迂回しましょう
前回のあらすじ
メルスが後の第2宇宙の天使ガイドとして活動が確定
サワアが後の華樹神官に昇格が確定した。
以上。
とある休日というか、とある日。
メルはううんと唸っていた。
本日はメルスの説得を全部して、華神らにも集まって
ウイスらに加護天使としての役割を知らせた後の話しである。
流石に一人の時間が少なすぎるというので来るなということで扉を閉めているのはいいが。
何をしようかと言うのはまぁいい。
向こうの奥の部屋を作ると言うのも放置されているが
華樹の樹が出来ないと少々厄介なのでまだそっちは置いておく。
問題は
『サワアの華樹神官への対応の速さが異常すぎる。』
幾ら何でも早すぎる気がする。
ルトラールからすれば天使の時間も長い上に想いも強い。
加えて前から結びつく前提であればすぐに取り掛かられるのも問題はないと言っていた。
まぁそれは私も分かる。分かるんだが、幾ら何でも早すぎる気がする。
大体数億年はかかると聞いているが、此処数日でかなり進んでいるのだ。
少なくとも徐々にだが眠たいという感覚が出たり
空腹の感じが出てきているのは聞いている。
顔にも精神にも出さなかったというか、
上辺だけで聞いてそうかーとしか言っていないので
この話にまでは見えていない。
そう、現在進行形で彼らの処遇をどうしようかと思っていたのだ。
『いや本当に困ったな…これじゃあヘレスやメルスが変わるずっと前に交代になる。』
何とかして耐えさせないといけない。
少なくともあの年齢からしてメルスなら
早くても10年遅くても80年程で寿命を全うするだろう。
対してヘレスの形は恐らく数千年は軽く持つ。
大体切り替えとしたら6、7千年以降になるだろうな。
かと言って彼等の場所に私は行けない。
現在進行形で千年はこの華樹の庭に隔離されているのだ。
首元に触れ、本来の肌を露出すると、
その光がガラスに反射されて見える。
全く動いていない数字に、はぁとため息を吐いた。
流石に掟を破る訳にもいかない。
ウイスの言った言葉が深く胸を抉ってくる。
ー貴方は余り我々天使の事を理解していないでしょう。
『っふふ、きっっついなぁ〜〜〜〜。』
久しぶりの突き放されようである。
嗚呼、この痛みを抱えなければいけない。
処理に困るなぁ。彼等に気付かれない様にしないといけない。
そう、理解していない。したくないのだ。
ーどういおうとも、掟は掟です。
理に携わりだした貴方であろうとも、
掟に触れてしまえばどうなるかは分かっておいででは?
そう、分かっている。だからこの数字には逆らわない。
私が踏んだ愚かな過ちであり、禁忌をこれ以上踏みにじらない。
後悔などしてはいないのだから。
そう、理解していない。ならば少しずつ理解すべきである。
あれだもう、あれ。人間の法律みたいなかたっ苦しい
何度でもくみ取れるみたいな変な纏め方した文章みたいなあれ。
似ているようで似ていない。
そして。
『本は後で処理するとして…やはり此処を進めるしかないのか。』
下手に気を動かせば奴らにバレる。
気の扱い方を何とかして、最終的に自分の楽園を作りたい。
今は華樹神官もほぼいない状態だからいいが、こんな部屋が自室など嫌である。
もっと家らしい家に入って暮らしたいのだ。
あと普通に広すぎてそわっそわする。
凄いこうなんていうの?落ち着かない。もう全然。
かと言って、各部屋に行くのも悪い。
華神らが寝ているわけではないが。
うううん折角の休日をだらだら過ごしたいわけではない。
あっ待ってそう言えばだ。確か赤本をとメルは自分の身体からポンと出してみる。
やはり魂ごとに引っ付いていたのかお前。お久しぶりだな。よしよし。
この書いた本がどう出るかわからないからと図書の方に行って叩くと
『ええ?ええ??えええええええええ?!?!?!?!』
ぶわっと出てきた本の量に流石にビビって逃げ出したわ。
うわあ、えげつなあああ。
その本の山、下手すりゃ軽く数千冊くらいあるのでは。
嗚呼今日はこれしよう。そうしよう。
メルは手あたり次第に本を詰んでいくこと数時間。
昼になったので食事を摂って、軽く赤本の内容を見る。
『ふーむ、やはり物語は続いてるか。』
なんなら変な装飾まで出てVーUという数字が書かれている。
嫌な予感しかしない。
『これ絶対三代目の第二章って意味だよな。』
恐らく、華神になる、廻廊編がTに値して、
現在は華樹神編がUということだろう。
次あるとしたら、子供が出来たかなくらいでVになりそう。
うわあ、やだなあ。これ本当に続くのか。
まぁ幸いなことに向こうの知識は本に収納できそうだ。
ある程度組み立てた後、
種類別に奥の棚に隠す形として保管しておこう。
はて、じゃあ二代目とか一代目の本とかあるのか?
流石にこの本自体ではなさそうというか、
何故他の華樹神らは選ばれず私が選ばれた???
其処もおかしな話だ。
そもそも私は一代目の天使である者。
廻り巡って此処に来ているが、上に繰り上がることは何一つとしてしていないつもりだ。
人助けをして繰り上がるんだったらもっと他の人が早く出来ているハズ。
それとも何かの選び方があり、それに最初から入っていたとか?
いやまさかな。でも在り得てたとしてだ。
いや、そんな。
『ユートピアを戻すための、生贄だった。なぁんてまさか、ねぇ?』
もしも仮にそうなれば、戻った時どうなるのだろうか?
まぁ私が主ならば、消し去ってしまいたいなあ。
あの人同じような形にして、同じ様に消えて、本当のお別れにする。
嗚呼それがいいなあ。その最期が一番好きだ。
二度と味わいたくないあの時間だけど、それでも大事なのだ。
華樹から少しみていたが、凄く楽しそうにティーナらも話をしていた。
皆仲良くしてくれて凄く嬉しかったが、
私の欲望に付き合わせてしまっているようにも見える。
皆はきっといいよって言ってくれるだろう。
でも、私はそう思わない。思いたくないのだ。
『生贄なら生贄らしく、欲張りになっておくか。』
だってもういいと諦めるよりも、粋が良い方が良いだろうから。
一番の高みへ頂点に上り詰めてから、その奈落に身を投げ落とす。
手を伸ばしても届かない。誰も彼も、助けない。
その暗さに戻る。それはまるで、
廻廊が始まったあの真っ暗闇に堕ちるみたいなもの。
同じ時間を繰り返す様に。
食べ物を食べて、食器を片付け部屋に戻る。
書類をひとまず気を使って浮遊の練習をし、ある程度慣れてから移動させる。
半分も行ってないが、出来るだけして、軽くベットに寝っ転がっていた。
このまま、時間が緩やかに続けばいい。
そうして、皆と沢山の想い出をつくって。
何時か終わるその日まで。
私は花冠をこの胸に留めておくのだ。
『それがいい』
メルは目を閉じた。
ーださい
ーきてください
「エフェメラル様起きて下さい」
『っんん』
「お洋服のまま寝てはいけないでしょう?」
『あえ?ふぁ〜〜おはよお?』
「おはようございます。と、言いましても、
エフェメラル様一体何時から寝てらして?」
『いやあ?どうだろう?』
そういや滅茶苦茶良い夢見たな。
あのトンネルの奥にある家完成するやつ。
いや中も滅茶苦茶整備されていて超すっきりで目覚めたのだ。
『一度サワアらが来た時の次の日くらいからだからあ何時だろうね?』
「全く、時間間隔をちゃんと持って下さい。
それとお洋服が皺になりますから早く着替えて。」
『はぁあい。っけほっこほ』
「もう、風邪ひくじゃないですか」
『っけほ、ごめ、っ』
あれ?なんか違う。待って。
「全く、ちゃんと食事摂ってるか見に行ってきますから。」
そう言って出ていったコルンに対して
メルは咳が止まって楽になっていた途端
急に来たふらつきに足で耐えた。
待った、なんだこれ、咳が止まらない。
『げほっ、ごほっ、ぐ、ごほっ』
何か詰まってる感じ。痰だな明らか。
吐き出さないとまずいな。あれまって、身体が
ばたりという音を聞いて、
全く何を落としてとコルンが見た先を見て声が止まる。
コツコツと歩く速さが早まって止まる。
「エフェメラル様、エフェメラル様、聞こえます?」
『っけほ、っこほっ、ぐ』
「っ吐血を…!!」
嗚呼分かった、この吐血。待って今楽にする。
集中すると急に出てきた咳に身体が動く。
しっかりというコルンの声が遠い。
「っ…メル様!!意識を保って下さい!!メル様?メル様!!」
「なにごとで…っ!!コルンさん!!」
「先程目を放した隙に倒れていました。
来た時咳をしていたので嫌な予感はしていましたが。」
「アンダルシア様らは」
「彼女がドアごと封じている途中で応答がないです。
すいませんがヴァドスさんはウイスさんと
モヒイトさんそしてサワアさんにも連絡を。」
「わかりました。」
『め、っぐ、ごほっ、ごほっ』
「大丈夫な訳がないでしょう…!!どうして黙ってたんです!!!」
大丈夫だから、そんな焦らなくていい
と言う彼女にコルンが声を静かながらも荒げる。
天使ら、特にウイスらは緊急として合図を出せばすぐに来れるようにしている。
「っお兄様容態は」
「血圧は低いです。此間と同じ様なもので。」
「メル、聞こえますか?メル??起きて下さい。」
「お兄様服を開けて貰えますか?気を渡します。」
「わかりました。」
メルの服を少し下ろして胸元に手を当て、アンダルシアの下したように気を渡した瞬間だった。
ーあーあ、またやっちゃった。
背後で声が成るのに揺らいだのを瞬戻す。
アンダルシアが前に言っていた、彼女の発作を起こす元凶だ。
ーどうしてそうも、出来ない子なの?悪いねふふふっ、悪い子だあね?
「そんなことありません。この子はいい子です。」
ー天にも見放されて?人にも悪魔にすらも見放されて?
何処にもいけない、何処にもいれない。
鳥かごの中狭いね狭いふふふふふ。
ねぇねぇおいで。こっちだよ。
そう囁く黒い少女がメルの元を見る。
ー悪魔になって?痛みを知って?
「っ誰がさせますか!!!」
ー守られるんだ。守られてばっかなんだ。
そう言うとメルの身体がぴくりと動く。
冷たくなる身体にコルンがメルの名を呼ぶ。
「っエフェメラル様駄目です!!負けてはいけません!!!」
ー首を括る所以は君のせいだよ?エフェメラル
「聞かなくていいですよ、エフェメラル。これは夢です」
ー違うよ現実君は天使に護られてる。
煩いですねと言うコルンが威嚇を示す。
その首を本当に切ってやろうかと出す彼に止が入る。
「メル、これは夢です。大丈夫。大丈夫ですよ。」
「お兄様……」
「大丈夫、夢が醒めたらいい子になってます。戻れます。」
ー帰れないよ?もう、夢は醒めた後だから。
「…貴方」
ー君も僕を置いてって。そしたら僕は、一人になれる。
まだ、縋っているとでも言うのだろうか。
この子は、エンドロールが終わった向こう側でも。
その縋りを止められないまま、ひっそりと息をしていたとでも言うのだろうか。
誰にも言えず、相談せずに。その心を、アンダルシアらは、理解してすぐに処置をしたとでも言うのか。
ー独りぼっち、もういいよ、二人ぼっち、もういらない。
「それでいいのか?」
「っアンダルシア様!!!!」
「なぁ、お前はソレが嫌だろう?」
ーっ、でもやだやだ、あくま、あくま、あくまのこ!!!
「違うその子は天使の子だ。人の子だ。」
ー違う!掟!掟は守る!絶対あるべき存在のもの!!!
「まだ違う。此処じゃない。」
ー違う違う、三代目!天使、人間、そうして悪魔!!!
そう黒い子供は言うのだ。
ーこの子は悪魔になって、綺麗に消えて、ユートピアになる生贄なの!!!!!
「……は?」
今、何を言ったんだ。
悪魔に、消えて?何を
「まだだ。まだ待ってくれ。」
ーいやだまてない!!もうむり!!!
「たのむ。まだ、まだ駄目だ。」
せめて、せめて。
『っせ、っぐごほっ、ごほ』
嗚呼、お呼ばれしてる。泣いちゃってる。
メルが泣きながら、手を伸ばすのに駄目だと手が取られる。
止めてくれと、それでも伸ばすのかと。
此処に居てくれると言った君は嘘を付くのかと。
取ったサワアを見て笑った後、メルは言うのだ。
『(お願いあと千年だけ)』
ーふふふ、わかったそれだけ。そしたらおしまい!あくまになあれ!!!
そう言う彼女に消えて居なくなると、流石に無理かと苦い顔をする。
「っくそっ!!!!!」
「アンダルシア様これは…」
「…エフェメラル、お前知ってるなら
言ってなかったのは、こいつらがそんなに大事なのか?」
「アンダルシア様…」
「それでもアタシ達を守りたいのか?何故だ?教えてくれ。」
なあ、どうしてそんなにも縋るんだ。
ぼろぼろと泣きだすアンダルシアに、コルンの手が止まった。
「なぁ、どうして?どうしてそうも、一途にいく?
どうして?なぁ、おいて、いかないんじゃなかったのか?」
「…っ、」
「全部、もてる、おまえは、そこでっ、おわらない。
なあ、どうして、どうしてそうも、」
へらりと笑う。それが全てだ。
「…言っていいんですか?」
うんと頷くメルに、サワアが代弁する。
「アンダルシア様」
「いい。お前の口からきく。」
「アンダルシア様聞いて下さい。」
「いやだ」
「助けてくれたから。だそうですよ。」
「…なんもたすけてない。なんも、なんも。」
アタシはあんたに貰ってばかりなんだ。
どうしてそうも、庇ってくれる。
「理が消滅すると、もうその存在自体が消えます。」
「…アルカポネ様」
「理の代になった者の全ての存在。存在もですが、
我々の記憶から彼女ごと綺麗に消え去るんです。」
まるでいなかったかのように。
「ーーーっ!!!!!」
「その子は元々この代で悪魔に何処かで堕ちる子でした。
すぐに気付いて我々は彼女を堕とさないように
契約させない様に言い聞かせてました。」
「っすいません、力不足で」
「いや、充分やってくれました。
いずれにせよもう時期が過ぎているので
何時来てもおかしくなかったのです。」
エンドロールを越えた状態。
それは、もう終わった先のこと。
「加えてかなり強い波だったのでしょう。
幸せに満ち溢れた処から突き落とすので、もう。」
「…また、僕は君を殺したというのですか?」
「お兄様……」
「目を覚まして下さい。エフェメラル。」
ニコリと微笑んでから、全く動かなくなってしまった。
手は冷たく、でも心臓はとくとくと動いている。
嬉しそうに、嗚呼もう大丈夫だと笑って居たのが思い出す。
もう、なんでもいいのだと。大丈夫だと。手を繋いで笑ってくれた。
どんなことがあっても、もうなんだっていいのだと。
綺麗に完成されてしまった。だから落ちる。
堕ちない為には、完成させない
それならば、この痛みで何とか抑えましょう。
それならば、この勘違いで何とかずらしましょう。
それならば、この感情で、縋りましょう。
物語を終わらせないために。
なんとかここで、堪えましょう。
でも、もう、もういいのだと。
此処が終わりで、もう何も考えなくてよくて。
やっとお願い事が叶うのだと。大丈夫だと。
思ったのが、怖かったのが、拭ってしまったから。
大丈夫と言う彼女の声が聞こえない。
聞こえないのだ。
++++++++++
「容態は」
「バイタル恐ろしいくらいに安定してる。精神も恐らくは。」
「目覚めないと」
「華樹が育たないのは、抑えていたからか。」
悪魔の樹になるのを、恐れていたのか。
そう言う誰かの声に、答える者はいない。
メルの手をそっと握ってただ付き添ってあげるサワア。
そっとさせてあげた方が良いと皆は判断したのだ。
だって酷すぎる。
「やっと会えたのに…っ、やっとっ!!!」
「…アルカポネ、」
金髪の髪を横に振って顔を手で隠す。
背中をスコーピオンがさすってやる。
愛し合って、子供もきっと迎え入れようとして。
手をとって、その先を見て、やっと戻れた時間が。
一瞬の夢幻だったのだと、思わせる様な宣告だ。
「千年を越えると悪魔になるだろうな」
「っ、」
「言っておくが、華樹神程の威力は何処も太刀打ちできん。
それこそ理を覆すくらいの威力をださんと無理だし、その理がこれだ。」
「そんな、なら、このまま時を過ごさせるだけというのですか!!!」
「逆にそれ以外あるか?コルンよ。」
「っ!!!……くっ」
「瞬きくらいの一瞬かもしれない。でも、あいつにとっては長い時間だろう。
大丈夫その間にアイツだって馬鹿ではない。敢えてやったかもしれないんだ。」
此処を越えたら本当に何もないはず。
「ですが、悪魔になるとしても、何故吐血を?」
「悪魔の身体は人や天使らと違うので。」
「お、にい、さま……」
「ボールパーク様、コロネ様すいませんが、後をよろしくお願いいたします。」
「…いくぞ」
「…はい。」
中に入って行った彼等に対して話を戻す。
「悪魔は魂を喰らっていくので、通常の食事は
必要ないどころか傷付くので食べてはいけないのです。」
「っまさか、」
「恐らくは、身体が既に変わりつつあったのでしょう。
気付かせないように敢えて自分から見ない様にしてた。」
「そしたら流石に天使でも見れないからな。成長したねぇ。」
「っそういってるばあいでは!!!」
「目の色素が落ちるはずです。いずれ見えなくもなるでしょう。」
「…は、え、なにをいって。」
「悪魔は目がみえません。夜以外目が見えないのです。」
私もそうでしたからそう言う彼は黄金の草花を見る。
「此処は悪魔にとって地獄でしょう。
草花は触れれば火傷の様な痛みを伴います。
長く下せば最悪消滅しますので。」
「…何を言ってるんですか?お兄様」
「夜になれば元に戻りますが、魂を喰らうので
人間や華神らは絶対に夜の間間会わない方が良いでしょう。」
「分かった気を付けるようにする。他に気を付けることは?」
「そうですねあとは」
「っ」
コルンさんと声が上がる。
サワアの胸倉を掴んで辛くないのですかと言う彼に
サワアは当たり前のように辛いですよと答える。
「っ」
「あの子が私のせいでまた消えるんです。
でもそれを嘆いたって始まりません。
なんなら千年も猶予があるんです。
今すぐにでも対策しないと最後の方では収集つきません。」
「そいつの言う通りだ。」
「…っ」
「…ひとまず傍に出来るだけついてやります。一週間当たりが山場ですね。」
「それ以降は」
「覚悟しておいた方がいいでしょう。ではこれで。」
バタンと扉を閉めて、サワアは前を向く。
何も辛いのは自分らだけではない。
一番つらいのは彼女なのだろう。
「…バイタルは良好です。精神面も見ましたが、驚くほどに真っ白で。」
「恐らくメルが何とか堪えてるんでしょう。
ですが、少々吐き出さないとこういうのは厄介ですから。」
「え?なにを」
「すいません、エフェメラル。酷いことします。ぶっていいです。殺しても。」
いやだと言うだろう。君は、優しい君は。ソレを見る。
「損壊しちゃった歪な子」
その言葉だけで部屋が破裂し、黄金の草花の上に叩きつけられる。
「っお兄様?!!?」
「入らない方が良い。耐えて。」
「っなぜあれは悪魔では」
「…違います」
黒い靄がサワアの首をひたすらに絞める。
そんなことをしても無駄だと言うと大きくなる。
「そんなことしても力が膨大に消し去るだけです。ほらもっとこっちを」
「…まってあれなにしてるの」
「いやあ」
「ほらほら、こっちですよー」
ぎゃおおっと音を出しながら暴れ狂う黒がぐっとちぢまる。
「流石呑み込みがっはやいですねえ」
ねぇ?
エフェメラル