月の不在証明




好きを殺す、方法?


「なんでまた」
「……いやまて、私は許さんぞ?」
「ミスティ?どうしたんだ。」

気付いた紺色髪の角神様が言う。
それに続いてピンク髪の花をピンでとめた神が言う。

「僕は別にいいと思うよ。君の好きにすれば。」
「え?え?え?何の話?」
「はぁ……恋煩いじゃな。」

その言葉にええええと声が鳴るのに、
何事だとドアを開いたコルンが止まるのに、
後ろがつっかえる。
ちょろちょろと間から出てきた各々が苦笑いする程に。


「待って待って待って待って待って」
「今行くすぐ行くそこでまってろ!!!」
「馬鹿野郎お前らは謹慎だろうが!!
メルそこから動くなマジで移動するな!!!」

『わあ〜ごめぇん』

「何したんですか貴方と言う方は…」
「「「「「「絶対話さん」」」」」」」
『へへ、女の子の内緒話。』

とりあえず何人かが来てしまうのは仕方がないので。
3人か4人はいいよとメルは言って彼らの通信を切る。


『まぁそうすぐにくるこたな
「メルううううううう」
あーーーはえーーなーーーぁ????』

もう秒を越えた何かで飛んできた者に、メルは半笑いである。
胡坐をかいた直後に飛んできたので、軽く飛ぶ。

緑色のお団子がチャームポイントの彼女。


「なんでそういう大事なことをサラッというのよ
ねぇねぇねぇねぇねぇってば!!!!!!!!!!!」
『はいはい、言うなら此処は無理ですよ。』
「なんでよ!!!!」
『後ろ』
「うしろ…?〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」
「…何をみてるんですかね?」
「さあ」
「さあじゃないが!?サアちゃんは一人しかおらんが!?!?」
「はいはい、アマレットストップストップ」

落ち着いてねーそう言って首根っこを引っ張って言う彼女
中に入ってきていいとメルがウイス達に言う。


++++++++++

「久しぶりね、メル。いやエフェメラルって呼んだ方がいいかしら?」
『はは、どっちでもいいよ。こうやって話すのは何年振り?』
「少なくともそのとち狂った時間感覚は直した方がいいと思う。」
『アルトの迷子並みって言ったらどうする?』
「嗚呼そりゃどだい無理な話だぁ〜〜〜〜〜な〜〜〜〜〜ぁ?????」
「其処は諦めるんですか其処は。」

流石のコルンも突っ込みを控えない訳がない。
アルトの迷子癖は直ったように見えるが、どうもそういう訳でもないらしい。
彼女曰く、波があるらしく、今は落ち着いているが、また出てくるとか。

「まぁ今回のメンバーが良かったね。」
「どういうことです?」
『嗚呼エンヴィが言いたいのはアレでしょ?
原初のメンバーが優秀だからってことでしょ。』
「後は破壊神との相性かな。」
『あ〜〜〜』
「第5,6,11は地獄だろうしねぇ。」

そうティータイムを過ごす彼女達に、はぁと頷くコルン達。

部屋の中でと思っていたが、
余りに手狭なので、外の裏側にある庭に来ていた。

大きな樹の下で、円になってティーを飲む
彼女達に軽く挟まるように天使達も席に座っている。

現在来ているのは、
第3宇宙のアマレット、
第4宇宙のエンヴィ、
第10宇宙のアルカポネだった。

『ま、キャドは無理だろうな。ボールパーク辺りは結構いい線行くと思うよ?』
「あのシャンパって野郎だろ?ボールパークの苦手そうな部類だと思うが。」
「そうなんですか?」
「…確かボールパーク様は適当にされるのが酷く嫌がっていたと思いますが。」

そういったのはサワアだった。
それに答えたのはアマレット。

「そうそう、よく覚えているねぇ?」
「昔ボールパーク様がアルト様とアマレット様の
遊び場を見て発狂されてましたから。」
『嗚呼、んなことあったっけ〜〜』
「当時まだ彼女らも未熟でしたし。
ですがある程度許容はあると思いますよ。」

茶を飲み終わったのか、ティーカップを下ろして言う
アルカポネに、そうだろうかぁと言ったのはエンヴィだ。

「ソレを言い出したら多分12が地獄。」
「『あ〜〜〜〜わかる〜〜〜〜』」
「何が分かるかさっぱりです。」
「まぁまぁ」
『でも8は多分安泰だよね。』
「嗚呼アンダルシアのことだろ?リキールといい線行くと思うな。」
「…私は少々胸が痛いのですが。」
「っくく、確かに天使嫌いの奴だが、根はいい子だから。」

家に帰るのがかなり不安になったコルンが嘆く。

両隣から励まされているのか、
軽く背中をトントンと叩かれる彼に
メルはソレを前から見て苦笑いした。


「ビルス様も少々心配ですが、大丈夫でしょうか?」
「ああ、コロネのことでしょう?アレは大丈夫。」
「お小言を言うようで結構放任主義なんだよ。
嫌がったらすぐにそれ以上しないで無視しだすよ。」

ある意味ああいうタイプには良い灸になるでしょ。

「それに、コロネは貴方達以上に強いし。」
『え、そうなの?意外。』
「そうだよ。まぁ、久しぶりに力比べしていないし、するべきかもね。」
「嗚呼、あの純粋な力量比べだろ?ねぇ、メル〜今度開催してよ〜〜」
『ええ〜〜〜〜〜アレ????え?すんの???マジで???』
「まじまんじ」
『嫌煩いわ馬鹿』

そうメルが手をしっしとして、腕を机に置いて言うのに
行儀が悪いですよと指摘されるも、いいじゃないと答えられる。

「寧ろそんな適当にする貴方を久方ぶりにみたわ。
誰がこんな形に戻したのか色々問い詰めたいところだけど…」
「…っ」
「ま、今はいいわ。」
『あっ次回持ち越しなんだそこ。ないとかないんだそこ。』
「ないわけないでしょ。あの可愛い可愛いエフェメラルを傷物にしたのよ。
可愛がってなかったら多分…ふふっ。」
『いやまてまてまてまて、怖い怖い怖いから待ってってば
まってよなんなのその含み笑い。』

ぞくっとしたメルに、いやぁと嬉しそうに笑うアルカポネ。


「メルに相応のこと、したんだもん。」
「ま、アレ以上というか、違う事したら」


【私達が断裁してたけど】


そう睨む者達にばっと嫌な汗が出る天使を見て
こらとメルが叱る。

『それ以上すると私が怒るよ?』
「…じゃやめとくか」
「そうだね、メルが怒ると暫く続く火山だし。」
『ああ?やんのか?』
「落ち着いて下さい。全く、嫌な予感がしましたが」
「ああ!スコだスコ!!」

メルとウイスの間に出てきたのは第11宇宙のスコーピオンだった。
淡い青緑色のおかっぱが揺れながら木の方から歩いて来た。

「こうも面倒な子達が来るとは、すいません皆さん。」
「いえいえ、言われて当然のことをしましたし。」
「正直こうしていられるのも延命措置でしょうから。」
「メルを活かすための、ってこと?」

それには4人全員が頷く。

「大罪を犯しましたので、消滅は免れないでしょう」
「…だ、そうだが?」
「するわけないでしょう?」
「だっ、大神官様!??!」
『……驚いた。』
「私も驚きましたよ?貴方が私を受け入れるなんて。」

どういうことです?とモヒイトが聞く。
此処はメルが許した者しか入れないとエンヴィが答えたのだ。


「メルが気を許した者達がこの部屋に入れる。」
「貴方が私を許すなんて、有り得ないと思っていました。」
『いやいやまたまた』
「事実先程まで入れませんでしたし。」
『…いや〜そんなまっさか〜〜〜』
「私がこの子達を殺す、と、思っていたのに?」

その言葉にメルの顔がすっと戻る。

「まぁ通常であればすぐ抹消する予定でした。
一応言ってはいましたが元々戦闘は禁止ですし。」
『…一応聞いとくけどスピスさん。』
「なんでしょう」
『あの部屋での戦闘行為をした者達を消すつもりだった?』
「嗚呼それは別件ですよ。ペナルティーの件でしょう?」

流石に入っていればあんな酷いお題は出さない。
まぁそりゃそうか。

「それにしてもどうしてここへ?」
「子供達がご迷惑をお掛けしましたし、一応礼儀として。」

すっと頭を下げるスピスに、メルは立ち上がりそんなと声を上げた。

「すいません、私の力量不足です。罰なら私が」
「っお父様!!」
「流石にそれは!!!!」
「で、どうする?華樹神様。」

にやりと笑う者に、はぁとメルはため息を吐いた。


『…一応隠すつもりだったんですが、白状します。』

ため息ながら、肩を下し頭をぼりぼりと掻いた後立ち上がったまま周りに説明をする。

『まず、あの空間で、私の力を使う事自体が禁止だった。』
「……どういうことですか?」
『最初サワア様と入ったとき、私言いましたよね?力が出ないって。』
「…ええ、私の攻撃もかき消されました。ですがアレがダメだったのでは?」
『いいや、そのあとから徐々に力が戻ってったんだよ。』

意識的に思わなかったから、気付かれなかっただろうが。

『加えて最後皆集合した時にウイスさん私に防御結界はったよね?』
「ええ、キャド様直伝のアレですね。」
「ゲ、うそ。」
「え、まじ?」
「えっ、まさかそれが原因ですか?」

そう青ざめるウイスに、いや逆とメルは笑って答える。

『アレさ、外からは防衛出来ても
私ら華神らの威力を内側から打てば
その威力が壁を伝って増幅させるんだわ。』
「…まさか」
「あの一瞬、一点に集中する精神はTOPだからな。」

そう、メルは弓を射る者。
気絶から戻りながらすぐに弓を放ったのだ。
それも、数十の壁を伝って増幅させた威力。


『よって威力が超過し、それに耐えきれず世界が崩壊しかねなかったので、修復。
その修復が余りにも酷かった為、時間稼ぎにとペナルティーが発生。』
「幸いなことに、時間稼ぎギリギリで戻れるくらいの力が出来て、こうして戻ってこれている。」
『ま、戻る羽目には結果なるんだけれどね。』

だから

『私がいけないんだよ。君達にペナルティーを掛けたのは私の方だ。』
「…だとしても、それを見抜けず放置した此方の責任でもあります。」
「ま、責任責任っていうなら二回目はきっっっちりしてこいってことだな。」
「う゛」
「大丈夫、アルトに関してはこういうのも寛大だから。」
「寧ろアルトでよかったな。メルとかも割と地獄だからね。」
『え、待って何の話。』

話しが見えないメルに、気にしないで下さいと
後ろでスコーピオンが言う。

『…ま、そういう訳なので、ね?』
「…貴方は、お優しすぎますよ。」
『その代わり、天使は、ね?』
「分かっています。代わりを作る予定はありませんよ。」

これで作るとなれば本当に永久追放ものだった。

「ま、元気そうなのでなによりです。」
「帰るのですか?」
「ええ、仕事もありますし」
『ああああああ酷いこといいだしたああああ』
「ふふ、ゆっくり休んで下さいね?華樹神様?」

悪魔あああという雄たけびに、大神官はクスクスと笑うのだった。


++++++++++


「ところでエフェメラル、貴方アレをどうするつもりで?」

その後、メルは各々に役割分担を作り、一応夜まで自由行動を渡した。
この場所では脳内に入ることは禁止というか出来ないようにしている。
その為、見た目の意思や感覚でしか予想が出来ない。

それでいい、それがいいのだ。
だから、私は気を許したものしか、此処に入れない。

だって私も彼らの心を見れないのだから。


『…ま、なんとかするしかないよ。』
「殺すつもりで?」
『…どうしようね、ほんと。』

スコーピオンと木の下でうつらうつらとねこけそうになりながら話をする。


『好きだなんて、言えないよ』
「どうして?」
『…あの人は、縛られるべきではない。』
「相手がそう思っていなくても?」
『……』
「メル、貴方は戻ってこれたのです。
あの幾多にも重なる事情から抜け出した者。」

それ相応の地位についてもおかしくない。
なのに、彼女は何度も言うのだ。
この地位は私では不釣り合いだと。

あの時強く此処にいると言い切ったというのに。


「貴方は愛されるべきなのですよ。その魔法は、解かれているというのに。」
『…解かれないよ、永遠に。』


小さな子供の小さな約束。
女の子と交わした、約束。
それでも、私は賭けることにした。


『望むだなんて、む、りだ、よ。』
「…メル」
『ごめ、ねむ、い。』
「そのまま寝て下さい。部屋にお連れしますから。」
『でも、おも、いでしょ、』
「馬鹿を言わないで下さい。あの後貴方の食事量見て
何人かキレ散らかしてるんですから。」
『はは、そりゃ、こまったなぁ』
「…メル」
『ころ、さなきゃね、』

こんな、ねがい。

そうぽすんと肩に落ちた彼女から寝息が聞こえる。


「…殺さないで下さい。貴方は貴方でいるべきなのです。」

スコーピオンは小さく花を咲かせて笑った。
スノーフレークが風になびいて、まるで鈴を鳴らす様にゆらぐ。

「純真な心を持つ貴方が、恋心それを殺すなんて、しなくて良いのですから。」

嬉しそうに笑って遊ぶ彼らを、見たことがある。
二人きりにして放置をしない訳がない。
皆、二人にした時の彼女の顔が好きだったのだ。


キラキラとした目で、真っすぐに見つめる彼女の、その目が、そして


「その目を真っすぐに受け取ってくれる、貴方の知る本当の天使に。」


私達は、何よりも感謝をしているのだから。