宗教って儲かると聞いたので教祖になったのに殺されそうになった話。



今私は同窓会に行けません。なぜならナウで殺されそうだからです。




教祖である私は元々凄く良い道を進んでいたと我ながら思う。周りの人からベテランカウンセラーとおだてられ、沢山のオファーも貰った。それに実力も着いてきてたと思う。しかし、それはある日、ある男によって私の人生は一転した。その男というのは親友の幼馴染みで旦那なのだが、なんとも頭が悪い。しかし、男が言った言葉は微妙に説得力があり、何より男があまりに真剣にいうもんだもん。私はまんまと信じた。いやまぁ、確かに成功した。いろんな人を諭し、お金をがっぽりと取った。お陰で私は教祖が着るようなな格好をしていても金庫には数えられないくらいの大金が眠っている。私はこのお金を老後の幸せライフの軍資金にしようと思っていたのだが現実はそう甘くなかったらしい。実は私、現在進行形で頭に拳銃を突き付けられているのだ。











原因はクソ野郎だった。そいつは私の羽振りの良い信者だった。過去に恋人を無くし闇堕ちしたらしいく、話を聞いてやるだけでいつも泣いていた。しかし実はそいつ、今日本で最大の犯罪組織である梵天の組員だったらしい。ここで話が終われば良いのだがなんとその男。私にカウンセリングして貰うための金がなくなったらしい。あの梵天で横領を行ったのだ。はい、この時点でもう人生終了のゴングがなっているのだが、そいつ、最後は私となんてほざいて私の元へと現れたのだ。大量の横領したかねと一緒にね。顔には出さなかったがそのときの私はすっごく荒れていた。いやだってあの天下の梵天を敵に回すなんて相当のバカじゃなきゃやらない。私も人生の終わりを悟ったよね。まぁ、勿論だけど男が見つからない訳じゃない。30分もしないうちにやつらは現れ、男を殺した。で、当たり前なんだが教祖の私も疑われてしまってね。それで・・・
「おい、話聞いてんのか?インチキ宗教のインチキ教祖サンよ。」
今こうやって椅子に縛られながら教壇の上で脳天拳銃でぶち抜かれそうになってるワケ。ほんと、溜まったもんじゃないよ。だぁれがインチキ宗教のインチキ教祖よ。こちとら実力は本物だっつーの。ちゃんとした心理学使ってんだから。
「あら。アンタ、私がこの男に横領をするように唆したとでも言ってるわけ?」
「あぁ、そうだ。」
おぇ。勘違いも良いところ。私はただ相談にのってこれからの人生を諭してしてやっただけ。こんなところで人生終了させてたまるかっつーの!!目の前にいるとてもじゃないけど堅気に見えない白髪ロングの男に私は心のなかで悪態をつく。くっそ、普通に良い顔しやがって。
「違いますぅ。相談のってあげてただけですぅ。」
「金取ってんだろ。」
「当たり前じゃんか」
これが仕事なんだから、口で反抗しながらも私はこれから生き延びるための戦略を考えていた。どうすれば脳天バーンされずにすむかねぇ。勿論、私の得意分野である心理学に持ち込めれば良いのだが、そこまで持ち込むためのビジョンが見えないのだ。
「信じられないな。梵天のモットーはな、疑わしきものは罰する。申し訳ないがお前には死んでもらう。」
ヤバイ、これは非常にヤバイ。何とかしないと。私は急いで口を動かす。
「ちょっと待ってくれない?流石にそれは酷いと思うのよ。あぁ、そうだ。最後の遺言位聞いてくれない?」
「お得意の諭しでも披露するつもりか?」
それ以外に何があるんだよ。否定の言葉を出しながらも私の心は真反対の事を考えていた。死にたくない、もっと生きたい。私はスーパー最強老後ライフを楽しんだから!!
「私はね、別にがっぽり儲かってずっと幸せ生活を掴もうとしたワケじゃないんだ。勿論ね、生活金は必要だしね、老後のお金もほしかった。そんなとき、ある男に言われたんだよ。
『知ってっか?宗教って儲かるんだぜ?』とね。勿論バカか、と否定したね。だってそんな簡単に成功する確率なんて低い。それに男はとてもじゃないけど人には言えないような頭の悪さだったからね。しかし、男は言ったんだ。」
私の言葉にうまく耳を傾けているのだろうか、梵天の男が続きを顎で促す。まあ、こちとら言葉のプロだ。上手く人の心くらい掴めるよね。
「『違うんだ。だってなぁ、信者って文字よく見てみろよ。信+者=儲だろ?』ってね。妙に説得力があったよね。男があまりに真剣に言ったからかもしれない。上手く私の心にストンと落ちた。私はこの言葉を信じて宗教を始めたってワケ!いやぁ、この事を誰かにいってみたかったんだよ。中々私有今日を始めた理由って聞かれないだろう?聞いてくれて助かったよ。でさ、最期のお願いを聞いてくれた君の相談を乗ってあげるよ?」
よし、食いついた。私はよく知っている。こういうどこか善人を漂わせる雰囲気を持ってるタイプは何かしら闇堕ちした原因があるってね。だからそれを上手く使うの。その上、男は私を殺すつもり。だから、死人に口なしってね。私が誰かに言わないことを確信してるからきっとこの男は、私の腹を見せる。
「勿論、他言無用さ。まぁ、死人に他言もないのだけれどね!それに私、実はもとカウンセラーだったんだよ。相談なら得意だしね。」
私は不敵に笑ってみせた。お願い、上手く私に見せろ!んで、さっさと解放してくれ。早く家に帰りたいんだ。
「俺はな、親友の姉が好きだったんだ。でもな、そいつはもう居ない。死んだからな。不慮の事故だった。」
あ〜、うん。そういう系ね?分かった分かった。
「それは辛いねぇ。私の知り合いも彼女さんていうか・・・好きな人?がなくなってしまっていてね。まぁ、彼の場合他殺なんだがね。」
「・・・火事だったんだ。俺が家まで送って別れたあとにすぐに火事になった。俺は助けに行った。で、その人を布団にくるんで助けられたと思った。でもな・・・赤音さんじゃなかったんだ。親友だった。」
え、マジ??え〜そんな話ある?切な〜。少女漫画もビックリだわ。
「で、彼女は一命をとりとめた。でも、火傷が酷くて、治療には4000万掛かると言われた。親友の家はそんな大金を払えるはずがなかった。俺が集めなければいけなかったんだ。そこから俺は闇に手を染めた。金のためなら犯罪でもなんでもやったな。その上、親友までつれ回しちまった。でも、金は集まらなかった。集まる前に彼女は息を静かに引き取ったらしい。そこからはトントン拍子に物事が進んでいった。親友の事を手伝って、犯罪犯しまくって、親友と決別して、ここまで流されてきた。俺には金しかなくなったんだ。」
ひえぇ〜思ってたより重っ。まぁ、でも、聞いたことが全然ない話ではないよね。いける。これならいける。
「そう。でも、君は別に金しかない訳では無いんじゃないかね。まだ彼女のこと好きなんだろう?一番最初に一丁前に過去形使ってたけどさ、まだ好きなんでしょ?じゃないと、相談なんてしないっつーの。好きなら好きで良いんじゃないなかな?勿論、君の想い人がもういないことなんて承知の上。でもさぁ、好きを押さえる必要ある?好きなら好きで良いじゃん。私は良いと思うね、恋拗らせてる系反社野郎。嫌いじゃないよ。でさ、これは完全な予想なんだけど、アンタ。親友のことも引き摺ってる?」
「は?」
ここを突かれると思っていなかったのか。梵天の男は眉を潜めた。無自覚かぁ?
「綺麗に別れられてきっとその時はスッキリしたような感情を覚えたんだろうね、上辺わさ。君さぁ、別れた原因は付いて欲しくなかったんでしょ?これから自分の歩む修羅の道に。親友兼好きな人の弟・・・何処か似てたんだろうね雰囲気がね、好きな人と重ねてた親友。だからわざと突き放して、後悔してる。ほら、顔にかいてるよ〜?本当は着いてきて欲しかったってね。」
「そんなことはねぇ。あいつは俺なんかと一緒に居ちゃいけなかったんだ。本当は俺が赤音さんの代わりにイヌピーを止めなきゃいけなかったんだ。赤音さんに俺はもう関わっちゃいけねぇんだ!!」
そっかそっか、そろそろ終わりだね。
「んなことないって。アンタ頑張ったんでしょ?自分のために我が身汚してまで頑張ったやつ責めるバカいる!?アンタの好きな人はそんな人じゃない!だから、自分ばっか責めんなよ、バカヤロー。・・・でさ〜?今度、ちゃんと話しなよ。いや、別に会えとは言わないけどさ、アンタ反社でしょ?イヌピーさんと話すくらい出きるでしょ?」
「そう、だな。話のってもらって悪かったな。まぁ、お礼といってもなんなんだが、どの死に方が良いか?」
え〜〜〜〜〜!?いやその流れはなくないか!?!?いやだって、可笑しいじゃん!!私こんな優しくしてやったんだよ、???私の努力なんだったの!?!?いやまじで、そこは忘れてろよ〜〜〜。ほんと、なんなんこいつ?死ぬほど重い過去持ちやがってくそが!!!!
「流石にそれはない。生かせ、あたしを生かせ。てめぇ、今ここで私のこと殺したら怨霊になって一生付きまとってやるからな!!良いな!?今すぐ身動きのとれるようにしろ!!!!!」
「・・・誰にも言うなよ?」
まじすか・・・?このとき私は感動で涙が溢れた。いややっと家に帰れる〜〜〜!!







「おいおい、お前さぁ?マジなんなん!?アンタが宗教って儲かるんだぜ?なんて言うから私死にかけたんだが!?!?ほんっと有り得ない。」
当たり前なのだが、この私が私を唆したバカ野郎に文句を言わないわけがない。私はそのバカ野郎が営む不動産屋へと足を運んだ。バカ野郎の舎弟がほとんど営んでるようなもんだけどね。
「俺は悪くねぇよ。三ツ谷が言ったんだ。」
あいつだったのか。まさか、このバカ野郎にホラ吹いたやつは。次この不動産で物件探しやってるところ見たら勝手に物件決めちゃお。絶対許さない。
「ふぅ〜ん?はぁ、もう宗教なんてやめるよ、やってらんない。あんな職業。次はなんの職業やろうかなぁ?」
「カウンセラーに戻れよ。」
「あれ、久し振りだね、龍宮寺君と乾君。どうしたの?」
声のした後ろを振り向く。そこにはバカ野郎の友達の龍宮寺君、とその龍宮寺君が営むバイク屋の店員の乾くん。相変わらずイケメンだなこいつら。でも、カウンセラーかぁ。いや、最もな意見なのだがね、暫くカウンセリングはトラウマになりそうなんだ。だから、他の職業がよくてね。なんて心の中で御託を並べる。
「新しい店舗も開こうと思ってな。」
へぇ、結構儲かってんのか〜〜〜良いなぁ。私なんかねぇ、こんな酷い目に・・・
「聞いて聞いてよ、宗教なんてクソ食らえみたいな話なんだけどさぁ?はぁ〜〜〜。良いよなぁ、もと不良のイケメンのドラケン君とイヌピー君は!」
嫌味ったらしく大声で文句を言う。バカの舎弟がパーの店が陰気臭くなるとか文句いってるのなんか聞こえない、聞こえない。私は無視して話を続けた。
「ほんと散々だったんだよ。なんか親友の姉が好きなで、その姉がなくなって闇堕ちした奴がさぁ・・・親友のいぬぴ、」
イヌピーとやらの別れ後悔しやがってさぁ。・・・と言おうとした私の口が完全に止まる。あれ、前に聞いたことある。え、乾くん、姉を火事でなくしてて・・・それで、あれ?ん?










「うっそ〜〜〜〜〜〜〜乾くんだったのね、イヌピーってヤツは!!!!!!!!!親友がアンタのこと気にしてたよ!!!!!!」

その時、乾くんがスッ転んだのは非常に記憶に新しい。



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