき存在であって。綺麗に閉じ込めてしまえばいい。
長い時間?このまま、途方もない時間の中で?永遠の様な時間?

そんなもの、耐えられるわけがなくて。

「分かる様に仰って頂ければいいのです。」
「そうですよ?エフェメラル様。
いい加減になさらないとお兄様が怒ってしまわれますので。」
「とばっちりもいい処ですからねぇ。」

この長い長い、天使から外れたような場所で?
違う。外したのは私だ。ちょっと力を、違う。


『(意識を、変えれば、すぐにだ)』
「っん!?!?」
「っこ、れは…」
「メル、貴方今何をしました?」
『…別に?ご想像にお任せしますが?』
「……ほぉ?」
『っ』

おもっっくそ怒ってる。滅茶苦茶目が怖い。
いや私こんなサワア見たことあるだろうか?
と言うかなんでこんなに怒ってるんだろう。

「怒っているのがイマイチ理解出来てなさそうな
そんな可哀想な貴方にこの私が教えて差し上げます。」

あっ待って。要りません。

「別に貴方がコソコソ裏で何をしようが関係ないです。
それこそウイスさんと愛を育もうが関係ないですからね。
私というものがありながらも、放置をしてでも、ね。」
「おやそこら辺許容範囲内なのですか。」
「まぁですが…私の知らぬ場所で、私に気付かせない様に。
私以外の者達含めて記憶すらも残さずに消し去ろうとする
努力も何もかも泡に溶かしてしまおうとする行為
そのものに対して怒っているのです。」

貴方は本当にその理解が足りない。
いや、足らない様に回さず止めていると見ます。

「貴方は賢い方ですからね。そうでなければ
このような場所に到達なんて不可能でしょうし。」
『っぐ』
「…余りこの仕置きは効果ないですし、このまま会話を楽しむと致しましょう。」

…そちらの方が貴方にお灸添えになりそうですし。

…分かられてる。まぁ幼馴染だからこそ、だろうが。
細まる目に、睨みを効かせつつも、衣服をそそくさを直してやる。
意外にも身体の力はちょっと休めば元通りだ。

『うわっ!!!』
「身体の抜けは流石に昼間に劣りますね。」
『あっちょ、サワアさん!?!?なにしてるんです!?』
「何って貴方が逃げない様にに決まっているではないですか。」

そのままお話をしますが、構いませんよね?
あっそれ私に拒否権無い感じですよね!?

「ある訳ないでしょう。何当たり前のことを言いだすんですか。」
『うぐっ』
「それで?これは一体、どういう意味ですか?」

そう出してきたのは一冊の本。音楽用語を書き記した一冊だ。

「貴方が楽譜を外に持ち出していないのは音による影響下が強すぎるから。違いますか?」
「音による影響下…?一体どういうことですか。」
「口があるんだから言えますよね?エフェメラル。」
『……あくまでも仮説。事実とかけ離れている可能性が高い。それでもいい?』
「構いませんよ。貴方が深夜にコソコソ移動した理由がわかればね。」

嗚呼もう駄目だなぁ。

メルは諦めて今まで起きたことを全て話すことにしたのだった。