使いの者には言えた祝福の言葉
「はにゃ〜〜〜きもち〜〜〜〜」
『それにしてもよく旅館とれたね。』
「くじ引き当たりましたので。」
『変な運使って後で不運起こさないでよ?』
「いや現時点のこの不運をどうすると。」
それはそうである。
あの後、アルトにも事情を説明し、三人結託で内緒の行動を行うことに。
「でもどうするの?向こう側ってもういけないよね?」
『いける』
「メル、貴方」
『いや物理的な問題の話をしているんだよ。
アルト、私が移動してた時どんな感じだった?』
「えっと、こ、こう…消える感じ?」
肉体も気も、存在事が亡くなる感じ。
そういったアルトに、ならとメルがいう。
『この世界に、無いと私は思って向こうに行ってた。』
「この世界に…」
『そう、無い者が向こうにはある、だから向こう側に行けてた。』
今はそんな思う必要性が感じれないからいけないだけ。
逆に言えば、誰かが思えば、いけるということ。
『この三人全員が移動できる可能性が高い。』
「メル、貴方まさか」
『もしも、のこと。』
「この惑星を引き金にして、
元の場所に戻ろうと思っているのですか?」
『幸いなことに文化も何もかもほぼ同じ。
強いていうなら地名が違うのみだよ?
海外の地名は探していないからなんともだけど、
下手したら日本だけが違うのもある。』
ならもしも、道連れで一般人を違う場所に移動したとしても、
ある程度の許容範囲内で記憶を変えるなり、
移動させて神隠しと思わせるなりは出来る。
夢を見せていたとでも思わせれるから、
割といい案ではあると思ったのだ。
『赤本は絶対何が何でも取り戻さないとまずい。』
「本に色々書けちゃうんだもんね。そりゃだめだ。」
「ですが、どうやって探すおつもりです?
その鞄を持っている人も場所も
時間も経過しすぎているのでは?」
『日本人の典型的な考えを思い出したら、
向こう側の世界で行動はたやすい。』
ま、それはともかく。
『この世界ほどの力は出せないのは事実。』
「なるほど、この惑星で、
他の星でもっと技術を磨けということですね。」
『知られないように、星の住人に、最初からいるようにする。』
前に出会った、
『アルトと私のようにね。』
「メル……」
『ま、後からアルトも記憶を思い出したのも誤算だったしな。』
「メルさん!?!?!?」
『そんな話はどうでもいい。問題は』
「力を使わずして、早く本を探すと。」
一応向こう側に行ける理由もいくつかある。
『腕に三つの線が入るはず。』
「みっつ?」
『それが赤くなってて、
一回で向こう側の世界に移動する回数。』
「ということは、行き来は一度までということですね。」
「どうして?」
「此方側から向こうに一度行くので、
二度目は向こうで暫く生活する羽目になります。」
『加えて、向こう側の方が時間の進みが少々早い。』
「…猶更厄介ですね。」
なんというところで落としてしまったんだ。
そう責められても何も文句は言えないのが苦しいところ。
『なんなら日本語です』
「…余計、ちょ、待って下さい。
尚更ではないですか。極まりないですよね?」
『反省してるからこうして巻き込んだ。』
「反省しきってないですよね?」
いやあれは流石に難しいもん。
『だってルトを巻いて、
加えてティーナ様達を巻いたと思ったら
コルン様やらモヒイト様やらサワア様や
コニック様が攻撃するんだよ。
ただでさえ一人でも面倒というのに、四人は無理だって。』
そりゃ物も落とすというものだ。
「ですが、一番有力なのは向こう側なんですよね?」
『もちろん。まぁ、旅は大体三か月に一度くらい
入れさせてもらえそうだしね。』
「なら、旅の道中で見つける間、
力量を把握しなければなりませんね。」
『帰ったらそれを課題として詰めると。』
「うひい勉強ばっか…」
まぁ、こう巻き込んだのも悪いのは私だ
『別に楽しむだけでもいいよ、何なら記憶を消すのだって』
「それはダメです」
『…』
「貴方はただでさえお一人でこの広い宇宙を彷徨った方。
例え神の魂とはいえど、限度がある。
いつ崩壊してもおかしくないのですよ?」
『耐えられる』
「耐えれる耐えれないの話ではありません。
ただでさえ助けを求めない貴方がこうして求めたのです。
それを貴方が無碍にしてどうするのですか。」
それこそ時間を操作してまでして、説得くらいはする。
そう言い切ったカミカゼに、なら面倒かけますと答える。
それにカミカゼはよろしいと話を終わらせた。
「とにかく僕らが出来ることは三つ。」
「みっつ?」
『捜索、修行、そして秘密でしょ。』
「そういうことです。まぁどうせバレている可能性もありますが。」
そういってカミカゼがちらりとみる。
メルも気配がして、何となく見つめた。
じっとみて、少ししてま、ないかと二人で笑う。
「ウイス様達がみてるってこと?」
「ええ」
「あるよね」
「ええあると…アルト!?!?!?」
「え?だって私達の経歴考えてみ?普通に放置で旅出来る?」
『わしはむり』
「メル!?!?」
慌てるカミカゼに、メルは断言した。
『私が上ならしない。ただ周りに口裏合わせると思う。絶対に気付かれたくないもう面倒だもん。』
「それ、気付かれたらもうただの空気を読んでいるだけでは。」
意味のない隠しは秘密ですらないのだ。
「でも、放置してくれてるってことは、してもいいってことでしょ?」
「いやまぁ、ものにもよるとは思いますけれども」
あんまりにも変なことをいうので、最早カミカゼが変な日本語いや会話になっている。
「ってことは、こっちも研究あるのみだよね。」
『ま、そういうことで、お二人とも』
「はい?」「なぁに?」
『日本語、お勉強、頑張ろうね♡』
そういってメルは何処からともなく辞書やらドリルやらを書き出してきた。
その量に二人ともびっくりする。
「め、める、それって」
『え?まずは幼児からの筆記でしょ?そこから小中高の国語。
加えて向こうで長い時間旅をする可能性を含めて、
此処でも私の地理が正しいか照らし合わせつつ、必要最低限の勉強。』
「…メル、前に、学校がなんちゃらって言ってたけど」
この量を、やって?と言ったアルトに、メルはニコリと笑って答える。
『うん!全部頭に入ってるよ』
笑顔で言うのに、いやだぁと言って布団に倒れるアルト。
笑ってメルは大丈夫だって答える。
『内容自体は簡単だし、なんなら卒業した人何人も先生いるよ。』
「え?そんな」
「ま、まさか…お兄様達を?」
『そ。確か数学系とか文学系もいたでしょ。大学も卒業した人からなにからいるし。』
だとしてもだ
「このなんだ、数字みたいなのも!?」
『数学は大事。距離の問題も感覚を神様で吹っ飛ばしちゃってるし。』
「ちなみに、その人間はどれくらいの寿命ですか?」
『大体100年。かなり長生きで、短いとなると色々あるけど、
まぁおじいちゃんおばあちゃんだと80かなぁ。』
「はっ」
「はちじゅ、が、がっこうは、」
『義務で6年の3、3年だから12年。』
「じゅっっ」
アルトそう言ったカミカゼに大丈夫とメルが言う。
『お勉強も修行も、頑張ろうね?』
私も勉強しなおすし。そう言ってメルも似たような教材を探し出してパラパラめくりだす。
『ティーナ様達には旅の途中に日本みたいなところがあったから、
国宝級で守ろうって話の流れで勉強の話を流すから。
赤本が出回っても赤本別名大学の入試問題集だから間違えるでしょ。』
「用意周到ですね…」
『ある程度の知識は叩き込めとかないと、後が誤魔化せない。
それに知能のない神々は最初から必要とされないだろうし。』
生き残るために勉強が必要ならば、それまでだ。
楽しく面白くおかしくやっていく。
「メルはどれが好きだったの?」
『ん?やっぱり理科かなぁ。宇宙一択。』
「ほぉ、人間も宇宙に触れるのですね。」
此処は小さな銀河だけどね。わぁ惑星おんなじ名前そういって笑うメル。
地球を地と読むのか、何故か覚え方まで似ていて笑ってしまった。
『この惑星も人間は宇宙人が居ると思ってる人思っていない人で分かれてる。』
「どうしてわかるの?」
『向こうで見てきた感じが一緒だったから。後神話と、舞空術使ってないのがでかい。』
「気は皆さんどれも小さいですよね。」
この生命に、ドラゴンボールなる願い玉がでてきてみろ。
絶対悪用乱用間違いないのは事実である。
なんなら、華神の花など入れたらもう地獄だ。
もってのほかだ。
『だから此処では華神の言動で命取りになる。』
「なるほど、ならば猶更お勉強ですね。」
「いやだよおおお遊びたいよおおおお」
『あ〜あ、お勉強出来たらコルン様褒めてくれると思うんだけどなぁ。』
そういうと、ぴたりとアルトが止まる。
『あんだけ買ってくれてるんだから、きっと成長した姿見せたら驚くだろうなぁ。』
「…っ、や、やる!」
「おお」
「私だって、出来る天使だもん。」
なら、余計に手を出すというもの。
「ちなみに、人が義務として勉強するその言語はどれ程の種類が?」
『義務教育で習う常用漢字のこと?確か二千文字』
「ぴゃう」
「アルトさん!?!?!」
『あちゃーちなみに漢字って言ったけど、日本語で使う範囲だと
カタカナ、漢字、ひらがな、あとローマ字も入れた基礎は最初にするよ。』
読み書き全部だから、漢字で二千文字以上なので、数倍以上の情報量だ。
それを、早く取得し、なるべく最短で向こう側に行く。
『一応目標は半年。』
「はっ」
『大丈夫、アルトに関してはずっと見てたら慣れる。
問題はカミカゼの方だけど…』
「一応私も加護天使の身、向こう側に行ったことはなくはないです。」
記憶はあやふやですし、この文字は知りませんが。
そういったカミカゼに、じゃあなれると答える。
『これローマ字にして逆読みしたら神様の文字なるからね。』
「かっ!?!?!?」
『基礎の知識叩き込んでからすぐに読めた。』
「…メルが華神として優秀だったという話を
色んな所で聞くけど、割と事実だったのか。」
『多分都佑辺りはすぐに読めてる。』
事実、彼女は数人遅れて読めるようになったと言っているが、
メルの情報的にはずっと早くから読めていたのを目の動きで知っている。
彼女は嘘をつくとき少々目が泳ぐからね。
『もしもと言うときには勉強会開くよ。
いずれにせよ私もするから、道連れ。』
「ひえ、き、きおくけして……」
「ダメですよ。こんな奇跡的な出来事、中々立ち会えないのだから。」
『で、できごとってあんたね……』
「事実でしょ。向こう側にしょっちゅう逃げて急いだのも、
皆さんを巻き込みたくない、助けを求めてはいけないという思考から。」
それを覆して、助けを求めるという行為に走ったのは最早奇跡です。
そういったカミカゼに、メルは頭が痛くなったが、仕方がない。
「とりあえず、明日どうします?」
「ま、こうなったらさらっと遊ぶのは無理」
『いや遊ぶが?』
そういったメルに、数秒考えて、アルトとカミカゼがお互いを見つめた。
「「あそぶ!?!?!?」」
『ね、私どう見えてた?』
前まで。
そんな急な話に、何をとアルトが言う。
『いい子で、けなげで、走り続けた可愛らしい子供だったんじゃないかな。』
哀れだよほんと、そういってメルは胸に手を当てる。
『嘘は方便』
指をひとつ、立てて口に当てる。
『その心ごと、騙せばそれは真実だ。』
「……あ、きれた」
カミカゼは呆れて物が数秒言えなかった。
本当に、彼女と言う存在を、知らなかったというか
知らせるような策を彼女自ら消し去っていたのだ。
「貴方絶対詐欺できますね」
『お、わかる?でも私バカだから多分引っ掛かるほうになる。』
「でしょうね」
『でしょうね?!?!?!』
「貴方は、その手で。子供の手をどうやって取ったのですか。」
純粋な子供を、その願いが叶うと思った子供を。
騙すつもりではなかったとメルは言うのだ。
『最初は何もなかった。無でしかない。』
「メル……」
『でもあの子は、教えてくれた。』
花はとてもきれいなこと。
空はとてもあおいこと。
時間は、とても、残酷なこと。
『一度目を知って味わえば、もうおしまい。』
これは、毒だと察したときは遅かった。
欲しいと思う欲望に、駆られ、そして子供との約束が走り出す。
何処にも存在しない、感情を受け取りに。
「そうして、騙し続けて、痛くならないのですか?」
『痛いよ。痛い。』
「では」
『でもそれで止めるなんてできない。』
それは、都佑も、彼女も同じだっただろう。
だからその手を取ってくれた。
取るどころか、
『私達は出会った瞬間から、全てが始まり終わっていたから。』
「…そんなこと、」
『自分を守る盾を何度も作り続ける。私達がこれから行く場所は、神よりも愚かで外道な世界。』
でもそれ以上に
『残酷なほどに、胸が苦しくなるほどの、愛に満ち溢れた世界であるんだよ。』
「どっぷり浸かってますね。」
『ええ、そりゃあ息を忘れるほどに。』
「…じゃあ教えて下さい。」
貴方が
「そこから更に進める場所を。」
『……え?』
「そこで蹲り堕ちる人ではないでしょう?
そうやって誤魔化して本当を忘れる程に一心不乱に走り続けた。
そんな貴方を、私達はフォローするのです。」
貴方が言った、カクテルのような存在に。
「どうか僕に、救わせて下さい。」
貴方のその、嘘を。
『っ…ふふふ』
「ええ、今笑うところです?」
折角決めたのにそう言って布団に倒れるカミカゼ
本当はアルト達と別れて部屋を取る予定だっただろうに。
一緒に寝てくれるところ、本当に嗚呼もう。
『いいなぁ』
この時間が。
そういってメルは勉強道具をアルトの杖に仕舞わせて、布団の中に入った。