私は自分の境遇を呪わない。
・星野
ウイス日本人名。命名はメル。
ゆういと読む癖して、
「ゆい」「ゆう」と名前を変えて呼ばれる。
・星野
サワア日本人名。命名はメル。
さくあと読む癖して
「さく」「さっちゃん」と名前を変えて呼ばれる。
・星野
コルン日本人名。命名は都佑の父親。
本当は「りくと」だが、照れくさくて「りく」にしたらしい。わかってない!!!!!!
前回のあらすじ
名前付け終わって終わりました。
『お風呂はいろ〜〜〜!!』
「ちょ、ひとりではいれますよ!!!」
『や〜だとしてもその身体でシャワーとか無理でしょう。』
「御父上!彼女を止めて下さい!!!」
「あ〜無理無理、その感じ手終えなくなるから。」
そうケラケラとビール片手に出来上がる父親に、
メルはにっこにこである。
「貴方知っているんですか!?!?
我々見た目はこうですが中身は貴方が見ていた
あの喋っていた我々なんですよ!!?!?」
『あ〜はいはい知ってる知ってる〜〜〜』
「わかってない!!!!!!」
全く持って分かっていないとコルンはメルに抱かれてバタバタと暴れる。
はぁ可愛いと言う彼女に、もうと、コルンはむすっとした顔で身体を止めた。
「お兄様も何か言ってください!!」
「いえ、確かにメルの身体をお二人に見られるのは
控えめに言っても、少々消したくなるくらいには嫌ですが。」
『いや消滅の危機ぃ……』
「場合が場合ですし、メルは身体を見せない様にお願いします。」
『あ〜君らの面倒見てから自分で後から風呂はいりゃいい話か。』
「御父上は?」
『あの人朝風呂派だから無理無理。なら前に来ていた水着でも取って来るか。』
ネットで買って、従妹と山で水遊びした以来なんだよねと言う彼女が二階に上がっていく。
暫くして、お待たせと言っておりてきたその姿といったらだ。
『いや〜〜流石に夏近いから部屋の中くらいいいかなって!!!』
「なっ!!!!なんという格好を!!!貴方恥じらいとかはないんですか!!!!」
『はいはい、あるある。』
「メル様!!!!!」
ホルダーネックの前はひらひらと紺色のレースが胸を何とか隠してくれているが
その中はちょっと頑張れば普通に肌がすけて見える。
腰元できゅっと締めても、スカートの丈は
下着が少し隠れたらいいかなくらいの程度の短さで。
太ももの半分より圧倒的に上にある。
なんなら後ろは隠れていても一部肌がみえているというか露出が多すぎる。
いや前々から思っていましたがとコルンがぼやく
「貴方方華神らの服装にしては少々肌を露呈しすぎていると思います。
衣装に文句というよりかは、神々としての敬意を落としかねない。」
『はいはい。』
「その間に服を脱がさないで下さい!!!自分で脱げます!!!!」
『きゃ〜〜〜かわいい〜〜〜!!!!』
パチパチと手を叩くメルは、
しゃがんで嬉しそう笑っていた。
もう圧が子犬程度になっているのだ。
そうかしゃかしゃと音を立てて吠えてくる犬に驚く。
「ワンワン!!!」
「っなんです!?!?!」
『あ〜も〜パピったら〜やきもち焼いてるの???』
そうコルンを軽く胸で抱きしめると、
ダンダンと足を前に出して怒りだす
あ〜ごめんごめんと言って犬を抱き上げ
よしよしと赤子をあやす様に上下に身体を動かすメル。
『あ〜はいはい、君一択だから大丈夫大丈夫。』
「い、いぬですか?」
『嗚呼うん、小さい時に飼っても良いって許可貰ってね。
パピって言うんだよ。犬種のパピヨンから取っただけだけどね。』
パピーって父親って意味なんだそう笑うメルに、周りの者が固まる。
なんだか変な気があるなとは思っていたが、ままままままさか。
『ふふ、大丈夫よ〜ちょっとお風呂の使い方教えるだけだし、私水着だよ?』
「ふんっ」
「い、いやそう、ですね?」
「……まぁ、愛娘が弟の子である我々と入るのですから、
そりゃあご立腹になっても致し方がないことでしょうし。」
怒りは怖いとコルンがぶるぶると震えるとくしゅっとくしゃみを出す。
嗚呼流石に冷えるなとメルは言ってお父さんと言って駆けだした。
どうも彼に犬を任せるらしい。すぐに帰って来たメルがせわしなく動き始めた。
『恥ずかしかったらタオルで何とか隠して。良くなったら皆入って来てね。』
そうバタンとドアを閉めたメルの先に、水の音が鳴り響く。
ささっと終わらしましょうとそそくさと言ったサワアに続き
コルンもウイスと共に入る。メルは湯船の方にシャワーヘッドを向けて
お湯の調整をしていたところだった。
『ちょっと一匹ならまだしも三匹一斉はしたことねぇからな』
「我々犬ではないのですが…」
『もうその感じ似たようなものだから。ほら、これ大丈夫?』
「熱くないですよ。」
『嗚呼やっぱりコルン様冷えてる…』
人間体調管理の調節酷いからというメルに、
そう言えば彼女は天使でもあり人間でもある者。
こういう下界で過ごす時間も長かっただろうし、
調節で風邪をひくなんて早々めったにないだろうに。
「昔はよく風邪を引いておりましたが、これの感覚で?」
『いーや、多分サワアが知っている間の頃は恐らく違う意味だろうね。
此処は曲がっても1の時間軸。一応君らはイレギュラーになるだろうから
何方にせよ向こう側に綺麗に戻れるかは分からんが。』
「…すいません、我々が足を引っ張っていたので」
『んなこと気にしない気にしない。貴方達が過ごした
20分だけど、私が落ちた時間から数えても
今年で11年くらいの月日が経っているくらいなんだから。』
「っじゅ!?!?!?」
そう驚くのはコルンだけではない、
ウイスやサワアも目を丸めた。
『多分今年の何処かで元の時間軸に戻れるはずとは踏んでいるけどね。』
「11だから、ということですか?」
『そういうこと。ま、何処を軸に置いて帰るかに寄るから分からんが。』
年齢なのか、その来た月日なのか。
そこが曖昧だが、そうそう時間的には
変わらないだろうと踏んでいるらしい。
メルは湯船を溜めつつ、
温まった彼等にシャンプーからやらせる。
液体を投げつけ、割とガシガシと泡立てた後、
次の子と、面倒をみつつ話を続けていた。
『そう考えたら、ひと月ふた月くらい
暮らしても向こう側では秒単位の計算になる。』
「…ですが」
『仮に帰れなくても、別の策を考えればいい。』
「何故そのように言い切るのですか?」
『サワア…』
「貴方が一番、苦しいのでは?」
『…そうねぇ、でも、私はティーナ様達に言われてるから。』
どうあがいても、この廻廊を、完成させろと。
願わくば、この想い全てを。
『その流れに乗れば、恐らく貴方達も元の場所に戻れるはず。
お三方は向こうでどの位置に?』
「我々丁度三人が固まった辺りです。」
「向こうも攻撃を繰り出そうとして、
少々まずい位置にいましたので。」
『…じゃ、その作戦も考えとかないとね。』
瞬で帰る時、願いをそのまま繰り出した方が向こうも隙が出来るだろう。
気を掴む訓練は引き続きしておいた方が無難だろうしな。
『ほらほら、お前ら身体も軽く洗ったらちゃっちゃと風呂に浸かる。』
「あっだっメル!!!」
入れますからと赤くなるサワアに、もうにっこにこである。
本当に帰ったら覚えておけよと心の中で誓いつつ、
そのお湯の温かさに三人ともホッとする。
まぁ勿論終始メルはにっこにこであるが。
「気持ちいいですね〜〜〜」
「ええ、まったく…」
『へへ〜良いでしょ?身体綺麗に見られたくないだろうってことで乳白色の入浴剤を入れてみました〜〜〜』
何時の間に入れたんだいつの間にと思っていたが、
そんな苛立ちなどの気持ちも溶けて消えてしまいそうになる。
『お風呂はちゃんと癒されて綺麗にやなこと洗い流す処だからね。』
「…メル様、その、貴方は此処が良いですか?」
「お兄様…」
「貴方の表情を見ていると少し、その考えたのです。
この場所は家の中だけでもその平穏を肌で直に感じ取れます。」
外での気の気配がもう殆ど無いに等しい。
それは、戦闘をしない平和な世界というもの。
「出来ることなら、貴方が戦わず平穏な場所で、
笑っていられるならば、私はそれで構いません。」
「…サワアお兄様の意見には私も同じです。」
『コルン様まで…』
「この世界ならば無理して華を咲かせずとも
向こうで過ごさずとも良いはず。
元々此方に住んでいたのならば、尚の事でしょう。」
在るべき場所に、我々は住まわなければならない。
「どちらにせよ、貴方が生きる人間の時間は天使にとって瞬き、程、の、時間……」
「コルンさん?どうされたんですか?」
「…いや、待って下さい。」
そうちゃぽんと音を立てつつも顎に手を置いて深く考えるコルンに
メルは風呂桶にお湯を入れ、椅子に腰を掛けて話を聞く姿勢になる。
『気づいちゃったかあ』
「…メル様、貴方一体何時から、
いや、最初からお気づきになっていたのですよね?」
『さあ?どうだか?』
「その言い方、肯定ととらえさせて貰いますよ。」
「…まさか、貴方人間だと、そう言うんですか?」
この世界に、堕ちたのは何も神々が産み落とした欠片ではない。
最初から、人間と、人と天使の子が、入れ替わっていたとしたら?
この身体こそが、彼女の本来の姿とでもいうのか?
『惜しい。少々捻り過ぎかな?もっとシンプルで合っている。』
「…0番目で落ちた貴方は、何かしらの影響下で、1に来た。
その1で何かの願いを言って、その身体を1と0に置いた。」
『それは正解。』
「なら、此処から貴方の本来あるべき姿を探せるとでも?」
『恐らく此処の世界でのノルマの一つはそれだろうね。』
「一つ?幾つかあるとでもいうのですか?」
そう前のめりになって言うコルンに、メルはそっと後ろに押し、肩まで浸からせる。
『そうだねぇ?恐らく三つ程あるんじゃなかろうかと踏んではいる。』
「三つもですか?」
『そのうちの一つが君らだともね。』
あの赤本、妙に何処かで見たことがある。
『サワア』
「なんでしょう」
『君、赤でも緑でも青でも黄色でもなんでもいいが
ルメリア様とルトラール様お二人どちらかから
妙な本を聞いたり見たりとかしてない?』
「妙な?」
『例えばそう…記した内容がその通りに起きるなんてね?』
「まさか…貴方が最初に書いていたアレですか?」
そう、コルンが言ったのはメルが鏡から出てきた三人を見てぎゃあと叫んだ時のことだ。
『その通り。アレに君らがこっちの世界に来ればいいのになぁとか。
…あわよくば天使から外れて人間の姿で子供だったらな
とか思ったりはしても描いていないんだがな。』
「ちょ、明らかにそれが原因じゃないですか!!!!!」
『だから悪かったって思ってるってば〜〜〜!!!』
「逆にそれで我々が元の世界に戻れるように書けば話が早いのでは?」
「そうですよそれを」
『や、それはできん。』
手を前に出すメルに、何故とウイスが問う。
「すぐにでも向かった方が貴方の胸も楽になるというものでは?」
『なんだかんだ言って、安心しているのはシアージュが居るのが滅茶苦茶でかいんだよ。』
「しあーじゅ?誰ですそれは。」
まぁこれは風呂から上がったらだ。
そう言ってメルは外に出る。
手を振って、メルは自室にいるからと言うので、
各々は互いに目を見てその話が切れたことに疑問を持っていた。
++++++++++
『おまたふぇ〜』
「それは?」
『アイスです。お三方どうぞ。』
そう黄色と紫、白いアイスを渡すメルに、どうもとコルンはペコリお辞儀をする。
ベットに座らせ、その間、サワアの後ろから抱きしめる様に座る。
なんでか知らないがこの位置が凄く落ち着くのだ。本当になんでかは分からないが。
『んで、話の続きをしようか。』
メルは軽くアイスを食べながら言う。
『シアージュ、それは華樹の記憶、第6章に生きていた魔術の神とも謳われた者の名前だよ。』
「魔術の神、ですか。」
『黒魔術、まぁ所謂人殺し魔術特化の人間だったからね。
アイツ一人で君らが束になっても勝てない威力は余裕で出せる。
多分頑張って本気出せば宇宙の半分消し去れるよ。うん。頑張れば。』
「そんなものを従えてたんですか…!!!」
『魔女を殺すなんて言っていないから、恐らくは捕獲しているとは思うが。
いずれにせよ時間の流れがこっちと違う時点で焦って行くよりかは確実にこっちで作戦を取った方が良いと持ったわけです。』
「メルにしてはいい線を取りましたね。」
私にしては、て、わ、悪かったな????
「確かに、下手に動いて死ぬくらいならば、
此方で考えていたほうがいいでしょうね。」
「ですが、我々は天使。例え宇宙が死んだとしても死にはしません。」
『それが貴方達だけならねぇ〜〜??』
「…まさか、華神は」
『間違ってないよ?華神が死ねば宇宙自体が消滅するみたいなもの。』
ま、正確には、華樹の樹自体がその力を持っているんだが
『つーわけで、私は下手に向こうに行って
野垂れ死にはごめん被りたい訳です。』
シアージュの力があれば、正直百人力ではあるが、
外に出ている奴が奴だ。あのクソ野郎には会いたくもないが。
『こっちでの情報が予想以上に豊富だからね。
一応勉強をしつつ、そっち側に戻った時
楽出来るように纏めているわけです。』
何なら幾つかの本は書き写したし、
気が狂ったのか知らないが、
国語辞典もある程度の物なら書き殴ってきました。
おかげさまで右手も左手も両利きで
使える様になりましたが、死にかけてはいます。
『其処に置いてある魔法の本は予想以上に良くてね。
下手したら向こうの何処かの棚にリンクしていて、
本が増えていたらいいなぁ〜とは思ってやってたんだよ。』
「…そんなことまでしていたんですか。」
『趣味に近いから、本を読んだり勉強してます
とか言えばこっちの人達偉いねえで済むし。』
「いい感じに馴染まれていたんですね。」
勿論だ。私を誰だとお思いだってもんだ。
『ま、書いている上に想ったことが
追加で叶うってのが先程分かった為に、
下手に触りたくねぇっていうのが本音ではあるが。』
植物系や宇宙系の関係は全部書き記している。
何気に吹奏楽やら部活動をしているとはいえど、
学校もそれなりの程々を行っているので、暇は出てくる。
一日3時間が11年もの月日がかかれば、
その本の量は恐ろしい量になっているだろう。
なんなら軽く千冊とか超えて居そうではある。
寧ろ最近図書の種類が少なくてこれ以上
図書館に行っても意味がなくなってきて
割と困っていたのだ。
11年もやれば、下手に終わるのが怖くもなるものであって。
『ま、此処3、4年程はドイツ語、英語、フランス語などなど
海外の言語にも手を付けて辞書も書き殴っているくらいだからねぇ。』
因みにもう英語とフランス語は終わった。
イタリア語とドイツ語を書き殴り、終わりかけているので
他にも書いていた、他の語学も視野に入れ、
一気に終わらせるつもりではあったが。
「…貴方、何処まで先を見据えて。」
『単に向こう側に帰った時、
こっちに来れないのが死ぬほど怖い
って言うのがあるんだよ。』
一応漢字ドリルとか軽く5社くらいは纏めたが、
それでも不安が出てくるくらいだ。
やるならとことんに、がメルのモットーである。
『話を戻すが、シアージュは力の源というか、源泉ぼっこぼこくらいには力が出る。
加えて一応理性はちゃんとあるから、下手に動くことはまずない。』
他の奴らがヘマすれば話は別だが。
『なんにせよ、こっちで知識を蓄え、
向こう側で困らない様に手を打ち続けているわけだ。』
一応言っておくが、絵もちゃんと描けるようにもしているし、
君らの事も此処に全て記しているからねと言ってメルは赤本を手に取り、
表紙をコンコンとノックをする。
すると表紙が色を変えていくのに、サワア達は驚き少しだけ顔が近寄った。
『ほら』
「っな!!!こ、これは…」
『此処は言っていたが、君らの世界がしるされている。』
これくらいなら過去だし大丈夫だろうと
ドラゴンボールの漫画やら本を持ってみさせる。
確かにとペラペラめくってみる二人が目を丸めてみる。
もうベットに腰を下ろし、目をキラキラとしていた。
嗚呼可愛い、本当に可愛いなお前達って天使か?
天使の子か?まぁそうなんですが。
「これは力の大会の時ですか…」
「こっちは、我々の形がみえます」
『サワアが見ているのは漫画の処だね。
ウイスが見ているのは原画、この世界で描いていた人のもの。
こっちは私が作ったオリジナルのキャラクター折り込み。』
「っ華神らは元々存在しないという事なんですか?!!??」
そ、ましてや
『今此処に居る、私ですら、ね?』
「…メル、貴方。」
『大丈夫、一応そっちに一度くらいは戻れるように手は打てる。』
逆に言えば、そうしなければ、私は帰れないというものだ。
寂しくはなるが、元々がそういう世界線だったということ。
「それこそ、この本に書ければ、
貴方が此方ではなく、向こうに居続けるなんて可能なハズ。」
『ん〜してもいいけどね、したくないんだ。』
「…それも、願いの一つだとでも、言うのですか?」
そう、そうだよ。
『私はあの子を助けたい。』
あの子が泣いていた、その目に、涙が消え、
日向で嬉しそうに笑い続けられるその日まで。
私はその場所になんて、二度と帰るつもりなんて更々ないのだ。
『助けられている都佑ではなく、助ける都佑で在りたいからね。』
「成程、名の意味をなしていないというのも、出れない一つだと。」
『そういうこと。ま、明日は幸いなことに休みだし、買い物も覚えてもらう予定。』
外に出るのは基本単独はやめなさいと答えるメル。
『どうせならお前達三人で行動を共にしな。』
「何故?」
『拉致やら殺害やらが此処の街でも多発しているんだよ。』
「なら猶更貴方も危険なのでは?」
『私は年齢的に外れたりするだろうし大丈夫大丈夫。』
「そんな軟弱な身体でなにをっ」
「お兄様!!!」
そう言ったサワアに、メルは腕を引っ張って押し倒す。
手に力を籠める彼女に、これしきと力を入れたことで気付いた。
『ほら、気付いたでしょ?ねぇ、力が出ないってどんな気持ち?』
「っ、放して下さい!!メル!!!」
『名を覚え続けろ。その想いを、忘れずに魂にすらしてしまえ。』
「…メル?」
『此処で生き抜くコツ。忘れるんじゃないよ。』
さ、そろそろ子どもはねんねの時間ー
そう言うメルに、ウイスやコルンの背中をトントンと叩く。
隣の部屋で三人とも寝れるように父が作ってくれていたのだ。
ありがとう父、助かる父。
『じゃ、何かあれば下に居る御父上か、私の所に来な?』
「わかりました。おやすみなさい。」
『はぁいおやすみ。』
そう言ってメルはぱたんとドアを閉める。
はあーーーという長いため息の後、
くそだるいなあと声を上げた。
『全く、面倒を増やすんじゃないよ私ってやつはよお。』
まだこの世界に魔女が出ていないだけマシというもの。
まぁ、居たとしても、下手すりゃ力が互いに出せず、
潜んでいることだってあり得る。
加えてメルも髪色が黒くなっているが…
彼等も黒く染まり切った時、どうなるかが恐ろしい。
人間のまま、その翼で、飛ぶことを忘れて
地に染まるなんて、考えたくないのだ。
『絶対に送り返す。』
それは最早熱意を越えた呪いか何かだ。
そうして、魔女達は呪ったのだろうか?
叶わない何かの為に?
まぁ、もっと黒いナニカが感じれるが、メルは予想以上の疲れに
そのまま寝ることにするのだった。