早く強くならなければ
『廻廊!!第一波!!!』
メルの掛け声に破壊神らの動きが変わる。
ぶわりと出てきた彼等が、ニヤリと笑う。
「やあ!破壊の者らよ!!!たのしませろよっ!!!」
「だれがするか!!!」
メルは元の世界に戻り、その翼が落ちていたことに気付いてからすぐに走った。
恐らくBとCは飛行をし、Aではひたすら地面を走り続けなければいけないのだろう。
『(いやきっっっっっっつ!!!!!!!
くそきっっっっっつ!!!!!!)』
気付かれると怖いので、どんどん指令を出していく。
既に隠れて移動している時には魔女を3体は出してしまっていた。
「…誰もいない。今夜は此処で寝ましょう。」
『っは、きつ』
これまだ一日目なんだが。
意外と現世にというか戻ってきたら移動が出来ていないという。
多分飛んだ分の移動はほぼほぼ皆無だろう。
こっちの移動が一番効率がいいのに、翼は使い物にならない。
メルは洞穴に入り、その身を隠していた。
中には対天使対策であるフィズ
戦闘用にとシアージュの二人を待機させた。
そう、それだけでよかったのだが。
『いやなんでお前がいんの????』
アイビーそういうメルがげんなりする。
いやつれないなあと嬉しそうに笑う彼に悪寒が伝う。
正直今すぐにサワアに会いたいが、生憎敵である。
「あっちょっと!!メルに近づかないでよ!!!」
『っあ』
「この私が、この子を守っていたほうがずっとずっと安心だと思うんだけど?」
それとも、それ程の威力で叩けると?
そう言った彼に、うぐっとフィズが唸る。
今の戦力的に、正直シアージュと互角か
それ以上の彼はかなりの戦力である。
流石に其処迄言われると何もできなくなる。
「いや〜〜〜滅茶苦茶仲間に思われてないのなんでだろうね????」
この状態で僕力使えるって思われてるの凄くない???
そうアイビーは軽く蓑虫のようにぐるぐる巻きにされて
天井につるされながらメルの方を向いて
にっこにこしながら言うのだ。いやまってソレは無理。
『っふふふふふふ』
「おっ笑った?ねぇねぇ」
『はははははっはあはははは!!!!
むりむりむりねぇもうやめてそれ!!!!』
ビヨンビヨンをするな!ビヨンビヨンを!!!
蓑虫の状態でくねくねとはいかずとも、ぴょんぴょんしている彼に
糸が中々切れないのも凄いがその動きも面白くて腹抱えて笑ってしまう。
「大丈夫、約束を果たしてくれるだろうから天使や破壊神らからは守ってやるよ。」
『ん、でも…』
うとうとし始めたメルに、それともと蓑虫から外れてそっと彼女のベットの中に入る。
「こうやって抱きしめてやった方が寝やすい?」
『……ん』
「っ!!!…おやおや、愛らしいねえ?」
かなり疲れているのだろう、笑っただけでそのまま寝落ちてしまいそうな彼女に
入って行ったはいいものの、背中を預けられて困っていた。
そっとメルの手を取ろうと左手で彼女の手を取ると、どうやら手は嫌らしい、が。
「っ!!!ねぇ、君、それ無意識だよねぇ?」
『…』
「…ねちゃったか。かわいいねぇ〜〜〜???」
眉を上げて、もう彼女はぐっすりと眠り続けている。
此処は地下な上に地上の光は何処にもない。
一応不衛生になりそうなものはアイビーが綺麗に片付けている。
これでも彼は潔癖、余り地下も好き好んで入らない方だ。
だが、ことがこと。彼女のことを守るとならば
上に草木を生やして擬態させるよりも
地下に幾つか穴を掘って似たような形を作った方が無難だと思ったのだ。
現に、数十の地点でアイビーは彼等がどう食いつき
ことと次第を起こすかどうかを考えていた。
「ま、いいかな。」
メルは彼の胸に背中を預け、腕を回してやるのを許して寝ているのだ。
それもトラウマにもなりそうな者の、中で、ぐっすりと眠っている。
本当に怖いもの知らずというのはこの子に相応しいのではと言わんばかりのソレに、アイビーは息を吐いた。
「はーーーー、手出し出来ないって、ほんときっっついわねぇ?」
こんなきれいな白い翼を持った彼女。
相手に悪いから、寝にくいと思えば綺麗に消していたその翼も無意識に出てくるらしい。
ふわりと触れば、んっと甘い声が漏れるもので、少々意地悪をしたくなる。
『ん、んんっ、ふ、ん』
「翼にも神経が伝わっているのねえ?」
足をピンとさせ動くメルに、足で動きを止める。
別にこのまま彼女を大魔女にしても構わないが、それだとこの戦いは面白くないのだ。
彼女が何処までも天使で居られる状態でなければいけない。
そして落とす時は必ずくるというもので。
「っくくく、可愛いわねぇ?」
噛みつかれた痕を見て、その首筋にキスを落とす。
んっと更に甘い声が出て、メルが声を出す。
『あい、びぃ?』
「…ごめんね、エフェメラル」
『ふぇ?あっ!』
「ちょっとだけ、取らせて頂戴。」
流石にそんな甘えられるとこっちも我慢が出来ない。
アイビーはメルの足をがっちり足で押さえつけ、
軽く胸を触りだしたのに、流石のメルも目が覚める。
『っあ!!んん』
「魔女にさせない悪魔にも。絶対に。」
『んん?』
「ごめん、ごめんね、エフェメラル。」
沢山傷つけて、更に傷をつけることになる。
そう思っていると、大丈夫と声がかかって来た。
『(貴方の気持ちは伝わるから。
私を大事にしてくれるなら、いいよ?あげるよ?)』
「っ!!!貴方、本当に甘いわね。」
『ふにゃ!あっ、ああ、や』
「悪魔はそういう考えやその中にある感情を食べて生きる者。」
貴方のは何処までも甘くて毒なのよ。
そう軽く身体をなぞったり引っかいたり、軽くかみつく。
喘ぎ声が強くなるのに、抑えなくていいと答えた。
「彼女らは深い眠りについているし、ここら一体アタシの縄張り。」
誰もを寄せ付けるわけがない。そう言う彼がだからと声を掛ける。
「その甘い蜜を少しだけ分けて頂戴?」
『ふっ、んん!あっ、らめ、やあら!!』
「っふふ、可愛い小ぶりね?まだ蕾かしら。」
胸元もきっと花を大輪に咲かせるだろうに、未だ華も咲く気配すらない。
白い肌からちらりと出てきた蕾をひたすらいじる。
喘ぎ声が甘くなり、力が入らなくなっていくと同時に足を退ける。
もう起き上がることもままならないだろう。
「大丈夫、お口は譲ってあげるから。」
『っふ、やあ、あいび、ねぇ、あいびい』
「ふふふ、可愛いわね?エフェメラル。」
ねぇ、その天使にどれだけの愛を注いで上げたというの?
そう言う彼に、メルはふぇと声を上げてはまた喘ぐ。
考えさせないように、ひたすら胸を弄っている間に聞くのだ。
「悪魔に手を差し伸べて、貴方も悪魔になってしまえば
折角頑張って天使になったあの子はどんな気持ちになるというの?」
しってる。しっているのよ。僕ら、いや、アタシ達はね。
貴方のその愛情を、一欠けらを見つけてしまった時から。
貴方から彼を引きはがしてしまったというのに。
「これが偽物なくらい、直ぐにわかったというのに。」
アタシは未だにあんたらに騙されてあげているというのに。
嗚呼狡いのね、貴方ってお人は。
その身を、それでも無慈悲な神に捧げるというのか。
たった小さな願い事の一つだけに。
「…いっそのこと、悪魔になって、もう殺しておしまい?」
あの子を殺して、笑って消える彼が見える。
泣きじゃくりながらごめんと天使に戻る彼女の頬を取って
嬉しそうに、一瞬だけキスを落として、消えて居なくなる、そんな夢。
天使は悪魔の時間に溺れ、そのまま身を亡ぼすまで気を維持し続ける。
世界が壊れるか、それともその身が亡ぶのが先か。そうよね、辛いわよね。
「愛した人が自分のせいでその身を滅ぼさなければいけないなんて。」
そんなルールなど、ぶち壊してしまえばいいとさえ思うのだ。
そう、アイビーの願いは、メルの願いとほぼ同じだったのだ。
「貴方は選ばれた。私は選ばれなかった。
だから貴方に託して、コレを持ったの。」
『っふ、あ、ああ、あいび、ね、あいびらめ』
「ふふ、大丈夫、怖くなんてない。頭を真っ白にするだけ。」
ほんの、いっしゅん。
やだなんかきちゃうという彼女に、少し悪いが下をまさぐる。
ぴちゃりとした液体に、やらしいわと答える。
「弄られて感じちゃったの?愛おしい人を想って。」
『っ〜〜〜!!あいっひあ!!!!』
「一度行ってそのまま帰って来ないで頂戴。」
『あ、ああ、やあ、やあら、あいび、らめ、らめて、あ!』
「大丈夫、頭を真っ白にさせても、また目覚めるわ。」
それは夢へのいざない。ただの、忘れない時間だけだから。
何にも怖くないわと言い聞かせるアイビーに、メルは首を横に振る。
「そのまま落ちても、貴方をすくってくれる人は居るの。」
たった一人だけしか、生きていない。
だから、アタシが悪い魔王になってあげる。
そうして貴方は王子様に助けられて、幸せになる物語へ戻るの。
ずっとずっと、幸せに暮らしましたとさ。
そういう流れで、終わっていく物語に。
貴方はその身を投げ落としてしまえばいい。
なのに、貴方はそうしない。そうしたくない。
残酷で地獄よりも地獄な煉獄の中に足を踏み入れる。
誰もが嫌がるのに、貴方嬉しそうに笑って大丈夫と言うのだ。
させないのよ、魔女も、悪魔も、貴方が泣くなんて、させたくないの。
こんなにも健気な貴方が、その呪いから解放されるならば。
私は悪魔にだってなってやるというのに。
貴方はそれでも、私を悪者扱いにしないというのね。
酷いなんて、酷い物語なのだろうか?
悪役なんて誰一人もいなくなってしまう。
嗚呼貴方はそういう、お人だから。
お人好しの描いた物語は、そのエンドしか、見ていない。
『むいむい、きちゃ、きちゃうう、やああいびいやめ、』
「いいわ、はやくおいで?」
『やああ、あっ、ああ、あっ、むい』
「癖になるから余りしたくないけど」
『ひっ!!!』
首にがぶりとかぶりつく。その瞬間メルの身体がびくびくと反応してくたりと力が抜ける。
甘い甘い、感情が、喉に入って欲しがってしまうが、これくらいにしておかないと色々と困る。
お休みと言ってキスを落とすとメルは今度こそ深い眠りに入って行ったのだった。
++++++++++
『なんかどちゃくそ目覚めが良いのが怖いが何したお前』
「あらやだ〜〜〜疑うの〜〜〜???」
蓑虫状態に戻ってみれば、場所が違うと言われる始末。
おかしいな…間違っていても3センチ単位なんだが……。
「それにしても、滅茶苦茶静かだな」
「今のところ天使らも全員音沙汰なし。
多分メルの体調を気にしての事じゃない?」
あいつら律儀に其処ら辺するから。
そういうフィズにへぇとアイビーは答える。
「あんたそんなことも分かるの。」
「まあ天使だしって…アイビー一つ聞いても?」
「ええどうぞ?」
あんた食事のプロなの????
おほほほほ!!!そりゃお褒めの言葉どうも。
食卓には色とりどりの豪華な食材が色々置かれていて。
なんならさっきからメルは声を上げて以来一度も反応しない。
そう、メルはひたすらがっついていたのだ。
あんまりにも美味しいらしい。
美味しい?とアイビーが聞くとぶんぶんと頷いている。
良かったと嬉しそうに笑ってみせると
嬉しそうに笑ってにんまりと笑ってからまた食事に戻る。
「……いつもこんな感じ?」
「ま、至って正常だろうな。」
「…あの子も大変ねぇ〜〜〜〜。」
躾多分これ無理だろうけど。
メルの純粋さというかなんというか、
味方と、害がなければすぐに心を全開に開く癖は直した方が良いと思う。
一応敵ではないが、これが終わればすぐに敵に戻るつもりではあった。
そう、あったのだが、そんな気力すら失せられてしまった。
「ほんとこの子の近くに居ると駄目ね。
こうなんか全体的な意識の喪失というかなんというか。」
『えっこわ近寄らんとこ』
「あんたの話をしてんのよあんたの話を。」
わーーーー!と笑って言う子に、頭を軽くぐりぐりと弄る。
「華神の術か何かでないのそんなの。」
「…無くはないけど、いや、流石に、ねぇ?」
『えっ待ってなんでこっち見て首傾げるん???』
「いやだってあんたが出来てたらこの世の終わりよ終わり。」
『え、マジで????』
「アレは意識と無意識下を全て知った上で、
その感情その者を吹き飛ばす奴があるんだけど。」
いやそれも大昔の話しで忘れちゃったわ。
そう言う彼に、でもあるのかとメルは言う。
「ええ、名前は忘れたけどもね。黄金の草を生やして、
その範囲内だと同じ感覚を味合わせるとかなんとか。」
『ほーほーねぇアイビー』
「なによ」
『これみたいな?』
「え?なにこれってど」
どれとかいう問題ではなかった。
叫び声でウイスらに絶対気付かれただろうくらいには叫んだ叫んだ。
あんたねぇと首を振るアイビーに、メルは嬉しそうに笑う。
「それ使えるってかなりの才能なのよ分かってる!?!?
分かってないでしょ!?!?!?
この大馬鹿者!!!!!!!!!!」
『なはーーーーーーーーー』
「それなんです?」
「この黄金はね、始まりに在ったとされるものなの。」
その地には、人も天使も悪魔も穏やかに暮らしていて
お互いが協力をし合って、神様に従ったり
逆に神様になって従えたりを繰り返していたという。
だがある日を境に悪魔は本性を現し人を殺した。
天使が悪魔を突き落とし、人間を戻す為に手を加える。
その間にある一人の天使が悪魔を戻そうと手を差し伸べたのだ。
その天使は悪魔と同じに裁かれる。
しかもその天使は悪魔の子を身籠っていたのだ。
怒った神様は天使に呪いをかけた。
天使がしたかった一番の願いを叶えなくさせたのだ。
そして同時に、その黄金色の草にも、
華にも嫌われるようにさせて。
地に落とそうとした神に、待てと悪魔が言う。
自分が全部悪いのだから、天使は関係ないと。
それに気付いた神様は言うのだ。
お前も道連れにしてしまおうと。
その声に天使は悪魔を庇ってその呪いを二つも受けてしまったのだ。
驚いた神様は天使に掛かった呪いを一つ取り除こうとした。
しかしその前に天使は悪魔にある言葉をかけてから消えて無くなってしまった。
悪魔には何もしない方が寧ろ罰になると思い、
神様は悪魔を消し去った。
そして、黄金の草はやがて絶えてしまい、
地にあるのは模倣品ばかりになっているという。
「これは悪魔になった時に伝わる古い記憶。
悪魔になった者達は皆この記憶を一度味わうのよ。」
「そんな話が…」
「悪魔は黒い髪をして、赤い目をしている。」
私の今の状態みたいにね。
そう言う彼がちらりとメルに目を向けた。
「天使は白い髪の毛に黄金色の瞳を持っていた。」
『白に、おうごん、』
「黄金の草は感情を綺麗に拭い去ってしまう形。
怒りも哀しみも何一つない。争いを生ませない力を持つ。」
優しいのに、残酷な草なのよ。
「感情を力にして振るっていた華神らはその名残とされている。
皮肉よね、感情を大事にしたいはずの子達が、
感情を奪われる形に呑まれているだなんて。」
「っそんな、じゃあ、私達は」
「いえ、それは大昔の話し。そう、貴方が言う「一代目」の話。」
さあ、エフェメラル、思い出して。
「貴方はユートピアで生きていた
『っ』
「黄金の草は、その証。」
魂が、形が、此処まで保てられるのは、
呪いが二重に掛かったからのおかげだろうが、
もうその呪いは無くなっているのを、この子は知らない。
知る術はなかったのだ。
何故なら呪いは悪魔の得意分野。
どんな形も知られるというのに、何処を探したってないのだ。
黄金にすら捨てられているはずの天使なのに、黄金が選んだのだ。
この子ではないと、いけないと。
神々が見捨てたというのはでっち上げだったのだと。
言われている様で、いや、その通りだったのだ。
嘘つきは神様の方だったのだから。
「貴方はもう、何処にでも飛んでいけるようになったのよ?」
『っあいび』
「っごめんあいびーメル連れてにげっ」
「させません」
すっと目が細くなり、
アイビーはメルを軽く腰元を掴んで空に飛びあがる。
ドンという音に目を閉じていたメルが目を開ける。
眩しすぎて目がぎゅっと縮まっている間に、声がかかる。
「返して下さい!!!」
「この子は物じゃないのよ。」
「そんなの、わかってますよっ!!」
「弱い、弱い弱い弱い弱い弱い!!!!」
天使らが束になろうと、その攻撃を止める訳にはいかない。
全力を出し尽くしなさいという彼に、サワアらも手を止めない。
「メル!!」
『っ』
「私の言葉通りに言って分かった?」
『…おーけーぐっじょぶ!!!』
いや気が抜ける言葉を使わないの。
サラッと威力を落としてしまったアイビーが
ぺしっと軽く天使らをハエたたきの様に落としていう。
みなさいプライドただでさえ高いんだから
滅茶苦茶怒らせちゃったじゃないのと言うアイビーに
うっわとメルも軽く引いてしまった。
ギロリともう目だけで人殺せるわ。
「約束称えた華よ花よ、我らの願いを一つに束ねて」
『…約束称えた華よ花よ、我らの願いを一つに束ねてっ!!!』
ダンと強い気に身体がびくりと反応して震えてしまう。
良いからとアイビーが声を上げる。
「っエフェメラル!!!!」
「…どうかお願い応答してよ、天使に悪魔に人間が。一つに束ねて願いを捧げる。」
『どうかお願い応答してよ。天使に悪魔に人間が。一つに束ねて願いを捧げる。』
「駄目ですソレを言っては!!!」
悪魔にたぶらかされるなとサワアが殺しにかかるくらいの力でアイビーに攻撃を入れてくるのだ。
本当に嫌なのだろう。でも、不思議となぜか胸に力がこもっていくのが分かる。
嗚呼、同じような詠唱を私は昔にも唱えたのだ。
『…金の眼を携えし者』
「っ!!!」
『数多の光を纏いし者よ。』
アイビーの身体から離れたメルが空にふわりと飛びあがり言う。
一気に攻撃を入れてくる破壊神らとサワアら天使に対して、
魔女らが廻廊と同時に出てくる。
『その身に余りし華の情を、貴方に捧げて、円に戻すの。』
胸にふわりと綺麗な白と金色の華が咲き誇り、その手を空に広げて言う。
『急げ急げ、願いが消える、一夜時よ、瞬きよ
華の者導く、数多の光り、人よ戻れ、あの日まで!!』
『孵ろ還ろ、あの日へ帰ろう、神も人も、原初から
我らの希望を、貫く者に、願いよ叶え、神の子よ!!!!』
永久に輝く黄金を、携え掲げ、振り回そう。
『ユートピアよ!!今こそ、もう一度!!息吹けこの地へ!!!』
メルの言葉により、その手から光が一瞬だけ光った後、
その後の記憶が綺麗になくなって。
意識を飛ばして地面に落とされていたと気付いたのは、
それからどれ程の時間が経ったことだろうか?
何時の間に草原にきていたのか、いや飛ばされたんだろう。
とんでもない爆風と同時に思考がシャットダウンされて
天使ですら気を失わせてくるほどの力があるとは思いもしてなかった。
「っ、こ、こは」
『おはよ』
「っめ、る」
ニコリと微笑むメルのその髪色に、しゃがんで肘に手を置いてみていた彼女の目に、ひゅっと息が喉に入って行った。
『