一枚一枚花びらが散るように
さてさて、大詰めとなってきたこの大会。
実はもう、終わりである。
決勝戦を吹っ飛ばし、これより閉会の式と致しますと声がかかる。
あれからエフェメラルは目を閉じてから目覚めない。
100m走新樹メンバーを含めた最終得点は以下の通りだ。
第01宇宙:36+4=40
第02宇宙:39+3=42
第03宇宙:37+0=37
第04宇宙:37+5=42
第05宇宙:38+2=40
第06宇宙:35+1=36
第07宇宙:42+0=42
第08宇宙:41+1=42
第09宇宙:33+2=35
第10宇宙:35+4=39
第11宇宙:35+3=38
第12宇宙:27+5=32
昨日の得点集計して最終日で総合得点出す
初日の総合得点
1位:第07宇宙:20
2位:第11宇宙:18
3位:第03宇宙:16
4位:第06宇宙:14
5位:第10宇宙:12
6位:第02宇宙:10
7位:第04宇宙: 8
8位:第09宇宙: 6
他の宇宙はハンデとして0点。
二日目の総合得点
第01宇宙:40
第02宇宙:42
第03宇宙:37
第04宇宙:42
第05宇宙:40
第06宇宙:36
第07宇宙:42
第08宇宙:42
第09宇宙:35
第10宇宙:39
第11宇宙:38
第12宇宙:32
二日間総合得点
第01宇宙:40+ 0=40
第02宇宙:42+10=52
第03宇宙:37+16=53
第04宇宙:42+ 8=50
第05宇宙:40+ 0=40
第06宇宙:36+14=50
第07宇宙:42+20=62
第08宇宙:42+ 0=42
第09宇宙:35+ 6=41
第10宇宙:39+12=51
第11宇宙:38+18=56
第12宇宙:32+ 0=32
中間順位としたらこうだ。
1位:第07宇宙:62
2位:第11宇宙:56
3位:第03宇宙:53
4位:第02宇宙:52
5位:第10宇宙:51
6位:第04宇宙:50
7位:第06宇宙:50
8位:第08宇宙:42
9位:第09宇宙:41
10位:第01宇宙:40
11位:第05宇宙:40
12位:第12宇宙:32
「…まさか中間順位1位を飾るとは。」
「どんな力持ってるんだよ。」
「え゛まって私力使ってないからね?!?!?!」
そう慌てふためくミシュメールに、彼女の発言は正しいですよと答えたのはスコーピオンだ。
「嘘な、んて…つい、たら……」
「…スコーピオン様?如何なさいました?」
「えっ?!?!ちょ、スコーピオン様!??!?」
すっと後ろを振り返ると同時に隣に居たミシュメールの身体を掴み下にしゃがませる。
恐れ多いというべきか、その顔は驚きまるで「そんなバカなことがあるか」と言いたそうにしていた。
ふわりと香る花のいい匂いに、ブルマが「いい匂い」とぼやいたことでハッとラストリアも気付き指を鳴らす。
すると先程まで着飾っていた衣装は何処へやら。
白い衣服に身を包みその身を地面に膝まづいて深く頭を下げ始めたではないか。
一体何事だという周りに、静粛にとコルンが答える。
「恐れ多いですよ。」
「え?」
「…目覚めたのか?いや、違う。寝起きなだけか。」
まるで幼子が寝ていたかのように言う言葉だが、周りの雰囲気とは裏腹に。
その先に降り立つ者に、目が留まった。
青い髪色を纏い、白い衣服に身を包んだ女性。
何処までも深く青い、空の色をも映したかのように
綺麗な青を見せつける。その瞳。そしてその頭に乗せられた冠。
ルトラールが選ぼうとしていたのは華樹神ではない。
更にその上に位置する、統べる王。
「皆さん頭が高いですよ…”華樹王”のおなりです。」
++++++++++++
か、かじゅ、おう?
「エフェメラル様」
そう言われた言葉に目を向けそっと手を取る。
虚ろげともいえる表情は、何も考えていないのだろう。
まっすぐに歩いたその場所自体空の中。
だというのに金色の花々が彼女の足元に入り、落とすことを知らせない。
ちらりと向いた場所は、全王様が居る御前。
其処に足を向けた途端、瞬きの間に移動しているではないか。
風もなく、気も察知することなどない。まるで見ているものが、幻かのように思わせてくる。
「…華樹王。」
「華樹王だ。」
そう二人が言えば、クスリと微笑み手を差し伸べる。
両手に触れふわりと浮かべば、そのままくるりと元来た場所へと戻る様に歩いていくではないか。
導いているのか、導かれているのか分からない。
身体を傾ければ、金色と白が混じった翼を広げ
大神官の元にと戻っていく。
「僕達沢山したから、君に上げれるよ?」
「権限、渡せるよ?」
そう言えばエフェメラルは首を横に振る。
自分は此処に居るべきではないとでも、言いたそうに。
寂しそうに笑って、何も言わずに首だけを振り、肩を落とすのだ。
「元に戻したくないの?」
「どうして?約束やっと果たせるのに。」
「…全王様?」
「ねぇ、悟空!!」
こういう時どうすればいいの?そう困ったように言う全王様に
呼ばれていますよと背中を押すウイス。
少し困った表情でそっと飛び立つ悟空に背中から何かに押され飛ばされる。
「うわっと!!!」
「ねぇ悟空。」
「ん〜約束って全ちゃん何してたんだ?」
「えっとね、これ言っていいの?」
そう此方を見てくる全王様に、メルはニコリと微笑み頷いた。
それにあのねと声を出す。
「全王はずっと華樹王の代わりだったの!!」
その言葉に、全員が固まる。
今、何といった?
それはまるで、華樹王自体が本来この地を統べる者みたいに言うが、いやそうなのだろう。
トベラらが前にこの地を書き換えようとしたのを思い出す。
本来在るべき場所は、華を統べる者達だと。
それは正しかったというのだろうか?
「昔ね、ずっとずーっと昔。僕の上のそのまた上の上の人が言ってたの。」
「するってーと、ひぃひぃじいちゃんってことか?」
「多分そう!その人言ってたの。」
蒼き者。統べる色なる華を持つそのお人。
その者、海に落とされ、選ばれたお人。
その者、華を知り、海を知るお人。
分けられた、片割れのお人。
「華を知り樹を知り全てを統べる者。その者が現れたら、此処を譲ってやりなさいって。」
「ここって…全ちゃんの?」
「うん。」
「僕達守ってきたの。ずっとずーっと。待ち続けてた。」
そうして、戻って来たとでもいうのだろうか。
ちらりと悟空はメルをみれば、気付いたメルが困ったように微笑んだ。
先程から一度たりとも発言していない。
「…おらは馬鹿だからよくわかんねぇ。でも、ずっとずーっと待ち続けたんだろ?」
「うん。」
「それを受け継ぐのも、そのままにすんのもメルの自由だと思う。
全ちゃんはメルにやってもらいてぇんか?」
「してほしい。」
「だって望んでる。」
「…オラはそう見えねぇ。」
ごめんなと頭を撫でる悟空が目を向けて言うのだ。
真っすぐな目で、地位も名誉も、まっさらにして。
隣で、話してくれる。
「まるで戻って来ちゃって困ってる迷子の子供みてぇに見えるんだ。」
『…っ』
「へへ。うまく言えねぇけんどさ、あんま真面目に受け止めてっとしんどくなるぞ?」
「悟空…」
「なぁ、メル。お前はどうしたい?」
声に出してくれねぇと、わかんねぇよ。
そう寂しそうに笑う悟空に、私は、と澄んだ声が耳に入って来た。
『”あのひとたちを、まもりたい。それだけだよ。”』
「…そっか。」
『”全王様”』
「ん?」
「どうしたの?」
『”私は貴方の居場所を奪うつもりではないのです”』
ゆっくりと、胸に手を当てれば、其処には金色の牡丹が光りを帯び華を咲かせる。
牡丹、別名「花王」とも呼ばれる花は「花神」とも呼ばれている。
華の王。まさしく、彼女に相応しい華であるのだ。
『”共に、この地で居させて頂けますか?”』
「…それでいいの?」
「ほんとうに、いいの?」
『”ええ”』
「ならいいよ。」
「いいよいいよ。」
『”ありがとう”』
そう言って手をきゅっと掴み握手をした後、
悟空と名を呼びメルはその頭にキスを落とす。
その動きもまた驚くところではあるのだが、
其処からぶわりと草冠がはえてきたではないか。
「っな!??!?!」
『”…やっぱり、貴方も選ばれたお人なのね。悟空。”』
「え?」
『”後でお会いしましょう?お話があります。”』
微笑み答えたエフェメラルはふわりと浮かびあがり
そのままウイスらの方に向かっていくではないか。
流石に悪いと頭を深く下げだす者達に「顔をお上げなさい」と声を掛ける。
「ですが」
『”あげれないとでもいうの?”』
「っめめめめっそうも!!!…っ、」
『”ふふ、コルン”』
「はっ」
『”後であの子を連れて来て下さいね。”』
「…御意。」
その言葉を聞いた後、ゆっくりと歩く。
数歩歩いた途端、その身をその場所に戻した。
「…お綺麗になられましたね。」
『”ありがとう…また後でね。”』
「ええ。お伺いに上がりましょう。他に誰か連れる者は?」
『”コニックさんに、貴方の神、辺りかしら?”』
「わかりました。」
頼むわねと言ってくるりと回り歩く。
全王の元に戻ったメルは大神官と何かを話したのち、奥へと戻っていく。
消えた途端、数秒で華神らが地面に倒れ切った。
「…待ってほんとに待って。これ夢??」
「違います。夢ではないです。」
「夢だとしても醒めない夢かな。」
「なにそのエモい言い方。採用。」
「何呑気に倒れてるんですか。さっさと起きなさい。」
「へぎゅっ」
何かが出て来そうな音を立て唸る
ミシュメールに、ラストリアが容赦しない。
「悟空さん、少々お胸をお借りしても?」
「へ!?あ、ああ、別にいいけんど。」
「…失礼。」
「アペトス。」
「…嗚呼思った通りだ。端的に言おう。悟空さん、貴方華樹に選ばれし者ですね。」
へ?!?!?!?
「な、」
「アペトス様それは一体どういうことですか?」
「その説明は私から致しましょうか。」
「ルトラール様!!!」
「アペトスは継承を司る子です。引継ぎ意志を渡すことに長けている。
それはどんな者でも対応可能…そう、華樹王なるお方の導きですらも、ね。」
「最果てに居た当時は欠片も見当たりませんでした。
鱗片どころか、その…すみません。」
「詳しい説明は彼女の御前にてご説明致しましょう。ですので、この方をお借りしますよ?構いませんね、ウイスさん。」
「ええ。」
ぺこりとお辞儀をしたウイスにでは参りますよと後ろに声を掛けたルトラールに続きコルンやサワア先程呼ばれていた者達が後を追う。
++++++++++++
宙になんて浮かなくて良い。
ふわふわした気持ちは、落ち着いている。
音を立て入って来てくれた者にくるりと回った。
此処は最上階、屋上にある場所。
部屋に居るのは少々窮屈だったので外に移動していたのだ。
「お初にお目にかかります、華樹王様」
『…楽にして下さい。私も余りこの状態は維持したくないので。』
先程の圧は何処へやら。困ったように肩を落とし笑うエフェメラルにではとルトラールが話す。
「よくぞ此処まで…本当に至極光栄に思いますよ。」
『ありがとうございます。』
「鱗片は?」
『時々あったんですよ。でも、その度に華は変わるばかり。』
「本来貴方が司る色は青色ですからね。」
華神らを統べる者。力を使った時に目の色が変わる者達。
ティーナ達は金色の目を灯すが、それはエーリンこと
ヴァイスが力を持つときに金色の色を持つからこそ。
ルトラールは華樹神官で、力を使えば同じ様に目を灯す。
上にある力には逆らえないというものだ。
そして、エフェメラルはその理に身を置きながらも
華樹神としてこの地に君臨しては生涯を一度起き、
またしても戻り、その身を置くことになった。
地位は、違う形になってしまうが。
「なぁ、かじゅなんちゃらってなんなんだ?」
「これ」
「コルン、構いませんよ。華樹王は貴方で言う処の全王様である地位です。
…本来華樹王は世界でたった一人だけなのですよ。」
それは、地位がではない。存在その者が、である。
「全王様らは華樹ではなくあくまでも混沌の海から。
華樹神が危険に身を置き、華樹神候補者に
依り代として飛ばせる緊急措置は
あくまでも華樹に身を置いているからこそ。」
「では、この方はその華樹を司る者だと?」
『いえ、違いますよ。私は両方の、間に位置する者です。』
華樹と海が、共に願い合わさった状態。
その一つなのだ。その、一つの、片割れ…正確には片割れですらなかったのだが。
「彼女が良く長い詠唱を使っているとは思いますが、
華樹王の特徴である一つです。
力が強くなればなるほど詠唱も長くなる。」
「では、何故最初から華樹王として育てなかったのですか?」
「私が信じられなかったのですよ。何度もこの子を育ては捨てを繰り返した先で、初めて出会ったあの日の子が、まさか選ばれていた古の華樹王であるお方だった、なんて、ねぇ?」
『ると…』
「ふふ…」
笑って頭を撫でてくれる。
「華樹王はこの世界全てを統べるお方。悟空さん、おかしくありませんでしたか?」
「お?」
「何故貴方が全王様の御前に居られ、何もないのか。」
「………お待ちください。お師匠、いえ、ルトラール様。」
「いや、そんなはずが…」
コルンやサワアが困惑する中、どういうことだと悟空がとう。
「元々貴方の存在自体が、華樹王の依り代だったという事ですよ。」
「…のりしろ、ってーと、なんだ?」
「だあああっ!!!!」
「依り代ですよ!!!!よ・り・し・ろ!!!
神霊が依り憑く対象物のこ
…嗚呼貴方でいうとですねぇ〜〜!!!」
そう困る様に頭を抱えるコルンにメルがクスクス笑い悟空と声を掛ける。
『簡単に言うと、貴方は私の器だったってこと。』
「うつわ?」
『そ。私はお水。水って手で全部掬い取れないでしょう?』
「ああ、そうだぞ?」
『移動するにも何をするにも。器がないと生きれない。
…貴方は私を維持する為の技量を、
量を保てる存在だからこそ、全王の影響下ですら反映されない。』
「本来であれば大神官様規模のお方で卒倒するはずなんですがね。」
「いい!?!??」
「悟空さんに惹かれるのは、彼を殺すなというのは本能的な察知でしたか。」
『恐らくそうでしょうね。』
「そうでしょうねって、貴方その手筈だったのでは?」
『いいえ?書物で見ただけであり、こんなこと分かってたらもう少し良い様に動いていたわよ?』
それこそ、悟空を先に神様へとして〜
後そのまま私は廻廊に重きを置いてしまえばいいし。
『それもこれも、何処かの誰かさんが襲撃しちゃうから〜〜?』
「ん??」
「気にしなくて構いませんよ。」
独り言ではない。メルはじとりと自分の腹を見て睨んでしまう。
もしも、プラティアが襲撃をしなければ、恐らく最速でこの地に君臨出来たことだろう。
だがアルメリアが負傷したことでシフトチェンジされ、先に候補者であるエフェメラルが依り代になった。
そう、プラティアが出て来なければ上手く行っていた筈なのだ。
それをまさか、襲撃され、負傷されて飛ばされ無理矢理華を咲き狂わせたらまぁ魂も悲鳴を上げるだろうよ。
「…逆に言えば、この子が居れば貴方何処に飛ばされても戻って来られたというのですか?」
『廻廊の件についてでしょ?額縁が壊されると元ある場に戻れないっていう。』
「へ?!?!?そうなんか?!?!?」
『そうだよ。でも幸いなことに悟空、君があの場所にいたから私は生きて帰って来られた。』
廻廊11番目、アイビーが襲撃してきたことだ。
偉く昔のように感じるが、サワア達からすれば、ほんのひと時だけの話だそう。
まぁ人間の寿命と比べたら話にならないからだろうが。
「まさか輪廻転生を繰り返すことが必須条件だったとは…。」
『なにそのゲームの隠し要素的な感じでのノリで言う…?』
「もっと真剣に言いましょうか?」
『あっすいませんもうお腹いっぱいです。』
「それはそうと、貴方そのままで大丈夫なんですか?」
『というと?』
「先程からかなりの気を放出していますが…。」
あっそう言えば気分悪いかも。
ばっ!!ちょ、エフェメラル様?!?!??
口に手を当て俯くメルに、驚きの余り敬語が戻るサワア。
辛そうにする彼女の頭からぽたりと花冠が落ち、地面に溶け込み消え去った途端メルの意識が吹っ飛んだ。
重たくなった身体に、意識が飛んだことを察知したサワアはそのままメルを抱き上げる。
「…割と無意識だったようですね。」
「…寝たんか?」
「ええ。」
「その顔はどっちです?孫悟空の地位が性格と釣り合っていないのがエフェメラルに似ていて憐れんでいるのです?
それともエフェメラルの無謀な状態に躾がなっていないことにです?」
「もう両方に決まっているではありませんか…!!!!!」
「っくくくく、別に構わないではないですか。」
苛立ちを見せるコルンに、ルトラールはケラケラと笑う。
悟空はコニックがウイスの元に戻すことを約束しその場を後にする。
メルを連れたサワアも然り、部屋に戻した後はそのまま待機する。
ヘレスは気になるので見に行くだけ見に行ったあと、
そのまま自身の宇宙が待機する階層へ戻るそうだ。
「本当は色々お話したかったんでしょうがね、予想以上に疲れていたようです。」
「全く…なんというお子をお産みになられたのですか、貴方方という方達は…!!!」
「こればかりは私らも計算できる訳がないでしょう?ねぇ?ルメリア。」
「ええ。まさかあの子が王の座に君臨するお方だったとは…」
いいわねぇ〜と嬉しそうに照れている彼女にコルンがずっこける。
そんな呑気な、まるで自分の子供がテストの点数満点を取ったからと言って
自慢気にするのを抑えるかのようにさらりと言わなくてもいいと思うのだ。
というかその落差にずっこける以外他がない。
「華樹王はそれ即ち本来この世界に在るべき王である者。
…あの子は自分が居るべき場所を今も尚、見計らっている。」
「…全王様と共に歩むと仰られておりましたね。」
「嗚呼…きっと、これから面白くなるよ。」
「これまでも、だったのに、ですか?」
「おやいう様になったねぇ?」
「全く、明日が恐ろしいですよ。」
かくして、長い一日が幕を終えていく…そう、終えるはずだった。