ふたつとない、そう




『……ん』
「お、目覚めたか。具合はどうだ。」

そう聞こえる声に、口を紡ぐが、声が出ない。

「力を使わず、思っていることを伝えるように言えばいい。」
『(こう?)』
「ああ、ああ聞こえるぞ。そうだ、それを練習するんだ。」
『(これでいい、んですか?)』
「今はそれで会話してほしい。というかそれ以外したらお前を殺す。」

いやぶっっそう。

「飲みたいものはあるか?まぁ水しかだせんが」
『(ちょ、なら水しか選択肢ないならそれしか言えないじゃないですか!!!)』
「ぷっはははは!そうだな、よしよし、元気そうだから待ってろ。」

水という彼女に、なんだなんだとワイワイ声が聞こえる。
いや、煩いなとは思っていたが、如何せん身体の力が入らない。
あれおかしいなと思ったが、いやまて、今何時だというか何日だ。

「あら、お目覚めになられてなによりです。」

いやまてだれだおまえは

そう紺色の女性が此方に軽く礼をして来る。
アンダルシアが杖を戻ってきて、
すっと手を開き、片手で杖を上下に振る。
それに伴い、私の身体が上がった。

ゆっくりと起こしてくれたのだ。

ありがとうと声を掛けると、いいと答えてくれた。


「ええ、主起きたの!?目覚めたの!?!?」
「これ、まだ容態は改善されておりません。
我々の力を駆使しつつなんとか
持ちこたえて下さっているのです。
嗚呼神よ慈悲の神よ彼女をお助け下さい!!!」
「いや慈悲の神というか華神はあんただろうて。」

そう金色のお団子を揺らす彼女が
元気に入ってメルの隣で手首を取る。
脈を測ってくれているようだ。

次に紺色のストレートお姉さんが両手で上を見て何かを叫ぶが、
それに青緑色のおかっぱ頭さんが正確に突っ込んでくれた。

「ほらほら、皆さん後ろにいますから。前に行ってください。」
「あら〜主が目覚めたなんて、第3の皆に後で言わなきゃ!!」
「こら、数字を言うな馬鹿。」
「そもそもこんなに入って大丈夫?この子死なない?」
「これごときで死んだら元も子もありません。また主を探す旅をするのみ。」
「え゛するの。」

更に上から、薄紫色の髪で、機械を耳につけた女性。
緑色のお団子を左右につけ、白い髪が印象的な人。
ピンク色の短髪だが、三つ編みを頭の上に飾り、
下で花の髪飾りで止めている人。
紺色のおかっぱで、青いリボンを止めた人が話す。

他は入ってきた者達が軽く話していた。


「皆さん、貴方の為にと力を注いでくれたのですよ。」
『(え??ってか誰ですかねこの人達)』
「おや、貴方と言う方が気付かないと?」
『(いや、嫌な予感がするんだが)』

ぎぎぎと首をぎこちなく前に向かせる。


ちらりと何人かが声を掛けずに入り切ったのか、
奥からルトラールと、ルメリア、アルトとカミカゼが入ってドアを閉める。


「お前ら煩いぞ、外まで漏れているじゃないか。」
「そうそう、病人の前は静かにと言いましたよね?」
「す、すいません、ルトラール様、ルメリア様。」
「具合はどうですか?メル様。」
『(いやもうなにがなんだか)』
「…アンダルシアか、教えたの。」
「だってこうした方が楽だろう?」

一応力を使わせずに誘導した。
そう笑うアンダルシアに、おまえねぇと頭を抱えた。

平等でもあった元加護天使が、何をいうのか。
その言葉に、メルは目を見開いた。


「メル、紹介する。この子達は原初の華神達。」

お前がもつ、最初の、華神であり、加護天使だ。
そう言った彼の言葉に、キラキラと目を輝かせた。


+++++++++++++


「自己紹介といこうまずは。」
「こういうのは、第一から、というのでは?」
「う゛正確には私ではないんですが。」

こほんと言って前に出る子に、見覚えがある。
オレンジ色の髪色をした黄緑色の目の子。

「初めまして、第1宇宙原初の華神達である
切望の華神。アルトリアです。」
『っなっげほっごほ』
「ああもう、声を出そうとするから。」

そう何人かが杖をすっとだし、
力を使ったのか、身体の感覚が軽くなる。

「だから言ったのに。」
「まぁ正式な発表としたら、
第1はカミカゼだがな。」
「え」
「アルトは別の花を咲かせたからね。
よって繰り上がる。」
「元々貴方は第1だったし。」

そう意外な話に、ええ僕色変えれませんよと声がでる。

「では、続いて。第2宇宙慈悲の華神ラズールです。」
「同じく、第3宇宙憂いの華神アマレット。」

紺色ストレートの白いカチューシャお姉さんがお辞儀をする。
緑色の目が少し合って、お辞儀を軽くし返した。

続いて、緑髪の白い横髪のお姉さん。
空色の目をした彼女がちらりと手を振ったので、
手を振ろうと思ったが、力が入らない。

ま、とりあえず脳内だけでもと
手をぶんぶん振ったら
何人かが笑ったので、大成功だと思う。

「第4宇宙感情の華神エンヴィ。」
「第5宇宙守護の華神キャドです。」

黄緑色の少し長いおかっぱさんが此方を見て言う。
緑色の目がちらりと合うが、それよりもだ。
その更に上にある緑色の草から少々いや、だな
黄色の鳥が見えたのは気のせいだと思いたい。
そう、散りばめてるリボンだと思いたい。
動いていない。うんそう。

その隣に居たのは、ヘッドホンを
付けたような機械を耳につけたお姉さんだ。
右目が紺色、左目が黄金色か?
目の色が違うというよりもだな、
正直頭のカチューシャがメイドさんの
アレにしかみえないのだが、
突っ込みどころが多すぎる二人だなおい。

「第6宇宙夏空の華神ボールパークです。」
「第7宇宙希望の華神コロネです。」

ピンク色の三つ編みイケメン女子が
此方に向けて手を胸に当てお辞儀をする。
赤い目が少し吊り目なのかイケメンさが更に増している。

紺色のリボンを付けた少し困っている
灰色のおかっぱ頭さんがぺこりと会釈する。
紫色の目で、お身体の具合は大丈夫ですか?
と声を掛けて貰えたので、大丈夫だと答えてやる。

そうすれば嬉しそうに目を輝かせるものだから
嬉しくて少し小躍りしたくなる気分になった。

「第8宇宙回復の華神アンダルシアだ」
「第9宇宙星風の華神ミスティです。」

隣に居たアンダルシアがひらひらと手を振る。
白い紐飾りが印象的な彼女。赤髪で、目は緑色。
緑の草の上に黄色い鳥が入って行ったが、
まさかお前の子だったのか????

その奥に居たのは紺色の横髪を三つ編みで纏めた。
ゆるフワボブの白角お姉さんだ。
紺色の目の下には藍色の三角が三つずつ描かれている。
その隣に、アンダルシアと色違いの髪飾り。

「第10宇宙植物の華神アルカポネ。」
「第11宇宙信頼の華神スコーピオン」

オレンジ色の三つ編みを後ろで止め、
器用に左右でお団子を作っている女性。
三つ編み以外は金色の髪の毛で、
リボンを髪の周りに散りばめている。

もう一人は、青緑色の髪色の
おかっぱ青年のようにみえるが、
彼ではなく彼女なのだろう。
紫色の目が特徴で、左横には黒いバツ印をつけていた。


「そして最後」
「第12宇宙再会の華神、ライラだ。」
「以上が原初の華神達、そして同時に、
次なる加護天使だった者達です。」

赤く、長い髪を大きく腰元まで一つに束ねた女性。
金色の目が、ニコリと微笑む。リボンが散りばめられた子だ。


え、まって

『(次なる華神っていった?加護天使っていった???)』
「ええ、貴方の記憶の廻廊にいた子達を、華神にするか
もしくは加護天使にするかになりますが。」
『(いやいやいやいや、まてまてまてまてまて)』

原初って言ったよな?
原初ってあの原初だよな?
始まりであり最初って意味の。あの???


「そうですよ。貴方が思っている通り、
彼女達は最初で最後の誇り高き強き華神達です。」
「選りすぐりってことだ。」
「ちなみに貴方が死にかけている間、
ずっと彼女達を探していました。」

天使と、破壊神達が。
そう言ったルメリアに、全員がぎろりと睨む。
大丈夫だってとアルトが笑って答える。

「ほらほら、落ち着いて。前の奴らなんかじゃないから。」
「……ま、そういうならいいか。」
「そうですね、彼らの目をみて我々も来ましたし。」

ほっと息を出して安堵を浮かべるアルト。


『(いやだからとしても、何故貴方方が)』
「ん?君の力になれたかって?」
「いちおう貴方は原初の人間の部類ですので。」

我々の力であれば、手出しが出来ることを知りまして。
そう言ったラズールさんに、へぇとメルは声を漏らしそうになる。

どうやら声を出すだけでこの身体は咳き込むらしい。

「無理すんなって、お前の身体は今生死を彷徨ってるところだ。
いわば毎秒AEDで心臓の代わりを流してるに等しいんだ。」
『(いやもうそれ死んでません!?!?!)』
「瀕死に近いと言って下さい。ですが無理をなさらない方がいいです。
他の神々も貴方の回復を待ち望んでいるのですから。」
「そうそう、あいつら頭下げてきたからな。
一人神様になろうとしている奴がいるのだとね。」

助けてやってほしい。

そう、天使と破壊神、界王神が頭を下げてきたらしい。
それは他の場所でも同じらしく

「うちも会っていたが、改めて頭下げられたよ。
あんなことしなくとも、お前と戦ってすぐに理解したんだがね。」

もっとも、目を合わせたその瞬間に気付いた。

「お前は本当に、愛された場所に堕ちた子なのだから。」
『(アンダルシア様…皆さん、すいません私が出来損ないなことでこんな)』
「いや、出来損ないならもう死んでる。
強いエネルギーに身体が耐えれない状態が続いただけの事。」
「そうそう、身体は大事にしてください。
今度は僕たちと一緒に旅をしましょう。」
『(旅、嗚呼そうか、しようとしてたけど、あれどうだったか)』

忘れた、方がいいと、何かが言うが、一体誰だか。

「まぁ、今回は顔合わせに過ぎない。
原初よ、今後も彼女を頼むぞ。」
「「「「はい」」」」

そう言った彼の言葉で、皆が散る。
その場にいたのは、アンダルシアとアルトのみだ。


「何か食べれそうか?」
『(えっと、なんでも、お腹すきました)』
「うどんや粥しかだせんが、うどんがよさそうだな。」
『(いや何故わかるのか)』
「アルトお前作ってこい」
「私かい!!別にいいけど、アンダルシア様もたべるでしょ?」
「ああ、量は任せた。」
「絶対大量に入れる」
「したらお前の顔にある穴と言う穴に入れるぞ。」

ひいと声を上げて逃げるように出る彼女に
全く、騒がしくてすまんなと声を掛けられる。

「あいつらはお前に会いたくてうずうずしていたんだ。
瀕死だったお前を何とか私達の手で繋いだに過ぎない。」
『(アンダルシア様…すいません、お手数を)』
「いいんだ、それよりもコルンから聞いたぞ。
お前夢で強く未来を見続けたんだってな?それも天使全員に見せて。」



「そういう無茶をするから、お前と言うやつはこうして倒れるんだ。
一人ならまだしも、12の天使の器量をお前が耐えれる訳なかろう。」
『(お、仰る通り…)』
「ましてや、その身体はまだ未完成の状態。
エフェメラルとしての完成には程遠い状態ときたらそうなる。
分かったら二度とするなよ。」

はぁいと脳内で声を掛けて、そっと杖を下す彼女。
それに伴い、身体がゆっくりとおろされる。

ぐらりと眠気が来て、出来上がるまで寝とけと言われつつ、目を閉じた。




「どう?」
「大丈夫だ、食欲もあるし、バイタルも良好。」
「脈も触った時一定だったし、それが変わらずならいいよ。」
「少々気疲れしていたから寝かしつけてきた。
もう一人で寝かせていても問題ないだろう。」
「ああああああああ」
「ながかったああああああああ」
「ふふ、お疲れ。緊急招集されてもう二か月はここに缶詰だったからな。」

何度か死にかけた時は割と焦ったが、
なんとか持ちこたえてくれてよかった。

あそこまで回復すれば、大丈夫だろう。
このまま順当に進めば、いずれは
本当に旅をすることにも出来そうだ。

華樹神に無理矢理させるということは
流石の原初でも反対数が多かった為却下とし
その代わりとして、ほぼ不眠不休で働き続けたのだ。

勿論交代でみていたので、一応何とか出来たが。


「大丈夫かな」
「コロネ…」
「皆、覚えてるでしょ?」

ーほら、原初達、おいでなさい

そう皆にみせた、あの小さな赤子、黒髪の小さな赤子

力を持たない、人間だった、あの子供


「あの子は純粋で真っすぐをみていた。それはまるで植物のように」
「コロネ」
「だって、酷いよ、あんまりだ。」

深い青空の下で、草原の真ん中
広い世界の下で、彼女は笑って生き続けるべきで

その世界を、自分が、世界の為だけに、そっと額縁に入れるなんて。

肩を寄せて、ただ、その時間に、手を置いて、


縋りつくだけしか出来ない時間なんて


それを、見守るしか出来ない、神々を。


「僕らは戻って来たんじゃない、戻されたに等しいんだよ。
だって元々僕らは彼女の血筋になる前提だった。」
「そうだね、我々はそう作られたに等しい存在だ」
「コロネっ、ボールパークまで!!」
「アンダルシア、お前は分かっているだろう?」

その小さな縋る手を、

私達ではない、

本当に手を取ってくれる存在がいるのを

そこに、導き、その背中に膝まづくことしかできないことを


「我々は、あの子の手を取った」


ーほら、**、お姉ちゃん達よ?


「その時点で僕らの心は決まっている」


ーかわいいねぇ


「神々の抑止力という守護の存在に」