失
ぽこーん、と間抜けなラリーの音がする。今、俺はちゃんと返せていただろうか。
「どうしたマムシ〜!もっとまともに返せんだろ?!」
「桃城」
「うおっ?!どうした死にそうな顔して」
「俺は、舟橋に何て言ったら良かったんだ……?」
「ハア〜?お前まだ告白してなかったのかよ!」
「ちょっ……そういうことじゃ……」
桃城の大声に一早く反応したのは菊丸先輩。続いて不二先輩、そして乾先輩。
ああ、もう逃げ場がない。
「にゃんだって〜?海堂誰かに告白するの〜〜?」
「ふふ、海堂にもついに春が来たんだね……」
「この際だから海堂の好みをデータとして取っておこうか」
サア、と血の気が引くのを感じた。
菊丸先輩にはいじり倒され、不二先輩にもいじり倒され、乾先輩に洗いざらい吐かされそうになり、俺は汗をかきながら逃げた。騒ぎに気がついた手塚部長がグラウンド二十周を命じていなければもっとひどい目に遭っていたかもしれない。
それにしても、だ。そもそも俺が私情を持ち込んだのが良く無かった。ここで俺がしっかりしなければ、きっと舟橋にも失礼だろう。俺は水道の水で顔を洗うと、気持ちを切り替えて練習を再開した。