たちのわるいいたずら




「ごちそうさまでした。すいません本当にお土産まで貰ってしまって。」
『いやいや、こっちこそ楽しかったから。あと助けて貰ったものもあるし…』
「ま、それはそうです、か。」

飲み込んだサワアはメルから食べ物を貰い、杖の中にしまい込む。
ではと元の宇宙に戻るらしい。

「次行く時はご連絡下さいね?」
『え?なんで。』
「いや」
「ミラにも会いたいし、なぁ?」
『え?あ、ああそういうこと?まぁいいよ。』

此処まで来て、迷惑になるとか考えなくていいのにと思うメルに対し、
サワアは少し目を放してぼそりとつぶやいた。

「…そうじゃないんですけどねぇ〜。」
『ん?なんか言った?』
「いいえなんでも?では本当にこれにて。」
「美味かったまた来る。」
『は〜い、またね〜!』

そう言ってサワアが扉を開けて、
少し此方に顔を向けぺこりとお辞儀をする。
それにメルも同じ様にペコリと頭を下げた。

ヘレスは軽く手を振っていたので
嬉しくなってそのまま手をぶんぶんと勢いよく振ってみる。
それに気付いてぷっと吹き出す様に笑って少し大きめで手を振ったヘレスは
今度こそサワアと一緒に元の宇宙に戻るように、扉の向こうへ消えたのだった。


『いや〜めちゃ楽しかったね!』
「ん。じゃ、大丈夫そうだし私も帰るわ。」
『あ、お土産持ってってよ。』
「一応貰っておくか。向こうで食べれるかどうかも研究したいし。」
『はは、そんな実験みたいなことにつかわんでも。』
「じゃメルお休み。」
『はぁい。』

手をひらひらと振って、シュっと穴も消えて無くなった所でメルは移動する。

『…ま、独りか。』

そういや、この場所って華樹神官の部屋は何処に位置するんだろう。
そう思ってメルはこの場所の扉を開けに行こうと部屋を出た。
華樹が見えるところがとても綺麗にみえる。

まるで遠い場所にある。絵画のようにも見えた。

『…こういうのは左側からかな?』

左、キッチン側の方に足を進める。
左右に扉がつけられており、華樹側には扉があっても中が内容にみえるが…

『うわ、マジで何もない。』

ドアを開けると、其処はもぬけの殻だ。
ひょっとしたらとドアを閉めて、
とりあえずメルトリアの処を思い出してドアを開けた。

すると

『うわあ〜〜〜〜!!!!本当に出来た!!!!』

其処は、とても綺麗な花畑。
何時しかメルトリアがお友達のシャクロラスと
花冠を作っていたところに出てきたのだ。

中に入るのは少々怖いので、
とりあえず身体を少し前に出してきょろきょろと見てから
身体を戻しつつ、扉も閉めた。

ドアの色は綺麗な灰色に染まっていて、ドアノブが紺色に染まっていた。
ドアの上には3と綺麗な深い紺色が色を染めて姿を見せている。

他のドアはと隣をみた。
深く赤いドアに、オレンジ色のドアノブ、
4の文字は綺麗なオレンジ色が此方を見ろと
言わんばかりに色を染め上げていて。

『ああこれあれか、各場所に通ずるドアなのか。』

内側は全部で12程あるのだろう。
外側はと数を数える為に軽く走る。

数字が所々掘られていない内側は、
恐らくまだ出会っていない子達の分。
そっちは黒いのに、外側は何もない白いドアばかりだ。

試しにとドアを開けた。

『わあなんもねぇ』

これは自分でこの場所を作れということだろう。
個人的には手前に客室やらなんやらを作りたい気分である。
どうせ寝るのも嫌だし、というかだ。

『自室つくりてぇな。』

そう、メルは考えていた。にやりと自分の部屋に戻って周りを見渡す。
今は棚を軽く作ってと木の板を軽く組み合わせて立たせる。

『隣の部屋の、ここら辺が良いな。』

華樹の方から部屋に入って、右側の扉を開けた処。
左の奥の方に棚を作る前に穴をぶち空けた。
そう、ぶちあけました。

『こうして、階段状に、上は半円にしてだ。』

数段降りたら直でまっすぐ伸ばす。大体10mくらいだろうか。
途中で2つドアを作り、そのまま伸ばして、階段を作る。
こうやって頭の中で想像したものを創り上げれるのも、修行の効果というものだろうか?

それとも、メルトリアが来てから、力を付けたというのもあるかもしれない。

階段を上った先に少しだけ道を伸ばし、半円のトンネルを終わらせた。
その先は白い空間になっており、ふむとメルは考える。

なるべくこういうのはかなり広い範囲で作るべきだとぱちんと指を鳴らした。
すると自分の範囲に広範囲の薄い膜上のシャボン玉が一つ出来上がったではないか。

『この中に、土と草と〜』

出来れば外から持ち出したいが、
こうなれば全部自分で作ってみたいところだ。
星を作る要領で手に力を籠める。

茶色の塊が出来上がり、そのままトンネル部分の下あたりからゆっくり流し込む。

『草は後ではやすとして、土を入れ、あと石も下に、と。』

メルは先に下に降りて石を創造で創り出しては置いて行く。
その上にデコレーションするように土を手から出して流す。

『大体こんなもんか。』

よーしと、メルは紙とペンを作り出してサラサラと創り上げる。

『二階の木造住宅にしたいよなぁ。とりあえず、キッチン、トイレ、風呂は下に。
玄関前の階段とかくそ理想すぎる。上がって片方だけでも4,5部屋欲しいな。』

本当は左右まっすぐだけでいいのだが、階段の裏側に廊下も作ろう。
いつもは閉じていて、直通とかもいいな。
ボタン一つで奥の部屋に通じるようにと家の間取り図を書き殴る。

『…木材ってことは、樹だよな?なんの樹がいんだっけ。確かヒノキとか杉とかだよな。』

チークとかファンデーション系の名前がついた木もあった気がする。木だけに?煩い。

『え〜っと、材木というか、これは最早気を使って力を溜める必要性があるな。』

此処にメモは残しておくとして、部屋に帰って創造で軽く棚くらいは作って綺麗に封じる。
音をならせばバレるが、空気の流れは感じない。まぁ空気まだ向こう作ってないからな。
安心しろ。ちゃんと身体に酸素ボンベは創造で作って作業していました。

後々木を生やして諸々しないと生きれないな、あそこ。

じゃ、勉強ということで。


「はぁ、成長を、ですか?」
『こう呼び出した形になって申し訳ないですシン様…』
「いえいえ、別に構いませんよ!お役に立てることがあれば私も嬉しいですし。」

はぁ天使がいる。目の前に天使が。
ちょっと相談したいことがあるんですがと
呼び出す形になるかもしれないと思った私が
正座しながらシン様に相談していたら本当に来てくれましてですね。

ええええ、ものの10分もかからずに。
大神官様が連れてきてくれました。
一応此処に瞬間移動もできなくはないらしいのですが、ね?

「確かに界王神は星を創ります。
軽く創造で木を生やすどころか物を作ってみた方が早いのでは?」
『こういうのは成長過程というのが大事なんですよ成長過程の方が。』
「あはは、本当に勉強熱心で感心します。」
『いやあわよくば部屋の電気も通したいので、電気関係もお勉強したいんですがね。』

流石に一度は無理である。メルの悩みにシンはクスクスと笑った。

「此処に生やしても?」
『もうどうぞどうぞお好きにして下さい。寧ろありがたいです。』

というか。

『ゴワス様も何故来てくださって…???』
「ほほほ、クス様が気になるからと仰られて。」

そのご本人は急に予定を思い出してゴワス様のみを置いて行ったが。
半泣きだったので今度遊ぶ約束を立てたら秒で帰って行きました。秒。

「改めまして、第10宇宙の界王神ゴワスと申します。」
『あわわ、メルですどうも。』
「それで、気を使って成長を促す方法
…あわよくば、樹木を使って建築を?」
『うぐ』

流石に暦年の積み重ね。
綺麗に考えていなくてもバレてしまうか。

余り心を読まれるのは気が引けるも、
彼等には見ようとせずとも何となく分かるらしい。

え、待って天使らも分かってたりする???
だからあんなにため息つきまくってたりする????

「ほっほっほ、若人の勉学に付き合える程ではないですが。」
『いや充分過ぎて申し訳ないくらいですもうありがとうございますほんとうに。』

こんなの願ったりかなったりである。
そうご謙遜をとゴワスが笑っていう。

「メル様のことはクス様から良く聞いております。
とても優しく、勉強熱心で、真面目な方だと。」
『うわあ美化し過ぎぃ…サワアとクス二人とも置いてっちゃった悪い子なのに。』
「メル様…」
「口ではつい言ってしまうとしても、本心は違う。それを貴方は分かっているのでは?」
『うう、おじいちゃん界王神が強すぎて勝てる気がしない。』
「っほっほっほ!まだまだですな?」

ほんとだねぇとメルは笑ってよしと意気込みを入れる。

『そいじゃお手本よろしくお願いします!』
「わかりました。まずは種を」

ポンと出してそのまま地面に植える。
手に力を籠め、その成長を樹に、破裂しないように注ぎ込み続ける。
すると、じわじわと芽が出て、そのまま樹がすくすくと育ち続けるではないか。

『わあああああああああああああ』
「こんなもんです。」
『すげえトロロじゃん』
「トロロ?」
『木を生やすめちゃ凄い神秘的な想像上のキャラ。』

しゃがんで手を上にあげてメルはゴワス達に姿を見せる。

『こう、う〜〜わっ!うう〜〜〜わっ!!
ってすると樹がすくすく成長するシーンがあってね?
どんぐりって木の実を病院に居る
お母さんに届ける為にって育てた物語がありまして。
いや〜〜〜よく真似してたなぁ。そして育たなかったなぁ。』
「可愛らしいお話ですなあ。」
『こうしたら私も出来ますかね???』
「それでも気を入れるだけで成長しますがね」

うう、なにもない。
そうメルが苦い顔をすると、二人してニコニコと笑う。

「では、気を出してもらえますかな?」
『えと、どうだったっけ、こ、こう?』
「もう少し調整が出来ると嬉しいですね。」
『うううう』
「まずは此処からですな。そのまま樹に分け与える。」

出来なければ種が破裂して壊れます。
そう言うとパンと音を立てて綺麗に壊れる。
それとはぬぁと変な声が出て半泣きのメルに大丈夫ですと笑う。

「最初はそんなもの。時期に出来るようになりますよ。」
『うううう先生!!!種が腐る程欲しいです…!!!』
「どうぞいくらでも。」

そうシンが指を鳴らせば、袋ごと大量の種が出てきたではないか。
これ程練習しても多分無理なので…

『あの、この倍か、三倍貰えます?』
「え、い、いや別に構いませんが…」
『試したいこと腐る程あるので、それに軽くとけちゃう気がして。』
「…っふふふ、本当に勉強熱心なのですね、貴方という方は。」
『んんん???』
「要らなくなれば捨てれば構いません。どうぞお好きに。」

シンが指を鳴らせば、その倍以上が出てくる。
これでいいんですか?という困惑に、メルは自信を持ってはいと答えた。

『これだけあれば大丈夫だと思います!』
「まぁ好きなだけ練習するのは構いませんが
…あまり根詰めないようにして下さいね?」
「それは私からも言えることです。
貴方様はかなり特殊な位置におられる方。
無理をしてこの大樹が枯れることがあれば、
それは多くの者達が悲しむというもの。」

もう、独りだけの命ではないのだと、理解してください。

そういったゴワスに、メルは胸に少し手を当てた。
未だ華は其処に咲く術を知らないのか、綺麗になくなっていて。
最近見ない華に、少し寂しさがこもってすぐに捨て去った。

どうせまた、種の様に芽を生やすのだろうから。

『わかりました。まぁいずれにせよ廻廊に入る前に
特訓してからにしようと思ってたので。』
「それは良い心がけです。では続きをしましょう。」
『え見てくれるんですか。』
「当たり前でしょう?此処まで来て放置など、するわけがない。」

出来るまでいますよ。ええでも仕事。

「クス様もおられることですし、大丈夫でしょう。」
『…ああ、だから帰ったのか。』
「ほほほ、ささ、手に気を。」

メルはしゃがんで両手を前に出して目を閉じる。
集中するにはこうした方が良いのだ。
いやでもと、メルは胸の前に手を合わせた後そっと離す。

集中している彼女をそっと見て、ゴワスは微笑む。

『ん?ゴワス様どうされました?』
「ああいや、こういうのは久しぶりでしてね」
「ゴワス様…」
『弟子ですよね?確かザマスっていう
界王からの繰り上がり界王神様候補者。』
「…っ!メル様、それを何処で?」
『ええ?いや〜何処もなにも、知って、あれ?』

そういや、何処で、みたんだ?

そう頭を抱えるメルに、
並大抵の子ではないと考えていたが

『確か誰かと見ていて、いや、違う、独りだ。』
「え?」
『ね、私山が好きだった。』
「なにを言って」

紺色の髪色が、黄緑色の目が、綺麗に変わる。

ぱっと白い白髪に、黄金の目の色、
そして、そのカタバミが物語る。

ふわりと変わるその気の変化に、
ゴワスとシンは距離を取った。

『此処からずっと遠い場所。誰も居ない一人と樹の場所。
でも確かに其処に私と君はいた。でもいない、どっちが?』

私も君も触れれなかったのに?

『沢山切られて嫌だった。
何時か自分のことを置いて行かれる気がした。』
「メル様…」
『私生きるなら、共に暮らすなら、
あの夏の夜みたいな場所がいい。』

ずっと待ち続けた薄暗い山奥の中で息をするしか出来なかった時間。

『君が何時でも帰って来れる様な。そんな樹を。』

手に込められた黄色い気が白から、黄緑色に変化する。
すると見る見るうちに種が成長し始めたではないか。
その何処までも大きくなる樹に、メルは言う。

『でも…知ってるよ?私。
君は二度と帰ってこないし、私も帰れない。』

だって、何時だって其処にしか、生きていない。
それをもし、願うならば、額縁に飾ったあの場所でしかない。
酷く優しく、残酷な世界に、独りぼっちで。

私達は、息をするしか、術を知らないのだから。

「っメル様!!しっかり、メル様!!」
「第7の界王神よ、気を落ち着いて下さい。」
「ですが!」
「意識を飛ばしているだけです。」

ぱたりと倒れたメルの身体を
そっと抱き上げたゴワスに、シンは少しほっとする。

「ですが、あの気は一体…」
「おそらく、華樹神の力でしょうな。
急に濃度を高めた為か、
意識まで飛ばす程の集中を使い果たしたのでしょう。」

この場所に二つ、三つある場所。
まぁそのうちの作った
二つは撤去されるだろうと思っていたが

「っな」
「…成程、その成長すらも、栄養にすると。」

樹は途端に枯れる、というか、栄養を吸い取り、
その枝、種すらも綺麗に吸い取って消し去ってしまったのだ。

やるなら樹を一気に育てた上に、
根こそぎ掘り起こしてとしなければならないだろう。

だが

「貴方は、一体何処から来たというのですか。」
「ゴワス様…」
「ザマスを、何故知っているのです?」

何故、その身を、走らせるのですか。
手に力がこもり、すぐに力を抜いて身体をたたせる。
メルはぐったりとして手を下に降ろしたままだ。

「寝室はどちらかご存知ですか?」
「え、ええ…此方です。」