但し決して許しもしない




前回のあらすじ

翼を取り戻してしまいました。


現在進行形でメルは翼を持ってペタペタと歩いている。
地面は歩く度に変化し、その地面は黄金色の草を生やしていく。
ただメルが歩いて数歩したらその場所は元の形に戻って行っていて。

「…とんでもない所を見た気がする。」
「同じく」
「次の街までご同行願っても?」
『もちろん!』

ねぇスピスさんとメルは聞く。彼はもう居ない。

「なんでしょう?エフェメラルさん。」
『全王様、待ち続けて困ってない?』
「…ええ。エフェメラルさんは早く戻りたいのですか?」
『ん〜分からないなぁ!』

そう言ってトテトテ歩く歩く道を歩く。
選ばれた者、理の位置に居る神々、天からの使いに降りた者。
儚いその一瞬を司っている、エフェメラルこそが、その理に選ばれた者。

『だってまだまだ、旅は終わらない。そうでしょ?』
「…ええ、そうでしょうね?」
『へへへ!!ねぇスピスさん!』
「どうしました?」
『私の今の思考って読める?』
「………読めませんね。」
「え」
「現在の貴方は私達の上に位置する状態です。逆に我々の思考が読めるのでは?」
『やぁだ。』

読まないとメルは言い切る。何故?幾らでも読みたかったのでは?
と言うスピスもとい大神官にメルはだってと答える。

『読んでもたかが知れてる。
知ってもどうせ結末は同じだからね。』
「…成程、そうでしたか。」
「…戦ったら絶対死ぬよな、俺達。」
「間違いなく未知の域だからな。」

そう呟く兄弟らに、案外そうでもないかもしれませんと答えたのはウイスだった。

「え?」
「確かに我々の力を軽く凌駕している者ですが、相手はメルさんですよ?」

我々を好いてくれる、心優しい彼女なのだ。
全力でお相手を願うというものであってだな。

「ま、勝てばいいのです。」
「…こりゃ敵に回したらいけないのがどっちかわからんな。」
「どう考えても両方だろうよ。」
『でも綺麗だなぁ〜こんな草みたことない!』
「おや、あのお方とお会いした時にみていないのですか?」

うんとメルは頷いて下を見ながら歩く。

前を見ろと言っても向いてくれないので、
サワアは仕方がなく手を出したら嬉しそうに手を取って歩く。

左手はサワアの手を取り、右手側には大神官が歩いていた。

『でも不思議なんだけどね?とっても怖くないの。』

あんなに怖かったのに、まるであの時とおんなじ見たいというのだ。
そう、花冠を、交換しようと約束をした、あの日に。

「っ!」
『ずっとずっと、続けば』
「メル」
『ん?』
「…続いていますよ。今も、ずっと。」
『…うん!』
「…ほんと、可愛らしいことで。」

旅はもうじき、幕を閉じる。

この長い旅を、終わらせるのだ。

『ねえ、すっぴー』
「なんでしょう?」
『すっぴーは皆好き?』
「…ええ、とっても。貴方は?」
『ん〜好き!だからねぇ?皆欠けて欲しくないんだあ!』
「エフェメラル…」
『へへ!片方喰われた華樹は何時だって其処に位置している。』

っ貴方と叫ぶサワアにメルは人差し指を立てて笑う。
まだ、想い出せていないとでも、言うのだろうか?

『でも正直困ってることが一つあってねぇ』
「おや、貴方でもあろう方が?なんでしょう?」
『嗚呼でも、皆絶対怒るよ?』
「何も怒ることはありませんよ。」
『ん〜〜ねぇすっぴープラティア生きてる?』
「彼女ですか?ええ、大事に保管していますよ。」

奥深くで。

そう言う彼に、そっかとメルはにやりと笑う。

「目覚めさせるとでも?」
『さあ?どうでしょう!』
「それとも…もう片方をお探しに?」

その言葉にメルの足が止まる。やはりそうですかと大神官は言う。

「メルさん。貴方のその願いは、理は、何処に向かいます?」

差し支えなければ我々、お聞きしても?
そう言う彼に、もうとメルは困ったように笑って見せた。

『言えないのに〜!聞くなんて困ったの増えちゃった』
「それは失礼。」
『ん〜じゃあヒントなら許してくれる?』
「ええ、許しを乞えるならば。」
『トゥルーエンドに向かってる。』

それだけでいい?そう言うと、ええと答えた。

『それにしてもアニュちゃんってどうしてああも来ちゃったんだろう?』
「あっ…ほんと、あのお方をそうお呼びするのは貴方だけですよ?」

私ですら恐れ多くて考えることすら出来ないというのに。

『アニュラスだっけ』
「ええそうですよ」
『サワアにだけ滅茶苦茶圧かけてたんだけど…ごめんね?痛かったでしょ?』
「いえ、あれしきのこと、どうってことでは」
『むう』
「………正直言いますと、死ぬかと思いましたよ。」

割と本気で生死というか、消滅の感覚を垣間見たというかなんというか。

『あとでアニュラスの首とっちめよ』
「ちょ!!!」
「っくくくく、ほんと貴方は面白い方ですよね。」

私がこうやって生きることすら、望んだという夢を、貴方は叶えてくれる。
そういう彼に、えっとアルトリアがぼやく。

「まさか、大神官様、そのお姿規制されて????」
「色々ありましてね。あのお方がお許し下さった為に今こうやって姿を現しているんですよ。」

まぁ正直元の形の方が色々使い勝手いいんですがね。
嗚呼そうですか。

そう青年姿の大神官が笑って言うのだ。

「それにしても、金色の目を宿しているとはお聞きしていましたが、
あのお方の生まれ変わりではないかと思っていた私の手違いでしたか。」
『んにゃ?でもアニュラスはもう権利から外れてるっていってたよ?』
「おや?そうですか?」
『もう次の世代も考えないとなぁって言ってた。』
「…左様ですか。寂しくなりますね。」
「大神官様?」
「エフェメラルさんはどうなされるので?」

どう?

「此方に残って華樹神になられるのか。それともその上に君臨するのか。」
『えと、とりあえず両方って出来る?』
「りょっっふふふふ、両方。と、きちゃいましたか。」

どういたしましょうねぇ、それは驚いて笑ってしまいましょうね。

「理を書き換えることが可能ならば。出来るかも、しれませんね?」

まぁ最もソレが出来たとしても、その魂が肉体が維持出来るかはわかりませんが。

「楽しみにお待ちしております。私も、貴方とまたお話する時間を楽しんでいたのですから。」
『すっぴー……!!じゃあじゃあ、今度お話しようよ!!あの時みたいに!』
「流石に其処迄出来るかはわかりませんが…私でよければ喜んで。」

嬉しそうに笑うメルに、サワアは目を細めて笑う。
彼女が此処に残りたい気持ちが少なからずあるだけでも、喜ばしいものだ。

『あ、そうだすっぴーさ、前の理さんらしらない?』
「私は其処迄長生きしていませんよ?先代や先々代の全王様らであればわかりましょうが。」
「え゛上には上がいたのか」
「宇宙は無限ですからね。それくらい居ると思いますよ?」

貴方方の原初と呼ばれるのはあくまでも華樹神単体に位置する最初の形ですし。
いやそうだったの。

『じゃあ私が神様になればリサらも原初になるの?』
「まぁ恐らくは。それは貴方が考えることでは?」
『んんん、ま。いっか!先の話しよりも今、だよね?』
「ええ。」


「そういや、アルトリア様」
「なんでしょう」
「以前エフェメラルに食べて欲しいものがあるとお聞きしましたが、」
「嗚呼、アレのことか。そういや大神官様もついでに食べていきます?」
「ええ是非とも。」

レシピが広がるのはいいことですから。

『ん〜でも私この形は流石に入れないよ…?』
「形変えれないのか?」
「このお姿になられると私の力でも衣装を変えることすら不可能ですからねぇ。」

どうやらこの形がデフォルト状態らしく、わあとメルは答えた。

『じゃあ酸辣湯サンラータン食えねぇのか。困ったなあ。』
「さん、なんだそれは」
酸辣湯サンラータン、簡単に言うと超酸っぱ辛いラーメンのことです。
酢の酸味と唐辛子や胡椒の辛味と香味を利かせた、
酸味豊かな辛みのあるスープで年間を通して食べられる料理です。」


中華料理のスープのひとつであり、主に具材は
豆腐、鶏肉、シイタケ、キクラゲ、タケノコ、
長ネギ、トマトなどの具材を使ったスープを、
食塩、醤油、生姜汁で調味し、
たっぷりの酢と唐辛子あるいは胡椒を加えて食すもの。

この土地では確かそういうのを、
リサから地図をもらい、よくよく目を通して言う。

大体の中国文字は日本語と似たようなところがあるので、
何となくだけども、分かるものがある。
それによくこの食べ物は昔食べていたのだ。

一番目の、小さなあの時間に。

楽しみだなあという各々に、メルも少し楽しみにはしていた。
CやBの世界にも恐らく名前がついていることだろう。
そしてこの世界の名も、恐らくドラゴンボールとかいう名前ではないはずだ。


『楽しみだなあ』
「…ええ、また食べれる物が増えますね?」
『私食べなくてもいい気がするんだけどなあ。』
「この際楽しめるものが増えるということで。」

それもそうだな。

















そうしてやってきました、火山ストリダ。
火口には遠いが、その気温は高い。
大神官に熱くないの?と聞くと其処迄と答える。


「皆さんは先にお進み下さい。我々はお食事にお伺い出来るところだけで良いので。」
「え?でも…」
「わかりました。では少々見てまいります。行きましょう皆さん。」

そうウイスが率先して前に行くことに、ビルスらもついて行く。
残ったのはサワアとメル、そして大神官の三人のみだ。

「…別に手を放しても遠くに等いかないのでは?」
『サワア怖いの?』
「なっ、こ、わく、などは……。」
『大丈夫だよ?私飛び方まだわからないから。』
「…それは、飛び方をしれば、帰れるならば、帰るということでは?」

そう言うサワアに、メルは笑って答える。
いやだと駄々をこねるなんて、中々ないと大神官はぼやくように言う。

『え?』
「貴方が旅立ってからサワアさんはこっちが心配するくらいには努力されていましたから。」
「お父様…」
「すいません。でもそうやって言っておいた方が後々、ね?」
「…わかりました。」

言う事をどうやら許したらしい。肩を下したサワアにメルは前を向いた。

「理由を聞いても、僕が弱いから、エフェメラルは落ちてっちゃったんだって。一点張りでしたから。」
『サワア……』
「正直見つけた瞬間かっさらっていきたくなりましたよ。」

そりゃああんな別れ方をしたのだ。
それくらいさせて貰えてもいいってくらい。
長い間息をし続けてしまっている。

「我慢強く、それ以来弱音等吐きませんでした。
そう、貴方が此方に来たあの日までずっと。」
『え?』
「貴方を見つけ、傍に居れば居る程貴方が生きていたあの子に戻るのですから。
躾をしていたはずが、どうやらそうではなかったように見えましてね。」
「すいません、数々の無礼を……」
「構いませんよ。あれくらい、なるのは覚悟していましたし。」

それに

「どうやら私は嬉しいようですから。」
「え?」
「…その手を放しても戻って来れる様に
振る舞えるよう努力してくれればソレだけでいいのです。」
「…勿論。そのつもりです。」
『酸辣湯』
「え?」
『私が食べれる様になった辛いの。そのラーメンがきっかけだったの。』

そういや都佑も好き好んで食べていた気がする。
あれが食えて激辛ラーメン食えないのが点で不思議だったな。

『沢山酸っぱいの食べさせてくれたから。』
「エフェメラル……」
『でも似たような味かなぁ〜、
私それに記憶大量にあるから味が想い出せるかどうか。』
「その前に食べれるかどうかも変わりますよね。」
「ふふふ、我々の存在は本来下界の者達が見れる程ではないんですがねぇ?」

滅茶苦茶周りに見られている。
そりゃあもう全員がこっち向いてるしなんなら子供が寄って来たではないか。

「おねえちゃんきれいー!」
『ほんと?ありがとう。君もとっても綺麗だよ?』
「わ〜!だっこだっこ」
『していいのかな?これ触れていい???』
「構わないと思いますよ?」

よいしょっと言って抱っこしてやるメルにわあと子供が嬉しそうに笑う。
すいませんと親が出てきてこらっと声を掛けてるのに構いませんとメルは笑っていう。

『いい子に育って、誰かを助けられる子に、ね?』
「…うん!」
「すげーきれー」
「翼は出来れば差し控えてもらえれば」
「さし?」
『触れるなこの野郎ってことだよ』
「ちょ、メル!貴方ねぇ」
『へへへ!!!』

これくらいどうってことないだろう。
なんなら近寄らなくなったので、もーまんたいである。

「お前さんら、ひょっとして、神の使いか?」
『ん?お爺さんこんにちわ!!僕はメルです!!!』
「名前を聞かれてはいませんよ、メル。」
『こっちはさっちゃんこっちはさっちゃんのぱっぱのすっぴー!』
「どうもすっぴーです。」
「お父様?!?!?!!?」

あだ名くらい権限もないですよ。
そう笑う大神官にいやそういう問題ではという慌てっぷりに笑う老人

「先程名前が出ていたが、ツレの者らしきものが入っていくのが見えたが其処にいくつもりで?」
『というか視察?そんなかんじです。だってこの形入りずらくて…』
「なら声を掛けてやろうついてこい。」

そう言われてついて行くと、中でなにやら声がしている。

「ったくそれはむりだって、親父!」
『おやじ!?!?!?』
「次郎。この方を見てそれでも言えるのか?」
「この方って……」

こっちをみて目を丸めていやと答える。

「無理だろこんなの、幻だよな?」
『ちがいますねぇ』
「え、夢?」
『ちがいますねえ?』
「…幻覚魔術?」
『それが出来たら私天才。』

うんうん頷くメルに、各々苦笑いである。

「宿は取らないので、お食事だけでもと相談していたんですがね、
外で食べるのは無理だと言われてまして。」
『あ〜此処まで入ってなんですが、コレが邪魔かと思いまして。』

店の邪魔したくないんですよ。
すいませんとメルがお辞儀をすると
ごんと別の方に当たって痛いと声を上げる。
ええん、まだ慣れないの!頭下げても翼あるの忘れちゃうから!!

「…いや、いい。」

店の邪魔なんかにならない。そう言った店主に、中に入れと言われる。
背中をそっとサワアに押されて、でもとメルは足を踏み入れる。
草原が広がる此処に、居座るのは悪いと思ったのだ。

だが、そんなのいいと彼は言う。



そう、一つの条件が繰り出されるとは。



++++++++++





この時思いもしませんでした。


えー、現在、酸辣湯サンラータン会場で食べることになりました。
どうもメルです。マジでどうしてこうなったん?

ねぇ、誰かおせーて?

「メル様が食べられると仰られ、ビルス様達が
自分たちも食べられないわけがないといい
食い下がる気配がないのを見かねた店主に誘われ、
一時間で大盛のラーメンを麺だけでも
間食できれば代金なしと言われましたので。」

『いや前回のあらすじ少し飛んできたから
何処からどうなったかの説明ありがとう?』

「おほほほほ!どういたしまして、
それでメル様は食べられそうなんですか?」
『まぁいけるとは思いますが…』

そう両隣を見てスタートと言われて
一気に食べた二人にちょっとと声を掛けるもむなしく。

「「っーーーーーーー」」
『いやですね、酸辣湯っていうのは
すぐにすすると喉に来るくらいの酸っぱさが売りなので、
ゆっくり食べろと言いたかったのに…』

げほげほと咽る左右に、
お水とウイスとヴァドスが咄嗟に持たせ
二人同時に飲んでコップを下すのも一致。

「「お前もっと早くいえ!!!」」
『わぁ〜、声まで一致とは流石双子の血族〜〜〜』
「血族って…」
『いただきやす』

無視かよ、そういったシャンパを本当に
無視し、ん〜〜!とメルが前を向く。

至って普通のラーメン屋さんで、
外にはなにごとかと周りでざわついて騒がしいが


うっっっまい!!!!!!!!
なにこれほっっっっっと!!!!!!!!!!!!!!

うんまい

そう思いながら、ひたすら無言で食べだしたのをみて、
何か言えよと言ったシャンパに失礼ですよとヴァドスが言う。

「ああ?」
「メル様は予想以上の美味しさにシャンパ様を構う暇などないのです。」
「そうなのか!?」
「はっこれだからお前はバカなんだよ」
「なっ」
「どうだ、うまいか?メル…ん?メル?お、おい」
「ビルス様、お食事中ですよ。」

メル様集中されておりますので。

そういったウイスに、どうやらビルスも例外ではなかったらしい。

美味しそうに食べているようにはそんなに見えないが、
ただ黙々と息を吐き、面をすすっては足元がパタパタと動く。

なんなら目をぎゅっと閉じて酸っぱさを感じつつも
その足元の広がりよう、草冠から少し小さな黄色と白の華が見え隠れする。


『おいし!!!!!!』
「くくっ、それは良かったですね?此方のお味に似ているので?」

そう後ろに居たサワアにうんとメルは笑っていう。
食べると思っていたが、今は食う方に集中しろとのこと。

一口また食べると同じ様に目を輝かせ、
極めつけは店主に向かって目をキラキラさせてくるものだから、
どうやら余程美味しいらしい。

「おうおう、そう思ってくれるだけでおら、おらぁ!!!」
「ああああ、店主が多めに作り出した…」

大盤振る舞いし始めた店主に、他の人たちもただ飯に付こうとするが
お前ら巻き添えだと金はきっちりもらうところ、店主もしっかりしている。
そう思ってみていたウイスの目には、無言で淡々と食べ続けるメル。

その姿は、いつしか食事を共にした、彼女の姿が脳裏に浮かぶ。

小さくまるまって、ひとかじりしていたあの頃の状態。
似たように、一番目でもしていたとおもえば、それは。


「…良かったですね、メルさん。」
「ウイスさん?何かいいました?」
「…いいえ、何も。」
「(…メニューを追加してあげたほうがよろしそうですね)」

彼女がこう食に無頓着だったのも、願いからの影響下でもある。
それが一つでも好きなものが分かれば、
食べさせてやりたいと思うのが付き人の思う性である。

それに、遊びに来た時また似たようなことがあれば、いやそれはないだろうが。

ただ、今度は楽しく食事を共にできればいいと思ったのだ。
その種類が少しでも増えてしまえば、きっと沢山喜ばれるだろう。

そう、そうで、在って欲しい。
左右が煩いのは別としても、メルはすらすらと食べ続け、


『ん〜〜〜、うんまかったぁ』

時間ぴったりで食べきったのだ。

メルの分はお代が抜きになったが、
まだ食べきれていないビルスとシャンパの顔色を見て
二人に大丈夫と声を掛ける

『私食べようか?』
「ああ、別に、んん!?!?」
「お、お前まだ食べるのか?!?!!?」
『まぁいけるけど』
「…メル様、無理はだめですよ?」

流石に胃が悲鳴をあげますよ。
そういったサワアに、でもと言うが、
それにそうかそうかと頷く店主。

「そうなんです、メル様は食が細くてですね、
こうしてお食べになるなど
な〜〜かなかないんですよぉ〜〜〜!!!!」
「なるほど、分かった!!おい嬢ちゃん!!」
『はっ、はいあんでしょう』

急に声を掛けられたのでびっくりして言葉を間違えてしまったではないか。
そう文句もいえず、心の中で言っていると、次の瞬間驚く言葉が聞こえる。

「俺の知っている料理全てこいつに叩き込んでやる!
ここら辺に暫く住む間、料理は俺がもってやろう!!」
『っううえええ!?!?いやいや、流石にお代は』
「いらねぇに決まってるじゃねぇか!俺はなぁ、
美味しそうに食うお前さんの姿をみて感動したんだ。」

食がうまいっていいもんじゃねぇか!!

そういった店主に、メルの世界がバチンと変わる。
えっと言うのもなく、
違うラーメン店で美味しいでしょう?と声が聞こえる。

ーお嬢ちゃん、食うっていいだろう?

その言葉に、嫌な冷や汗が背中を伝う
左右を見てはいけない気がした。
この酸っぱさを、私は知っている。
気付いている、分かっている。

食は本当に人を生き写すとよく言うと思う。
食生活で大体の性格やら何やらがわかるなんて。
じゃあ、私は、この食事しか知らない私を

ーよかったわねぇ、食べられるものが一つ増えて。お母さん、うれしいわぁ。


そう頭を撫でるその手を、私は


「っメル」

そう泣きそうな声が聞こえて、ハッとする。
その言葉に、えっと声を掛けた。

『い、ま、私…』

誰に、頭を撫でられたのだろうか。