自己告発
「それ、お姉ちゃんと同じことになっちゃうってことだよね?」
前回のあらすじ
芽瑠が魔女に唆されてました
以上
「は?っぐ」
「アイビー!?!?!?」
「なっ」
「あのお姉ちゃんと同じはさせない。
私は何度だって繰り返すし、何度だって祈る。」
「芽瑠…!!!」
「今も私の中で生きている、生きようと懸命に動いてる!!!
その力を命を一つも無駄になんてしたくないし、するつもりはない!!」
少なくとも、この身体で居る限りの私ならば。
お願い、どうか、この一瞬だけでいい。
もう彼女達に会えなくたって、構わない。
彼女達が幸せに日向で笑っている中に。
私はいなくて、外に外されたって。
綺麗な額縁の中を眺める子を見つける。
その子の目を、見た。
「華よ!神よ!!願いを継げよ!!!
このっ、代償与えて、お願い!聞いて!!!」
「っ」
「待ちなさい」
「ですが!!!」
「やらせてこの場は逃げるのです。ほらほら」
「っですがせっかくのチャンスが」
「寧ろチャンスが来た。作ったのです。」
「は?」
「あの詠唱をすればもう、我らの仕事は終わり。撤収ですよ!!!」
そう言ったアイビーに各々が消える。
逃がさないというギロリと目が睨む。
その目に、アイビーはゾクリと背筋が躍る。
「嗚呼、その目を、何時でもお待ちしておりますよ?お嬢さん?」
「”この者達に、もう一度華を咲かせて”」
その言葉に、キンと音が鳴り世界が変化する。
空は未だ、青くなっていない世界にぽつりといる。
「…っこ、れは」
「…お前おい、お前ふざけんじゃねぇ!!!」
「ティーナ!!」
ぶん殴ったティーナに、ラストリアが止める。
芽瑠はそっと起き上がり、へらりと笑った。
「〜〜〜〜っお前アタシらががんばっ、ぐ」
「ティーナ!!!」
「へへ、やっ、ちゃった」
「ええ、大馬鹿者ですね。」
「ルトラール、おまえ」
「すいません、本当に、遅くなりました。」
かなりの際どいものを相手していましたので。
時間が予想以上にかかりましてね。
そう言ってしゃがむルトラールが目にしたのは。
「…ムラサキカタバミですか。
いよいよ本当に大馬鹿者になりましたね。」
「っはは、ええ?いま、それいう?」
「何なら何度だって言ってやりますよ?
というか敬語使わなくてもいいくらいですよ。」
癖なのでもう使っていますが。
そう言うルトラールに、芽瑠はけたけた笑う。
「願いを捧げてしまったのですね。」
「うん」
「…貴方は其処に居ないのですよ。」
「うん」
「…我々は貴方に置いて行かれるのです。」
「ごめ、んね?」
「…許しません」
だから、そう言ったルトラールが芽瑠の腰に咲いた華を千切って笑った。
「貴方の願い、私が断ちます」
ぐぢゃりという音には、眠ろうとしていた芽瑠も飛び起きる。
「っだめ!そんな」
「私達加護天使は貴方方華神をお守りする身。
加えて貴方はこの世界で唯一の存在。
貴方が此処で華を散り消滅して消えるには惜しい。」
それに
「要らぬ呪いをかけた奴の浄化をするだけです。
貴方の願いは、彼女達の意思で何とかなります。」
「…いや、どうだか、な?」
「え?」
「アタシ達も同じなら、どうなる?」
そう言って全員同時に華を喰らう。
その光景には、ルトラールも花弁一片落とした。
「はああああああああああああああああ!?!?!?」
「っはははは、う〜〜〜わぁ!!!すっげえ、かお!!!!」
「こっっの馬鹿者!!!何を同時にしてるんですか!!!!」
「一度にする試し此処しか出来ないものね」
「ええ、私達の願いは一つしかない。」
「「「「”芽瑠を次の世界にどうか送って欲しい”」」」」
願わくば
「”この廻廊が終焉を迎えるその時まで”」
それは、彼女が最後まで何が何でも辿り着く魔法の呪文であって。
「……は、あ、、きれた。」
彼女がこの先どんな目にあったとしても
途中で終わらせない願いを束ねて言い切ったのだ。
貴方達、今まで理解していたのですか。
そう目を開いて驚くルトラールに、
嗚呼とニカりと笑ってティーナが答えた。
「あんたらがこそこそするからな」
「女の勘は的中良いんですよ。」
「いや、的中良いとかそういう次元越えて恐怖ですよ。」
こんなの貴方達の付き人が知ったら
心臓飛び跳ねるものですから。
そういうルトラールに、やったなとティーナが笑う。
「流石に華神4人分だったらいけるだろ」
「いや、いけるどころか、過剰すぎますって。」
ましてや、感情、炎、植物の三つが合わさっているんです。
とんでもない力になっているの分からないんですか。
そう呆れて腰が抜けたのか、その場に腰を下ろし
地に手をついて首を横に振るルトラール。
「はは、なら、いい。」
「〜〜〜っばか」
「おまえが馬鹿なことすっからだろ」
ティーナの手を取り頬に摺り寄せる。
芽瑠の身体が綺麗に泡となりつつある。
これは、そう、決まりであるのだ。
「いい加減退職させてやれ」
「っやだ!!!」
「ふはっ、いやだとよ?おとうさん?」
「…消滅させますよ?」
「お〜こえぇ〜!だが、消滅よりもねんねが地獄だろ。」
「ま、そうですねえ。にしてもどうするんです?この状況下。
私は一体誰に報告したらいいのですか。本当に退職させて欲しい。」
「っははははっ!!!は〜〜〜あ。た〜のしい。」
笑うティーナに、芽瑠も思わず笑ってしまう。
「やあだ。ずっといて?」
「……ほんと、子供みたいにいいますね?」
「大前提でお前の子供だろうに。」
「煩い」
笑うルトラールに、芽瑠は涙を流す。
泣き虫が移ってしまいましたとルトラールは嘆く。
「…やはり貴方は華神に相応しい。
次も、そのまた次も、その努力は身に力になる。
引き継いで、誰もを救ってきてください。」
「だ、め…る、とが、」
「私は彼女らの面倒を見なければならなくなりました。
寂しければ、夢の中だけならば、喜んで出ていきましょう。
…それが、許されるのであれば。何時かそう、何時か。
貴方の夢に、私が今度は迷い込んで差し上げます。」
貴方が此処に、迷い込んできたあの日の様に。
私が貴方の居場所に、迷い込んで差し上げるのです。
これ程の我儘、他の子達が願っても叶えられないというもの。
だから、願いを叶えて下さい。華神様。
どうか貴方は、嗚呼
そう言ったルトラールに芽瑠が悲鳴を上げる。
血塗れになった手で、彼の頬を触る。
「願いを叶えて下さい。」
【どうか
私を忘れて笑ってくれれば、それだけでいいのです。
ぽたぽたと落ちる雫に光が宿り始める。
駄目だと言う芽瑠の制止を聞かない。
庇ったというのに消える彼に声が上がる。
「や、だ、いや、ると、ねぇ、おねが」
「嫌です、聞き入れません。」
おいて、いかない、で。
そう涙を零して目を閉じた彼女に
ルトラールは涙を零し、謝罪した。
申し訳ありません、お許しください。
そう意識を失った子を抱きかかえた後、地面に降ろす。
其処は、
「………っ、ほら、貴方が好きな、花々ですよ。
クローバーに、ほらシロツメクサも咲いています。
貴方が好きだと言った、ムラサキカタバミだって。」
そしてこういうことも。
そう言って痛みを伴ったのか悲鳴を上げる。
最期にあの子は、こんな綺麗な花を咲かせたのですから。
「…うう、める、めるう」
「ルトラール、あと、どれくらいだ。」
「…大体こういう系統の時間は10分と定めています。
もうそろそろ我々も言葉すら喋れなくなるかと。」
だからいい加減様を付けなさいと言っているでしょうが。
嫌だっつってんだろ。
そうちらりと胸元を見る。
鎖が徐々に胸元に浸食されているのが見える。
華神らは願いを変えた為、停止というよりかは
そのまま別世界に飛ばされることになるだろう。
今回重複したため、例外が誤作動で反応し、
願いが通常通り叶ったという方向に向いたのが幸いか。
華神らは全員元の場所に戻る仕組みへと切り替わる。
時計の針が音を立て、鐘が鳴り響く音がした。
別世界に移動する時の、決まりみたいなものだ。
ふわりと浮かび出すティーナ達に、
ルトラールは上を見上げて言う。
天に上る、天使の様な者達へ。
「そっか」
「また、お待ちしていますよ。」
「いやだなあ、アタシら、また此処で働かされるのか。」
「まってそういうのをいうな。本気で嫌になるだろ。」
「でも、あの子がいるなら?」
芽瑠が、また、帰ってくるなら?
そう言うルトラールに、そりゃいくと決まって皆笑い言うのだ。
「アタシはあいつに約束しちゃったからなあ」
「ほお?お聞かせ願えれます?」
「秘密!」
「おやおや、酷いですねえ?」
「独りぼっちにさせる父親には言えねぇよ」
「本当に貴方だけ消滅させるか悩ませないで頂きたいのですが。」
はははと笑うティーナに、笑い事ではありませんと答える。
「千年か?」
「誓約の分もありますし、そんな年月をぶっ飛んだ量になりますよ。
大体感覚的には30億年ほどか、100億年程になる可能性も。」
「うわあしんど」
「あれ、ルトラール様、髪の毛が」
「おや」
流石に戻りますかという彼が髪の毛を取る。
紺色の色が戻り始めると、背後に気配を感じた。
「願ったのですね」
「すいません、弟よ。ご迷惑を更にお掛けします。」
「全く、此方の管轄が増える手間を考えて頂きたい。」
「だ〜から謝ってるじゃないですか。」
「ええええ、後で起きたら貴方に
面倒見て貰いたい子がいますので、そのつもりで。」
「あ〜〜〜せめてあの子以下でお願いします。」
「さ?それはどうでしょうね。」
「えっ待って本気でやですよ?」
「あの子と同じ様な子を持っていくとします。」
真面目で、言う事を聞かずに、突っ走る様な子をね。
そう言う大神官に、あーあー酷いんだとぼやくルトラール
こうしてみると、本当に兄弟なのだなと思う。
「廻廊は無事回りました。此処は第2章と言ったところでしょう。」
「そうですか」
「そういえば、皆さんお名前は決まっていたのでしょう?」
「嗚呼、芽瑠は自分の名前が気にってそうだからな。」
だが、ティーナの名前を入れるわけにもいかない。
そこでだ、とティーナが言うのに、続けてラストリアが答える。
「メルは私達が生きていた世界で、破壊という意味を持ちます。」
「…っ」
「大神官様?」
「いえ、つ、づけて、下さい」
「が、あいつの感じ的に破壊だけじゃつまんねぇ。」
え?というルトラールに、だからとティーナが言う。
「フランス語のメドゥルのメルを採用した。」
「混ぜる、干渉するという意味を持ちます。」
「…貴方方という子達は、本当に呆れることを」
「アイルランド語で統一した我々の管轄外ですから。
何を使っても良いと思いまして。」
サラッというが、本当に凄い言葉を作っている。
「だが慎重にしすぎて、
その判断が正確でも疎かにならないように。
選び、選別し、摘むようなことにならないように。」
「挑戦をする気持ちを持った強い子であるように。」
彼女の名は、こう呼ぶ。
「メルトリア」
『っ!!!』
「良い者を検査し分離させ、
忍耐力等のストレス、圧力をかける者。」
『あ、なたは』
「華樹の記憶、廻廊。第2章、都忘の華神メルトリア。」
左右のリボンが、銀色と、紺色の混ざった髪が揺れる。
軽くお辞儀をして、お見知りおきをという。
「すいません、話が長いのも色々訳がありまして。」
「いや、にしても、滅茶苦茶な人生歩んでるんだね君も」
「いやいや、貴方方も割と酷いでしょ。
それに、これであなたも神々も知ることが出来た。」
『…へ、あ、え?』
「貴方の大好きな、お人に会えますよ。」
え!?!?
そう驚くメルに、クスクスと芽瑠と呼ばれた者である、メルトリアが笑う。
「お久しぶりですね、芽瑠さん、
いえ、メルトリアさんとお呼びすればいいですか?」
「あらあらあら!大神官様じゃないですか!
お久しぶりですね。メルトリアでも構いませんよ。」
そっと服を掴んで上下にお辞儀をする
芽瑠もといメルトリアに、ええと
大神官だけでなく大天使もお辞儀をした。
「にしても華樹のフラッシュバックとは、
驚きました。こんな鮮明に思い出させるんですね。」
「貴方達の強い記憶に惹かれますからね。」
「色々お恥ずかしい話があって困りますが。」
「ふふ、構わないと思いますがね。」
「え、もう終わり?終わりだよね?!?!!」
メル大丈夫!?生きてる!?!?
そう焦るミラに、大丈夫というメルだが、
彼女に揺られて気持ち悪さが上がる。
流石にとサワアがミラを止める。
「多くのヒントが出ましたし、整理も中々つかないでしょうが。」
では、皆さん言いたいことがあればある程度聞きますよ。
そう言う大神官に、ではと誰かが手を上げる。
「彼女は華樹に選ばれた者、ということで間違いはないと。」
「ええ」
「11で全てを知りと言っていましたが、今が11とは到底」
「いえ?11番目で合っています。メリアさんがその人間ですから。」
「いい!?!?!」
「…やっぱり、私が」
『メリア…』
「何処で記憶を消し去ったのかは、いずれ分かることでしょうね。」
「まぁあの感じからして例の奴がしてきてそうだが。」
アイビー、その名を言えばたちまち彼が反応する。
そんな感じは否めなく、その威力は酷い状態と神々も身をもって知った。
フラッシュバックとはいえど、その場所に近い状態。
気も全て、感覚も共有されるので、その威力はまずいと神々も頷くもので。
「大神官様、彼等は封印を?」
「ええ、場所はお伝え出来ませんがね。」
「最悪の事を考えて、ですね?」
「ええ」
「とりあえず、私達はまた貴方の中に戻るね。」
『え?うん、別にいいけど。』
「あ、まった」
「え?なに」
そう待ったを出したのはメルトリアだ。
なにと止めたのは、フィズであって
「私まだ此処に来たばかりだからあんまり分からないけど
そのルトラールって何処にいるの?此処ってあの人数百億分越えた場所?」
「そうですね、軽く罰は受けて、ちゃんと目覚めていますよ。」
「え?!!?!?」
「ま、一度だけですが。」
「え?それはどういう」
「フィズが消えた後、ちゃんとルトラール様はお目覚めになられたんです。」
まあ、数百年程しか目覚めていませんでしたが。
そう言うのはコルンだった。ぺこりとお辞儀をしたフィズに、コルンも軽くお辞儀をした。
「あ〜〜!成程!!そのお守りが彼ということですか。」
「おっ、ま、まぁ、あの感じからしてそうなんでしょうね?」
「ふふ。メルさんに似ている子といえば貴方くらいでしたから。」
「そんな似てます?我々」
『んん、全く似てない気がしますが。』
私此処まで賢くないです。
「いいえ、とっても似ていますよ?
あの方も貴方の面倒を見て愚痴ってましたし。」
「ぐ、ぐちっ」
「とんでもない子供を産むんじゃないって叱られちゃいましたし。」
「ええええ、それに現在進行形で叱りますよ?」
「っ!!!!!!!!!」
その聞きなれてしまった声に、全員が固まる。
扉の方向からの、音に、声に、メルは動かない。
「全く、ほんっっとうに面倒極まりない。
まだあの子からして言う事聞かないにしては
融通が後で聞く分まぁいいとしてです。」
「…お、お師匠様」
「お師匠!?!?!?」
「ってことは、貴方が」
「ええ、そうですよ?全く変な声が聞こえるから
なんの上映会をしていると思って覗いてみてくれば。
滅茶苦茶恥ずかしくてもう途中から
気配消して様子を伺うしかないじゃないですか。」
髪色を気にしたメルが、ばっと髪で軽く顔を隠す。
「加えてあれ程教えたのに全く覚えていないときた。」
『っ』
「…ま、それは私の力が強いという証明にもなります。」
『…る、と、らあ、る』
「お久しぶり、そして、初めまして。」
紺色の髪色を灯した、緑色の目が此方を見つめてお辞儀をした後に合う。
「元原初の華樹神、感情を司っていた、ルトラールです。」
以後、お見知りおきを