意志ある手






暫く書き殴って何とか様になった処で本を閉じる。
すると光が立ち込めた後、キンと風が鳴り響く。
音が鳴ったと同時に光も消えて無くなった。
本の中が更新された、と解釈して間違いはないのだろう。

それにしても…この本、下手したら別世界そのものを
創り出しているというとんでもない代物ではないのだろうか?
いやいやいやいや、それだったら時空改変処で話が終わらないのだが。
とんでもない重罪であり、もう償いきれないものだろうに。

…嗚呼、だからか。

『だからこんな世界に独りぼっちなのか。』

青一色で、もう誰もいない。遠い遠い、最果ての時間。
私以外は存在しないからこそ、罪を償えているというもの。
…まぁ、それなら、いいの、だろうな。

白い髪色が水面にうつっている。
衣服は思っていたよりも露出度が高い。
肩一周白い紐からひらひらと何枚かの白カーテンが揺らいでいる。
胸元中央には白いリボンがあり、肩に回っている部分と胸元の部分は輪が違うも
白いカーテンの様な布はほぼほぼ同じ高さで同じ枚数に見える。

後ろには金色のホックがみえる。外せば大事になりそうだ。

下は同じような材質で、何枚かの白い布が大事な処だけを
カーテンで覆えばいいという安直な発想の元からなのか、
物凄く短い。股下を隠せばいいと思ってる絶対。
このまま下から風が吹くどころか、大股で歩けば中が見えそうだ。

裸足のままで、髪の毛は三つ編みすらもしていない。
まっしろな髪の毛が、金色のホック辺りまで隠している長さで。
目の色は一応、白くは見える。

『私の名前、誰なんだろう?』

物語は違うと言っていたし、小説の設定もかなり事細かに描かれていた。
エフェメラルは儚い存在。その対としてエテルネルという存在が居た。
永遠と一瞬の狭間に位置する存在こそが、人間であり、神であると言えるもの。

中間の位置に居る者が、チェレステ。空を司る者だった。
まぁ正確には色ではあるのだが、そこは省略させて欲しい。

『まるで、知ってはいけない、みたいに見えるけど…』

それにしてもこの作者、名が無い。

本も実は更新されて行くだけで、手元の本は全部で3冊だけ。
正確には1冊。ノックすれば本の色も変われば数字も変わる。
ただそれだけ。設定本は裏面をノックすれば
反対側から設定が詳細に描かれた資料本になるだけである。

割と本当に私が作っているのではなかろうか。

…まぁ、それならそれ、だろう。

『…にしてもこの先、どうしたものか。』

一つ考えられるのは、この本が私の知識全てを掛けたものだ。
まぁ本当にこの本が言う様に、気を持ち華に祈り、力を持つならば。
私が今此処でやればこの世界が現実になるというものだが……

それはそれで少々厄介になるだろう。

だって考えてみて欲しい。

こういうのはファンタジーであるからこそ楽しいというものであり
現実に死が直面しまくるどころか、宇宙人がわんさか出てくるのだ。
誰が閉店ガラガラ大値下げバーゲンセールを開催しろと言った。誰が。

そんなのこちとら望んでいやしないというのに。

…まぁ、寂しさは、紛れるは、紛れるが。

言葉を沢山綴っても、一人は独り。
寂しさが拭えないに越したことなどない。

私が全王様と同じような位置でもあるのは、間違いないだろう。
そうでなければこの世界が変わることなんてあるわけもない。
私が望んでいないから、この世界が変わることもなければ、
この水面から下も上も、周りだって、変わることはないのだから。

そう、私自体が、変わることも。そういうことだ。

『ううむ、とりあえず…寝てみるしかないか。』

寝転がり、本を傍に置いて目を閉じる。
ゆらり、微睡む。この世界の、末路。終焉。

自分から戻ることだって、可能なのだろう。
白い世界、黒い世界、灰色たるその淡い一つだけ。
落ちて、堕ちて、墜ちて、其処に辿り着いたその場所で。

私は、環を、感じることが、出来るというのだろうか?

トクトクトクトク鳴り止むことないこの肉体が。
滅びを望むと、言うのだろうか。

落ちて落ちて、そう願っていると身体の重力が変わる。

ねぇ、アイビー。どんな人のことも、
見れるならば、どうか私の心を見てよ。
他の人よりも綺麗?汚い?それとも無いの?

私は無いから、貴方は私を、見てさえくれないの?

殺そうとした。それは、私が私の死を、望んでいるから?

ねえ、誰か教えて?この答え。

「貴方は知っている筈よ。」

そんな声が聞こえる。嗚呼、酷い。狡過ぎる。

「貴方は、エフェメラル…誰が何と言おうと、エフェメラルなのよ。」

もう、本当の名など、忘れてしまった。
可哀想な孤独の神様。エフェメラル。

時すらも忘れ去り、一瞬という永遠に生きてしまった。
悲しい末路の、その終焉。

「救われましょう、戻りましょう。」
『…うん。』

目を閉じて笑ってしまう。
嗚呼目頭が熱い。熱くてたまらず、目を開けてしまう。
其処は真っ青ではなく、ふわりと宙に浮かぶ感覚に、メルは首を横に振った。


++++++++++

戻る頻度が急激に加速を遂げていることを告げる。
この世界がどういったものか、そしてルールがどういうものか。
大神官らを巻き込み、廻廊の地下、下の青空がある花畑の中で。

メルは宙に浮かびながら話を進めていた。

「…では、この世界はそもそも存在しておらず
我々は貴方が書き記した想像上の登場人物だった
ということでお間違えないでしょうか?」
『ええ。正確には私が、というのが怪しいと言ったところだけれども。』
「怪しい?どういうことですか。貴方は独りであるのでしょう?
ならば誰も書き記す者が居ないではないでしょうに。」
「多重人格?いやそれとも、」
「かつて生きていた人間の記録、などは考えられませんか?」

そう言ったのはコニックだ。
そういう人種が居てもおかしくないと言う彼には何人かが賛同する。

「だが仮にそうだとして、どうして中途半端な状態に終わらせている?」
「普通に書き記すのが飽きたとかでは?」
「でもメルの証言から察するに、此処ら辺で止まっていると聞く。
普通止まるにしても適当に書いて止めるか?」

それも清書しているだろう本のさいごに。
…それもそうですね。

「まるで考えながら纏め上げているかのように。」
「それじゃあ彼女が書いているも同然ではないですか。」
「でも記憶がない。」
「…記憶が反映されない、というのは考えられませんか?」
「記憶が?」

ええ

「この世界に落ちている間は元の世界の記憶が遮断される。
そうすれば元の世界に戻っていても、此方に情報が落ちることはない。」
「ですが今現在元の世界の情報が出ているではないですか。」
「それすらも設定。彼女の言うルールに則ったもの、だとすればどうなります?」
「それは……」

その可能性が高いにせよ、なんにせよ、此処で物語が終わるということになる。

「まぁエフェメラルさんが懸念していることは分かります。
大方禁忌に触れないか否かのお考えでしょうし、
ソレに関しましては私も同意します。」
「っでは」
「ええ、十中八九、禁忌に触れることに間違いないでしょうね。」

でも、それはもう、時すでに遅し、というものであって。

「貴方はこの物語の中に入っているも同然です。」
「というと?」
「そもそも本来の名を知らない。いえ、正確には無いのでしょう?」

忘れ去ったとか以前に、何時産まれて、何時出てきたのかも分からない存在。
一瞬の様な時間に生きていたであろう、物語が羨ましくて。
ただ作りそしてその時間に酔いしれ続けている。

何時か終わる、その日まで。

その日が、もう、この時間になっているというのを
わかっていたとしても、それでも、待ち続けるというのか。

愚かしいものだ。そんなことをしても望まれないし、望んでも居ない。
だって望むものが、目標が、彼女の中には何処にも存在していないのだから。

無意味なことを並べても意味がない。もうループしている。言葉も時間も何もかもだ。

「それで、貴方はどうするのです?この先を。」
『それは…』
「時間がないのは確かですよ。
現に後数時間で次の廻廊が始まります。」

2番目の廻廊が。

「貴方が戻ってから、いや正確にはサワアさん達が
アイビーさんを連れ戻ってからは10日と少々でした。
そして貴方が帰って来たのはつい先ほど。」
「ちょくちょく察知出来ない処に戻っていると思いきや
まさかコルンさんが出向かわれた場所が現実世界だとは思いませんでした。」
「私も行けるとは思いませんでしたし、まぁ彼女からして幻想の類でしょうが。」

それにしても、どうする?

「このまま進めばいいとは思いますが、
貴方が嫌なら此処で話を留めても差し支えありません。」
『…物語の人間だから?』
「ええそうですよ。」

貴方が、望めば。の、話ですが。

「如何なさいますか?エフェメラルさん。」
『…出ます。』
「メル様…」
『不安は残るし、怖いし、どうなるか、分からない。』

でも、次からはどんどんと世界が変わっても、いい。
瞬く間に、この物語を終わらせに行けばいい。

そうして、作者が望んでいない方向に、狂ってしまえば、
それこそが、私の正解であるというものであろうから。

「…狂った者は全てを狂わす、か。
まぁシナリオ通りといえばシナリオ通りになったわね。」
「アイビー…」
「アタシは協力するわ。例えこれから来る子達が
嫌がっても引きずり込んで差し上げましょう。」
『…ありがと。』
「いえいえ。こーんな面白い話、
何処に行っても聞けやしないだろうしね?」
「…悪意が感じ取られるのですが、それは。」

いやいや、そんなことないわよーそれよりも、貴方。結構な男前ね?
…あの、近いので出来れば離れて頂けると幸いです。

そうコニックに詰め寄るアイビーに
コニックが顔を青ざめて引くのに対して
あらつれないわーと笑って引くアイビー。

割と本気で詰め寄ったのかどうかは、
彼のみぞ知ると言いたいところである。
見なかったことにしよう。そうだ、そうしよう。

「そんなことよりも、出かけるので?」
『…マティーヌさん、アワモさん。』

いけますね。

そう言ったメルに、ええと二人が答えて席を立つ。
ふわりと浮かび上がるメルはぼやいた。
目を細めたら、世界が揺らぎ、現実が見え隠れし始める。

『…大丈夫、此処は、夢でもいいよ。』
「…エフェメラル様、此処は現実ですよ。」
『そう、だね。…うん、そう。』

そうだと思い込めば、あの青い世界は一つも見えなくなった。
あるのはただただ青い、空だけで。

++++++++++

廻廊の中に入れば、その世界は久しぶりと見れるし、初めて来たとも見て取れる世界。

「此処が第2宇宙の惑星ですか…」
「それにしても暑いですね〜〜〜!!!」
『ええ…にしても静かだな。』

中に入ってみれば、中は涼しい。
打って変わって涼しいですねー寒いくらいには。
そういうマティーヌさんにメルは警戒していたのを見た
アワモが声を掛けた。

「何かお気づきに?」
『…ま、そうなるよねぇ。』
「…何者だ。」

そう言って周りを半裸の男性らに取り囲まれる。
このお方を何方とお気づきでと前に出るマティーヌさんに
メルは良いと言って正直に彼等へ話を持ち掛けることにした。

『我々は旅の者です。外に誰もいなかったので中に無断で侵入したこと、詫びます。』

すいませんと頭を下げる彼女に、周りがどよめくも、メルが話をすれば鎮まった。

『此方に花を持つ者は居られませんか。
我々はそのお方に一つご協力願いたく
この度その者達を探しているのです。』
「っ黙れ!そんな言い回しが通用するか!!」
「そうだそうだ!!」
「…メル様」
『(まずいな、殺気が経ち籠って来た。)』

流石に礼儀正しくしても相手が相手か。
確かにこんな衣服で来たらビビるわな。
両隣は神官の衣服を身に纏いつつも
ど真ん中の人は幼い姿しつつも露出高いしね。

大神官様の衣服を身に纏っていても
中身子供なのがバレバレでは
威厳もくそもへったくれも元も子も
何もかもがないもの帰すものだろうし。



「何騒がしいことをしていると聞けば…」
「ギリア様!!!」
『…ギリア?』
「っな、お前何無礼な!!」
「っメル様お下がりに」

ん?そう言ったのはそのギリアと呼ばれた者だった。
おいまてと言って手を横に出せば槍を落とそうとした矛先が狂い
勢いよく上に戻って天井に突き刺さって困り果てている奴を無視して話が進む。

…いや、いいのかあれ。滅茶苦茶困ってるが。

「いいいい、自業自得だ。そんなことよりもお主、メルとかいったな?」
『え?あっえ、ええ?ええ。』

正確にはメルですら分からない得体の知れない人間一号ですが。
そんなことは言えずに喉の奥にしまわれている間に話が進んだ。

「この者らを通すぞ。お前ら全員、どけ。」

++++++++++

いや、どうしてこうなった。

メルはそう口に何度も出していて、
これで何度目ですかとアワモ様に呆れられている。
多分十数回は言っているから、
呆れられてもおかしくはないと思う。

現在エジプトのピラミッド頂上付近に位置する広間でもてなされています。
いや、どうしてこうなったんだよ。私が何をしたというのだ。この宇宙救ったりした?

『そういや此処ってどんな名前なんですか?』
「どのようなと、申されますと?」
『えっと、こう、西暦というかなんというのですかね。こういうときは。』
「…此方の都市を把握せずに時刻を気にせず来たものでして。」

そう言えば嗚呼成程と彼等が告げる。

「日に当てられ長い間来られたらそうもなりますよね。
此方は都市ヴォタム。神歴4500年を迎えました。」

正確に申されたらもっと長いですが。
統括されるお方達がとても偉大なる者でして。
は、はぁ

「それにしても華を探されているお方ですよね?」
「ご存じなのですか?」
「ええ。大昔の古代プルヴィアでは華を束ねる神がアリスをつかって
この地に希望をもたらしたことから全てが始まったとお聞きしております。」
『色々待って。色々と。』

メルが持ってきた内容からして、物凄く年月が経っている気がする。
まぁそれもそうだろうが、時系列が色々おかしい気もする。
そもそもメルがこの土地から引き出したのはミラという翼を持つ女性だ。

正確には女性というよりも少女という方が正しいが。

その者はアリスではない。名前が違うのだ。

一つ気になってメルは問う。

『あのー、一つお聞きしても?いや一つどころか幾つかになりそうなんですが。』
「はい構いませんよ?」
『ではお言葉に甘えて。そのアリスってものは一体なんでしょう?』
「嗚呼、アリスは翼を持つ者の中でも特に神が選ばれた者を指す者達の事です。」

そういやラテン語か何かにアリスという者が「翼」と意訳されていたな。
そうメルはふと此間教えてくれたコルンの授業を思い出す。
念には念を入れて時々というかかえって来次第勉強しかしていないのだ。

だって記憶が何時飛ぶか分からないんだもの。
定期的に復習しておいて当然だろうて。
は?生真面目だって?いやしったこっちゃないわ。

「アリスは神の遣いで選ばれるべき存在。
プルヴィアの主である偉大なるお方、
ヘレス様がお導きに会われたとされておりまして。」
「…まぁ、間違ってはいないでしょうね。」

そうでなければヘレスもサワアに出会ってはいないだろう。
ある意味、良い様に解釈されていて良かったと安堵するべきだろう。
正確にはヘレスがミラを殺したのがメルだと勘違いしていて
サワアが来たことでメルを殺せる機会が持てると思って
踏み込んだだけであるのだが…

そんなことは描かなくていいことだし、黙っておくことにした。

「アリスに導かれたヘレス様は神になり、この地を見守って頂いているとお聞きしております。
その祖先が今此処を統括していまして、」
『ちょっと待って、待ってヘレス様って子持ちだっ』

いたい!!!!何もつつかなくていいじゃん!!

「貴方が無礼なことを言いだすからでしょうが!!
…すみません、彼女少々躾が至らぬ点がありまして。」
「ああ、いえいえ!そうお伝え通りで寧ろ此方も驚いていると言いますか何と言いますか。」
『何その物語の登場人物がまんま出て来ちゃって返答に困って現実か夢か分からず困り果てる反応は。』
「その通りなんですから頼みますので着席願えますでしょうか。」

いい加減ウロウロしない。
えーーーーだってーーーーーー

『割と教えて貰った通りで凄いわくわくすっだもーーん!!おらわくわくすっぞ!!!』
「これ」
「ふふ、構いませんよ。それにしても良かった。」
「え?」
「あのお方をお導きされるのですね。」
「…何か訳がおありで?」

そう聞くアワモにええと困ったように従者が答える。

「実は病に倒られていまして、
言い伝えが正しければそのヘレス様が居た時からで
時々咳き込んで喉から花弁を出し」
『待って今なんていった』
「め、メル様?」
『花をだした?ちょっと待って、何色?花弁は?』
「ちょ」

慌ててしがみ付くメルを勢いよく剥がす。
そうでもしないとしがみ付いた力が強く、剥がすに剥がせなかったからだ。

「た、たしか、黄色だった気が」
「メル様!!!」
『…まずい、待って。本当に。』

花弁を出す呪いが掛っているということは、
それ即ち彼女が華神になっているも同然。
いや、華樹神に近い位置にいる可能性だってあり得そうで。

一体何時からそうなっているのか気がかりだし、
いやそもそもヘレス子持ちだったのか????
だとしたらサワアとの子?え?でもサワアって
確かヘレスと会ったの私が消えてからだよな?

もう何が正解か分からず彼女の居る場所に突撃して来てみれば。
咳き込んでいる彼女の姿が見えてメルが叫んで駆け寄った。

壁に手を当て片手は口元に置いてるが、
黄色だけでなく青紫色の細い葉の様な花弁も落ちていく。

『息して。大丈夫、吐いてもいい。』

吸って、吐いて。また吸ってと背中を叩きながらも優しく声を掛けた。
暫く落ち着いたら背中をさすっているともういいと手を此方に向けて押し付けられた。

「…すまない、助かった。世話を掛けたな。」
『いいえ、それより、貴方これ何時から?』
「もう数年前から。」

…その状態で、良く保てているというものだ。
中で花が咲き乱れ、咳が出続けているだろうに。

『貴方睡眠きちんととれていないでしょ。それもその年月分。』
「はは、ご名答。神様にはなんでもおみとっぐ、げほっごほっ」
『…私は貴方を連れていくかどうかも、迷っているのに。』

貴方は、この土地を手放すのが、惜しくないの?

そう聞けば、惜しくないわけあるものかと答えられる。

「…此処は良い処だ。水には恵まれるも、木には恵まれないが。
砂を使い、大地を築き、人々は安堵を求め、
漸く基盤が整って平穏と共に暮らしている。」

成果が実り、人々は幸せのど真ん中に位置しているというのだ。
ならば猶更、そのピースを外す訳にはいかなくて。

「それでも、私は、貴方についていく。」
『っどうして!!その華は私が何とか出来る!!!
…貴方を慕っている人が大勢いる。』
「ふふ、だからこそだよ。」
『え?』
「想い慕って忍ぶ者達が居るからこそ、
私は貴方に身を捧げたいと願ったのだから。」

…貴方達は、一体

『何者なの…?』
「…華を持つ者統べる者、だろう?」
『ギリア……』
「けほっ、従者に聞いたか。その感じだと。」

うぐっ
ふふ、お前嘘がつけないなあ?

「ヘレス様もきっと嫉妬で気が狂いそうになっただろうに。
この場合は正確に言えば現在進行形か?まぁどっちにせよいいか。」
『お姉様!?!?何を仰っておられるのか僕分かりませんね?!?!』
「ふふふふふふ!!!!!そういうことにしておいてやろう!!!」

あっ元気だな?此畜生!!!!

「だが華が咲いているのは間違いないぞ。」
『うぐっ…詠唱は?』
「頭の中にフレーズが出て既に告げている。だからお前が来たのだろう?」
『え?』
「そうじゃないのか?」
『いや他の子は私が来た時に花咲かせてたりするから…』
「…そうでなければ、何故お前がこっちに飛んだりすることが出来る?」

種で移動出来る者だと聞いているが。
確かに、言われてみれば。

「既に全員、種を華を、咲かせていたとしたら?」
『…いや、そんな、まさか、そんなことが。』
「ま、そんなことはどうでもいい、か。」
「ギリア様、準備が整いました。」
「そうか。ならするか。」
『なにをするか。』
「よいではないかーよいではないかー」

ちょっ!!!!

『おーーまえ!!!絶対私を弄んでるだろ!!
そうだろ!絶対そうだろう!??!?』
「っははははは!!!
いいではないかーよいではないかー!!!!」
『誰だこいつにこんな言葉教えた奴は!!!
と言うかお前絶対志村だろ!!なぁ志村あ!!!!』
「おっ!久しぶりにその名を聞いたな!!!」
『しいいいむらあああああああ!!!!!!』

それにしてもお前がその名を呼ぶとは驚きだな。
いやこれでも復習魔なので。
嗚呼そういう……

「一応私の名前は知ってるけど色々は知らないんだな。」
『逆にしってんのかわれ。』
「嗚呼知ってるぞ?お前が門倉にぶつかって
パンツ見られてるの知らずにごめんね怪我
無かったって詰め寄って逆効果だったりとか」
『待って』
「幼馴染に抱き着いたと思いきや一つ上の
先輩であった林道さんに間違って抱き着いて
顔面蒼白待ったなしで内心大笑いされたとか。」
『ちょっと待って!!!』
「しまいには演奏途中に間違えて入ったの
全員気付いていて後からアレそうだったよね!?
違ったよね!?って自分から自爆に持って行って
挙句の果てには下の子居るのに泣いてたりとか。」
『お姉さんまちんしゃい!!!!!』

ちょっと色々情報が多い!!!
後それ教えなくていいよね?!?!絶対に!!!!!
そうかあ〜〜〜〜?????

「お前が此処に居る、と思うならば。
充分に。必要な記憶、だと思うがな?」
『…志村、貴方、一体、』
「なぁに、旧友のよしみ、というもんだよ。
ま、私は現在統治する者ではある。」

それ相応の状態を管理してからこその、だ。

「神よ華よ、魔の者統べる者存在よ。
…私の願いを、聞きつけやって来てくれたのだろう?」

彼等と、もう一度、音を奏でに、やってきて。

『…手を。』
「どうぞ。」

そう言ってメルは手を上から降ろす様に前に出せば
彼女は逆に下から上に上げる様に前に手を出してやる。

合わさった手からは、光が経ち籠り始める。
髪色が少しだけ、黒色が混じる中に、記憶が流れ込んできた。
優しい記憶、今までにはない、感情が、入ってくる。

まるでこれが、私かのように。

「あんただよ」
『え?』
「これはあんたの、間違いなく、あんたが作った、物語だ。」
『志村…』
「ふふっ、その名はよせよ。今は」
『ギリア』

そうでしょう?

そう言ったメルに、叶わねぇなと言われた。


ええそうでしょう?

『私は此処に、来てあげたのだから。』

「…はっ、ほんと、叶わねぇな!!」