メガネぶっ壊したら惚れられた。





「ヒナちゃん!!」
「どうしたの、翠ちゃん?」
「実は・・・あっ!」

____バリンッ

「あ、・・・ごめんっ、稀咲くん!・・・・・・・・、、、あれぇ?」

木村翠。前世、思い出しました。





















私の脳内に大量の記憶がが入り込んできた。
まず一つ。私は東大卒のエリートだという事。
二つ。私の前世はアラサーだ。
三つ。私は・・・東京卍リベンジャーズのガチ勢オタクだった。

私は大量の記憶を整理させながら必要な情報だけを引っ張り上げた。
マジかよ、マジだよ。
おいおい、私ったら転生しちゃってんの??記憶ないんだけど?死んだの、いつ!?!?!?
てか、東リべにトリップって・・・マジかよ、最高じゃん!!!!!
私、木村翠は俗に言う夢女系オタクだった。沢山のアニメ漫画に寄生しては夢小説という夢小説を漁りまくっていた。恥ずかしながら自身も書いていた。
つってもリアコとかそーいうのじゃない。他の人や自作の夢主でキャラとの絡みを楽しむような夢女だった。
でもまさか、本当に転生が実現することがあるだなんて・・・。私も大学での論文発表の研究ではパラレルワールドの理論的な証明しか出来なかったのだが、本当に存在するなんて!!!!
はぁ〜〜〜〜〜夢みたい、
さて、話を戻して。
今この体を扱ってるのは私。体の所有権は私らしい。私の方が長く生きてる影響かそれとも果たしてなのかは知らないが、兎にも角にもこの体の所有権は私にある。
そして、私はオタクだ。据え食わぬはオタクの恥というだろう?なので、救済します!!!!!
私が可愛い小6の女の子を演じられるかは不確かだが、まぁ。よっぽどのことがない限りバレないだろう。


「あ、、、だ、大丈夫・・・。」
完全に忘れていた。
私は東リべの主人公武道の最大の敵である、あの、あの稀咲鉄太と対峙してるのだった。
同じ塾の同じクラスの稀咲鉄太くん。頭がよく全国模試一位常連。前世、私は彼を見て何度思ったのだろうか。

コイツ、やりおるな・・・!!稀咲鉄太は、不良の道に進まず真っ当に生きていたら今頃、東大トップでエリートとして裏の世界どころか表世界を牛耳れたのに、と。
つまり私がやるべきことは一つである。稀咲鉄太をエリートへと導く。ただ、それだけ。
一応東大を首席で卒業した私がこんな風に言わせるほど彼の才能は凄い。
だから、無駄になんてしたくない。
「ごめんね!稀咲君。メガネ壊れちゃったね・・・弁償するね。」
「え、え・・・あっ、いや。いい。」
は、はぁ!?せ、せっかくの接点なのに・・・!!
「いやでも、壊したのは私だよ?だからね?私に弁償させて。・・・ね?」
知っている。知っている。そう、私。今世の私は死ぬほど顔が良いのだ!!!!!
その代わり相当アホだったが。神は二物を与えず、か。
「・・・大丈夫だ。」
ここでも意地張るの〜〜〜〜〜!?
え、待って。そんなに私が嫌い!?そんなに!?!?
阿保は嫌い?勉強もせずに友達と毎日駄弁って時間を無駄にしてたアホ女は嫌い!?
「・・・っ、なら!今度の全国模試。私が勝ったら、弁償させてね。」
ふっ、小学生相手に本気なのは正直大人げないなって思ってるけど、救済したいんだもん!!推しには元気でいて欲しいんだもん!!!!
「・・・はぁ?」
何言ってんだコイツと言うような目つきで見られる。そうだよねーーー馬鹿と一緒にするなって思ってるよね〜〜〜〜〜。
でもね、私。
「絶対に負けないから!!何があっても私が勝ったら弁償させてね!?分かった!?!?」
「分かった・・・。」
どうせ勝たないだろう、なんて思ったんだろう。まぁ、仕方ないよね。うんうん。
次の全国模試は七月、今は六月。私が負けるわけがない。
いや、逆に負けたらヤバいんだけどね!?!?!
私はその場を後にした。















「翠ちゃん!稀咲君と仲良かったの!?」
「いっつも暗くて近寄りがたいよねー。」
帰り道は死ぬほど大変だった。そう、大変だった。
女子に巻き込まれるわ、囲まれるわ。
女子は他人の人間関係をかぐのが好きな奴らだ。仕方ないだろう。
「・・・ううん。メガネ壊しちゃったから弁償するだけ。仲良くないよ、今はね。」
これから死ぬほど仲良くなって見せる。
半間修二の居場所を奪って見せるんだから。










「今回も、うちの塾が全国一位を飾りました!」
この塾は所謂進学塾である。そんな進学塾にバカな私が入れたからには大きな理由がある。
それは私の家がお金持ちだからだろう。
コネって・・・怖いな()
稀咲鉄太と目が合う。あれ?え、?今完全にどや顔されたよね?え??俺の勝ちだって顔???
「では塾内一位から発表していきますね。」
よし、きた。いつもなら私は一番最後。でも、今日はね。

「なんと!今回の一位は・・・








木村翠さんです!」
勝ったぁ〜〜〜〜〜〜〜。
ドヤ顔をかましていた稀咲鉄太の顔がみるみるうちに青ざめていく。私はウインクかましてやった。
「ありがとうございます!!」
「全問正解ですよ。凄いですね。」
東大舐めんな!!!
ひゃっはーーーーーー!!!!!!
「いえ、これくらいできて当然ですよ。」(中身:東大卒アラサー)
ふっ、みたか、稀咲鉄太君よ。これで君は今日からエリート道を突っ切るのよ!!!!


































「おい、待て。稀咲君!」
肩を揺らしてこちらを見る彼。見つからないと思ってんのかな?
「・・・カンニングでもしたのか?それともなんだ?コネでも・・・、」
「な訳ないでしょ!?!?実力でアンタと勝負したの!!!!!!!」
「っ・・・弁償しなくても良いだろう?わざわざこんな陰キャなんか、」
・・・は?
「ふざけんじゃないわよ!!!いい!?アンタは才能があるの!!アンタにはエリートになって貰う。


稀咲鉄太。この表世界を牛耳るエリートになる素質が、アンタにはある。」







この時、風に髪をなびかせ堂々と宣言した彼女に惚れた稀咲の話は言うまでもない。
そして、のちに稀咲は語る。あの時の彼女はどんな宝石よりも美しかったと。







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