彼は優しくて浅はかで
「着きましたね」
「ええ」
今日は此処、大きな広い島国にやってきていた。
『うわあああああ凄い綺麗な場所!!!』
「これはしゃがない」
ぴょんぴょんと飛ぶメルが滑って
海に落ちそうになったところをぱっとクルが浮遊させて戻す。
ごめんなさいと笑うメルに、全くもうとため息を吐く。
最早母親のソレである。まっま!!!!だっこ!!!!
「では、我々は此処で。」
「ありがとうございました。」
「いえいえ、良い旅を」
そう彼らに手を振ると、ぺこりとお辞儀をされて
何処かに歩いて行ったのを見終えた我々も移動することにした。
目の前に広がる世界は、青い海の中に大きな星が幾つかくっついたような島国の中
浜辺にある、港に足を踏み入れていた。
そう、私たちは現在、星宿諸島、テトラサルンにきていたのだ。
『そう言えば此処におじさんがいるって聞いたけど』
「嗚呼このコインを渡せばなんとかなるらしい。」
メルの言葉に気付いたリサが取り出したのは金の硬貨。
その硬貨と名前を言えばちゃんと作ってくれるそうだ。
星の導きなる、コンパスを。
壮大だなぁと言うメルに、今更気付いたのか?とリサは言う。
「此処はお前の知らないことばかりが起きる場所だろうからな!」
『私のって。貴方私の事殆ど知らない癖して。』
「っ!!!そ、それはそれ!!これはこれ、な?」
まぁいいけど。ええんか。
それがあればこの惑星内なら何処に行けば
最短かの方角がわかるとのことを知って、メル達はこの場所に来たのだ。
その職人は古い知り合いにしかもう作らないと言っていたので
これはラッキーだとアルトがあれよあれよと走り続けたのを、
メルは引っ張られて此処までやってきたということで。
「にしても此処が星宿諸島のテトラサルンか〜!豪華なところだね!!」
『なんかハワイって感じだな。』
「はわい?」
『あれ?知らない?』
何処それと言ったリサに、メルは知らないの?と説明をする。
アルトリアは周りをちらりと見渡し、警戒をしているようにも
見えたが、直ぐにリサに指をさしてくるくる回しながら説明する。
『ほら、太平洋に孤立する火山列島だよ。
断崖、滝、熱帯の群葉に、金、赤、黒、
緑さえもある色とりどりの砂浜が織りなす起伏の激しい
ちょ〜絶景で有名なやつだよ?観光客とかよくいるし、
何なら日本の方から金持ちが行くとかざらにあるのに。』
「えっと…そのたいへい?に、にほんって?」
そういった彼女に、数秒考えた後、
嗚呼ごめん夢の話と言ってごまかす。
そうだ、此処には日本語という日本語が存在しないのだ。
だからそれをも調べるために、この旅をしていたのを
今すっかり忘れていたのだ。
綺麗な砂浜と、その島国をみてすぐにハワイという島国が思いついたのも
何故か赤い髪の毛の女性を見つけて思いついたことで。
はて、私の知り合いに赤い髪の毛の女性だなんて、一体誰がいただろうか?
あれ、というか
『にほんって、どこだ?』
「さ、まずは食材と宿を探そうか。」
少なくとも三日は考えておかないとと言う彼女にそうだなぁと周りを見る。
そのまえに、
「きゃ〜〜〜〜〜かわいいいいいいい」
『ええ〜〜〜、買い物していいの?』
「どっちにせよこの気温でこの服は無理。」
気温大体30度は超える暑さに、流石に生地の厚さからして気温負けする。
メルは現在、大量の金を持っているというのもあり、近所のお洋服屋さんに
足を無理やり運ばされ、何なら箱の中に入れられ着せ替え人形にさせられていた。
滅茶苦茶機嫌が悪い。
『もう、いいよ、これでも』
「駄目!ある程度の服装はしとかないと。」
そう言われて着せられているのは胸に布を巻き付けるだけ巻き付け、
下はパンツくらいの丈しかない生地を何とか巻き付けただけのほぼ全裸である。
流石に恥ずかしい!!あの丈から急にこれは恥ずかしい!!!!
『ならこっちのほうがいいもん』
「ええ〜まぁいいけど」
そう言って着たのは左肩の上に
薄い水色のリボンを付けた踊り子の様な衣装だった。
リボンの紐は左肩から右の脇を通って一周している。
胸元は白い布で巻いて、更に上に白いレースよりも
薄いベールでカバーしているもおへそのある部分はみえる。
なんなら左肩にリボンがあるだけで、
胸元の白い布が胸から下を切ったみたいなキャミソール。
髪の毛で隠したら普通に胸元しか隠していないみたいに見える。
腰元は白い布とベール、
そして水色のリボンの様な素材が波の様に
2,3程重なり、その上に葉をモチーフとした
金の腰巻きを付けて股にぶら下げているが。
「いやそっちの方がどう考えて恥ずかしいような…」
『肌の露出こっちの方が少ないよ?!?!?!?!』
「露出の問題じゃないんだよねぇ〜〜?」
『だっひやぁう!!!』
つつーと首後ろを縦に通したリサにもうとメルが半泣きで怒る。
ごめんごめんと暑苦しくて髪の毛を横に通していた
メルの後ろが気になって触ったリサが笑って謝罪する。
『寧ろ二人の方がずっと恥ずかしい。』
「あらそう?似合ってる?」
『もうどちゃくそ似合ってるから大好き。』
「ならいいじゃない。」
リサとアルトリアは色違いでも服装は同じ。
胸元は上が暗めのレースがアクセントとなる胸当て。
下は金色で締めていても、くびれより少し上から肌は露出されている。
腰元は黒いバンドか何かで止めているが、右側に白いバラをアクセントとし
其処から左右に弧を描くように股ギリギリラインのみを透けない布生地で隠されている。
まぁその下から、くるぶし程まで長く白いレースがカバーしているが、
薔薇の反対側からスリッドのように少し切られているし、ズボンではなくスカート。
裾は金色の糸で装飾されており、とてもおしゃれにみえはするが。
透ける度合いはこっちの方が高い。
露出も必然的に高くなるのだ。
首元に軽いレースか何かを付けており、
頭にもかぶれそうな薄い金色の装飾が施された
ベールを肩にかけて互いを見合う。
「「べつにそれほどじゃない」」
『それ程だが?!?!?!?!!』
「どこをどうみていうんだよ」
そう試着してそのまま着て帰っていいと言われたので
会計を済ませ、出ようとした時に、そのとメルはもじもじして下を見つつちらりとリサらを見て言う。
『お、おへそ、みえちゃう、んだよ?
神様に取られちゃうから、お手手で一々隠さないと……』
私お手手そんなにないから、二人の分守れないよ。
そう小さな声で言うメルに、はあとリサがため息を吐いた。
「……メルもういい」
『え?』
「抑えろアルトリア」
「無理辛いむり」
『え?え?え?え?!?!?』
抱き着いたアルトリアにメルは困惑する。
店員さんは可愛らしい妹さんですねぇと手を頬に当ててにこやかだ。
「ええ、ええ。そうでしょう。
そうでしょうとも。自慢の妹ですから。」
『…私いむっぐ』
「むきになってるのがまたかわいいわ〜〜」
ねぇ外も暑いし折角だからと衣装を持たされる。
お金はそれ以上使わなくていいと言われ、
軽くアルトリアに他の店員さんに身を落とされた。
嫌な予感は的中する。
「きゃ〜〜〜〜かわいい〜〜〜〜〜!!!!!」
『あう……は、はずかし、いよ?』
胸元ははだけ、股も殆ど隠しきれていないのではないだろうか。
アラビア系の服って結構熱さに堪える為、涼しい材質が多い。
ある程度の部分さえ見せなければいいみたいな感じが
そりゃあもうそわっそわする。
ワンピースとかならまだ透けていないからまだしもだ。
水着とかならまだいいかもしれない。通常で着ないというのが尚よし。
でもこれは通常で着るやつです。つまり恥ずかしい。
お前に恥じらいとかあったのかと言われる始末だ。そりゃあるぞ私だってな。
「最近の観光客はアレくらいの子もいなかったからねぇ。」
「そうなんですか」
「拉致とかそういう類が多発していてね。」
「…気を付けます。」
「そうしておやり。割と入れ替えが多くてね。」
同じ姿なのに、違う人だったとか、化けられていたとかが多いらしい。
それも一瞬で、通り道3つ分の距離を移動させられるらしく、
割と困った話も出ていると聞いた。
特に昼間辺りは出没するので、こうして時間つぶしをと提案してきてくれたのだ。
それにはリサもアルトリアもお言葉に甘えるしかない。
まぁメルの機嫌は急降下になるのもそうだが。
『むう〜〜〜〜〜〜〜』
「ほらほら、メルちゃんあ〜〜ん」
『ん゛!!!!』
きゃ〜〜〜〜かわいいい!!!!
待って私も私も!
そう定員さんらの休憩中、お邪魔していいのかとリサは言うも
寧ろああやって一日居させて貰えたらこっちも助かると言われてついている。
現在お昼の13時頃。お腹が空いた一同は
昼休憩で近くのカフェの屋上でメルをあえまくっていた。
影にはなっているが、メルの心は真っ暗闇だろう。
凄く眉間にしわが寄っている。
雨雲どころか雷も伴った突風が吹いていそうだ。
触らぬ神に祟りなし。リサらはそっぽを向くことにした。
「それより、貴方達これから何処に?」
「嗚呼、宿を探して、人探しを。」
「此方に職人リートさんっております?」
「…い、るはいるけど」
「あの人、もう職人じゃないわよ?」
『え?!!?そうなの!?!?!』
メルは女性陣の胸から出てきて声を上げる。
普通に抱き着いてくる彼女らが悪いのだ。
まぁこっちも癒されるからいいけど。
「ええ、数年前にね。街を出ている話は聞いていないから、恐らくどこかには住んで居そうだけどね。」
「元々居た場所とかってわかります?」
「山奥になるし、流石に降りてきたって噂も上がっているから、其処は当たらなくていいだろうけど。」
「そうですか…」
「貴方達何か知らないの?」
いいえと首を横にふるう周りに、しょげるメル。
「にしても妙な時に来ちゃったわねえ」
「え?」
「リーシャ」
「はぁい」
そう手を挙げた赤髪の女性に、アルトリアらが座っている処に
堂々と座っていた店長らしき人が声を掛けた。
「貴方の所宿でしょ?この子達泊めれないの?」
「一応いけなくもないですよ?」
「ほんと!?!?」
「ただ、一部屋しか貸せなくて、加えて二人分なので。」
「ならもう一人私の所でどうかな。」
「貴方は?」
「ミーシャです。」
双子の姉でという彼女に、へえと声が上がる。
「こっちも一杯ですが、此方なら家の客室があけれますので。」
『え゛いいいいですよそんな』
「いやいや、こんなに可愛い子を放置したら悪い奴らに喰われてしまうわ」
「そうそう。沢山癒されてもうおつりが出てきちゃうくらいだもの。」
『そんな可愛いことしてなっひぁああ!!』
背中がぱっくり空いている衣装なのをすっかり忘れて居た。
下からつーとなぞられて変な声が出てしまう
ソレを合図にいちゃつきだしてきた。
『えっあっちょ、ひぁ、どこをさわっんん!!!』
「ほらほら、もっともっと」
『ん〜〜〜!!!』
流石に女に手を出すわけにもいかない。
なんなら彼女らは自分の事を愛でているだけだ。
いやだとしても普通に際どい所ばかり触ってくる。
なんとか声を我慢し、近くの人にしがみついて背中から睨む。
それに可愛いと言われて、頭にキスを落とされた。
「睨んでいるようにしているとおもうけど、
襲って下さいって言っているようにみえるわよ?」
『え?なっひあ』
「女とて、味方とおもわないことね?」
覚えってって♡
と言われていいいやあああと声が上がり、周りが笑う。
まだ会いたい人にもちゃんと触れてない、
その名前も、顔すらも、分からない
黒くてまったく、見えないのにと言うメルに、ぴたりと止まる。
あれと周りを見ると、そっと抱きしめられた。
『あれ?お、お姉ちゃん達どうして』
「大丈夫よ。それは夢。」
『え?でも現実じゃ』
「そう、夢よ?」
『ちが、』
夢、そう優しく頭を撫でられて、
そのまま近くの気持ち大きめのソファーに寝転がされる。
大丈夫、そう言う彼女らに違うと否定する。
黒い彼の、顔を、早く見たいのに、見たくない気持ちもあるのだ。
怖いから、どうか、どうかこのままで、いたいのだと。
「…それも全部夢よ。」
『ゆめ?これも?この、手も?』
伸ばした手すらも、夢なの?
そう言うメルに、それはと声が止まる。
いやだ、そんなの、いやなの。
だって、そんなの、ひどいよ。
メルの目がジワリと滲み、光が零れる。
『あなたの、』
髪がふわりと広がって、胸に華がちらりと咲いていき、
メルは反りあがるように、後ろに手を伸ばして顔を上よりも後ろに持っていく。
其処には、ふわりと浮いた、青い輪を首に付けていた
白い髪の人が、メルの手を取ろうとしているだけで
その手は伸ばされることもなく、メルが届く場所にもない。
『貴方を、想う、この、
何処にも存在していない、夢だというの?
手をとろうと、手の形だけはそっと、伸ばされていて。
二の腕にまだ近い所にある、伸ばされていない手に、メルは笑った。
涙を零して、顔の見えない、模倣を、綺麗に創り上げていたのだ。
その姿に、リサやアルトリアも驚き椅子を後ろに落としたのを知りつつも駆け寄った。
「っメル駄目だ!!!!」
『』
「〜〜〜〜〜っ!!!!コルンさん!!!!」
「御意」
ふわりと消えたメルに、アルトリアが叫ぶ。
すぐに背後に似たような者が飛び、ぺこりとお辞儀をした。
「すいません、驚かせて。」
「ひ!!!!っえ」
「っあれ?」
ぱたぱたと眠りに落ちる彼女らに、失礼と界王神である者がお辞儀をした。
「ええ、わかりました。」
「どうです?」
「向こうにはいないそうです。」
『いるよ?』
「っ!!!!」
そうメルはいた。ベランダの手すりに、腰を掛けて、
足を組み、そのうえで両膝を立てて、顎に手を乗せて。
とても、幼い、ふわりとした声で、言ったのだ。
『ここにいるよ?どこにもいないのに、ここにいるよ?』
おかしいね、とクスクス笑うメルに、メルと声が漏れる。
『もうあとひとつしかないの』
「…そこは危ないですよ。おりてください。」
『きたらつらいよ?』
残酷だよ、そう言うメルが、手すりに手を掛けて、首を傾げる。
それに構いませんとコルンは歩きながら言う。
「貴方のその痛みよりかは、数倍楽でしょうから。」
『ふれちゃだめだよ?』
「っふ、笑わせないで下さい。触れさせないだけでしょう?」
ふっと笑うコルンにもちろんとメルは笑う。
幼い、非常に、まるで、子供のようで。
いや、子供のまま、切り取って、守り続けているのだろう。
ずっとずっと、小さな、たった、そこだけのために。
『もうすぐおわるよ?おわっちゃうね!』
「ええ、終わらせたいのですか?」
『ううん!ずっとずっと、ずーっと続いてほしい!』
「なら…続かせればいいではないですか。」
「コルン様……」
「待ち続けている者が居るのです。
会いたいと、言う、者が、いるのですよ。」
『おねがいは、はたされないといけない。』
その身を焦がせ、焼き焦がすのだ。
そうメルは、手に胸にぶわりと黄色い花を咲かせて笑う。
『おまえはちがう』
「…っ、なら、その方なら?」
貴方は触れれると?
そう前を向いたコルンに、ばっとメルは後ろを振り返ったが遅い。
「ねぇ、
『っ!??!?!?!』
腰元をガッツり抱え込み抱き着いて来た為、白い世界に飛ぶのが怖い。
でも、このまま横からかっさらわれ、空高くに飛ばれると、困る。
黒いクレヨンがみえなくなる。滲んで、頬が見え始めたのがまずい。
まずいまずいまずいまずい。
天使ですらも死んでしまう時のお話。
その果実を喰らい、その身を華樹にしか捧げない。
小さな小さな、天使と人間に生まれた、小さな女の子。
12の時間を渡り、走り、もう終わりが近いこの最後で!!!!
「貴方の想う様になどさせない」
『〜〜〜〜〜〜!!!』
「道連れにさせて下さいよ。その空白に。」
そんなの出来る訳がないですよね?
だってそこは、貴方が願いを叶えられない場所。
「僕を連れていけば今度こそ僕はこの世界に居なくなる。」
『っさ』
「ソレは困りますよね?僕は破壊神に仕えし者。天使。貴方は違う。」
『っ』
「ねえ、連れてって下さいよ。貴方が、願うならば。」
駄目だ、そんなの、この青い場所で、そんなの、出来ない。
何処までも青い世界の下で、ふわりと身体が浮かぶ。
彼の気が、自分の身体を包んでくれて。
そっと両手が自分の頬に触れて、酷く胸がツキンと痛んだ。
「夢も現実も空想も分からないならば、一緒にしようと包み込む貴方の好きになどさせるわけがない。」
『っ!?!?!』
なんとかふわりと透過し、距離を離れる。幽体離脱みたいな感覚だ。
こうすれば浮遊していられるから、と思っていたのがまずかったのか、
クスリと笑われた。なんだなんだ、何が起きているんだ一体こったい!!!!
「別に逃げるならいいですよ?逃げても。」
『え?』
「捌けるなら」
ぱちんとなった音で、周りから人が現れてきたではないか。
いや人というか、神様が、輪を持つものらが。
『っわと、えっなっ!?!?!?』
「っと、本当に、つか、めませんね!?!?!?」
『ちょ、一体何人できとんの!??!?!?!?!』
馬鹿じゃないのと叫ぶメルに、クツクツとサワアは笑う笑う。
「本当に可愛らしいですよね。」
『っ』
私ではなく僕と言うコレに、
「触れてくれるのですから」
『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!』
「林檎みたいに顔真っ赤にしていますが大丈夫でしょうか?」
「間違いなく大丈夫ではないでしょうね。」
++++++++++
いやにしても
「本当に透けるとは」
驚きましたよ。そうコルンは手を軽く前に立てて出すのに対し、
サワアの胸元に抱かれたメルがビュンビュンと
音を立てて触れようとするも透ける透ける透けまくる。
現在真夜中と言うか夜の23時頃。
メルはあれから戻っていたが、サワアに会うとまた透けてしまい
それに気付いたアルトリアがコルンを呼びつけた。
なんなら
『すぴす』
「…失礼」
最初に旅を始める者が、直々にメルの元に来てくれていたのだ。
本来であれば下界に降りることはありませんがと言う彼が言う。
「…メルさん、貴方ちゃんと記憶がありますね?」
「っな!?!!?!?」
「でもそれを受容しない。何故なら
アルトリアさんやリサさんの事が心配だから。」
違いますか?そう言う彼に、しぶしぶメルはこくりと頷いた。
でも、半分正解だというのだ。
『メル、余りよくわからない。むずかしい。』
「メル様……」
「…無理もないでしょう。
貴方は人間で言うところの6歳程で止まっているのです。
このままいけば膨大な記憶や感情に潰されてしまいましょうね。」
「っそんな!!!!」
「でも、そんなつもりサラサラない。そうでしょう?」
『ん。みんないいひと。だからね?たすけたいの。』
「…左様ですか。」
メルだけが、悪い子になれば、みんなみーんな、幸せなの。
そう言うメルに、そう、ともう一度大神官は答えた。
「では、悪い子になりますか?」
「え?」
「いい子で居て消えて無くなるならば、悪い子になってしまえばいい。」
「おっお父様?!!?!?」
「違いますか?いや、そうですねぇ…流石にもう、ネタ晴らしをしないとまずいですよ?」
皆さん凄く困っていますそう外を見る彼にわあとメルが見る。
他の宇宙の神々が、少々はらはらしつつも様子をちらちら見ていたのだ。
様々な方向から、こっそりとではあるが。
ぱっと消えた周りに、ぴっとメルは大神官の方を向く。
それに大神官はニコリと微笑んだ。
「貴方は非常に賢い子です。私の兄であるルトラール様の実の一人子。」
その力は膨大で、非常に残酷になる。
子供を多く作り出すのは、その為でもあると大神官はそっとメルの頬に手を触れる。
触れられないところがふわりと、少しずつ、触れていく輪郭を帯びだすのに目を細めた。
「さ、お話してください。時間はたっぷりあります。」
瞬きの間くらい。手間など取るわけもない。
そう言う大神官が、そっと手を放し軽く距離を取って手を後ろに持っていく。
それに、あのねとメルはサワアの膝の上で動いていたのと止めた。
『おこらない?』
「ええ、というか怒れない、に等しいでしょうか。」
私もそれに対して、謝らなければなりませんから。
そう言う大神官に、お父様?と声がかかる。
『…まだ、一つだけだよ?』
「ええ、それでも、その一つが、大事なのですよ。」
0番目の時間を華にさせた者。
「エフェメラルさん。貴方の、時間を。」
『……あのね、メル、ね?』
林檎、たべちゃったの。