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前回のあらすじ

メルがエフェメラルであった真実




世界が変わり、元の状態に戻る。
さてと、大神官が声を掛けた。

「審判を再開しましょう」
『…大神官様、怒らないのですか』
「何故」
『私はあの時、戻らなければ貴方の子をあそこ迄酷くさせなかった。』
「では問います。何故貴方はあの時サワアさんに華を持たせたのですか?」
『う』

それは

「華を持たせないといけない何かを感じた。
自分がもうこの世界に戻れない可能性すらあったから。」
『……はぁ、いってください』
「ふふ」

しっしとするメルに、ご満悦の大神官である。
ある程度この物語の全容が分かった処で、話が進む。


「改めてメルさん、いえ、エフェメラル」
『…』
「協議の結果、貴方を」

待ったという声に、サワアが杖を横にしてメルを守り盾になった。


「やはり来ましたか」
『なにが…っ』
「外の奴らが弱いと思ってたが、割と苦労した。」
「…っプラティア、お前!!」

久しいな、そうちらりとクスの方を見る。
ぐっと杖を持った彼女に、ニヤリと笑う。

「あれ程の封じは効かんのを、お前は気付いていたろうに。」
「どういうことだ?」
「プラティアはその完成されつつある力であるため、
一度封じた状態から放たれると次が通用しないのです。」
「つまり、封じることはもう不可能と」
「ええ」
「いい!?じゃ、じゃあ破壊は!?」
「無理だ。」

はっきりビルスが答えるのに、悟飯がなんでという。

「戦闘、知識、全てにおいて奴が上に居座っている。」
「加えて彼女は魔女、華に願いを注いだ人間です。」

願いには願いを。我々の力ではどうすることも。
そう言ったウイスにじゃあとちらり見る。
あの状態を見て、知って、もし、プラティアが来たとすれば?

メルは此処に来るまで、
ずっとこの花を手折ると言いたそうに俯いていた。
彼女がプラティアと戦って勝てる術などない。


『サワア様、どいて下さい!!』
「っするわけないでしょう!!貴方は早くお逃げ下さい!!」
『今から戦わないとっ!!!』

皆死ぬよ。

そういってメルが植物を使い、
プラティアの枯れ木を止めて消し去る。

「よくわかったなぁ、逃げ続けて漸く知恵を持ったか?」
『はっ!お姉様の暴れん坊はよーくわかったし、
そんなに欲しいならくれてもいい。』

まじで?まじで。

『ただここではっっっっきり言いたいことが1つある。
ほら冥土の旅とかうんちゃんがっちゃんいうでしょ?』
「いや、それを言うなら冥途の土産にって煩い、なんだ。」
『ね、プラティアって物事に動じないって意味でしょう?』

そうぎろりと睨むメル。
未だに怖いのか、かなりの距離を置いたままキープする。
その間、サワア、そしてクスがメルの前で待機をしていた。

これ以上歩けば、攻撃ではなくても静止をかけるという威嚇だ。

『でも貴方は何時だって私に動じる。ねぇ私知ってるんだそれ。』
「…っ黙れ、」
『黙らない。ねぇ貴方私が何を咲かせているか、知っているはず。』

金色の目を輝かせ、メルは白く髪を染めていう。
頭に白とピンクの花を混ぜ合わせた花冠が、黄色を咲かせる。

『ね、私、其処に居ないんだよ。』

バッと動いた彼女にメルも距離を取る。
サワアとクスが攻撃を交わし、メルの援護をする。
邪魔だと言って二人をツタで這わして外に出す。

「っサワア!!」
「お兄様お姉様!!」
「ったいですねぇ、ほんと。」

ギッと睨む彼に、プラティアがにやりと笑い指を鳴らす。



++++++++++


「あいつらにはこの声は聞こえない。」
『…貴方も強くなったと』
「嗚呼、アタシは強くなった。お前が殺した神の力も持って、アタシはあんたよりも強い。」
『ううん弱いよ、圧倒的に。』
「何故言い切れる」
『だってコレは貴方には耐えられない。』

ねぇどうして母様が貴方に捧げなかったか知ってる?
くるりとプラティアの頭の上を回転していうメル。


もう一度言う


メルはプラティアの頭上を回転していた


彼女が、気付いた時には、上に居たのだ


「っ!?」
『ほら動じた。貴方は華に負けた魔女。』
「うるさい!!」

そういって攻撃をしてくるが、
全て腕を組んだメルが足で軽く払っている。

ちがうとビルスが答える。


「明らかにあいつの方が負ける。」
「え、でも」
「メルさんは自身の弱点を理解しています。
怒らせるならば逆に怒らせて消耗させているのでしょう。」
「それで通用する奴ではないことは、知ってるだろうがな。」

所詮時間稼ぎ、だが

「何故時間稼ぎをする必要があるんだ?」
「…さあ」

何故でしょう。
そう言ったウイスの言葉が聞こえたのか、
クルリとメルが足を軽く円について息を整えて言う。


『はっ、は…確かに器も量も、貴方が圧倒的に上。
速さなら私はノミ以下で貴方は音速以上。
威力も私は赤子の手以下で貴方は星ですら粉々にする。』
「なら大人しくださんか」
『いや〜正直出し方しらんのだわ!!』
「だあああああああああああああ」

そう空からセミの様に落っこちたプラティアにメルがけらけらと笑って指を立てる。
何を話しているという者たちに、複製音声をと大神官がつける。


「だっお前なんていうこと!!」
『いや〜引継ぎって言ってもさ、どうやって継ぐの?』
「資料があるだろうが資料が!!!」
「…なんか、痴話げんかしてる?」
「ですね」
「第一お前の体内に呪文が残っているはずだ、アレはどうしたアレは。」
『あ〜〜〜〜〜この右腕?』

そういってメルは右手の印を出す。
そういやあったね。
そう言った彼女に、指を鳴らすが、あれ、と困るプラティア

ああごめぇんとのんびりした声が聞こえる。


『私、それすらも食べちゃったんだ。』


たべ、え?


「…まて、確かに、いや、うん、え、まって???」
「なんかすごく動揺させてますね?」
『ふふ』
「いや待てふふじゃない。待って、
たべ、あ?お前食べたって言った???」

あの量を?ええと言う。


『知ってる?12とプラス1って膨大な量をため込むんだよ?』
「…ッチ!途中で切れたのか!!!」
『おっとっと、きゃ〜こわいねぇ〜〜〜!!!』
「こわくなさそうだ、なっ!!!」

そりゃあそうだとメルは空を飛びながら言う。
私を見てくれている貴方を、私は怖いなんて一つも思わない。

『話を戻すけど、引継ぎは出来ない。』
「ならお前を殺すまで!!」
『っと、わあ〜こわーい!!』

呆れる本当に呆れる
そののんびりさというか、焦る顔がしない。

「…いや、不味いですね。」
「サワア様?」
「結構余裕はないですよ、彼女。」
「余裕ように見えるが…」
「笑う時って余裕一切ないんですよ。」

周りが見えていない状態。
それこそ、彼女が一番笑い輝く時。

タンタンと空を飛びながらもくるくる回り敵を動かすのを考える。
このままでは自分が消費するまでで、本当に彼女に殺されるだけだ。




『あ、そっか。』
「ん」

ブンと止めた彼女の攻撃。メルが変に止まったのだ。
流石に綺麗に殺したいのか知らないが、変な行動をすると止める。
一応彼女にも感情と言うものがあるらしい。

『戻せばいいんだ』
「…何を貴様、いや待て」

ダンと音を立てて攻撃をしてきた彼女に、メルはにやりと笑う。
するなと言いたそうな顔に、メルは嫌だという。
半円になった状態の所を足でタタタと走って回る。

一体何をと考えていた周りに、メルが声を上げる。


『ね!魔女になってどんな気持ち?
願いは叶わなくてつらい?怖い?先に行くのが嫌?』
「っなにを」
『私ね、天国と地獄どっちも嫌なの!!
天使と悪魔、どっちも嫌!!ねぇ神様の子どもさん!』

ニヤリと笑いながらも、壁を兎に角走って走って走る。
その動きがどんどん変わっていくのに、
何時しか教えたのをルトラールは思い出した。


ーそう、さすが**はいい動きをするなぁ!


流石、自慢の娘だと、人の時に零したのをぼやく。


「メル」
「…ルトラール?」

タンタンとちょっと飛んでは靴を脱いで攻撃されたものに当てて消させる。
両方裸足になったメルが、そのままどんどん上に走り続ける。
明らかに当てろと言いたそうな動きに、馬鹿だなあとティーナが言う。


『私は人間で、貴方も人間!!
神様なんてこの世界何処にだって存在しない!!!
願いなんて叶わない!そうでしょう?』
「なら何故魔女にならない、何故神を見捨てない!!」
『私はずっと見つめるの。希望を。』

見捨てるわけがない見捨てていいこと一つもなかった。
そういって走り続ける彼女が今度はペンダントを投げつける。
パンと音を立てて綺麗になくなっても、ギッと見る目は、強く光り輝く。

『原初に居たというのに、そんな力にしか頼れないの?』
「っ」
『人も神も、憐れだねぇっぐ』
「メル!!!」

肩を撃たれたのに、身体が落ちるのを何とかこらえて走る。
まだ足が残っているのだ。いえ、煽れ、その力を見えなくなるその場所まで。

「煩い口を殺す方がいいか。」
『っじゃあ帰ればいい、かえろう、かえろうよ。』

貴方が望んだあの場所に。
ニヤリと笑う彼女に、ちらりと盗み見る。

『貴方が望むならば、私は忘れたことも、全部思い出す。』
「…なら、一つずつ撃つのみ」
『ぐっ(堪えろ急げ)』

ん?と走る処、丁度コルン達の所で音が聞こえる。

『(考えるな感じろもっと早く速く音を越えて感じ取った先に開いた場所!!)』
「何か考えてるのは事実でしょうね。」
「え?」
「彼女は馬鹿でも賢い子です。勝算がないことは決してしません。」

あの子、負けず嫌いなんですよ。
そう言ったルメリアに、振り返る


『あの日まで、戻れたらどれ程良いか』
「…お前」
『沢山の光を、貴方は華として華の者として、導けるというの!?』

半分以上に来て彼女が気付いた。
チッと言ったツタがこっちにやってくるのを勢いで進む。
その光に、目を見開く。

「早く行って!!!」
『っシャクちゃん!!!!』
「やることやるんでしょ!!!」
『っ!ああ!!』

円を上っていくのではない、戻っていく行為。
それが頂点に達した時、その感情が完成される。
それに気付かれたのか、下から綺麗に消えていくのに、急ぐ。

『瞬き、時よ、一夜、消える、願い、急げ、』

急げ

『急げ!!!』

ふわりと背中が押されて天井にひっくり返る。
キラキラと光るその場所を、ちらりと見た。
ニコリと微笑んだ人が、言葉をつぶやく。

時間が止まる

急げ急げゲソイゲソイ願いが消えるルエキガイガネ
一夜時よヨキトヨトヒ瞬きよヨキタタマ!!!』


足を屈伸するように引いてからばねのように飛び下に落ちる。


華の者導くクビチミノモノカ数多の光りリカヒノタマア
人よ戻れレドモヨトヒあの日までデマヒノア!!』


手に胸に力を籠め、その右手に集中する。


孵ろ還ろロエカロエカあの日へ帰ろうウロエカへヒノア
神も人もモトヒモミカ原初からラカョシンゲ
我らの希望をヲウボキノラレワ貫く者にニノモクヌラツ
願いよ叶えエナカヨイガネ神の子よヨコノミカ!!!!』


剣を創り上げ華の者の天から切りつける。


ふわり花の匂いがした


++++++++++


ダンと音が立って、一瞬何が起きたのか分からなかった。
ペタペタと音が鳴る中、流石に堪えたと声が低い声がする。

ヒューヒューと息が鳴る、嗚呼これ色々折れてるなぁ
でも痛みなんて、一体しないの、なんでかな。

「まさか、一気に半円を逆にし廻廊を戻る感覚で力を凝縮して
覚醒させようとしたんだろうが、付け焼刃だったようだな。」
「っメル様!!」
『っげほ、っごほ』
「確かにあの閃きは流石に無かった。そこは褒め称えて良い。」

だが

『っぐ』
「お前の力量が私の上を凌駕した時の話だ。」

メルを庇おうとした者達がシャボン玉の様な球体に入る。
止めとけと割ろうとした者達に声を掛けた。

「なんで」
「このシャボン玉は彼女の気も混じっている。」
「……まさか」
「プラティアはメルの力を使って我々を閉じ込めた。」

つまり、彼女の中にもう、力は

「っくそ!!今すぐ出来るなら破壊したい…!!!」
「ビルス様落ち着いて下さい」
「お前はどうして…こ、う」
「落ち着いて」

それは、一種のおまじないのようにも感じ取る。
ウイスの冷たい目が、プラティアだけを見つめていた。
アレが自分の祖先だとは、ましてや、
兄弟の中でも、一番の姉だとは思いたくもないもので。

「ったく、本当に隙を与えると反撃が来るな。」
『っげほ、あ゛』
「このままお前を痛めつけても無意味だ。」

所詮雑草しか咲かせない私達そう笑う彼女に、
メルがそっとプラティアの方に手を伸ばす。
それに怒ったプラティアがダンと音を立てた。
メルの身体に重力をかける。

「お前は憐れだ。全部の世界で均等に愛され嫌われ。
それでもお前は愛されたよりも嫌われた場所に居座る。」

陽だまりから日陰に入って手を差し伸べる。
それは相応の強さが無いと二人とも死ぬことになる。
それか、自分は死んで置いて行けというのか。

それこそ、悪だと思わないのか。

泣いてるそう声が聞こえる。
何だと言い出した悟空だったが、
サワアの言葉で確信に変わる。

「…メル、貴方」
『(嗚呼、ごめん、ごめんって、プラティア。
貴方もずっと、忘れられて怖くて辛いんだろう?)』
「ダメです止めなさい」

そう言ったサワアの言葉になんて、気付かない。
これはメルの気が練りこんだもの。
プラティアが何を企んでいるかは知らないが、
彼女の心も、通じる、球体。

『(貴方に会った時怖かったなぁ。殺される感じがした。
まぁ実際馬鹿して死にかけてんだが。あ〜痛いほんと。
あれ痛み分からないのに痛いの定義とはこれ如何に。)』

話しが逸れていくのは彼女の良い所か、悪い所か。

『(周りの人が泣くのを私は許したくなかった。
でも貴方だって苦しくてそれから解放されたいのなら。)』

私は、貴方の願いを叶えたいなぁって、思うんだ。

狡い、狡いなあとメルの声が強くなる。
ほんと、私は狡いんだ。

『(誰一人の願いをも叶えたって、
私の願いなんて、何一つも叶わない。)』

嗚呼でもそれでいいんだって、思った。
ねぇ、プラティア、聞こえているでしょう?
気付いているのでしょう?私がまだ先があるって。

動じない貴方が、私に動じる。
それはすなわち、私に勝ち目がない。
それを否定したくて止めた。

封印されても尚、その時間を、追い求めた。
雑草同士とか言ったけど、それなら、どっちが強い?


私飲み込むのは上手なの。


でもね、それ以上に


『おきざりに』


そう微笑んだメルの身体が白い華に包まれた。