そして僕らは再会を誓った




「メル、いいの?ああしちゃって。」
『ああ?嗚呼良いんだよ。』

ほら冷めるからと言ってピナクルに食べさせる。
一応彼女がここら辺の土地を知っていて正解だった。
魚を主とするこの生活に、メルは周りを見渡す。

獣らしきものもいるらしいが、其処はどうでも良い。

『ピナクル、沢山食べたらそのまま寝な。』
「え?メルは?」
『私は後で寝るし、今日はもう夜も遅いから動くなんてしないよ。』

そう、ならと声が聞こえる。うとうととする彼女に腹が一杯になったのだろう。
やっと緊張が解けたのかぱたりとメルの身体によってスヤスヤと寝始めた。

『ふふ…可愛いねぇ?』

その茶色い髪の毛に、ちらりと白い髪の毛が混ざるのを触れる。
自分のことを悪く言われるのは正直慣れているので大丈夫だが
彼女の酷い顔を見て、そう言い切るしかなかったのはちょっと、きつかった。

さて、物語を変えない程度に、思考を変えよう。

パチパチとメルは瞬きをして反応を変える。
指を鳴らし、毛布を出して其処に彼女を置いて、自分も寝ることにした。


++++++++++


「あそこです」
「っくく、村の収益が悪いと思ってきてみれば、あいつが元凶か」

そう寝ているメル達の上には、先程の仲間が囲んでいた。
さぁと身体を包んでいた毛布をばっとはいだ時だった。

「っな!!!!!!」


++++++++++


「…ん。あれ?」
『おはよう、ピナコル。』

昨夜は大変だったねぇというメルに、此処はと周りを見る。

『昨日疲れて寝ちゃったんだよ。さ、先を急ごう。』
「…メル、駄目だよ。こっちじゃない。」
『え?なんで』
「だって昨日と大きく場所が変わってる。」

木々は同じ、見た目も同じ、でも違うと言い切る彼女に
いやいや寝ぼけているだけだよとメルはへらりと笑って答える。

だが、それが逆に怪しく感じたのか嫌という彼女に対し
成程考えたねぇと間延びした声が聞こえる。

「敢えて人間に出会い、軽く面倒事を起こして事実を書き換える。
まぁ君のやり方にしてはかなりキレた動きじゃないか。」
『…うわぁ〜〜〜〜もう来たんだ。』
「んなっ、怖がってると思って来たらなんだその言い方は…!!!」
『確かに心臓はばっくばくだし、滅茶苦茶助けて欲しかったは事実だけれども。』

でも、これは私の作戦でもあったのだ。

そう、全て最初からメルは仕組んで動いていたことだった。
人を欺くなら己から。ということで、
メル自身もなるべく思ったことに
似せたようなカモフラージュをつくって動いていたのだ。

寝るところを宿ではなく野宿にしたのは隠れる為。
方角を伝えていたのも、全てその策略の中ということだ。

というかそもそも、北に何があるかとか
点で知らないというメルにええとピナコルが驚く。

「そうなの!?!?!」
『当たり前でしょう。
私此処に来てやっと一日たつかどうかだよ?』
「正確には半日たったくらい、じゃろうな。」
『と、ぞうさんは申されております。』
「ぞっ!!!何を貴方と言う方は!!…ん?」

な、なんじゃというラムーシに対し、
ピナクルが目をきらっきらに輝かせて声を上げた。

「ぞうさん!!!!!!!!!」
「っな!こ、こら!!よせ!!!!」
「っくくくく、子供に懐かれて可愛いねぇ?ラムーシ。」
「っビルス貴様!!!」
「うわ!」

動いたことでピナクルが飛び落ちそうになったのを
ラムーシは受け止め、彼女が無事なことにほっとして息を吐いた。

『ピナクル、君幾つになった。』
「えっとお、9!」
『…そう。』

そう目線を逸らしたメルに、ピナクルが首を傾げる。
おかしいというのはラムーシだった。

「此処はあの幻の星、ヴェリタスというのか。」
「なにそんな星君の所にあったの。」
「お主も知っておるだろうに、その昔、神々に選ばれた星々があったと。」
「嗚呼あの滅茶苦茶なおとぎ話みたいなやつでしょ?お前そんなの信じてるの?」
「現に此処にあるんじゃと申せば、ビルス。お前はどうする。」

そう睨むラムーシに、説得力ないよとビルスは冷や汗を垂らす。
ピナクルが彼の角にお熱で手を伸ばしていたのだ。
しかも片手で抱いていうのだから、視界に入って入って圧が皆無だ。

『神々に選ばれた?どういうことです、ラムーシ様。』
「大昔、この宇宙は希望に満ちた24の宇宙があったそうだ。」

その時は片方を一人の天使が、もう片方をもう一人の天使が12司っていたらしい。
だが、わけ合って、片方の天使が死んで、バランスが崩れたとか。
そうして、片方の天使が何とか耐えていたが、18が限界で暫くはそのまま。

徐々に減って、今に至るとか何とからしい。

まぁ全王様の機嫌を損ねたのが大きな要因らしいんではあるとは言っていたが。

「12の宇宙は我々の宇宙瓜二つのように、上に位置しておったらしい。」
「ふぅ〜ん?それで、そいつらとこの星がどういう関係で?」
「…この星々は、その12の宇宙に存在していた子達の亡骸とも言われている。」

宇宙から星が落ちてきたのだ。文字通りに。
落ちたその星は、余りの強い力故に、とある神様が契約を記したそうだ。
各1つを、そのまま誰も入れない誰も居れないようにしようと。

そこで生きていた者達以外を、遮断しようと。
界王神、破壊神や天使ですら、見つけるのが困難とされる星だというらしい。

間違って神々に消されたらたまったものじゃないとのことだろうと
ラムーシは続けて話す。

「神々の頂点に立っていた者は、とある者に殺され、その身を華に変え、姿を消した。」
「…ん?」
『それって』
「嗚呼、華を持つお前さんを見てすぐに悟った。あの伝説は空想や紛い物ではないと。」

確かに存在していたのだと。

「神々の契約を引き継ぎ、確かな形を保つ為に、
利用されたとも言われた華の者達を束ねた、
全ての華を束ねる王の存在。」

華樹神

「それこそがメル様、お主の位置する場というものじゃ。」
『わ、たしが…そんな』
「色々話は違えど、似たようなものじゃろう。」
『…12を』

その宇宙たちは、どういう気持ちで消えて居なくなったのだろうか。
確かに生きていた宇宙たちは、どういう思いで、その身を消滅させたのだろうか。

そのいっしゅんは、確かに笑えていたのだろうか。

「メル…」
『嗚呼ごめんね、難しい話をしてたんだ。』
「ううん、ピナクル知ってる。それおとぎ話で見たの!私も持ってる!!」

お花はその印ってかかさまいってた!!
そう言ってばっとスカートを上げた彼女においと声が上がる。

「神様ほんとにいる!だから」
『いないよ?』
「メル、君……」
『何処にも存在しない。神様なんて、何処に行ったって。』

そうメルは言い切るのだ。当たり前のように、言い聞かせるように。
その首元に手を触れる寸前で止めて笑って言う。
目を細めて、何処か遠い場所を見つめるように。

『いやしないから、コレは残酷だというんだよ。』
「メル……」
『ま、君を迎えに来たのは確かだ。』

君がどういう状況で生きていたかは、これから知るとして。
何故ラムーシらが見えているのか定かではないが…まあいいか。
とりあえず、君が華を咲いているからと言って
メルはサワアを思い出してぱっと額縁を出す。

帰るかと思って入ろうとしてバアンとガラスに跳ね返された。
思いっきり頭をうってくるッとかえって倒れたメルに、
だ、大丈夫?とビルスも冷や汗をかいて彼女のフォローに入る。

メルはメルで、地面に顔面を置いてなんでと声を上げた。


『なあんでかえれねぇんじゃいこんちくしょおめがああああ!!!!』
「君、ほんと変わったね…」
「いや多分アレも元じゃない?」
「そんな感じがしなくもないとは、おもいたくないがな。」
『あれえ?華を力を見れば普通に帰れるんじゃないのか。』

もっともっと、大事な何か?ん?大事、そう言えば。

『何処の世界に行っても、何かを想い出してたから?』

でも、此処にあるよ、此処に居るよ?

これは真実ではないの?

綺麗な子供が、此方を見てくれる。
茶色の髪ではないから?黒髪だから?

あれ、どうして黒髪だってわかるんだろう。

ぞわりと背筋を伝う。

『…私充分思い出したと思うんだけどなあ。』
「…っ」
『戻る太陽すら、見れていないから、帰れないとかかなぁ。』

ソレを知れば、きっと、私はもう、次を最終回として見れるんだろうに。
何とかしてピナクルをとメルは手を取っていた時だった。

ギャシュギャシュという音に、なんだか聞き覚えがある。

『ん?』
「「あ」」

白い身体に、紫色の宝石みたいなものを
肩に乗せた者が草むらから出てきた。
それに目があい、声がはもる。

「お、おまえ、ふっふり」
「白い悪魔さんだ!!!!!!!!」
「っお、おま、こら!!」
「ちょ、こここっちに来ないで下さいよ!!!」
『わあ凄い場所』

メルは現実逃避に走るのも無理はない。
ピナクルがラムーシの身体から飛び出し、
そのまま白い悪魔もとい、我らが自称帝王に飛びついたのだ。

そう、飛びついた。しかもその帝王たじたじである。

「ピナクルをお迎えしにきてくれたの!?」
「いえ、普通に忘れて居たものを取りにですね…」
「君、どうして此処に」
「ん?貴方は誰でしょう?私をご存知で?」
「ああいや…知らないならいいんだ。」

いずれ出会うというビルスに彼は首を傾げた。
身体が少し小さいように見えなくもないが、下手したら

「生まれ変わり前、とでもいうべきか。」
「?」
「君名前は?」
「ピナクル!!!!」
「いえ、貴方に言ったのではなくてですね?ピナクルさん…」

そうビルスと彼がため息を吐く。

「私はフリーザと申します。彼女は昔助けられた為に恩返しをとね。」
『フリーザ…わあ、まじもんだ。』
「っと、あ、貴方は?」
『どうも、メルです。
ピナクルのご両親を虐められていた
野郎どもをコテンパンにしました。』
「それはそれは、ありがとうございます。
私も彼等には恩がありましてね。
…にしても、死んでしまいましたか。」

流石に其処は分かるか。

ピナクルに付いた血の匂いを辿ったのだろう。

「お礼をもう少ししてやりたかったのですが、仕方がありませんね。」
「お兄ちゃん……」
「さ、それなら猶更ピナクルさんをどうするおつもりで?」
『一応保護という名のお迎えに来ましたが、どうも帰り道がですねえ。』

入るに入れなくてと手をバンバン
額縁の透明なガラスに叩く叩くメルに
嗚呼と何処からか声が漏れる。

一応奥の方は見えないので、
相手がどう見えているかは知らないが、
先程の状態を直で見られていたら
くそ恥ずかしいものだ。


控えめに言って忘れて欲しい。



煩いつべこべ言わずに記憶を消させろ。



「なら、こうしませんか?私は貴方達が帰る道を一緒に探す。
私は忘れ物を探すついでに、貴方達を返す。」
「へぇ?随分と優しいんじゃないの。」
「ピナクルさんが笑って暮らせる場所があるならば、
彼等に恩を返す一番の機会、
というかそれ以外ないと思いましたので。」
「お兄ちゃん…」
「大丈夫ですよ、いつかきっと、
貴方に会える日を楽しみにしています。」

忘れずに、居れば、きっと、ね。

「…なるほどね、君もそっち側だった、って訳か。」
「???」
『まぁ仲間が増える分には良いに越したことはない。
こっちとてピナクルがいじめられていたのを
思いっきりぶったので気分はまぁまぁいい方だし。』
「ほぉ?その話、詳しくお聞かせ願えますか?」

ニヤリと笑うフリーザに、少し驚いたメルだったが
すぐに気持ちを切り替えてにやりと怖い笑みを浮かべて笑う。

メルとフリーザがにやにや笑いながら話をする処見て
ビルスはゾクリと背筋を凍らせた。
フリーザはまだしも、あの純粋とも言える彼女が
血生臭い話をわくわくした目で
堂々と言って泣かないというのが恐ろしい。

割と夢なら醒めて欲しいものだ。

というか夢で在って欲しいと思っている間、メルはというと。


『いやそれでさ、ピナクルが泣いたから
もう隠れるなんて無理だなって思いましてですね。』
「それは得策だと思います。
何も利益や情報も渡さずになど、
拉致以下、無能のやる範囲ですからね。」

加えてその後の精神を戻すのにも手間がかかるんですよ。
あーだろうねぇと呑気に話すが、全く内容が呑気ではない。

『まぁさ、正直頭蓋骨割ろうかと思ったけど、
身体の中にツタを生やして血流遅くして反応鈍らせつつ、
徐々におかしいって理解を進めさせ、
あわよくばその絶望を抱いて
いもしない神にでも縋らせようとか思ってやったが。』

流石に其処迄持っていけない。技量の無さには無能だよ。
というメルに、ビルスが流石に文句を出す。

「待て待て待て待て待て待て待て待て。
聞き捨てならない話をするんじゃない。」
『ええ?別にこんなの普通じゃないの?』
「君が言うのとじゃ訳が違うんだよ訳が。
あと戻った時君の幼馴染である天使が
どういうか知ったこっちゃないけども、
度合いが越えてるんだよ。」

『ええ〜〜〜普通に思っていたんだから、
仕方がないのになぁ???』

その身を、自分ではなく、
他人に切り替えただけなのに。

そう言うメルの目は、
赤く光染まっていたのに、体制を変えようとしたが
すぐに目は綺麗な黄緑色へと変化した。

瞬きの、その瞬間にだ。

「…君、ほんと、恐ろしい子だね。」
『そう?そりゃあどうも。』

自分を痛めつけて、それを大事な人達を傷つけたというだけで
それだけで、あの思考に持っていくのか。
そりゃあ、大魔女になれば、もうこの宇宙など存在しなくもなるだろう。

それが、とどまっているだけでも、恐ろしいというのに。

『ま、ピナクルが泣いちゃうだろうしぃ?
僕はある程度で留めたんだよ。
ねぇフリーザさんやぁ僕これ偉いと思わない?
偉いでしょ?ねぇねぇ偉い?褒めて褒めて?』
「ええええ、偉いと思いますよ?
私であれば、彼女の目の前で
八つ裂きにしていたことでしょうし。」

逃がすなら猶更ですよ。でしょう?

『殺すなんて以ての外。
その身に痛みを苦しみを感情に身を包み
落ちる流れこそが償いになるというもの。』
「…ほんと、末恐ろしいお人ですねえ?
貴方という方は。知れば知る程、恐ろしいというもの。」
『そう?』
「ええ、その目が感情が、もしも悪に染まり切ったら」

一体どんな場所に行くというのか。

「フリーザ、余り言うてくれるなよ。」
「おやおや、失礼しました。」
『ま、染まれる色があればいいね。』
「おや?貴方には色がない様な言い方ですね?」
『ないよ』
「っ」
『だって0と1の間に捨ててきちゃったもの。』

誰もいけない、辿れない、そんな場所。

綺麗なあの場所に、あの身体は心は生きている。

これはあくまでも、抜け殻に近いというもので。
気合で何とか誤魔化しているというものであって。
全てを知った時、私はきっと、何処かに走ってしまうだろう。

それは、決まりきった、決定事項なのだから。

「…そうですか。なら猶更、取りに帰らねばなりませんねぇ?」
『面倒だけどね、帰ろうとしている途中なんです。』
「ほぉ?それはそれは、大変な道のりでしょうね。」
『本当は取りに行っても殺したいけどね。』

こんなもの、要らないと言い切れる。
でも、彼女達を捨てるということにもなるのだから。

出来ないというのは、そういうことなのだ。

『この子達になんら罪なんてない。なんにもないのだ。』
「メル…」
『悪いというなら全て私の行動が悪かったというもの。』

その思考回路全てがまるごと。
存在ごと、悪かったというもの。
その銃口を、私は私に向けて引き金をすぐにだって引ける。

なのにしないのは、記憶がないから?彼女らが大事だから?

違う、怖いから。

手放すのは、もう嫌だと悲鳴が聞こえるから。

なら、それならいっそのこと

『この身すらも、包み込んでしまうつもりで、
私は息をし始めているのだから。』
「…っ、ほんと、上が見えませんね、貴方は。」
『そりゃどうも。で、フリーザさん貴方何をお忘れに?』
「ああ、そうでした。ピナクルさん、うちに戻れますか?」
「え?別にいいですが…」
『嗚呼家にある感じ?』
「ええそのはずです。」

それはなあ、まぁいいか。
私もいるしという渋るメルに、ピナクルたちが首を傾げたが、

その真相が、直ぐに到着して分かった。

「ど、して…ひどい」
「綺麗に墨になってしまいましたねぇ。」
『村の感じからして奴らが根こそぎ物をかっさらったんでしょう。』

ちらりと緑色の石を見つけて手に取ったメルに、
ピナクルがそれ!と手に取ったが、
加工の塊じゃないかというのはビルスだ。

「そんな石がどうした」
「…」
『…成程、何処に行っても、華も木も石ころも、
貴方はずっと、此処に居るって言ってくれるんだね。』
「メル?」
『大事なら手元に置いておきな。その大事な記憶と共に。』
「…ん。」

そう微笑むピナクルに対し、メルもホッと息を吐いた。

そっかと声が漏れる。

『誰も見向きもしないありふれたものしか、みれなかったもんね。』
「…メル?何を。」

その瞬間、ガキンという刃物の音が聞こえる。
ちらりとビルスとラムーシがそちらの方を見る。

『ビルス、ラムーシ』
「だとしても、周りは貰ってもいいよね?」
「ピナクルさん、下がってなさい。」
「ううでも」
「何か久しぶりの力が見えると思えば、こんなところに居たとは。」

私もついているわという彼女に、メルの眉間にしわが寄る。

『…ビオランテ、お前か。』

この子に視線を与えていたのは。

「あら、気付いていてどうして放置していたの?
貴方くらいの力なら出来るはず…いや、したくなかった。」

嗚呼だって

「貴方は選ばれ、その子は選ばれた故に
残酷な世界にしかいきれなくなってしまったのだから。」
『っ』
「メル!!!」

空を飛びメルは手を横に切って葉を飛ばす。
軽く枝で防ぎ、近づく彼女に距離を取る。
下手に近づいて範囲に入り、彼女の言いなりになるのは嫌だ。

悲しみに堕ちた魔女、ビオランテ。
その性質は、近辺の悲しみを元に紐で吊るし、操り人形として扱い
周りにその紐を繋いでいくもう病原体に近い伝播系だ。

面倒極まりないので、とにかく意識を落とさずに紐すら出させずに行くしか方法がない。
と言っても、メルにはとっても相性が悪い。

「まずいな、出来れば相手してやりたいがっ」
「こいつら湧いてきて面倒極まりない」

背中合わせになりつつも、ビルスとラムーシも戦う。
なるべく人は殺すなというルールで動く二人もかなり加減をしている。
だが、メルはそうもいかない。相手は6魔女の中でも間に居る者。

下手に隙を見せれば足を取られてしまうのは目に見えていた。

「守る者が多くて大変ね?愛される者があって困るわね?」
『っらあ!!』
「守るだけでは攻撃とは言えない。そう、悲しみだけではいえないのよ!!」
「っ!?」
『ラムーシ様!?!?』

急に紫色の糸に伝ったラムーシがメルの方に攻撃を入れる。
蔦を使って何とかギリギリで耐えるが、下手に動くと切られかねない。

「大事な場所を、世界を、手放した子が今更帰える居場所なんて何処にもないくせに!!!!」
『っぐ』
「っ耐えろ!!!あんな奴の言う事なんぞ、聞く余地もないだろう!!!!!」

分かっている、分かっているのに、抑えが効かなくなる。

「貴方は味方を傷つけることが出来るのかしら?」
「っ、こっの」
『(動きが早いというか、ついていくのが怖いのか)』

急に鈍くなったメルの動きに、拳が入り、意識が軽く飛びそうになる。
ラムーシとてこの紐を取りたいのだが、何故か全く動かない。
幸いなのは口が動くだけか、いや逆か。

口を動かすから、彼女に味方だと思わせるというもの。
彼女が一番大事にしている感情を、ぶち壊しにいくということであって。

「貴様…誰に手を出しているのか本気で分かっているのか。」
「あらあ?私は何にも手出ししてない。」

貴方が、その力を振るっているのよ?

そう撫でる彼女に、触れるなとメルは攻撃を繰り出す。
すぱっと切れたその肌に、メルが固まるも、動けという言葉で意識を取り戻す。

「ちっ」
「ワシのことはどうでもいい、お前は兎に角そいつを殺すことに集中しろ!!!」
『っでも!!』
「なに、これでも破壊神の端くれ。コツなど分かればどうとでもない。」
「っぐ、なんだ、この気は…!!!」

破壊の、術をしるというだけの、破壊神が、
違う力を持っているとでもと目を見開くビオランテに
ラムーシはにやりと笑う。

「対魔女対策は、うちの方でよぉ〜く、鍛えられておるんでなっ!!!」
「っぐあああ!!!」
『華よ、時の主よ、魔に染まりし華の者を、救え、一点の星光りよ!!!』

手を叩きメルは金色の弓矢を創り弓を弾き、構えて飛ばす。
しかし、軽く弾かれ、当たることがない。

「っ流石にそれはきついんでね!!」
『(集中しろ!!相手はどう動く、どうなる。)』

ーほら其処!も〜負けちゃったじゃん。

そう言った声に、メルだけでなく周りが止まる。

ーいい?自分がより有利になる様に動くんだよ?

「な、にこれだれが」

ー自分に一番されたらいやなことを、相手にするんだ。

そう黒髪の男性が女性の前で話をして、
その板を見つめて笑い言う。

ー狙いを定められる君なら、きっとできる。


『弓矢は銃と同じ!!!』

メルは手に銃を作り出し、そのスコープに目を合わせて、引き金を引いた。
パンという音と同時に、彼女の胸が血にそまり、飛び跳ねたではないか。

その一瞬にして、全員が目を見開いた。