そんな顔をしないでください




つきましたよ、そう言われて下を見る。


「此方が、第3宇宙の、惑星、破壊神星で」
「だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああめえええええええええええええええええええええええええるだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


そう吹っ飛ばされたのを、
メルは数か月前にデジャヴだなぁと言いながら
彼女の身体がくっついてきたのと同時に答える。

茶色髪の姿に、はぁと声を掛けた。


『お久しぶりです、華神、カルルリ様。』
「うん!メルトリアじゃなかった、メル!」
『そういえば、メルトリアはどちらに?』
「ここにい」
『うっっっわ!!!!びっっっくりしたぁ!!!!』

そう背後に来ていたのに、気付かなかった私も私だが、
いやカルルリの圧力に気付けるわけがないとは言いたいこと。

あれというか


『める、と、りあ?』
「うんそうだよ」

そうバツ印のマークを付けた彼女に、違和感を感じる。
あれ、そんな髪色だったかなとメルは考えた。
そういえば、目は水色で、髪色は白だったはずだが。

「なんか急に髪色変わったんだよ。目の色も。」
「ほんと急だったよね、でも私の妹って思えばもう安泰!!」
『やっぱなんかもう、色々と元気だねぇ〜〜〜〜』


第3は。

そう言ってその左右茶色娘と同時に地面に降り立つ。
其処には機械に入った破壊神モスコと、眼鏡を付けた界王神エア


そして


「お久しぶりです、メル様。」
『…リコット様、お久しぶりです。』

お辞儀をした、彼に、メルもお辞儀をする。
ジジっと音が鳴り、彼の姿が一瞬変わり、
メルがふらついたのに気付いたのはメルトリアだった。

「っと、メル!大丈夫!?」
『…ごめん、』

まずいか、流石に。
そう思ったメルが、ゆっくりと息を整え膝をついて身体を下す。

息を吸って吐いて、とにかく周りの視線を感じる暇がない。

『…ちと、まずいか。』

しゃーない。

そう言ってメルは右手の人差し指を一つ
指を立て、軽く右上でゆらゆらと動かし続ける。

下を見ながらも、とにかく音を取り、テンポを取る。
此処は桜の匂いが兎に角強く、息苦しいったらありゃしない。
流石に早すぎたかと思ったが、此処でコレなら、他でも似たようなもの。


ましてや、第6なんていけば、恐らく。


嗚呼、考えるな、感じろ。


今は此処にいるのだ。


右へ左へと小さく動かしていた指を
今度は軽く手のひらで上下に動かし、
そしてまた、指を戻し、同じ動きを繰り返す。


「…カルルリ様、メルトリア様、離れてあげて貰っても?」
「え、いいけど」
「大丈夫じゃなさそうなんだけれども。」
「ま、大丈夫です。なにかあれば、ね。」

そうちらりと見つめたリコットの目線の先にはカンパーリが
こくりと頷き、既にすぐ対応が出来るように杖を出していた。

虚ろな目のなか、メルの髪色がちらほらと変化する。
紺色や赤色、緑色、紫色の色合いが髪色が変わる。
だが、その中、ずっと同じメロディーを歌い続ける。

何度も何度も、繰り返すなか、メルの腰元から花が咲きだす。

「っはなが」
「しっ」

ナニカを察知したカルルリが
メルトリアの口を取り、そっと離れる。

その間、メルの髪色がゆっくりと黒く変わるのだ。
目の色も、黒く、だが、何処か嬉しそうに笑っていう。

ラララ、ラララ、どこにも、いないの。

会えない、消えない、見えない、触れない。


背中から、徐々に赤黒い鎖が出てくる
それには流石に放置出来なかったカンパーリが連絡と
同時にリコットが杖を出し、力を使いメルを隔離する。


「流石にまだ早すぎましたか」
「えっえっどういうこと!?!?」
「カンパーリさん」
「10分は持ちこたえて欲しいとのことです。」

飛んできてますだそうで。
まぁ界王神を呼んでの手筈なら、そうなるかと
リコットは杖を使い指示をする。

「現時点を持って、加護天使リコットが命じます。
カルルリ様は攻撃を、メルトリア様は
モスコ様とカンパーリさんから離れないように!」
「了解!出力は!!」
「全開で8以上を。」
「リコット様!!私も戦えます」
「なりません」

今、現在。神かどうかも分からなくなる状態。
顔色が少々悪かったのが気がかりだった。
そうカンパーリが告げる。

「最後にと、弱音を吐かれておりました。」
「…猶更ですね、この星というよりかは、
この場に充てられたのでしょう、ねっ!!」

そう鞭の様なものが飛んできて、杖で軽く飛ばす。
うねった鞭は宙に消えて消滅する。


「…耐えて下さい。堪えて下さい。貴方はそれ程の力があるはずです。」

そう言うリコットに、聞く耳がない。
黒い髪色が、チリチリと、赤色に染まりける。

「…悲しいの?」
「っ、メルトリア様だめです!お下がりに」

そう界王神エアの後ろに居たメルトリアが声を掛けた。


「その、場所に、いけないの?」
「っダメだ来る!!」

バチンと、音を立てて壊れる防壁に、
流石にきついですねと答えたリコット。

「私と界王神、そしてリコット様で出力を上げてこれですか。」
「とんでもない化け物ですよ、あの方は。」

通常なれば、死ぬんですがねとリコットがぼやく。

「え?」
「華神が願いを果たした後、加護天使になる。
その仕組みは此間お伝えしましたよね。」
「ええ」
「華樹神の子は、あの子だけではないのも?」

え?と声が出る。


「数多もの人が朽ち果て消えていった。
華神も、華樹神も、子も全てが。」

居なくなって、消えていく中で、一つは消えなかった。

一つだけ、たった、たった、一つだけは。


「叶わない願いを抱いた者の末路は大きく分けて二つ!!」


ダンと音が鳴り響くも、リコットが力を出して防壁を更に加える。
メルとの距離を開けているものの、あくまでも時間をなんとか稼ぐだけ。



「魔女になるか、神になるかの、二択なのです。」


赤い目に、黒い髪色。それは、魔女の証で、


「…ルトラール様」
「仕方がありませんねぇ、許可を出します。」

魔女とは、いきませんが、抗っていますし。

そう言ったのは、浮遊しながら膝を前に出し、
椅子に座る様に出てきたルトラールだった。

「おやりなさい」
「承知しました。」

杖を顔元に近づけ、とある言葉をつぶやく。


「レモドレモド、レドモヨイガネ、ヨキトヨトヒ、ヨゴイヨマ
クビチミノモノカ、リカヒノタマア、レドモヨキト、ヨゴイヨマ」

リコットは左膝をつき、右手で杖を横にして構える。
左手を地面に拳で立て、低い声で、リズムを刻んで呟く。

「レモドレモド、レドモヨイガネ、ヨキトヨトヒ、ヨコノトヒ
ヲイガネノラレワ、ニノモクヌラツ、レドモヨイガネ、ヨコノトヒ」

そう続け、リコットはひたすら呪文を唱えるかのように言う。
いや、呪文にちかいというか、呪文なのだろう。
最初に言った言葉に戻ってきた。

それを聞いて、メルトリアはふと、神の言語の元を思い出した。
神は、ローマ字に直したものではあるが、ひらがなにして
逆にみたら普通に読めるというものだ。

普通それは当たり前といえばそうだが、
この日本社会から遠く長く離れていると
そういう閃きも、鈍るというもので。


彼が続けて言っていることはこうだ。


もどれもどれ、ねがいよもどれ、ひとよときよ、まよいごよ
かのものみちびく、あまたのひかり、ときよもどれ、まよいごよ

もどれもどれ、ねがいよもどれ、ひとよときよ、ひとのこよ
われらのねがいを、つらぬくものに、ねがいよもどれ、ひとのこよ


「(戻れ戻れ、願いよ戻れ、人よ時よ、迷い子よ)」

華の者導く、数多の光、時よ戻れ、迷い子よ

「…戻れ戻れ、願いよ戻れ、人よ時よ、人の子よ」
「っ、メルトリア様?」
「我らの願いを、貫く者に、願いを戻れ、人の子よ!!」
「何を」

そうだ、彼女は、彼女は確かに、人なのだ。
どうして最初からこういう大事なことを言わないのだろうか。
いや、言うと、心配をかけるから、こうして来たのだろうに。

こうして、言わないでも、自分で、出来るようにと。
抗って抗って、耐えて耐えて、忍んで、前を向いて歩いてきた。

首を振るって、メルが嫌そうに苦しんでいる。
黒い鎖が身体を巻き付けていく

だめだ、いかせない。
そんな場所に、いくというなら、
私だって、策がある。

膝をつき、メルトリアもまた、同じようにブツブツとつぶやく。
それは、神の言語ではない、人としての、人の言葉。
だが、これを同時にいうことで、彼女に聞くと思ったのだ。


「…構いません、そのまま続けさせなさい。」
「ですが!!」
「現に、効果があります。」

そうルトラールが言う、前には。
黒い鎖が徐々に引いていくのがみえた。

首に手をかけていたメルの目が、
次第に金色へと輝いていく。
髪色も、徐々に白へと戻りつつあるのだ。

「っなんと!!!」
「克服、とはいきませんか。」
「っメル!!!!」

ばたりと倒れたメルに、
メルトリアがばっと界王神の身体を
軽く押しのけてでも走り出す。

はぁはぁと息をするメルが、
ゆっくりと目を開けて、嬉しそうに笑う。
それに安堵したのか、涙を溜めて、
メルを強く抱きしめるメルトリア。



「無事成功しましたね。よくやりました。」
「〜〜っだ、はっ、っ、っよ、よ、かっ、たで、すね」
「ええ、貴方一人で、とはいきませんが。」

本来であれば、あの場所まで行って、
引くことはまぁまずない。

赤黒い鎖は、本来彼女の願いの根源。

それが身体を締め上げ、
否定拒絶することで、願いを消し去り、
そして、消滅へと導くそのきっかけに過ぎない者。



それをいともまぁ、数十秒唱えたもので、
すぐに抑え込んだというのは、
メルもまぁ凄いというが、



「本当に…貴方達は選ばれたのですねぇ。」
「っ、あ、はぁ、は、はっ」
「だ、大丈夫ですか、今回復を。」
「カンパーリさんすみませんが
回復を手伝ってあげて下さい。」


彼女は私がと言ってメルの方に移動する。
それにカンパーリははいと返事をし、
リコットの傍に近寄り回復を施す。

リコットはすみませんと言ってちらりとみる。


「いえ、それにしても、凄まじい気でしたね。一体…」
「っええ、ひっ、さし、ぶりに、ちょっと、やり、まして」
「…リコット様、貴方、髪の色が」
「え?」

はらりと、見えた光に、ぎょっとした。
ばっと後ろに飛んだリコットに、
左右で回復をしていたカンパーリとエアが驚いた。

「…っ、あ、なん、で」
「力をあれ程使ったのです、
その状態になるのは仕方がないこと。」

そう言ったのは回復を施しているルトラールだった。

「本来通常の貴方であれば、もう少し緩く出来たでしょうが。
今回はイレギュラーな上に、相手が悪すぎました。
私が手助け出来ればとは思いましたが、少々不安定な身。」

こうなれば、まだ華樹神官という役柄を
綺麗に降りれないというものだ。

「いえ、すみません、実力不足で……」
「寧ろよく持ちこたえました。応援は遅いですが。」
「すみません、遅れました。」
「いえ、何とか持ちこたえたので。」

リコット様!その髪、
そう言ったのは第8のラシルだった。

ハシュクロードはメルの元に飛び、
ルトラールから指示を仰いでいる。

どうやら力を使い、
メルの記憶を操作するらしい。


「はは、お恥ずかしい姿ですみません。
少々てこずってしまいまして。」

「てこずって、あ、あなた、
その姿がどういうことか、わかって!!」

「分かってます。」

分かっているから、
恥ずかしいと言ったでしょう。

そううっすらではあるが、
黄緑色の瞳がちらりとラシルを捕らえた。

「加護天使は、完璧であればあるほど、
前を忘れると言いましたが
…私はどうやら、不完全だった側のようですね。」
「っ、リコット、貴方。」
「へへ、まぁ、精進、し、ます。」
「リコット!!!」

ぱたりと横に倒れたリコットに、急いでラシルが肩を抱く。
すぐに気を失っただけと知り、肩の力がどっと抜け落ちた。

「それにしても、加護天使ですら、意識を失うとは…」
「それ程の威力なんですよ。呪文を唱えていたでしょう。」
「え、ええ」

「絶対に真似してはいけませんよ。
いいですか、絶対ですよ。」

「ええ?な、何故です?」
「何故?それはあの呪文が禁忌呪文だから。」


そう聞いたカンパーリに答えたのはアルトだった。

メルはぐっすりと眠り、ルトラールに抱かれ
此方に合流してきた中だった。
すっとその間にコルン達と共に降り立ったのだ。


「ルトラール様現状は」
「レッド1と言ったところでしょうか。」
「充分片足突っ込んでんじゃないの
…いや第3って聞いてすぐに気付かなかった
私も私だけどさぁ〜〜〜〜」


「その、第3が何故悪いのですか。」
「いや良いか悪いかと言われたら
悪いけどそういう意味ではなくて。」

そう目が泳ぐアルトに、はっきり仰りなさいと
活を入れたのはコルンだった。

「全く、弟たちが困っていますよ。」
「ふぇ〜〜〜〜」
「単に相性が悪いのですよ。」
「相性ですか」
「ええ、この子の願いがそうであるように。
全ての華神は願いの時間から遠くかけ離れた
どうでも良い場所で生活をさせていました。」

そう、勿論

「例外、もありますが。」
「あ、あはは……」

アルトの方を見て言うルトラールに、
アルトはそっぽを向いて笑う。

「あの呪文は華神が暴走したとき用の、
一種のまじないです。
使用者の気力を魂ごと削り取っていく、
少々面倒なものなので。」

「っメルトリア様、いっって!!!!!」

「ただし、とある言語に直せば威力は半減以下。」

お気持ち程度になりますから。ご心配なく。

そう言ったルトラールに、
今度こそ第3の気力が抜ける。


「っくく、ま、第3は少々早すぎたようです。」
「あの、第3がということは彼女達も悪いのでは」


そうちらりとカンパーリが周りを見る。

それに大丈夫ですと言ったのは
ハシュクロードだった。


「私はこの場所では暴走しません。勿論アルトさんも。」
「っはい!!!私は1しか影響下はいらないので!!!」
「これ、自信をもっていうべきではないでしょう。」
「いだい」
「っはははは、まぁ、そういうことです。」
『っ』
「おや……ですが、はい、いやですねぇ。」

そう眉を寄せるルトラールに、どうしたのと声がかかる。

「いえ、メルさん此方に滞在したいとご希望でして。」
「え゛」
「私もそれは少々反対なんですよ。
ええ、いやですからですね??」

お姉さんご自身の状況下分かっています?
いや分かってないですよね?
そうルトラールの独り言が繰り広げられているが、
現在メルは寝ているように見えてそうではない。

一応意識はあるが、話せるほどの
気力と、力が全くない状態なのだ。


「ですからね、まぁ、確かにそれも一理ありますが、
かなりの時間を割くとあれば、
他の宇宙を束ねてから再度くるのも一つです。」

それに

「カンパーリさんらにご迷惑をおかけしたいのです?」

そこで、そっとメルの手がルトラールの服から離れる。
よろしいと、言ってふわりと身体が浮き上がる。

「すみません、勝手で申し訳ありませんが、
暫くは此方にこれなくて。」
「いえいえ、此方こそ、役不足ですみません。」

ふわりと上がり、メルを抱いていたルトラールが消えた後。
はぁとアルトが地面に倒れて焦ったと声を上げた。

「これ行儀が悪いですよ」
「いや、ほんと、皆……すごいね???」
「はい?」
「いや私ギブ」
「私も」
「えっ!?!?ちょ、皆さん!!?!?」

アルトだけではなく、メルトリア、
そしてカルルリもダウンする。

ひぃひぃと息を上げる三人、
そして未だ目を醒まさないリコット。



それに、まぁ無理もないとハシュクロードが答える。



「メルの力に充てられたんだもの。
一応処置はしたけど、あくまでも一時的なもの。
私だって割と結構きついものあるんだからね。」

「そう、なんです、か。
私達は全く何も問題ないですが。」

「そりゃあ貴方達はレールから外れない者達。
影響下にすら入らない場所ですからね。」

そういうのもあり、天使を使わせ、
各場所に移動させているのです。

そう言ってハシュクロードが
ラシルを使ってアルトをそっと
クレーンゲームの様に回収する。

ふにゃあと変な声が出るが、気のせいだろう。


「では、私達はこれで。コルン様」
「わかりました、すみません。」
「いえ、助かりました。」

そうカンパーリがお辞儀をすると、第3のみになる。

「先は長い、とモスコ様も仰っております。」
「まぁ、また今度。だね。」