こちらの首でよろしいですか
嗚呼、この時間を待ちに待ち侘びた。
良いですかと声が上からかかる。
緑の衣服をまとい、イヤリングを付ける。
「貴方はこれから式の裏手、正確には式が見える場所の上に待機させます。」
ちらりと音を鳴らせながらも、メルは頷きつつ白いベールに袖を通す。
靴なんて履かない。履く靴を置いて来てしまったから。
髪なんて結ばない。結ぶ紐を捨てて来てしまったから。
辿り着くのは、何時だって願った先の場所。
『わかってるよ?』
大丈夫。そういったメルに、手を繋ぐコルン。
今にでも連れ出して逃げたそうにする彼に笑って見せる。
覚悟なんて数億年前から出来ていたのだ。
「…式で声を出しても別に問題ありません。
貴方の印は最後に大神官様が消して差し上げるそうですから。」
『周りはこっちに気付くことは?』
「間違いなくないと言ってもいいくらいでしょう。
貴方の事を知るのは私とウイス、そしてモヒイトの三人のみ。」
勿論大神官様を抜きにしてですが。
「金の首輪はとります」
『いいの!?』
「貴方が此処まで来て逃げる馬鹿ではないのは分かっています。」
なんなら最初からこの瞬間を望んだのでしょう。
そういったコルンにさあなんのことだかととぼけるメル。
これが正しければ、貴方は本当に恐ろしい人であるのだ。
「その状態で魔女にならないのは不思議すぎます。
貴方もまさか、なり続けているとでもいうのですか?」
『完成された魔女だとでも?』
「…在り得ませんね、それなら華がもう少し歪になるはず。」
『でも隠してるとかは?』
「それこそないでしょう?貴方は素直な方ですから。」
『っふ、やあ、今はだめっ』
「どうせ最期なのです。」
今はと言って軽く中を弄ってくるコルンに腕を掴む。
「っくく、中は正直ですね?もうぐちゃぐちゃですよ?」
『っだめ、ほんとに、戻れない。』
「私だって戻したくはない。貴方に此処に、ずっと居て欲しいです。」
でも、返さねばならない。
私だって苦しい判断なんですよ?
「貴方の為なら罰なんて幾らでも受けてやります。」
『ふあ♡ああ♡♡ああ♡』
「軽くおいきなさい、此方まで。」
そうくいっと強く叩くと、軽くいくメルに、耳を軽く噛んでやる。
式までまだ数時間あるのだ、最後の余興くらいしてもいいだろう。
気が変わったコルンに、駄目だと言うも、普通に腕の中に居てくれるのだから可愛らしいと思う。
「ほんとは此処に居てくれるのでは?」
『するとおもう?この馬鹿。』
「明らかしませんね。」
『へへへ!!』
「はぁ…貴方の想い人に伝えて下さい。本当に貴方以外見てないですよと。」
『わあばれてらあ!』
「あれでばれないという貴方に私は呆れてものがいえなくなります……!!!」
怒りだすコルンにあははとメルはから笑いする。
綺麗な緑色の衣装に、胸元がきらりと光る。
『これね、天使なのに貴方を防がなくなったの。どうしようね?』
「…壊れてしまったのでしょうね。」
燃えた物を戻してしまっても、一度壊れたら効果など期待できない。
「ほれ、軽くやってしまいますよ。」
『もう会えなくなるのに?』
「…だからこそです。」
そっとキスを落とす。愛おしい場所に、
リップ音にメルは微笑み此方を見続ける。
愛おしそうに、自分だけを、見つめている。
…自分だけを?
「…メル、貴方」
『今だけね、貴方を見てあげる。』
「……本当に!貴方は狡い。」
最後の最後にそうされたら、離せなくなるのを分かっているだろうに。
それでも放さないといけない。決めたことなのだ。それを、分かって、やっている。
そうして、貴方は己を狂わせたというのか。
だとしたら、貴方はどうして。
「向こうで幸せにならなかったら、本当に私が貴方を連れ去りに行きますからね?」
『その時はどうか来てくれていいよ、というかきてよ。』
向こう側であの人に突き放されたら私は帰れない。
もう何処にも帰る場所なんてないのだ。
それならいっそのこと、この場所に根を下ろすというもの。
ちらりと足を見る。根の様な物がチロチロと下におろそうかと揺れているのが見えた。
コルンの方に目を向けて笑う。
『ね?』
「…分かりました。あの天使が駄目というなら、
私は迎えに行きますし…まあ、貴方が嫌でも
私が我慢できなければ奪いにいくというもの。」
『ふあ♡ああ♡♡ああ♡それ、は、だめ♡』
「こんなよがるのに?」
『っふ♡』
「ここまで良い所を付いてくれるでしょうかねえ?」
『ふあああああ♡♡ああ♡』
「綺麗な衣装がぐちゃぐちゃになりますよ?」
ま、私がぐちゃぐちゃにしているんですが。
そうくちゅくちゅと音を立てさせると、
ばっと胸元を下げて中のものを晒しだす。
「こんな大きくさせてしまいましたし。」
『〜〜〜〜!あっだめさわっちゃ』
「触って欲しそうにしてましたよ?」
『っふあ♡ああ♡♡ああ♡ああ♡』
「此処に入れればいいのに。」
そうかみしめるように言うコルンに、手を差し伸べる。
平らな胸元の姿に、胸が痛くなる。
その胸には、大輪を咲かせていたというのに。
花束を抱きかかえるように、綺麗な花々が、何もない。
ただの人間と変わらない姿なのだ。
この数時間で、生えだすとは到底思えない。
パタパタとこぼす涙に、ごめんなさいとこぼす。
「…っ、すいません、ゆる、されるとは」
『……大丈夫だよ?コルンは沢山頑張った。』
ありがとう、私をずっと想ってくれて。
そういったコルンは、ぐっとこらえ、身体を起こす。
ぴとりと当てたものに、これで最後ですという。
「時間すらも忘れさせて差し上げます」
『…永久に?』
「ええ、永久に」
そういってつぷりと中に入れる。
軽く突いてやればすぐに締め上げてくる。
好きな人を想っていいのに、目の前の自分の名前を零すものだから、本当に可愛らしい。
嗚呼、貴方の好きな人が私だったらどれ程良かったか。
こんなに気持ちいいところを知っているというのに。
『こ、るう、こる、すき、すきなの』
「…私もです、メル。…嘘でも嬉しいですよ。」
『ちがっ、ほんとに、すき、すきなの。』
「…嘘つき、悪い子ですね?」
悪い子は捨てられるべきです。
そういって軽く深い所につきさした。
最近子宮の入り口を付いていると穴の様な感覚を感じる。
中でくぱくぱと欲しがっている。
「本当に子供産みそうですね。」
『っうんだら、育ててくれる?』
「出来れば貴方と育てたいですねえ?」
『っはは、妊娠したら、飛んでくる?』
「ええ、何方の子か判断する迄帰りません。」
それくらい大神官様も許してもらえるでしょう。
そうかなあと笑うメルの顔が歪む。
「ほおら、貴方の好きなちゅっちゅ、ですよ?」
『〜っや、いわないれ』
「気持ちいいですね?式の前で好きな人が。」
『っ、だめ、コルン、やめて』
「やめません」
『ひあ♡ああ♡あ♡♡あ♡♡』
「今は私を見て下さるのでしょう?」
見て下さいほらと印を触る。
此処は綺麗に完成されているのですからと。
「ま、でもこれはそのままにしておきますか。」
『ふえ』
「貴方が私を思い出してくれるのならば。」
私はそれだけで、満足することにしましょう。
そういってトンと奥を叩くコルンに、声が上がる。
嗚呼服が汚れる、汚れてしまうと思って膣が締まる。
「っくく、汚れたら出るにでれませんねえ?」
『っあ♡ああ♡♡ああ♡』
「汚れないためにはどうすべきか、分かりますよね?」
『っいいも♡こるんの♡♡せーし♡ほしいも♡あっ♡♡♡』
「…っ最後の最後に嬉しいこと言ってくれますね?」
『あかちゃ♡ああ♡♡できちゃ♡』
「…お望みとあらば本当に種を付けますよ。」
出来るだけ消していたんですがねと言って指を鳴らしたコルンにメルは首を傾げた。
「さて、これで出せば恐らく出来るでしょうね。」
『え?』
「今から三発程出せば間違いなく子供は授かるでしょう。」
『待って待って待って待って待って』
「待ちません♡」
『ひあ♡ああ♡あ♡♡あ♡♡』
「ほら、零さないように美味しく咥えていないと、式にこのままでますよ?」
カリカリと胸をかかれて首を横に振る。
気持ちいい感覚が押し寄せてコルンの名前を呼び続ける。
「ええ、貴方のコルンですよ?メル?」
『ふああ♡ああ♡♡ああ♡なまえ♡よんじゃ♡♡ああ♡』
「っくく、膣の中が喜んでいますよ?私のが好きだと。」
『っしゅき、しゅきらろ、さわ、より、もっとすきい♡』
「…嘘でも嬉しいですよ。」
そんなこと、思っても居ない癖にと言ってトンと突くのを速める。
軽く一回目と言ったコルンが、行きますねと笑って言うんだから
メルの頭もそれに反応する。
「っい、くっ…〜〜〜っ」
『ふあああああああああ』
同時に達した後、びゅるびゅると奥に入る感覚がある。
恐らくあの穴の奥に綺麗に入ったのだろう。出てくる気配が一向にない。
「では、二度目」
『ひうっ♡ああ♡♡ああ♡』
「さすが、感度がいいですねえ?本当に私の嫁に来ませんか?」
『ああ♡♡あ♡♡あ♡♡あ♡♡いくいく♡ああ♡♡ああ♡』
「来てくれます?それは嬉しいですね。」
違う違うという彼女に、胸をピンと弾いてはこりこり弄る。
タンタンと音を立てると声も跳ね上がって気持ちがよさそうにする。
「外に零れたらバレますよ?まぁこの服が皺になればバレますが。」
『ひう♡ああ♡こる、こるうん♡ああ♡♡ああ♡』
「はい、貴方のコルンですよ?エフェメラル。」
『ひあ♡ああ♡あ♡♡あ♡♡しゅきしゅきなの』
「ええ、私も好いております。」
話しがかみ合っているようでかみ合わない。
この感じが好きだと、コルンは告げる。
きゅっと締めると、すいませんと声が告げられ、ぐっと押される。
ちゃポンと変な水の音に、乱暴にしますと振ってきた答えに声が変わる。
『あ♡♡あ♡♡あ♡♡あ♡♡あ♡♡あ♡♡あ♡♡あ♡♡』
「っく、ふっ、っ、メル、っメル、エ、フェ、メラ、ル」
『らめ♡よば♡ああ♡♡ああ♡こるう♡ああ♡♡ああ♡』
「っ好きです、好きなんです。どうしようもなく。」
好き好きと答えるメルに、受け取って下さいと笑い口を開ける。
それにメルも口を開け、軽くキスをしてそのまま口の中にも侵入する。
ぐっと奥にまたトントンと当てるとぎゅっと締まり上げてくる。
それに軽く目が閉じる。搾り取られている感じがする。
中の奥にある部屋に、またびゅるびゅると入れた感じがした。
これ本当に二回で子が孕めるのではないかと言う量を出した気がするが、本当に大丈夫だろうか?
まあ、孕んだら孕んだか。どうせこんな好きなのだから、連れ帰りに戻るなんて造作もないだろう。
今彼女を引き留めても、同じことの繰り返しになる。
それなら一度、帰した方がいいというもの。
それに
「ほら、じゅぶじゅぶいっていますねえ?私のが貴方の中に注がれていますよ?」
『っあ♡♡あ♡♡あ♡♡あ♡♡もっともっとほしいの♡ああ♡♡ああ♡』
「三発目も欲しいのですか?欲張りですが、本当に孕みますよ?嗚呼後これを。」
ぴたりと止めるコルンにまってほしいと駄々をこねだす彼女に、まあ待ちなさいとごそごそと服から取り出したものを左手に居れようとして止める。
「いきたいですか?」
『いきた、いきたい、ほしいよお』
「ならこれを付けて頂きたい。」
左手の薬指につけようとする指輪に、願いなさいと言われて顔を上げる。
「祈りなさい、願いなさい。さすればその願いは、本当に叶うことになる。」
『っこるう?』
「…私からの最後のプレゼントです。愛しています。」
すっと指輪を入れて、軽くトントンとつつく。
じゃぽじゃぽといやらしい音がするのに、耳に触って続々と感覚が上がってくる。
『やあいく、いくまたいっちゃ』
「いきましょう?好きですよ、エフェメラル」
『あっ♡らめ!あかちゃ、できちゃ』
「っいっ〜〜」
『ああああああ♡ああ♡♡ああ♡』
トンと最後に奥にびゅるびゅると入れる。
ぴんと指が立つのも、これで本当に最後だ。
はぁはぁと息を切らすメルに、名残惜しいが身体を放す。
身体を何とか上に保たせるメルに、なにをしてるんですと声を掛けた。
『だって、服ついちゃうから…早く閉じないとって。』
「…本気で言ってます?」
『え?だってコルンが受け止めろって言ったし
…その、早くお股しめないと零れちゃうでしょ?』
零れるのなんか、汚れる上に勿体なくない?
そういったメルに、大きなため息を盛大に吐いた。
「…前言撤回します。絶対貴方の世界に私は迎えに行きます。
まぁその指輪もありますから、少なくとも私は移動が困難ではない。」
『え?え??あそういえばなんだこれ。
あれ待って外れなくない????うそでしょ?????』
「言い忘れていましたが、それ契りの指輪です。
互いの愛があって初めて閉じます。」
私を愛してくれて嬉しいですよと言うのに、
メルが顔を赤らめて身体を動かす。
ごぼごぼという音にひやあんと甘い声が響く。
頑張って膣をしめているのか、腰を少し揺らしている。
嗚呼、本当に愛らしいったらありゃしない。
「っくくく、本当に馬鹿ですねえ?貴方と言う子は。」
『あsどふぃあsdふぉいあsdふぉ!!!!!』
「っはははははは!!!!は〜面白い人だ。」
私を此処まで変えたのです。責任とってもらわないと。
そう言われて私の方が責任とってもらいたいと言い切る前に
あれそれだとサワアに顔向けできないのではと困惑する。
「まあ奪いに行く時は互いに殺されますね♡」
『奪われる前に帰った後私くっそ問い詰められる奴では!?!?』
「っははははは!!そうですね!!!」
『嬉しそうに言う話ではないが!!!!!』
うええええどうしようおおおと泣くメルに、愛らしいとちゅっと髪にキスを落とす。
「貴方に出会えて本当に良かった」
『…そう言ってくれて、私も嬉しい。』
「…綺麗にします」
そう指を鳴らし、綺麗になった身体や姿に、ばっと振り返る。
「すいません。流石にあの状態では難しいですし、っと。」
『わわ!歩けるよ!?』
「その状態で私が歩かせる訳がないでしょう。そのままに。」
そういってドアを開けてそのまま家から出るコルンに、待って止めるが止める。
後ろ振り返ってと言われてそのままはあと言ってコルンは振り替えった。
『(お世話になりました)』
「…律儀ですね、今までそうやって?」
『うん。いこう。』
「…わかりました。」
メルは嬉しそうにただその場所を眺めながらお辞儀をした。
コルンが問った後、決意したのか顔が変わる。
ベールをそっと冠から広げていたのを直す。
部屋から本当に出たのは数年ぶりくらいではないだろうか。
いや下手したら気分は数百年ぶりだ。ざわつく会場の音に、
コルンはそっとメルを遠くで下す。
「いいですか?絶対下に降りてこないで下さい。浮遊状態にさせておきますが。」
『っ』
「私はもう此処までです。本当に今までありがとうございました。」
『こるう』
「っくく、そう甘えないで下さい。本当に連れて返さなくなってしまいます。」
彼がこれから受ける処罰を考えて首を横に振るメルに
泣きそうな顔で笑うコルン。本当に変わったと思う。
彼を変えてしまったのは、確かに私で。
「さようなら、そしてまた逢いましょう」
『〜っ、コルン!!』
「っ」
『ありがとう!私もとっても楽しかった!!』
そうぽろりと涙を零すメルに、
身長よりも高く飛んだ彼女にええと微笑み返し、
そのまま背中を向けて歩き出す。
これでいい、そう、これで。
そう言い聞かせるコルンと似たような形でメルも空に上がる。
この状態ならこの会場誰もが私を見向きすらしない。
ビルス様やリキール様の表情が見える。
本当に破壊神や界王神天使が集まっているのだと思うと胸が痛くなる。
警告音が流れる。
腹に入ったこの液体と共に、帰っていいのかとふと思ったが、
彼の言ったストックホルム症候群のことを考えて首を横に振った。
もし私が彼ならば、帰るのがただしいし、この現実が正しい。
そうざわつく世界の中しんと鎮まる。
ウエディングドレスを着る花嫁の前に、白いものを纏った彼が目に入る。
嗚呼とヘレスが言っていた嘆きが、直観が一致した。
ニコリと笑って人と話をしていた彼が壇上で後ろを向いてみている。
こっちを見ているようで、見ていない。
感動で口が開いて閉じさせてくれない。
彼の姿を見れているということも勿論だが、
『(嗚呼見ていないんだ本当に)』
こちら側が本当に認知できていない様子。
ちらりとコルンを見て手を振ると、目だけをぱちくりとさせてくる。
間違いなくこっちを見るなと言われているようで笑っているとぐぽりと嫌な音がしたのでばっと股を触る。
一応下に落ちた形跡も何もないので、ほっとしてコルンをみたらいない。
はて何処に行ったかと思って上を見ると顔があった
『っだああああああああああああああ』
「(静かになさい!ったくあれ程私は止めたというのに。)」
『こるんなんで』
「(貴方のベールに入ると天使であろうとも見えなくなります)」
正確には見えずらくなるが正しいですが。
「(いきなり変な音が鳴ったので気になりましたが、次なったら間違いなくばれますからね?)」
『わあ頑張るね?』
「(だからあれ程かきだそうと思ったのですが、いとおしそうにされて抑えた私が馬鹿でした。)」
『ああすいません』
「(いえ、私の後始末が招いたことですし、元々誘ったのは私でしたから。)」
ぱっときて対応してくれる彼に、本当に律儀だなあとのんびり考える。
これ以上鳴らないとは思うがと動きに極力配慮しろと念を押して彼が元居た位置に戻る。
「それでは、花嫁の入場です!!」
『………嗚呼、きれいだなあ』
黄色の花のようなものに身を纏った彼女に、メルはうっとりと見つめていた。
ゆっくりと歩む中、彼女を見つめる、優しそうな目のサワアに、ぽろりと涙が零れ落ちた。
嗚呼駄目ではない。もう、もういいのだ。
この胸には、何も残りなどしていない。
いままでどんなに願ったか、この願いが叶えと。
トントンと胸を右手で叩くと、ぶわりと華が咲き誇り始める。
印の所をさすってここらへんかと大体の場所を確認する。
ヘレスが壇上に入った処で、メルは身体を調整し、右手と左手で角を作り
その中にヘレスとサワアの姿を入れてみる。
嬉しそうに微笑み言う彼に、嬉しそうに笑うヘレス。
嗚呼、そうだ、二人が笑うあの笑顔が見たかったのだ。
此方をみて笑う姿よりも、あの互いに愛おしそうにする姿。
『きらきらしてる』
嬉しい、嬉しい、はずなのだ。
もう手折れる、手折れるはずなのに。
『嗚呼だめだなあ』
震えてとまらない。
怖いのだ、これで手折るなんて。
身体をぎゅっと縮めて、
胸に咲いた小さくも立派な花に一凛触れる。
金色のその華に、うっとりと見つめて思い出す。
忘れてなんかいない、此処にある。
どうあがいたって、もう消えるなんてことはない。
微笑む相手が違うなんて、思わせない。
綺麗に笑っていた彼の目は、もう、私を映すことなんてないのだ。
嗚呼、どれ程それが綺麗なことか。
息を深く吸い込んで吐いた。
『どうやっても叶わないなあ』
誓いのキスを
そう言われて少し照れているサワアに、ちらりとヘレスが此方を見てきた。
こっちを見るなんて予定外で、何なら声を掛けてくる始末だ。
「…そこで隠れておらぬで参加すればよかろうて。」
『(っまずい、流石にそれはまずい!!!)』
この願いは誰にも気づかれずにが前提条件。
ヘレスやサワアは直観がかなり鋭く、加えて此方の思考をすぐに知る厄介極まりない相手。
気付かれたら最後。目を合わせば最後の人達いや破壊神と天使なのだ。
いやでも此処に隠れられる場所ではない。
「ヘレス、なにを」
「…お主にも見て貰いたかったと言えば、わらわを狡いと怒ってくれるか?」
「どうしたのです?」
「お主は馬鹿か」
「は?」
「想い人を見つけれぬなら、わらわを見ればいい。」
何をと言う前に、そっと口に触れるものに、目を見開くサワアに対し、
ソレを見ていた方向に身体が向いていたことに気付いて目を見つめた。
ぐにゃりと揺らぐ、その姿に、目を見開いて固まった。
口から離れたことで、声が聞こえる。
自分の声が
「っメル!!!!探しましたよ!!!!」
空で手折った花を持った、何時しかの彼女の腕を取っていた。