後ろから抱きすくめる




前回のあらすじ

神様全員集合祭り開催中



「それにしても…酷いな。」

現在、チェレステはエテルネルとタッグを組み、
メルを奪還するためにもトレースを討伐しに戦っていた。

相手の力は、大きく分けて3種類。

1つは24小節の練習曲。
1つは12楽章をもつ楽曲。
そしてもう1つが、彼の得意な楽曲であるもの…


「完成された、1作品。」


反対から音を鳴らしても、最初から音を鳴らしても。
必ず同じ形になるというとんでもない曲。
稀にこういう曲を作る者がいるが、ガラスの様に
変な処を叩けば一気に亀裂が入る様に
彼の音楽も一度崩せばいいのだが…

音の完成はそれ即ち隙のない防壁と変わらない。

守る相手が居ないからまだいいとしても、
それでもタクトを持ち得る者が寝ている今この状態で
動ける人間は元々作曲していたエテルネルとチェレステ、
そしてアニュラスのみである。

華神らはメルありきになるし、どうしてもコバエ以下になっている。
その為回復をさせてやるウイスらも、してやっても速度は遅い。
それどころか、逃げに逃げていた本体である現在の神々が出現して
構ってやるどころではなくなっているのだ。

それなので必然的に

「っぐあ!!」
「っエリーゼ!!っぐ」
「アルカネット!!エリーゼ!!」
「おや、もう駄目ですか?…貴方達の音はか弱いですねえ?」
「っぐ!!!」

彼等に太刀打ち出来るのは同じ音のみ。
即ち華や音に携わった力のみだ。

対してチェレステは空や海などの
青一色に染めた音を主流としている。
水は花にとってご褒美でしかない。

エテルネルもまた同じくして彼は火や魂などの
赤一色燃えゆるものを音にしている。
太陽の様な光は花にとってご褒美でしかない。

そう、この二人が協力すればするほど
彼等は回復して成長するというもの。
栄養を明け渡していると言ってもおかしくないのだ。

だとしても、このまま放置するのは負けを認めたも同然。
未だメルは醒めない。醒めることを忘れたかのように。
トベラの腕の中で眠り続けているのだ。

せめて彼女を起こすことが出来れば…何か、
何かと思っていると何処からか悲鳴が上がる。


「っいる!!!!!」

第8の界王神の胸に葉が刺さったのだ。
背後からを防ぎきるのは難しい。
そのまま倒れ、消えて無くなる彼と同時に
本体で在った者達も消え…


「どうやら私は此処までのようですね。」
「っお兄様!!!」
「メル様を、たのみ、ま」
「……っくそ!!!」
「(悲しいが…でもコレは、ある意味勝機だ。)」

彼が止まったと同時に、外にいたであろう天使が消え失せた。
それ即ち、此方側が死ねば、天使が元に戻るということ。

だが、それを言ってどうする。全員自害しろとでもいうか?


ーねぇ、知ってる?花言葉には意味があるの。

くそっ、なんでこういう時ばっかお師匠の記憶を思い出すんだ。
苛立ちを隠しきれずにタクトに力を入れて攻撃を放つ。

ー花が願いとなって、祈り道を作ってくれるとしたら、貴方は何を望む?何を願う?
ー僕は貴方の曲が聞ければソレだけで構いません。
ー嗚呼もう!そう言うんじゃないんだけどなぁ。

そう言って嬉しそうに笑うのだ。そう言う時だけ、笑ってくれる。
まるで花が咲くように、嬉しそうに、だ。何時だってそうなのだ。

普通の時には笑わない。でも、作曲をして、音に触れ愛でている時だけ。
間奏中に彼女はそうやって生き生きとした声と顔で聞いてくれる。

その時間が何よりも好きで、たまらなくて。
だからずっと続いてしまえればどれほど良いかと思った。
せめて、貴方と同じ歳ならば、同じ時間にいきれたら。

そうしたら、願いが叶えられると思っていた。



でも、そうしても、音は届かない。

環境が違うということだ。
身体が弱くても、愛情に飢えて走り続けて。
耳も声も何もかもが消えて無くなっていく。
其処に在るのに、無いものになっていく。

それを外から見守ることしかできなかった。
いや、怖かったんだ。かえたところでなんになる。
アレ以上の苦痛なんて、私は、与えたくなかった。

臆病者は一体誰だ。彼女は沢山頑張っていた。
何度も何度も繰り返して彼女の傍に巡り廻って辿り着いて、
よくあの子にあんな風な口が聞けたものだ。

私の方が、ずっとずっと、臆病者だ。



ー私は其処にいてくれたらそれだけでいいんだよ。
ーえ?
ーそんなこと、在り得ないから。だからこの曲はね、こう呼ぶの。


「【いつか終わるその日まで、私は貴方を待ち続けましょう】」


…そうだ、私は、エテルネル。永遠を、貴方に捧げた、人間だから。


ふわりと身体が透けていくダリアに、
止めろと声がかかるも前に力を解き放つ。
嗚呼、願わくば…貴方と、一緒に曲を奏でたかった。


ねぇ、エフェメラル。



「…ず、っと、ぼ、くは。き、みのこ、とが。」


手を伸ばした。届かない。

嗚呼、ほらやっぱり、そうだ。


届かないじゃないか。


一瞬すらも、掴められない者が、何を望むのだろうか。



嗚呼せめて、もう一度、貴方と共に、音を奏でて…音?


「…っ!!!そうか!!!!なぁ!!エフェメラル!!!」

消えていく最中、声を荒げる。聞こえているだろう届いているだろう。
そう言って声を上げた。


「音を愛でよう!!その日まで!!!君が、っ…君が!!」


見て欲しかった、あの日まで!!!


その言葉に、メルの目が開く。

一瞬揺らいだトベラの手から綺麗に離れ落ちていくではないか。
まるで空を羽ばたくように、メルの衣服が変化を遂げる。
浅黄色の胸元は白い紐を通し、カーテンのベールを二枚降ろして身を包む。
胸を一周薄い布が纏うも中は更に白い布で固定されているのかそれ以上は透けて見えない。

下は同じような白い布を通し、カーテンの様なベールを一枚回して身を包んでいた。
丈はかなり短く、太ももいや股が少し隠せればいい程度の短さだ。

靴は溶け、消えて無くなり、メルの首元は金色の首輪すらも無くなっていくではないか。
イヤリングはそのままでも、髪色は白が輝き、目の色も輝きを放ち始めた。
背中から白い翼を羽ばたかせて、そうだよと鳥が鳴くように綺麗な音を出す。


『音を愛でよう?あの日まで。貴方が愛してくれた。その日まで。』
「〜〜〜〜っ!!!アイリス!!!!」
『も〜その言葉は外では厳禁だって言ってたのに。』

…ま、それで目覚めたんだから、仕方がないよねっ!!!!

『皆よく耐えた!!』
「っメルううう!!!!」
『わわっ!!ちょ、こら、くるしって!!』
「指示を。」
『うん!皆、構えて!!!』

『”華よ神よ魔の者在ろうとする存在よ、
我が主ヴァイス・ミア・エフェメラルの名に置いて。
第一楽章華の者環の者真なる者達よ、
今こそ儚き願いを継げ呼び覚ませ。”』


交響曲第4番「真昼間の白昼夢」

その言葉に華神らが一斉に飛びかかる。
それでトレースの身体が鈍り、立て続けに
追いかけ出て来ていた華神らの花を切り刻み続ける。


「ごめんな、次ぎ合う時は、友達でいれたらいいね。」
「っ…」

ーありがとう。

「っ!!!〜〜〜〜!!!」

そう呼ばれると、尚更熱くなる。
熱を込め、その勢いで彼等を止める。


「(いかなきゃ、でも、私がいってどうなるんだろ…)」

沢山頑張って、沢山出来なくて。
それでも、それでも前を向けるの?
なんで、どうして?どうして其処迄して、愛を求めるの?
もう取れないのに、分かち合えないのに。

バットエンドだと分かっているのに、どうして抗うの?


『私はね。青い空も嫌いなら白い雲だって嫌いなんだよ。』
「…へ!?」
『清らかな水面も嫌いならば、平然と回る太陽だってもっと嫌い。』

でも、この世の中で一番何が嫌いかっていうとだなぁ…????


『在った存在その者を、蔑ろにして人様に
ご迷惑かけまくる奴なんだーーよおおおおお!!!!!』
「っえええええええええええ?!?!??!」

その時、メルの手から巨大なハンマーが出て
トレースの頭にぶつかったではないか。
流石の行動に全員が目を止め時を止めた。

いやこの期に及んでそんな攻撃の仕方するとは思わないだろう。


『アルトリア!!!!』
「っな…はーーーん?成程、やってやろうじゃない。」

見た目にニヤリと笑い声を上げる。

「”華よ神よ魔の者在ろうとする存在よ、
我が主ヴァイス・ミア・エフェメラルの名に基づいて
我が名アストラ・ルトリアの名に置いて。
第一楽章第一番目の華の者環の者真なる者を、
今こそ儚き願いを継げ呼び覚ませ。”」

代償与えて、お願い聞いて

っなにを!!!


「”交響曲第4番「真昼間の白昼夢」第一楽章第一番”」

【希望の犠牲】

「…っそれなら!!
”華よ神よ魔の者在ろうとする存在よ、
我が主ヴァイス・ミア・エフェメラルの名に基づいて
我が名ギリア・カピタータの名に置いて。
第一楽章第二番目の華の者環の者真なる者を、
今こそ儚き願いを継げ呼び覚ませ、
代償与えて、お願い聞いて”」

「”交響曲第4番「真昼間の白昼夢」第一楽章第二番”」

【雨の気まぐれ永久の喜び今此処に】

そう言って彼女達は次々に杖を創り出しては
タクトを創り出して華を咲かせるではないか。
先程していたみたいに、同じ様に、だ。

「”華よ神よ魔の者在ろうとする存在よ、
我が主ヴァイス・ミア・エフェメラルの名に基づいて
我が名アシュガ・ベイリーの名に置いて。
第一楽章第三番目の華の者環の者真なる者を、
今こそ儚き願いを継げ呼び覚ませ、
代償与えて、お願い聞いて”」


の執行人】


そうして声を上げる中、メルの口元が変わって行くのが分かる。
何かを言っているのかと思いきや、それは…


『…華よ神よ魔の者在りとしする者よ。
華片の願いを束ねし許せし愛塗れし星々よ。
今こそ、我が力我が魂を解き放ち
約束果たせし末路を導け。』

『死んでも離れぬ不滅の想いよ、
悲哀の心に酔いしれて。
公正なる者、神草よ、
貴方を信じて、微睡んで。』
「…っまさか、華の言葉を束ね続けているというのですか!!!」
「それがどういうことになるのか、あの子は、分かっているのでしょう。」

だからこそ、邪魔などさせない。

「おや、中立はどうしたのですか?」
「生憎、中立とは善にも悪にも位置しない存在です。
彼女を助けようとするのが善や悪になるならば
それは現在私がしていることはよろしくないでしょう。」

ですが。

「私は全王様の付き人、天使です。…あのお方の命に従い、貴方を止めます。」
「っまさか!!!」

全王の方をみれば、ニコリと笑ってわくわくした状態で此方を見てくるではないか。
杖を使って叩き落してくる彼の攻撃をタクトで防ぐも、力を消耗していることにつつかれる。

「おや、息が切れかけていますよ?まだまだこれからです。」

私、これでも華樹神官を務めて差し上げていた身ですので、ねえ?

「っ!!!くそっ!!!!」
「(お兄様、貴方が私に明け渡したのはこういう日が来るために、なのでしょうね?)」

タクトから出てくる華神らを消し飛ばしながらも
大神官は彼の事を想い馳せる。そうしたら、会える気がしたから。
何処にもいないなんて、そんなこと、在り得ない。

だって、そうでしょう?


「貴方が私に、くれた。とっておきの、プレゼントを。」

私が此処で使わずして、何になろうというのでしょう?
そう言って大神官が口にしたのは、かつてメルが渡した、花の一部で。

キンと音が鳴り響く中、メルは集中して前を向き続けていた。
真後ろでは、綺麗に落ちる者がみえているというのにも関わらず。

「”華よ神よ魔の者在ろうとする存在よ、
我が主ヴァイス・ミア・エフェメラルの名に基づいて
我が名アルカネットの名に置いて…!!
第一楽章第十二番目の華の者環の者真なる者を、
今こそ儚き願いを継げ呼び覚ませ、
代償与えて、お願い聞いて”」

『(どうか、酔いしれ狂ってしまえ。その微睡みに。)』



真昼間の中で息しか出来ない儚い存在、神様よ

貴方の居場所は此処しかないよ。
皆が待ってる、此処にいる。

白い世界ではない。私が全てを忘れたあんな悲しい世界では。
黒い世界ではない。私が全てを失ったあんなひどい世界では。
青い世界ではない。私が全てを知ったあんなつらい世界では。

此処は何処でもない、現実の世界。
夢でも永久でも一瞬ですらもない。


約束果たせし、奇跡の世界。

『初日の想いを留めた瓶よ、
永劫見紛う価値の高さよ。
華に似た駆ける星々線香花火
どうかお願い、祈りよ届いて。』

だから戻りたい。怒ってないの?本当に?
それならどうか、抱きしめて。優しくしてね。
泣いてないよ、大丈夫。だってこれは、涙じゃない。

此処に縋る。そうすれば、何もかもが、完成するから。

そりゃあ辛いよ苦しいよ。怖いし悲しい痛いんだ。
誰もが責める咎めてくれる。だからこれだけ望むのだ。
ただただ貴方が、其処だけで。笑って居られるそのひと時を。



もう大丈夫、いたくなんて、ないのだから。


『私を見て誓いを願って、
「【銃弾撃ち込み咲き散らせ】」』


響くは和音コード呼吸ブレスを合わせ
旋律メロディ奏でて永久を知れ
水面の様に清らかに、お空の様に高らかに、感情静かに包み込め。
譜面スコアの筆跡追いかけ追走曲カノン僕らの音楽終わらせない。


轟け欺け酔い狂え、交響曲シンフォニーを奏でましょう。

約束果たせし、その日まで。


「一人は二つ、二人は一つ」
『僕らは!!!』
「「「かしん!!!!」」」
『勝つのは!!!』
「「「僕ら!!!!」」」
『願いは!!!』
「「「同じ!!!!」」」
『想いは!!!』
「「「一つ!!!!」」」
『約束果たしに!?』
「「「いざ行かん!!!!」」」
『あじゃあじゃ〜〜〜〜???』
「「「ふぁいてぃぃぃぃん!!!!!!」」」


『”交響曲第4番「真昼間の白昼夢」第一楽章”』

さて、祈りが届いたその最中。
メルはそっと手を伸ばしてやる。

その時だった。


「振り返らなくて良いの?」


『え?』


「大事な者が、零れ落ちてるのに。」


聞くなと声が聞こえるのに、身体が動く
下には灰色になった天使と、
弟らに抱かれている子が目を閉じていた。




『……我らが華神の源よ。
淘汰されずに邂逅巡らせ続けろその感情。』


数多の願いを奇跡に変えて、約束果たせし末路迄

我らは永劫途絶えぬ回路。巡り廻って落ちしら

轟け喚け世界よ見紛え。儚い落胆らくたん幸福とわへ変え


「っ駄目です!!やけになっては!!!エフェメラル様!!!!」
『約束果たせしその日まで。』

二人は一つ、一つは二人。束ねし今こそ、来る時。

【後期】純環の定理者エフェメラル

『…”交響曲第4番「真昼間の白昼夢」第一楽章第十三番目”』



【花冠を、送りましょう】


『【いつか来る、終焉まつろまで】』


いつだ…!!いつ消えていた!!!
全く気付かなかった。音よ速く、もっと、もっと、速く届いて!!!
彼等を消して、そして、そして?その日には?


ーそうして貴方はどうするというのです?


誰もいない、その時でも、貴方は。


『っが!!』
「はぁ…やはり感情に狂い呑まれたら終わりですね。」
「エフェメラル!!!しっかり!!息して!!」
「どいて下さい!!気管に入ったのでしょう。メル様行きますよ!!」

そう言ってコニックが胸に力を入れ身体に衝撃を入れる。
するとその反動でメルの呼吸が戻る。
咳き込みつつも身体を起こす間、はらりと翼が解け消える。
力を使い過ぎたのだろう、もう残り僅かなのは目に見える。

いつから、というメルがぼたぼたと涙を零す。

「…貴方が目覚めたくらいには、もう。」
『そういえばサワアは?ねぇ、すっぴーは?』
「それはっメル様!!!」

そう言って引っ張られて身体が倒れる。
痛いよと言って目を開ければ、嬉しそうに笑う顔が見えた。

「…ご、ぶじ、ですか?」
『…こ、にっ、く?』
「はは、や、っと。私の名前、さらっと、いって、くれ、まし、たね。」

貴方、最初から頑張っていましたしね。
お兄様達みたいに、流れる様に言ってくれるかなと期待していましたが。

「やっと、か、なえ、ら、れまし、たね。」
『こにっく?や、だめ…だめ!だめだよ!?ねちゃだめ!!!』
「はは、て、んしは、し、なない、のです、よ?」
『死にそう!!今すぐ死にそう!!!!!』

嗚呼もう、笑わせないで下さい。
そう寝転がるコニックに、キテラが声を掛ける。


「いくのか。」
「…ええ、す、みません。き、てら、さま。」
「いやいい。よく頑張ったな。」
『やだ、やだよ…ねぇ、まだ、まだ足りない。』
「わ、がまま、い、わな、いで、くださいっ」

そう胸にしがみついて泣くメルの頭を撫でてやれば
嬉しそうにするのか悲しいのか分からず笑いだした。

…嗚呼、そうしていればいい。ずっとずっと。笑っていれば。

いつかきっと、本当に幸せな日々が訪れることだろうから。

恐れないで。どうか、見紛わないで。

だって貴方は、あのお方が。選んだお人ですから。


「だ、いじょ、うぶ、き、と……」
『…こにっく?ねぇ、へんじして?ねぇ!こにっく!!!』
「……残念ですが、タクトの影響は本来生きる者達の高濃度な気の圧縮です。」

天使であろうとも、一度華神らに近しい力に触れたとはいえど、直撃を食らえば…

「っそんな!!!っが!!」
「っ皆!!」

次々と倒れていく界王神や破壊神らに、天使らも巻き込まれる。
停止していくこの感じ、嫌に既視感を思い出してきた。


「さて、選ばれる時だ。」
「っ!!」
「エフェメラル。君に選択肢を二つ、与えてあげよう。」

そう微笑むトベラに、メルが選択肢?と声を上げる。
酷く弱弱しい声に、目の奥が揺らぐのを見て、トベラの笑みが深まった。



「嗚呼そうだ。…君がその楽譜を完成させ、君の想像していた詠唱を唱え
混沌の海である主を呼び出してさえくれれば…此処は引き下がろう。」

なんなら、今倒れている君らの天使らたちも全員戻せる。
…っほんと!?!?

「もしくは。その身体を僕に明け渡すことだ。」
「っそれは!!!」
「理を書き換えてしまえば理の状態即ち定理者らの管轄も変わる。
君が望んだことが、正しく行われるという者。」
『やる。』
「エフェメラル!!!!正気か!?!?
正気の沙汰ではないことをしようとしてるんだぞ!!」
「…彼女らの仰る通りです。とてもじゃないですが、
今の貴方は正気の沙汰ではない。」

お考え下さい。
時間ある?

『貴方達のお父さんも、このお人も。
お師匠も、そしてあの人だっていない、この世界で?』
「…それは、」
『願いが叶えられるからどうというの?
一度植えられた傷の種は二度と戻らないのに?』

考えなくても決まってる。コレは変えれない変えたくないの。

『下がっていて。出ないと私が貴方達を今すぐ此処で殺す。』
「っメル様!!…っ」
「わかりました。我々は出来るだけ距離を取ります。エフェメラル様。」
『なに?』
「…どうか、精一杯、ご尽力のこと、よろしくお願いいたしますよ。」

ウイスさん!!そう言うシンに対し行きますよと
皆を率いる様に先に飛んだウイスに対し、
各々未だ生きている者達が敵に背を向けて飛び出したではないか。

逃がすかと言って手を前に出すトレースに対し、ダリアが攻撃を加える。

「はっ、生憎、僕は諦めが悪いんでね。
誰が24時間四六時中お師匠に頼み込みに行ったものか。
この執念の悪さ思い知らしてやる。」
「…なら、嫌というほど教えて頂きましょうか。」