まどろみに沈む、もう二度と目覚めることは無い





シュンと音を立ててきた場所

「っルトラール様!?!?」
「すいません、戻られて急に来てしまい。」
「いえいえ、どうぞ」

そう言って界王神の一室に招き入れるシンが紅茶を入れて座る。

「それで、一体何用で…」
「そうかしこまらずにしていいですよ?」
「そういう訳にもいきません、
貴方様は大神官様のお兄様ともお聞きしております。」
「メルの父とも?」
「っ!!そ、それは」
「ルトラール様、余りうちの界王神を遊んであげないで下さい。」
「っくくく、すいません。この子もあの子に似ていてついつい。」

はあと心臓が止まらないシンにルトラールは続ける。

「実はメルに創造を教えて貰いたくて」
「ぶっ」

むせたシンがすいませんという。

「お言葉ですが、私が教えるのは些か不手際になるのではないのでしょうか?」
「いえいえ、貴方でなければなりません。そうでないと私はこうして交渉にきていませんし。」
「ですが…分かりました。何を教えればいいですか?」
「想像力をそのまま気を扱って物を具現化する力です。
貴方程の力があれば、ある程度の物を形にするのだって造作もないでしょう?」
「お安い御用です。それ程でしたらお力添えになれると思います。
それで、どれ程の期間か、具体的な時間の決まりはありますか?」
「期間は考えなくていいですよ。」

絶対あの子、時間を決めれるくらいには出来ませんから。



そういう、ルトラールの話は的中した。


『ふえ』
「もう少し気を練ってみましょう?ほら、出来ますから!」

前の華樹神である部屋はルトラールが綺麗さっぱり消し去った。
というか、別の空間に保管しているので、自分の好きな部屋を
自分の気で、力で、創造して作れ。

というルトラールお父様の課題をクリアすべくだ。

自分の気を何とか見つけて、何とか作っているメル。
多分これでいいと思っているのも、話は少し遡りだな。






「あああああ?!?!!?!?華樹神になるだあああ?!?!?!?!」
『ふぎゅ』
「こっっの馬鹿が!!!アタシが全部力を保管しているからアンタが魔女らに見つからないというものを!!!!!」
「え、カランチュが守ってたの!?!?!?」

数時間前、というか数日前。
シンに誘われる前に、眠っていたメルはというと
色々あったことをカランチュに報告していたのだった。

「嗚呼、メルトリアの件があったもんでな。
それ以降はこいつに力を持たせずに手綱は我が引いている。」
「へぇ」
「にしても自分の気を使えだなんて、あっっのクソ親父め。」
『あう!お父さんをそう悪く言っちゃ駄目だよ!!!』
「お前らも結構な痛いめ合ってんだから言う権利はあんだよ!!!」

寧ろなんで言わない聞かない思わない〜〜〜
そう首を絞めるカランチュに、メルはギャン泣きだ。

「そもそも!!!メル、お前元々の記憶は?」
『な、ない…』
「ちゃんと思い出すまで、アタシはお前に力を持たせるつもりはない。」
「それはこの子が危惧に入るから?」
「それもあるが…暴走して止められる人はこの世界何処を探しても居ない。」

それは、暴走したら終わりということで。

『しないよ?ちゃんとほら、ウイスさんとか言う事聞いてるし。』
「それは理性が効いているから成せるというものだ。
我が言う暴走を止める奴は無意識下でも止める者。」
「つまり好きな人?」
「ああまあそれが手っ取り早いな。おいメル、お前恋してこい。」
『無理だが?!?!?!?!?!』
「というか恋したら相手終わるくない?」
「え?なんで?」

そう終わると言ったミラにミシュメールが首を傾げる。

「だって過保護多いでしょこの子の。」
「…嗚呼、元々メルを知っているサワア兄様やクスお姉様は勿論の事、
コルンお兄様も結構ああ見えて律儀ですからね。」
「なんならフィズの時の囲みよう見ていたらもう察する。」
『私二次元だけでいいよ!?!?!?!?』
「こらオタクに走らん。」

だって!!!そうメルはしょげながらそのという。


『好きになっちゃたら、ずっと、一緒にいたくなるでしょ?』

そしたら、あの場所に閉じ込めちゃって、可哀想だよ。
そう言うメルに、一同が目を丸めて数秒固まった後身体を下す。

「あ〜〜〜〜〜もう無理結婚しよ」
「救急車が来い」
「神父何処だ」
「式場が来い」
「何をふざけたことをいう!!!話を戻せ!!!!」

そう笑いつつも冷や汗をかいて叫ぶカランチュに
周りが元の位置に戻る。

「とにかく、無意識下の制限がない状態は力を渡すわけにはいかん。
ただでさえこの濃度は濃すぎるのじゃ。」
『お試しで出すのは?』
「…その華樹神官と、昔の面子、ウイス辺りなら許可を出そう。」
『じゃあ後でするか。というか此処では出来ないの?』
「出来なくはないが…おいまて、何を作るつもりじゃ。」
『感覚を掴んどかないと実践は不可能。』

そう言ってメルは片手を腰に置いて手を上にブンと上げる。
すると、目の前に畑が出来上がったではないか。

『クワやら斧、剣はこの範囲ならほうほうほうほう』
「……ぶっ飛んだ奴じゃなほんと」
「あれ出来てる?」
「出来ておる」

肩を全力で脱力してみていたカランチュがため息を吐く。

「分かった、此処である程度出来たら外で作れ。」
『よし!』
「じゃが」




想像以上に難しいぞ。


++++++++++


という訳で


『カランチュ曰く一度出すならこの面子だと言われまして。』
「呼ばれてきましたが……」
『ねぇ〜カランチュ〜〜〜!何出したらいい?お題出してお題。』
「誰に言ってるんですか……」
「…カランチュとは何方で?」
『私の元々ある力です。』
「ぶっば、ちからあ!?!?!?!メル貴方自分の力その者を!?!?!」
『え、ええ?ええ。してます。』

そう肩を全力で掴んできたルトラールに、当たり前の様にメルがいう。

『だって0なら誰もが安易に近づけるでしょう?』
「…………は?」
『何も知らない何も見えない?此処にあるのに?存在するのに。』

全ての者が、その存在を知らずに、のうのうと生きている。
私という形に騙されて、その大元に辿り着けないという者。

『私はその全てなんて要らないから人を創った。
その人こそが全てを必要とされる存在であるべきもの。』
「…本当に、驚いた。何処でその知識を。」
『0』

誰も知らない、私だけの、物語のあった場所。

『あの落ちた先の奥底で、私は培ったというもので。』
「…本当に記憶、無いんですよね?この人見覚えは?」
『無いに決まってるでしょうに。
その髪型でその身長覚えれない訳がない。』
「さらっと傷付くようなことを言わない。」

ないものはないんだから、仕方がない。

『ったく、全てを消し去るのではく、自分の中で区分けしただけです。』
「確かにそうすれば気の存在はなくなります。
華神は自身の願いというのが大元ですから、
自分ではないと言い聞かせて変えたらそりゃそうなる。」
「ですが、そうすれば彼女生きれないのでは?」
「其処を廻廊が助けているんですよ。
本来、廻廊は魂が戻らないと
どうあがいても廻る様に作りましたから。」
「作ったって誰が」
「私が」
『私が!!!!?????』

貴方分かってたでしょうに。いやそうでも?

「願いが発動せずに彼女達が千切って廻るのがよくわかりました。
因みに何時から区切っているかわかります?」
『其処は分かりませんが、憶測で0か1、2辺りかと。』
「まぁ完全に切ったのは2辺りでしょうね。」
「あの感じをみてもね。」
「で、話を伸ばしても無駄ですよ?さっさとだしなさい。」
『あっバレました?』
「バレるに決まっているでしょう。何人の天使が居ると思ってるんです。」

まぁ別にいいけどと言ってメルは手に力を籠める。
片手でインカムを創り出した。

『あよいしょっと、これは出来るんだな。私仕事してないが。』
「なんです?それ。」
『あ〜あ〜おいこら聞こえるだろ馬鹿垂れが。仕事せんかい。』
「急に口が悪くなりましたね……」
『嗚呼?うるせえつべこべ言わず出せ。
あ〜え〜〜???マジで?ねぇちょっとまけてって!!!!』
「恐らくカランチュと呼ばれる元の子と交渉してるんでしょうね。」
「だからと言ってあんなに口悪くなります?」
「ふふ、さあ?」
『はいはい、心拍数正常、メンタル良好。
え?駄目?煩いテンションあがんに決まっとるだろ!!!!!』
「煩い」
『ふぎゅ!!!!』

そうルトラールからチョップが入り、
悶えて許可が何故か出たのに鼻を鳴らした。

『濃度80えっ駄目!?マジで?!ええ、絶対いけるのに。
じゃあ60!ん〜まけて50!!!やだ!!1とかやだ!!!』
「凄い駄々こねてますね」
「多分ふざけた提案してるからでしょうね。」
『範囲こんくらい。え〜正確に〜?
ん〜ミリ単位?ええ?其処迄じゃない?
も〜文句多いなぁ〜〜〜???』

いだいだいだいだぢあだいだい
やめてやめて、精神攻撃してこないで。
そう忙しないメルに、ため息が漏れる。


『はいはい、しっかりするから。』

もうーと言ったメルが息を吸ってハッと短く吐き切る。
すっと手を前に出したメルは目を閉じた。


『…心拍数、メンタル、共に良好。欠落なし。
創造物気の球。濃度5、範囲直径10、物量1。』
「始まりましたね」
『華よ花よ、全ての源、光の元よ。
我らの力よ願いを繋げ、存在しえない偶像よ!!』

頭に手を交差し、その指から小さな気が光を灯し、くるくる回り始める。

『気よ、その願いの束を集め、華の者撃ち滅ぼさんことを!!』

あ〜〜〜〜〜!?!?!?

『ふぁいと〜〜いっぱ〜〜〜〜つ!!!!!!!』
「ばっ!?!?!?」

そう言ってメルが飛ばした気に、
気付いたルトラールが瞬時に移動し、
気を手で軽く弾いて華に変えて散らした。

『ふう〜〜〜〜〜!!!!!出来たよ!!!!!』
「出来たよじゃないです!!!!何ですか今の量は!!!!」
『はえ?あれ、間違えた????』
「間違えた処の騒ぎになりますか!!!!」
「メルさん」
『はあい』
「貴方、ソレを分かっていて、封じていました?」
『いいえ』

直感です。その直感は大事になさって下さい。
そうため息を吐きながら言うウイスに、メルは首を傾げる。

「…ちょっと待って下さい」
「コルン言いたいことは分かりますが抑えて」
「いえ、いや、逆にお兄様、貴方この方を見ていたんですよね?」
「……まあ、少々ですが。」
「阿保言いなさい。貴方の時間と彼女ら人間の時間は違いますよ。」
『えどれくらい?』
「千年はゆうに超えます。」
『せ!?!?!?!?!?!?!?』
「それでもあの頃はかなり幼かったですし、
これほどまで成長するとは思っていませんよ。」

ああ、そんなに強くなってるのこれ。

「というか濃度5って言いましたよね?」
『あっはい』
「間違いなく濃度の上限違いません?」
『それ今滅茶苦茶中で言われて煩い。』
「ああ、すいません…??」
『おいこらおめぇら煩いから黙ってって!!!』

インカムに叫ぶメルに、彼女も大変だなと声が漏れる。

「それ程の量があれば創造も余裕では?」
「恐らく出す感覚と、使える量が一致してないと思われます。」
「でしょうね。あの叫び様、明らか違う感じですから。」
「お姉様もそう思います?」
「ええ。創造のお勉強していたあの子の慌てっぷりと同じですから。」
「まぁ人は変わっていませんからね。」

一応死にかけましたが、ちゃんと戻ってきましたし。
そう言うルトラールに、サワアやクスが反応するも
指を立ててしーとルトラールが言う。

『ねぇルトラール様大体これってカランチュが言ってるんですが。』
「何となくわかりました。最終目標はその子の力を自由に使えるところですね。」
『うぐ…わ、私要らないですよ?』
「ですがその子、乗っ取るつもりは?」
『それは…』
「ないというよりかは、貴方が良いと言っていや、守る為ですか。」

まったく、貴方のすることは毎度凄いですというルトラールに
褒められてる?とメルはウイスに聞くも首を横に振られる。

「確かにその守りは大事ですね。人を傷つけないように抑え込む。」
『っ!』
「ですが、その代償は計り知れないはず。
メルさん、ソレに何を入れているのです?」
『え?』



「記憶以上のソレを入れて、貴方は何を望むというのです。」




その言葉に、メルがバッと距離を取った。
瞬時にカランチュから力を取って移動したのだろう。
体勢が低く、今からでも逃げようと出来る場所に身を置く。


「…図星ですか。成程、考えましたね。」
「どういうことですか?」
「彼女は自身の状態を理解するのが非常に早い。
その為自身の力をどう扱えば誰が得するかも分かる。」
「というと?」
「あの子は自分がこの場所に戻れるように
自分の記憶や感情その者全てを人として
創り上げ保管しているということです。」

それは、普通の人間がするには些かきついというものであろうに。
まあ、そういう状況下に落ちたものでもある。

「だから貴方はその場所ばかりに気付く。
そりゃあそうでしょうね?だって閉じ込めただけです。
人に押し付けて記憶に触れて楽しいですか?」
『っ!!!!』
「嫌なことを言われたら怒るです。ソレは怒りですよ?慣れなさい。」

そうギロリと睨まれ、メルはばっと空中で回転してまた距離を取る。

「久しぶりに戦いましょう。何処からでもどうぞ?」
『っ』

その言葉に待っていたと言わんばかりにルトラールの顔面に足蹴りする。
ぱっと避けられては回転して気を撃ち消し去られる。

「キレが良いですね。教わりました?それとも元々あったのを解放した?」
『っ!!!』
「ほら飲み込まない。暴走した時に対応出来ないから戻されないんでしょうが。」

確かに貴方のやり方は非常に良いでしょう。

「ですがそうして散れば守れる者も守れない。
何度彼女らの華を散らすつもりですか。」
『っぐ!!!』

パンパンと音を鳴らせて攻撃を繰り出すメル。
まるで敵を見つめて睨むように、機敏に動く姿。

「…やればできるではないですか。」
「みたことがないと?」
「一度もあんな動きしてくれませんでしたね。」

その冷たい目すら、此方を見もしない。

「人を蔑ろにすれば嗚呼やって怒ってやるんですがね。」
「一度やったことが?」
「ええ、滅茶苦茶殴られたり殺されそうになりましたが。」
「…お兄様、一体何を彼女に言ったんですか。」
「さあ?なんでしょうね?」

メルは飛んだり壁に足を付けたりと動きを止めない。
逆にルトラールは一つしかいないことに、舌打ちをした。


『あのバカ動かないから消耗するのこっちなんだよな。
銃の速度なんてタカが知れている、かと言って!!!』

気を撃っても軽く華に散らされ綺麗に終わる。

『ん〜なんかねぇかなぁ』

記憶を漁っても、彼女らの手を借りるつもりはない。
肘を前に出して空から地面に降り立った。

「おや、もう終わりですか?」
『いいや。』
「にしても精神的に成長しましたねぇ。」
『っと、そうです?』
「ちょっと人を貶されただけでそれだけで済んでいますし。」
『ま、図星だ、から、なあ!!』
「と、良い動きになってきましたね。」

そりゃどうも、と言ってメルは走り出し、手に剣を創り出す。
それに続いてルトラールも剣を創り、メルの剣を受け止める。

「腰が甘いですよ」
『っぐ』
「力をもっと入れて!!」
『っさいな!!!』

やってると言って更に剣の精度を上げて身体に強化を入れる。
魔術や魔法という言葉を思い出して、試したくなったのだ。

「っと!!」
『っらあ!!!』

剣を飛ばしてその間に空に飛びあがる。
ティーナのように、手に炎を籠め続ける。
殺す気でいってもいいだろうが、ここは

「貴方はあの状況下を見てもそうして制御するんですか。」
『っが』
「誰かに助けられると思って?」

華樹の樹に身体を打たれて意識が軽く吹っ飛びそうになる。
銀色の首輪の感覚か、冷たい感じがずんと落ちる。

「こうして付けられたらどうするんです。
貴方の華が散れば誰が救える。誰が笑う。
貴方が生きていないと笑えない者達も居るのです。」
『っぐ』
「戦いは貴方の想う想像を超えるもの。
映像や画面、紙越しに視る場所を越えたのです。」

誰も助けない、誰も救えない。
そう言う彼に、確かにそうだなあと思う。

誰が私を助けてくれただろうか。
仮に助けられても、私は救われただろうか。
蔑ろにして、その道を歩んでいるだろう。

それがいやで、全てを綺麗に作り続けて、
そうして見つけた場所は、本当に辿り着きたかった場所か?


『(ちがう)』


カランチュに押し付けて、私は逃げているだけだ。
ずっとずっと、これは違う夢だ幻だと言い聞かせる。
皆沢山頑張っているのに、私は頑張っていない。

違う、頑張っているのに、
報われないこの感情の行き場が分からなくて嫌なのか。

誰かに迷惑をかけるから、それならいっそのこと
散らしてしまえ、綺麗に溶かしてしまえと思った。

でもそれは、一時しのぎにしかならなくて。

殺したくなんてない。
その命が散るなんて、私はしたくない。


物語は続く、一人でいずれは12人目を見つけなければいけない。
その時、私は一人で敵に立ち向かうことになる。

そうした時、私は誰かを守れる人になれなければいけない。

今だけでいい?違う、もう、もういいんだ。


『(ねえ、カランチュ、本当は名前違うんでしょ?)』

貴方の華を見て、直ぐに気付いた。
嗚呼貴方は優しいのだと。
その言葉を言えば、私が力を使えると思って。

だから、嘘を付いた。

私が気付く、その日まで。


そうそして、今が、その時で!!


『っぐ』
「っ」


足で何とか力を振りその勢いで気を創り出し鋭く槍の様に腹を突っ切る。


「っな!!」
「ルトラール様!!!」
「っごほ」

不思議と怖くない。何故だろうか、分からない?違う。
ちゃんと力を飲み込めるように、なりつつあるんだ。


「っ」
「…動きが更に機敏になりましたね。」
「ええ」


ぱっと飛び出したメルが浮遊し、ルトラールに攻撃を促しだす。
徐々に、攻撃をださせ、誘導し始めたのだ。
それも、故意的に、無意識ではない、自分の意思で。


『ね、私知ってるよ?貴方の言葉、華言葉。』
「っと」
『ベルは昔から魔除けを意味し、幸せを呼び込む合図ともされる。
品種の名の幾つかも沢山のベルで幸せを呼び込んでいるように
見えることからつけられているのもあるくらいだ。』
「何の話を」
『星々の光すらも包み込み、永久を望む八重を咲かせる!!!』

ね、知ってる。私、知ってるよ。

『沢山の想い出を、守るんじゃないんだよね。知ってる、知ってるよ!!!』
「っぐ」

手に力を籠め、メルは蔦を使ってルトラールに攻撃を繰りだす。
華で視界を兎に角塞ぎ過ぎずに声を出しながら動く。


『ねぇ私もそのお花!大好きだから!!どうか、力を貸して!!』

奪うなんて戻せなんて、そんなのいいやしないから。
そう言ってメルは手を組み、
まるで祈る様に額に持っていったものを胸に持っていく。


『ねぇ、どうか、目醒めてよ、”カランコエ”。』


本当に生きたかった、私の存在。

そう言ったメルが手を広げて繰り出す。
その金色の光に、ルトラールはぱっと手を上げ、そのまま思いっきり横に引き千切った。


『っは、っ!!』
「っと!」
『っぐ…』
「メル様!!!」

急に詰めて急所を狙おうとしたメルの隙を突き、
意識を飛ばしたルトラールに勝負があったと知り、
見ていた者達が駆け寄る。

「っは、は、っ、は。…お見事。本当に強くなりました。」
「ルトラール様、まさか審判を?」
「ええ。言えば絶対緊張して力を出さない。ですがまさか、本当に阿保らしいったらありゃしない。」

すいませんお見苦しい処をお見せしました。
いえいえ、素晴らしかったですよ。
そう言うウイスに、礼をいうルトラール

その間にルトラールはコルンから
メルはサワアから回復を貰っていた。
身体の中でぐったり意識を飛ばしている彼女の髪を触る。

「その身に宿す力に恐れては皆心配しますから。」
「ルトラール様…」
「にしてもカランコエですか〜〜いや〜〜コルン」
「はい」
「全部言えますね?」
「…い、えますが」

今ここでですか?
はい、今ここで。

そう言う彼に、はぁ〜〜〜とため息をつきながらも回復しながら言う。

「各華神が願った祈りの華には意味があります。
願いが変われば華も変わるように、その輝きも変わる。」
「ええ」
「カランコエ、別名紅弁慶。花言葉は「幸福を告げる」
「幸せを作る」「切磋琢磨」「人望」「おおらかな心」」
「おや二つありませんね?」

うぐっという彼が、続けて言う。

「…「沢山の小さな思い出」」
「あと一つ皆さん分かります?」
「いいえ」
「そもそも華を知りません。」

勉強不足ですいませんというウイスに、いえいえとルトラールはいう。

「「貴方を守る」という意味があるのですよ。」
「…っ」
「サワア?気が乱れてますよ。」
「…すいません。」
「強き華を持ち、その願いが変わった事を恐れた。
だから華が変わると同時に自身を切り替えた。
…華が変われば場所も変わる。戻れなくなる。」

もう、何処にも行けなくなって、今度こそ一人になる。
その世界に、行ってもいいけど、皆は泣いちゃうだろうから。

「だからと言って、人格まで創り上げ完成させる馬鹿がいるんですかねぇ〜」
「貴方の胸の中にいますよ?」
「っくく、笑わせないで下さい。」
「いえいえ」
「…ほんと、隠すのが上手になりました。」

その腰元に咲かせたカランコエの中から、
ちらりと黄色の小さな花が見える。
それにサワアがびくりと反応して固まる。

「見覚え、ありますね?」
「……はい」
「帰って来たんですよ、嘘じゃない、幻でもない。」
「…理解が追い付きません。」
「サワアお兄様…」
「この子が来てからずっと現実の感じがしません。」
「正直私もですよ。」

まるで時間が止まったかのように、未だ止まっているというのに。
ゆっくりと動き出した感じが、理解できない。したくない。

「この子は確かに他の子達の力を借りつつも、きちんと前を向いている。
現にこの黄色い花がその理由を持っているというもの。」
「…ですが、もう我々は。」
「そうですね、聞きましたよ。戦闘行為を禁じられたと。」

全てにおいて。そう言う彼に、ぐっと手に力が入る。
メルの回復はもう必要ない。すやすやと胸で眠る彼女が少し動くも
起き上がる感じは一切見えない。

「我々のせいですね、すいません。」
「…え?」
「いえ、我らの力不足です。」
「いえ、あの話が見えませんが。」
「…言ってもいいのですか?」
「もう無理でしょうし。」

手を上げるルトラールにサワアが告げる。






「我々の戦闘禁止になった理由は、華樹神を天使が殺そうとしたからですよ。」