輝きを失ってもなお永遠だから
二日目
メルは早くに目覚め、空を見つめる。
「おはよう」
『おはよ』
「えらく早いお目覚めですね?」
『そんな君だって。何眠れなかった?』
「あんなことあって図太く寝れるのはうちの天使だけですよ。」
『っふふ、絶対怒るって。』
怒らせればいいじゃないですか、ええー?
そう笑ってメルは隣に来て立つ彼にいいでしょと聞く。
「なにがです?」
『朝の空。どうしてこんな色してると思う?』
「おや、勉強していない人に圧ですか?」
『してないからこそ教えるんだよ。』
メルは前を向いてずっと眺める。
空は暗い色から明るく水色を染めていたのを忘れたのか
赤く広がる光に、カミカゼがそうですねと答える。
「光が照らされるからでしょうか?」
『半分正解。昼間に比べて大気を通ってくる時間が長くなる。
青い光は散乱し見えなくなるが、散乱しにくい色が残り、強調される。』
「その為赤くみえると?」
『でも、それにとっても面白いものがある。』
そう東の方を見てメルは言うのだ。嗚呼きれいだなぁと。
「何をみているのですか?」
『きんせい』
嗚呼言ってましたねと答えて空を見る。
一番キラキラと輝く星に、何を想うのだろうか。
『ラテン語で光をもたらす者ひいては明けの明星を意味する言葉、ルシフェルがあった。』
「…金星の別名ですか?」
『ルシフェルは神話の人。彼は他を圧倒する光とその気高さから、唯一神に仕えるもっとも高位の天使の名として与えられたんだ。』
「ほお?」
『金星は別名、明けの明星』
そしてその天使はのちにいう。
『(地獄の闇に堕とされる、堕天使の最高指揮官でもあった)』
メルはずっと、金星を見つめていや、睨んでいた。
その光が、何時しか暗闇に堕ちるなんて、そんなことはしない。
させないし、なろうものなら、追いかけて一緒に堕落する覚悟すらある。
「明けの明星ですか、随分とかっこいい言葉ですね。」
『おっわかる?わかっちゃう?』
「ま、あれ程光っていると嫌でも目に入りますね。」
『あれ、私達ルシフェル軍団だった?』
「そのルシフェルとやらはその後どうなったんですか?」
その後、それは
『…神に仕えて、おしまいだよ。』
天使たちの中で最も美しい大天使ルシフェルであったが、
創造主である神に対して謀反を起こし、
自ら堕天使となったと言われている。
堕天使となった理由や経緯については様々な説がある。
その中でも、私はとても好きな話が、言葉があった。
私はキリスト教でも仏教でもなんでもない。
ただ、話を描くのが好きだった。
想像を空想を続ける彼女の姿を見て、創造した。
『それ以降、神は出てこなかった。』
そういってメルはそっと暗がりに入る。
それにカミカゼは言うのだ。
「照らしますよ」
その言葉にメルは目を開いて空を見る。
其処にはカミカゼが立っていた。
見下ろしながら、言うのだ。
「夜が明け、明星が昇っても。」
私は、貴方の心を照らすまで。
この時間を暗やみなどに奪わせはしない。
ならば、照らし続けよう。
輝く灯として、だから見続ければいい。
「僕は君と、歩きますよ。」
『…勝手にしてもいいよ』
そういって不貞腐れ今度こそ消えたメルに、
全くと言って首を横に振って今度はカミカゼが座った。
「堕天使なんて、上手いことを仰るのですから。」
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すぱんとふすまを開けると、
がちゃがちゃ音を鳴らしながらしていたのが止まる。
「ふぉふぁほ」
『……』
すぱんと音を立てて閉じる。
奥で何か音が鳴っているが、気にしない。
ただとんでもない量を一人で食っていた気がする。
それも胡坐かいて。
気になっているが、中々開けれないメル。
突っ立っているのに気になったのか先程会っていたカミカゼが後から来た。
「あれ?入らないんです?」
『……』
「…?開けますよ?」
すっと開けると、またガチャガチャと音が鳴っていたのが止まる。
今度はさっきまでよりも、皿が増えた気がする。主に空白の。
「………」
すぱんと音を立てて閉じ、すっと深呼吸をして笑ってメルに声を掛けた。
「部屋を間違えたようですね、移動しましょうか。」
「まっふぇって!!!!!!!!!!!」
まったく、貴方と言う人は、と説教をする
カミカゼの言葉を聞きながらメルは食事を続ける。
「自分だけでも我慢というものがないのですか。」
「だっていなかったし」
「呼びに行くとかしないんですか。」
「だってすぐ帰ってくるとおもって。」
ああいえばこういう、そうため息を吐くカミカゼに、
アルトは食べていい?と聞くが、まだ食べるのかと驚く。
『も、アルトったらまた口についてる。』
「いや口どころか色々飛び散ってますよ…」
貴方礼儀とか云々の前に我慢とか色々覚えて下さい。
そう破壊神から指導が入るという現状に
ごめんとメルに口を拭かれながら謝るアルト。
「まったくもう、食事のマナーも学ばせないとだめですね。」
「ひえっっ」
『…いや、そのままがいい。』
「え?」
『アルト、普通に一日遊んでた?』
そういってメルは確認がてらアルトに話す。
昨日ソワソワもせずにさらっとしていたが、我慢していたのか聞くのだ。
それに対して、アルトはううんと答えた。
「あれが普通」
『なら猶更そのままがいい。治すな寧ろ存分に暴れ狂って食え。』
「おういえ!!!」
「ちょ、えっ、め、メル?!あなた」
『昨日も言ったけど、嘘は方便。アルトがこういう性格上多分治すってなると、
多分数億年どころの話か、性格ごとひっくり返さないと無理ってか無理。』
「い、いやそこまでは言ってないんですが」
それを無視して食べるアルトもアルトだが…まぁそれどころではない。
『寧ろそれを突くんだよ。アルトお前絶対
お姉ちゃんとかいうなよ?
まぁ言っても無駄だけど。』
「どうして?」
『君は私に似てると周りも言う。
…逆に言えば、嘘をつける子になれれば、化け物になる。』
「……まさか、メル貴方」
『妹としてこの子は使う。アルト、君もう直さなくていいよ。』
「えっ!!それって、方向を間違ったり、
好き嫌いが激しかったり、この人参食べなくても!?!?」
『うーん、方向は間違ってほしくないな。』
あとそれは味しみているから匂いないし食べなさい。
ええと泣くアルトに、メルはしっかり命令する。
「まぁ、一理ありますか。」
『カミカゼはもう少し知を極めてきて欲しい。
出来ればそうだな…悟飯君って知ってる?』
「いえ」
『なら旅が終わった後、
ウイスさんと修行し終わった
悟空って人間に声かけてみ。』
「何故です?」
『彼らは一応記憶をある程度は引き継いでる。
私との交流はないから、
夢物語とでも思ってそうだけどね。』
でも、彼は学者のはずだ。
知識は膨大であるし、
彼の知識を利用まではいかないが、練習にはなる。
『私はもう少し感情の操作を極めとく。』
「それ以上あるんですか……」
『あるだろうし、堕ちないようになんとかしたいしね。』
「…無理だけはダメですよ。」
『もちろん』
あと勉強とかもある程度知ってるだろうし。
下手したら悟飯君の方が分かりやすい可能性まである。
『ウイスさんからイエローカード出そうだけど、
他の宇宙でこういう勉強教えて貰ったんですけど
悟飯さんの星ではこんな勉強ありますか?とかでも言えば食いつく。』
「…随分と知っているんですね?」
『ま、ちょっとした付き合いでね。あの子は頭いいし、物分かりも良い。』
イエローカード出たらそれまでだが。
まぁ別に許されるだろ。神々の情報を漏洩するわけでもないし。
「私は!?」
『アルトは…ま、そのままコルン様にしごかれとけ。』
案外アルトはそのままでいい気がする。
というのもだ、
『向こう側は割とバカいないと騙されない。』
「ばかって…」
『私も割とバカだけど、素がこうだからね。
これ以上手を入れると怪しまれる域まで来ちゃったし。』
「さらっととんでもないこと言いますね。」
『三人なら仲のいい兄弟で動けるし、仕事も割と詰めればいい。
変な話、旅して興味出たからこの惑星でも見ていていいかとか言えばいい。』
なんなら破壊できるかどうかの見極めとかの勉強にもなるだろうし。
『一応今日は歴史系を見て、
午後はアスレチックとか身体動かしに行く。』
「へぇ楽しそう……」
『こっちがどんな文化かも覚えておいて損はない。』
ま
『楽しむもんは楽しむがな。』
「ひああああああああああああ
めーるめるめるめるるまあそぢふあsdf」
『はいはい、カップケーキみたいな回るのから
迷路からジェットコースターから楽しかったね。』
ほらあっち射撃あるからいってこい。
そう送り出すメルに、扱い分かってるなとカミカゼは思っていた。
「ほんと、貴方って上手ですよね。彼女の送り出し。」
『まぁね。それでも楽しいでしょ?』
「ええ、あとこれ滅茶苦茶甘すぎません?」
『チュロス?いいじゃんこういうの。』
そういってメルは秒で食べたアルトとは違い、ゆっくり食べる。
ただ砂糖が散りばめられたその大量の砂はちょっとかじれば下にぼろぼろ落ちるし、口周りに付きやすい。
「いや、僕でもそこまで上手に食べれないんですけど…もしかしてこれもあるんです?」
『これマジある上に名前も同じ。あと味も一緒。』
「えぇ……」
『流石にこれくらいはダメ?』
「ですね。」
ギブですそういったカミカゼに、そのまま持っててとメルは答えた。
「にしても楽しくないです?」
『いんや?チュロスを食べてる私が楽しくないわけがない。』
「嗚呼楽しいんですね…いやくっそ分かりにくいなおい。」
『っふふ、良いじゃん。』
虹色の綿菓子とか見つけて、アルトが目を輝かせたときはまぁ笑った。
そのあと髭を作って遊んで食べ物で遊ぶなとカミカゼに二人して説教食らったが。
『それとも甘いの嫌い?』
「…ま、甘いものは別に嫌いではないですよ。」
『へぇ苦手は?』
「殆ど食べれますがそうですねぇ…ネバネバは食べにくいですね。」
『オクラとか納豆か。』
良いんだけどねあれ。癖強すぎません?大丈夫私食べれてない。
いや貴方好き嫌い多くないです?待って?そう話を咲かせていると、
アルトが戻ってきた。
「ちょ、」
『あーらあらあら』
「おっきなくまさん!」
『しかも×3』
もっと他にないのかと言うメルに、ちらりとカミカゼが見つけ、メルにチュロスを押し付ける。
「食べててもいいので。」
『えっあっちょ!』
ああいってもうた。
何を見つけたのか、話をして銃を持って一発で獲って帰ってくる。
アルトは結構な時間いたのだが…
「はい。」
「なにこれ」
「3人のお土産です。赤青黄色のくまさん。」
好きなのどうぞ。そういったカミカゼに、じゃあとアルトが言う。
「メルどうぞ」
『ええ?!いや、二人とも…』
「…じゃあ、こうしません?僕は青を、メルは赤を、アルトは黄色を。」
そういって手渡すカミカゼ。メルはチュロスを食べ終え、軽くカミカゼが食べていた残りをアルトに食わせる。
ボリボリと、チュロスが言わせる音ではない音が聞こえたが、もうシュレッダーに入れる紙のように消えていったのはシュールだったのは言わない。
「そうして、僕はメルに、
メルはアルトに、アルトは僕にくまさんを渡すんです。」
「嗚呼別にいいよ!」
『これ、あれ、カミカゼ?』
「なんです?」
『…どこでこういうの勉強してくるの。』
「ええ?してませんが…」
『うっわ天然ぐろい。』
「ぐろい!?!?」
そういいながらメルは青いくまを受け取った。
首元には緑色の石が組み込まれている可愛らしいくまに、メルはぼそりと言った。
『いいね』
「うん」
「部屋に飾るものもこうして旅をする度増やしていくのはと思ったんです。」
『人間じみたねぇ〜〜〜〜〜』
「…人間に馴染ませるなら、心からと言ったのはメルでは?」
『ま、そりゃそうだ。』
やるなら徹底的に。
「にしても次どこ行くの?」
『ん〜遊園地面白いの他ないからなあ。』
「では出ますか?」
『うん、植物館隣町にあるっぽいし、移動しよう。』
「舞空術は?」
『だめにきまってんだろ』
そういってメルは歩く。
アルトはくまを抱きかかえていたが、流石にと思って人を避けてから天使の杖にしまい込む。
こうして人込みを避けてからやるようになったのは成長と言ったべきだろう。
「次電車?」
『うん、五里駅に乗ってから、そっから一度
乗り換えで
更にそこから
「メルさんメルさん」
『はいはいなんでしょう。』
「呪文を唱えると、被害者が。」
嗚呼、ああ、ごめん。そういってメルは笑う。
アルトの脳がキャパ越えしたらしい。
『土地勘は私が舵切るわ。』
「では方向感覚は僕が。」
『頼んだ。お互いスマホみよ。』
「ぼくは」
『僕はお姉ちゃんとお兄ちゃんの手を放さない。』
いやあああ僕も役に立ちたいいいいい
そう半泣きで叫ぶアルトに、メルは笑う。
大丈夫だってとメルは言うのだ。
『君は充分役に立ってる。』
それでいいではないかと。
メルは慰めた。