赤いハートの砂糖づけ




と、いう訳で。

『分かった????』
「いや分からん。」
「情報量過多。」

そう言う彼女達にメルはため息を吐いた。
此処は華樹の内部、正確には華樹から繋いでいる別の星に在る場所。
春の星、アストランティアである。

メルは一度杖に今居る子達を仕舞ってから
この場所に全員集めさせて状況をティーナ達に説明していたのだ。

「成程つまりアタシ達はあくまでも第三の人間でそいつらが第四の人間ってことか。」
「じゃああと数十人は増えるってこと?」
『まぁ目途は立ってるけどね。』
「へぇーたってるんだ。」
『君達の統一された状態は主に「花」を中心としてる。』
「嗚呼あのお方確か花に注目した楽譜しか作ってなかったよね。」

そう言うのは宮間である。
そうだよーとメルが軽く手を振ってこたえた。

『対して私はちょっと違う位置になってるけどね。
正確に言えばルトラールも同じくニアミスだけど。』
「違う?どういうことだ。」
『花は必ずついてるんだよ。現に君ら全員華の名称がどこかしらに付いている筈。』
「…確かに?」
「ポピーはそのまんまだしな。」
『名前でなくても攻撃手段とかでもね。』

岩花火とか?
そうそう。

『対して、だ。』
「そっちは?」
「夏の果て、元天使のマールです。こっちはリッキーさん。」
「はじめまして。新人で至らぬ点が多々あると思いますが、
早く此方にも、力にもなれる様に精進致しますので、
ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。」
「どうも。」
「ご丁寧にありがとうございます。」

そう話が進みだしたのは元第二を司っていた原初のアズールだ。
彼女とは話が合いそうではある。お互い謙遜しあうし。

『そんな感じで殆どが楽譜や音にまつわるもので統一されていてね。』
「嗚呼花と音か。また洒落た力持ってんだなお前。」
『えへへ〜〜〜』
「でも区画的にはもう一杯なんだけど」
『という訳でお兄さんお姉さん方には区画の再調整をとですね。』
「嗚呼そう言う事か。」
『四方に間わけてるじゃない?』
「その間森にしているが…」

円にするか?いやでももし敵が来た時まずくない?人も少ないし。
じゃあ半分にするか?嗚呼それいいかもね。

そんな感じでワイワイし始めたので、ふぅと息を吐いて下がるメルにとんと背中を叩いてやる。

「お疲れですか?」
『ん〜……ちょっとだけ?』
「素直でよろしい。一度帰りましょう。」
『わわっちょ、あ、歩けるよ!??!』
「駄目ですよ。」
「そうそう、母体は安静にしとけよ。」
『ちょ、くのちゃんまで!!!』

くのちゃん?
クノフィリスだ。一応彼女らの医者してる。
へーーー

「風邪ひいたりとかしたら言ってこいよ。一応面倒をみてやるからな。」
「お願いします!!!」
「じゃあ第一楽章の面々はこっちで請け負う。未完成だけ杖にしまっておけ。」
『了解。』

メルおめでとー
おめでとうございます

そう嬉しい言葉を皆から貰ってほくほく気分である。
お腹をさすり良かったねぇと呟いた。

『(君の事が皆待ち遠しいってさ)』

早く出て来て欲しいとも思うが、もう少しだけこの時間を味わいたいと思う。
春は終わり、夏が来た。そうして秋が来ては冬がきて、やがてまた春が来る。
その繰り返し、時は戻らず、進むのみ。それこそが、人間の生きる時間であるのだ。

神様が同じくそう生きてきたように。

『って言うかあれ、サワア宇宙に帰らなくて良いの?』
「大神官様からご伝言でして。貴方のお子がきちんと動き出すまではお休みを頂いております。」

勿論破壊神だけで務められる技量があれば構いませんが、そうともいかないはずですので、ちょくちょく抜けるとは思いますが。

「暫くは此方でお過ごししますので。」
『〜〜〜!!!』
「ふふ、寂しくなんてさせませんよ。」
『大丈夫この子がいるから既に寂しくないよ。』
「おやつれませんね?」

この僕を差し置いて二人だけなんて。
えーーーー駄目?
駄目です。独り占めしないで下さい。
待ってそれどっちにいってる?
両方
えーーーーー???

そう華樹から出てきた二人が話すのに周りはくすりと笑ってしまう。
こうやってのんびりと話をするところが天使らも好きで堪らないというのを彼女らは知っているのだろうか?

「調子が宜しければリキール様らにもご報告させて頂いても?」
『いいよ!寧ろ連れてきたらよかったのに。』
「流石に一度にくればお子が驚いてしまいますから。」
『わあ〜。』
「既に大量の華神らにあえられちゃいましたけどね。」

そうですね。いや本当に多くなりましたよ。

「元々あれ程いやアレで一つの区切りとは。」
「本来であればもっと多いと聞きましたがね。」
「付き人もほぼいない状態でコロコロ変わっていたそうですし、本当に彼等は優秀だったのでしょうね。」
「付けなくて良いとまで言い切れるとは余程の力をお持ちの筈。」
『そうなの?』
「そうですよ。天使ガイドが居ないと言うことはそれ即ち一人で管轄出来る前提で渡していることでしょうし。」

もしくはそれ程宇宙に対して必要以上に割くほどでもなかったものか。
まぁそんなことはどうでもいい。過去のことでもあるのだ。

『でもそれならこの子達はどうして今更ながらに出て来ちゃうんだろう…
管轄させる所なんてないし、損にならないかな。』
「エフェメラル様…」
「そんなことはありませんよ。」
『クス姉』
「貴方に会いたいと仰られていたのをお忘れですか?」
『あっ』
「ふふっ、皆さん貴方に会いたいから願いを捧げた。」

つまりそういうことですよ。願いは叶う。
貴方が望んだとおりに、ね。

「では我々もお暇致しましょうか。」
「エフェメラル様どうかお身体にはお気をつけ下さいね。」
「何かありましたら我々の通信を頼っても構いませんので。」
『はぁい』
「ふふっそれでは。」

そう言って彼等は各宇宙へと旅立っていく。
いっちゃったぁと言えばいかれてしまわれましたね、と答えが返ってくる。

「帰りましょうか。」
『うん!』

++++++++++

「今なんつった?????」
『だーからあっっっかちゃん。』
「は??????」
「シャンパ様仰られたいことはよーーーくわかりますが事実です。」

こんな小さな腹にか????
シャンパ様

「だから腹隠してるのか。」
『人がそんな露出したがりと思って。』
「いやそうは言ってないが、君ら花身体から出すし何処から出るか分からないから嗚呼してるんでしょ?」
『えっビルス様分かってくれてたの。』
「じゃなきゃ君絶対全身隠すでしょ。」

そうですそうですよ。

『当たり前じゃないですか。こんな破廉恥醜態誰が好き勝手出したいとお思いで。普通に寒がりなので服はなるべくきたいんですよ。華が出るからそれが難しいだけであって。』
「だから毛布をかぶり続けているのですね。」

今回集まってもらえたのは第2、第6、第7、第8の
計4宇宙にいる破壊神と界王神だ。
他の宇宙は忙しかったり流石に大勢ではと断られてしまったので
後日改めてお話してもらえる予定で手筈を取っている。

『えへへ、昨日だったかな?ゴワス様めちゃ嬉しそうで泣いちゃってさ。』
「おや、そうだったのですか。」
「既に泣いてる人いますけどね。」
「うっ、や、やっと、お、おめでとっござ」

あらあら〜〜〜

『えへへ、ありがとうございます。』
「産まれた時は是非ともご報告下さると助かります。」
『するする!しますします!!』
「だとしても余り騒がない様にしましょうね?」

赤子に悪いですし。
もう大丈夫だって。

『君は強い子だしね。』
「エフェメラル様…」
『大丈夫。寧ろうーんと騒いでしまえばいいよ。』

今まで何度も出ようとしてその糸を引き千切られ落ち続けていた子が、漸く手を掴んだのだ。
引き上げ早く日向に出してやりたいし、ずっとずっと笑っていたい。
どうかその陽だまりが、嗚呼そうだ。私はきっと、あの時間が欲しかった。

気付いていたけど、再認識なんてしたくなかった。

なんて言ったら、悲しくなっちゃうかな?

『それよりも、ウイスさん出来れば彼女達にもご報告したいんですけど』
「嗚呼別に構いませんが、そんなハイスピードで体調崩されても知りませんよ?」
『えへへ、良いんだよ!!』
「よくありませんよ。」

出来れば人間はもう少し先で。
えーーー

『ばらしたいこのおもい』
「余り周知しないで下さい。貴方を狙わないなんて思わないことですね。」
『えっ』
「まぁ今は全王様と力が繋がっている状態です。
そうそうおいそれと下界人と繋がって良いことはないでしょうからね。」
「前回の件もありますし」
「っおい」
「っあ!!」
『ぜんかい???』
「気になさらないで下さい。」

そんなことよりもそろそろお食事になさいません?
えっ?そう言っているとメルのお腹がきゅ〜と高い音を鳴らすので
あらまぁとヴァドスが声を上げる。

ぶわりと顔を赤らめたメルがばっと両手で顔を隠して
そのままサワアの腹に頭を擦りつけているではないか。
そっちの方が恥ずかしくないの、とかなんて言えるわけもない。

「ま。元気そうならいいや、ウイス帰るよ。」
「かしこまりました。ではメルさん、また来ますね。」
『うん!またねウイスさ〜ん。』
「メル」

ん?

「よかったな。本当に。」
『…うん!!』

そう言えば嬉しそうに笑って答えるメルに、くすりとヘレスは笑って答える。

『ヘレスの赤ちゃんも早くみたいなあ〜〜?』
「さらっとセクハラしてくるではない!!」
『え〜〜〜?待ってガチ?』
「冗談に決まっているではないですか。単に妬いてるだけですよ。」
『えっ私火炙りの刑…?!?!?!』
「っくくく」

ちょ、ペルさまあああああ

『あっでもこの中で一番確率高いのフェル&リキールでは。』
「何だその変なネーミングは。」
『実はもう赤ちゃん出来てる〜なんて……えっ』
「…リキール様?????」
「……おおっぴろげに言う事でもないだろ。」



++++++++++



本日二度目の叫びが出ました。

勿論その後フェルの所に行けば可愛い可愛い赤ちゃんが
ハイハイから脱出しておりましたよ。
えっ控えめに言ってどちゃくそ可愛い。

「お名前は?」
「決めてません。メルに決めて貰おうと思って。」
『私神様か何かか?』
「普通に神様だろ。何当たり前のこと言ってんだ。」

そうリキール様に貶される。ううそうだけども。

『ミシェル』
「おや即答ですね。元々決めてらしたんですか?」
『ん〜何となく直感。ミカエルの名前から派生の文字だけどね。』
「あ〜〜「誰が神のようになれるか」か。良い言葉だな。」
「そうなの?」

そう言うのはその場所に居たクノフィリスだ。
一応彼女らは分かっているようで、
しかもフェルだけでなく何名かは子供がいるらしい。

此処は託児所といつなったんだよ。
そのうち学校とか作るんじゃないの?
えっまってもうあるって?嘘でしょ知らない。

『あと普通に呼びやすいかなって。』
「というか普通にミシェルで顔見るな。」
「直感当たったってことね。ミシェル〜ママよ〜こっちはパパ。」

そうう抱く彼女に、きょとんとした顔である。
髪の毛はリキールの方に向いたのか、オレンジに近い黄色の髪色で毛先は黒く染まっている。
目の色はオレンジ色で母親の方に似たのだろう。顔つきはもっぱら母親である。

『っていうか今何歳なの。』
「ん〜一応形的には一歳前後かなぁ。他の子達も同じ歳くらいだからね。」
『待って他にも名前付けた方が良い?』
「いや流石に他は名前ついてるよ。」
『わあ。お姉ちゃん沢山いるってさ。』
「男の子もいるぞ」
『わあ。お兄ちゃんも沢山いるってさ。』

そう腹に言うメルにクスクスと笑うフェル。
まったく、コルンが良く来ていた間にリキールさんお仕事していたとはやるねぇ。

「余り快く思えないものを察知したが…まぁいいだろう。」
『あっいいんだ。』
「なんだ叱られたいのか?」
『いいえ。』
「ならそのままでいいだろ。」

でも、嗚呼そうか。きっと嬉しいんだな。
太陽が自分の肌をじりじりと照らしてくれている感覚が心地いい。
痛くもないし、熱くもない。ただ涼しいこの場所が、心地いい。

優しい優しい陽だまりだ。




「それは喜び。祝いの歌。聖なる者への祝福を。」
『え?』

凛と鈴の音が鳴る。綺麗なベルの音と共に響く高い音が、空を駆ける。
広く何処までも高い青空のこの場所に、何処から来たのだろうか?

あれ、そう言えば

『ねぇ、結婚式した?』
「え?」
『しよ。』

++++++++++

いや意味が分からんと白い服に身を包まされたリキールに
お似合いですよと言われた後笑われて煩いと声を荒げるリキール。
なんで俺がこんなことをと頭を抱える。

「第一あいつコレしたのか?」
「していませんよ。」
「じゃあなんで俺が先にやらされてるんだ。」
「大方自分よりも先にと渡したんでしょうが。」
「ニヤニヤしながら渡してくんな…!!!」

っくくく、お似合いですよ?
煩い!!!!

「それに彼女がするにはまだ早いでしょうし。」
「なんで言い切れる。」
「だってあの方ですよ?華神らだけでなく我々すらも次の世代に引きずり込んだ子です。」

絶対他の子を受取らないとしないとか言い出しかねませんし、既に言ってそうですからね。
嗚呼そういう…

「まぁ確かにやりかねんな。」
「でしょう?」
「失礼しま〜っと滅茶苦茶決まりきってる」
「笑わないんだな。」
「いや普通にかっこいいから安心して。」
「見る目がないですね。」
「おい」

それ普通にフェルが見る目ないと言っているのでは。
とは思うが、声を掛けたフィズは苦笑いで話を流してしまう。

「コルンお兄様此方にフェルをお呼びしても?」
「構いませんよ。此方の準備は出来ていますので。」
「なんで会わせるんだ。」
「儀式だそうです。」
「何処情報だよ。」

ぼっくでーすと言って出てきたのはエフェメラルだ。
嬉しそうに衣服は意外にも白ではなく緑色のドレスを着ている。
本人曰く白黒はなるべく避けた方が良いらしくてだな。

「えっえっだ、大丈夫?私これ変じゃない?」
『フェル大丈夫だって〜どちゃくそ可愛いから
寧ろ私がかっさらっていきたいれべるだわ。』
「ほ〜〜〜?良い度胸だな。やれるものならやってみろ。」
『出来ないから言えるんでしょ?このお狐様が。』
「ああ?」
「お二人共。」
「で、でも。」
『ほらほら、ダンナ様にみてもらいなって!!』

そう言って手を取ってドアの奥から出てきた者にリキールの顔も変わる。
何時もは後ろで髪を纏めていたが、今日は降ろしている。
横髪を三つ編みで編み込み、オレンジと青色、そして白い花冠を頭に乗せて入ってくる女性に、ぽかんとしている。

「っ」
『ほら綺麗過ぎて声どころか別人だってさ。』
「っう、煩い!!!」
「その花ひょっとしてエフェメラル様が?」
『そうだよ。と言っても蔦はアイビーから貰ったけどね。』

何名かで本当に花冠を作った超お手製のものである。

『本来の花冠は継ぎ目のない円を描いていることから「永遠の幸せ」がくるって言われてるんだよ。』
「ほぉ、そのような意味合いがあったのですね。」
『花は神が創り出したもので「神に捧げる神聖なもの」「神の加護を頂く」というような意味が込められている。花は神のものとして崇められ、聖なるものを継ぎ目なく描くことから「神の加護の元に、永遠続く幸福」だとか言われてるんだよね。』

ではそのつもりで?
え?

「そのつもりで貴方はずっと、その頭に花冠を頂くつもりで生きていたのだと?」
『…えへへそれはどうかなー』
「にしても見慣れない花が幾つかありますね。」
『嗚呼白い花はオレンジだよ。実ると果実になるんだけどね。完全とか無限の意味があったとかなかったとか。』
「何故こういう時に曖昧な情報で大事な行事でするんですかね。」

もう少し調整を。

「嫌でも普通に選別が良いですね。」
『それ褒めてる?貶してる?』
「どちらでも構いませんよ。…ブルースターにオレンジの花、そしてユーカリですか。」
『とんでもないでしょ。』
「というか何ですかこのとんでもない花冠は。お遊びで作りましたよね???」

そうですね。
そうですねじゃないんですよ。

「貴方方というお方達は…!!!」
「わあ、そんなにえげつないの?」
「はぁ…彼女に説明すらしていないのですか?」
『うん。』
「貴方も鬼ですねぇ。いやこの場合は悪魔とお呼び立てした方が宜しいのですか?」
『どうしてだよ。』

むすっとするメルに対してクスリと笑いいえなんでもとコルンが答える。

「さ、我々は先に行きます。エフェメラル様後は頼みましたよ。」

そう言われはぁいと声を掛けてしまえばいかれてしまう。
ブルースターの花言葉は「信じあう心」「幸福な愛」
ユーカリは「永遠の幸せ」という意味が込められている。

何方も神聖であり、とてもいい意味の花であるのだ。
あとアイビーの蔦は絶えないと言う意味合いを込めている。
皆で祝福しているのだから、恥じらうことなんてなんらないと思う。



「それにしてもまさか人間以外との結婚式に参加するとは思ってなかった。」

そう言うのは結婚式場で止まっている者達だ。
華神らといっても、この場所に居るのは最果て組。

「いやほんとそれ。しかもこの場所何処から抽出したんだろ。」
「控えめに言っても結婚式場だよね。」

高い天井にぶら下がるのは大きなシャンデリア。
幾つものシャンデリアが天井から垂れ下がっているこの場所はとても広い。
天使らや破壊神界王神らも出席しているのは勿論の事、華神ら全員を入れているのだ。

恐らく百名はゆうに越えるこの状態。

「しかもアイツこれから他の子達取り入れる前提だっただろ?」
「華神だけでも私達と同じくらいって言ってましたよね。」
「えっマジ???えげつないね。」
「しかも全員華持ちですよ。」
「一応華最初から咲いてるわけじゃないんだけどなぁ。」

そうそうおいそれと出せるものでもないのに。

「何かこれあれだ。フェラーリ乗って車の価値観狂ったアレに近いな。」
「あ〜金銭感覚ね。確かに高いの手出しちゃうと難しくなるよねえ。」
「しかもみんなするからタチ悪いんだよ。感覚狂ったまま狂いまくる。」
「それにしてもブーケトスとかするんだよねあの感じ。」
「つーかアイツ確か未成年者だろ???何処でそんな情報引っこ抜いて来たんだ。」

普通に参加してたとかじゃ?
あーでもありえるか。

「確かブーケトスって新婦を見守ってくれた天使達が次に幸せになる女性の元へ行くように!って意味だったよね?」
「新郎が新婦のガーターを外し独身男性に向かってぶん投げるのも一緒だぞ。」
「えっそっちもありなの???」
「それは知らなかった。」
「投げられなかったもう一つのガーターは二人の赤ちゃんが誕生した時にヘアバンドにして使うんだとか。」
「あ〜確か既に赤ちゃん産まれてたよね。幾つの子だっけ。」
「一歳ちょっとのミシェルちゃんだってさ。」
「「や〜〜んか〜〜〜わい〜〜〜」」

そう和み話が弾む彼女らに、元気そうでと近くに座っていた引継ぎ組が息を吐く。

「全く、彼女らには困りものですね。」
「まぁ浮かれてしまうのも無理はないでしょう。
こうして集まって何かをするとは思ってもみなかったことですし。」
「それにしても良く許可が出ましたよね。」
「面白いことですし、でもしますよ。」
「いやそっちではなくて、この場所を作ったことですよ。」
「え?」
「創造したのはエフェメラル様では?」

嗚呼と周りが声を上げた後、ちょっと待ったと声を上げて嘘でしょと張り合う。

「マジで言ってる?!!?あの子一応腹に身籠ってるよね?!??!」
「は?!?!?!?マジで言ってる?!?!?!?」
「しーーーー」
「し、しつれい……」
「すみません…」
「まぁ言いたいことは分かりますよ。
でも流石に一人でさせるなんて天使がさせるわけないでしょうし、
そもそもアレがついてるんですから無理でしょうよ。」
「いやだとしても…誰がウェルカムフラワーを飾り、
ブーケトスの華も作り、花冠まで作らせ、
この会場の壁やら天上やら机の上やら
なにやらに創りださせたっていうんだよ。」

そう、この会場何が凄いかというと、その力の使い方である。
メルが発案者ではあるだろうが、その花の多さと来たらすさまじい。

「定理者の者達を始めとし、ありとあらゆる場所から華を選んだと。」
「テルテモモにセージにヒュウガミズキとは」
「カサブランカにセルリア、それにかすみ草とか居たか?」
「僕の事?」
「わっ!!!」

声を掛けてきたのはモネアだ。声が聞こえてきたからだとかで
貴方確かアネモネではと言っていた子に指を鳴らせば腰からかすみ草が出てきたではないか。

「此間ちょっと見放してたら華変わってたからね。」
「魔女から華神に戻った影響下でしょうね。」
「だからこれでもかってくらい手伝わされた。」
「嗚呼それはそれは…」

どうやら彼女は余りこの大事さを分かっていないらしい。
かすみ草は細かく分かれた沢山の枝先に
小さな白い花をつける姿が春霧のように
見えることから付けられたものだ。

花言葉の「清らかな心」は、純白で奥ゆかしい花姿から。
他の言葉には「無邪気」「親切」「幸福」といった名前があり
色んな花への相性がとてもいいのだ。まぁ見る処本人は
控えめな性格らしいので出来る限り出したくなさげだが…。

「別名ジプソフィラ。他の花と合わせた
花束に良く用いられておりますからね。」
「良い意味を持つ花言葉は、花嫁や結婚式の心情を
イメージさせることから、結婚式のブーケにも人気ですし。」
「仕方がないけどね。頑張りに頑張ったよ。」

それにしても凄い花だよね。

「あれってなんていうの?」
「嗚呼テルテモモですよ。「あなたに夢中」「純真、人柄の良さ」とかの言葉があります。
あっちはセージ。「尊敬」「知恵」他にも「家族愛」や「幸せな家族」と言った意味合いもあります。」
「へーーー」
「確か第1と第3の天使が出してきたんだよね。あれ華神らだったの???」
「大方あいつが記憶を引っこ抜いた時に付けた花だろ。」
「「あーーーーー」」

ありえそうと話が弾む中、だとしてもと声が上がる。

「スターチスは原初のアマレット様でしょう?
ドライフラワーにしても花色があせにくいことから
「途絶えぬ記憶」や「変わらない誓い」の意味をもつもの。」
「ヒュウガミズキは元天使のマールさんだっけ?」
「リッキーさんの方ですよ。彼女は箱根空木だそうですし。」
「ヒュウガミズキって確か「思いやり」
「信頼」「神秘」って意味でしたよね?」
「ええ。樹木系の結構木になるタイプですよ。」

色々な華をお持ちで本当に此処だけで植物園作れるのでは
あはは…やりかねそうにないことを言わないで下さい。

「本気でやらせたらこの場所大変なことになりますよ。」
「まぁフラグは立ったと。」
「怖いこと言わないで下さい。」
「じゃあカサブランカにセルリアも誰かが変わったものですよね。」



「え?その二つは誰も付けていませんよ?」


その言葉に、は?と声が上がる。


式場から入場の合図が聞こえ、ちょっと行ってくるよと言う彼女に何処へと言えば
式場の舞台とは真逆の方にある小さな席に向かっていた足をくるりと回した。

「ちょっとした演奏会」