呪うか?全てを
ひゅっと息が喉を通って、時が止まったかのように見えた。
その名前を、言える人は、たった一人しかいない。
この黄金の草原の中に、その身体を立った一人立ち尽くす彼女しか。
「っ、な、んだ、これ」
「からだ、うごかねぇ」
というかなんかきもちいーーー
そういう破壊神らに、いけませんと声を上げたサワアが固まる
『ごめんね?今まで置き去りにしちゃって。』
「ーーーちがう、ちがう、君は!!!!」
君は僕を置いて行ってなどいない。
そっとメルが手を触れる、するとどうだろうか?
「っな」
「さ、わあ?」
輪が消え、髪色が黒く変化し、紫色の目が赤く染まりあがっていく。
それどころか、その衣服が解けて黒いワンピースのような服へと変化してしまったではないか。
肌も人間の様な肌に変わり、その身長は変わらない。
「…エフェメラル、君、記憶が」
『うん、戻ってる、戻ってるの、エテルネル』
「〜〜〜っ、駄目だ、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ!!!!」
忘れさせようと術を使うサワアに対して、エフェメラルは嬉しそうに涙を流して首を横に振っている。
エフェメラルの手を掴んで立ち上がった彼を引っ張るかのように後ろに下がっている。
「っ馬鹿、ほんとに、馬鹿だよ、君は」
『大丈夫、大丈夫だよ?』
「なにが、っ何が大丈夫というんだ!!!」
ぶわりと赤い目を灯し、その背中から黒い手の様な翼を広げて威嚇する。
そんな彼に微動だにせずただただ愛おしそうに見つめる。
それをみて、サワアはゆっくりと翼を戻していく。
『お華が沢山生えたから』
「やめて、もう、しないよ。」
『お約束でしょ?』
「いい。もういい。果たされなくていい。
忘れて良い、忘れていいのですよ。
どうか、どうかお願いですから。
…そのまま、忘れて下さいよ。」
「お兄様…」
あの姿はと未だ起き上がれない者に
かつての二人よとアイビーが言う。
「なに」
「どう、いうことだ」
「瞬きだけに、生き続ける子と、永遠にだけ、生き続けた子の小さな約束。」
嗚呼今、この目の前で、悪魔として
引き継がれた約束が果たされようとしているのだ。
「エフェメラル。そんなことしないでいい。
もう、もう私は、いや…僕は、死んでいるんだよ。」
『そんなことない。貴方の、エテルネルの魂そっくりよ?』
「違う、これは華樹らの手違い。
幻想で、君が描いたただの物語に過ぎない。
君の描いた僕ではない。」
『だとしても、今、此処に居る。』
青い空の木の下で、貴方と二人で手を繋いでる。
そう噛み締めるように、
彼女はメルはサワアの額に額を当てて言うのだ。
嗚呼この時間が永久に続けばいいのにと。
「っ!!」
『ね、エテルネル。花冠を、交換しましょう?』
貴方だけの、花冠を、私は作れるから。
そう言うメルに、要らないとサワアは首を横に振って言う。
コレが終われば君は一体何処に行くというのだ。
「…っ。ね、それなら教えてあげる。」
君の華言葉
「カタバミに咲くその白くて可愛らしい小さな華の名を」
『っ』
「その華の名は、オキザリス」
華言葉は
「決して貴方を捨てません」
ね、エフェメラル。
「…僕も同じ気持ちだよ?」
『っ』
メルの手を片手だけ放して腰に巻き付けその身体をぎゅっと寄せる。
永遠に触れて居れればいいのに、そう思っていると離れてしまう。
願ってはいけないのだ、儚いものなのだ。
だから、言葉にしてしまおう。
そうして君が、此処に残ってくれるならば。
君の枷に、なれるのならば。
「…愛してる」
『…わたしも!』
メルはきゅーと甘えた声を出してサワアの頭に抱き着く。
それにちょっとくすぐったいよお
という声にメルは嬉しそうに笑って答える。
じゃと言ってメルはサワアを掴んでヘレスの元に降り立った。
『はい、おすわりして?』
「えっあ、でも」
『ほらほら』
「!??!?!?!?!」
ちゅっと額にキスを落とした彼女に、
サワアの姿が元に戻ったではないか。
背中を向けたメルに、前を向く。
「っ」
「…プラティア」
大樹の下で、ルメリアらしき人物を上から見下ろす彼女に、
各々が立ち上がろうとするも、身体に力が抜け落ちてしまい、
どうしようもなくなる。
「エフェメラル。」
『大丈夫、ねぇ、エテルネル』
「ちょ、その名前は恥ずかしいので出来れば
サワアでお願いしてもらってもいいですか?」
『あの子敵とかじゃないんだよ?知ってた?』
「いやだから人の話を………は????????」
「え、いや、だが」
「悪魔と魔女の頂点であり、大神官様の娘さんでは」
『それは三代目の時間のお話!』
ねぇ!プラティアと声を上げるメルに、ちらりと目が向いた。
歩いてくる彼女にもうおわりだたああと声が上がる。
『ごめんね?今までずっとずっと置いてけぼりにしてたね?』
「……まちくたびれた。もう、わすれてる、と、おもってた。」
だって在ってないし、会うつもりなさそうだった。
うんうん、ごめんね。ごめんよ。
『ねぇ、プラティア。先に聞いておきたいの。』
「なに?」
『私ね、ゲームしてたんだあ。
色鬼ごっこっていって、色を追いかける鬼さん!』
「そんなのがある、のか…それ、で?」
『それで私が勝っちゃったんだけど、私これから
華樹の理その者になって来なくちゃいけなくてね?』
「っあ」
そう、そうなのだ。ここは、ルメリアが眠っている地帯。
メルが指示した、あの約束の場所に位置しているのだ。
「そ、んな、じゃあ」
「メル、様……」
『貴方が好きなようにしたいの一つだけならお願い叶えてもいいよ?』
「っな!!!!」
「エフェメラル様、貴方っ、正気ですか?!?!?!」
『どう?何がお望み?何を願う?なんでもいいよ?』
たった、一つだけ。
そう両手を広げるメルに、
じゃあと俯いた後目を向けて言う。
「私がしたかったお願いを一つだけ。」
「っお、おわった」
「ひ〜〜〜〜〜〜」
『…ちょっと時間掛かるけど、待てる?』
「貴方が生きる限り永遠に。それに…」
「っ」
「彼も一緒ならば。もう、大丈夫。」
「え」
『……交渉成立!!!…アニュラス!!!!!!』
はいはいとビッと音を立てて来てくれた彼にメルは言う。
『約束。果たしに来たよ。』
「いや〜〜〜滅茶苦茶な物語でもう感動しました。」
これ数億とかの単位じゃないくらい満たされますよー
そういう彼にそりゃ良かったとメルはケラケラ笑って本を渡す。
あれちょっとまて。
「おまえ、赤本を探してたんじゃ」
『ん?嗚呼途中で見つけちゃって言うの忘れてた』
「〜〜〜!??!?!」
「にしても考えましたねぇ、まさかプラティアが
おっと、これ以上はネタバレですね?」
『あぶなーーーねぇねぇ、ほんとやめてよね???』
下手にバラすと怒るというメルに、ごめんと笑うアニュラス
いったいこれはどういうとビルスが言うその隣にご説明をと来たのは
「だっだだだだあsdふぁsdふぁ」
「大神官様!!」
「エフェメラル様」
『ん?』
「力をお鎮めになられても?」
『…………ああ!!!!!!!』
忘れてたごめんごめんと言ったメルがパンパンと手を叩く。
はいはいおねんねしてーと言うのと同時に
金色が綺麗に青緑色の草に変わったではないか。
よくよく見ると奥ではルトラールが
ルメリアを起こして何かを話しているのが見える。
「これは一体」
「エフェメラル様」
『え〜〜〜〜皆でご想像にってやつにしない???』
「それだと困ります。」
『え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』
「とりあえず、二代目の記憶は?」
『あるぞいぞい。いや〜滅茶苦茶愛らしい。』
うんうん。そう頷くメルに、あのと声が上がる。
嗚呼ごめんごめんとメルは笑った。
『ようこそ、エンドロールの向こう側へ。』
ここはトゥルーエンド。君らが知りたい全ての時間。
そうメルは深くお辞儀をしてその空から地面に降り立つことはない。
というか、だ。
「メル様降りないので?」
『降りれないが正解かな?』
「え」
『や〜〜理片足今突っ込んでるっていうか〜〜
もうその者になっちゃってるし〜〜〜』
ほらほらコルンなんぞ上から見えるし
ぶんぶん身体ふれれない!!!
そう前の様に透過していたのを似たような形で
ぶんぶんと身体に触れようとして透ける彼女に
コルンが声にもならない悲鳴をあげた。
「メル様?!?!?!?!?!?!」
『にゃはは〜〜〜つーわけで、お前らの負け。そして僕の勝ち。』
「…参りました。」
「にしてもあれ程の気を持っていて、よく隠していましたね?」
下手すればこの星が崩壊してもおかしくないはずだったが。
そう言う彼等に一応崩壊してなくはないと大神官は答える。
「え」
「ただこの星がイレギュラー過ぎたのです。そう、華神らが眠っている星。」
華神星またの名を春の星。アストランティア。
その星が、この地に綺麗に密着して生きているのですという彼に
ぶったまげたと声が上がる。
「主」
「指示を」
「っそうだった、あいつら悪さを」
「解散」
「は?」
「だから、解散だっつてんだよ。というかアタシはそもそも主じゃねえ」
どっちかっていうとこっちこっち。
全部引き渡すという彼女に
いやいやいやいやマテマテマテマテとメルが叫ぶ。
『おおいが!??!?!増やすな?!?!?!?』
「管轄余裕で事足りるだろ。いいからやれ。」
『酷いよ?!?!?!泣いちゃうよ!?!??!!』
「はっなけよ」
『びえ!!!!!』
「…という訳なので。」
そう言ってアイビーがメルの元に近づく
「我らは貴方の僕になるとします。」
『っあい』
「っ、」
「あ〜はいはい取りません取りません取りませんって。」
貴方も相当やきもち焼きですねぇ。
そう言うアイビーに、サワアがぐっとメルを掴んで威嚇していたのだ。
なんなら所々髪色が黒くなったりするのは気のせいだろうか????
『そうそうすっぴー』
「はいはい」
『暫くまた席開けるけど、とりあえずまぁ
此処に帰って来るから、後でお迎えよろしく!』
「わかりました。後ほど手配しましょう。」
『かかさま、ととさま!』
「元気に育ちましたね〜〜〜」
「おかえり、僕らのエフェメラル。」
こっちに来てくれた両親にメルは飛び込んだ。
嬉しいのだろう、翼がぶんぶんと上下に羽ばたいている。
「もういくのかい?」
『まぁ死ぬほど覚えないといけないらしくてね。』
「寂しくなるけど、私達は此処で暮らすから安心して?」
『わかった!お部屋はアルトリアに頑張って任せる!』
「…まったく、何とかしておきます。」
『ふふ!…そいじゃ、ね?サワア。』
ふわりとメルはサワアの元に来てクスリと笑う。
行ってしまわれるのですねと微笑んだ彼にメルはうんと答える。
「エフェメラル、髪にゴミが」
『え?どこ?』
「ほら、ここ」
そう言ってサワアはふわりと浮かび彼女の唇にキスを落とす。
それにはメルもだが他の者達も目を丸くして固まった。
「…ね?」
『〜〜〜〜〜〜ああああああああああ!!!!!!
かえるかえるかえるかえるかえるあああああああああああ』
「あちゃーーー照れちゃった。」
「っくくく」
「愛じゃの〜〜〜〜?」
みんなーと声を上げたメルに、ヘレス達は空を見上げる。
『またね〜〜〜〜!!!』
そういう彼女が手を振ると、何人かはお辞儀を、何人かは軽く手を振る。
『じゃ、理よ』
「ええ、次よ」
後ろに手を置き、そっとお辞儀をする様に手を取るメルに
アニュラスも同じ様にお辞儀をして手を取った瞬間、
ふわりと白と黄色の華に変わって消えて居なくなってしまった。
「…いって、し、まわれ、ま、したねっ」
「サワアっ?!!?」
急に倒れたサワアに、大丈夫かとヘレスが声を掛けた。
「大丈夫ですよヘレス」
「っで、ですが」
「あの子が頑張ってくれているのでしょう。」
「え」
「エフェメラルが一代目の時からつけられていた
呪いやら何やらを消し去ってくれているようですね。」
「そ、そう、なのですか?」
「じゃないと天使がこうやって
気を失ったりもするわけありませんからね。」
まあ、あの威力に意識を軽く吹っ飛ばされたのは、少々お説教ですが。
そう言う大神官に天使らはしょげて頭を下げるしかない。
++++++++++
エンドロールの向こう側
そう、此処は全てが終わった場所。
メルはその額縁に触れ、上にあった物を燃やして消し去った。
中からは綺麗な白い翼を付けた女性が
黒髪の男性に花冠を乗せて笑っている姿が見える。
「きれいですね」
『うん』
「これにて儀式は完了しました。…お疲れさまでした。」
長い長い旅路は終わり。貴方はこれから理に。
そう言う彼に、じゃあとメルはにやりと笑う。
『華神らの復活。及びその仕組みを創り上げよう?』
「…と、いうと?」
『君も手伝うの。後私華樹神になるから。』
「…まぁそんな気はしていましたが。」
仕方がないルールはルールだ。
『黄金の草花は使える人を華樹神のみに。』
「ほお?復活させると?」
『うん。でも天使に向ける此処はちょん切る。』
そう言ってメルは加護天使から天使に変わるところを切り取った。
これで違う処からの天使がこれ以上増えることもないだろう。
『後は、華神と加護天使のサイクル。
引継と最果て、原初と終焉の4つで回す。』
一応華神のみだけど、終焉の子を考えて
原初と終焉は華神にして、原初のみ両方移動出来る様に。
終われば引継ぎと最果てにまた一時的に回させる。
「華神らの種はどうします?」
『今は無し。消えたら新規を入れるけど面接する。』
「ありゃりゃ。堅苦しくなりましたねえ?」
『こっちで管理すればいい。』
これくらいは基盤作っておかないと後が困るだろう。
『位置的には華樹神は本来全王様ライン。
華神らが破壊神、加護天使が天使。
華樹神官が大神官レベルなんだが、ソレはキープで。』
「なるほど」
『あと私の身体天使と人間のハーフで戻せるよね?』
「可能です。」
『華樹神なったらすぐに戻して。』
「それはいいですが、罰則ありますが、どうします?」
普通だとこれ帳消しにしたらいいだろうが
そのままにしておくことにする。
華は咲き誇り続けるだろう。
『華神らの華も自由に咲かせたり閉じたりできるように。』
「それは喜ばれると思いますね。BとCはどうします?」
『通常通りに回していて。』
「畏まりました。」
『…それやめない?』
「いえいえ、貴方様が今は主なので。」
『いやだ〜〜〜〜〜』
「っくくく、慣れて貰えますかねえ。」
長い時間を共にするみたいなものだ。
こっちに帰ってこないは無しだからという。
「そういや掟はどうします?」
『掟?ああ、あれか…』
華神になる方法
・誰よりも何よりも欲する欲望
・人間であること
・神々の居る世界の人間でないこと
が前提条件である。
華神が死ぬ場合
・願いに呪われ魔女になる
・自身の願いを変える
・華を喰らう又は食べられ願いを叶えられる
記憶の回廊に準じていない者達は、
基本的に魔女として死んでしまえば消滅しかない。
とんでも掟である。
『一応キープ』
「おや意外ですね、消し去るかと思っていましたが。」
『途中から消すよ。でも悪魔と魔女は合計で12にする。』
「…何か策がおありのようで。」
『面白くするからね?』
「ええ。」
だが、華樹神のシステムは細工する。
華樹神は人間が神様に選ばれ、願いの生贄となるシステム
生贄は時期が来れば死亡し、魂も消える。
その前に子供を産み、次の犠牲者を作り出す。
子供は12の人生を走り、最後に華樹神を呼び起こす。
そして次の華樹神を12の時間から選び出すもの。
そのシステムをぶっ壊し、華樹神は一つで終わらせる。
華神も二度と生成しないように、現在までで締め切り。
尚、加護天使も頑張れば華神に戻せるようにした。
華神、加護天使共に3回の寿命が終われば
そのまま理の中に消え、何処かで生をなしていく。
つまり今まで
「加護天使で死んだら消滅待ったなし」
だったのが、今回で
「加護天使になっても華神に戻る」
仕組みに書き換えたということ。
その膨大な量を一人では難しいので、
暫くは二人で管轄を纏めて、
余裕が出来次第、一人に戻る方向性。
「少々骨が折れる上に新しい華がみえなくなるのは寂しいですねえ」
『最初はそれで様子見。でしょ?』
「ま、いいでしょう。叶えましょうか。」
指を鳴らすと、その樹木はざわめく。身体の力が抜けたメルが目を閉じた。
「少々長い眠りに掛かりますが、許して下さいね。」
どうせ向こうからしたら瞬きの間なのだから。