きっと来年もおなじこと言う
「そう言えばこれからどうするの?」
『ひとまずカメラも欲しいなと。』
「それなら第三宇宙に行ってみたらどうです?」
『え?どうしてですか?』
急に声を掛けたのはラシルだった。
そう首を傾げたメルに、コルンやリキールも話を聞く。
「ほら、リコット様の方で出来るではないですか。」
「創造で出させるつもりか?」
「…リキール様?」
「いえ、別です。」
「あっ!!!分かった、惑星スピリアルでしょ!?
あのどの宇宙も勝てない優秀者しか生まれない
超貴重価値しかない別名黄金の星!!」
なんだその異名は。
「本当に優秀で、産まれた時から言語喋るの。
もうノーベル賞待ったなし過ぎて、凄いのよ。
知能も全員優秀なので、ストレスもほぼない。」
「そんな惑星で、カメラを作らせるのですか?」
「メル様が必要なのは映像を留めるまるでそう、
絵画の額縁のような、カメラが欲しいのでしょう?」
それは、その場所に、入れるような。
そういったラシルに、頭を抱えたメルが起き上がって言う。
『はぁ……正解、よくわかったね?』
「長い付き合い、とでもいうべきですか?」
『…………えっ???????』
「っくく、華樹神が変わられる時。」
我々とて、長生きはしていません。
そうちらつく、紫色の髪の毛に、
ばっとメルが飛び上がる。
おっと、といって軽くのけぞるが、
本当に驚くことをしてくれると思う。
メルも話を聞いてはいたが、
加護天使が本来の華神の時の
色を落とすのは二つの意味がある。
一つは、人として生きれないという意味。
もう一つは、願いが叶ったという証拠での意味だ。
その髪色が戻るということはすなわち、
人間へと華神へと戻るということ。
それこそ、華神と加護天使の中でも
禁忌中の禁忌とされる行為だ。
これがどれ程やばいかというとですね、
天使が戦闘行為をするレベルです。
もう抹消まったなしなんですよ。
まぁ、華樹神が変わる時なので、
恐らく無視してもいい頃合いではあるんですが。
「ですが何故リコットさんなのです?」
『あ〜〜〜分かった。』
そう指を鳴らして答える。
『アレだ、仮想現実世界の人間だからか。』
「そういうことです。」
「かそう、なんだそれは」
「…仮想現実、通称華神の生きる世界。」
元々、華神はこの世界の生まれではないの。
そういったハシュクロードに、フェルが驚き声を上げた。
「えっ!?!?あっ!?!?!?」
「でもフェル様達はこの世界の人間では?」
『其処が、異例なんだよ。』
ま、正直異例ではない。
『(始まりが、向こう側ですらない、
人間の生きていた場所からなのだから)』
別世界から取り寄せたと言えば、
おつりがきてもおかしいくない程の場所だ。
そこから、あんな子を、落としてきたのだ。
この世界の人間何人分の力になるというのだろうか。
『いや、にしてもフェルよくわかったね?』
「え?」
『いやさ、ティーナ様達もだけど、
第3って言うとカルルリ様でしょ。
リコット様はまだこっちは分かっても
貴方管轄外というか、生きてる間に見てないでしょ。』
「え、そりゃないでしょ。」
『ありゃら???』
ずるっとこけるメルに、
大丈夫?とフェルが問う。
コルンやリキールは
メルをチラリと顔だけ向けて見ていた。
『じゃあ何で言うのさ〜!』
「此間華神の定例会議があったから。」
『えっでもフェル華神じゃ』
「立候補すると聞かなくてな。」
俺は反対したんだが。
そう言ったリキールに連れないんだよと
フェルが頬を膨らませて怒る。
「リキールったら華神なったら
華咲かせて死んで消えちゃうって。」
「んなっ!ちょ、おい馬鹿!」
「酷いよねメル〜!そんなことないよね!」
『まぁなくもない』
「「え!?」」
『いやだってルメリア様の位置が位置だし、
このまままた消滅したら
同じ時間繰り返す形になるしなぁ。』
そこら辺は追々考えているつもりだ。
まぁ今週中には手筈を整えたいところ。
「というか仮想現実世界とか
言っていたが、どういう話だ?」
『ティーナ様達古の華神が居るのはご存知ですよね?』
「ああ」
『その方達は元々ルメリア様の
華樹の種により、華を咲かせた者達。
少々例外がありまして、その例外に入れば
その子たちが天使の卵にならずに、
移動する場所です。』
「言わばあの世ってことか?」
『そう捉えられても問題ないですね〜。』
現に彼ら彼女らは死ぬことは決してない存在だ。
創られたに等しい存在になってしまったのだから。
「では現実世界とはどういうことを意味するのです?」
「それは…」
『…あの子が、一番目が、都佑が生きて居た場所。』
「メル!」
『いいよ、どうせ戻れないし言っても良い。』
そういったアルトに、メルは答える。
『ミユはね、あの子はティーナ様達の世界人じゃない。
また別の、違う異世界の住人なんだよ。』
「ええ!?!?」
『なんなら、私の双子と言ってもいいくらい。』
正確には、双子ではない。
イレギュラーでもあるのだが、元々一つだったのだ。
それが、入りきらないというので、二つになっただけ。
「どういうことですか?」
『都佑と私が生きて居た場所は、
ティーナ様達とは違う場所の異世界から来たってこと。』
「「異世界!?!?」」
確かにあの場所は在った。
だが、ティーナ様達の世界を見て来て分かったが
どうも私達が生きて居た時間とは違うこともあった。
『私は現実世界と呼んで区分けしている。
ティーナ様達移動出来る場所を仮想現実世界。』
「成る程、そういう…」
『まぁ元の世界が恋しいから旅をする
って言うのが大元なんだけどね。』
「それって…大神官様に怒られませんか?」
『寂しがったら可愛いね〜!』
「メル様!?」
冗談冗談。
『でも、この旅はきっと、良いものに成ると思ってる。』
「メル…」
『とりあえずリコット様に無理難題
取り付け押し付け当てつけて
カメラ貰って旅続けるね!
このカバンありがとう!凄い助かる!!』
「いえいえ」
「いや、色々可哀想じゃないか?」
流石のリキールも首を突っ込む。
あの場の破壊神が別に可哀想というのではなく、
単純にこうしてリキールのように
巻き込まれてしまうと思うと、
些か原因がこっちに在るように見えて困るのだ。
「早速向かうのか?」
『出来ればしたいけど、次行くところかな。』
「でしたら私がリコット様にお話を通します。」
いいのにとメルが慌てると、
そうもいきませんとコルンは
メルを見ながらそっと首を横に振った。
「貴方様は下界人ではなく現在お父様
…いえ大神官様の側近に居られる方。
大神官様からも言伝を承っております。
貴方に何かあれば私は顔が立ちません。」
『うう…でも……分かりました。
すみませんお手数おかけします。』
「いえいえ」
そうおじぎをしてリコットに話を通す。
彼曰くそれならついでに
見て来て貰ってくるよと声をかける。
どうやらカルルリが近くにいるらしい。
いや待てカルルリ、君確か小学
『あ〜〜〜いっちゃ…だ、大丈夫かなぁ…?』
「何がです?」
『カルさんあの子小学生なんだよなぁ。』
「それがどうかしたのですか?」
『店員さん買う時困らないかなぁ
ちゃんと買えるかなあと』
「初めてのお使いを見る母親か…」
いや本当にそれ。
『まぁでもいいや、私が欲しいのは
出来れば写真そのまま出せるタイプだし。』
「あ〜ひょっとして「チェキ」のことです?」
そう言ったのは通信からリコットの声だ。
それにそうですそうですとメルが頷く。
『こうシャッター押したら撮影出来て
その場で現像出来る奴です!』
「それならカルルリ様の学校で
流行っていたハズですし。
カルルリ様に追加でお伝えしておきますね。」
『あ〜〜〜お手数おかけします〜〜〜!!
あっ代金引換ます!!』
「ふふ、構いませんよ。」
お世話になっておりますし。
いやとんでもないとぺこぺこと頭をブンブン下げる。
上に立つ立場の神がするものではないのだが…
それを言ったら色々消される気がしたコルンは
そっと言いたい事を言わないようにした。
「出来次第お持ちしますよ?
どちらに行かれる予定ですか?」
『いやそんな悪いですって
代金要らない上に持って来られては…』
「ではこうしません?
メル様が撮られた写真を
後で見せて貰うというのは。」
それでしたら私達もお手伝いした甲斐があります。
それにこうしてコルンお兄様とお話しするなんて
そうそうありませんから。
そう言ったリコットに滅相もないと
コルンが今度はメルの代わりに首を横に振る。
「どちらかと言えば貴方様の方が目上ではありませんか。」
「いえいえ、加護天使と言っても昔の話です。
現在は天使としていますし、
仮に立場が戻ったとしても
昔ほどの力には及びません。」
「ですが年齢というものがですね…」
「生まれ直したみたいなものですし、
それに私お兄様が欲しかったんですよ。」
実はあの中で長男なんです。
そうニコリと笑うリコットに
へ〜と今度はメルとフェルが答える。
「なのでお兄様が欲しくて…ね?」
「うう…其処まで言われましたら…
分かりました。ですが、メル様同様
申し訳ありませんし、そちらに出向いても?」
「仕方がありませんね〜分かりました。
準備出来次第ご報告します。」
「宜しくお願いします。」
そこで通信はきれる。
一先ずはカメラの内容はオッケーだ。
鞄も手に入ってカメラと来たら
『あれ、フェル』
「なに?」
『あの惑星は?貴方の住んでた』
「あ〜〜惑星ロスフェリのこと?」
一応生きてるけど。
そう言ったフェルに良かったとメルが安心する。
『次いでだから薬草一式取りに行きたいの。
カメラが来るまでにちょっと付き合ってくれない?』
「勿論!何が欲しいの?」
『ぜんぶ』
「・・・」
『ぜんぶぅ』
「…流石に一気に取ると難しいから
種目的で、幾つか取りましょうか。」
真顔で言いだしたメルに、
本気を知ったフェルがため息を吐いた。
この勢いなら魔術系制覇しそうだ。
「リキールコルン様借りても構いません?」
「嗚呼好きにしろ。
その間にやることはやって置く。」
「助かります。」
「おおっと、お前達も手伝え」
「あいえ、なんです?また戦います?」
「違う、書庫の整理だ。」
この宇宙、一人で管轄するならまだしも
他の人間も管轄し始めたとなれば
そうも放置するなんてうまくいかない。
定期的にこうして書庫の整理兼
現状の意見交換をする機会を設けているのだ。
それは何処の宇宙でも同じで、
それぞれ違う議案で話し合っているので
時折様子見がてら天使様に連絡を取り、
こっそり中継で覗いていたりする。
あれ、割と楽しくて好きなので、
今度日記につけましょうかね。
「では参りましょうか。」
惑星、ロスフェリへ。
+++++++++++++
「此方が惑星ロスフェリです。」
『はえ〜やっぱり綺麗な緑豊かな星だよね。』
「ええそうでしょうそうでしょう。
なにせ前の破壊神様からずっと続いている
由緒正しい惑星です。」
なんでしたら、最初から。
と言った方が正しいが。
そうだとしても、こうして生き続けられるのも、
各破壊神達が守り抜いてきたものでもある。
あまりバリアの方を甘く見て手を抜けば
普通に自然経過で破壊されなくもないのだ。
現在、我々は視察という名の軽い観光、
まぁフェルの実家へと帰ることになっていた。
というのもだ、フェルの記憶上、
あそこらへんが一番温暖で、
気候も落ち着いているし、
加えて魔物もかなり少ない地域なのだ。
かと言って、フェルとメル、コルンでは心もとない。
ということで、アルトもついでに付き添いとして来ていた。
「それにしても、前に見た星より随分とまぁ大きくなって…」
「そうかな、私はそうみえないけど…」
「…アルトはまだわかりますが、
フェル様、貴方一度でも惑星外に出たことあります???」
私の記憶が正しければ、メル様の管轄内とは言えども
まだ力の生成もままらなかった状態で
惑星外に出れるような技術も器量もなかったはずですが。
そういったコルンに、いやはやそうですと笑って答えるフェル。
そうこう話を咲かせている間に、そっとコルンが降り立つ。
綺麗な若草色の世界が広がっている中、
空を見上げれば青い星である。
緑色に見えているのに、
中からは青なので凄く珍しい星だと思う。
「場所はどちらになるか、覚えています?」
「それがさっぱり」
「記憶の回廊叩きだす?」
『馬鹿、それしてどうするの。
そもそもその張本人が
外に出てるんだから意味ないでしょうが。』
あっそっか。
そうだよそういって二人してつつきながら話をしつつ前を進む。
それにコルンが離れないようにと声を掛けた。
「お二人とも、旅をお忘れですか?」
「え?」
『…ああ、懐かしいですよね、
アルトが案内してくっそ遠回りした奴。』
「え」
「貴方方が前を行くと碌なことがありません。
此処は住んでいたフェル様の跡を辿るのが最善かと。」
「いやでも私記憶力が…」
『私の記憶が正しければ、貴方の方が方向感覚はあってる!!』
いやそこまで言われても、と困るフェルだが、
メルはすぐに見つかると思っていた。
言われてまぁ、それなりにと歩き出すフェル。
その横をコルンが、コルンの後ろをアルトが、
メルはフェルの後ろを歩いていた。
ガサガサと音を立てる中、いや懐かしいなと言うのはアルトだった。
『何が』
「こうして森の中がっさがっさ歩いてるとさ、横から人が出てくるの。」
『何そのホラー』
「しかも歩くたびに頭に草が引っ掛かって取れなくてさ、
なんなら時々遊びに行ったら巣作ってやんの。」
いやもうそれ、最早大丈夫?
それだれよそう言ったメルに、さらっとアルトは答える。
「え?いや、それは」
「ねぇ、アルト様」
「なんです?フェル様」
「その方って…まさか、髪の毛がこう、赤いです?」
「ええ、ええ」
「もしや、その方って、まさか…こう、前に髪を束ねた、ボブの方です?」
目が緑色のそういったフェルによくご存じですね。
とアルトが答える。
「いえ、それが」
「あちらから此方を見られていてですね」
「ん?」
『…………』
がさりと、音を立てて止まる。
左側から出てきた者と、顔が目が合う。
アルトの顔が、静止した。
「嗚呼ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああんだるしああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああんんんんんんんあsdlふぁsdふぉあいsjdふぉあいjsどふぃあjsdふぉ」
「ばっだっじょ!!!ばか!!!!!!!!!!」
そう怒られて、ぃえと変な声を出すアルト。
「ちょ、どうしてアルト貴方が此処にいるの!?
貴方確か付き人の呪い喰らって眠ってたんじゃ!!!」
「ふぇ?のろい?」
「ってか、その隣と後ろの二人だれ?
えっ騙されてます?すいません
この子迷子癖がまっっったくとれなくてですね。」
「…あの」
「あ〜〜〜〜わかったわかったから。」
落ち着いて、そういったフェルに彼女が首を傾げた。
「すみません、お嬢さんつかぬ事をお聞きしても?」
「ん?はいなんでしょう、白い髪のお兄さん。」
「貴方、もしや、アンダルシア様、で間違いないでしょうか?」
ええ、そうですよ、と息を鼻を鳴らして腰に手を当て言う。
「私は第8宇宙の原初である華神。回復の華神アンダルシアなのです!!!」