君のための
世界が綺麗に溶けて消え、幾星霜。
再び世界が廻り始め、更に時が過ぎた、とある日。
ごぞごぞと唸りながらも身体を動かしていると
ふわりと浮遊した身体に、寝ている感覚のまま落ちていく。
白い衣服に黄色いタオルケットで身を包んだ女性が。
宇宙に落ちて落ちまくる。
「…ん?」
「どうしたの?大神官ー」
「ああいえ、気のせい、でしょうか?」
いま、神が空からぱっと降って落ちてきたような感覚が。
その考えは当たっていた。
「っ親方空から女の子が!!!」
「えー?トランクス君何変なこと言ってるの?」
「いやテレビとかじゃなくてガチで!!むこうだって!!」
「あっまってよーー!!!」
そう言って彼等が辿り着いた時には、
二人の人間が先について声を荒げていた。
「っああ悟天にトランクス君丁度良かった!!
ブルマさんに声かけてくれない!?」
「大丈夫ですか?あの!返事してください!!」
「人!?救急車じゃ」
「いいからはやく!!!」
切羽詰まった彼に従い、トランクスはすぐに母親であるブルマに連絡をする。
その間に移動していく中、ぐったりとしている彼女の姿が妙に離れない。
まるで、何処かで在ったことがあるかのような感覚で。
「…きのせい、だよ、な?」
++++++++++
「ブルマさん!!!」
「一応生きてるわ。」
「よ、よかっ「よくないわよ!!」え?」
「なんなのあれ!急に花が咲いたりパチパチ言ったり
声も聞こえて「あの」いやああああああああ」
あっ、すすみません、驚かせてしまいましたね。
そう言ったのは、
「っ界王神様!?どうして此方に、」
「ここらあたりに神の気を察知しましてね。
ひょっとして誰かご養生のお方が?」
「さっき悟飯君達が助けてあげた子かしら。」
丁度良いから是非みてやって。
アンタたちの仲間だったら連れてって欲しいくらいよ。
…わ、わかりました。拝見させて頂きますね。
シンは引きながらもブルマに連れられ中に入る。
それに気になってビーデルらもまた、中にはいっていった。
「…っこ、れは…!!!!!」
「え、なにここ、植物園?」
「いや、ここ私の家よ?」
じゃあ一体誰が…
そう言って前を向いたところには。
半円上のドーム中央に置いてあった
白いベットが綺麗に溶け消え、いや奥にそっと置かれていた。
まるでこれは要らないけど、
邪魔だと言っても壊すには
悪いからとそっと避けてくれたみたいに。
置物の様に置かれていて、
中央には大きな樹木が育っていたではないか。
周りも辺り一面草原やら木々が蔦を這わしている。
まるで生きているかのように。
此方を見てくる女性が、うろうろしている。
「起きてくれたのね。アレ知ってる?」
「あ、あれって…いや、知りませんが…」
首を傾げては此方を見て欠伸をする。
くぅと可愛らしい鳴き声を出す彼女の姿は
先程入れてきたばかりの状態であり、
まだ身体が少し濡れている除隊ではあった。
白い紐を一周させて、まるでカーテンを
敷くように白い布が何枚か降りている。
言わせてみれば、ビギニみたいなものだろうか。
下も上も、数十センチ程の長さでとてもじゃないが
身体を守るには難しい程の薄さをしている。
「…何かを探しているのですかね?」
「そう言えばブルマさん、黄色いタオルケットって何処に持って行きました?」
「嗚呼あれならぐちゃぐちゃだったし先に洗濯へ回しにもってっあっちょ!こら!!」
どこ行くのと言うブルマに、彼女が口を開ければ
ブルマの横から樹木が飛び出し、同時にブルマも飛び上がった。
そのまま樹木が彼女をつれ、向かう先は…
「まさか洗濯機にいくんじゃ、
あそこまで木を生やされたらたまったもんじゃないわ!!」
「っあのすいません止まって頂けませんか!!!お願いします!!!」
そう言った悟飯に対して、もうと声を上げる。
「ウイスさんなんとかしてえええええええ!!!!」
「はぁ〜〜い!お呼びですかぁ?ブルマさん。」
おや?
「貴方…まさか、いや。そんなはずは。」
「え、何々待って知り合い?」
「ビルス様」
「…ふむ、」
ぱっと出てきた者達に、彼女は驚き身体を縮める。
まるで自分の荷物を取りに行くだけなのに
怒られていそうでビビっている子供にも見えた。
「…君名前は?」
『?』
「ん?言葉が分からないのか?それとも言語か?」
「…ブルマさん、何が起きたのかご説明をして頂いても?」
「ああ、その子近くのパオズ山の泉に落っこちてきたらしくてね。」
それも空から。
空から、ですか。
「ええ、黄色いタオルケット新品な様にみえてぼろかったけど
大事そうだったし一応汚いから洗ってあげようと思って
洗濯機に廻そうとってウイスさん!?!?」
「もしかしてお探しのものは此方でしょうか?」
『〜〜〜!!!!』
「おおっと。危ない。」
そうですそれですそうなんです!!!!
そう言わんばかりに目を輝かせて飛びついたとおもいきや、
上に上げられてそのまま地面にべしゃりと落ちた彼女が声を上げる。
一応声自体は出せるようだ。
「確かに汚いですねぇ〜〜〜。綺麗にしてしんっと」
「ん、」
『…!!!』
「ふーむ。私が奪うと思っているんでしょうかねぇ?」
それにしても、動きが妙だな。
そうビルスは考えていると、その騒ぎに何事だと
悟空とベジータが飛んできたではないか。
「…おい、あいつ何者だ。」
「え?何者って悟飯君が空から落っこちて来ちゃって救出してきたのよ。」
「悟飯がか?」
「ええ。ってベジータ!??」
「おいお前。」
そう言われて気付いたのか彼女がベジータをみる。
するとウイスもまたベジータをみた。
「そうやって取られたものをひらひらされて悔しくないのか。」
「…べ、ベジータさん?何も私虐めている訳では」
「自分のものは自分で管理するんだな。」
そう言うと、口がもごもごした後、彼女が声を出し始めたではないか。
『…華よ、時よ、あまねく全ての花々よ。
我が身に降り注ぐ数多の純列その一線よ。
今こそ束ねし来るとき!!!』
「っ!?!?」
『とっただおおおおおおおお!!!!????』
へぎゅっ。
あらあら、着地は下手くそですねえ。
ウイス…。
「おほほほ、失礼。」
『ふぎゅ!んにゅ〜〜〜〜!!!!っんん〜〜〜にゃ!!!』
「ですが其処迄濡れていたら風邪を引きますよ?」
はいどうぞ。
そう言ってウイスはメルの頭の上で杖をふってやれば
身体処かタオルケット迄乾いてふかふかになったではないか。
嬉しそうに目をキラキラさせながら彼女がウイスにぐぐっと近づいてきて
流石のウイスも少しのけ反り変えるも、彼女は嬉しそうに笑って会釈をした。
それにはどういたしましてとニコリ笑ってしまうしかなかった。
++++++++++
「成程、どうやら彼女はこの宇宙ではない処から落っこちて来たようですね。」
「そう言ってるのか?」
「ええ。手を繋げば会話は容易いですよ。」
といっても、天使が手を繋がないと彼女の記憶やら思考やら
読み解けないのは些か困った話ではありますが…。
「ほんとか?ならおらも!!!」
「おおっと」
「うわっちょ、ウイスさんそりゃないよお!!」
「失礼。ですが彼女と交流するのは悟空さんでは早過ぎるかと。」
まぁ正確に言えば悟空さん程度ならまだ早く話せるかもしれませんね。
どういうことだ?
「この子は純度が高すぎます。それも異常な程です。」
「純度?なんですか?」
「気の純度だよ。本来在るべきエネルギーだ。」
「神々ですらこれ程高い純度を持つものならば
大神官様の御見通しがあって我々天使にも通達が来る程です。」
「そんなに!?!?!?」
ええ、それ程に。
「(ましてや我々の力もさらりと抜け落ちてくる処…
貴方、ただ者ではありませんね?)」
そう、彼女は、ただ者ではない。
ソレを分かっているのは、此処にいない。
「じゃあその子って名前なんていうかわかります?」
「え?嗚呼そう言えば聞いていませんでしたね。
すみません、少々お尋ねしたいことが、ええ。」
貴方のお名前を、教えて頂けますでしょうか。
そう聞けば目の色が変わる。とても申し訳なさそうに。
落ち込むその姿に、そうですかとウイスも困ったように笑った。
「どうやら名前は教えてくれないそうです。」
「またどうして」
「教えられないのか、それとも思い出せないのか。
余りそこら辺も分かっていない、そうですから。」
「手を繋ぐってことは、僕達の会話は分かるのか?」
「……いえ、どうやら分かっていないようです。」
ですがその場の雰囲気で掴んでいるとのこと。
へーーー便利だね。
「この植物達も引っ込めたりは?」
「…可能だそうですよ。すぐに引っ込められるとか。」
指を鳴らせばぎゅんと音を立てて
綺麗に引っ込んできたと思いきや
彼女の手にスパンと杖が飛んできたではないか。
綺麗にとったからいいが、速度は早く、
流石の行動にウイスですら目を丸めて驚き固まった。
「げ、げんき、だね?」
「…それで済ませれたらいいんですがね。」
「それで、これって誰なの?」
『…?こえ!』
「え?」
『…こえ!!』
「嗚呼ちょっとお待ちください。あの、ひょっとしてコレと言ったのですか?ええ、嗚呼成程。」
真似っこしていたようでして。
だあああっ!!!
「なんなのよ!折角名前が分かったかと思ったじゃない!!」
「ま、まぁまぁ。」
『ん!!!さわあ!!!!』
「え、今度はなに!?!?」
「っまさか。」
そんなはずはない。彼女が声を出すどころか、名前を呼ぶなんて。
その場所にいたのは、違う人物ではあったが……
「だっだだsdkふぁsdfかsdf!??!?!?」
「すみません、ご連絡しようかと思いましたが
少々気になる気を感じ取りまして。」
「大神官様!!ほほほほにじつはおおおひあdかfsd」
「いえいえ、私もご連絡をするか迷っていましたの、で。」
「此方は?」
『…すっ、すっぴ?』
「っ!!!!」
その言葉に大神官の目が見開く。それも驚きに驚いた。
『あーーうう…え、う?す〜っ、ぴ?』
「…いや、そのお方は大神官様で」
「いえ、ビルス構いません。そのままで。」
首を傾げて黄色いタオルケットをまるで
人形のように抱きかかえて目をぱちくりとする彼女に
大神官はニコリと微笑んでやれば嬉しそうにニコリと笑い返してくる。
『すっぴ!すぴすぴ、すっぴ!!!』
「ええええ。何処でその名前をお知りになりましたか?」
『んあ?????』
「すみません大神官様、彼女我々の言語が分からないようでして…」
「…ふむ。そうですか、どうしたら通じるかご存知で?」
「ええ。一応手を繋いでやればなんとか。」
なら繋ぎますかと手を出す彼に、いいのかと周りが驚くと
彼女も察知したのか怯え始め周りを警戒して後ろに引いていく。
捕まえようとすればふわりと身体を避けてしまうではないか。
それも、ウイスの手を、難なくだ。
その姿にはビルスや大神官らもまた目を丸めた。
「…手加減したつもりはなかったのですが。」
『?!?!?!?』
「そのままで構いません。此方が騒げば彼女が逃げますよ。」
「…それは、失礼しました。」
何もしません。そう言って片手を出していると怯えていたが、
両手を出してしまえば顔色が一変する。
目をぱちくりとさせ、本当にいいの?と言いたそうに此方を見るので
頷いていいよと口を変えれば、嬉しそうに笑ってトテトテと歩き手を繋ぐ。
『すぴすぴすっぷわ!かんじゃった!!ごめんなさい!!!』
「構いませんよ。それにしても私の名前を良くご存知ですね?」
『すぴりたすでしょ?おなまえ。しってう!!おぼえてう!!』
「ええ、そうですよ。私貴方と出会ったことがおありでしょうか?」
『わからない!』
「わからないですか。それはこまりましたねえ。他に知っていることは?」
『えと、すぴと、さわあと、こるうと、こに!!』
嗚呼後ね。そう言って彼女は笑って言うのだ。
『ルトと、ルメの、狭間の、こ!!』
その言葉に驚いてつい口が開いた。
片手を外しいやまさかそんなはずはとうわ言を言う大神官にお父様?と声がかかった。
「…いえ、すみません。…そうですか。
この方を助けてくれた方は何方で?」
「えっと、僕達ですけど、」
「貴方方には後でお礼をしに来たいのですが、何か不都合のある日はありますか?」
「っ大神官様?!!?」
「此方側の人間でして、少々目覚めてから間もなく言葉も話せないようでしてね。」
「ああ、そ、そうだったんですか。此方としては何時でも構いませんが。」
「では後程ウイスさんからご連絡させますので。」
いくの?そう言いたそうに首を傾げる彼女にこくりと頷けば
大神官の周りをくるくると回った後、ウイスの後ろにぴたりと止まった。
そっと服を掴んで首を傾げる処、ウイスが移動出来るのを把握している。
その状態を少し見つつ、大神官は一度貴方方もついて来てもらいますよと声を掛けた。
++++++++++
そうしてやって来たのは、全王様のいる宮殿である。
中に入ればぴょんぴょんと飛び跳ねている。
それはもう歩くだけでも跳ねる跳ねる。
まるで幼子だ。見た目は其処迄でもない。
人間でいうところの18から25歳程度だろうか。
かなり歳がいっているようにはみえない。
もっと幼いのかとも思うが、どうも違う。
「お集まりの様で何よりです。」
「っコルンお兄様!それにサワアお兄様も!!」
こにっく!!そう彼女が指を指して言うのに彼もまた目を丸める。
「彼等意外に面識は?」
『???』
嗚呼失礼そう言って手を出せば手を繋いでくれる。
口を開けて話しをすると、コルンらの耳から声が消える。
その形に、ただ者ではないことを知らしめてくるのだけは分かった。
「…一応天使の皆さん全員の事はご存知ですが
よく仲良くして下さったのは貴方方三名。
後はマルカリータさん辺りだと仰られています。」
クスさんもですが、其処ら辺から仲良しかどうかを
分けて良いか分からないと言っていますので
とりあえずマルカリータさんもお呼びたてします。
そう言って彼女の手を離した大神官が少し距離を置いて通信を出す。
それにはコルンがウイスさんと声を掛けた。
「彼女は?」
「突如として空から落ちてきたらしいです。
何でしたら此方から思考を読もうならば遮断される始末ですし。」
本人はそうしているつもりなさそうですが。
なっそれはただ事ではないではないですか!!
そう声を荒げれば彼女がびくりと反応して距離を取り出す。
後ろを振り返るところ、どうやら逃げ出すことも考慮し始めた。
「お兄様余り声を荒げないで下さい…!!!
あの子見た目は嗚呼ですが、
身勝手の極意を使っても避けていきます。」
「っ…ソレは本当ですか。」
「ええ。此方の言葉は分かっていませんが
何となくで悟られますので。」
「…分かりました、気を付けておきましょう。」
助かります。
いやそれにしても。
「…サワア。」
「ええ。…おかしいですねぇ。」
「何がですか?」
「サワアお兄様の気がするんですよ。」
「彼女の面識がない以上私がヘマをするわけもないですし……。」
そう睨んでいると少しもぞもぞしてソワソワし始める。
どうしようどうしよう。そう言いたそうだ。
手を伸ばせばびくりと反応してしりごむ。
明らかにコルンの気にやられているようだ。
じとりとみればうっとこっちを見て唸る。
前に出たら尚更怖がられそうだがと見ればもう既に半泣き状態。
流石に此処で泣かれても困ると思ったコルンはやけくそになり
そのまま前に出れば彼女がぺたりとしゃがみぎゅっと目を瞑る。
手を取り、大丈夫と声を掛けた。
「私は貴方に怒っているのではないのです。」
『…ほ、んと?』
「…っ、ええ。本当です。ですから怖がらず逃げないで頂きたい。
これから貴方の処遇をお決めになられると大神官様からのご伝言です。」
『でも…帰らなきゃ。』
「え?」
『メリとルトの間の子だから。華と泉に、夢見た子だから。』
「…一体何を、いって。」
何と言って?
…メリとルトの間の子だから。
「華と泉に、夢見た子だからと…」
「…彼女名前は?」
「いえまだ…ウイスさんは?」
「いいえ。それが教えてくれなくてですね。」
なら、誰かを待っているのですかね。
え?
「お呼びですますか?」
「マルカリータさん実は彼女が突如現れましてね。名前もしらずでして。」
「困りましたねえ。よりによって今ですか。」
「お父様、何かお判りで?」
ええ、ですがこれを話していいものか。
…そんなに大事なのですか。
「ええ。そりゃあもう。とんでもないですよ?」
「…聞いたらどうなるので?」
「間違いなく驚きはしますね。」
「ですがこのまま放置すれば彼女何をしでかすかわかりませんよね?」
ましてや此方の会話が分からない以上は。
ええそうですね。
「ですが私も仮のことですし…こればかりは
あの方をお呼びするしか方法がありません。」
「そう言われて、やってきましたみに来ました〜〜〜!!」
「おや、えらくお早いご到着ですね?」
そう来たのは、青い髪を長く下した男性だった。
やっほーと嬉しそうに笑って手を軽く振る彼に
何者ですかと声を上げる者達の中で一人が声を上げた。
「おっ、おししょう!?!??!」
「おししょう!?!?!?!?!」
「貴方一体何故此方に!!!」
「いや〜〜色々あってね。それにしてもスピス。
この僕を呼ぶなんて緊急か何か?」
「そうですよ。お兄様」
「おにいさま?!?!?!?!?」
だ、だいしんかっ、てことは!??!?!
「何名か知らない子もいるでしょうからご紹介します。
此方私の兄であるものです。」
「ルトラールだ。いつも弟が世話になってるな。…してっと!」
『るとお!るううとおお!!!!っきゃっきゃ!!!』
「…っおうおう、いい子だねえ。」
そうしゃがんで頭を撫でてやれば、嬉しそうに目を輝かせた後
ぴょんぴょん飛んで、そのまま彼の肩にダイブした。
それも束の間。また飛び上がり、其処ら辺をジャンプしている。
「えらく元気ですね…」
「それで?」
「メリとルトの子と言われていまして。もしかして出来てます?」
「っちょ!!お、おとっ」
「嗚呼。一応ね、お前も前に在った事あるだろう?」
「…………やはりあの子ですか?いやですが。」
とても嫌そうな、信じがたい顔をする大神官に
いやいやそうだってと笑う彼には周りも困る。
「サワア君、元気してた?」
「…ええ、お久しぶりです。ルトラール様。」
「っお兄様面識が!?」
「大昔ですがね。それにしても貴方は引退された身、一体何故この地に?」
「弟に緊急で呼ばれてね。百歩譲って君までの名前を呼ぶのは分かるけど
コルンらの名を呼んだと言えば話が変わってきてね。」
「まさか、何か術にかかっているとでも?」
いや、逆かもしれない。
「彼女が、自ら我々全てに対して、ね。」
「…そんな出来る様な子に見えませんが。」
「これ」
「いいいい!一応裏では探ってみる。
その間僕が使っていた広間を使わせて欲しい。構わないね?」
「ええ。決まりですね。」
「それにしても名前はまだ決めていなかった筈なんだが…」
「ではこの際決めて貰う人を彼女に聞いてみましょうか。」
嗚呼それがいいね。
そう言って手を繋ぐ彼等に、彼女がきょろつく。
暫くすれば話が伝わったようで、
「一応僕と君で。名前を決めてってさ。」
「わ、私がですか?」
「大役ですね。」
ええってこれ。
失礼。
「…安直にメル、とはどうでしょう?」
「ほお?その心は。」
「いえ、単純に彼女の仰ってるルトのルとメリのメを取って。メルです。」
「…奇遇だね。僕も似たようなことを考えていた。」
そう言って彼女の視線に合わせてしゃがむ彼に
ねぇと答える。
「突如として戻って来た君の名前。
それは一瞬の様な、瞬く間に。
春を知らせるように、来てくれた。」
だから君の名前は、
「”エフェメラル”春のひと時瞬く間。エフェメラルの、メル。」
『〜〜〜っ!!!ん!!!メル!!めぇる!!!!』
「…どうやら気にって頂けたようですね。」
「ひとまずはね。それにしてもコレどうする?」
「どうしましょう。」
「あの、彼は一体どなたで。」
そう聞くウイスにサワアが答える。
「嗚呼、彼はかつてこの地をお父様と統治していたお方です。
華を束ねる方、華樹神官と呼ばれる地位のお方ですよ。」
「華を?」
「ええ。願いを一つ願った者達の総称。」
「ですがそれはおとぎ話の話しでは…」
「ですが、現実居ますよ。現に貴方、樹木を束ねている姿をご覧になったはず。」
それも、此方から感情を読み解けない。
っそれは……
「華樹神である者の特徴ですよ。…それにしても驚きましたね。
確か大昔に廃れ、もう華を自在に操る能力は消えたとされていますが。」
「その通りですよ。それも、華を持つ神々である華神らを束ねた者。」
それは、もう、遠い昔の話。
「彼女は私の子で在り、私の子でないのですから。」
「どういうことですか?」
「話は追々。それよりも、コルン。」
「…嫌な予感がするのですが。」
「彼女の教育係になってね♡」
そう言われて、嫌ですと言えば
追いかけまわされる。
嬉しそうに杖を出す彼にぎょっとして逃げたのだ。