住むには居心地が良すぎてね
第12宇宙
「…貴様、その侮辱死罪ですら償えんぞ!!!」
その声に、アルトはそっと隠れた。
どうやら他の華神が来ていたようだ。
「そうは言っても、お前達がこの神々を放置するからだろう?」
「っ(あれは、破壊神!?!?!?!)」
だが、今までこの世界で破壊神と界王神が生まれる話は聞いていない。
ルトラール様の次になるお方も、確かまだ、天使に近い神官様だったはず。
作られている途中で、産まれる途中で、こんな面倒を。
「そもそも、お前達人間の出来損ないがこうして宇宙を止めている。」
「…なにを」
「そういや聞いたことがあるな?なんでも加護天使とやらでも異質な奴を。」
その言葉に、アルトの身体が妙に冷める感覚があった。
人間ではないのに、もう、人間ではないというのに。
「星を止め、欲望に堕ちた悪魔を。」
「(違う、と言えればどれだけいいか)」
実際自分の欲望に忠実で、動いたのは事実。
それも、彼の記憶を止めるための、言い訳としてだ。
道連れとはこういうことで。
この時間を、償うというのは、そういうことだろう。
そう、アルトは目を開けた。
全ての、道が、つながった気がしたのだ。
がさりと音を立てて現れる
「誰だ!!!」
「…っアルトさん」
「ほぉ?聞いていたか」
「……彼らは関係ありません。関係あるのは私なのでは?」
睨むように彼らを見る。これくらい造作もない。
感情を操作すればいいこと、そう、メルもそういっていた。
もう、遠い記憶にある、誰かわからない残像も。
そういっていたから。
「なら話は早い。お前の上に、封印をはずせと言え。
さもなくば、こいつの花を引き千切る。」
そういって、第1宇宙のリホルトが前に突き出される。
やはり、狙われていたかと思ったアルトはため息交じりに聞く。
「…それをして、何になるのです?」
「なにを、ってこいつがどうなってもいいのか!!!」
「構いません」
そう思ったからはっきり言ってやる。
どうせ、こいつは完璧なのだ。
加護天使は、記憶を忘れる存在達。
私の様に、馬鹿ならそう言ってはやらないが。
話が違うのだ。明らかに。
「っな」
「そのお方は完璧で崇高なる方。
貴方方が侮辱をするならば、
私とて黙ってはいません。」
「っなら」
「が、それはあくまでも、その方を、と言う意味。」
「…は?」
「いいましたよね?私は、構いませんと。」
ちらりと奴の目を見る。
嗚呼、可哀想とはこういう感情をいうのだろうか。
酷く恐れた顔に、笑いが込みあがってくる。
人はこれを、武者震いとでもいうのだろうか?
「私は後悔をしないから構わないのだと!!!」
「っダメだアルト!!!」
杖を手に取り、赤く光らせる。
少々手荒だか、仕方がない。
アルトは力を使い、強制的に敵からリホルトを放す。
普通に規則違反なので、この身体が消えるのも時間の問題。
ならば、そう、いいのだ。もう、いいのだから。
だって、置いていきたい願いは、すでに置いてきたのだから。
リホルトは隙を見つけて彼らを叩きつける。
それに伴い人々が神に攻撃を仕掛け始めた。
何人かの神々が予想以上に強い敵に苦戦する。
「…アルト様!!」
「…へへ、みすった」
「っ馬鹿!!貴方馬鹿でしょう!!!!」
「あは、やっぱ、わかった?」
そうリホルトに肩を掴まれ怒鳴られる。
いやぁ久しぶりに此処まで怒鳴られた。
懐かしいなあと思いながら聞いていると、
本当に、なんでしたんですかと聞かれる。
「私が、ふがいないから」
「違う」
「え?」
「貴方は私が見つけた完璧でこれ以上ない綺麗な子。」
「…なら」
「だから、これは私の罰で、償いなの。」
「っ」
消えていく身体に、違和感を感じた。
嗚呼この違和感を、私は昔も経験した。
涙なんて、もう沢山泣いて、枯れたと思っていたのに。
ぽろぽろと零れ落ちていくのだ。
「っアルトリア、お前」
「わ、私のお名前言える人いるんか。」
「っ馬鹿、本当に、貴方と言う人は。」
「ライラ様、アペトス様、アルト様が…!!」
そう青ざめる彼に、落ち着けとアペトスが落ち着かせに行く。
その間、上からライラが無様だなと声を掛けた。
「そうやって願いに縋り続けるから、こういうことになるのだ。」
「っはは、仰るとおりで」
「…馬鹿は生まれ変わっても馬鹿か。」
「分かってやってるんですよね?」
「…私達は加護天使。華神の進む道を歩み、ついていく者達。」
その末路を、お前は知っているか?
そうして、終われると、本当に思うのか?
その睨む目を見つめて、アルトは何処か誰かに似ているなぁと思っていた。
「…仕方がない。一つだけお前を生かせる方法がある。
だが、少々面倒なうえに、長い間放置し兼ねん話だ。」
「いいです、それでも、それでもそのお方が生きれるならば!!!」
だって、なんにもしていないじゃないか。
そう叫ぶリホルトに、アペトスが声を掛ける。
「彼女は毎日努力を積み重ねた、
例え身内に嫌われようとも、
周りに忌み嫌われようとも!!
そうして願った末路が、
こんな、酷い場所なんですか!!
華神を、加護天使をなんだと!!!」
「ただの、ものだよ。」
そういったのは、アルトだった。
消えかける身体が、
妙にゆっくりだなぁと感じる。
「私達は物でしかない。
そして私はただのガラクタだったもの。
貴方達は選ばれた綺麗な物。
だから加護天使になったら忘れる。」
「…っ、そんな、そんなのっ!!!!」
「大丈夫願いも希望も全て、忘れて考えなくなる。
そんな憂いも、考えなくてい」
「貴方は!!!貴方はそれでいいんですか!!!!」
努力しても、淘汰されても。
それでも、それでも?
それでもなんて、嗚呼、
何をおかしいことを彼は言うのだろうか。
「大丈夫もなにも、最初から組み込まれただけ。
それ以上も以下も何もないそれこそが全てだよ。」
「………っ」
「消滅こそが救済措置、だってもう考えなくていい。」
だぁれも、私を知らなくなる。
迷惑なんて、もう、かけなくなるでしょう?
笑う彼女に、嗚呼決めたと彼が答えた。
「え?」
「ダメですね、決めました。貴方をこの星に閉じ込めます。」
「え??」
「その様子では寧ろ消滅させた方が地獄です。天国は此方ですよ。」
「お兄さん言っている意味違いません!?!??!?!
さっき言ってたことと真逆なんですがね!?!?!?!?」
私はだな、救いは消滅と言っただろう。
天国は消滅なんだよ。おいやめろ。
そう叫ぶアルトに、消滅が早まりますよと言われるが、
こう消え続ける状態で止めれるならやれるならやってみろって話だ。
「少々特殊な呪術を知りましてね。
正直私もこれを使うのは初めてな上に、
とあるお方にもご協力をお願いせねばならなかったので、
些か実行に躊躇していたのですが、
貴方を見て決めました。そうですしましょう。」
「なんでそうなんの!?!?あんた馬鹿か!?!??!」
「貴方のその顔、数億年以上みたくないですし。」
「なら消滅させた方がいいのでは!?!??!」
というかそうですしましょうじゃないのよ。
そうだ京都に行こうみたいにいうな。
さらっと今日のご飯はこれねみたいに
安直に決める行為では絶対ないよね?!?!?!?
「ま、許可は元々取っていますし、
少々時期が早くなっただけになりますが。
仕方がないですね、貴方の措置も関係します。
事後報告は正直したことないですが、どうしたらいいです?」
「反省文とか後ですること聞く話じゃない規模ですよね!?!?!?」
というか、こんなことをすれば、
ただでは済まないのは私だけではない。
というか寧ろこの子達全員が被る話だ。
青ざめる私に、大丈夫ですと微笑まれる。
「馬鹿な貴方は考えなくて。」
それは、私を気付かせないようにと言う言わば措置だ。
優しさにも感じられたアルトに、嗚呼時間ですねと答えられた。
なんとしてでも、気付かせないようにしようとする。
それは私が、そういう感情に鋭いから。
そして鋭い私を、何処か遠くに行かないように留めたいから。
だから、彼らは適当に言って、近くに寄せないようにしていた。
傍に居続ければ、私に罪が被ることは目に見えていたから。
まぁもう、そんなことは遅いのに。
それでも、助けようとするのだから。
ああほんと、憐れとはいったいどっちを言うのだろうか?
杖が黄金色に輝く光と共に目を閉じた。
こうして、私がこの星で封印された意味を、知った。
そうして、目覚めるのだろう。
あの子と旅をする、その手前に。
そして、歩くのだろう。
その地獄を、共に。
再会して。
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「…っ」
「カミカゼ様!!!」
「…コルン様」
「気を失ってから10分です。」
これは、そういったアルトの状態は、ほぼ仮死状態だった。
黒い鎖に身を纏い、唸る彼女に、フェルを守ろうと
コルンが近づかせない様杖で止めていた。
「…馬鹿だな」
「は?」
「はぁ……そうだなぁ、こればっかりは、困ったな。」
頭を掻いて髪紐をほどくカミカゼに
もう方法がないのですか?とウイスが聞く。
「いえ、なくはないですが」
「おや、ならどうしてそれをしないのですか?
もしかして目覚めのキッス、とかです?」
「ウイス、貴方こういうときに何を」
「………え?嘘ほんと?」
「っ、他にも方法はありますよ!?!?!」
そう顔を赤らめたカミカゼに、
へぇとウイスとフェルがにやにやして此方を見る。
コルンは些かいたたまれないのか、
目を閉じて時間が過ぎるのを待っているようにも見えた。
「ならとっととしちゃいなよ!」
「いや、それが」
「出来るわけないでしょう、だって前科ありますし。」
「ちょ」
「ルトラール様!?!?!」
ごきげんよう。少々久しぶりの気を察知したもので。
そういったルトラールに、ハシュクロード達華神や加護天使が膝をつく。
「こちらは?」
「先程加護天使の話をしてなったと聞きまして。」
「ほぉ、ちなみにどのような?」
「えと…か、華神って加護天使になるんだってって話で。」
「………なるほど、それは痛いところを突かれましたね。」
貴方と言うお人も、悪いですね。
そうニコリと微笑みながらカミカゼを見つめるルトラールに
絶対見ない方向を見て汗をかいている。
「ま、これは意図的でもありませんし、発作ということですし。」
「え」
「時期に目覚めますよ。」
灰色になる彼女の姿を、見続けろと思ったが、
彼の言う通り、んと声が聞こえる。
「っアルト!!!」
「ほら、前にも貴方は言っていたでしょう?」
「え?」
貴方は強いと
「っそれを、どこで」
「ふふ、気前のいい老人に。」
「っあの、いやそれどころじゃない」
アルト、そういうカミカゼに、はらりと違和感を感じた。
「…おや、これはこれは、少々いけませんね。」
「っ、や、アルト、アルト!!」
足元が消えて無くなるのに、
消滅かと声を出したのは第8の加護天使ラシルだった。
「ダイブした所で消滅対象に入ったのでしょう。
時期に消滅しますよ。私達の記憶からも、全て。」
「っそんな…」
『やっっべぇ話を聞きつけまして。やってきました見てきました。』
「っメル様!?!?!?!」
いやぁ本当にえげつねぇことしてんなおまえ。
なにしとんの?馬鹿なの?ねぇ馬鹿なの?死ぬの?
消滅すんの?そう煽りに煽りを重ねるメル。
急に現れたことに一同驚く
『んにゃ〜〜こればっかりはアルトが望まないといかんしな。
此方からの手出しはこっちの時間軸を大きく狂わせる。』
「じゃあこのまま放置しろって!?!?」
「…いや、彼女は強い。」
『ふふ、そうだね。』
そう言ったカミカゼに、メルも笑って彼女の隣に座る。
白い花畑を作り出し、メルはじゃあとみんなに言う。
『皆散るよ〜ほらほら〜〜〜』
「えっ!?!?えっでも」
『大丈夫記憶が消える時は皆同じだし』
「もう少しいさせてよ!!!!」
『っははは、大丈夫だって、ほらコルン様連れてってください。』
「いやですが」
『いいから、ほらウイス様達もいったいった。』
「…わかりました」
ウイス!?!??そういう声が聞こえるが、
ウイスは言う通りにした方がよろしいかとと答える。
「メル様がこう仰るときは、大体決まってそうなるのです。」
『なんか私とんでもないこといってる?』
「ですが本当に行っても構わないのでしょう?
寧ろ邪魔だから散れと言った方がいいべきでは?」
『いやそうなんだが、それをゆるくだなもっとな?』
そう言わないようにだな????
メルは顎に手を置いて首を傾げる。
嬉しそうにウイスは笑った後、周りの者は散る。
其処には、綺麗な青い空と、白い花畑しか残らない。
「起きて下さい、アルト…いえ、」
そうじゃないですよね。
そういって、息を吸って言うのだ。
「アルトリア」
貴方を、好いています。