青を知ってしまったために




『あんれまあ、こんばんわ?』
「寝ないと肌の大敵だって、ヘレス様に言われますよ?」

寝れないんだあ此処まで人いると。
そうですかとメルの隣に座るのはエンヴィだった。

「気付いていますよ。フィズと私だけは。」
『…殺させないために来たの?』
「それもありますが、
まだ貴方の子が因子を孕んだとは言えません。」
『えっ育ててもいいの?』
「孕めばの話しです。」
『…絶対頑固産まれるんだけどどうしよう。』
「ぷっ、ふふふふ言わないで下さい。」

少しずつだが、メルもまた意識が変わっていた。
確かに最初は凄く嫌だったのだ。

『願いはサワアの方に持っていったから、
どっちにせよこの願いは
どうあがいても叶わないと思ってた。』
「メル…」
『結婚式みたの。もう凄く嬉しかったんだよ?』
「…それは苦しいっていうんですよ?」

余りにも辛いからその重みに潰されないように。
彼女は違う反対の言葉をよく使う。
感情を見れるエンヴィからすると、それは一目瞭然だった。
恐らく、最果てのラストリアも、同じ様に見ていたのかもしれない。

メルトリアの奥に居た、エフェメラルの存在を。
それがどんな願いだったのかも、全てみて。
継げることの出来そうな、ティーナに託したのだろう。

その火をくべ続けて生きるしかないのだと。

『でも願いは叶わなかった。
もうこっちでも二人くっつけさせようかな
って企んじゃったくらいなんだけど。』
「絶対やめた方がいいですよ。あの二人凄い仲が悪いです。」
『いやよいやよもっていうじゃん?』
「それでも時間が無駄になるくらい時間掛かりますって。」
『それで完成するし、神は喜ぶというのに?』
「メル…」
『月は何処に行っても見えないよ。』

それは、何処に行っても、貴方の願いは叶わないというのか。
家族との時間を夢見ても、お友達との手を繋ぐことも
最愛の天使にすら、夢を一瞬見せて、地獄に突き落とされると。

その世界を、それでも、それでも両手を伸ばせるというのか。

「メル、貴方良く精神保たせてると思うよ。
あの中でプラティアを外しても、
貴方の精神力はダントツに抜けてる。」
『ありがとう』
「でもそれは、それは其処に居てはいけない。
貴方は居てはいけない場所に居続けてるだけ。」
『エンヴィ』

駄目だというのか。決められたことだから。
もう曲がれない。曲げようとしないのか。
受け入れるというのか。それすらも。

「子を孕めば恐らく向こうのコルンは消滅対象でしょう。
貴方も、子も全てが消え失せるか、貴方の記憶を管理させ、
本当の監禁生活が幕を開けることになりますよ。」
『え〜〜〜流石に嫌だなあ。でもお父様とお母様みたいじゃないの?』
「規模が違います。外の世界とでは訳が違う。」

まぁその二人も元々そうなら話は別だが。
流石に其処は同じ世界に居る者同士だろう。
流石に禁忌を放置する者達ではないはずだ。

しかるべき対応をしてくるだろう。

「貴方、華樹の中にその魂全てを溶かすつもりですか?」

そうとしか考えられない。
もう誰もが、苦しまないように。

ニコリと微笑み笑う彼女に、嗚呼と首を横に振った。
胸が酷く痛い。痛くて痛くて、たまらない。

最初から決めていたのだろう。
それこそ、この願いが、叶うために。


私以外の誰もが幸せに生きれますように。



そんなの、貴方がいない世界を見てきて分かっただろうに。
誰かが狂い誰かが壊れる世界になると、分かって。
まて、だからじゃない。彼女はカタバミ。太陽が目を向けば開く存在。

待て待て待て。

その「太陽」は「何」に値する。


『しらなくていいよ?』
「…知って欲しくないということですよね。
それ、知れば私の記憶事消滅させるつもりでしょう。」

それこそ、跡形もなく。誰もが気付かない程に。
そう言ったエンヴィに、メルはニコリと笑うだけだ。
まただ、また肯定をする。

好きになっても、好きになってはいけない場所にしか幸福がない。
それは、何処に居ても、幸福がないということ。
つまり、地獄でしかないということであって。

『幸せだったんだよ?満たされていたの。』
「…メル」
『白い世界から、私ずーっと、満たされていて。
もう何にも要らないなあって思ってたし思ってる。』
「駄目です。その末路がどうなるか、貴方もご存じのはず。」
『子供が、出来て、笑えたらいいのにな。』
「…っ、笑う様に、貴方が作りかえるのではないのですか……!!!」

その為なら、この世界に居る華神や
加護天使達全員が勢力を上げると言い切れる。
この世界は他の世界達よりも一番いい状態だと思っている。

だが、作り変えようとしていたとしたら?
もし、もしも、この原初が現れた時辺りから、
彼女がこの形態を全て作り変えようとしていたら?

「…試して、出来なかったから、諦めると?」
『エンヴィ』
「貴方一人で駄目でも皆でやれば」
『駄目だよリスクが余りにもでかすぎる。』
「…っではどうするというのですかっ!!
それでは貴方一人の命と皆の、い、のちが」
『ね?貴方だって、そうするでしょう?』

酷い。

狡い。

そんなの、言われたら答えがひとつだ。


全ての命か、一人の命か。

一人の命が消えて無くなる以外術がない。

前々から思っていたが、願いの等価交換がえらく無いなとは思っていた。
だが、ちゃんとあったのだろう。それは、一人の願いの等価交換ではない。

全ての願いの等価交換が釣り合っているかどうかによるものであって。

メルはその多くを処ではなく、
全てひっくるめて、自分の全てを包み込み、その樹に取り込ませるつもりなのだ。

「このことお母様にはお伝えしているのですか。」
『待ってそれを言うとルトラールがコルンを殺しに行くから。』
「嗚呼成程、確かに行くにいけませんね。」
『まぁそれに、ね。叶わないでしょう?』
「…お伝えは早めにしないと殴られますよ。」
『女子会とか色々終わればしようと思ってるよ。』

その時は、貴方は、いや

「私もちょっと気になるのです。華樹のその限度が。」
『エンヴィ…』
「今度試しに来てもいいですか?」
『それはいいけど…』
「大丈夫です。変なヘマなどしません。」

私を誰だと思っているのだ。
貴方達の様な状態に酷く近い存在であるのだから。

「我々原初は貴方が華樹神でないと就任しないと言ったでしょう。」
『う、それは、そうだけど。』
「華樹の中に入ると神と判定させませんよ。」
『ううううう』
「っははは、ほら、寝ましょう?お部屋に戻りましょうよ。」

そう屋根を移動するエンヴィにでもおとメルがうなる。

「怖かったら傍で寝てくれますよ。
誰だって、貴方が望めば聞いてくれます。」
『…いやだよ』
「それは貴方の心がこうして伝わってしまうから?」
『それは…まぁ、そう、だけど。』
「でしたら柔にしないで頂きたい。」



ー彼らは強い。



「我々神々は貴方を何よりも誇りに愛しているのですから。」



『…わあ、ほ、ほれる。』
「っははは、冗談を言うなら寝て下さい。私が犯しますよ?」
『え、待ってそれはちょっと。』
「っくく、だからほらほら。」
『あ〜〜〜〜』
「おやすみなさい。」

そうドアの前まで押し出して、エンヴィは言う。
それに、お休みと嬉しそうに笑って手を振り、ドアを閉じるメル。

『…気付かないで。』

そういっても、誰もが気付いて守ろうとしてくれる。
誰もが笑って、誰もが喜ぶ世界があればいい。
それがあれば、どんなことになったって、許してあげれそうになる。

子供が出来ればいいなと、少しでも思った自分がバカバカしい。
子供が可哀想でしかないというのに。

何処にもいけない。何処にも、ない。

『…会いたい。』

でも、会えない。会ってはそもそも、いけないのだ。
涙が、ぽろぽろと零れ落ちる。
嗚呼どうして、どうして時間が過ぎれば思い出すのだろうか。

優しそうに見つめてきて、愛おしそうに抱きしめてくれて。
その時間をずっと、ずっと、望んでしまうのに。

勿論サワアのことだって好きなのだ。
でもそれは、初恋であって、叶わない願いに入ると理解していて。
これで彼の事まで願えば、もう本当に苦しくて息なんてしたくない。

『消滅出来ればどれ程…楽か』

プラティアのことも然り、絶望でしかなかった。
消滅して、華樹に祈れば下手すれば戻ってくる可能性がある。
それこそ地獄の始まりだというものであって。

人が良いとずっとずっと言い続けていたのはこういうことなのかと。

天使と人の子であり、その子は、イレギュラーであり。

どんどんと道を外れていく。

この子供がもしも?

いや、そんなことはさせない。

だが、もし、もしも嗚呼、願えなんて無理だ。

ーきっと願いは叶います。

『…っふ、う、そつき。』

こない、そんな時間なんて、何処を探しても来ないのだ。
少なくともサワアが来ていない時点で、何となく察しがつく。
こんなにも会いたいと思うのに来てくれないし。

と言うか、印が消えかけている中、その記憶も徐々に曖昧になっている。
これが消えた時、この子供は一体誰と言うのだろうか。
愛おしそうに見てくれたあの時間が、ずっと居続ける。

嗚呼額縁に入れてしまわねばいけないのか。
そんなことしたくないと強く想ってしまう。
今までこんなことはなかった。

覚え続けたくて、忘れたくなくて。
全部を綺麗に額縁に入れて笑って泣いて、
それでも前を向いて歩いてきた。


『…っふ、ああ、やだ、ごめ、ごめん』


誰に謝るのか、謝ることなんてしていない。
そう皆言ってくれて、きっと抱きしめてくれる。
これから変えていけばいいのだと、前を手を取ってくれる。

違うそれでは叶わない。
私の願いは、そうではいけない。
だから苦しいのだ辛いのだ痛いのだ。

額縁にこれも、入れないといけない。
そうしないと、私の次なんて怖くて考えたくない。
子供を拒絶するのも、恐らくそれがでかい。

華樹神は滅んで正解だったと今更ながら強く想う。
でも、全王様の気に入り的には
もう今後消えるなんて二度とないだろう。

そもそもルメリアの魂を私に渡した時点で察しは付いていた。
恐らく待っていたのだろう。少し待てば戻ってくると。
だから全王様はそのまま私達華の者達を放置した。

いずれ芽吹くから、そのままに。

『…違う、エンヴィの事が正しければ。』

この華樹をそのままにして、本当の願いが変わるなんて可能なはずだ。
だが、この者達で回して他の者達の願いが叶うというのも、些か悪い話だ。
ドラゴンボールのように、等価交換にするにしてはでかすぎる。

何か策を考えねば。

そうだ、前を向かねばいかないのだ。
此処で泣いて閉じこもっていても、
きっと彼だってため息を吐くに違いない。

『っはは、サワアになんて言おうか。』

そうですかと笑って答えてくれるとは思う。
暫くはいつも通りなんて無理だろうが。
好きな人はずっと同じなんて無理なのかもしれない。

そう、そう、言い聞かせなければ生きれない。

『流石に恋の話はきついなあ』

メルは布団に入りながら目を閉じて眠ることにした。


++++++++++


それから、案外話が進みに進んで、現在もうおうちに帰る前のこと。
いや本当に食事をして、軽く話をしてしかしなかったのだ。
しかも一日秒だった。えっマジで調整してないの?まじいってる?

「楽しかったぞ。またしよう。」
『うん、待ってるね。』
「送りは要らん。」
『ああはいはい、そいじゃ皆またねえ』

そう手を振って、今度こそわかれる。
綺麗に居なくなった後、アルトも疲れたでしょう?と声を掛けた。

「え?いやまあ」
『ちょっとだけ頼んでいい?』
「いいけど、どうしたの?」
『第1と第4に頼んでいたのアレ取りに行って来て欲しいの。』
「嗚呼別にいいけど。」
『あとできれば第8に例の水も』
「あっ…すっかり忘れてた。」

前から調理をした特定の水は彼女達の薬草に使うということで保管していたのだ。
一応腐らないようにと瓶に入れたりと保管をしていたが、今回溢れ出していたのをすっかり忘れて居た。

「じゃあ暫くかえって来ないから、付き人付けるよ。」
『いやいいや』
「え?でも…」
『ちょっと人酔いしたから出来れば一人がいい。』
「…ああ、そういうことか。なら一週間くらい帰らない方がいいか。」
『出来れば人もはける予定だから此処入れないよ。』

設定するし、荷物出しといてと言うメルにはあいとアルトが出ていく。
顔が綺麗に隠れているのは、とても気持ちがいいものだ。

「じゃあプラティアもいるだろうし大丈夫だろうけど
お風呂も入って歯も磨いてご飯も食べてね?」
『うん』
「いってきます」
『いってらっしゃい』

そうたかたか足音を立てていく中、音が止まったので下に降りて奥を見る。
トンネルの先で、手を振るアルトに手を振った。
ぎいいと音を立てて棚が完全に締まったのを見て、メルは術を作りつける。

『よし』
「いいのかほんとうに」
『よくないとしていない。』
「…お前」
『っぐ』

軽く身体が吹っ飛ぶ。
ぼとりと落ちたところが悪かったのか、痛くて動けない処、胸倉を掴まれた。

「愛されておるのに」
『っ』
「諦めてはいかん」
『…でも、みえた、でしょう?』
「…駄目だそうさせん」

何となく、白い部屋の感じが見えた。
多分だが、多くの白い部屋は私の残骸なのだろう。
というか、アレが一番の完成に近いのかもしれない。

カランコエのみが残っていたのが、本当は正しい。
私が綺麗に引っ込み、居なくなるに等しいのが。

「それだと2つになる。カタバミは3つであるから成立する。」
『でも次も叶わ、なかったら、っひっ、わ、たし』
「…怖いな、恐ろしいな。その願いが叶わなかった時。
お前の0が指を突き刺してくるのだろう。」

お前がそうであったように。
お前の感情をそのまま受け継いでほしくないと。

泣きじゃくるメルに、プラティアは胸倉を掴むのを止めて浮遊する。

『感情がなかったらいいのに…!!』
「エフェメラル…」
『あの時みたいに、なにも、なにもなければ…!!!』
「駄目だ、アレは酷過ぎる。」

コルンと居た数か月だけの時間。
最初は元気だったのが、徐々に顔が変わる。
途中は本当に生きた心地がしていなかっただろう。

特にコルンがそうだったはずだ。

メルの記憶を見たのは、プラティアだけでない
サワアやコルン、ウイスやモヒイトの天使達。
そして大神官のこの計6人が許可を得てみていた。

その冷めた目。人形のソレを変わらない状態。
そうなれる彼女が、「完成」されたと同じもの。
プラティアもまた、「完成」されたものだから。

痛いほど気持ちはよくわかる。

だが、メルは変えてきたはずだ。

「本来の「完成」はお前が考えているように、その願いの永久性だ。」
『っひ、っぅ』
「願いを覚え続けるには痛みが必要だ。その強さ波に全てが掛る。」

その感情が、酷ければ酷いほど。
廻廊に入れたメルの力は必然なのだ。
彼女が強いというのも、
多くの感情に触れ続けて生きてきたから。

必然的に強くもなるのは当たり前のこと。

「確かに我々二人の共通点そして向こう側の
カランコエも「完成」されたのは「受容」だ。」

その失った状態を、何度も何度も繰り返し
攻撃しても守っても何をしても育て上げる。
そうして培った後に、受け入れ受容する。

その形こそが、完成されたという状態。
そしてその状態が、3つ揃えれば、本当の完成が、神々すらも恐れる何かが完成してしまう。

「元々華樹はこの世界だけで完成しうるものではないのだ。」
『…どう、いうこと?』
「現に元々のルメリアの華はなんだ。」
『え、し、しろつめ、くさ?』
「アレはクローバー、つまり草でも葉の数で名前が変わる。奴が良く咲かせていたのはなんだった。」
『えっ…えっ、なんだっただろ?』
「一つ葉だ。一つ葉の花言葉は「困難に打ち勝つ」
「始まり」「開拓」「初恋」の4つになる。」

そう起き上がらせるメルに、プラティアは説明するのを浮遊しながら続ける。
メルはそのまま女の子座りにぺたりとその場で腰を落として話を聞いていた。

「つまりルメリアは一つの状態で出来上がっていたんだ。」
『えっと…なんだ?』
「お前はカタバミ。三つ葉でないと「完成」にならない。
ルメリアの本当の力は恐らく十になることだが、
余りの途方もない量というか、その前に成し遂げれなかった。」

だから駄目だった。

「確かに別世界の干渉はご法度だし、明らかいていいものではない。
仮に崩壊するからといっても、今みたいな全王様が二人なんて以ての外だ。」
『えっあ、ああまあ?』
「だがソレが成し得ていて、お前の子は綺麗になくすと思うか?」
『…………あ』
「絶対に何かの隙がある。華樹もまた然り。まぁ孕んでいるかは知らんが
孕んでいようが何しようが、お前の気持ちは決まっているはずだ。」
『…でも』
「今すぐに振ってこいとは言っていない。」

問題なのはお前の気持ちだ。

「お前はある意味幸運で不運だ。」
『いやどっち』
「感情やら力の増大にしては幸運だが、
普通の時間を望むお前にしては不幸過ぎる。」
『嗚呼…まぁ、それは思ってたけど。』
「それでも放置出来るのはお前の阿保過ぎるお人よしのせいだ。」
『あっえ、待って私貶されてる?』
「これで褒められてると言ったらもう一度ぶん殴るぞ。」
『ああああすいませんすいませんすいません!!!!』

全くとため息を吐くプラティアにじゃあとメルが爆弾発言をする。

『私子を産んで向こう側のカランコエとコルン引っ張ってきたらいいと。』
「…お前本当に呆れることを言うな。」
『えっ待ってその話ではなかったと????』
「恵まれすぎるとこうも阿保になるのか阿保たれ。」
『待って収集がつかない????』

呆れてものが言えなくなりそうな彼女にメルはおろおろするしかない。

「協定を組むということだ。」
『…協定?』
「嗚呼、この世界とこの世界のみ相互関係にいると。」
『…待ってそれこそ無茶過ぎない?
それ私の願いを叶える為に全てを犠牲にする話になるよ?』

ソレは流石に私も許せない。

「だがそれ以外お前の生きる道はない。」
『嫌それなら自害一択にする。』
「別にそれでもいいが、全員が絶対に止めるぞ。
ましてやこの状況下、お前が逃げても先に行くには
まず全王宮を駆け抜けないといけない。」
『っ』
「あいつらが黙って外に逃がすわけもない。
その間に天使やら加護天使やらが出てくる。」
『でっでもアレつかえば』
「当たればいいが、その前に
お前の意識が奪われる可能性の方が高いだろうて。」
『うううううう』

じゃあどうすると。

「向こう側と此方側の子供と言えども、
干渉が本当にかかるか分からん。
それは未だにない前代未聞の状態だろうからな。」
『出来れば界王神とかの仕事を増やしたくないんですよ。』
「んなものしったことか。勝手にやらせとけ。」
『えーん、ひどいよお』
「お前の生存を考えるとそれしかないんだ。」

もしくは

「お前本当にその願いを全て託して樹になろうとしとるのか。」
『…だとしたら?』
「この場でアタシがお前を喰らって神になる。」
『…すればいいよ。』
「っ!!!メル!!!」
『わかんない、もう、どうしたらいいの?』
「…っ」
『望んでも叶わない。願いを持って、
飛び込んでも、ソレは華になるということで。』

自分で歩み寄って手にできる域になど、もう存在していない。
ならば、この願いを、望まない位置にいることが生存に近い。

それも嫌だというなら、どうすればいいのだ。
恐らく遅かれ早かれ、このまま額縁に飾られ願いになる。
そうすれば願いは叶わなくなる。

最悪にしか導かれないようになっているのだ。
どうあがいても魔女に向かわす様に仕組まれる。

「それを覆すという話をしているんだ。」
『…そんな出来るわけが』
「するために話をする。そのためにも、決断しなければいけない。」
『…え別れろと。』
「子を育てるになればな。」

まぁ、現状確かに、孕んでいるか怪しいラインだが。
そう腹をみられて、ばっと隠すメルに、くつくつと笑われる。

「あの感じだと確実に孕ませた感じに言っているから、
まぁ確実にというか、恐らく出るだろうな。
なんならお前かきだしていないだろう。」
『え?………あ』
「まぁあの量入れられたら間違いないだろうな。
流されたお前も悪いは悪いが、両成敗だ。」
『あわわわわあわわっわあ』
「お前の怖さは子供がお前の知る幸福な家庭に入らないからだろう。」

それも禁忌とされる場所に位置する二人だ。
そりゃあ子供も泣いてしまうかもしれないだろう。

「だがそれに悩んでいたら話にならん。
元々逸脱した力の持つ我らなのだ。」

そもそも

「何故このシステムを綺麗に組み立てようと思ったのか、全王様の気が知れん。」
『…確かに、なんで創り出したんだろう。』

天使とはいえど、また戻すなんて考えない。
ルメリアだけなら華樹を下すなんて普通に出来るはずだ。
なのにこんなシステムを壊さないのも何かがあるはず。

「一応そこら辺は嗅ぎまわっている奴らに任せている。」
『え!?!?そうなの!?!?!?!?』
「お前があんまりにもうだうだするからな。手は打っている。
まぁかなりの長い付き合いになるからあと数億年はかかるだろうが。」
『えそんなに???』
「これでもかなり早いほうだぞ。隙を見て確実にさせているからな。」
『待って何時の話。』

さあと笑う彼女が末恐ろしい。

「まあ、お前は沢山頑張ったからなあ」
『っっわわわ』
「怯えなくても全員理解してくれる。」
『…でも、そんなの。』
「そんくらい我儘許されていいわ。」
『禁忌軽く凌駕するような話ですが!?!?!?』

嗚呼いいと答えいいきる。

「お前は12、いや13もの時間を歩いた精神を持つものだ。
加えてその多くが現在の神々を救ったというある意味歩く救世主。」
『あ、あるく、きゅうせいしゅて、』
「お前、人に助けられてお礼を言わないたちか?」
『いやお礼言うしなんならお菓子腐る程上げるし助けたくなる。』
「だろう?それ以上のことをお前は知らず知らずにしている。
そもそもサワアやクスらはアタシがお前にぞっこんだった時でも
死んでいておかしくないからな。」

いやぞっこんて、まあカタバミのみっつがって…あれまてよ?

『何も考えれなかった?あれ、カランコエにいった時も、そういえば』
「…そう、あいつもまた、アタシに近い状態だった。」

何かにとりつかれたように動く姿が、少し怖かったのはあった。
まあ自分を想って動いてくれていそうな感じはしていたからいいが。

「向こう側はエフェメラルの方が死んで、カランコエが完成されたもの。
プラティアを喰らったのなんだの言っていたが恐らくダミーだろう。」
『なんで嘘つくようなことを?』
「言っておかないと気付かれた時が怖いナニカがあるんだろう。
それこそ今の様に禁忌にふれるとかな。」
『あ』
「恐らくこの二つは必然的に片方ずつのようにかけているはずだ。」

深堀りすればもっと出てくるだろうがな。
そう言った彼女に、でもとメルは続けて言う。

『完成させた後とか、どうなるの。』
「…それをも全部解決するのが、今回の任務だ。」
『いや任務て…スパイじゃないんだから。』
「ある意味スパイみたいなことだろこんなこと」
『悪いことはしちゃいけないんだよ?』
「お前の生存的には一択しかねえんだよ。」
『というか私をなんでそうも生かすの?』

私が生きていても意味なかったりしそうなのに
そう言うメルに、あのなあとプラティアは
指を指してメルに言うのだ。呆れるように。

「お前数日前なんて言われてた。」
『え?なにのはなしだ。』
「お前でなければ原初は付かない。」
『ああ』
「あれはいいかえれば、お前でなければ
華神どころか華樹を壊滅し崩壊させるという意味だ。」
『え違うって』
「アレはガチの方。恐らくエンヴィが率いてするだろうな。」

アイツの願いは結構末恐ろしい。
そうぞくりとするプラティアにへぇとメルは息を吐いた。

『えでも向こう側温厚にみえたのに』
「恐らくしようとしてたんだろうな。
お前が来て、エフェメラルも出たから
一件落着で抑えただろうが。」
『え、じゃあコルン達が死ぬ気で私隔離したのって。』
「まぁ原初が何か動いていたのを知っての事だろう。」

外に出さないようにというのも、
元の世界に戻すためにも隔離していたと思っていたが
それどころの話ではなかったと。

それでよく結婚式開こうと思ったなとは思った。
そういえば華神達がいなかったが、
あの感じだと恐らく隙が出来るからと
敢えて裏で動こうと企んでいたのかもしれない。

そう思ったらメルの動きはかなりのファインプレーだったのだろう。
全員が大喜びだったのは、ひょっとしたらひょっとする。

『でも猶更向こうのカランコエをこっちに引き入れるには無理でしょ。』
「…まぁそこら辺も課題。こっちのカランコエの声がしないのも分からない話。」

あれから音沙汰がない。
綺麗にしまい込んだのか、何もかもが分からない。

「いずれにせよ、ここ一週間は缶詰でも許される。
最悪アタシが向こうの時間を弄って
こっちの時間を遅くさせることもできる。」
『…ごめん、ちょっとしてきて。』
「…!わかった。」

そう言って消えたプラティアにメルはふと考えた。
もし、この時間考えがまとまれば。

『…どうしようかなあ』

天使と天使が、天秤に乗ってしまって困るのだ。
どっちもに入るなんて絶対に嫌だし。






さてはて、どうしたものか。