羽ばたけるのなら、天使になれるね
食べきったメルはというと、
「駄目ですよ、後で持ち帰って食べれますから。」
『うう、一口、一口だけだから。』
「あの量食べてそれ以上は壊します。」
サワアら他の面々が食事をし始めた頃、メルはひたすらサワアの食べ物を狙ってサワアはやめろと声を掛けていたのだ。
ううというメルが嗚呼そう言えばと声を上げた。
『ぴよちゃん〜どこ〜?』
「あれ?ついて来てなかったのか?」
『え〜どこ行ったのかなあ。』
「ぴよちゃん?」
「メルが突如として見つけたヒヨコだよ。樹海の中で見つけたというかついて来ていたというか。」
「…ひょっとして、こう、小さな黄色い動物ですか?」
そうだけどというアルトリアに、大神官様と声がかかる。
「…メルさん。」
『ん?』
「…貴方、本当に、ソレを持って何もないと?」
「大神官様どういう意味ですか?」
「兄が司っていた時の子と同じ状態なのです。」
「ルトラール様がですか?」
ええと箸をおいて答える。
「まばゆき光を携え、ソレは言いました」
”お前ではないお前よりももっと清らかなお子だ”
「一応、華樹神には成れたはいいものの、ソレは消えて居なくなり
またアルメリア様の時にも来ては同じことを言って消えました。」
「まぁそうだな。俺は導き手のサポートつまり
破壊神であるところの天使に位置するというものだ。」
『まだ何もというか。ん?』
「あ?なんだこのやろう。文句あんのか。」
『いいいいいいやあああああああああああああああああ』
鶏くそしゃべっとるうううううううううううううううやあああああああああああ
そう叫ぶメルが立ち上がることなくただ座って叫ぶ。
煩いと鶏がつついてひぃんと馬みたいな声が出る。
「全く。清らか過ぎて逆に眩しすぎて見にくいわこの馬鹿垂れ。」
『ふぇえん、嬉しいのこれ悲しいのこれ。』
「馬鹿にされているというのですよ。メル。」
「ま、合格点満点迄とはいかんが、いいだろう。」
そう言ってコケコッコーと鳴いた者が、ふわりと姿を形を変えたではないか。
その姿は、ギリシャ神話に出てくる古代ローマ人の様な服装だった。
一枚の布を肩にかけて腰に巻いて、中の白い服には裾に装飾が施されていた。
銀色にも見える白い髪色を束ねずに背中まで伸ばしている。
その黄金色の目が此方を見つめていた。
「ふむ、此処まで出来るのは合格だな。」
『わあギリシャ神話のローマ人。』
「煩い」
『びゃう』
「お前が変なことを言うからだ。」
「ちょ叩かなくてもいいでしょう」
「お前も叩いておるだろうが。この阿保天使。」
「ばっなっ!!!!」
声を上げるサワアに止めろと声が上がって止める。
「やはり貴方でしたか。」
「お?嗚呼お前か。久しいな、スピス。息災ようで何よりだ。」
「貴方もお元気そうで何よりです。ひょっとして、この子を?」
「嗚呼」
”お前を選びに来た”
そう言った彼に、メルの身体が後ろに傾いた。
『え?あれ?さわ、あ?』
「…地に落ちることになるぞ?」
「構いませんよ。この子が消えることになるならば。」
僕は何時だっていいのだから。
「成程、確かに。こいつは面白い。」
「…っ」
「エフェメラル」
『んなお、なんじゃらほい。』
「お前、願いが叶うとしたらどうする?」
叶えたいか?叶えたくないか。
「言っておくが、素直に言わんとこいつらの首が魂が消し飛ぶが。」
ブンと音を立て、サワアらの首元に赤い円が作られる。
ひとつ触れれば消滅は間違いないのだろう。
ぴたりと全員が固まるのに、メルは前を向いた。
『…いやだ』
「あ?」
『だから、答え。私嫌。』
「…もう少し変えた方が良いか。
お前のその願いは二択か?」
『三択目』
私はどちらでもないと言い切る。
メルの髪の毛がふわりと浮かび上がり世界が変わる。
メルが指を鳴らした途端、世界が白い世界へと変わったのだ。
『願いなんて叶ってもいい、叶わなくてもいい。』
鶏が居た背後に、その額縁がかたどられている。
嬉しそうに笑っている二人が何処までも綺麗に居続ける。
『どっちでもいいと思っていた。でも、今は違う。』
「ほお???その力を変えるということは、ソレだということ。」
お前の身体を飲み込むことだってできる。
そう黒い魔物に変わり、手をメルに向けて
今にでも喰らおうとした彼にいいよとメルは凛とした声で答える。
上を向いてそうすればいいというのだ。
『お前の気が済むならばどうかこの全てを喰らいつくして
私を独りぼっちにしてしまえばいい。』
「っメル!!!!」
『私は何時だって手を上に伸ばしてやる。其処に願いが存在しなくとも。』
どうだっていい。
『私は叶えられない場所も叶えた場所も全てひっくるめて抱きかかえていく者。』
それを拒む者なら、例え貴方でも、サワアでも、殺してでも走り続けると決めたのだ。
『もう、かえるつもりはさらさらない。』
「……成程、確かに、あいつが言う通りだ。」
「でしょう?だから僕は言ったんですよ〜。」
その子は選ばれし、永久を司れる者だと。
そう言う彼に、ばっとサワアらが振り返る。
数時間ぶりというのに、数か月ぶりの様にも感じられるその時間。
「安心なさい。ここは中央からかなりかけ離れています。
貴方方が来るべき場所はアレだと酷過ぎるというもの。」
まえにカランコエらが見せたアレに近いですね。
そう言う彼に、ならばと鶏が言う。
「儀式を始める合図では?」
「聞こえましたが、今します?ソレ。」
「いやどう考えてもこいつだろうて。逃したら俺泣くぞ???」
「大丈夫ですって。その子見てわかったでしょ?」
「いや分かるが。クソ面白いことなってるのわかっとるが。」
あのどういう????
そう声が上がるのも無理はない。
サワアらは彼等の間に挟まれて聞いているのだ。
「嗚呼、儀式即ちこの理に成れる儀式だ。ちなみにあの音はその合図。」
「いい!?!?断るとかは」
「皆無だな。そもそも選ばれるという時点で決まりきった者。後は始めるのが今か後かだ。」
「で、どうします?エフェメラル。」
します?しません?
そう聞かれて、メルは答える。
『ん〜〜〜〜したらどうなる?』
「儀式が始まれば貴方の位置も変わることでしょう。」
『成程、詳細は伏せると。』
ふむ。酸辣湯食って楽になったというのに。
一難去ってまた一難とはこのことか。
『幾つか質問がある。まぁ勿論…答えてくれるよなぁ?』
ギロリと睨むメルに、嗚呼と少年が笑って答える。
『ルールは?』
「君が望む通りにシナリオは進む。」
『あ〜私がルール作るのか。かくれんぼとか鬼ごっこみたいな感じの。』
「そういうこと。だから儀式は開催の合図をするだけのもの。」
『うげっ、地獄じゃん。何それ猶更勝たないといかんじゃん。』
どういうシステムつくっとんの。嗚呼とメルが頭を掻きむしった後空を飛ぶ。
ぶわりと翼を広げて、その少年の上にあのねぇと腰に手を置いて言うのだ。
『儀式は決まったものでしょう?貴方達前の子達をどうやって取り締まってたのよ!』
「とっ、とり、あのねぇ、エフェメラル僕らは」
『るっさい!!!と、い、う、か〜〜〜』
「へっ?あっちょ」
がっと掴み、このと肘に彼の首に巻き付け、
首を絞めだしたメルに大神官ですら目を丸くして驚いた。
『おっま、マジでふざけとるだろうが』
「ち、ちょ、まっ、エフェメラルぅ!なんで」
『なんでもくそもへったくれもねぇだろうが!!!
大体仕組みが分かったもう分かったたくらみ方が下種すぎるわこの腐って糸引く生ごみ神様!!!』
「なっかっちょ、酷くない?!?!?!」
ばっと解いた彼に、るっさいとメルは苛立ちを隠さない。
『理に選ばれた者が一体本当にどうなるか。その運命をただ見守るだけではない。
その形自体をぐるりと一周した円に乗せてどう転がるかを見つめるだけ。』
それは、どうあがいたってその一択しかない選択肢。
かつて見つめたあの時間が下に浮かび上がりメルは槍で突き刺した。
『二択と言って一択しかない。だって何処に行っても変わらないから。』
なぁ?
『だというのに敢えて二択にし、何方かをとっても何もないこの皆無へと送る。
消滅しても消滅とした形にならない。だって作り出すのが面倒だから。
だからこの仕組みを作った。消滅したら次の場所に送り、そしてまた種から生まれるようになあ!!!!』
「っと、力を取り戻しました?それとも、使い方を想い出したか。」
手に込めた気を飛ばしたのを軽く避ける少年、アニュラス
「ですがソレの何処がいけないので?
消滅させた力を上手く戻しているのではないですか。」
『今まで生きていた記憶をその理を回す為だけに?』
その者を、殺す以上の酷を、お前はしていたというならば。
『その”儀式”、喜んで選ばれよう。』
「っエフェメラル何を!!!!売り言葉に買い言葉ですよ!!!正気では」
『黙れ』
「っひ」
『…で?ルールを決めようか?』
絶対に私が勝つようにしても、どうせ負けるならば。
やりたいことをすればいい。
『三日後、私が消えたと同時に合図を取る。
サワア、お前ら全員私を捕まえて3分閉じ込めたらお前らの勝ち。
約束通りお前らの元に返って華樹神というか、人間に戻ろう。』
「は?」
『逃げ切ってプラティアの眠る地に私が到着し次第私の勝ち。
但し逃げる場所はランダム。アニュラス!!廻廊を開いても?』
「ご自由に」
そう言われて指を鳴らすと、空からフェル達だけではない
「っコルンさん!?」
「お兄様、大神官様達迄…ここは、一体」
『嗚呼後お前らも』
そうちらりと見て指を鳴らしたメルに、コルンらが固まる。
「っ!!!」
『よせ!』
動きそうになった場所に降り立つメルに、魔女らも警戒する。
「これは一体どういうことで?」
『今からルールを説明するということだ。良く聞け!
魔女よ悪魔よ、天使よ生きとし生ける者達よ。』
ふわりと浮かび上がり足を組んで手に顎を乗せて笑う。
『理を書き換える、儀式を執り行おう。』
++++++++++
「儀式?どういうことです。」
『ルールは簡単だが、鬼ごっこでも三色鬼を執り行おう。』
「さんしょく?」
ふわりとメルは降りてきて手に光を出す。
サワアらの元には黄色、メルの元には青。
そして魔女の元らには赤色が光を印す。
『魔女は天使を追いかけ、天使は私を追いかける。私は陣地に走り続ける。
魔女の負けは天使を一人も捕まえきれない場合と、私が陣地に入れない場合の二択。』
「成程、チーム戦ということか。」
『天使は私を追いかけ、三十分間
魔女らの攻撃に耐え続けつつ、且つ私を拘束出来れば勝ち。
負けは私が陣地に入ったり、魔女に全員見方が捕まったりしたらアウトだ。』
「…面白いことを考えるねぇ?」
『そしてこの私の勝ちは拘束なしで陣地に入ること。
制限時間はお前達が暮らしている日付大体3日間を目途に執り行うつもり。』
まぁ七日間とかでもいいが。
ソレは今良いか。
『本来それだけだとつまらないということで、
今回世界を分断していたのを戻します。
アニュラス、構わない?』
「貴方が言うならなんでもいいですよ?何にします?」
『天使ら全員にアレ付けて。』
「あれ?」
「嗚呼、いいんです?そんなハンデ付けちゃって。貴方きつくなりません?」
『既にバックがでかすぎるからさほら。』
嗚呼成程と魔女らを見て言う彼がすっとサワアらの元に降り立つ。
「すいません、少々輪に触ります。」
「えっえ、ええ」
ピッと青い輪が変化し、色ではない。
「っな!!!」
「首元に、華ですか?」
『私はBとC何方かの地に逃げ込む。よく透き通ってたりしたでしょ?』
「ええ」
『アレ私別世界移動出来る感じっぽくてね。
一応試しにしてみてはいたけど
うまく出来たからその感じを君らに渡した訳。』
権限を渡したということで、その場所に移動が自由になった。
それは彼等にも勝利の兆しがあるということだが。
『言っておくが、Bは華神らが生きている地帯。ティーナらいる。』
「後でその情報はこの俺様が伝えておくとしよう。」
『そりゃ助かる。そうでもしないと生ごみ口に突っ込んだわ。』
「うぐ…お前本当に容赦ないよな。」
こんな運命にさせたのだ。それくらい可愛らしいものだと思えという者。
『天使は行動範囲が広がる。割と良いハンデでは?』
「そんなハンデ出していいんですか?」
『その代わり魔女はBとCに移動は出来ない。』
「成程、逃げられる可能性があると。」
『それ程の力の差があるくらいの威力だと思え。』
お前ら、死なないからって馬鹿にするなよ???
『この時を持って三日間のみ、戦闘行為になるのを許しても?』
「どうぞご自由に。」
『ならよし。本当に自由に戦っても捕まえても好きにしていい。ただ殺すなよ?』
魔女もそこら辺分かっての行動を。
『私がプラティアを復活させたらお前達は好きにしろ。』
「…一つよろしくて?」
『どうぞ?』
「貴方に全くメリットがみえないのですが。」
『ええ?滅茶苦茶あるのに????マジで言ってる????』
馬鹿だなあと笑うメルがにやりとその目を変える。
黄金の色を灯し、ぶわりと髪色を白く光らせ、その華を胸に腰に宿した。
『私はプラティアとある者を取り込みこの理に成るのが目標』
「っな!?!?!!?」
「そんな」
『理になればお前達魔女も力の手出しが出来ない。
無論天使らも私を認知するのは不可能になる。』
その記憶も、私の手に入るというもの。
煮るも焼くも好きに出来る。
但し、その力が、この身体と魂が、耐えれればの話。
『耐えれなければこの話は無かったことに。私の命が散るだけ。
但しプラティアはその時間を狙い、お試し華を持って
私の華を喰らって此処に君臨するだろうな。』
「おためし?」
「華樹神見習いに選ばれた瞬間に咲かせる花のことです。
胸元に咲いた華はなんでも願いが叶う事。」
その理になることだって可能だという大神官にいいと周りが驚く。
『どう?理兄さん面白くない?』
「いや度肝を抜いて笑い止まらない。」
ニヤ付く彼に、そりゃよかったとメルは笑う。
『華神らの勝ち負けなし。天使らに付くか
私に付くか好きにしろって言っといて。』
「了解そいじゃあいつらに言ってくるわ。」
てらーと言って彼は綺麗に消え去る。
「じゃあ僕はどうすればいいかな?」
『君は私が勝った時に願いを叶えるかどうかの選択。
そして彼等の願いがもし華樹に紐づくならばその選択を取って欲しい。』
「成程、此処に君が来ても中立を保てと?」
『あんまりきつかったらどっちかに偏ってもいいよ。』
「了解その手筈で。」
「あのーーー」
我々廻廊は?そう手を上げる彼女らに、メルはすっと降り立った。
『君らはい聞いて。私が勝ったら理が変わります。君らの好きにも出来る。
でも私負けたら君ら多分ね人間に戻って別々に分かれると思う。』
「え゛」
『華樹神になったとしても、効果はほぼ人間と大差ない。どう?どっちつく?』
「いや何一択みたいな選択させてるんですか。
どう考えてもそれなら貴方の方に付くではありませんか。」
『寧ろ三食するんだからこっちつけてもいいじゃん。』
「一人ハンデでかすぎますよね?こっちが自由でも厳しすぎでは。」
そうコルンの手にはシアージュが向かれていた。
確かに彼女はかなりの手慣れではある。そう、だからこそだ。
『だから華神を付けるって言ってるんだよ。
言っとくが割ときっついからな。華神何人いると思ってんだ。』
「…何人で?」
『原初を含めて謳われた者、総員合わせて37名!!』
「さっ!!?!?」
「さんじゅうなな!?!?!?!?」
『ただし原初に位置する12とプラス
加護天使の13を外しての形含めて引いた数なんで、
実質動けるのは24人だろうがな。
今回原初を入れるとかなりのハンデになるから。』
流石に彼等を入れるときつすぎるのだ。
まぁ放置しても、どうせ何時か出てくるだろう。
「一つお聞きしても?」
『どうぞ』
「我々天使は本来中立に存在する身。
この時を持って一時的に中立から外れるとして、
何処までの範囲が許されるのでしょうか。」
『もうなんでもいい。とりあえず誰か殺さない限りは良い。』
「わかりました。本当に、なんでも。構わないんですね?」
『…うっ、なんか悪寒が伝わるんだが、ま、まぁ、いいよ。うん。』
さ、流石に三十分間だし、い、いい、よね?
そんな長い間捕まるなんて出来ないはずだ。
うんうん、彼等が不利な要素は結構ある。
だとしても結構キツイ話なりそうで怖いんだが。
あと一度捕まったらマジで戻れなさそう。
「あと再三確認なんですが、本当に戻られるのですね?」
『え?あ、ああ、まぁ、好きに願えれば?』
「わかりました。」
いや潔いのこっわあ〜〜〜〜〜
「天使を甘く見る貴方のお言葉に、甘えることにいたしましょう。」
じっと見つめるその多くの紫色に
メルはゾクリと背筋に伝わった感情に笑ってしまった。
上に上がって彼等が見上げてきたその感覚に、覚えてはいけないなあと笑って。
『じゃあアニュラス、私の全開放よろしく。』
「え゛いいの????」
『頑張って此処で耐えてから戻る。OK?』
「いやそれは別に、いいけど…」
本当に?うん。本当に。
流石にとひとつ光を出す。
「これ以外は全部渡してもいい。」
『それは?』
「君の知る華の名と、その記憶全て。」
寧ろこっちが鍵だけど、ソレはこっちにと、サワアの胸元に入って消える。
すると何もなかったサワアがぶわりと顔を赤らめて胸を鷲塚んだ。
口に手を当てて、大丈夫かと声がかかるが、
「エフェメラル」
『んあ?』
「…絶対に引きずり下ろすので。覚悟しておいてくださいね?」
『え゛私何をしたんだ。』
「別に教えて差し上げても構いませんよ?
まぁ三十分どころか永遠に。
その身に刷り込ませるのもまたいいでしょうからねぇ?」
本気。マジで睨んでくるのが怖いんだが。
『さて、今から各場所離れて一時間ほど綿密な作戦タイムとうつる。』