補充不可能
それから、本当にガチで6日間眠り切ったメルはというと。
『(おはよう)』
「声の出し方すら忘れてるじゃないですか…!!!」
クツクツと笑うサワアに、煩い煩いとバシバシメルが叩く。
それにサワアが腹を抱えて笑い出したもんだから
メルの叩く勢いと言うか強さが増す。
嗚呼痛いですほんとに痛いのでやめて下さいって!!
煩い煩いと口が動くも怒っているのを見てヘレスはクスりと笑った。
嗚呼、こやつらが離れるなんて、わらわは考えたくもない。
何時しかのある日。悪魔と天使が笑っていた時間。
腹を抱えてなんて、きっと出来なかった時間。
二人が手を合わせて、願った小さな小さな時間。
それが、記憶を忘れ、時を超えて、今此処に居るというに。
彼女はソレを知らない、いや、もう知る日が来る。
それはもう、時間を掛けないでいて。
悪魔は天使になって、その時間が来ない様にと願っている。
彼女が悪魔になんてなるのを見たくないからではない。
彼女が自分と同じような痛みを知って欲しくないからであって。
そんな二人の健気な戦いも、世界は無慈悲に叩きつける。
二人が何をしたというのだろうか。何の罪ならそうなるのだろうか。
ー貴方がそうなるくらいなら、私は悪魔や魔女にだってなってやる。
何時しか、メルはそう言っていたと誰かが言っていた気がする。
嗚呼そういうてくれるなと泣きそうになる。
こんなにも、互いを尊重し合い、
前を向いて歩く子達が、何をしたというのだ。
平凡の時間を、生きれないなど、酷すぎるというのに。
二人を抱きしめるヘレスに、メルはサワアと同じく目を丸める。
「ず〜〜っと、これが。続けばよいなぁ?」
もういっそのこと、この二人が、
その空白の時間に行けばいいとさえ思う。
誰もが見えない知らない場所で。
二人がずっと笑い続けられれば。
それだけで、満たされるというのに。
きっとこやつらはソレを否定するのじゃろうな。
「ヘレス様…なにを」
『…さあ、どうだか?』
「なぁメルよ。」
『ん〜?』
「お主、どんな世界にするつもりじゃ?」
ちょ、ヘレス様というサワアに黙れと言われて何も言えなくなる。
「なあ、エフェメラルよ。」
『…。ま、別にいっか!言っても。』
私ねとメルは髪を纏めながら話す。
『皆が笑っていられる世界ならいいんだよ。』
「…それは、お主がわらわらの此処に居るという形か?」
『一番いいのは記憶も何もかも
華樹に吸い寄せた方が良いかなとは思うけどねぇ。』
いや私もそれ考えてんだわ。
は?
「え、え、えっ、ちょ、ちょっと待って下さい。
メル様その話だと、貴方ご自身が出した話なのに
貴方が勝った時の先など考えてないみたいに聞こえるのですが」
『えへぇ☆』
「えへではありませんが!?!??!?!?!」
コルンが叫ぶのに、メルは嬉しそうに笑っている。
『ヘレス!』
「あ?なんじゃ」
『それはエンドロールの向こう側で全てが分かることだよ?』
「…今は言わぬ、とでも?それとも言えぬか。」
『どちらでもどうぞ〜。そんなことより
めーしだめしだめしだめしだめしだ!!!!』
「これ!!めし等と下品な言葉を使わない!!」
『やーーーだーーーー』
「駄目ですよ!!全く、全王様よりも
更に上に位置するというのに。」
「いやほんと意外過ぎてビビるわ。君が上の者に、ねぇ?」
そう朝から軽く朝食を取る各々に、
メルはそうかなぁと首を傾げつつ食べ物に口を通す。
「にしても聞いたんだろ?一応休戦状態で向かうってこと。」
『死ぬほど調教されてきたから大丈夫。』
「ぶっ」
『きっったな』
「貴方のせいですが!?!?!?!?」
急に噴いたコルンにメルが引くも、怒られてわあと笑うだけである。
『やーまーーじで死ぬかと思った。二度と寝たくねぇ。』
「そう言えば神になればお前は何処に行くんだ?人間か天使か?」
『体質何処行くんでしょうね?僕も分からん。出来れば食から離れたいが〜!』
「…一応言っておきますが、確かに我々天使も食は要りません。」
ですがある程度の知識として培うなり、
その長い時間に飽きて手を付けたりする者もいますので。
あまり期待しない方がよろしいかととコルンが言う。
『や〜暫くの間は要らないよあんなの。水だけ飲めばいいわ。』
「水すら不要なんですがねぇ〜〜。」
『にしても創造って凄いよね。』
「何を急に。」
『なんでも出せるんだよ?ある意味想像力があれば。』
そう、その時間が終われば、あの白い世界で何事も出来るだろう。
ただその世界を見続けるだけで。ずっとずっと、眠り続ける。
チクリと胸が痛くなる。この痛みは、きっと、そう。
私はまだ忘れて居るナニカに対して、痛みをもたらされている。
そしてその痛みがあるのは、彼に触れたり彼にあるものばかり。
「…何かついてます?」
『いいや、なぁんも。美味しい?』
「ええ。食べます?」
『ん。』
スプーンを近づけて貰えたのでぱくりと一口食べる。
行儀が悪いと隣で言われてニコニコとする。
へへと言おうとした時だった。
「っ!?!?!?」
「あー泣かせた」
「ばっちが」
『あれ?なんでだろ。』
ぽろぽろと涙が零れ落ちる。
前にもそう言えばふとした時に涙が流れていたが。
そういやさっき何を想った?何を願った?
ー嗚呼、この時間がずっと続けばいいのに。
そうか、ずっと前から、こうなればいいなって。
想っていたから、それが叶えて嬉しくなったのか。
だから大丈夫。これは何時かのお願いが叶っただけの涙。
全く辛くもなくて、痛くもないはずなのに。
『(痛くてたまらないや)』
嬉しくて嬉しくて、たまらないのだ。
なのに涙は左から出てしまって。
左からの涙は悲し涙が多く出やすいと聞く。
嗚呼、そうか、悲しいのだ。
もう終わる。この走りが止まった時が、全ての、終わりだから。
だから寂しいのだ悲しいのだ。
だって彼等とさよならをしなければいけない。
抱きしめて、其処から離れなければいけない。
なのに、嫌なのだ。其処に居たいと思ってしまう。
どうしてこんなにも痛むのだろうか。
私はまだ、忘れているというのだ。
黒い何かを、抱きしめていた気がして。
一体何かすら、分からないというのに。
分かっては、いけないとさえ思う。
分かったら、全てを知ってしまえば、きっと後悔する。
こんなもの知らなければ良かったって。
嗚呼でも、同時に想うのだろうな。
想い出して良かっただなんて、抱きしめて。しまうのだろう。
「っ!メル?急にどうしたんです?」
何故だか分からないが、今のうちにサワアに抱き着いておこうと思った。
分からない分からないけど。何処か遠くに行ってしまう気がして、怖くなった。
震えるメルに、大丈夫ですよとサワアはそっと彼女の背中を叩いてやる。
バチリと世界が変わった気がする。黒い何かがぐるぐると言っている。
大丈夫と言う彼女の姿は
『エフェメラル、?あの、黒い子は、だあれ?』
「…っ!!!!メル」
『ん?』
「余り涙を流すと痕になりますよ?」
『ん!ねぇサワア』
「なんですか?」
『サワアって昔黒髪の赤い目してた?』
「………どうしてそう、お思いに?」
『なんかさっき見えてしまって。』
記憶違いかなあでも不思議なんだあとメルは言う。
『前もこうやって抱きしめてた感じするんだよね?不思議だね。
こうやってるとさ、凄く落ち着くんだ〜。』
「…そう、ですか。ならもっとします?」
『ん〜。もう、ちょっと。』
何時かの時間、何処かの時間。
天使と悪魔が、ひと時を噛み締めた時間。
その時間の様に、同じ様に、二人で時を噛み締める。
「大丈夫、私が勝てばこうしてまた会えますよ。」
『その時は、また、花冠出来る?』
「……ええ、必ず。」
嘘つき。
本当は出来ない癖に。
そんな優しい嘘を言っても無駄だよ?
だから、私も嘘を付くの。
甘くて辛い、酷い嘘を。
『そっかあ。負けないといけないねえ。』
「…ええ、今回ばかりは勝たせてもらわないと。」
そんな日は、何処にも存在しえない。
だからあの額縁は綺麗にずっと生き続けてくれているのを
彼は知らない彼らは彼女らは知る由もないのだから。
嗚呼だから私は縋るのだ。その時間だけに。
剥がれたその一欠けらを見つけてしまった時。
私はその真相が本当に違う者だと知ったのだから。
燃えていって、分かる真実。
逃げている間に何時か、分かればいいと思う。
その額縁に縋り付いて、沢山沢山泣いてしまうだろうけど。
きっと同時に、この気持ちは晴れやかになると思うから。
そうそれは、晴れた青い空のように。
雨雲なんて知らない、晴天のような青しかない世界。
嗚呼、みんなみんな、嘘つきだ。
貴方も、優しい、嘘を付く。
『食べて良いからね?』
「え?」
『その華は、もう、貴方の者だよ?サワア』
「…それでも、貴方にお返ししますよ。エフェメラル。」
『…ん。』
貴方は願わない。だから私は貴方に華を送ったの。
だって貴方はもう、充分に貰っている目をしている。
あの会った日からずっとずっと、傍で居てくれた。
あの104年のひと時を。
私はずっと、思い出しながら時間を過ごしている。
この力を見る奴らではなくて、貴方は私を私だけを、見てくれる。
それがどれだけ嬉しいことか。それがどれだけ救われるか。
貴方は知らなくていい。
嗚呼、ずっとずっと、コレが続けばいい。
貴方と一緒に、笑って息が出来る。
このありふれた、日常だけが。
私が願った唯一の、願いだったのに。
もう、終わるの。
願った時間は、終わってしまう。
長い長い時間が終わる
永久ではなくなる。
ソレが悲しいから、涙が零れ落ちる。
とまらなくていい。もう、いっそのこと止まらないで良い。
止まったら雨が止めば晴れてしまう。
夜が来たら朝が来てしまう。
変わってしまう、永遠なんてありえない。
常に一瞬だけがその後ろに居続ける。
貴方と過ごした、瞬きの間だけ。
光りがずっと、命として揺らめいている。
嗚呼、貴方にまだ、言えていないことがあるの。
でもきっと伝えたら全てが分かってしまうから。
だから、言ってはいけなくて。
でも、きっと、同じ気持ちで居てくれていて。
だから、続いて欲しいと思うのだ。
どうか、どうか、ずっと、このままでいいと。
抱きしめている間は、まだ、思い出していないから。
夜の間だけだから、涙を流している間だから。
たった四文字の小さな言葉。
華が咲く、その時まで。
私はずっと、蕾のままでいてあげる。
だからどうか、こっちをみて、振り向いて欲しい。
私は貴方だけにしか、華を咲かせるつもりなどないのだから。
「大丈夫、此処に居ますよ。ずっと、そう、ずっと。」
『…うん、うん!ずっと、っああ、ずっと、いるね?』
いれたらどれ程嬉しかったか。
そんなこと二度と在り得ないのだ。
ボロボロと鳴き続けるメルに、サワアも涙が溢れ出てくる。
メルは気付いているのだ。
コレが離れたらもう、二度と触れられないことに。
だから今だけは長く、長く抱きしめてあげている。
ずっといられたら、どれ程嬉しかっただろうか?
触れられていたら、どれ程喜ばしいことだろうか?
想うことすら、悪いことなの?
天使は悪魔と、仲良しはいけないの?
それならこんな世界なんて要らない。
全部全部要らないから、どうかお願い。
この人だけは、奪わないで。
そう、何時しかの貴方は叫んだ。
大丈夫なんかじゃない。
貴方は何時だって、苦しんでた。
怖がって寂しがって震えてた。
だから大丈夫だと手を差し伸べて止めてしまった。
攻撃するつもりなど無くて、ただ助けたかった。
なのに君は私を僕を助けてくれた。
その身体が魂が消える間、笑ってくれた。
いつかまたであった時は、初めましてと言うのだと。
また、同じ様に、笑って抱きしめて欲しいのだと。
例え記憶がなくとも、貴方とまた、お友達に。
「貴方は僕だけに捕まっていればいいんです。」
そして、僕だけが罰を受ければいい。
貴方は何にも悪くなんてないのだから。
貴方はもう、僕から離れるべきなのに。
どうしてそうも、優しいのですか。
優しくしてくれるというのですか。
ねぇ、エフェメラル。
僕の大好きな、たった一人の、お友達。
悪魔だった僕と、花冠を、交換して
怖がらずに、ただただ笑ってくれた。可愛いお人。
貴方はその翼で空に天に居続ければいい。
地に落ちた僕は此処で寝るだけでいい。
貴方は天に落ちて僕を助けてくれるというなら。
僕は地から這いあがって貴方を受け止める。
そしてまた、貴方を天に戻すだけ。
大丈夫、痛いのなんてそんなの一瞬でしょう?
『っふふふ、やぁだ!』
嗚呼ずるい。貴方は僕の分まで罰を受けるというのだ。
悪い子だというサワアに、メルは悪い子で良いというのだ。
だってそうしたら、貴方とずっと居られると。
同じ種族に、今度こそなれるのだと。
嬉しそうに笑って涙をぼろぼろ零して言う。
酷い、酷すぎるから、理すらも覆してくるというのだから。
嗚呼それならば、待ち続けてしまえるというのだ。
貴方がそうやって、僕の出来ないことを全部してきて帰ってくれる。
ならば、僕だって、手を使うという者。
「なら、捕まえたその時に、貴方を引きずり落とします。」
『へへ、そしたらずっと一緒?』
「ええ、ずっと。」
『うそつきだなぁ。嘘つきは悪魔の始まりだよ?』
「それほんとうですか?」
『へへ!』
でもいいよ。そうメルは言って抱きしめていたのを離れて、
その手を片手を取って頬に摺り寄せて言う。
『私はこのひと時だけがあれば、それだけでいい。』
「っ、」
『ずっとずーっと、続いてるね!』
この、魂の奥底で。ずっとずっと。貴方と二人で、花冠を。
もう二度と還って来ない。在り得ない時間だけに。
『私生まれ変わったら次悪魔がいいなあ』
「…おや、どうしてです?」
『人間天使と来たら次やってねぇの悪魔でしょ。』
「っくくく、コンプリートしてどうするつもりで?」
『ん〜またサワアに会いに行く!』
「私天使のままでいられませんよ?」
『えー消滅しない様にすっぴーおどそ。』
「さらっとえげつない会話しないで下さい。」
あといい加減泣き止みなさい。本当に痕に成ったらどうするのです。
そう流石に見かねたコルンが彼女と彼の間に入る。
お兄様はもっと彼女を丁重に扱って下さいという彼に
はいはいと笑いながら答えるサワア。
ソレを見ていた、周りの神々もまた、困った様に笑ったのだ。
メルが望んだ、皆が笑って要られればそれでいいと言ったように。
その瞬間だけは、皆が同じ様に、笑ったことを、彼女らは知る由もない。
++++++++++
朝食を食べて暫く抱き合っていたのもつかの間。
風呂入るぞ風呂という声に身体がびくりと反応した。
いや風呂昨日はいっ、あれ待て私何時風呂入ってた???
『ねぇ待って私凄い綺麗なんだけど、アルトリア拭いてくれてた?』
「え?いいや???」
「言っておくがアタシもしてないし、廻廊らも中に戻って帰って来てないぞ。」
メルは現在久しぶりに起きて身体を少し動かした後お風呂に連れられている。
風呂場ではアルトリアとリサとメルが全裸になって頭やら身体を各々綺麗にしていた時だ。
『ええ、誰だ?ヘレスとかヴァドスさん達か?』
「なんか風呂場が騒がしいと思ったらお前ら入っておったのか。」
がらりとドアを開けた彼女に嗚呼うんと声が上がるアルトリア。
『え゛ヘレスおはよう???』
「嗚呼、ちゃんと言っては無かったな。おはよう、エフェメラル。」
朝から深い愛情を受取っておって良かったな?
ん?アレ待ってあの場所ヘレスだけだったよね?
おお?気付いておらんのか?あの場所全員おったぞ?
ぴえ
「ぼろぼろぼろぼろ嬉しそうに泣きよってからに。」
『へへ、嬉しかったよ?』
そりゃあもう、哀しみすらも掬い取れるくらいには。
「メル、お主…ほんと、あやつには勿体無いよのぉ〜〜。」
『いやんなことよりヘレス一つ良い?』
「なんじゃ?メル。」
『いやむねでっっっっか。』
えっまってそんなデカかったの。普通に戦っていたくないの。
そう指を指してから尚且つ胸をがんみするメルに触るか?と言われて
いや触りたいけどいやと拒否するメルの手を掴んで胸を触らせる。
『〜〜〜〜!?!?!?!?!』
「ぷっははははは!!!!お主くらいなら好きにしてよいよい!!!」
初心過ぎる反応に、風呂場で倒られても困るが。
メルはヘレスの胸が気になってはいたとしても
触って尚且つ好きになど言われて困っていたのだ。
『ええ、でも、ええ…よく見たらリサもくそでかくない???』
「お前がちっさいだけだろ。」
『む!わ、私だって…その、あ、あるもん。』
「ま、可愛らしいくらいが丁度よいじゃろう。」
「見た処BよりのCってところ?」
「いや明らかそれならBに近い方じゃろ。」
『ちょっとお姉さん方私の胸見ながら言うの
止めてくれません!?!??!!?』
ねぇくそ恥ずかしいから!!!
そうね〜立ってるわね〜
待って誰かに聞かれてたら私恥ずか死ぬが!?!?!?
「大丈夫大丈夫、ほらほら、背中を流す流す。」
『なんか言いくるめられてる〜〜〜それならさ
リサはC寄りのDだし、何ならヘレスそれ絶対Dあるよね。』
「お?嗚呼お主らの価値基準じゃとそうなるじゃろうな。」
「あの金の胸板って固定だよね?痛くないの?擦れたりとか。」
「まぁ最初は慣れずに痛かったが、形を変えてくれたりして今では全くないぞ。」
『ん?くれたりして?』
嗚呼そうか、彼女の天使は彼だった。
恐らくサワアが面倒を見てくれていたのだろう。
あ、そうか。だから貴方は私を見てくれるの?
「そうではないんじゃがなぁ〜。」
『ねぇ貴方私の心読める???』
「全く読めん。恐ろしいくらいには。
じゃが、大体何を考えているのかは想像がつく。
大方わらわに仕えているあのクソ泣き天使のことで
嫉妬でもしておったのじゃろう?」
『ばっなっしっ嫉妬なんかしてないよ!?!?!?』
「ほ〜〜〜?草原移動している時とかいっちょ前に
嫉妬していた可愛らしい子は
一体何処の誰だろうなぁ〜〜〜?」
『!?!??!?!?!?!!?!?』
待ってバレてたの?!?!?!嘘でしょう!?!?!?
「流石にあの場全員が知ってるかどうかは知らないけど、
あの天使は間違いなく気付いてて隠し通したでしょうね?」
「まぁ奴のことじゃからのぉ。」
脳内でちらりとこっちを向いた彼が
指を二つ立てて笑っているのが思い起こされる。
いや普通に殴りたくなるからやめてほしい。
身体を洗ったメルはゆっくりと風呂場の湯に足を入れ
ヘレスの隣で彼女の顔を見ながら聞く。
「じゃが、そりゃあもう嬉しかったじゃろうて。」
『え?なんで?』
「おや、気付かぬのか?愛おしい想い人が嫉妬してくれたんじゃぞ?」
自分を見て、その恋心を大事に抱えて、育ててくれている。
どれ程長い年月を掛けて、待ちわびていたことか。
その人が、今の自分を見て、好きだと一緒に居たいと思ってくれる。
誰かよりも、どうか、今を見て欲しいと。
逃げようとする人が、自分を見てくれるのだと。
「それ程愛らしい想いは何処を探しても見つからんじゃろうて。」
『〜〜〜〜!??!?!?!?!』
「本当にのぼせますから、ヘレス様それ以上言わないであげて。」
「っくくくく、すまんすまん、あんまりにも可愛らしいからのお?
全てが終わったその向こう側とかで、その胸をついでに育てて貰えばいい。」
『え、これ育つの???育つと思う????』
そうメルは思考を切り替えてヘレスに聞く。
小さな胸に身体に、これ以上成長など無いだろうと思っていたのだが。
「ああああ!勿論じゃ!!自分よりも
想い人に育てられる方がずっとず〜っとよいわ!!!」
「ヘレス様、普通にフラグ立てまくってない?大丈夫かな。」
「軽く半殺しにはされそうだよなぁ〜〜!!!」
まぁ見ていて楽しいから別にいいが!
そうリサは笑い、アルトリアは苦笑いである。
「ま、わらわらが勝てば、の話しじゃろうが、なあ?」
「…さ、それはどうだか?」
『私を甘く見ないでね?ヘレス様。』
「それはこっちのセリフじゃ。エフェメラル様よ。」
黒目と黄緑色の目がかち合う。
お互い尊重をしあったまま、
その力はどれ程の高みを見せてくれるのだろうか。
「そういやお主ずっと三つ編みをしているが、髪を切るとかなんとかせんのか?」
メルはそう言われて11番目で面倒で
髪を引き千切るというか切った時以来
また背中まで伸びた髪の毛を見つめる。
『嗚呼、一時期調整してくれてからそのままにしてる。』
調整してくれたのは大神官様である。そうそう切りたくても切れない。
そのことを伝えると嗚呼そりゃあそうじゃなあ。とヘレスは納得した。
短いと左右に纏めていたりしたが、こうも全体的に長いとそのままが良いのだ。
『あとね、知ってる?ヘレス様』
「ん?まさかそれも魔除けがあるとかいうんじゃなかろうなあ?」
『おっとその通り。でもね〜不思議なんだよ?』
「お?」
『私これ0番目で一人編んでたんだって。
不思議だよねぇ〜教えて貰ってもないのに、
一体何処で知ったんだか。』
そう言われてヘレスはふとサワアが昨晩言っていたことを想い出す。
いやそんな、馬鹿な話があるわけがない。
「…どうじゃろうな?きっと物心ついた時に覚えたんじゃろう。」
『そうかなあ』
「ああきっと。」
天使と悪魔が触れた、あのひと時だけの時間だけで。
そのおまじないをずっとずっと、
彼女は覚えて同じ様に髪の毛を伸ばし、
同じ様に姿を現すというならば。
それは、もう、願掛けに近い物であって。
それは、もう、呪いの様なものであって。
「教えてくれた人に、何時か礼を言わねばな?」
『ヘレス?なにを』
「さ、のぼせるから上がるぞ?メル。」
『え?ああ、うん。』
付いてくる彼女にヘレスはまっすぐ風呂場から出てタオルをメルに渡す。
自分で拭いている彼女を見てから
ヘレスもタオルで自分の濡れた肌を拭き撫で、水を吸い上げさせていく。
『ねえヘレス。』
「ん?なんじゃ」
『ヘレスはさ、サワアが天使で良かったって思う?』
「嗚呼勿論。奴は何だかんだ言って面倒見が良い上に利口じゃ。
代行を余り渡すことはないが、時々手が足りん時はさせている。」
『そっか。そりゃあよかった。』
「思惑通りと言えばいいかのお?」
『ええ。』
私はそう聞いたら存分に力を振るえると、彼女は笑って言うのだ。
そんなこと、しないくせに。分かっていることを彼女は言う。
嘘を付き続けて、何千年の月日が経っているというのだろか?
「嘘など付かぬ世界に連れてってくれると信じておるぞ。」
『え?』
「なんでもない。さ、服を早く着がえんか」
『あれ???ねぇなんでそんな早いの?破壊神だから???』
「つべこべ言わず着る!!!」
ねぇまって!!服変わってるの嫌なの!!