この先は危険です
前回のあらすじ
悪魔になったエフェメラル
「いやー通常だと徐々に歪んでいくんですが。
最初から考えていたのですね。
すぐに変わったではありませんか。」
ですがこれしきで悪魔を名乗るには、少々よろしくない。
すっと目が細くなったサワアに黒髪に染まった彼女の目が赤く光る。
翼を広げたその色は黒く、ニヤリと笑ってサワアに攻撃を入れる。
杖を使って彼女の攻撃を受け止めるが、押されているようにも見える。
「甘いですね、動きは良いです。考えも尚よし。
でも貴方は完全に悪魔になんて堕ち切れない。」
『っ?!??!』
「ほら、すぐにもどる。」
この子を悪魔なんぞに落とせるなんて無理なものだ。
それに、こっちは元悪魔。扱いなどそんなの
記憶が戻っているのだから分かり切ってるというもの。
「この私が一度手本を見せた方がいいとでも?」
「っな!?!?!?」
「出来るのですか?!?!!?」
「まぁ長年してましたし、
多少想い出せばすぐに出来ましょう。」
物凄く嫌がられましたが。
そうサワアは軽く言ってのけているが、
普通に避けながら言うには速過ぎる速度が出ている。
浮遊して空を自由に飛びながら
追いかけっこを楽しんでいるようにも見える。
一瞬だけ戻りそうになった彼女が頭を抱えては首を横に振る。
「…抗ってるということでしょうか?」
「ふむ、困りましたねぇ。
威力はまぁ申し分ないですが、
中途半端な状態でやると癖になりますから。」
「…余裕そうですね????」
「魂からの名残りですかね?なんとなく
こうくるかなと思うことがありましてね。」
あと単純に彼女との歴もながいので。
ああ、なるほど?
「暴走を止めるには何かきっかけが?」
「まぁあるっちゃあります。なんなら暴走無理矢理させる為に喧嘩吹っ掛けたので。」
「お兄様!?!!!」
「本来は正式名称ですが、メルのことですからねぇ。
まぁ今更自分の名を言っても戻らないでしょうし。」
「えっアレ落ち着くの???」
「悪魔自体ストレス発散させないと自分の身を滅ぼします。
染まり切ったら収集つかないのでそれも含めて現在暴走しています。」
まぁこれくらいは造作もないですが。
「爪が甘いので変に此処で切り替えてやれば癖になって戻り癖だけはやめてほしいものです。」
確かに天使も悪魔も人間も出来るようになれば最強ですが、
流石にあの話を聞いてはちょっと聞き捨てならないと言いますか。
「下手したらどこぞの野郎に一つ面倒な奴を貰ってきてる可能性もありますから、ねっ!!!」
気を撃ち消して、その攻撃を跳ね返したりもするソレは最早躾に近い。
徐々にメルの身体が黒に飲み込まれたり戻ったりが少なくなってきている。
「あの状態続くのはまずいのでは?」
「まぁメルですし。大丈夫でしょう。」
「それって大丈夫に入らないですよね????」
「以前バッドエンドとかなんちゃら言ってましたよね?」
「ええ」
「似たようなものでしょう。今回は予兆と思えばいい。」
というわけで、だ。
「あまり長くするのは悪いので。すいません皆さん余り見ないでもらえます?」
「え゛みちゃだめなの」
「少々恥ずかしいので。自分も天使になって以来一度も戻っていませんし、綺麗に戻れるかどうかわかりませんので。」
「…そう言うなら。いいですよって言ってくださいね?」
何だかんだ甘いのか、コルンはさらっと言うことを聞いて背中を向ける。
それにはいと言うサワアに対し皆も背中を向けた。
「…さて、エフェメラル。以前貴方は悪魔になりたい等と仰っていましたが。」
ブンと音を立ててメルは元の形に戻る。
黒髪がふわりと上がり、目はギラギラと赤くなっているが。
「悪魔というのは」
【こういうのをいうんですよ】
世界が黒に染まりあがったみたいに漆黒に包まれる。
背中からも伝わる。これはうんではいけないものだと。
身体が止まってなにも感じなくなるくらいの長さ。
『しってる』
「っ」
『だから試しにしてみた。ふふっ、これ面白いね。』
君の感情もすぐにわかる。
そう言ってメルは黒に手を伸ばし、頭を擦る。
ぶわりと黒が消え、サワアは元の形へと戻った。
それと同時にメルもまた髪色を戻す。
「と、皆さんいいですよ。」
「っ、メル様!!」
「眠ってます。暫くは大丈夫でしょう。山場はまだですが。」
ある程度のコツは掴めました。
そういうサワアに、良かったあと声が入る。
「アニュラス様にもお聞きしたいことありますし。」
「なんです?」
「っわ!!!!びっくりしたああ!!!!」
そうびゅっと出てきた彼に丁度良かったと言ったサワアは
ニコリと笑った後、指を鳴らしウイスらに大きな布をかぶせた。
【ドウシテコノコヲソコニオトス】
その地鳴りと圧に、倒れる者もあらわれる。
何故だ何故だとかなりの低い声に、
サワア自身が声を出している訳ではないと思いたい。
【オマエガエランダノカ】
そうだろう、なあそうだろうという彼に
違いますよと凛とした声が響く。
「すいません僕ではありませんよ。
僕で在って欲しかったのは僕自身もですが。」
そう言うと暗闇は消え、
いえすいませんとしょんぼりしたサワアの声が聞こえてくる。
落ち着いたのだろうばさりと布から出ていると、布が綺麗に消え去った。
「流石に消しきれずに枠に入っている以上
此方からも介入が出来ないのです。すいません。」
「いえ、我々の方で何とか出来る範囲でしょうし。
ただ一つお聞きしたいことが。」
「コレにかかわった者がだれ、かですか?」
「知っているんですよね?」
「ええ」
「代償が必要だと?」
「っお兄様!!!!」
うーんと言ったアニュラスはもしと声を上げる。
「もし、代償を貰えるならば、
貴方は何を僕に捧げてくれる?」
「全てを」
「っ!!!!」
「私の記憶全てを貴方に捧げましょう。
それは、僕で在ったその日から。」
私で在る、その日まで。
「……は、ほんとに、血ですか?
もしくは何かの呪いでも互いに掛けてます?」
「????」
「いやはや、エフェメラル。
貴方本当に見つけた私が凄いのか
貴方が凄いのか分からなくなってきましたよ。」
何をそんなに驚いているのだろうか。
そう思っているととんでもないことを言いだした。
「プラティアもエフェメラルも
貴方が言ったことと全く同じ回答をしたんですよ。」
「は?!?!?!!?!?!」
「いやもうグルですか?
貴方達本当に言ってないんですよね???」
「いや逆に話すタイミングあると思います????」
「いいえ全く。だから驚いてるんですよ。
いやもうお腹いっぱいなのでいらんですが。」
「代償にお腹いっぱいとかあるんか。」
流石に突っ込まずにはいられない。
「華神と加護天使の中にも居なければ魔女らにもいません。」
「悪魔にもですよね?」
「アイビーに至っては何なら真っ白よりの白ですよ。
彼は前世天使の部類でしたし。」
「え?!?!?!?!」
「やはりそうですか。じゃあ我々全員悪魔だったとかは?」
「そうですよ。」
「?!?!!?!??!?!?」
とんでもない話を聞いている気がする。
コルンに至っては頭が痛くなっているのか頭を手で押さえている。
「破壊神らは」
「其処は見たことがないので叩きだしてさえしてくれれば確認できます。」
「わかりました。大神官様にも事情を説明して出しに行きますよ。」
「お願いします。ひとまずコレに関しては封じ込んでおくので、暫くは安心して下さい。」
「すいませんありがとうございます。」
「いえいえ、体調悪くなったらすぐにご連絡を。」
恐らく悪魔が悪さしてるんで。
ええ、わかりました。
ではまたと言って消えた彼に、ふうと声を下す。
ん゛という声にメルと声が上がる。
『…あえ、私、なにして』
「おはようございます、エフェメラル」
『ん、おはよお』
へにゃりと笑うメルに、サワアはふっと息を吐いた。
++++++++++
『はーーー悪魔にねぇ?????』
「記憶あります?」
『いんや全く。ビビるくらいにはない。』
「そうですか。」
元気になったメルはサワアからことの詳細を聞き
現在大神官に来てもらっているのを待っている途中。
コンコンとノックが入ったのではあいとメルが声を上げた。
『あ、大神官様!』
「メルさん、元気そうで良かった。」
『すいませんご迷惑をおかけ、ってあの後ろの方達は誰ですかね??』
「ビルスら破壊神と界王神らです。
あのお方に会うと話を聞きましたので正装を。」
『えっえも、えっかわいい、えっすき。』
主に服装をじろじろと見出したメルに
いつも通りの反応で大神官もクスリと笑った。
「メルさん、早速で悪いのですが、例のあれを。」
『嗚呼はいはい。簡略でも行けると思います?』
「してみてもらえたらと思いますが。」
その前にお洋服と帰ろうとしたメルの腕を掴むサワアに
ん?とメルは声を掛ける。
「いえ、帰らずともほら」
『わ!ありがと〜〜!』
「言ってくれれば変えますから。」
『こういうのは気持ちってものもあるけど、まぁ急いでるからいいか!』
メルは走って中央の方にへと来るように周りを集める。
『天使ら全員アレになるけどいい?』
「そうしないと連れ出せないでしょう?」
『まぁそうだけど。その量だと二人掴める???
特にクスさん側が心配なんだが……』
「ご安心ください。手を取れば普通に行けるでしょう?」
『いやまぁそうなんだが…まぁいいか。』
どうやって手を繋げばという者にそうだなあとメルは言う。
天使が真ん中で、左手に破壊神右手に界王神と言った彼女の号令で
周りの者達が反対側になったりと動く動く。
『今回はすっぴーもだよ。』
「おや?私もですか?」
『うん。全王様らは今度連れてくというか、
私がそもそもこの部屋から外出れないし。』
「嗚呼そうでしたね。分かりました。
その時になればお伝えください。」
『うん!そいじゃ、此処がもぬけの殻になるからあ〜〜』
どれにしようかなというメルの指が止まる。
『よ〜〜いっしょ!!!』
「っな!!」
『ふむ、完璧そいじゃよろしく!』
ーあい
そう小さなメルが手を上げてとてとてと部屋の方へと走って行く。
『じゃあすっぴーここでお手手つないで。』
「こうですか?」
『嗚呼翼の説明忘れてた。翼って生やしたことある?』
「いいえ?どうしたらいいですか?」
『一応こうするんだけど』
そうちょっと離れた距離からぶわりとメルが翼の付け根を見せるように翼を広げる。
『背中の真ん中とかあたりから羽根を生やす感じ。』
「…こうですかね?」
「っ!?!?!?」
『おおおお流石すっぴーつんよ。』
「ありがとうございます。では号令で翼を生やして飛んだらいいんですね?」
『いえす。大丈夫後でお手手取りに行くから。』
「わかりました。」
そいじゃ位置に付いてというメルが中央に走って行く。
それをそっと大神官はその姿を見てた。
これからどう動くことかも、分かっていて。
++++++++++
呪文を唱えた後、翼を広げてメルは大神官と飛んで白い空間に入る。
引き続いて天使らが破壊神と界王神らを掴んでそこら辺に落としていると
おやと声がかかる。
「随分と早かったですね。」
『ただいま!』
「おかえりなさい。スピスさんもお元気そうで」
「ええ。」
「そちらが例の子達ですか。並ばせても?」
「お好きに。」
「エフェメラル」
『はあい。こっちから第1おいで。』
そうメルが号令をかけるとそそくさと列にならぶのをみてメルが固まる。
「どうされました?」
『ぶっ、ふふふふふふ。』
「ん???」
『ダメ、むり!!!小学生の並び順みたいでむり!!!!』
男女一列に並ぶ様にしか見えない
そう言う彼女に首を傾げる者達。
下界の風習など分かるはずもないのだ。
界王神と破壊神を少し離し、
間に入るアニュラスにメルはそっと離れる。
左右から気を取り、何かを見ている様だ。
何もないと次へ次へと…
「駄目だな、何もない。スカだな。」
「そうですか。」
『ん〜やっぱ誰もが犯人じゃない気がするんだってば〜〜』
「というとメルさまは誰か分かるので?」
そういう天使の翼を生やしたウイスが言うのにうんとメルは言う。
「おっと、一体だれだと?」
『だからユートピア自体だって。』
「いや、もう少し考え……待って下さい今自体って言いました?」
『うん。こうものというかこういうやつ!!!』
「いや言いたいことはわかりますが、そんなバカな話が。」
メルが言いたいのはこの土地というか、
この枠自体が生きているという仮説である。
いやというか、あのですね。
「エフェメラル様この際この場で言いますが、
貴方拾いすぎやしてません??」
『え?何を』
「お兄様を始めとしてありとあらゆる者達全てです。
なんならご自身がおられた場所そのもの迄取り込んで
…貴方一体何処まで行くつもりで?????」
『ん〜〜〜天井がみえるその所まで。』
「コルンさん。その子に何言っても無駄ですよ。」
「転生してソレですからねぇ?」
『えっ待って悪口?????』
「おや?やっと気づくようになりました?偉いですねえ?」
『嗚呼馬鹿にしてるこの人馬鹿にしてる!!!悪魔!!!』
「今は人ではなく天使ですし、元悪魔ですよ〜」
サラッというサワアにメルはぽこすか殴っている。
とりあえずとアニュラスが一つ言う。
「君が考えているソレが一番の救済にはなるだろう。」
「…エフェメラル??????」
『ひ、いいいいいやでもこの場で言う??おまいう???』
「もうどのみち後々困るんですから、言って差し上げては?」
「私も貴方のお口から聞きたいですし。」
そう大神官であるスピスから言われるとメルとて嫌とは言い切れない。
うぐっと言った後、あのねとメルはもじもじしつつ破壊神や界王神の前による。
『い、いやなら、言って?ほ、ほんとに、皆ほんとにだよ?!』
「ああ、ああ分かったから。なんじゃ?」
『えとその……今、華神と加護天使がね?各世界に司れるように作ってるのね?』
「ああ、それで?」
『皆が良ければその、全員その、其処を全うした後、こっちにこないって、おもって…えと。』
「エフェメラル」
『う』
「もう少しはっきり仰って下さい。」
「そうですよ!どう思うかは彼らのやることです。」
貴方が其処迄守る程、弱くはないでしょう?
そう言うコルンにうんとメルは頷いてビルスらを見ながら言うのだ。
『あのね!破壊神や界王神の寿命を全うした後の話なんだけど
皆華神になってみない!?っておもって!』
「…か、かし、ん、ですか?」
『一応加護天使には今居るほぼ全ての天使にとは思ってるけど。』
「私は複数持ちになります?」
『其処をスピスさんにと。』
「っ?!!?!」
「成程、そうきましたか。」
『それか、他のそれこそアイビーとか考えてる。』
「そっちの方がわらわとしては嬉しいが……」
確かに上の人が同じ位置は心苦しいだろう。
記憶が残った状態での引継ぎになるだろうから猶更である。
『嗚呼でもまって、スピスさんはその位置が
嬉しいというかまだまだ生きて貰わないと私が泣く。』
「おやおや、それは困りましたねえ。」
『それで、ひとまずその、』
「…華神とやらはどういうものだ?」
『華をこうやって咲かせる神様。』
メルはそう言って胸に華を綺麗に咲かせ始める。
その黄色と白の華が、早く摘んでと言わんばかりに咲き誇っている。
『一度人間に、女の子にはなっちゃうけど。』
「記憶も維持されるということですよね?」
『うん。皆が良ければ華神と魂を分けた存在だって出来る。』
というかね?
『私最終的にそれもしたくてさ?』
「おやおや、我々を一生神々という檻に閉じ込めるおつもりで?」
『へへへ、それで、どう?やる?やらない?』
「やるもやらないもそんなの一択以外ないだろ?」
「…どうやら満場一致だそうですね。」
『ほんとに!?!?!?』
「ええ、貴方様が宜しければ是非とも。」
「記憶も残るなら猶更だな!」
そうシンやロウが頷くのにメルの目は輝きを強め
『わ〜ありがとうみんな!!!』
「っな!!」
「っとおいちょ!!!」
ばっと抱き着いてその華を満開にさせるだけではない
その地面に黄金の草花を咲き誇らせたではないか。
ぺたりと座った者達に、おやおやと大神官は笑う。
ではと華の者が言う。
「次のお話へ。」
本当のエンドロールを伝えに行こう。