誓いを、願いを、幸福を。
それから、湖で水浴びをし、互いに寝る前になったころ。
「おもっっくそ寝てるな???」
「はぁ、メル様起きて下さい、此処で寝ると風邪ひきますから。」
『ん〜〜〜〜〜』
「起きそうにありませんね?」
「はぁ全くもう」
指を鳴らし、彼女が好きだったタオルケットを模倣品ではあるもその身体に落とす。
黄色いタオルケットに身を包み、子狼を抱きしめるように父親である狼の身体に挟まれて寝るメル。
余程気持ちが良いのだろう、嬉しそうに笑って寝ているのに、起こす気も失せてしまった。
「お二人ともも寝て下さい」
「え、でも」
「私は此処についていますので。」
「いやでも流石にそれは」
「いいからいいから」
「ああもうちょっと!」
そうリキールらに彼女を任せ、コルンは寝なくても良い身体にため息を吐いた。
「寝れる者なら、寝ていた方が良い。」
こんな感情など、要らぬという者。
「…貴方を殺させる訳にはいかないのです。」
誰もが彼女を見て、誰もが彼女の手を取ろうとする。
なのに、彼女が伸ばす手の先には、全く存在しない場所で。
その時間が、今、ゆっくりと回り始めているとでもいうのか。
「泣かせますよ、ほんと。」
もう泣いている姿など、みたくもないというのに。
貴方がまた消えるとなれば、きっと彼は泣くだろう。
消えないでくれと、死なないでくれと。
天使が人に、恋をして。
どれ程の月日が、流れたというのだろうか。
瞬きの間に、永久を願う、小さな天使と人の間に産まれた子供。
どうか、帰って来て欲しいと、想ってしまうのだ。
願わくば、彼の、元に。華を知る、人の元だけに。
「おやすみなさい」
その時間だけは、どうか、安らかに。
++++++++++
誰かわからない。
空はとても青くて、綺麗な星々を見せる。
小さな子供が、きゃっきゃと声をあげている。
花冠を相手に送りあっている姿が見えた。
ソレが何か、分からない。
「交換しないとね」
『え?』
「沢山の時間は交換しないといけない」
そう、交換、しないと、いけない時期なのか。
その姿を見て、手を伸ばして止めた。
綺麗な世界が、何処までも胸を痛めつける。
白い髪の毛の子供が、嬉しそうに紺色の髪色をした子供に笑いかける。
綺麗に綺麗に、着飾った、その時間
この白い、広い世界に、ぽつんと其処だけにある、世界。
あの小さな庭みたいな処に、私はいかねばならない。
『きれい』
「!!!……なら、守らないとね」
『交換するために?』
「嗚呼そうだ」
『そっか!』
その言葉が、酷く、胸が痛くて。
++++++++++
『』
「おや、お、めざ、め、で」
くぅんという声に身体を起こした。
ぽろぽろと出てくる涙に、胸が痛くなる。
何かを見ていたのに、何かが思い出せない。
なのに、胸は痛くてたまらない。
何かをみていた、見ていたのだ。
遠くから、ずっとずっと、ずっと遠くから。
其処に行けないから会えないから戻れないから
だから、だからと頭が一杯になる。
「……」
『(消さないで)』
「っ!!!!」
『(お願い、痛みよ、どうか、続いて。)』
この時間を、忘れてはいけない気がするから。
耐えるから、お願いどうか、そう思っていると、
コルンは杖をかざそうとしたその動きを元に戻した。
余りにも痛むならば、その記憶ごと消してやろうと思ったが…
それは、自分らが介入するに等しいことにもなる。
「…狡いですよ、ほんと」
「ふぁ〜〜おはよお」
「おはようございます」
「あれ、め、」
どうしたの?悲しいことあった?というアルトリアに、
お前まさかと睨む彼女に私はと弁明をしようとした
コルンにあのねえと声が小さく出る。
『め、る、おか、しいの』
「…メル」
『わか、んな、い』
分からないの、そう泣きじゃくりながら首を横に振って、
アルトリアの服をそっと触れる様に掴む。
『でも、うれ、しかった』
「え?悲しくないの?」
『うん…だっ、て、た、てね?』
「…っ」
『わたし、っ、あえ、たの…!!』
一番会いたかった、貴方に会えた、そんな夢。
「…そう。優しい夢を、見せてくれたのね。」
酷すぎる、残酷過ぎるその夢は、もう終わったの。
終わったのに、それでも現実に戻ったって、痛みは外れない。
心地よい夢なのに、一番がもらえて、嬉しいはずなのに。
寝ても覚めても、それはただの夢幻でしかなくて。
名前も分からない、顔も思い出せない、
なのに、たった一つだけは分かっていて。
一番会いたかったと、その残酷なことだけは、分かってしまっていて。
そう泣きじゃくるメルに、そう、そうねと
アルトリアはそっと抱きしめてあげるしかできない。
メルはアルトリアの肩から頭を出して、右手を空に伸ばす。
其処には居ない、青い空しか、存在しなくて。
白い髪の毛の色も、その紫色の目の色も、存在しない。
何処に行っても、何を想って走っても、会えるわけがない。
その場所にしかない、だから、もう、いいのだ。
私は貴方の、その世界だけさえ、あれば、それだけでいい。
それだけがあれば、この華は何処までも咲き続けられるし、
何処までも綺麗にその世界を守り続けられるのだろうから。
そう、メルはボロボロと涙を流しながら
首を横に振って笑って、頭を下ろし、
そのまま手を下ろそうとした、次の瞬間だった。
「大丈夫、僕はずっと、此処にいます。」
『っ!!!!!!!』
確かに、耳元で声は聞こえて。
ばっと顔を上げた時には、誰も何もないのに。
その右手にあった、ぬくもりだけが、痛みをやわらげてくれて。
『……うん』
ふわりと笑って、その涙を流したあと、
メルはぴたりと泣き止まった。
「全く、バレたらどうするおつもりなんですか……!!!!」
「おや、でも泣き止みましたよ?」
「そうじゃないんですよ!!!お兄様!!!!」
そう帰って来た者達に、サワアはクスクスと笑った。
朝、メルが泣きじゃくって手を伸ばしたあの時、
その手を取って大丈夫と声を掛けたのは、
サワア本人だったのだ。
「俯いていましたし、きっと私だとわかるわけもありません。」
「そりゃあ今と昔で一人称も変わりましたでしょうしねぇ?」
「…なんです?何か文句でも?」
「いいえ?別に?」
「だが…結構面倒な話になっているのは間違いなかった。」
そう言ったのはリキールだった。あの子とちらりリサらを見る。
「ただ者じゃない気の持ち主らであるのは違いない。」
「あの、お兄様。メルトリアさんとは、一体どのようなお人で」
予想以上に方向音痴な気がするんですが、気のせいじゃないですよね?
そう言うコルンに、えっと、とたらり冷や汗をたらしながらクスを見るサワア
クスは首を横に振り答えた。
「コルンさんの想像通りの方でお間違えないです。
彼女は完全ではない不完全としてうまれた方。」
「1番目の宇宙を司る、最初のお方で、彼女らは全員
原初…即ち始まりの時の者達であり、
加護天使は必要ありませんでした。」
そうクスとサワアが首を横に振りながら説明をする。
「その力、全てにおいて全てが完璧でしたから。
…まぁ最も、加護天使が他にはついていないながらも
彼女はその不完全さ故に加護天使が付けられていましたが。」
「そ、そんな方が何故」
「ソレはわかりません。ですが」
始まりを見せて貰えることだけは、分かりますとサワアはメルの方を向いて言う。
「もう一度、始まりを。」
++++++++++
話は遡り、メルがぴたりと泣き止んだ後。
食事を終え、狼と別れを告げた一同は歩き出す。
「そういえば、その次の街に皆さんは何をしに行かれるのですか?」
そう聞いたのはイルだ。
「嗚呼一応情報収集とか、食事から何から食材調達云々かなと。」
「我々旅をする者達もいますので、食材の代わりに討伐依頼とかもあります。
そちらで資金を稼いだりとかもしますので、まぁ街に行き次第と言ったところでしょうか。」
「とっ!!?お、お嬢さん方戦えるのか?」
「まあ私も長いこと旅をしていますし、多少は?」
「とてもそうは見えませんが…」
失礼というイルに、よく言われますとアルトリアは笑う。
「まぁ依頼って言っても物にもよりますからね。
討伐以外にも探し物とか洗濯掃除エトセトラ。」
『結構幅広いんだねえ』
「それに、道中の食べ物がまた美味しんですよ!!!」
目をキラキラさせて言うアルトリアにメルは苦笑いで答える。
「お嬢さんも何か探し物を?」
『私?私は…本を』
「本?」
『うん。ねぇリサ〜この話していいの?』
「あ?嗚呼!あの悪魔みたいな本の話しか?」
「悪魔?」
聞き捨てならない言葉に、コルンの眉間にしわが寄る。
「こいつと出会った時な、魂が自分の身体に急に宿って相談してたらさ」
「さらっととんでもない所から入るんだけどううんまぁいいかそれで?」
「ああそれで、引っこ抜いて依り代にいれようとしたんだよ」
そしたら赤い本が黒い色に染まって変なこというんだよ。
「へん?」
「嗚呼、”戻せ戻せ、お前の願いが理滅ぼす”とかなんとか…」
「ことわり…」
「それで?」
「あんまりにも煩かったからはたいた」
「ああそうですかはたい…ん???はたいたぁ!?!?!?!?」
ああもうこうらって!嗚呼そんな軽く…
そう遠い目でコルンがそのリサの動きを見てから笑いする。
「ペンと一緒にその本がどっかに飛んでってな?
それも含めて本当は探したいってことで。」
「私の方に旅が終われば一緒にと手紙をよこしてきたのがひと月前。」
「で、こいつが来たのは大体二か月か、三か月くらいまえかなぁ?」
魂として一緒に居たのはもっと長いが。
そう言うリサに、そんなに前からと目を丸める。
「メルは赤い本とペンが大事って言うからねえ」
『うん、こうなんか、そわそわする。』
「…成程、その付き添いにしては随分と心優しいですが?」
「…たはは、バレたか。ま、こいつ意外に気になることも、ねぇ?」
「…ま、それは貴方達全員わかることでしょうし、ねぇ?」
そうリサとアルトリアが同じ場所を見る。
其処は、神々が見つめていた宝玉のど真ん中であり、
その先で見つめていた者が、きゅっと手に力を込めた。
「……ま、いずれは話す。なんにせよ、こいつを放置なんて無理無理〜」
『っむ!!私一人で生きていけるもん!!!!』
「強気はよせよせ」
『ほんとだもん!!一人で生きなきゃいけないから!!!』
あれ、でもどうして一人で生きなきゃいけなかったんだっけ?
そう振り返るメルの目をそっと、アルトリアは自分の手隠した。
「大丈夫、いずれ分かるわ。」
『いずれ?』
そう、いずれ。
「…ま、その感じでしたら大丈夫でしょうね。」
「二人も居りゃなんとかなる!」
「三人寄れば文殊の知恵ともいいますし。」
ほら街だよそういった彼女の言葉に、メルは前を向く。
綺麗な町で、ヨーロッパの作りなのか、レンガ調の家屋に
綺麗だなぁと言って上を見て走り出しそうになるのを止める。
「ちゃんと前を向いて」
『…あ!そうだった』
「では僕たちは此処までで」
「すいません、色々世話になりました。」
「いえいえ、此方も街が分かってよかったので」
「それでは、」
『待って!』
そういって街に入ろうとするリサやアルトリアを無視し
違う方向に歩き出そうとしたリキールらに、メルが止める。
なんだい?と言って後ろを向くリキールにメルは答えるのだ。
『また、どこかで。』
「…おや、これはこれはご丁寧に。
…もう二度と、君達とは会わないかもしれないくせに?」
ぺこりとお辞儀をした後握手をと手を出してきたのだ。
ご丁寧にとリキールは彼女の通りに手を取って笑って言う。
こんな広い世界の中、そんな「また」なんて在るわけない。
そう言うリキールにいや絶対あるよとメルは言うのだ。
その黄緑色の光を灯したまま、ニヤリと笑って。
『ううん、絶対会うよ。』
絶対に、必ず。
そう言い切るメルに、少し目を開いたが、にやりと笑って返す。
そうかと言って、手を放した。今度こそ、お別れだ。
『大丈夫、何時か帰るよ。リキール様?』
「っ!?!?!??おっおま!!!!!!」
『またね!!』
メル何言ってたの?ないしょ!ええ〜等々内緒話も出て来たかぁ!
そう笑う彼女らに、リキールは唖然として立ち尽くしていた。
嗚呼もうほんと、狡い奴だ。
++++++++++
「じゃあ夜になったらまた会おう。」
『うん』
「迷子になったらすぐに言うんだぞ〜!」
『アルトリアたちもね〜!』
そういって三人は別行動になった。
此処はラヴィーネに行く道中の大きな街「ミトス」
栄えた場所というのもあり、書物も多い。
リサは食料調達兼宿探し、アルトリアは情報収集。
そしてメルはというと
『わあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!』
おおおっっっっきい!!!!!!!!!
図書館ならぬ、大きな本屋さんへと足を踏み入れていた。
その大きさは本当に広すぎて、一日全部見ても間違いなく足りない。
目をきらっきら輝かせてトテトテと人を抜けつつ本を手に取る。
綺麗な本ではあるのだが
『いっっっやなんだこれ』
読めない読めないどれもこれも、読めないものばかり。
ううん?と思うメルは他にとりあえず読めそうなものをと歩き出した。
一階二階と、螺旋階段状にあるこの本屋さん。壁沿いに本が敷かれており、
その横に廊下、その廊下の端には階段があった。
階段を上って次の場所に来たら見てを繰り返すこと、数時間。
全く見つからないことに、この場所ではないかもしれないと思う。
しかし、他の場所に行くにしても、図書館並みの本屋は此処しかないとか。
何なら此処になければ本気でないくらいらしい。
それ程の本が此処にあるというので、暫く見てみたいくらい。
そういえば、古代の文字をという彼女の言葉を思い出した。
古代の文字は何処にあるのだろうか、そう言うのは大体遠くの方にあったりしそうだと思い、上から見ていくことにしたメル。
高すぎてこれから下に降りるのは出来そうになくなっていた頃。
周りの本を見てみると、ふと気になる表紙が見えて、手を伸ばした。
『あっ』
「おっと失礼」
伸びていた手に気付かずに触れてしまい、すいませんとペコリ謝るメルに、いえいえと首を横に振る彼に
あれ?とメルは首を傾げる。
『アナト、様?』
「っ?!?!!?!?!?」
『嗚呼違いますすいません』
貴方はって言おうとしてと笑う彼女に、嗚呼そうでしたかと困る彼にひょっとしてとメルは聞く。
『割と本気でお名前合ってました?』
「………ええ。」
言おうかどうか少々迷った挙句の果て、観念して言う事にした。
「初めまして、と言いましょうか。アナトと申します。」
『メルです。えと、スピスさんの親族の方の付き添いの人?ですか?』
「すっ……え、ええ、そう、ですね。」
『やっぱり!イルさんって人に先程まで会ってまして!知ってます?』
「ええ知っていますよ。」
親戚ではありませんが、仕事仲間でして。
へぇ〜〜〜〜そうなんですね!!!
そうメルとアナトは話しながらどの本を取りたかったのです?と話が戻る。
『嗚呼えと、あの本なのですが、ちょっととれなくて!』
「でしたら」
『はわ!?!?!?!?』
「此方です?」
『え、あ、あああはい。』
身体がふわりと浮いて驚き固まっていたメルが、
アナトに言われてすぐに首をぶんぶか縦に振る。
くすりと笑った彼はどうぞとその本をメルに渡した。
『えっでもこれ欲しかったんじゃ』
「私はこちらの、緑色の本が気になっていましたので。」
『嗚呼成程』
「此方には良く来られているのですか?」
『いえいえ、初めて来ました。アナト様は?』
「私もです。様付けでなくともいいんですよ?」
『えっじゃああなちゃん???』
「あっ」
すいません冗談ですという彼女に別にいいんですけどねと答える。
それにはいやいやとメルは手を横に振った。
『そんなちゃん付けなんてやっても一人くら、いで…あれ、誰にしてたんだっけ。』
「…さ、おろしますよ。」
ああすいませんと言って地面に足を下す。
赤い本を手に取り、ううんとメルは言った。
「何かお探しの本がおありで?」
『ええ、赤い本ではあるんですが〜〜』
「表紙か何か分かればお探ししますよ?」
『いやいや、これを返してもらえるだけでもありがたいくらいで。』
「そうですか?ではとりあえず。」
そう言ってアナトはサラッとメルから
赤い本を受取って高い場所にあった処に本を戻した。
そう言えばとアナトが言う。
「空を飛ばないんですか?飛べそうな感じがしますが。」
『空を?いやいや〜そんな非現実的なことあるわけが』
「現に私、空を飛んでいますが」
心の中で絶叫したメルに対し、クツクツと喉元で笑うアナト。
いや本当に面白い方ですね、と言う彼に、
メルは顔をきょろっきょろと動かすのがはやいのなんのだ。
吊り上げられても居なければ下から風を送られてもないというのに
五度見くらいして「うそだあ!!!!」という顔をみて更に笑いが出てしまう。
「っくくく、すいません。」
『いや笑うのは別にいいんですが…空飛べるんですね。』
「それは私に対してです?それとも空を飛べること自体です???」
『両方』
「りょっ…っくく」
もう笑わせないで下さいというアナトに
私なぁんも笑う事いっとらん!!!と言うのに笑ってしまう。
あまり大声を出せば他の迷惑になる。
「それで、何かヒントか何かありますか?」
『んん、こうノックをしたら色が変わるのはわかるんです。』
「ほお?」
『でも赤い色だったのは確かで。』
「それ、下手に叩いていたら赤色ではないのでは?」
『…………!!!!!!!!!!!!!!!』
本当に笑わせる天才ではないのだろうか。
アナトはクツクツと笑い始め出した。
いやいや、すいませんと言うアナトに、メルはううんと言う。
『でもきっと此処にはないんです。』
「ほぉ?何故そう言い切れるんです?」
『だって気配が何にもしない。』
それに触れていると、満たされているようで、
胸が空いたみたいな感覚を感じていました。
『なのに、そんな感じ何処にもない。だからないんです。』
「…見つかるといいですね。」
『出来れば、見つからない方が良いんでしょうがね。』
「おや?そうなんですか?ではなぜ探しているのです?」
見つからなくていいなら、探さなくてもいいのでは?
そういうアナトに、メルは言う。
『立ち止まると染まるから。染まるくらいなら走り続けるんです。』
「…そうですか」
『誰にも染まる者か』
「…メル、さん?」
『私はずっとずっと、その場所しか見つめていないのに。』
そう上を向いて言うメルの目が、何処か、光った気がした。