湧くのは殺意か愛着か
借り物競争
第01宇宙:33+ 3=36
第02宇宙:25+10=35
第03宇宙:29+ 5=34
第04宇宙:23+12=35
第05宇宙:31+ 6=37
第06宇宙:23+ 7=30
第07宇宙:30+ 8=38
第08宇宙:25+11=36
第09宇宙:27+ 3=30
第10宇宙:30+ 4=34
第11宇宙:31+ 2=33
第12宇宙:26+ 1=27
前回のあらすじ
父と母が帰りました。
以上。
「…寂しくなりますね。」
『うん。』
「…まだ種目は沢山ありますよ。」
『そだね。』
心此処に在らずとは、この事を言うんだろうな。
そう別れる時、コニックはメルを見て思っていた。
嫌そうにしていた。心の底から。
自分達には決してしない、表情を。
彼女らに見せつけていたのだ。
誰もが心配する程には、真っすぐに。
二人の手を取り、その白いテープに走りきった。
確かに嬉しいことだ。1位を取ってくれた。
でも…それよりも、悲しいが勝る。
彼女の願いが、叶い続けているのだ。
それは同時に、その華の威力が衰えるも同然。
このままではプラティアを身籠ったまま死に絶える可能性まで浮上してきているのだ。
それ程、メルが思っていた小さな願いが徐々に消え続けている。
一番はサワアと花冠を交換したことだろう。
勿論底力は変わらずというべきか、溢れる気を抑える為にも
新しい首輪を首に巻き付けてはいるが…。
この場所に、括り付けるのではなく
この子が一番行きたい場所に戻してやるのが最善ではないのだろうか?
そう思う程には、嫌がっていたのだ。
あんなにも、駄々をこねない、良い子が。
片手で数えられるくらいの、必死な姿に、胸が痛んだ。
叶わない方が、生き続けられる…なんて、
なんて酷い基盤を作ったのだろうか。
「もう少々お休みになられてください。
ただでさえ不安定なお身体なのです。
それ以上動かせば今度こそお兄様からお𠮟りを受けますよ?」
追いかけ玉入れは流石にハード過ぎるということで
流石にと、アンダルシアのレッドカードが出て
メルの参加は断念されている。
まぁそれどころか次の決勝戦らも
彼女には参加できる資格等、
持ち合わせてもいやしないが。
だって特別枠で走った彼女の順位は3位だ。
決勝戦に繰り上がれるのは、2位までのみ。
審判をするというも、流石に此処まで動けば
周りも大体の雰囲気が分かるというもの。
ティーナ達も流石に自分らだけ
楽しむだけというのも悪いと言い
運動会を経験している者達が
今会場で連携して話を進めてくれているのだ。
天使らだけで留まっていたかつての神々ではない。
単独だけの宇宙で留まっていた、
孤独でプライドだけしかない宇宙は、何処にもないのだ。
貴方が、吹かせてくれた、風を、何故貴方が止める。
「新しい力をお使いになられたのです。」
『あたらしい?』
「え?違うのですか?」
『うーん、分からない…でも、凄く、凄く…懐かしい気がした。』
居心地が良かったというのだ。
花弁を拾い、怪訝な面持ちのコルンが低い声で「…まずいですね」とぼやいた。
この花が本当に事実ならば、あの華であるならば。
「エフェメラル様…やはり貴方は、選ばれるべき、存在であるのでしょうね。」
伝説に記されていた、幻の華。
「明日は波乱になりそうだ。」
++++++++++++
100m走準決勝
第01宇宙:36+0=36
第02宇宙:35+4=39
第03宇宙:34+3=37
第04宇宙:35+2=37
第05宇宙:37+1=38
第06宇宙:30+5=35
第07宇宙:38+4=42
第08宇宙:36+5=41
第09宇宙:30+3=33
第10宇宙:34+1=35
第11宇宙:33+2=35
第12宇宙:27+0=27
追いかけ玉入れ特別枠は得点の加算が難しい為に
お遊びとして誰でも自由に参加可能でやることになった。
本来はエフェメラルが出る予定だったのだが、
あの状態で許可を出す者はこの場に誰一人いない。
準決勝の順位も決まり、休憩に入った中で
ねぇねぇと悟天が声を掛けた。
「お姉さん大丈夫かな?見に行ったりしても良い?」
「やめとけ」
「ベジータ」
「ただでさえキツい身だろうに、下手なことをするな。」
「ま、そればかりは同感ですね。」
「フリーザ!」
隣と言えば隣に座っていたフリーザがベジータの言葉に頷く。
「彼女は嗚呼見えて私達を遥かに上回る気をお持ちです。
まぁ、そんな具合が悪いからと言って、
貴方方の様な行動一つで彼女が気を痛める必要は
何処にもないんですけれどもね。」
「ん〜〜そうなんだよなぁ…でも、メルだからなぁ〜
絶対気を一つどころか十個もニ十個も痛めるだろうな。」
「いためる?何かやくんか?」
「悟空…」
「お、お父さん…」
そう苦笑いする悟飯とピッコロに、うん?と言いたそうな顔の悟空。
「ま、心配なら尚のことそっとしておくべきでしょうね。現に周りを見てみなさい。」
「え?」
「あんなギャン泣きした後皆で飛びついた子らが
誰一人も移動しないなんて不自然だと思いませんか?」
「…た、確かに。」
「うちの子達も、ですがね。」
「…あの子は我慢強い子だったからね。」
「ラストリア様…」
水色の髪の毛を纏め直したラストリアはそっとピナクルの背中をさする。
心配そうにしていたのだ。メルの気を察知したからこそ、なのだろうが。
「誰よりも何よりも、ありふれたそのたった一つだけの為に。
己の気を力を最大限以上に引き出し、
その向こう側にすら辿り着いてしまったお人。」
「皆心配していないという訳ではないんだよ。…それに、もっと不味いことも判明しちゃってそれどころじゃにって処だろうけどね。」
「まずい?」
「ラストリア様口を慎み下さい。」
「だって、少なくとも師匠辺りは気付いてくれちゃってるんでしょう?」
そうちらりと横を見るラストリアに、目が合う。
はぁとため息を吐いて「何時お気づきに?」と声を掛けてやる。
「樹木を生やした直後辺りかな?これかなーって憶測は立ててたけど、確信に変わったのは両親の手を取り空に舞い上がった時。」
「…ほぼほぼ同時ではないですか。なら聞かずともよろしいのでは。」
「いやいや…貴方もその話を聞いているならばねぇ?」
「話?」
「…大昔の書物に書かれた紛い物ですよ。そう、思っていたんですがね。」
「ねぇ、何故華樹神って名前か知ってる?」
「え?」
「ほら、よく考えて?破壊神の上って力では天使とかだけど、全てを統べる王様って全王様でしょう?」
何を今更という顔をする周りに、ラストリアは続けて話す。
「古い神様が華樹神。ならどうして王様の名前は存在しないの?」
「あ」
「た、確かに…言われてみればそうかも。」
「答えはそもそも存在しない…いや、一人だけしか、選ばれないから。」
全王様は交代制、正確にはたった一つの、一族のみでこの世界を回してくれている。
勿論それは付き人や大神官も然りだ。天使らはあくまでも大神官の子であるもの。
「違う場所から来たであろう華神達。それを統べるのが王の名もない華樹神?」
「…ひょっとして、界王レベルの者が華神らだと?」
「そういうこと。」
「っまて、それなら華樹神は破壊神レベルだというのか…!?」
お前達みたいな、とんでもない力を秘めている奴らを?!?!
そう立ち上がり言うビルスに、そうですよとラストリアは応える。
「え?そうなの?」
「コロネ様やハシュクロード様だけでなくよくよく見て下さい。
コルン様の足元、皆さん同じ銀色の貴金属を付けているでしょう?」
「…あっそういえば。」
「あれは周囲の影響下に左右されやすい為にある一定のライン以上の者達に付けさせているものです。」
「そうなのか?!?!」
「…はぁ、ラストリア様その場におられていないですよねぇ?何方でお知りに?」
「かんです」
だあああっ
勘ですか!??!?なんでそんないうんです?!?!?!
「ふふ〜」
「強さってどんくれぇのだ?」
「そうねぇ…大体20を超えた辺りかしら?」
「20?」
「ん〜君らでいうと、悟空さんのスーパーサイヤ人ゴット?
それを6としたらビルス様は10で、
確かウイスさんは15…くらい、でしたよね?」
「ええそうですよ。」
「なら私とトレイーズは16前後」
「いい!?!??!!」
お前そんな強かったんか?!?!?
そう驚くのは悟空だけではない、
その場で聞いていた皆驚いたのだ。
「ふふふ」
「コロネ!おめぇいったいどれくらいつぇーんだ?」
「ちょ、とうさん…!!」
「構いませんよ。そうですねぇ…?大体20前後だと。」
「ば〜か。お前25だろうが。何適当なことほざいとるんじゃ。」
「ちょ、いった!!あ、アンダルシア!!何言ってるんですか!!」
ソレはこっちのセリフ。
「何5も切っとるんじゃか。」
「そういう貴方は30あるくせに。」
「さっさんじゅ!?!??!?!」
「一応言っておくが、あのクソ泣き虫小僧も同じ数値じゃからな?」
「く、くそ????」
「アンダルシア様…頼みますからお言葉にはお気をつけて下さい。」
サワアお兄様のことですよ。
嗚呼…
「ったく、二人そろってあれ程泣き虫だったとは呆れてものが言えんわ。」
「アンダルシア様がいるってことは…えっメル大丈夫なの????」
「嗚呼、レッドカード出したらしょげてるがな。」
「それ大丈夫ではないのでは???」
「安心しろ。今コニックとやらが付いてくれておるし、
そんな気にせんでも後に旦那がいくじゃろうて。」
「それならいいけど…」
「にしても30ごときで悲鳴上げてたら困るぞ?」
「え?」
「あのスピスなんぞ100じゃからなぁ〜〜。」
ひゃ!??!?!
そう驚く周りに、天使らや何名かの華神らは動じず
寧ろしみじみとした面持ちでそうですねと頷いた。
「ウイスさん、確か足元にも及ばないって言ってたけんど…」
「ええ。文字通り足元にも及びません。」
「なんならうちのエフェメラルなんぞ多分300其処らじゃぞ?」
「さ、え???」
「なんつった????」
「アニュラス様とか150くらいじゃろうしなぁ。」
大神官様、嘘つきなんか?そう言う悟空においと声がかかる。
「だって5本の指に入るんだろ?それだと数合わなくなんねぇのか?」
「…多分それ、この宇宙単体のみ、尚且つ華神ら全部ひっくるめてない前提の話しだろうな。」
「でしょうね。悟空さんが何時の段階で聞いたかによりますし。」
「はえーーーー」
「それに100を超えると途端に維持出来ず暴走に近しい状態になるんですよ。」
「えっ」
「エフェメラルが途中首輪を変えたのは
100を確実に振り切ったのが見えたからだろうな。
あの銀の首輪は気を半分に押し込むことが可能だろうし。」
「そ、そんなものが…」
「新しいの50分の1とか言ってたような、」
「ごじゅうぶんのいちい!??!?!?」
え、まって、嘘でしょ?
「…俺達の頂点が、あいつの底辺とは。」
「でもウイスさん達に良く負けるって言ってたような…?」
「ほほほ、それ程の力をお持ちでも、
我々天使らと相対する時は気を許しまくっておられますので。」
「耳が痛い話をなさらないで下さい。」
師匠が頭を抱える。
「あれ程の力を秘めし者が、力に殺され
儚く散る等勿体ないどころの話ではありませんからね。」
「宝の持ち腐れとは良く言うたもんよなぁ。」
「えっじゃあ大神官様も同じもんくっつけてんのか?」
「でしょうねというか付けらせたんだけどね。」
「ううおおおお!!!!」
「びっくりしたあああ!!!」
ぱっと出てきたアニュラスに、隣に居た華神らが驚き胸に手を当て逃げる。
まるで虫が出てきたみたいに驚かれるから少々機嫌が悪くなる。
「其処迄逃げずともいいではないですか。」
「いや出方よ出方。」
「休憩中だからと様子を見に来れば、面白そうな話を聞き付けましてね。」
「貴方真逆だったわよね???」
「ふふふ。にしても戦闘力ですか。まぁ確かに私の最高値はそれくらいですよ。」
名前が挙がったので様子を見に来たのもあります。
ニコリと微笑み先程の話しに載って来た彼に、じゃあプラティアって一体とミシュメールがぼやく。
「彼女は大体500前後ですよ。」
「…は????」
「流石に小さすぎるのですが、それでも10前後を維持していますからねぇ〜。
徐々に膨れ上がって最高値100を叩きだしちゃいましたし。」
「え?」
「エフェメラル様未だに15前後を飛び越しませんからね。
念の為に付けていたものも、流石にお子の力には勝てませんでしたか。」
「待って待って待って待って、それ普通に母体自体死なないのなんで???」
悟空の気ですら通常の人は死に絶えるであろうに、
エフェメラルだけでなくプラティアの馬鹿みたいな数値を聞いて
軽く引き気味に答える者に、まぁ彼女ですし大丈夫ですよとアニュラスがさらりと答える。
まるで近所の子供が何かをしでかすことを危惧して宥める様に。さらりと世間話のように答えるから勘違いしかけるではないか。
「彼女最高値を叩きだしたの500ですが、遥か昔の話しですし。」
「…私が聞いた話では、確か400前後だと思っていたのですが。」
「嗚呼、それは恐らくルトラールらを殺害する前提の時ですね。
曲がりなりにもエフェメラルは元々プラティアの母になる子でしたし。」
何だかんだ言って最大を出せば死に絶えると思ったのだろう。
だとしても普通に死ぬくらいの力を振り出している気がするが…。
「瞬間火力というべきでしょうね。維持等出来ませんよ。」
「そういうものなの?」
「ん?ああ〜どうなんか?まぁ、一番っつーのは難しいけんど。」
「悟空さんだけでなく我々らにも言えることですが、
ある一定の力を維持するというのは大変難しいのですよ。」
「火事場の馬鹿力とは良く言いますがね。」
でも、彼女は出していない。
「正確には出してるんだけどねぇ〜。」
「え?」
「そんなことより次の試合でなくて大丈夫そう?」
「あっ!ちょ、準備準備!!!」
そう周りが慌てだすのにクスクスと呑気に笑う。
アニュラスの元になぁとアンダルシアが声を掛けた。
「なんです?」
「アレは本物か?」
「アレ、とは何を指した言葉でしょう?」
「…王なる者。全てを統べるそのお方。」
「…愚問、とでも答えておきましょう。」
それは、確信であるもの。
アンダルシアの眉間に皺が寄った。
黄金の光を纏いし存在。
全ての華を束ねる、神の王。
華樹に選ばれ、統べる者達。
華樹神が全王様の位置に居たのは、
あくまでも王が居なかったから。
ただの代役だけだったからであって。
「…耐えろよ。」
此処に生きたいならば。この場所で、笑い続ける永久を選ぶならば。