すきになりたくないだけです




「…髪の毛、それも目も、」
「戻ってきた感じですね、ねぇ?そう思いません?」

カミカゼ、そう言ったアルトに、
コルンはもしやと思ったが、
彼の顔も髪型も変わらなかった。

ただ、その振る舞いは少々違ったものだった。


「はぁ……こうそう急に化けの皮を自ら剥がしてどうするんですか。
貴方は馬鹿なんですか?いや馬鹿な訳ないですよね?
馬鹿を演じてしまって慣れてしまった馬鹿ですよねぇ?ええそうですよね?」
「あの〜〜?お兄さん?それ馬鹿って言うんですよ?
ねぇ???お前ふざけんなよ?やんのかごら?」
「上等じゃやってやろうか???」
「っおっほん。」

そう咳き込むとすっとキャラが変わる。
その代わり姿に、此方も引くところがあるというのに。


「では、アルトリアさん、とお呼びしても?」
「…ええ、構いませんよ。コルン様で、あれば。」
「(ということは、他の者に告げ口をするな、ということ)」

恐らくフェルやリキールでも難しいのだろう。
承知するしかない、此処はすでに彼女の支配下。
余程警戒されている様で、人を見る目があるというもの。

爪が甘いと何度説教垂れたことか。
だが、本当に詰めが甘いことはこっちだろう。

「ほんとうに、お人が悪いですね。
これほどの威力を隠して、私の手解きなど」
「いやいや、技術は確かに、
貴方の方が圧倒的に上です。
あのルトラール様からの手解きも受けたのですから。」
「……なるほど、そういうことですか。」


だから、避けたのか。
選ばれた、者達を。


「メル様が来た時、貴方殺そうとしてたでしょう。」



芽を摘むんで、その場を無かったことにさせる。
そうして、自分だけが、罪を被る。


それは、犠牲になるというものを、越えた何かだ。


「…さぁ?」
「はぁ…全く、とんでもない献身的な犠牲ですね。」
「それが私、である理由なので。」
「…御冗談を。」

もしそれが、そんなことが、理由で華神になったというならば。
それは最初から、そう望んでいたということは。

「貴方は、自ら生贄になると言っているようなものですよ?」
「それで、彼らが笑ってくれるならば。」

私はどんなことだって、成し遂げよう。
そう言い切った彼女の目は、確かなものだった。

「…その犠牲に立った貴方が、
どうしてその星に足を踏み入れては
いけないというのですか?」
「………あっ」
「寧ろ誇られるべき存在でしょう。
あの星々がなければ、周りの宇宙もなかった。
それはつまり、この世界に生きている者達
全てが、存在していないに等しいこと。」


そう、貴方は、守ったのだ。


「私達を遥か昔から、守り続けてくれたのです。
その重荷を、早く下して下さいと言っているのです。」
「……やっぱり第8嫌い。」
「っくく、貴方もですか。」
「え?誰か言ってました?」


ー〜〜っ!もう!第8ほんと嫌い!!!


「…ええ、それはそれは、貴方によく似た、人が。」
「へぇ…それは、とっても、素敵な人なんでしょうね。」
「…ほんと、人が悪いですね。」
「似ているでしょう?」


ほんと、最初から生まれた、ひとだから。


「…分かっているなら早く行って差し上げなさい。
長い間待ち続けてられていますから。
あとその髪をなんとかなさい。誰にも知られないなら。」
「はぁい」

そういって指を鳴らし元の形へと戻す。
本当に、彼女たちの底がしれない。

いや、そう思わせてきた、自分達の暗示が恐ろしい。
彼女達の、本当を知った時、いや、そうしなくても信じる。


「(あの子は、そういう子なのだろうから)」
「…コルン様、つかぬ事をお聞きしますが」
「なんです?」
「アルトのこと好きですよね?」
「ブーーーーーーーーーーー」

紅茶をふいてもぉと言うカミカゼに
お前のせいだろうがと言いたいのを
堪えた自分をほめたたえたい。

まぁ変に作らせた奴のせいで
ないはずの器官に入って咽ただけだ。

主に、何処かの誰かさんお師匠さんなのだが。


「っな、なにを」
「貴方がもし、今後彼女を欲しいというなら」

僕も、容赦しませんので。

「…それは、喧嘩を買っても?」
「僕の本気で貴方が勝てば、
あの子を渡してもと言うのです。」
「先程とは違いますね?物の様に彼女を言う。」
「あの子は純粋なのです。白よりも透明に近いナニカ。」


それを、誰かに染め上げられ、朽ちていくなら
容赦はしないという、警告でしかないのだ。


「…肝に銘じておきます。」
「そうしてくれると助かります。僕も彼女が好きなので。」
「ええそうで……ん?」
「僕らは確かにメルが好きですが、
それはあくまでも信仰に近いナニカ。」

けど、彼女へのベクトルはまた違うのだ。


「はっきり言えばいいですか?こういうんですよ。
…お前の様な天使が、あのお方を導く権利などないとね。」
「おやおや、威勢のいいことですね?
第7の低俗に当てられ過ぎました?
…冗談は程々になさい、彼女がどれ程求めているのか。」

貴方は知る由もない。

そう睨み付けたコルンに、おお怖いと答え引く。

「分かっているならいいんですよ。分かっているなら、ね。」
「…なにやら嫌味ですね。」
「貴方の元になった神が言うんですよ。もっと深く、優しくしてねと。」

そうでもしないと、花ではないあの子は、淘汰されてしまう。

唯一、数多の中でも強く生き残ったガラクタなのだから。



「…言われずとも、そうしていますよ。」
「へぇ、そうみえませんけど。」
「…なんです?」
「いいえ、なら貴方に少々あげますか。」


僕はある程度貰えましたし。
そういって席を立つカミカゼ。
どうやら今日は此処で帰るらしい。


「ではまた、いつか」
「ええ」


そういって消えたカミカゼだが、コルンは妙に胸騒ぎがした。
気のせいだと、言い聞かせた自分だが、その胸騒ぎが当たっていたのだ。



ふわりと、彼は暫く姿を消して、いなくなったのだから。







+++++++++++++





「それにしても意外ですね」
『何がです?』
「メル様が自ら外に出られると言うことですよ。
話を聞くに、フェル様曰くそのようなことは
天変地異が起きようが在り得ないはずだと。」



とある日、アルトに言われて、
コルンは第8へとメルを迎えに来ていた。



本来はアルトが行くべきはずなのだが、
予想以上にフェルが過保護になっており、
仕方がなく彼女からアポを取って
現在はその当日、第8へと移動している最中だった。

移動中コルンと二人きりの為
全く話さないという訳にもいかない。
コルンからの問いにメルは確かにと笑って答える。

『私臆病だし、自分から未知の開拓しない方ですから。』
「そうなのですね。私からしてみれば、
メルトリア様、いえ、フィズですか?
その時からすれば、結構外に出る方だと思っていましたが。」
『そりゃそうですよ、あの子達はあくまでも物です。』
「…はい?」




『生贄の存在なのだから、
私と性格が違っても当然では?』



そう言ったメルに、
とんでもない話を聞いて目を丸くした。



「え?あの……すみません、華神として
華を咲かせ、12の時間を生き抜いた、
あのエフェメラル様で、間違いないですよね?」
『ええそうですよ。あっています。』
「いや、貴方物って、」
『アレは性質上、相手の肉体に入った魂との融合です。
いわば食っては太るみたいな感じですよ。』
「そんな食べれば餌になる家畜同然のように……」


まぁでも仕方がないちゃ、仕方がない話だ。
ルメリアを蘇生するということは、それ相応のこと。


「それにしても、メル様はあの
メルトリア様の時期を、
ちゃんとこなしたのですよね?」
『ええ、それがなにか?』
「……あの、ルトラール様の傍で?
6つの宇宙をですよ?」
『ええ、メルトリアと強力して、私がやった。』


「…あの話が見えないんですが。」
『私達記憶の回廊はルメリア様の魂を
復活させるために出来た人間の時間が
続いているってことは分かる?』
「ええ、存じ上げています。」
『その中で、メルという言葉が入っている子は?』
「………まさか、メルと名乗れば貴方が?」
『ええ勿論。私が記憶を力を振るって
その子を守っていたの。』

元々守っていたが、肉体を経ての守りは無い。

あるとしたら2回目のメルトリア
そして7回目のミルなのにメルと言ったこと。
あとは11回目辺りからだ。

余談ではあるが、
12回目のリナである時間は例外。
あれは満ち満ちたものが溢れたのが原因であるのと
アルトが元原初の華神だったというのが例外中の例外だから。

華神の生まれ変わりなれば、
それに作用されて出てくるのは仕方がない。
共鳴反応というものが近いというか、正しいだろう。

ちなみにフィズが移動しているのは
メルトリアとして認識したから。
これがメレトリアとか少々
別の名前であればメルは反応しない。


勿論、これもアルトのような、
原初が近くに居れば話が変わるが。
居てもルトラールくらいで、
彼は色々あって眠りについていたペナルティメンバー。

対象外なので、誤差の範囲でフィズとしては
動けていたのが、強いていうなら奇跡中の奇跡だ。


『だから記憶に何処か残っているのに
思い出せない。という感情に苛まれたのは
私の名前が、強いてはルメリア様の力が
直通したから。』

「成る程…そういうことだったのですね。」

『未知の開拓しないっていうのは私の方。
メルトリアはどっちかっていうと、
割と縦横無尽に走るタイプだと
思ってはいるんだけれども……』
「多分、それで合っているかと。」

此間第3の者が呆れて困り果てていたのを
噂で耳にしましたので。

うわぁ大変そぉ〜〜
あの子結構言い出したら聞かないのよね。
そりゃあもう、困ったことが起きても聞かないから。

そう言ったコルンに早速かとメルは苦笑いを零す。

『それにしても、あれからフェルは元気?』
「ええ、リキール様と一緒に居られますよ。
正直、一時はどうなるかと思いましたが…」


何とか気を取り戻し、
彼女も生きれるようになったところだ。
全く、貴方方は本当にトラウマを作るのが得意だ。

『だってその話11の、メリアの時間軸でしょ?
ありゃ仕方がないって、
無理矢理抉じ開けて開花させたんだもん。』
「だからといって、魔女になって庇って死にますか!!」
『あはは、ま、他の方法とかも考えたよ。』


早めに、華樹神になるとかね。
そういって話す彼女の方をちらりとみた。
すこし、寂しそうに思いふけり話をする。


『でも、それはダメで、そんなこと
私は愚か、あの子は許さない。』
「あの子…最初の子ですか?」
『ええ、あの子はとても、優しい子だから。』


私の願いをも、ひっくるめて手を取ってくれた。
どんな時間でも、どんな場所でも、あの子を求める。
それ程までに、あの子は掛け替えのない存在。


『替えの利かない、人間の神様なのだから。』


「…そうでしょうね。
花ではなく、雑草を咲かせたのでしょうから。」
『…コルン様?』
「あの子も彼女と同じ様に、生贄になろうとしたのでしょう。」

貴方を、守るために。

そういったコルンに、メルは目を丸めて顔を覗く。
コルンからしたら上を見上げるそのメルの目は、透き通った金色で。
じっと見つめても移動できなければ話にならない。

コルンはすっと前を向いた。


「花ではない者達は栄養にならない。
ならば栄養と同等かそれ以上の
犠牲を払わなければいけなくなる。」
『………まさかアルトが言った?』
「いえ、答え合わせに近かったですよ。」
『あちゃーはめられちゃったか。』
「まぁ確証はありませんでしたが」
『おっと現在進行形だったか。』


やらかしたなというメルに、クスリとコルンは笑った。


「すみません、アルトといい貴方といい、妙に似ていますので。」
『そりゃああの子は始まりの子でしょう?似るのは当然でしょ。』
「……本当に、双子だったりしません?いやこの場合は三つ子か。」
『なに馬鹿なこと言ってるんですか。
貴方ともあろう方が見間違えます?』

魂の本質的に違うでしょ。
いやそうなんですが、


『それよりもさ、フェルの方ですよ。
もうフェル可哀想過ぎたから心配で心配で心配で』
「くすっ、そう心配されてフェル様は愛されておりますね。」
『そう?』
「ええ。」

そりゃあそうでしょうと言ったコルンと目が合う。
オールバックの髪型が決まっているのに目が少しいくが。

「ルメリア様のお力の影響下が一番低い上に、
リキール様との合瀬を邪魔してしまわれたのではと
お考えではないのでしょうか。」
『…………はわ!何故お分かりに!!!』
「っくく、やはりそうでしたか。ならば答えは簡単です。」
『あっまた答え合わせになっ…え?』
「其処まで心配されずとも良いと言うことですよ。」



ほらつきましたよ。



そう言って降り立つのは破壊神の惑星だ。


ビルス様の処に似ているようなないようなと
周りをきょろきょろしていると
遠くから声が聞こえる。

「メル!?メルなの!!」
『あ!ふぇっぶ』
「きゃ〜〜〜!メル〜〜!
会いに来てくれたのね〜〜〜!!!!」
「メルだああああああああああ」
「ちょこら」
「おい…」

そう辿り着いた矢先、フェルが抱き着いてきたと思い、
メルは何とかこらえたが、更に飛んでアルトが来たことで
地面に落ち、更にハシュクロードまで来たところで
コルンは目を閉じてため息を吐いた。

横で女性陣がきゃっきゃと笑っている間、
前から来た主に話をする。


「お前達、揃いもそろって失礼だろ……」
「リキール様の仰る通りです。
皆さんメル様が押しつぶされてしまいますよ。」
「そうだよただでさえ太らないんだから!!」
『お前絶対喧嘩売ってるだろ。』

アルトにバレた?と言われて軽く叩きあいを始める。
可愛らしい戯れになるが、現在二人ともレベルでいうと
軽くウイスと本気で戦えるレベルなので、
風が巻き起こる程度に見えても、
通常の人間は軽く消し飛んでいる威力だ。

流石にやめろと言ったコルンで止めるが、
にしてもと話がハシュクロードから聞こえて
本当に身体を止めて向く。




「よく来れたな?お前忙しいのと此間の事件で無理だったろ。」
『一応、アルトが各星々の封印を解除したいって話で
無理通した時はどうなるかと思ったけどね。』


流石の大神官も少々考え込んだくらいだ
というのも、あの規模を一度に解放すれば、
ある程度の星々が耐えられる量ではないのも明白。

現実的なものではないが、暫くは神々の人間のみが移動し、
ある程度の威力を抑えられるようになったら解放
という手筈、という名の、視察として、
今回メルはこうして第8へとやってきたのだ。

そうでもなければ現在各華神達は
管轄外の宇宙出入り禁止である。
まぁ、勿論、アルトの件のように例外はある。
そういうのがなければ、の話だ。


『ま、大神官様の許可も降りましたし、一応』
「はぁ可愛い本当に夢で見てはいたけれども
いやこんなに可愛らしいとは思っていなかったわ。」
『…ところでこいつどうにかなりません?』
「……すまん、一応、言い聞かせたはずなんだが。」

そう言ってフェルが抱きしめてくるのに
メルが痛い痛いと半泣き状態で話す。

コホンと言ったコルンの声にフェルが止まる。

「フェル様、メル様が困ってらっしゃいます。
お戯れはその程度にした方がよろしいかと。」
「あら、ごめんなさい。」
『いや、元気そうで良かった…
フェルには悪い事しちゃったものだし。』
「…いいのよ、寧ろ貴方があの時
居てくれて本当に心強かった。」

フェルの言葉に、メルは首を傾げる。

「私魔女で森の中に隔離されていた
みたいだったじゃない?」
『ああでもあれは…私の』


なんならルメリアの力がとても強いと思う。


「いいえ、それでも私一人なら耐えきれなかった。
その間ずっと貴方は夢で私とお話をしてくれたの。」
『え?でも貴方の時は確かに
ルメリア様とは断絶出来てたはず…』
「ルメリア様だけでしょ?
それを見てくれていたのは紛れもない貴方よ。」

確かに、とても心配で不安で、
夢の中で良く彼女を励ましていたはいた。

大丈夫だよ、一人じゃないよ。きっと報われる。

そう言い聞かせていたのはいたが。

「私あれが無ければ今頃
リキール様を救う事も出来なかった」
『いや流石にそれはいい過ぎでは…』
「…いや、それはない。」
『リキール様!』

そうフェルの後ろから話を持ち出したのはリキールだ。

「君が彼女を助けていなければ、
今頃俺は破壊神になることもなく
野垂れ死んでいた。」
「なんならアルトさんがこうして
保護していなければ私達もただでは済まなかった。」
「フェル様…リキール様も…」
『いやアルトはそうだとしても、
私が言われる筋合いはないのでは?』
「現にあの時彼女に助けて貰わなければ
割と冗談抜きで不味かったからな。」

そう思えば、君が俺を助けてくれたということだ。
そう言ってリキールが改めてとお辞儀をした。

「その節は大変世話になった。礼をする。」
『いやいやいやいやいやいやいや!!!!
とんでもないです、頭をお上げ下さい!!』
「いいや、君に助けて貰えなければ
こうして彼女と出会うこともなかった。」

破壊神として力を持つこともね。
そう言ったリキールがコルンに目を向ける。
それに対して勿論とコルンは答える。

「私としましても、
リキール様を見つけたのは
その事件があったからこそです。」
『えっ』
「そうなの?」

「ええ、とてつもないエネルギーを感じましてね。
宇宙まるごと破壊しそうだったので
これはいけないと思いまして、
まぁそのついでにスカウトと。」
「君がいない世界に居ても、無意味だと思ったからね。」

だから破壊しようとした。

そう言ったリキールに
メルは目を丸くして固まっていた。




そうか、私はずっと。
彼女達と、ずっと。




『っくく、そっ、か』
「ん?どうした?
何かおかしいことでもいったか?」
『いいや、なんでもないです!』



誰かの傍で誰かを助けて、
そして助けた誰かが生きて居るのだ。


こうして、また出会うことに。



なると知らなくても。




助けた者同士が、仲良く暮らしている。
それが、私の一番の幸せでもある。
此処に、願い全てが詰まり切っている。




それが分かって、とても嬉しいのだ。




『ああそうだ、旅をしに来たんですけど』
「いや随分と唐突だね…」
『目的が調理器具でして。』
「ん?」
「調理器具?」

経過観察というか調査では?
そういったコルンに表向きはとメルは話をする。

『内情はですね、薬剤系のお鍋やらがなくて。
検査やらするにはあそこの惑星で獲れた繊維と
金属を加工した調理器具が一番なんですよ。』
「ほぉ、そうなのか?」
「まぁ…私が生きていた頃は彼女もいましたし、
一応事実ではあると思いますが……」


それにしても、それ用の、とは
どれ程の量を作ろうとしているのか。
フェルとしては、
そっちの方が知りたい話ではあるのだが…


「何か欲しい料理でもあるのですか?」
『種はあるんだけどね〜
調理器具一切持ってなくて。』
「「「だあああああっ」」」

前の、華神として仕事をしていたのも含めて
保管していたメモ帳やら種を一式戻せる状態。
そこに加えて新居に調理器具から
何から欲しくもなる。



だって暇なんだもの。
いや暇ではないけども。



「っおい!それ絶対もっと前に気付くべきだろ!!」
「いやそもそも!なんでそんなことで此処に来るんですか!!」
『まぁ気付いても身体も変われば中身も成長しますし。』
「まぁ私の次って確か第九宇宙だったよね?」
『それも一度出たら神様ですら戻せない
締め出し喰らうっていうね。』

ま、本来であればその惑星も廃れて消えるはずだが、
アルトのおかげで現在生きている。

加えて視察も予定しているが、
エル曰く暫く保留とのこと。


あの星は確かに出入りがかなり難しいところだ。
結構無理難題をしたらいけなくもないことを、
実はこの宇宙全員誰もが知らない話である。



『メルトリアとして生きて居た生存時期と
11と12番目である私のメモが
何とか功を奏してですね。
今丁度荷物を移動しようかと思ってて。』
「嗚呼それならコレ使って。」
「それはなんだ?」

そう言って深緑色と白の手提げ鞄を取り出す。
深緑色と白の至ってシンプルな色で
中央には四角い形の金属が可愛らしく付けられている。

「これ昔私が使ってた四次元鞄!見た目もお洒落だし
中身は自分で整理出来るように区分けも自在!」
『う〜〜〜〜わ!凄いこれ凄い!!』
「薬草とかアイテムを
一度に移動するのが面倒だったから
おばあちゃんの本を見て
見様見真似で作れるようになってたの。」
『えっこれ本当に貰って良いの!?』
「勿論!寧ろ作ったのに貰って貰わないと困るわ。」

そう寂しそうに言う彼女に
それでは有難くと貰う。

合皮なのは勿論、
金色の糸で縁を縫われており
ショルダーベルトの金属部分を外せば
小さな鞄としても変わる。
ハンドバッグだけでなくショルダーとしても有能。

『ほんとにありがとう…』
「そういえば前に渡した四次元鞄紛失したんだっけ?」
『そうなの…』
「……まぁ、あの時は仕方がないでしょうし。」

なにせ現在真横にその
追いかけられていた本人が居るくらいだ。
言いにくいったらありゃしない。

「ただこのサイズの物しか入らないから
調理器具は流石に難しいと思うけど…」
『あっ其処は写真撮ったりとかしようと思ってて。』

長い時があるならばお絵描きもしてみたい。
創造の良い所はスケッチブックとか大量に出せるところだ。
いや本当に良い所に来た気がする。

おらわくわくすっぞ!

そう違う意味でワクワクしていたメルに
ニコニコとフェルはご満悦で。
それを見て、そっとコルンは
リキールの元に寄り声を掛けた。

「…良かったですね?
放置されていたのが、嫌われていないことで。」
「うるさい!!」
「それにしても可愛らしいですね?
恩人に見つからないようにと裏でコソコソ作って。」
「…お前絶対気付いてただろ。」
「くくくく、なんのことですかね?」


ルトラールに似たのか、はぐらかすコルンに
内心嫌われて居なくて安堵していたリキールだった。