もう一枚の鏡であるあなた
前回のあらすじ
ABCの世界線と、メルの子供が誰か決まったよ。
答えはIF世界のコルンの子でした!!!!
泣いちゃう!!!!!!!!!
「久しぶりだね、この世界の私。」
『エフェメラル…って、あ。身体なんか軽いな?』
「声だけでも楽にさせてあげたくて。」
嗚呼お前かい。ありがとう。滅茶苦茶好き。愛してる。
あらあら。
そうIF世界のエフェメラル、コルン、
大神官がやってきて軽くお辞儀をした。
裏庭にずっと居るのも、ということで
家に入り、場所はリビング、書斎スペースだ。
メルはサワアに軽くソファーに腰を下ろしてもらい、
そのまま隣に座るサワアに、少しよそよそしくなり
もじもじしていると、そのままでいいのに
と、向こうのメルに笑われる。
うう、絶対恥ずかしいのバレてる。
「私から説明をしてもいいですか?」
「構いませんよ。」
「単刀直入に言いますね。協定を組みに来ました。」
『本当に単刀直入でぶった切ってきたなおい。』
「ふふふ、お互いに利益しかない話です。」
少々貴方方も知っていると思いますがと話を続ける。
「ここ数か月いや、数日の間に
多くのIFが消えているのをご存知ですか?」
『…いや、記憶の廻廊に入ったあの例の場所ってことでしょう?』
私しか管轄出来ないアレ。そう。と私同士が話をする。
『最近色々あり過ぎてね。本当に色々。
もう色々しかないから見てない。』
「色々を強調しすぎでは…」
「よいのですよ、そちら側のサワア様。
ええ、少なくとも数千、いや数百は
軽く消えているのは見ています。」
『っ数千数億以上あるアレが
数日で一気にその数て!!!』
流石にちょっとスピードが速すぎやしないか。
だからこその、緊急的な協定を持つということか。
まぁ少々強力な力が産まれそうで怖いが……
「記憶の廻廊が其処迄消えるということは、
別世界の世界軸の影響もかなり大きいはずです。
貴方方の危機にもなりうる可能性が高い。」
「…ですが、我々天使は中立を守るもの。
これを許可するとは思えませんが。」
そう言った此方側の大神官に、ええと向こう側の大神官が答える。
「ですから、協定という言葉を用いたのです。」
『嗚呼成程、要は中立を守りながらも
互いに相互干渉しすぎないように
しましょうねっていうことか。』
「お話が早くて助かります。」
「その「等価交換」の内容をも決めようと今回来ました。」
まぁおめでたい発表もあるでしょうし、と
ちらり向こう側のエフェメラルがメルの腹を見て、ニコリと笑った。
ああもう、そりゃあもう嬉しそ〜〜〜〜うに。
もうにっこにこ。にっこにっこである。
花が咲いたかのように笑うなこいつ……
腹立たしいとかぶっとんで、もう可愛いしかないなこいつ。
何だこの可愛さは。絶対私こんな顔しない。
「いつもしていますよ?」
『えっうっそだあ』
「していましたよ。」
『うっそだああああ』
そうサワアと向こう側のコルンに言われて嘘だと言い切る。
『待って等価交換ってあれ?もしかしてエフェメラルの交換会?』
「こっ!?!?!?」
「あはははは!!私も思ってたけど、やっぱ頭一緒だよね!!!」
「…頭が痛い。」
『えっ違うのか。』
「子供が可愛いって思うのは分かるけどね、
実はすご〜く面白いことに、私も妊娠してんだわ。」
それも
「そっちのサワア様の子を。」
「っなんですって!?!?!?!」
「だから、非常に非常に非常〜〜〜〜に、
珍しいことに、お話しするよ?」
そう何処から出してきたのか、向こう側の…嗚呼面倒なので
此方側をメル、向こう側をエフェメラルと呼ぶことにする。
で、エフェメラルがホワイトボードにサラサラと書き足していく。
「時系列順に説明する。私は諸事情が合って、
自分の身体に魂すら維持できない状態になった。」
『ああ言ってたね。私が解説したやつ。』
「そうそう、それで、魂が彷徨いながら、願いが形になった。」
どうかなんでも叶う部屋が出来ればなあ。
そんな感じですらすらと矢印をかいたりして話が進む。
「白い部屋ではなんでも願いが叶う。ねぇメル。何か此処で思い出すこと無い?」
『…アルプス一万尺?』
「ぶっ!!!それはいいよ〜〜〜楽しかったの?」
『もうそりゃあああもう。アレもっかいしたい。』
「止めてください。弟たちが可哀想です。」
「はははは!!!それで、結論から言うけど、
其処でメルがサワアの子が欲しいって思ったんだけど、
その願いが私の方に反映されちゃってさ。」
「まさか、願いの元の方に吸い寄せられたと?」
そういうことだ。
「コルンとの子は此方で仲良く預かることにする。」
「まぁ元々エフェメラルのことを
お師匠様からもお願いされておりましたので。」
『本当に子供入れ替え事件起きていたと。』
「そういうこと。それが、今回の「等価交換」条件。」
そして、本題か。
「子供が成長するというのも怖いのは分かる。
加えてこの異常な速度の死亡数からして…
ねぇ、貴方の状態ってかなりの良い状態なの分かるでしょう?」
『…完璧なカランコエか、それ以上の者が私を探していると?』
「可能性が非常に高い。プラティアか、それ以上になる。」
「それは厄介極まりない話ですね。」
「でもこれは逆に言えば、ラッキー極まりない話だよ。」
「というのは?」
「メル。もう本当は、気付いてるんでしょう?」
貴方がどういう存在であるのか。
そして、その黄金の草がどういう意味をもたらしているのか。
「華樹の完成が、此処で決まるということ。」
『それ即ち、もう下界になど足を付いて降りることも出来なくなると?』
「っ!!!」
「…気付いてたか。」
『だからなるべく避けてたんだよ。ルメリア様の状態を見てすぐに分かった。』
地面に寝ていた本体をみても、動かすにしても動きが遅すぎたのだ。
寝起きにしても遅い、それは華樹の影響下が、徐々に彼女を浸食し続けていたから。
後にこの敷地内以外では、彼女はその地に足を下ろしていないのだから。
華樹の範囲内以外は、もう二度と移動が出来ない。
それは旅が二度と出来ないという証拠であるというもの。
『あーこれあれだな。』
「なに?」
『大人になったらゲーム出来ると思ってたら
仕事忙しすぎてゲーム出来なくて怒る感じ。』
「っはははははは!!!!も〜〜〜〜
ノリが最高すぎ!!!!!好き!!!!!!!」
『ん〜〜〜〜私も好き!!!!!
えっ待って結婚式する?いつする?いつする?』
「も〜いまする?いまする?いましちゃう?」
「ご冗談はそれまでにしてください。」
えーと二人して声をは盛らせる二人に、お黙りなさいとコルンが一喝する。
「エフェメラル」
「はいはい…それで、子供達を元の場所に交換するというのを条件に
互いの世界が危険に陥ったら助け合い、貴方の完成を私達は手伝う。」
「それは干渉に影響するのでは?」
「「落とし物を見つけてお譲りしますよ」という意味での、「手伝う」ですから。」
『うっわあ』
「賢いですね。」
確かにそうすれば、干渉とはいいがたい。
加えて其処迄干渉していないとあれば、中立は保たれているというもの。
本当に考えたなぁ。
『えっ待って、じゃあ待って。えっ待って?』
「まてぬ!!!」
『いやん!!!!!!』
「…混ぜるな危険と聞いたことがありますが、ひょっとしてこの二人ですかね?」
「違う気がしますが、なんかもうそうでいいですよ。」
「交換をするというのであれば、我々でするのは構いませんか?」
そう名乗り出たのは、向こう側の大神官だ。
それにはいいよいいよとメルも許可を出すしかない。
ではと席に座らされ、腹の元に目が行く。
くいっと指を動かされると、黄緑色の光と、
青緑色の光が飛び出した。
エフェメラルの身体には青緑色が
メルの身体には黄緑色がそっと入っていくのを見守り終えると
終わりましたと言う声に、ぼーっとしていたメルがはやっ!!と声を上げた。
「交換するだけですし。」
『いやでもすっっ、えっ????』
「理解が追い付かないのは分かりますが、話を続けますよ。」
『あっはぁい?』
「エフェメラル」
「はいはい。メル、貴方黄金の草の意味がどういうことか名前とかは?」
『いんや、分かってない。正確にはって意味では。』
「具体的じゃなくても雰囲気とかではつかめてると?教えて貰っても?」
いいよいいよとメルは話し出す。
『最初に出てきたのは、そっちでの話。
何か遠くのさ、それこそサワアが居る
処の方を思い出してたんだよ。』
「此方側を?」
『そう。若々しい草原みたいな場所が、
綺麗な黄金色に変わって行く感じ。
黄金の中に居ると、凄く気分が良くて、
でも眠くなくてただただ居心地がいい。』
その痛みも苦しみも、その胸に抱きつつあるというのに。
停滞し、その時間がまるで、時が止まったかのように感じた。
『続けばいいとも余り思えない全てがゆるりと時間が緩やかになった感じ。
名前は付けていないけど、身勝手の極意や我儘の極意に近い物を感じるのは確か。』
「すんばらしいくらいに上出来。これは私らの所にあった古い文章ね。」
そう言ってエフェメラルが出してきたのは一冊の書物、巻物だ。
中を見ると、とてもきれいに保存が成されている。
これは見たことがないので、この世界では誰かが壊したのかもしれない。
天使や人、華が描かれたもの、樹木もある。
その下には、黄金の草色が描かれていて。
でも、一部綺麗に穴が開かれて見えなくなっていた。
「詠唱の方は何故か綺麗に消滅しててね。
恐らく名前も書かれていたんだろうけど、
お母様とお父様が継承した時の内容なんだと思う。」
「お二人にご相談はされたのですか?」
「それが覚えてないんだって言われちゃって…」
「そちら側のお二人にご相談をされてはと。」
『…期待しない方がいい。』
「というと?」
『多分覚えてない。黄金の草の中に居るとね、凄い朧げになるんだよ。』
それが完成されていないから、そうだとしたら。
『記憶を完全に曖昧にさせ、そのこと自体を
外に漏らさないようにする力だとしたら?』
「…成程、そもそも存在を知らせない為に、作ったと。」
『まぁその予測が当たれば正直完成させたくないけど。』
子供に継承するになれば、恐らくその話もしなければいけない。
まぁするかどうかは、話が別になるが。
『とりあえず、聞いてみはする。連絡はコレの方がいい?』
「いえ、ソレはもう貰うことにします。」
『え?でも外れないんじゃ。』
「外れますよ、ほら。」
ああああああああんああああんでええええええええええええ
そう叫ぶメルに、煩いとサワアからチョップを入れられた
ううひどい、ひどいよおお。
「互いに信頼しているとは言えど、
言っていたことも期限切れましたし。」
『…まさか腹の印?』
「ええ、ソレとくっついているものでしたので。」
『記憶は!?!?!』
「消えませんよ。消えてもどうせ戻す癖に。」
『っしゃ!!!!!!!!!!』
テンション高いねぇ。仕方がないねぇ。
そうエフェメラルがけらけらと笑う。
「さ、我々はお暇しますか。」
「そうですね」
『えっもう!?!?』
「向こう側は確かにカランコエが見てくれているけど
一応三人とも地位もあるし、長く外に出ているわけにもね。」
「確かに、エフェメラル様は華樹神の位置にもいますよね?」
「ええ。サポート系には回っていますけどね?」
そう言いつつ、玄関の方に移動する彼女達に、そっとメルは腹をさする
嗚呼、あの時に思っていたことが、現実になってきたのか。
『…コルン』
「なんです?」
『やっぱ私の神様は、コルンだけだったよ。』
「何の話ですか。」
『知りたくば自分の頭で言ったこと思い出すんだね!
はいかえったかえった〜〜〜』
「っちょちょ、押さないで下さい!!!」
そうドアの先に移動させようとするメルに、コルンが嫌がる。
けらけら笑うメルを見つつ、エフェメラルはサワアにお辞儀をする。
「すみません、とても不快な思いをさせてしまいましたね。」
「っ頭をお上げください!!」
「全ては私の責任ですので、殴るなりなんなり好きにして下さい。」
「出来るわけがないじゃないですか。」
「…私は臆病者です。私の居る場所の彼に手を伸ばすことを諦めました。」
「…エフェメラル様」
あの人が幸せになれたら、もうそれだけでいい。
その代わり、この愛情をずっと注いであげようと。
笑って嬉しそうにする姿を、見たいようで見たくなくて。
幸せに包まれることを、何よりも恐れた臆病者なのだ。
「貴方の所の彼女がとても羨ましい。」
『…私も貴方が羨ましいよ、エフェメラル。』
「メル…。」
『あんな式見たら本当に本気で手折りそうになったよ。』
何時か、IFを願い思った感情。
大好きな人が、大好きな神様達と幸せに暮らす世界。
その世界に一人取り残された人間と天使の間の子。
間だから、狭間に取り残される。
ただ一つ、あるとすれば。
小さな黄色い、オキザリスのみ。
その想いも、置き去りにして。
そっと綺麗に、消えて亡くす予定だった。
『貴方の様に、何よりも好きな人を
何よりも大事にしながら手放せる程
強い人で、いれたら、どれほどっ』
「…メル。頑張ってくれて、本当にありがとう。」
『っふ、だめ、だよお。』
そう抱きしめられて、涙が止まらなくなる。
諦めちゃ駄目だよと言いたくて。
でも、そう言いたくなくて。
だから、駄目しか言えなくて。
それも知っているのか、うんと言ってくれて。
ひとしきり泣いた後、そっと離れる体温。
手を伸ばしてすぐに、おろして笑う。
『生きてね!!』
「勿論、貴方もね?」
『…うん!!!』
そう言ってサワアの手を繋いで前に出す。
『もう、決めたから。』
此処が私の居場所だって。
そう言い切ったメルに、良しと言ったエフェメラルが
手を振って今度こそドアを開けて、彼らを移動させた。
「またね」
その言葉でドアを閉めて、本当に消えて居なくなった。