もう私の手など届かない場所
「メル」
『と、とさ、ま?』
プラティアがもう暫く動けない状態の中、
メルの身体を持ち上げようとした時だった。
『っえ??』
「っ?!?!!?エフェメラル!!!!!!」
ぴしゃりと身体に血が広がる。
流石に掠ったかと言う彼女の身体が軽く吹っ飛んだ。
ルトラールはメルに気を渡し、何とか身体だけを維持させる。
そっとルメリアの元にいき、彼女から魂を引っこ抜いた。
『これは?』
「大事にしておいで。」
『うん。ととさまは?』
「…ごめんよ、エフェメラル。今から凄く酷いことをする。」
『大丈夫だよ?』
「え?」
だってとメルはルトラールの腕の中で言う。
『メルはととさま大好きだから。』
「……!!!…本当に、ごめんな。」
『どうしてあやまるの?なんでかなしいの?』
「メル、お前の名前は「メル」だ。」
『え?』
「”破壊を産んだ罪のあるメル”だ。」
『な、にを』
「…失敗だったか。」
冷めた目に、メルの心がひんやりと涼しくなる。
いやだ、だめ、やめてと言う彼女を無視し、ドアをノックする。
メルの手から、すっと華を取って。食らいついた。
「色んな人に出会い、色んな時間を見ておいで。」
『え?』
「”それは時間を継げる、12の日。約束果たし日、
来る時まで、どうかこの子達を、守って下さい。”」
ちらりとエフェメラルが上を見上げる。
泣きそうな顔で、寂しそうにも、無理して笑って、
その頭に、キスを落とし、再度言う。
「エフェメラル、お前は私の子ではない。」
『え?』
お前は【メル】破壊を産んだ、【メル】だ。
ダンと音を立ててドアを開け、その漆黒に身を投げたルトラール
ふわりと宙を一回りするエフェメラルが、声を聴く。
「さようなら」
右手を伸ばすも、遠すぎる。ばっと落ちていく中、子供が叫ぶ。
『とおさまあああああ!!!』
ぐらり手を伸ばしても、その手は身体は冷たいその目に、拒む。
嗚呼そう、か、そうかとメルは涙を流しながら笑う。
『める、すてられちゃったんだ』
ふわりと白い翼が背中に生える。
何処までも綺麗で何処までもキラキラしている。
『お空なんて、飛べなくていい』
痛みを知りつつも、無理矢理引き千切る。
痛みでどうにかなりそうなのに、
もう片方も、足を使って引き千切った。
『ずっとなんて、いらない』
白い翼は暗闇に消えて何処までも身体は落ちていく。
痛みも次第に楽になって、その痛みすらも抱かないと怖くなってきた。
ふわりと金の紐が解けて暗闇に消える。
『大事なお紐も、渡すから』
青い空の大きな綺麗な樹の下で。
色鮮やかな花畑の上に生きている、永久の天使。
ねぇ、どこかにいる、かみさまへ。
『かよ、かみさまよ、おねがい、つづけて。
かわりに、だいしょう、あたえて、くれていいから。』
どうか、おねがい。
『私が出会う全ての者が、笑っていきれますように!』
だから。そのために。
この花畑の上で、一緒に居てくれる。
優しくて強くて大好きな
私の天使さんとの約束を貴方にあげるから
その時間に、閉じ込めて。
願いが全て叶うその瞬間に。
『どうか、この時間に。閉じ込めていいよ?』
”貴方と花冠を交換するだけの時間”
その時間を捧げましょう。
何時か来たりしその日まで。
そしていつか来るその日には。
その時間を取りに行きます。
その代わり、全ての時間を戻します。
そして貴方が願う、白い世界で。
私はその時間だけで、息をしましょう。
『だからずっとずっと、ず〜〜っと、まっててよ!!!!』
私の願いを、叶えられない、愚かで愚鈍な華樹の樹よ!!!!!
『私の願いを叶えられるものなら叶えてみろ!!!!』
ふわりと世界が白くなる。
『あっ出来れば〜!額縁に綺麗に飾って〜?移動できるようにしてほしい!』
あっあとそれとね。空飛べなくていいから移動手段出来るようにも。
そうポンポンと違う願い事迄出てくる始末だ。
嗚呼、いたいのに、いたくなくなる。
『…悪い子だなあ。我儘は悪いんだあ。』
ま
『捨てられた私は、悪い子だけど。』
ボトリと白い世界に落とされる。
痛さは何故かないが、上を見てわあと声が上がる。
白い髪色の、黄金の瞳を持つ、白い衣装の女性、男性?
『ちゅうせい?』
「…お前は色々と失礼極まりない奴だな。」
『おっと?』
「はぁ。まあいい。まさかこれ程の人材が来るとはまぁまぁまぁまぁ。」
『?????????』
「よかろう。お主の願い我が叶えよう。」
お前滅茶苦茶喧嘩売ってるからな。
えっまじ?
まじ。
「もしも、もしもだ。お前の願いが叶わない時。
この全知全能の神が華樹の樹の神である我が!!!!
この座を降り、お前に託そう。」
『え?いいの?』
「嗚呼勿論!そろそろ頃合いとも思っておったところじゃ。」
じゃがしかしい!!!!
「お主の妙な感じが怖くてたまらん。」
『おつよそうなのに?』
「…その妙な言葉を選んでくるところも含めてな。
はぁ〜〜〜華樹の樹として選んでみたのがハズレにしては
願いの質が妙に良すぎる。んん〜〜〜。」
『心配ならついてくる?』
「あ、それがいい。」
お前天才だな。えへへ。
「じゃが我も名前がない。」
『じゃあつけてあげる。』
「お?いいのか?」
変な名をつけるなよ?大丈夫だよとメルは言う。
「っ、お前、それ」
『え?ああ、ひきちぎった!!!』
「ひきちぎったあああ?!?!?!?!?!?」
おおおおおまままsdfかsdfぁkdf
そう慌てる全知全能の神様にメルは首を傾げた。
「…その精神、末恐ろしいな。猶更交代の予感しかしない。」
『?????』
「成程、お前の母君もかなり消耗しとる。よし決めた。」
『ん?』
「お前は我に名づけをしろ。我はお前の母君を完治させる。」
『本当!?!?』
「嗚呼。お前の母君からは後で色々取り繕う。」
まぁ変なことは言わないから安心しろ。
それとと母親からポンと本を取り出しメルに渡す。
『これは?』
「お前の母君からのプレゼントらしい。それに書けば
その通りのまま、自分の身に起こるそうじゃ。」
人間にしてはとんでもない魔力と言うか気の質だが、まあいい。
「お前の願いが叶わない時。我はお前のしもべになろう。」
『しもべ?』
「言いなりになるってことだ。何でも言っていいぞ。」
『じゃあ、お手手つなぐとか?』
「んだっ……本当に欲がないのお。」
あの中についでに捨てて来たか?それとも願いに無理矢理くっつけたか。ああ〜ありえそうじゃなあ。こんな子供になら猶更本当に全部とかいれてきそうじゃ。いや猶更放置出来んわこんなの。
「もしお前の願いが叶う時、この場所に、華樹の樹として役を付ける。」
『がくぶちは?』
「勿論それもだ。額縁とこの樹がお前の生きる場所。」
『ここが?ここに、もどってこれるの?』
「…おまえ、元の場所に戻りたくないのか?」
『いいよ。』
「っ」
『メルは悪い子だって!』
だからね、
『サワアもメルのこと、もうみないだろうから。』
いい子なら、そう言っていたのを思い出して涙がこぼれる。
それに、そうか、どこにもいけないかと頭を撫でた。
だからといって、その翼すらも、引き千切って落ちるとは…
余程の覚悟を持ってきたということ。
「猶更か。」
『?』
「よし。お前の名は」
『メル』
「メル、良いか?お前の願いが叶えば、此処に。我の次として。
お前の願いが叶わねば、我はお前についていく。」
『これは?』
「お前の好きにせい。外に置くなり此処に置くなり消すなりなんなりせい。」
まぁ消すと少々面倒じゃからその時は要相談じゃな!
「それで、我の名をどうする。」
『カランコエ!』
「即答かい!!!もっと他の名があるじゃろうて!!!!!」
『だってカランコエってお花は幸福をつげるっていうでしょ?』
貴方は願いを沢山の人に渡してくれるいいひと。
繋げてくれる、継げる人。そう言うメルに、神が目を丸める。
『貴方を守るって、メルやかかさまみたいな者を守ってくれてる。』
それにね?
『沢山の小さな思い出を!貴方はその優しい心で、ずっとずっと抱きしめてくれてる!』
その樹の端から端まで!!!
ざわりとざわめく樹に、少し身体が向く。
『だから、カランコエ!』
「…お前、名のセンスがあるとは。」
『きにってくれた?』
「きだけに、な?」
笑うメルに、よし来たとメルを抱きしめて指を鳴らす。
どうせなら髪色も全てかえようという彼女に、なら赤と笑う。
「なぜじゃ?」
『メルねダメな子だから忘れちゃうから。』
赤はね、さっきみたいな血の色なの。
「っおまえ」
『まっかにそまって、その時に戻って。』
そうしたら、何度だって想い出す何度だって、繰り返す。
そうすれば、何処に行っても、忘れないでしょう?
代償を、私は渡すのだから。
『…ねえ?カランコエ。』
「呆れた。お前みたいなの初めてだ。」
『わあいやったー』
「…まあいい。なら、12。」
『ん?』
「12を見てこい。そうして、もし、もしも、12の中で完成されなければ我の負けだ。」
ま、正確には我とたっぐだがな。
たっぐ?
協力じゃ。
「数多の者達バーサス、我々華の神。真髄が。」
『かてる?』
「やろうとおもえばな!」
『ならいいよ。』
世界中の何処に行っても、私は独りぼっちではないか。
この樹の下で、待っていて。私も迎えに行くから。
そう言う彼女に、忘れるなよと言われて手を叩く。
どうやら一番目の迎えが来たらしい。
「さ、これをもっていけ。」
『これは?』
「我の欠片じゃ。カランコエとでも言っておればいい。」
お前であり、我でもある。
「忘れるなよ。その願いを。意味を。魂に刻めつけろ。」
『貴方も。私の大事な約束渡すんだからちゃんと置いといてよ!!』
「嗚呼勿論。」
「忘れておるわけがない」
「っ!?!?!?!?」
此処はと、白い世界に一同が周りを見る。
白い髪色の金色の目が、メルを見る。
ぱっと小さな幼子になったメルに、抱きしめていたサワアも驚く。
『メル、お願ずっと、覚えているよ?ねぇ?神様?』
「……お前、本当に諦めの悪い奴じゃな。」
おりすぎじゃわ。
ええ?そんなあ。
「圧倒的不利というものがじゃな。」
『でもお願いでしょう?』
「…こいつら捌けるか?」
『するかしないか勝つか負けるかは別でしょうに。』
なにいっとんだ。そういうメルにけたけたと笑いだす神様。
「ん?ああお前、よくみればスピスか。」
「っ……お元気そうで何よりです。」
「よいよい!跪いてするくらいなら元の姿を出せ。」
「っ!!!流石にそれは」
「なら、こいつを先に貰ってっても?」
困りましたねぇと言う大神官が笑う。
「全く、皆さんの前で見せれるものではないんですが。」
指を鳴らし、その姿を現す。
「…これでいいですか?華樹の樹、アレス様。」
「嗚呼よいよい。今はカランコエとか変な名前じゃがな!」
「…すいませんほんとうに。」
あれくらい造作もない!そうケラケラ笑う彼女にねぇとメルが聞く。
『それで、これ、とらないの?』
「っメル!??!」
『別にいいよ?メルもう覚悟できてる。』
「…そうだなぁ、それでも、まだまだ、っといったところだが?」
『え?』
「…寧ろ、お前賢すぎるな。」
あんなヘマするんじゃなかった。
「お前その願い、絶対に叶えられないじゃろう。」
『………おっとお?ばれた?』
そうにやり、ふかい声を出したメルがぱっと空に飛び出し、元の姿に戻る。
『いや〜〜全員を騙すには少々てこずった手こずった。』
流石にここら辺は騙すに苦労した。長い間居たから適当に消すしか無くてな。
そう言ってメルはウイスの方にぱっと飛び、宙に浮きながらまるで椅子に座る様に足を組んだりなんなりしている。
腕は前で組んだり腰に持って行ったりと忙しない。
『あんな小さな願いのすり替えなんて出来るわけがないし。
それに、私至って単純極まりない願いだよ、ねえ?からんこえ?』
「……末恐ろしすぎるわ馬鹿垂れ。」
「一体どういうことです?」
『嗚呼、私の願いはサワアと花冠を交換するだけじゃないってこと。』
「は?」
は?じゃないが。
「え、違うんですか?」
『阿保』
「なっ、人を天使を阿保呼ばわりとは!!!」
『分からないから阿保言っとるんだわこのド阿保。』
「エフェメラル!!!!」
『っくくくく、なら答え合わせ。はい誰かわかる人。』
そう手を上げるメルにいないか?誰でも良いという彼女に、ではと大神官が手を上げる。
「サワアさんと花冠を交換するに重要性をもたらしていなかったのでは?」
『おお、ちかい。けっこう近い。というかほぼ正解。』
「ん?ん?」
『今見た通り、0番目の時間は少々濃厚。ねぇ、覚えてる?』
私とサワアは、一体どんな、願いをした?
細まる目に、まさかと顔を上げる者ににやりと笑う。
「その日じゃないと、叶わないと?」
『そう。あの日、私が落とされた次の日。
花冠を交換するってサワアと約束をした。』
私は其処だけを望んだのだ。
『叶う訳がないだろうなぁ!?この願いはこの想いは!!
あの日あの時あの場所でしか!!
効果は愚か、願いが叶ったなんて!!!』
私は想いすらしないのだから!!!!
「…ほんと、気付いた時は遅かった。」
『へへ〜〜〜騙されたでしょう?』
「何時でも良いのではなかったのですか。」
『誰がするかそんな陳腐な願い。』
「っ!?!?!?貴方さっきから酷いですよ!?!?」
『そんな願いしたら、貴方に会う前に死んでしまうから。』
それに
『貴方が私の華を何時までも持ってくれているの分かったから。』
「……流石にばれますか。」
そっと出した黄色い華。それはふわりと光を零し始める。
『おっとまだはやい』
「え?ですが」
『ほらしまうというかもやすぞ』
「あっちょ!?!?!?危ないですよ何をしているんですか!!!!!!」
叫ぶサワアに煩い煩いと空に逃げるメル。
流石にと空を飛ぼうとした時だった。
「っえ?あれ?いやそんなまさか」
「はぁ…此処はお前ら選ばれない者全員人と同意義。
其処に居るお前らの父親も然りだ。」
「ええ。普通に貴方達が消えろと思えばサラッと消滅しますからね。」
「そうなんですか?!!?!?」
『わあ〜〜〜そんなの考えもしなかったけど。』
「お前考えても絶対せんじゃろうが。」
だねーと反対側になって宙ぶらりんになったりして遊ぶメル。
お空楽しいと回るメルに、そりゃよかったと神は鼻で笑った。
「それで?お主これからどうするつもりだ。」
『え?なんが?』
「半分というかほぼほぼ負け確じゃぞ。」
『…やるだけやろっ♡』
「お前鬼か」
『まぁでも、まだ旅は終わらない。そうでしょ?』
「……あの地に行くのはやめて欲しいが。」
何故ですという者に、此処が繋がっていると答えるのだ。
「ルメリアという者が我のいるこの場所に通ずるのじゃ。」
「肉体が滅ばないのは貴方が守っていたからと。」
「そういうこと。その先代が言い出したからなあ。」
『ルトラールが…そっか。』
「…で?そいつちょっと貸してみろ、」
えっはいどうぞ。そう取り出す赤い光にぱっと手を取る。
暫くして戻されてヘロヘロしているが。
「少々キツく灸を据えた。流石に魔に染まることはないだろう。」
『〜〜〜〜!!!ありがとうカランコエまま!!!』
「ままではない!!!」
『えっじゃあぱぱ?』
「ちがう!!!!!!」
えーんひどいよおおというメルに、
煩いお前はなあと痴話喧嘩が空で行われる行われる。
『一応じゃあ貰っていいの?』
「別にいいが、お前が耐えられるならな?」
『え?』
「一応返却は出来ん。じゃ。」
そのつもりで耐えろよ。そう笑った彼女に対して、世界が戻る。
アラビアの世界に、戻って来た。