らしくない





「仮の華神星!?」
「ええ、貴方の見習いとしての努力が報われましてね。」

どうされます?
そう言われてうんと頷きなりますという。
それに、ちらりとルトラールがラストリアを見る。

それには少し目を落としたあと、こくりと頷くしかない。
現在外ではかなりの厳しい戦いが続けられていた。

そんな中、ぱっと現れたのはいつも通り練習してくれていたティーナだ。

「おう、お前らよ。」
「こんにちは、ティーナ。」
「芽瑠、お前星を持ったって聞いたから」

来てみたがと周りを見渡す。

それは大きな樹に、広い花畑と、
青い空が空を見渡す限り広がっていた。


「へ〜良い処じゃねぇか。お前んところの弟子の星は。」
「へへ〜そうでしょう?そうでしょう?」

もっと褒めて下さってもいいのですよ?ティーナ。
そうデレデレになるラストリアに芽瑠は苦笑いしつつ
ティーナと呼ばれた方を見る。

「あのなぁ〜アタシが褒めるだなんて
天地がひっくり返ってもねぇことだぞ?」
「あらそう?よく褒めて下さるのに。」
「…おい付き人」
「なんでしょう」
「…大丈夫か?色々と。」
「ええ、最近は胃も痛みを感じなくなりましたので。」
「いやそりゃ駄目だろ。」

あとお前胃とかねぇだろ。
そう言ったティーナにそれもそうでしたねと
さらっと答える付き人のトレイーズ。

加護天使でも、人間のような臓器は持ち合わせていない。
意味をなさないからというのもあるが、
華神が決まり的にも臓器が要らないのにあるのは
人間が依り代になっているからであってだな。

つまりそれからも外れた加護天使に食事なんて
本当に不必要以外何物でもないというものだ。


「そう言えば、ラストリア様」
「なんです?」
「芽瑠様の稽古を相手するのが面倒になって
他の宇宙の神々に委ねたなんて」
「トレイーズ」
「はっ」
「技は一つに限れば死んでしまいます。」
「…面倒だったのですね。」
「なんのことでしょう?」

とぼけないで下さい。

そう言った彼の声に被せて
いや〜〜〜と泣き叫ぶ芽瑠の声が聞こえる。
炎を手から出して燃やしているのだ。


まぁ木々を生やし直すなり時間を戻すなり
すれば全く問題のないことなのだが。

芽瑠はそうもいっていられないらしい。
喧嘩に腕で殴りかかって軽くデコピンを喰らい
後ろに下がって尻餅をついて半泣き状態だ。

「ほら、もっとかかってこい。」
「う〜〜〜〜!!!!」
「アレでは赤子ですね…」
「お恥ずかしい。」
「っくく、第七宇宙の神は面白いですねぇ」
「リフレイお兄様…」
「褒めているのですよ?あんなに感情を
むき出しにして立ち向かう等とは。」

半泣きどころか涙が出ている芽瑠に対し
もう少し冷静になって力を使えば反撃も可能だろうにと
言ったリフレイにそれは無いとルトラールが答えた。

「え?」
「彼女は何に対して怒っていると思います?」
「いや、自分を侮辱されたに決まっているでしょう?」
「いえ…」
「お花焼かないで!うちのラスねぇを悪く言わないで!!!!」


「あの子は自分以外の侮辱を決して許さないのです。
あと暫く口を聞かなくなりますし泣き喚きます。」
「あ、赤子……」
「ご自分の侮辱はいいのかと聞いたんですがねぇ…」

ーいいの、私はそう言われても当然なの。

だって私は罪を犯したの。

「…罪?」
「ええ、この世界はあの子からしたら
まだ戻れるとお考えなのでしょう。」
「…まさか、まだ言っていないというのですか?」
「言う機会を逃し続けているだけですよ。」


華神に選ばれてしまった者は、
もう戻ることは許されないのだと。

元いた世界に、戻れないのだと。


「…此処は煉獄、最果ての場所。
罪を償えば天国に、元在る場所に
戻れると言って泣くのですから、
真実を言える訳がないでしょう。」
「それは、まぁ」
「それに、私は見てみたいのです。」


彼女が見るその世界を。

綺麗な眼を永遠に維持出来るその感情を。


「ルトラール、様、貴方まさか彼女が貴方の本当の」
「ま、戦闘能力は点でないので」
「ああああああいだいいいいいい」
「ああやって皆様に可愛がられてもらえればと思っている次第です。」
「お前…色々苦労しているんだな。」


なんのことでしょう?

そう微笑むルトラールに
びくりとトレイーズが反応した。

大方世話を焼かれてストレスが溜まっているのだろう。
普段は泣くことは無いのかと聞けばよくあるのだとか。


「帰りたい、でも帰れないと夜には泣きますよ。」
「赤子」
「手を捻れば死んでしまう位には
細いのでお食事を出すのですが」
「えっ…まさか、」
「ええ口にほぼしません。なんなら最近
やっと一品食べるようになってくれました。」
「……マジで言ってる?」


ええ。だから動かせばお腹がすくかとおもいまして。


そう言った彼に、リフレイは芽瑠を見た。
あれから、彼女がこの場所に降りてきてから
早くも二週間は立つ。

その間殆ど飯を食わずに飲みもほぼせずに生き続けて
体内にあるエネルギーを使い続けていたのか?


嗚呼成程とウイスがぼやく。

「貴方が食を拒絶するのは此処だったのですね。
元の場所に帰るその日の為に。」
『…ウイスさまぁ〜』
「ふふ、可愛らしいお願いではありませんか。」
『恥ずかしいよ』
「おや、今更です?」

そっぽを向くメルに、おほほとウイスは笑う。


「それでふらふらと」
「流石に体力も付きませんので、栄養をと考えるのですが」
「好き嫌い激しいのか」
「ええ、何なら嫌いな物を入れたと
判別できれば口を聞いてくれません。」
「いやマジでほんとに赤子だな」


聞けば聞くほど赤子にひくしかない彼らに
分かってもらえますかこの苦労がと
ルトラールはぼやく

それにはウイスがぶんぶんと首を縦に振った。
経験者の語る重さは重いのだ。


「確かに分かられているんですよ。
動きも、ちゃんと憶えは良い方です。」
「良い子でしょうしね。」
「ええ」
「ティーナ様も久しぶりに嬉しそうです。」
「そうですか?」
「ええ、そもそもあのお方が自ら行くと言って
他の華神候補の方の面倒を見るなんて、
正直言いますと、死んでも在り得ないと思ってました。」


それこそ…彼女の力なのだろう。
そう言った彼に杖をすっと横に倒す。


「アレは私の者ですよ?そこら辺お間違えないように。」
「…これは失敬、狙った訳ではありません。
お子を楽しみにしておりますよ?御父上?」
「なっ!!」
「リフレイ!!こいつ駄目だ!!
やっぱり基礎は多少つけても付け焼き刃に錆だ!!」
「それは最早最初から終わっているのでは?」

もうばてて動かなくなった芽瑠にティーナは文句を言いながらも
宙に胡坐をかいて喋る。

「だってあんだけ鍛えても体力がつかねぇ!
基礎の動きで何とか体力のカバーをしているに過ぎねぇから
筋肉も無いのに使うわ、使えねぇからって
他の部位でカバーして追い打ちをかけるわで
それ以外のいいかたが分からねぇんだよ!!!
うちの宇宙の方がまだマシだぞ!?」


「そりゃ貴方が毎日あの子らを血眼で追いかけているからでしょうが。」


そう言った彼に芽瑠がびくりと反応して飛び起きた。
あ、絶対想像したな。そう見ていた一同は思った。
勿論ティーナを除いて。

「全く、そんな動きをするから
無駄があると言われるのですよ?ティーナ」

もう少し私の対として凛と動いて下さらないと。
そうぷりぷりと怒る彼女にあの人は?と芽瑠はラストリアに聞く。

「あのお方はティーナ様の対の宇宙にいらっしゃります。
第八宇宙の華神、ハシュクロード様です。」
「は、く…?」
「好きに呼んで頂いて結構ですよ。」
「じゃあ間を取ってハク様?」
「ぷっ、はははは!いいじゃねぇか!
ハク様か!ネーミングいいな!
ハシュ、お前いっつも酒弱くて
一滴ですらゲロ吐くからな!!」

お似合いだぜと言って笑った
彼女に対して宙を浮かせ
光の粒を周りに蔓延らせる。

「本当に口を慎みなさい。
全くもう、貴方と言う子は、新しい期待の新人が
第七宇宙の華神候補に教育上よろしくない知識は
言わなくてよろしいのですよ??」
「だってじじっ」
「何か言いました?」
「い、いいえなんでも」

強い。そう芽瑠は感じた。
ハシュクロードは右目が金色で、左が紺色の白髪を纏った女性だ。
ふわりと後ろに結った髪が地面に降りると同時に落ちる。

「初めましてだよね、芽瑠と言うのは君か。」
「はい、芽瑠です。ハシュクロード様。」
「お前華神の名は考えているのか?」
「華神の?」
「我々全員本名ではないのですよ。」

そもそも本名を言ったら命を刈り取られるに等しいからなと言うのはティーナだ。

「本名は極力知り合いですら言わねぇ方がいい。」
「え?どうして」
「その華の共有度が高ぶるからだ。」
「どうしてだめなの?」
「ペナルティーとして華を喰った時、
別の人が貴方の後に喰って願えば
その願いが強くなる可能性が高くなるというのです。
一応言っておきますが、
天使で千年は眠らせることが可能ですよ。」
「え」
「ま自業自得というものですが。」

それ普通に駄目では。そう言う芽瑠に、
だからですとラストリアは答える。

「本名全てを発現するのは命を渡すに等しい存在。」
「なんでアタシ達は華にとある言語を交えたもので統一している。」

他の各代の華神らもそうだろうがな。
そういったティーナが付き人を見る。
アタシ達の前の代は息継と言ったかという。

「あっていますよ。」
「いきつぎ?」
「代々強い華神らが確定で決まり、長く居た者達の称号です。
私達は確定され、現在最果てという称号を貰っているのです。」
「ま、お前が華神になったら次の代の称号に変わるだろうがな。」
「はわ」

その前はなんでしたかねぇ

「原初ですよ」
「げんしょ」
「始まりと言われる者達です。」
「じゃ、お前が次なるとしたら【終焉】だな。」
「え?なんでですか!終焉って終わりって意味でしょう!?」
「お前この仕組みを持っていけるか?」
「うぐっ」
「どうせお前のことだ。その身に焦がした願いを最後に続けて綺麗に閉じることだろう。」

そうして、新しい道を開拓する。

「華神らがつづった、あの伝説と呼ばれる力を。」
「伝説?」
「蔦を生やし、数多もの光を使って大地を鎮めると呼ばれるものです。
その中にはいれば、人も天使も全ての生きとし生けるものは生命を停止させるとか。」
「いい!?!?!?」
「ま、言い伝えに近いものです。」
「私そんな強くなれないよティーナさまあ」
「なれないんじゃない、なるんだ!!」
「びえ」

ま、そんな話はさておいて、という。
ハシュクロードの方を向き直す。

「彼女は夢幻を司る神様です。」
「むげん?」
「ええ、目覚めている方には幻を、
寝ている方には夢を見させる神様で…」

あっちょ、そう止めようとして止めれなかった
ルトラールに対し、芽瑠はあの!と声を掛けた。

「わ、私に…その、」
「…何か見たい幻でもあるのですか?」
「っ!!」
「構いませんよ」
「っおいハシュ!!」
「その代わり、貴方の想いが此方にも伝わります。」

それでもいいのですか?
そう言った彼女にそれはと困り俯く。

「良いですか?芽瑠、貴方はとてもお強い。」
「そんな、ティーナ様や貴方の方が」
「謙遜をなさらないで下さい。
私は願いが強い子が分かるのです。
どんな人でも、必ず視えるのです。」

ならば、

「ですが、貴方は見えない。」
「え?」
「願いが無いのか、はたまたその願いが膨大過ぎて
私の技量を遥かに上回っているのか。」


それとも、逸脱した、何者なのか。

そういったハシュクロードが、ちらりと此方を見る。
ニヤリと笑われた気がして、ゾクリと背筋が凍る。
この場所を見れる訳もない。だって、これは過去の記憶だ。

なのにまるで此処が分かるかの様に笑った。


「さ、流石にそれはねぇだろ!!
だってお前この宇宙で1番に強いだろ!?」
『えっ!?』
「それは昔の話ですよ。
つい最近変わりましたし、これからも衰えます。」


芽瑠の姿をみながら、胸をさすり嘆くようにぼやく


「それに、私はもう、充分なのですから。」


いきなり光り輝いた彼女に対し、芽瑠は驚き手を取る。
駄目だと言って引き剥がそうとしたティーナに対し
良いのですと首を横に振る。


「良いですか?芽瑠、囚われてはなりません。」
「っ、わた」
「貴方が何かをしたからこうなったのではありません。
私はもう寿命でしたし、何もなく死ぬくらいならば
貴方のお勉強として役に立てて死にたかったのですから。」
「…ハシュ」

「ティーナ、この子は本当にお強い。
貴方もこの子を強く育てるのですよ。
ラストリア様」

「はい」


「とても、とても良い方に恵まれましたね。」


こんなに心優しく穏やかな夢は初めて見れました。
そう微笑んだ彼女に、ラストリアは微笑み答える。

「ええ、自慢の弟子なので!!」
「ラストリア様…」
「良いですか?芽瑠、その夢に、幻に囚われてはなりません。」
「でも、願いを想うには、」
「確かに強く願うなら固執するのも手です。
でも離れられなくなる程周りを見えなくさせるとは違います。
貴方の夢幻が、永久に続くように、私は【祈っています】」
「っ!?ハシュクロード!!!」

そうメルの前で胸に手を組み、祈る彼女に怒りを露わにする。
光が彼女を包み込み、良いことですねと嬉しそうに呟く。

「貴方は…嗚呼、そうですか、そうだったのですね。」
「ハク様…」
「本当に…貴方はお強い。」

その願いがどれ程の力なのか、今ひしひしと伝わります。

そう言って芽瑠の手を取り花が変化する。
股に咲いていた白いハナシュクシャから
更に白い八枚の花を咲かせ、
芽瑠を抱きしめながら小さく零す。

「い、つか、あえ、れば」
「は、しゅ」
「だい、じょう」

そう泡のように消えた彼女に、
芽瑠は支えていた手が宙に浮いている事に気が付いた。
彼女は何故消えたのか、そう言った芽瑠にティーナが答えた。

「……華神はな、願いを捧げた人の末路だ。
その願いが叶うまで、ずっと苦しみ続けて生き続ける。
それ以外は死なない。そう、願いを持ち続ければの話だが。」
「え」
「あいつは、残り少ない力をお前に託したんだ。」

華神は違う願いを携え口にする事で消滅を意味する。

「花は冥途の土産って奴だ。」
「そ、んな、私、なんて」
「あいつが何を見て託したかは知らねぇ。
だが卑下するなと言われただろ。」
「でも」
「シャムソケイ、
アタシから言える言葉はこれだけだ。
…帰るぞ。」

そう言われて帰っていった彼女に
芽瑠は未だ宙に浮いた手を見ている事しか出来なかった。
















「まだ、お気持ちが揺らいでおられるのですか?」
「…ルト、ラー、ル、さん」
「はぁ、私の名前はルトラールです。
さん付けは良いとあれ程言ったのですが。」

ま、無理もありませんか。
そう芽瑠の頭をぽんぽんと撫でる。
ぼたぼたと涙を流し続けていたのだ。

ベットの上で、花の辞書を開いて

「シャムソケイ、ですか。」
「うん」
「何か分かりましたか?」
「…うん」
「…華神は死ぬとき、その人の感情を知り、
死ぬ瞬間の言葉を花として咲かせて
その世界から旅立ちます。」

ぼたぼた零れる涙を手で掬いとる。
濁りもしない、ただ透き通った青い目が
紫色の光を見つめる。

最初に見た時から少し瘦せている。

まぁ無理もない、何処かも分からない場所に逃げてきて
初めて会った人をこの手で死なせたようなものだったのだ。

「愛らしさ、愛嬌、温和…貴方の夢を幻を見て
あの方はそう告げているのです。」
「っでも」
「確かに悲しいでしょう、ですがそんな素直な貴方に
あのお方はずっと居て欲しいと願って消えたでしょうか?」

そう言うと芽瑠は首をふるふると横に振った。
何時もは駄々をこねてばかりだが
こういう時は本当にだんまりで、彼女の気持ちを思い知る。

「一つ貴方に贈ったメッセージがあるではないですか」
「…貴方は私の?」
「いえ、其方では無くてですね。」

流石に愛を通す様な方ではないと知る
ルトラールに芽瑠は首を傾げた。

「…「私は貴方について行く」貴方の願いを
見て触れて知って、決意したのです。
芽瑠様、貴方が自身を卑下する。
と、言うことはあのお方を侮辱するも同然。」
「っ駄目!!」


そう飛びついた芽瑠に、ええと頷き
芽瑠の肩をそっと触り落ち着かせる。


「ええ、そうでしょう?ならどうしましょう?」
「え、えと、えと、その、ひ、げしない?」
「ええ。」
「も、と、じ、しん?もつ」
「ええええ、そのいきです。確かに想い泣くのは大変お優しい。
ですがそれだけで終われば、あのお方は泣いてしまわれます。」

駄目!そうルトラールの手を掴み叫ぶ芽瑠に
ほぉら、泣き止んだと嬉しそうにルトラールは微笑んだ。


大神官様が許可を得ただけはある。

彼女は知れば知る程優しい子だと分かる。
心を見なくても、彼女は良く笑うし、よく泣く。


感情豊かな人間で、人想いの優しい人間なのだ。

だから、少しでも軽くなればと寄り添う。
これは仕事だから、付き人だから。
そう思い聞かせて、ベットに座りなおす。



ぎしりと音が鳴る。


「ええ」
「私の、意志に、ついて行くって、きめ、たから
私が、頑張って、えと」
「どう頑張りましょう?」
「あう」
「っくく、お腹空きましたね。今お食事にします。」
「で、でも」
「食べたい時に食べましょう。」

今はそれだけでよいのです。
そう笑ったルトラールに
芽瑠はようやく笑って答えた。

「…まいって死んでしまうかと思いましたが、
どうやら杞憂だったようですね。」

本当に人にしてはタフである。
人の死を目の当たりにして、
泣いて困っているだけで済むとは。

死んだ彼女の言う通り、芽瑠はとても強い。
恐らく、器が小さいのではなく、
見えない処まで器があるのだろう。

「種の花言葉をご存知でしょうか、芽瑠様。」



気品ある、立派なと言う意味があるのですよ?



無邪気に笑って素直に生き続ける
貴方のその夢が素敵で
その素直な感情を、どうか守って欲しい。
貴方のその願いに、賛成して、ついていきます。


だから、どうか


「…ええ、立派に育ちます。育ててみせますよ。」





その間、優しい夢を見ていられますように。




そうルトラールは誰もいない廊下を歩きながらぼやいた。
何時か生きて居た彼女に、向けて。
彼女は嬉しそうに笑った、気がした。