日溜まりが殺す影





さてと、

『そいじゃ、行きますか。』
「ええ、どうぞ準備は整えました。」
「いつでもいいぞ。」
『んじゃまあ各天使は各華神の手を取って貰っていい?』

こうですか?とウイスらは各宇宙に司っていた華神らの手を取る。
そうそうとメルは続けて言う。

『出来れば天使の左手を同じ宇宙の華神が取って。』
「じゃあこっちは逆ですね。」
「こっちもか」

移動して準備が出来たのを見てからよしとメルは12と1を繋ぎ合わせる。

『アルトリア!!』
「準備出来てますよ。何時でもどうぞ。」
『は〜い。そいじゃ、スッピー行ってくるから後よろしく!』
「はい、お気をつけて。」
『では皆さん中央を!』

メルは繋ぎ合わせた処から入って駆け足でその中央に到着する。
息を大きく吸って吐いて、大丈夫と呟いて息を吐きながらお辞儀をする。
そこは確かに育っていた華樹の樹の方で。

起き上がったメルは、目を変え、声に張りをもたらせ叫ぶ。


『華よ神よ全ての始まり源よ!!還ろう還ろうその場所に!!!』

右手を前に出し、次に左手を出し、
胸に手を戻してひし形のマークを作って横へと開く。

右手を上に上げ、次に左手を上に上げ、
胸に戻してから両手を目の前に広げて伸ばす。


『原初と終焉集いし彼方に!我が示す、時の者!!』

右を左を向いて、左手を胸に置き、右足を浮かせては降ろし
まるでリズムを取っているようにも見えるその動き。
目はギラギラと黄緑色を輝かせているだけだ。

時の者で、左手を胸に当て、第1宇宙の方に指を指し
気付いた彼の目にメルはそのまま左足を軸として動き出して叫ぶ。


『いち!!に!!さん!!し!!ご!!ろく!!しち!!はち!!』


人差し指と中指をくっつけ、
まるで手を取れと言わんばかりに手を伸ばしつつ
メルは指を指すかのように彼等の目を向けて指す。

次の番号になれば手だけをくるりと回す。
まるで丸を描くように、声も身体も間延びせず
きびきびと区切って言うのだ。


『きゅう!!じゅう!!じゅういち!!じゅうに!!ゼロへと戻る、その彼方!!』


手に丸を作って下から上に振り上げる。
それと同時に左手を上に上げる。
まるで右手の後を追う様に、その手を取る様に手を伸ばして。


『約束果たすよ?その場所かいごうで。』

ゆっくりと胸に咲く華に触れ、手でその華を包むように笑って言う。
愛おしくて、可愛らしいその小さな花を、閉じていた手を叩き、ギッと前を睨む。

ぶわりとメルの周りに羅針盤のような光がウイスらの後ろまで入って来た。
低い声でまるで敵に叫ぶように怒りを込めたようなキレを見せる。

『華の者束ねし我の樹よ!!道を開かせ樹を生やせ!!!』

右手で胸を叩き、左手で右手を押して、前に手を出し、
下から樹を生やす様に上へと身体ごと上げて言う。

『導き示す愛しき者らに、永劫もたらす華樹の居場所へ、導け誘え華樹の樹よ。』

12から逆向きに、今度は両手を後ろに置いて。
右足を軸にしてくるりと華神らを見ながら笑って言う。
1に戻り、その間にある手を見て一歩下がり、
メルは高らかに声を上げながら姿勢を上げる。

手は胸に戻し、その手の中には、
光が華から白と金色の光を交えて。
弾を込める様に手に装着して。


『ふぁいと〜〜〜??』

空に向けてぐっと足を引いて姿勢を上にした。
髪色が一瞬の間、白くなり、目が黄金色に染まり
翼がぶわりと広がった。

『いっぱあああああつ!!!!!』

掛け声とともに、その白と黄金の球が空に飛び亀裂が入る中
メルは育て育てと下を見て言う。


『空いたよ育て!すくすくすくすく!!!!』

右手と左手をぎゅっと丸め込んでしゃがんでいたのを
バッと両手を広げて芽が出る様なポーズをとる。
丸まっては伸ばし、丸まっては伸ばす。

『ふぁいああああああああああああ!!!!!!!』

その言葉でボンと音を立てて樹木の樹が開けた穴に突っ切ったではないか。
パリンという音と共に、その崩れた奥が見える。
紺色の中にキラキラとした星を混ぜたような、宇宙を思い描く夜空に、唖然と見ていた。

『さあ!!!皆おいで!!!!』
「…どうやらいかねばならないようですね。」

手を放した後、華神らをそっと抱きかかえて天使らはメルと同じ様に翼を作り出して広げる。

「では、我々は」
「いってらっしゃい。」
「ええ」

いってきます。

++++++++++

メルの後を追う様に飛ぶ者達に、宇宙の形の先にずっと樹木の道が続く。
ソレを伝っていくように、メルはバサバサと空を右へ左へとゆらゆら動かし飛んでいた。

「エフェメラル様!!!」
『ん?』
「あまり調子に乗って後が辛くならない様にして下さい。」
「そうですよ?会合だからと言ってはしゃぎすぎるのは禁物です。」
『はぁ〜〜〜い』
「にしてもこれで本当にいいんですか?我々貴方と同じような翼を付けて。」
『良いというかコレがしきたりと言うかルールにしちゃったというか。』

なんというかだなぁ。
そうメルはうーんと口をすぼめていう。

一応天使の位置は加護天使の状態にと言っていたメルは
此処に来る前に天使らに同じ翼を模倣しろと伝えていたのだ。
それをちゃんとこなしている彼等は良いのだが、
少々神々しいものを模倣とは侮辱と等しいのではと心配する者も出る。

まぁ仕方がないと言えば仕方がないが。

『相手が誰かも分からないし、一応正直には言うけどね。
まぁ向こう行ってからのおったのっしみ〜〜!!いえ〜れつごー!!』
「ありゃ後で泣きますねえ」
「ええ、仕方がないというべきか。」

光りが見えて各々が気付いてみる。

『さ!皆の者いくぞー!!』

おーー!!!

その掛け声とともに白い世界に到着する。
轟々と唸る其処が綺麗に閉まる。

するとそれを見ていたので背後ではなく、真正面から声が聞こえる。

「やっときたか!遅かったなあ」
『あれ?時間通りだと思ってたのに。到着してたの?』
「いや向こうが予想以上に早く付き過ぎてたんだ。」

天使らが華神らを下ろしている間に、アニュラスが説明する。
ふわりと空に上がるメルは彼の様に空を飛ぶ。

「お前の姿を今か今かと待ちわびてたやつらもおるからなあ」
『えーーーー』
「なんじゃ、いやそうにしおって。」
『私そこら辺の草花でいいくらい放置されていいよ???』
「何本日の主役が下がっておるんだか!!
ほらいくいくいくいく!!!!」
『いいいいやあああああああああ』

背中を押していく彼に、メルは声を上げる。
仕方がなく各々らも後をついて行くと、
其処には大きな華樹の樹の下に多くの者達が集結していた。



「んあ、お〜〜〜きたきたきあああああ?!?!?」
『へぎゅっ』
「だ、だい、じょうぶ????」
『きゅ〜〜〜〜〜』
「駄目そう」

勢いよく華樹に叩きつけられたメルは
叩かれたハエの様に壁にぶち当たって落ちる。
セミが落ちる様にボトリと落ちる。

伸びているメルにごめんごめんとアニュラスは笑って謝る。

「ちょっと神様!駄目でしょ本日の主役泣いちゃう!!!」
「だーからすまんっていっとるだろうが〜〜」
「…なんですかこの呑気な会合は……。」
「ははは、言う出ない。」

そうコルンの言葉にアンダルシアが呆れて乾いた声で答える。

「ってエフェメラルじゃねぇか!!!お前なれたのか〜〜!!」
『んあ!?その声まさか!!!』

てぃーなあああああああああああああああ
メルは叫んでその場に飛んでティーナごと空に飛ばす。
ぎゅっと抱きしめるメルに元気してたなと嬉しそうだ。

ふわりと彼女を下ろして、メルはうんうんと両手を広げて笑って答える。

『う〜〜んと元気!!!!』
「っぷははははは、そりゃよかった!!!」
『それより最果てと引継ぎがそっちいるんだ!』
「嗚呼、お前のチェンジ式でな。」

ならばとちらり横を見た。
其処には嬉しそうに此方を向いている

『フィズ……』
「お元気そうでなっ」
『あああああああああああああああ』
「…拉致られましたね」
「拉致られたな」

二回目の拉致を目撃した彼等は冷ややかな目で見ていた。
勿論ちゃんと戻って来たメルに、各々苦笑いを零す。
どうしようもないのだ、すまないとウイスらがお辞儀をすると
いえいえとフォルスらが手を横に振った。

『いない居ないと思ったらCの管轄に入ってたのか。』
「あれ?メルが決めたんじゃなかったの?」
「其処は此方で決めたんでね。ではエフェメラル。」

こちらへ、そう手を向けた彼に、
ニヤリと笑ったメルが翼を動かしてその席に座る。
華神、天使らは地面に、正確には床に跪いて話を聞くことになった。

「理の世代交代と、華樹神の交代による緊急招集へ
お集まりいただき誠にありがとうございます。
司会進行は私一代目、を務めていましたアニュラスが務めます。
此方は二代目のトーラスさんです。
こっちは我々の付き人であるオルニス。」
「よろしく。」
「よろしくな。」
「そして三代目に加わるエフェメラルさんです。」
『っ』

ぺこりとお辞儀をするメルに、クスリと何人かが反応する。
縮こまっているのがまた子供らしさを強めるというか、
深く座っていないので王の場所にみえないというか。何と言うか。

「本日の会合は互いに知れたら良いなくらいでお呼び立てしました。
勿論貴方方天使らも貴重な勉学になれれば幸いです。」

深くお辞儀をする天使らにメルは微笑んだ。

「では、エフェメラル様、何かありますか?」
『とりあえず緊張をもたらした方が良い?
それとものんびりいった方が良い?』

ねぇどっちがいい?そういう彼女に
別に何方でもと言うのはトーラスの方だ。

「なんなら会合らしくしてもいいんだぞ?」
「もうトーラスさん、余り圧を掛けると来なくなるでしょう?
ただでさえストップ掛けられてるんですから。」
『なんか会社の上の人の話ししてるみたいでクソおもろい。』
「他人事じゃねぇんだよなぁ。」

メルが笑うのに対して鶏であるオルニスが鼻で笑う。

「この際言えばいいじゃねぇか。普通に。」
『ええ???私ああいうの嫌だからなぁ。後が困るんだよ。後始末が。』
「まぁまぁ。」

そう背中を押されて仕方がないと頭を掻いた後、
メルはふわりと空に上がり華樹の方に向いてそっとお辞儀をする。

かえってきたよ、そして、ねがいをもって。

メルは起き上がった後、くるりと身体を動かしその身体をゆったりと動かした。

『一代目、二代目』
「なんでしょう?」
『こいつらに名づけは?』

そうメルが指を指したのはサワアらの方だった。
それにいいえと首を横に振る。

「特に決めていません。我々はABCと言っていましたので。」
『じゃあ後々私が決めても?』
「どうぞご自由に。」
『じゃ、はじめるか。』

いつもの目は何処にやら。
メルの目は細く、光など見せない様に見える。
ギロリと冷たい視線で睨まれてびくりと反応する

怖いとかそういうのを超えた、誰かに変わった様な感覚。
確かにメルではあるのに、全く違う別人で。
カランコエに変わったのかとも思ったが、そうではないのだ。

『Bよ。主は誰だ』
「は、わたくしめです。エフェメラル様」
『名は?』
「華樹神代理でカミカゼ、と申します。」
「っ!?!?」

アルトリアがびっくりした反応を見せてすぐに戻す。
ソレを見ていたメルがちらりとカミカゼの方を向いた。

『なるほどねぇ。そういうことか。』
「???」
『Bの代理、カミカゼと言ったか。』
「はい」
『暫くそのままで。後に華樹神官を付ける。良いな。』
「はっ」
『華神加護天使はそのまま其処で待機。お前らにそっちを任せたい。
基本的には通常の日常を送ってもらい、時々他の土地に遊びに来る時は連絡相談報告。』

わかったな?そう言う彼女にハイと声が上がる。
よしとニコリ微笑んだメルは次にとCの方を向いた。


『あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お前らどうしような〜〜〜〜〜〜〜〜』
「っ」
『一応候補が2つある。多数決を取る。』

1つ

『華神になり、加護天使に悪魔を付ける。』
「っな!?!?!!?」
『もう1つ。私が選抜して、新たな華神を付ける。』

選ぶと言っても時間は上げるそう言う彼女に
考えておけと言われてわかりましたと彼女らは答えた。

『あ〜〜〜〜〜〜こっちもなんだよな〜〜〜〜〜〜』

だが、こっちはこっちで違うのだ。

『華神らよ。お前らも選べ。二つに一つだ。
華神になり新たな加護天使を付けられるか、
悪魔や魔女らを付けるか。』
「質問をしても?」
『どうぞ?キャドよ。』
「悪魔や魔女は消す存在では?」
『嗚呼そうか、伝えるのを忘れていたな。』

とっても肝心なこと。
そう言ってメルは良く聞けと答えてとんでもないことを言う。




『ユートピアを再建する』





は?





「「「「「はあああああああああああああああああああ?!!!!!!?!?!?!?!」」」」」


『いや〜〜人間と天使と悪魔が仲良くルンルン
わっしょい私もしたいんじゃ!!!!!!』
「だとしても貴方正気ですか?!?!?!
あのアレをもう一度するということですよ!?!?!
第一あの時のシステムはどうするつもりなんですか!!!!」

そう叫んだのは当時の記憶を持っているサワアだった。
流石に黙って聞いている話ではなくなったのだ。

『まぁまぁ…ね?』
「っ…失礼。」
『んでだ。だとしても同じ過ちを犯されてもたまったもんじゃない。
最終目標地点は其処だけど、その前に世代交代の予感もあるからね。』

一応だよ一応。

『元天使と元悪魔の再配置をと取るつもりだ。
最終的にはAが天使。Bが人間。
Cが悪魔が取り仕切ることにする。』

そしてこの地がユートピアになるというもの。
まぁ元々、此処がユートピアその者だったのだが。
もうその形は何処にも残されてはいない、空白になっている。

『その間にAには天使を、Cには悪魔を付けたい。』
「それでは厄災がまた繰り返されるのでは?反乱とか」
『私が見るんだよ?この、私が。』

愚かな処から綺麗な純粋な処まで。
全て全て、見捨てずに包み込んでしまうというのだ。

『躾なんぞ、手に余るというもの。』
「…それは、失礼しました。」
『ま、そこらへん何とかはする。
でも新しいか元々居たのかの決め事は君らで考えること。
はい分かったら返事。』

はいと声がかかり、よろしいとメルが答える。

『ティーナ!そしてフィズ!!』
「はい」
『お前ら二人ちょっと人間らの観察。種の不始末を私に報告してこい。』
「了解しました。」
「分かった。」
『他の華神らは全員端から端まで片っ端から全ての種を収集してこい。
次の会合は全て回収し終えた時に執り行う。以上!!解散!!!!』

これでいい!?!?!?恥ずかしい!!!!!!
そう顔を真っ赤にしたメルが叫ぶのに偉かったですねぇと声が上からかかる。

『僕頑張った!!!ねぇえらい!?!??!褒めて!!!!!!』
「はいはい、えらいえらい」
『ああああああああああああ』
「甘やかし過ぎだろ……」
「まぁまぁ、まだ赤子ですから。」
『まま???』
「ちがいますからね?????」

そう言うメルにサラッとアニュラスは答える。
ふわりと上から降りたメルはぶーたれていると、
お久しぶりと皆が声を掛けに来てくれた。

「元気そうで何よりじゃな。取り仕切りよくやったと思う。」
『コファ様〜〜〜!!!ほらほら見てみて!!メルトリアだよ?!?!』
「っ!」
「久しいな、メルトリア。よくやった。」
「こっ、こふぁさまあああああ!!!!」

半泣きどころか泣き出しながら走り出し、
そのままコファの胸に抱き着いたメルトリアに
コファは愛おしそうに頭を撫でる。

元気か?はい!皆さんも元気そうで!
そう花を咲かせる所を見て、メルはにっこりと笑う。
フェルらもまたコルンらの元に行って話を咲かせていたのだ。

破壊神や界王神らの話しや、自分らが今何処に居るかの話し。


「寂しいですか?」
『い〜や?寧ろこんな壮大なことに巻き込まれてビビってる。』
「っくくく、そうですか。オルニスも使ってやってくださいね?」
『私が使われるの間違いでは???』
「ほーーー???良く分かってるじゃねぇか。このちんちくりん。」
『あっ!ちんちくりんじゃないもん!!メルはメルだもん!!!!』
「そんな状態だと何時まで経ってもちんちくりんだな!!」
『むきーーーーー!!!!』

そう空では軽い痴話喧嘩が始まりだしたところで
サワアはミラに声を掛けられお辞儀をしていた。

「お久しぶりですサワア様」
「ミラ様、此方こそお久しぶりです。お元気そうで何よりです。」
「この方は?」
「此方は原初の華神であられるラズール様です。」
「ラズールと申します。華神の道へようこそ。お導きに祝福を。」
「ああ、はぁ…なんとも癖のある方で。」
「ミラ様…」
「ふふふ、良いのですよサワア様。
これもまた神の導きによる慈悲です。」

苦笑いを零すサワアに、ラズールは嬉しそうに上を見て手を組んで言うのだ。

「それより第2宇宙って各華神らが交代してたって聞いたんですが本当ですか?」
「ん?いえ、それは我々知らないのですよ。」
『ああそうか原初だもんね』
「やあああああああああああああああ」
「エフェメラル様…」

急に出てきたメルに流石にミラが叫ぶ。ケタケタと笑ったメルがじゃあついでにと交流を設けた。

『はいはい注目注目!!』
「ん?」
「なんだ?」
『原初の1に1の組おいで〜〜ほら廻廊組と最果て、引継組!!』
「あ〜成程、お前ら行くぞ!!」
「3ってどちらです?」
「嗚呼こっちこっち!」

そう円になって広がる原初らに、ゆっくりとだが彼等が集まっていく。
色とりどりの髪色の者達が集まる。

『まぁ一組5人集まるか。じゃあそのまま暫くお話してて。』
「話ってそう言いますが何を話せば…」
「はいせんせーどれくらい話せばいいですかー」
『んー適当ー人間の話しでもしといて欲しい。
嗚呼言っとくけどそこの白髪の翼生やした子達全員ガチ天使だから。
食べ物食べなくて良いし傷は治るし死なない子達だから。』
「は!?!??!!?まじでいってる!??!?!?!」
「うそ!!!!!!!!たべなくていいの!?!??!?」
「そこですか」
「待って寝なくても?!?!?!」
「えっ、ええ、別に睡眠や食事は
人間の様なものらの特権みたいなものですし。」

そう説明するコルンに、へーと声が上がる。

『下手に詰めすぎて天使さんら困らせない程度にね〜』
「「「「「「はーーーーい!!!!!!」」」」」」

これで良いだろう。
その間にとふわりメルは空に上がり彼らに会うことにした。
華樹の樹木の上に作られた円盤の上で紅茶を楽しむ二人に
メルはそっと座ってくる。

『お待たせしました。』
「おや、あの子達に混ざらなくていいのかい?」
『ええ、それよりも、こっちが本題なので。』

目の色が変わるメルに、アニュラスとトーラスの目が変わる。

『改めまして、エフェメラルと申します。以後お見知りおきを。』
「トーマスだ。噂には聞いている。酷なことを任せたな。」
『いえいえ、寧ろ私を生かしてくれてありがとうございます。』
「正直言うとイレギュラーだったから芽を摘む予定だったんだよね。」

やはりそうだろう。

「でも意外と反対したのはトーマスなんだよ。」
『へ???』
「っな、アニュラスお前!!」
「いいじゃないか。可愛らしい天使が、
悪魔の気持ちを知りたいからって悪魔になろうと奮闘しているのを。
君は余りにも可哀想だから次の世界でもし想い出したら
一度だけくらいはしてもって甘やかしておいて。今更何を。」
「アニュラス?!?!?!?!?」
『…そ、んなこと、を?』
「……君のお子には酷く辛いことをさせているからね。
確かに下界の人間らも似たようなことをされている奴らもいるだろう。」

だが、君は原初であり、全ての始まりになってしまった者。
その者達がまた集まろうとしているのを消し去るにも難しくて。

「それに絶滅しているはずの、あの黄金の草花がこの子を選んだんだ。
消さなくて本当に良かったが、酷い想いをさせてしまった。」
『…いえ、とんでもない。寧ろありがとうございました。』

そう、私はお礼を言わねばならないのだ。

『花冠を交換するお約束が果たせる時が見えて嬉しいのです。』
「…っ、」
『私は誰かに渡すくらいしか出来なくて。周りも見えていませんでした。
そんな中あの人に会ったのです。あの真っ黒で誰かも分からない悪魔に。』

人間だと思った。天使だと思った。なのに違うというのだ。
その心優しい魂を見てすぐに思ったのだ。この人はいいひとだと。
優しくて強くて、きっとどんな人よりも、凄い人に成れると。

『花冠を。私が出来る、唯一の時間を。あの人はプレゼントしてくれた。
それが何よりも嬉しくて、大事にしたくて。忘れる者かと縋ったんです。』

愛した殺したそれだけで。縋って祈って天にも地にも召されずに。
ただその華だけに祈って、本当に良かったと今では強く想う。

目を閉じて耳を塞いで、その首を締め上げたのは
同じような場所を忘れないための呪いみたいなもので。

『私の大事な約束を、果たさない様にしてくれて。
本当に、ありがとうございました。』

こんなただっぴろい壮大な輪の中に入れたのだ。
こんな楽しいことが、普通の人生において出て来れるか?
否在り得ない。

これで漸く、全てを捧げて、その約束だけを受取れるというもの。




そう、メルはずっと思っていたのだ。




『全てを捧げに、約束を果たしに来ました。』



彼らが一番酷いという結末に。


「…本当に良いのかい?」
『はい』
「怒られるよ?」
『でも約束です。皆が決められて守って私が守れないはおかしいですから。』
「…前に迷い子が来たと言ったでしょう?」
『え?ええ、』
「あれね、二人だったんだよ。」
『っ』
「一人は君の知ってるお人。もう一人は誰か分かる?」
『っいいえ』



「君のお子になる予定だったプラティアだよ。」



胸が張り裂けそうになる。
手が動かない。身体が、重たくて。
怖いんじゃない、違う、これは。

「お子になるのは気付いてたようだけど。」
『っでも、それならどうして』
「君まで迷い込んで来てた時は笑った。」
『へ????』
「ほら何度も空白の世界に来ていただろう?」
『えっでもあれは』
「此処に何度も来ていたんだよ。エフェメラル。」

君ら三人はずっとずっと。

「この場所に戻ってこようと、迷い込んで来ていたんだ。」

そんなバカな話があってたまるか。
あの小さな願いだぞ?あんなことが、魂が、輪廻が許されるのか?

「この地を知る者は、この地に生まれた者達のみ。
迷い込むということは何かしら強い意志を持った者。
…君は、君らは、此処に座るべき存在なんだよ。」

ねぇ?

「サワアにプラティア。…いや、エテルネルと言うべきか。」
『っ、さ、わあ』
「…帰って来ないと心配されていましたので。お探ししてました。」
「エフェメラル」
『っ』
「言っておやり?」
『でも』
「大丈夫。」

そう席を立ったメルに、そっと肩を叩くアニュラスにメルは目を向けた。

「…待ってる。ずっと。だから言わなくていいよ。」
『〜〜〜っ』
「大丈夫。今は、プラティアで。それだけでいい。」
『っふ、ごめ、ごめんね?ごめん。』
「いいよ。その時は私も呼び方変えるから、ね?エフェメラル。」
『ん!!約束!!!』
「…ということで、まだいますので。」
「……仕方がないねぇ。なら少々早いが、Cの管轄を任せても?」
「構いません。と、二人きりにしてもらっても?」

いいですよそう言ったアニュラスが彼等を引いて消えてくれた。

「っ」
『ちょ、プラティア?!』

いきなりメルの身体をサワアの横に押し付けた後、
プラティアはサワアの腹を軽くではないが殴って来た。
馬鹿と叩く彼女に、そのことに気付いたサワアが
そっとプラティアの背中を抱きしめる。

「おかえり」
「〜〜〜〜〜〜っ!!!!」

ぼろぼろと泣いているのだろう、ぽたぽた音が落ちる音がする。
ぐずっという音に、サワアはメルに困った顔で笑っている。

名前を言わないのは、
まだメルが付けるはずだった名前を教えて貰ってないから。
何時か産まれてくる彼女を、待ち遠しくて。

「もうすこしだけ一緒に居させて貰えても?」
「…勿論。その後私だから。」
「ええ。その時は少しだけお貸しします。」
『あの私物ちゃうかんな????』
「ぷっふふふふ、そうですけれども。ねぇ?」
「ねぇ?」
『えっ待って??なんでそこタッグ組むの????』

ねぇやめて???お姉さん泣いちゃうから!!!!
そうメルはサワアとプラティアの腕を掴んで半泣きになる。
泣かないのとプラティアが頭を撫でつつ頬を付けるのに、
愛おしそうにその二人をそっと抱きしめてやる。

この時間が何時か、来るのだろう。
違う力を持って、違う姿で。

また。その日が来たら。

笑っていようと思う。





今度こそ、花冠を、交換して。