氷中花の見る夢
一通り浮遊出来だし、ある程度の動きが一定になった頃合い。
ビルス様に呼ばれて、メルはゆっくりとではあるも空を飛んで追い付く。
「おや、物にしましたねぇ。」
『がんばりました』
「では次の段階です。悟空さんベジータさん。」
「ん?」
「なんだ」
「メルさん、気を高めた神の域を見せて貰いましょう。」
『かみさま?悟空さん達は神様になれるの?』
「正確には神の域に到達した、と言っても過言じゃないだろうねえ。」
そう褒めるビルスに、照れるぞと悟空が笑う。
「お二人とも超サイヤ人ゴッドになれますか?」
「ああ」
『わわわ』
綺麗と言うメルの目には、二人が赤い髪色赤い瞳を宿した姿になっていた。
ソレをみて、ゾクリと身体が震える。違和感を感じたのは近くに居たウイスだ。
「メルさん?」
『…違う、赤?』
何かが声を掛けてくる。赤い色が、身体を浸食していくのが分かる。
手を前に出して、かざしたその瞬間に、音もなく出てきた者がいた。
「まだ駄目だよ」
『え?』
「まぁだ」
ちらりと赤い髪の毛の女性がウイスを睨む。
メルは赤髪の女性の方を見つめ続けていて。
「とったらだめ」
『で、も』
「まぁだ、ね?」
『…う、ん。』
「っメル!!!」
「…安心なさい、気を失っているだけです。」
失うと同時に、赤い髪の女性も消えて居なくなっていた。
「これ以上触れてくれるなと、いうのでしょうか。」
「…さっきのやつか」
「ええ、恐らく…警告、されましたね。」
触れようとした時、ギロリと睨まれた。
それは神か、いや
「とんでもない者を飼っているのですね、貴方は。」
「…ウイスさん、あいつは」
「少しすれば起きます。様子を見たいので近くの木に寝かせておきますよ。」
「でも」
「メルの力なの?」
「メリア、おめぇ気付いて。」
私の身体に入ってた子だもの。そう言ったメリアがねぇとウイスにいう。
メルはぐったりとウイスの身体の中で眠っていた。
「メルの力はその赤い髪の女性そのものじゃないの?」
「…恐らくはそうでしょうね。」
「なら」
「ですが、警告されたでしょう?今ではないと。」
「っ」
「神々に会わせる予定でしたが、少々狂いましたね。」
小出しというわけではありませんが、
来てもらう手筈に変えましょうと言ったウイスに
メリアはメルの傍によってメルの姿を見つめていた。
「メル、大丈夫、大丈夫だよ。」
「…」
「私は貴方に付いてくって決めた。例え貴方が、その赤い髪の人だったとしても。」
それでもいい。だって貴方は、その子も、お友達として一緒に居たいのでしょう?
傍に、ずっと、いっしょに。そう言うメリアに、そうだよと言わんばかりにメルはクスリと笑みを浮かべる。
それが答えだ。
「ウイスさん」
「なんでしょう」
「彼女に勝つ勝算は?」
「それは私が掟を破る前提で?それとも貴方達が戦う前提で?」
「全部」
「…一瞬でしたので、わかりませんが。」
ないでしょうねと言い切り、ウイスは悟空達の方に戻った。
だそうだよとメリアはメルの髪の毛を触って撫でる。
「こわくないよ。こわくない。」
そう言い聞かせるように、メルの傍に居続ける。
怖いのだろう、彼女が出てきて、彼女が大事な人達を殺しかねないことに。
だから、なるべく臆病で閉じこもって、人を避け続けた。
それは、自分の人生にすら、影響するものであって。
「だいじょうぶ」
そう言い聞かせたら、本当に大丈夫になる気がした。
++++++++++
「こらおきんか!!」
『んんだ!!!』
そうずつかれて起きるメルに、まったくと赤い髪が印象の彼女を見つけた。
『あ!さっきの!!!』
「ったく、お主という奴は奇想天外なことばかりをする。」
『え?なにを』
「まぁ深夜の一時間前は世話をする者じゃ。可能な限りの最後を瞬間的に捉える。
緊急事態といえばそうじゃが、無限を願う二重のリスクを考えておらん。」
加えて本当に記憶をなくしたと言われたら話にならんじゃろうがああああ
そう叫んだ彼女にメルは首を傾げるしかない。
「あの子さっきからあんなんばっかなの。」
『えっそうなのてか誰』
「僕がミシュメールだよっ☆」
『あっどうも、メルです。』
「おいこらあそこ!!話を聞かんか!!!」
誰だこの頑固おやじも納得しそうなくらいの頑固は。
と言うか深夜の一時間前とかなんだ。
色々突っ込みが追い付かない。
髪の長さはかなり長い。後ろに束ねることもなく、その髪を放置している。
ふわふわしている髪の毛だが、正確はふわふわと真逆だ。
「ったく、いよいよクライマックスという所でこういうドジを何故こやつはも〜〜〜〜!!!!」
『なんかごめんなさい?』
「そうじゃ謝れ!!!」
『ええ』
「貴方名前は?」
「うぐ」
それはとちらりメルを見てそっぽを向いた。
メルもまた彼女の姿をみて、こらっと言ってもメルを投げ出さずに押すだけだ。
『このはな…まさか』
「…っやめとけ。」
『でも』
「我を余り思い出すな。」
そっとメルの頬に触れる彼女は名を告げる。
「メル」
『え?』
「我の名じゃ。」
『貴方もメルなの!?!?』
「ま、間違ってはおらんからな!」
『正式名称をおしえんかい!!』
「誰がお主に話すか馬鹿垂れ!!!」
せっかく此処まで来てぱぁは許さんと怒る彼女に
此処までとメルが首を傾げる。
『そういや深夜の一時間前って、23時だけど、
えっでもこれ23回も続けるの!?!?』
「私第7だからなぁ。」
「そこら辺は知らん。じゃが警告を出した。」
『え誰に』
「天使に」
『…メル、貴方、何を知っているの?』
「お主は知らなくていい。」
寧ろ、知らない方がいい。そう言う彼女に、教えてよと近づく。
それにそっぽを向き、距離を取る。
『私貴方に護られる程弱くないってウイスさんも言ってた!』
「それはお主がちゃんと力を発揮して、
尚且つ使える程になれたら、の話じゃろうて。
お主に今渡せば気が触れて世界を壊しかねん。」
『え気だけに?』
「煩い!!」
その華知っているよとメルは言う。
『でも、言わない方がいい。でしょう?』
「…っ!!!……はっ、分かっておるならいい。」
『でも、貴方の名前がないのはなぁ。』
「お主、我ですら分離させるつもりか。」
『だってそうしないとお話出来ないもん!!』
はぁとため息を吐いた後、ぼそりと言う。
「カランチュリー」
『カランチュリ!!』
「分かったらさっさと戻ってやれ。外が騒がしくてかなわん。」
『え?外?』
「嗚呼早々、天使に告げておけ。」
『え?』
口の言葉を見て、メルは首を傾げつつも浮上する。
「っわああ目覚めたああああ」
『っあれ、私…』
「一週間も寝ていたんですよ。」
『え』
「全く、本気で腹をくくろうかと思っていました。」
そう言うウイスに、ごめんと身体を起こす。
ちらりと腰元が気になり、思い出す様に言う。
『ウイスさん』
「なんです?」
『”華の者時は満ち、約束は果たされる”
ね、この言葉天使の偉い人に言えって
伝言言付かったんだけど。』
どういうこと?そう言ったメルに、ウイスは固まり、ぽとりとリンゴを落とした。
『例え望まれなくてもって、どういうこと?』
「…伝えておきますね。それよりも、リンゴを食べませんか?」
落ちた方ではなく、まだ、落ちていない方を選んで渡す。
ウサギさんにしてくれているのは、なんでか知らない。
ウサギの形を知っていることも、気付かない方がいいと思い
メルはしゃくりと音を立ててリンゴを頬張った。
「おや、失礼。」
そう言ってウイスは席を外す。
暫くして、メルさんと声を掛けた。
「今日中に来客がありますが、構いませんか?」
『えっと…た、ぶん?」
「だそうです。ええ、ええ。お待ちしております。では。」
「誰が来るんですか?」
「ビルス様のお仲間、とでも仰りましょうか。」
ま、ビルス様は非常に苦手な部類の子ですが。
そう言った彼に、メルは首を傾げた。
数時間後、
メルは着物を着換えていた。
武術をする方ではなく、肩の出たあの衣装だ。
余りにも遅いので、花冠を作ってメルは頭に乗せていたところ。
「すいません、お待たせしました。」
『わわっわ!!!』
「……っ」
「失礼するぞ、第7」
「ええ、ようこそいらっしゃいました。」
白い髪の男性が此方を見て呆然としていた。
まるで夢でも見て居るかのようにしているのに、
黒髪の女性がサワアと声を掛けた。
「っ、すいません、失礼。」
「ったく、惚れたか?」
「っヘレス様!!!」
『えと、はじ、め、まして????』
「……ええ、初めまして。」
寂しそうにする感情をぐっと押し込めたような人だな。
意識を切り替えたのか、表情はウイスと変わらない。
第2宇宙の破壊神ヘレスと、付き人のサワア
そうウイスが説明するのに、初めましてとメルは答える。
『メルです。こっちはメリア。それでこっちは廻廊第7のミシュメール。』
「廻廊?」
「……ウイスさん、この件はご報告に?」
「一応していますよ。ま、その前に来られますがね。」
「っ大神官様!!!」
ヘレスやビルスが驚き伏せるにあたり、メルもぺたりと下に腰をついた。
首を傾げた後、真似するように頭を下げると、ぱたりと花冠が落ちる。
それに気付いたメルが落ちた花冠を取る。
頭にのせ、また真似をして落とすと繰り返し始めた所で構いませんよと大神官が答えた。
「メルさん、貴方はそのままで。」
『????』
「それにしても……ふむ。触っても構いませんか?」
『あ、いいですよ?花冠はいどうぞ!』
「っ!」
「っば!!!!」
構いませんよ。お預かりしますね。
そう笑う大神官に、きょとんとしていたメルの顔が変わる。
ぱあと花が咲いたように笑い、うんと笑ったのだ。
「ふむ、確かに。ウイスさんの仰る通りですね。」
「見えませんか?」
「ええ。しかもミシュメールさんと仰った方以外の記憶及び
メルさんの記憶ですらさかのぼることが不可能ですねえ。」
「大神官様、この方は」
「貴方方には余り説明していませんが、此方はメルさん。
大昔貴方達の元になった神の人間で間違いありませんよ。」
「いい!?!?!?」
はわ、やっぱり私神様ですか?
そう言うメルに、ええと微笑む大神官。
「何処まで思い出されていますか?」
『んん、あ!ウイスさんあの話って言いました?』
「え?ああいえ、まだですが。」
「なんです?」
「今朝目覚めたばかりにお話しされたことです。」
すいません急なことでぬかっていました。
いえいえ、それで?そう大神官がメルの方を向いて尋ねる。
『”例え望まれなくとも、華の者時は満ち、約束は果たされる”
そう天使のえら〜い人に伝えろって、カランチュが』
「カランチュ?」
『赤い髪の女性なんです!私の力を持ったとかなんとかなんとか?』
「っ、まさか…いや、そんな。」
「大神官様?」
「嗚呼すいません。…メルさん、その方とはお話できますか?」
『駄目です』
きっぱり言うメルに、駄目だとかあるのかとビルスが食いつくが
ぎろりと睨んだ大神官に身体を下した。
「なぜ?」
『なんか言ってました。言えば分かるって言う事聞かなくて……ごめんなさい。』
「いえ、成程、にしても困りましたねえ。」
「あの、どういう状況か分からないのですが。」
「ふむ、これはメルさんのお話ですし、」
彼女が本来知るべきこと。知って見つけるべきことです。
そう言う大神官はそっとメルに花冠を頭に乗せる。
「全貌は話せません。寝られてる時間が長かったので心配に来てみただけですし。」
お会いしたかった者もいますしね。
そう言ってサワアの方を向いた大神官に、ぐっとこらえてそっぽを向く。
『…どこかで会ったことはあるの分かるんです。』
「っ」
『ごめんなさい、でも何時か思い出します。』
「……メル、様」
『ん?』
「…いえ……分かりました。このサワア、お待ちしております。」
『はい!』
その姿をみて、クスリと笑った大神官は大丈夫そうですねと答える。
「この感じからして、様子見をしなくても構わないでしょう。」
「でしたら」
「ま、正式ではありませんが。」
そう言って大神官が指を鳴らす。
その合図に、大神官を円の中心にして人々が現れたではないか。
「お呼びですか」
「ええ、時間がずれて大変申し訳ありませんが、先にお伝えしておきたくてですね。」
『わわ、えっ!?えっ!?!?えっ?!?!?!?』
神様?!そう驚くメルが身体を経たせて周りをくるくるくるくる回る。
自分の所だけを回って、目が回らないのだろうか。
彼女はと声を掛ける者に、大神官がメルの隣に立ち、ビルスらは引いて距離を取った。
「この子はメルさん。華を咲かせ願いを叶える、原初の神様です。」
++++++++++
「華を、咲かせ?」
「そのような神様がいたのですか?」
「現在は絶滅しています。そう、そのはず、だったんですがねえ?」
『はわ』
「私も待ちすぎて忘れていました。そうですか、貴方はまだ、旅の途中なんですね?」
『あ、旅…そうだ!えと、えと大神官様!』
「はい、なんでしょう?」
『あのカランチュが言ってたんですけど、深夜の一時間前ってわかります?』
メルはこれがなんだか重要な気がしてならず、
思わず周りがいても話を続けた。
それに少しだけ目を開いた大神官がええと答えた。
「存じあげていますよ。そうですか、でしたらもうすぐですね。」
『ほえ?』
「あの〜私何処に行けば」
『あ!!メリアはこっち!!!』
「えっあっメル!??!?!」
浮遊したメルに、ばっと上に上がるメルの逆を見る。
下を履いていない可能性しかない彼女の行動に、動いたのだ。
勿論それは大正解で、全く考えずに浮遊したメル。
今度はちゃんと下を履かせなければとウイスは再確認した。
『大神官様!紹介します!!メリアです!!!!』
「メル?それ紹介じゃない。名前告げただけ。」
『ーーーー!!!!!!!!!!』
「っくくくく、構いませんよ。改めまして
初めましてメルさん、そしてメリアさん。大神官と申します。」
『〜〜〜メルです!こっちは華樹の記憶、第七章のミシュメール!!』
「かっ?!?!」
『んん?』
「続けて良いですよ。」
何か変なことを言っただろうかと首を傾げたメルに
大神官は続けてと催促を促した。
『あとよくわからないカランチュと、仲のいい魂達です!!』
「ええ、では私も紹介しますね。この者達が現在の神々です。」
そう言って周りを見渡す大神官にメルも目を周りに戻す。
『えと、三人?あれ?ウイスさんが…え?いっぴきにひきさんびき…!!!!!』
「っ」
「大神官様」
「すいません、いやいや、本当にお変わりないようで安心しましたよ。」
『え???んん?????おお??????』
「この宇宙には12もの宇宙が存在します。
各宇宙一つにつき、破壊神、天使、界王神を
一人ずつ任命し管理させているのです。」
『ってことは滅茶苦茶偉いのでは?』
「ちなみにそちらにおられる方は我々天使の親である大神官様ですよ。」
『ってことは滅茶苦茶強いのでは?』
「っくくく、そうでもないですよ。」
貴方程ではありません。そう言う彼に、メルは少したじろぐ。
「お名前や自己紹介は後々します。一応顔を見せておいた方がいいと思いまして。」
「なるほど、招集された意味が分かりました。」
『んん、こうやってみるとやっぱり天使さん兄弟?』
「おや、お気づきになられたんですね?そうですよ、彼らは私の子供です。」
『……えっ待っ、え???』
「メル?どうしたの?」
『…お兄ちゃんとお姉ちゃんより取り見取りじゃんいいなウイスさん。』
「ぶっ」
流石に今度こそは笑ってしまうしかない。
クスクスと笑う周りにメルも笑ってしまった。
「ですが、華神であれば華はどうしたんです?」
「まだ見習いですよ、コルン。」
『ども?あっおはなぁ』
「…さようですか。」
コルンにお辞儀をしたメルが花冠を落とし、ソレを拾い頭に付ける。
そのしぐさを見てコルンだけでなく皆も何となく把握した。
彼女の現状を、そしてそれがどれ程の因子になるかも。
「消滅などはお考えにならないんですか?」
『しょうめつ?』
「跡形もなく消えてなくなることですよ。
今のところするつもりはありません。
というか、本来の華神である方は殺せませんから。」
「どういうことですか、破壊が出来ないと?」
「恐らく破壊不可能の対象です。」
本来の、生まれ変わりでもなければ、ね。
そう言った大神官に、メルはあとずさり距離を取った。
胸元をぎゅっと抱きしめるその手は、彼女らを守ろうとしているのか。
それとも。
「…華神は華に願い力を持つ者達です。
素質がある、というよりかは、そもそも華神であるはずなのです。」
『私が?』
「ええ、私が。」
『はわ〜〜〜でもあ、メリアそう言えば蕾出してたよね?メリアもですか?』
「ええ、充分に可能性はありますよ?選ばれし廻廊の人間なら、ね?」
「…やはり、私は彼女の生贄ということであっているんですね?」
その言葉に、何も言わない大神官に、メリアは確信した。
自分が否定しようが何しようが、これは決まったことだと。
ちらりとメルを見て、不安そうな顔をしたのに、目を落とす。
『…メリアを、外すとなれば、メリアは楽しく生きれますか?』
「っメル!!!」
「恐らく外すなどは不可能です。決められた枠に決まっています。」
『…そっかあ』
「いいのよ、メル。」
『でも、お仕事戻りたくないの?』
「私は一度死んだ身。蕾を咲かせ、
この場に入れる時点で、
もう元の生活なんて不可能なのよ。」
「彼女の仰る通りですよメルさん。」
彼女は覚悟を決めてこの地に居ます。
そう言った彼に、覚悟とメルは復唱する。
「ええ、そうです。その姿は殆どがウイスさんの作った
依り代という肉体を持っていますが、
貴方程の力であれば、普通に肉体を持って
移動できることが可能になるでしょう。」
『…メリアは、死にませんか?』
「メル…」
『こんな、沢山神様がいても、駄目なんですか?』
「……っ」
急に怖くなったのだ。
これほどの神様がいて、天使がいて、
それでも足りない宇宙なんてあるのかと。
もう死んだ一人もいない場所に、
これから彼女も連れていかねばならないのかと。
『たとえ一緒でも、自由がないならそれは監獄と同意義です。』
「…私は決めた。それではだめ?」
『…でも、いつかきっと、後悔するよ?』
「しない。してもそれは、貴方を説得できなかったに過ぎないわ。」
そう言ってメリアは手を繋ぐ。
ね?というメリアに、うんとメルは頷き、笑みを戻した。
「…メリアさんでしたか」
「はい」
「いい心を、魂を、お持ちのようで安心しました。
メルさんを、彼女をお願いしますね。」
「〜〜〜〜っはい!!喜んで。」
『ねぇ、ウイスさん』
いいですよ発言してと言う大神官に、ウイスはなんでしょうとメルに向けて答える。
『確か気ってさ、貴方が私にしたこれみたいなやつでも出来る?』
「ええ、というか近いといいますか、そうといいますか。」
『気って集中して、ようは想像力の塊ってやつでしょう?』
「…メルさん、お待ちください何をするかご存じで?」
『えへ!ねぇ出て来てよ!!ミシュメール!カランチュ!!!』
「わっ!!!」
「お!??!?!」
そう空に両手を広げてとんだメルの空には、
ぽんぽんと音を立てて二人が出てきたではないか。
それに多くの者達が叫び声を上げて立ち尽くしていた。
「わぷっ」
「っ阿保たれ!!!」
『ふんぎゅ!!あ、れ?からだ、どうして』
「メル!?!?」
「ったく、するなと言っておったことしかお主はせんのか!!!!!」
赤髪の女性がメルの首根っこを掴み、気を送る。
それにいきかえったああとメルが嬉しそうに笑う。
まるで疲れた体を温泉に浸かって癒すようにいうのだ。
「えと…お久しぶりです?初めまして?ミシュメール、です。」
「…カランチュだ。うちのせがれというか、こいつが世話になる。」
「大神官です。言伝はお預かりしましたよ?カランチュさん。」
「……我は暫くもう出ないぞ。こいつのお守りに忙しいんでな。」
「ええ、寧ろお会いしてこうやってお話出来ること、奇跡のようですよ。」
ちらりとミシュメールを見て笑う大神官にミシュメールは首を傾げた後ニコリと笑う。
「メル」
『ふえ』
「お前はこれから、多くの現実を知る。」
「…カランチュ」
そうミシュメールの言葉を無視して続けて言う。
メルは地面に倒れて仰向けになってカランチュの言葉を聞いていた。
カランチュはメルの腰元で跨ぎ、自身の腰に手を当てて
メルを見るために身体を少し折り曲げて言うのだ。
「数多もの感情に触れ、大きな力に呑まれるかもしれない。」
『…からん、ちゅ?』
「そうしてもお前は此処に戻る。まぁ今回は早過ぎる戻りだがな。」
『なにをいってるの?』
「その心を育てろというのじゃ。華神になり、華を活かし続ける。」
それが、お主の生きる道だ。
そう言ったカランチュに、生きる道と起き上がりながら言うメルに
カランチュはすっと空に飛ぶ。
「ま、お主らにとっても最終的に利益のあることになるじゃろう。」
「…厄災をもたらすのでは?」
「コルン」
「それはお主らが育てる次第による。
こやつは誰がどう言おうと曲がらない。
見たもの全てを知りすくすくと上に育つ。」
「成程、我々の姿を見て、育った行き先が曲がっていれば、
それ即ち、我々の宇宙ら全てが悪かったと。」
そうおっしゃるのですねそう言った彼に、そうだと答える。
「華は前しか見ない。よって、一つの道しか見ない。」
『でも、カランチュが居れば大丈夫だよ?』
「…違う、ちがうんじゃよ、メル。」
『?』
「ま、忠告と告げはしたぞ?大神官。」
「ええ、ご忠告承りました。」
「メル」
『はあい』
そう手を挙げたメルに、ふわりとカランチュが下に降りた。
同じ目線に浮遊したまま、大丈夫と答える。
「我々は何時だって、お主の味方であり続ける。」
『…から、んちゅ』
「…私も。も〜どろっと!!」
『わわ!!!』
そう飛んで入ってったメルの胸に、なになにとメルは慌てる。
「戻っちゃったねぇ。」
『戻っちゃった!!!』
「華神は華を咲かせ、願いを言います。
蕾を咲かせたということは、
それ相応の願いが通ずるということ。」
「大神官様…」
「メルさん」
『はい』
「今度はうちに来てください。お待ちしておりますので。」
『はあい!!』
くすりと笑った大神官は目を閉じた後、指を鳴らす。
それと同時に、各宇宙の神が消え去ったのだ。
『はわ、すげえった』
「メルさん????何をしていらっしゃるんです????」
『えとお?』
酷く恐ろしいウイスに、メルだけでなくメリアもたじろぐ。
「お説教です」
『びえ』